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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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新聞小説「沈黙の町で」(5)奥田英朗

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6/30(409)まで

検事の橋本が坂井瑛介を地検に呼び出した。共に付き添いで付いてきた母親。学校側の処遇に抗議する母親。
事情聴取が始まり、橋本は瑛介が罪を被ろうとした事について怒りをぶつけた。瑛介は名倉の背中を1年生がつねった事について、自分が命令したと言っていた。結局罪の意識に苛まれた1年生によりその事が明らかになった。
改めて聴き取りをやり直す橋本。


教師の飯島、下校しようとする市川健太を呼び止めた。名倉が死んでも涙を流さなかった自分たちを「ひどい人間かも知れない」という健太。


B組の女子に暴力をふるう名倉。井上に命令されての事らしい。憤慨する女子たち。放課後数人で体育館裏に名倉を呼び出す。顔色をなくす名倉。
藤田から1年生が名倉をつねった事を聞いていた女子が名倉のシャツをまくり上げた。無数の内出血痕が現れる。
誰かが名倉の背中をつねると、それが全員に伝染し報復のために名倉をつねった。人を威圧する快感に興奮する女子。


健太と瑛介が強く叱ったせいで1年との間に溝が出来、テニス部の雰囲気はすっかり暗くなった。

一計をめぐらせて名倉に退部を勧告する健太。応答しない名倉。
練習後、また名倉に飲み物を買わせ、例の部室棟から銀杏を伝って降りる。

取り残される名倉。


学校の様子を知りたいという気持ちから教諭の飯島と小料理屋で会った豊川。
つねった生徒の数と内出血痕の数が合わないという豊川。名乗り出ない生徒の存在。
最初に生徒を逮捕してしまった手前、幕引きに腐心しているのではないかと突く飯島。


逮捕・補導された4人の親たちが集まることになった。発端は首謀者と思われていた、息子の瑛介の疑いが晴れたのを名倉

家に言いたいという母親の百合が言い出したもの。
感情が先行して話し合いは進まない。

藤田一輝の祖父が雇った弁護士の堀田が来る。

遺族感情から考えて、ここは何もするなと一蹴する堀田。


 
この連載も7/12まで。7/13からは筒井康隆の新連載「聖痕」が始まる。
http://shokenro.jp/00000798


しかーし!、この進展の中途半端さは一体なんだろう?
これであと十数回で最終回かと思うと、今までつきあって来た自分がかわいそうに思える。


多分この作者はキッチリとドラマの輪郭始め細部を構築し、その計画通りに人物を配置して、思い通りに進めて来たのだろう。だが我々は朝食時の数分でナナメ読みしたり、時には1,2回とばしたり、そうした事の積み重ねで読み進めている。
そんな相手に警察関係者、学校、マスコミ、疑いをかけられた子供4人とその家族、家族の親類が雇った弁護士、そして同級生数知れず・・・・・そのうえ舞台は現在と過去を目まぐるしく行き来する。


それでも、主人公が固定されていればなんとか付いていけただろう。数回単位でスポットを当てる人間が替わり、登場人物や過去、現在の区別をノートにでもつけないと維持出来ない、トンデモ小説。

ワタシ達は修行をしているのではない。


多分小説になって、せいぜい数日で完読出来るものだったら、それなりだろうと思う。ただ細切れの新聞小説でこれをやられたらたまらない。

そういう意味では読者不在の、新聞小説としては失敗作だと考える。


どういう話だったかは、最終回まで到達してから総括したい。



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