監督 ギャヴィン・オコナー
脚本 ビル・ドゥビューク
キャスト
クリスチャン・ウルフ ベン・アフレック
デイナ・カミングス アナ・ケンドリック
レイモンド・キング J・K・シモンズ
ブラクストン ジョン・バーンサル
フランシス・シルヴァーバーグ ジェフリー・タンバー
メリーベス・メディナ シンシア・アダイ=ロビンソン
ラマー・ブラックバーン ジョン・リスゴー
リタ・ブラックバーン ジーン・スマート
エド・チルトン アンディ・アンバーガー
ジャスティン アリソン・ライト
神経学者 ジェイソン・デイヴィス
クリスチャンの父 ロバート・C・トレヴァイラー
クリスチャンの母 メアリー・クラフト
少年期のクリスチャン セス・リー
クリスチャンの弟 ジェイク・プレスリー
少女期のジャスティン イジー・フェネック
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=6or2Z629qmQ
ビルの中での銃撃現場。多くの死体を見ながら銃を構えて階段を上がる男。先の方で命乞いをする男の声と、もう一人ささやく様に歌のようなものを歌う男の声。そして銃声。
ジグソーパズルをやるメガネの少年。指先に息を吹きかける癖。それを見る弟らしい少年と、行動異常の少女。夫婦と医師との会話。医師は少年を施設に預ける事を提案するが、父親がそれに反対。
ジグソーが一個足りなくて騒ぎ始める少年。その時、少女が落ちていたピースを少年に渡す。完成した絵はモハメド・アリの雄姿だったが、それまで少年が嵌めていたのは裏側からだった。
小さな会計事務所を営むクリスチャン・ウルフ。老夫婦の節税相談を受けていた。妻が手作りのネックレスを作る趣味を持っている事を知り、リビングを事業所として申請する運用をアドバイス。
後日、老夫婦の農場で射撃の練習をさせてもらうクリスチャン(以後クリス)。1.5キロ先のメロンを撃ち抜く腕に驚く夫。
商務省局員のマリーベス・メディナ分析官。局長のレイモンド・キングに呼び出される。レイモンド・キング(以後レイ)は、メディナが実力の割りに出世願望を持たない事を指摘。彼女の秘密である、十代の時の逮捕歴をPC上に出した。犯罪履歴を隠して商務省に入ったメディナはやむなくレイの直属として働き始める。
規則正しいクリスの生活。就寝前の儀式はフラッシュライトの点滅と大音量の音楽。その中で足のスネに木の棒をこすり付けて苦痛を味わう。そして精神安定剤の服用。
子供時代を思い出すクリス。家から出て行く母親を見ながら泣きわめくクリスを父親が押さえつけて歌を聞かせる。
「マザーグース」の中に出て来るソロモン・グランディ。月曜に生まれ、火曜日に洗礼、水曜日に結婚、木曜日に病気になり、金曜日にそれが悪化、土曜日に死に、日曜日に葬儀をする。
その歌で落ち着きを取り戻すクリス。
電話で女性の声と話すクリス。女性が、裏の仕事だけではなく表の仕事もやるべきだと言い「リビング・ロボティクス」社の、会計監査の仕事を請けていた。早速ロボティクス社に出向くクリス。
社長はラマー。電気製品と軍需、義肢製造を主体としており、妹のリタと、友人であり財務担当のエドが面会。財務課の女性が横領を見つけたため、正しい監査を行うというのが依頼。社長指示であり、リタ、エドの意思ではない。
最初過去10年分との話だったが、エドが財務を担当して15年だと聞いてクリスは15年分の記録を要求。
翌日クリスが出社すると、徹夜で書類を用意していた女性ディナが寝ていた。彼女を起こし、手伝うというのを「一人でいい」と言って追い出し、精力的に調査を開始するクリス。
出社したディナに不正がある事を伝えるクリス。約6100万ドルが架空会社に流されていた事が判明。その承認はエドが行っていた。途中から話を聞き始めたリタはディナを追い払う。
エドの自宅。夜中ダイニングへ水を飲みに来たエド。椅子に座る男に気付く。机にはインスリンの瓶が二つ。これを摂取して事故死するか、上に居る妻も含め強盗殺人の被害者になるか。妻を助けるため、事故死を選んだエド。
翌日クリスは社長から、監査の中止を言い渡された。
殺し屋集団は、クリスの顧客の老夫婦を襲っておびき出す作戦。だがクリスは遠距離から一人づつ仕留めて行き、老夫婦を人質にして車で逃げようとする男を捕まえ、ディナも標的になっている事を吐かせる。
ディナが自分のアパートで殺されそうになる寸前、クリスが助ける。
自分が住居にしているトレーラーハウスにディナを連れて来るクリス。生活スタイル、大金、武器、高級絵画等、会計士とはどうしても繋がらない
事に混乱するディナ。特に目を引くポロックの原画。
メディナは、探せと言われたレイの言う闇の殺し屋が、年間100万ドル以上の収入を持つ会計士、という条件を意識しつつも、自閉症、数学の天才の偽名などプロファイリングを駆使して、クリスのZZZ会計士事務所を割り出した。単体での収入は少ないが、関連会社を合わせると100万ドル以上になる。
だがその利益はハーバー神経学研究所に注ぎこまれていた。ZZZ会計士事務所に向かうレイとメディナ。
クリスは場所をホテルに移してディナを匿った。
自分が闇の会計士である事、過去の生い立ち、高機能自閉症である事などを告白するクリス。
クリスは、ロボティクス社の裏金の真相を知っていると思われるリタに会いに行くが、先を行く殺し屋の一人に遭遇。駆け付けるも、リタは頭を撃ち抜かれていた。
