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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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新聞小説「沈黙の町で」(6)奥田英朗

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7/12(420)まで(最終)
弁護士の堀田は瑛介の母に、勝手な行動を取らない様にとクギを刺した。
せっかく会ったからと、それぞれの子供たちの近況を話す親たち。


新聞記者の高村が名倉の母親に会いに行った。親たちの情報を聞いてむきになる寛子。高村が、また記事を書くと聞いて期待する寛子。
気分転換に寛子は街に出たが、そこで偶然健太の母親と出会ってしまった。逃げるように家に向かう寛子。


期末試験を控えた放課後、健太と瑛介が部室で荷物整理をしているところへ藤田と金子と名倉が来る。
名倉に飲み物を買いに行かせ、4人は部室棟の屋根へ。
名倉が最新式のラケットを買ってもらった事を金子が話し、呆れる健太。藤田が名倉とモニター契約をしたという。要するに脅して勝手に使うという事。ただし屋根から銀杏の木に飛び移ることが出来たらそれは解除される。
最初はグズグズ言っていた名倉が、今日になって「飛ぶ」と言い出したという。


ペットボトルを持って戻って来た名倉。「飲んだら飛べよ」と言う藤田に「ああ飛ぶよ」と答える名倉。
そのうちに瑛介、金子、健太と次々に降りる。独り言をつぶやく名倉。「大丈夫、行けるよ」「でもお兄ちゃん」。


帰りかけて忘れ物に気がついた健太が教室に戻り、再び下校しようとした時、藤田と出くわした。様子がおかしい。
「ちゃま夫は飛んだのか?」膝をふるわせる藤田。何かを隠していると直感し、健太は銀杏の木を見に行こうとする。
「ちゃま夫な、木から落ちたんだよ」枝に飛び移り損ねて、コンクリートの側溝に頭を打ち付けて死んだという。
このままだと俺が疑われる、とわめく藤田。
「とにかく見に行こう」と銀杏の木に向かう健太。側溝に横たわっている名倉が見える。だがそれ以上は進めない。
藤田は健太に、みんなと一緒に帰った事にしてくれと懇願する。パニックに陥った中で「わかった」と答えてしまう健太。
別方向へ駆けて行く藤田。

どうしよう、どうしよう---。健太は荒い息を吐きながら家に向かって全力で走った。 <了>


ほへー。なんとあっけない終末。大根をバッサリ切り落とした様な感じ。
キーマンは藤田と健太だったんか。
健太が1人で藤田を守っていたのか、4人で秘密を共有していたのかは判らない。


総括(超アバウトな読み返し)
1~161 現在 
名倉の死亡から、4人の少年が逮捕・補導された事による家族も含めた波紋
162~188(26頁)過去
中二になった頃の状況。名倉と例の4人との関係。
189~222(34頁)現在、223~248(26頁)過去、249~282(34頁)現在、283~297(15頁)過去、298~315(18頁)現在、316~333(18頁)過去、334~351(18頁)現在、352~364(13頁)過去、365~382(18頁)現在、383~387(5頁)過去、388~394(7頁)現在、395~400(6頁)過去、401~414(14頁)現在、415~420(6頁)過去


ざっと一気に読み返してみると、展開としてさほど違和感は感じないが、毎日読んでいた時は162以降、過去の話が延々と続くことで最初の記憶が途切れ、次に現在へ戻った時「アレ、この人誰だっけ?」状態になってしまい。とたんに興味が薄れてしまった。

現在と過去の繰り返しパターンがいかにも機械的な感じで、読者の感覚とはズレていたのだろう。
それに、群像を描くのに気をとられたのか、肝心の死んだ少年の描写が甘すぎる。「お兄ちゃん」「ハヤト」って何よ。最後に自分も飛ぼうと決心するまでの必然みたいなものがあっても良かったのでは?
ただ藤田に脅されただけじゃないだろう。


新聞記者の高村真央についても、出すなら出すで女性である事の表現をキチンとやって欲しかった。後半では「高村」ばかりで「男だったっけ?」的な雰囲気。


辛口になってしまったが、本になって一気に読めば、それなりだとは思います(終わり方はキライだけど)。





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