ZZZ会計事務所に向かったレイとメディナだが、そこは引き払われていた。そこでレイはこの男の正体について話を始めた。
自閉症だったクリスに対し、彼の父親は厳しい環境で生き抜くための技術を教え込んだ。そして入隊。クリスは一流の軍人になった。
クリスの母親は、彼の事が原因で離婚、新しい家庭を築いていたが、突然亡くなった。父親はクリスを連れてその葬儀に勝手に出席、再婚相手の男性とトラブルになった。父親を守るため警察官に暴行したクリスだが、父親は銃を抜いた保安官に撃たれて死んだ。
それが原因で刑務所に収監されたクリス。
その刑務所に入っていたフランシス。裏帳簿を預かるマネーロンダリングの達人。だがマフィアに命を狙われたため、財務省に保護を願い出て、収監された。短い期間だが同室になったクリスとフランシス。その間に裏社会のテクニックをクリスに伝授するフランシス。
だがフランシスの危険を軽く見ていたレイは、彼を短期間で釈放してしまった。
すぐマフィアに殺されたフランシス。それを知ったクリスは刑務所から脱走。
後日、フランシス殺害の証拠を掴むため、マフィアのアジトを張っていたレイだが、それを先回りして襲撃された。現場に入るレイ。マフィアの男たちは始末されている(冒頭の場面の繰り返し)。
マフィアが皆殺しされた中で、頭に銃を突き付けられるレイ。だがその男(クリス)は、家族の事、子供にとっていい父親だったか、との質問をした上で、レイを殺さなかった。
その失態の責任を取るため、退職しようとしていた時、一本の電話。出ると、女の声でマフィア検挙のための情報提供。それ以降のレイのチームによる華々しい事件解決は、みなその情報のおかげだった。あきれるメディナ。
ロボティクス社の社長宅に向かうクリス。資金流出の黒幕は社長のラマーだった。自社の資産価値を高めるための裏帳簿。邸内は雇った殺し屋たちで固めていたが、高射砲並みの火器で外の連中を倒して行くクリス。
モニターでクリスの戦いぶりを見ていたリーダー格の男。敵を倒す時、クリスが「ソロモン・グランディ」を口ずさむのを聞いて、同じように歌う。
最後の手下も殺され、クリスの前に出るリーダー格の男。「久しぶりだな」とクリス。男はクリスの弟ブラクストンだった。激しい殴り合いの結果、座り込む二人。
ラマーの頭をクリスが撃ち抜いて、この事件は一件落着。再会を約して別れる二人。
ディナの許に大きな荷物が届く。以前クリスと話していた、ポーカーをする犬たちの模造画。だがその下に絵が隠れていた。上を破いてみると、クリスの部屋にあったポロックの原画。
財務省での記者会見。ロボティクス社の、一連の殺人事件に関するもの。レイはメディナを紹介。メディナはチーム捜査の成果だと言って、今後のリーダとしてやって行く決意をする。
ハーバー神経学研究所。クリスの寄付が大きな助けになっている。入所の検討をされている少年に手であいさつする、障害のある女性。言葉が話せず、行動障害があるが、パソコン操作には抜群のスキルを持つ。キーボードを打ってスピーカーからあいさつする声。
感想
オモテ向きは冴えない公認会計士、裏では凄腕の殺し屋。そんな設定にちょっと興味が湧いて観に行った。
自閉症という障害を持った子供が社会に適合して行けるよう、幼い頃から鍛えた父親。そして軍隊でのスキル獲得もやり遂げたクリス。
設定としては悪くないが、何か自閉症すなわち超能力アリ、といった逆ステータスみたいな扱いには少し違和感を持つ。
それから、タマには表の仕事もしないと、と言うわりに裏の仕事ぶりの紹介がない。メディナの調べるクリスの裏稼業も、殺人現場での監視カメラ映像ばかりで「どういう仕事をした」のかの説明がないから、裏社会での位置付けも判らない。
それと観ていてちょっと勘違いしたのが、レイがクリスの父親か?ってこと。クリスがマフィアを皆殺しにした現場にレイが飛び込み、その時クリスに後方から銃を突き付けられる辺りで、もうこちらの方で「クリスは息子」という思い込みが出来てしまった。その後の「子供は居るか」「子供に対していい親だったか」という問いに、「何で自分の息子に気付かないんだよ」なんて思ったり。
正しい理解は、レイが男の子二人の親であり、その事に対して多少クリスの心が動いて見逃したという事。何か顔のフンイキも似てたんだよな。
ツッコミというわけではないが、もう一息という点についてちょっと・・・
・超一級のスナイパー、という事なら、父親の教えや軍隊で身に着けたというよりも、彼自身の特性がそうだった、という持って行き方でサラっと流すのもあったと思う(会計士としての数字に対する能力も含め)。
・ディナの扱いが微妙。会社の財務課勤務で不正を見つけたと言っても、会計士を雇う前に消されるのがオチ。もう少し合理的な設定はなかったものか。
・クリスの経歴が、レイの話す説明で全部明らかにされ、確かにそれで全ての伏線が回収されているのだけれど、ちょっと情報ぶっ込みすぎで、観終わってからネタバレサイトを巡回してようやく把握出来るというのではツライ。イーグル・アイの時もそんな感じ。
基本的にクリスとディナとの絡みには好感が持てる。ディナからのアプローチに、ちょっと事件の話をするフリで逃げるところなどもイイ感じ。
もう少し脚本に手間をかける、と言うより、映画なりのペースを認識した上での構築を工夫すれば、もっと魅力ある映画になると思う。
ところでこれ、シリーズ化前提?