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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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フリーセル中毒

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初めて自分用のパソコンを買ったのが1999年。会社で使い始めたのはその数年前からだから、PC歴としてはもう20年以上経つ。

当時は文書なら「一太郎」、表計算は「ロータス1-2-3」が定番。会社のパソコンにもゲームソフトの「フリーセル」が標準装備されていた。
昼休みなどはもっぱらそれで遊んでおり、当然家用のPCにも入っていたのでやっていた。
当時から、ゲーム途中で手詰まりになると、そこで敗戦が決まっていたため、どうしても勝率は半分程度。

 

昨年、Windows VISTAだったのを、サポート期間の関係でWindows8.1に買い替えたのだが、今まで標準で入っていた「フリーセル」が見当たらない。ネットでイロイロ調べてみると、アプリからダウンロードする必要がある(無料)。
だがそのためにはマイクロソフトのアカウントを取らなくてはならない。メールソフトも同様。こうやって強制されるのが何より腹立たしい。

 

そこでメーラーはフリーの「サンダーバード」に乗り換え。
あとは「フリーセル」。ネットでいろいろあるようだが、とりあえず こちら を使用。

ダウンロードではなくネット上で行うものだが、対戦履歴は記録される。今までと違うのは、手詰まりになっても最初に戻れること。
だから勝率は上がったが、その分「勝ち」に対するこだわりが強くなり、手詰まりになると、一時間かかってもクリアしないと気が済まない。


そんなわけで現在5091勝28敗(勝率99.5%)。新しいPCになってから半年あまり。ムダな時間と思いつつも「やめられない・・・・・」

 

 

 


オーディオプレーヤー

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オーディオプレーヤーとして印象に深いのは「MDプレーヤー」。確か娘が中学に入った時にSONYのMZ-E707-Lを(当時の購入価格\23,500)。
娘はその後高校卒業まで毎日愛用した。

 

appleのiPodが発売されたのは2001年頃か。超小型ハードディスクに音楽再生機能を付けるという発想が素晴らしく、appleはそれに続くiPad、iPhoneで巨大企業となった。その後オーディオプレーヤーの母体はUSBとなり、更にコンパクト

になって各社が参入。いわゆるMP3プレーヤーとして爆発的に普及した。

 

自分自身がオーディオプレーヤー愛用者になったのは2007年。忘年会の賞品として設定されていたHITACHIのHMP-X5(市場価格\6,980)を幸運にもゲット。使ってみてその機動性に感激。月数回の出張、昼休みのBGMには欠かせないアイテムになった。

だがそうやって高稼働で使い続けた結果、電源SW(音楽スタートも兼ねる)が故障し、聴けなくなった。約10年の使用、まあ寿命と言ってもいいか(とりあえず2GBのUSBとしては使えるが)。

 

最近の家電チラシを見ていたら、オーディオプレーヤー\1,980との説明。それだけならスルーだが、そこに「オーディオ機器からのダイレクト録音可能」とあり、俄然その気になって衝動買い。

(株)グリーンハウスの「GH-KANADT8」。サイズは以前使っていたのとほぼ同じだが、電源SWがメカ式のスライド。この方が安心感はある。またFMも聴けるしその録音も出来る(だがFMの受信感度としてはイマイチ(屋外なら大丈夫)) 。

 

 

一番やりたい事はレコードからの録音。
従来はアンプからコードでPCまで繋ぎ、フリーソフトの「午後のこーだ」で記録。だがPCとレコードプレーヤーが離れており、面倒この上ない。だから録音したのは数枚程度。

今回、最初はアンプのヘッドホン端子から入れたが、通常で聴く音量では録音レベルが高すぎる、説明書を読むと、レベルは再生側の機器で調整して下さい、とあるのでごく小音量に絞るしかない。
また、録音したものをUSBに落として、先日買ったネットワークブレーヤーに掛けたら「認識できません」。録音形式がWAVファイルで、再生出来る筈だと思ったが、コーデックとかのマッチングが悪い様だ。
そこで改めてWAVからMP3への変換をネット検索したら、「午後のこーだ」にエンコード機能があるとの説明。ファイルをドラッグして「GO」かけるだけでMP3への変換終了。その後ネットワークプレーヤーでの再生もOKとなった。

 

あとは録音レベル。せっかくレコードをかけるのだから、録音時も適切な音量で聴きたい。そこで録音の音源をアンプのREC端子から取ってやってみると、これも少しレベルは高い。
途中にボリュームを入れれば解決する、と手持ちのものを信号ケーブルの途中に組み込み。

 

 

その結果は良好であり、今後ヒマを見てレコードのMP3化を推進する予定。

このプレーヤー、説明書読んだら録音時の準備に8秒かかるので「さあ、大変」と思ったが、録音開始直後にボタンちょん押しで一時停止。その間にトーンアームを降ろして接地と同時にまた押してスタート。保存はSWを一秒長押し。
プレーヤのそばで作業が出来るのがGOOD!

 

ただ、このプレーヤーの難点はスイッチ操作フィーリング。いくら押しても反応しないので、説明書を読むと「ボタンの押し方について」のレクチャー。操作性が悪い事を認識しているのなら、製品の方を改良しろ!!
でもこれで\1,980は安いナー。

 

「コンビニ人間」 村田 紗耶香

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遅ればせながら、といったところだが、昨年芥川賞受賞の時、息子が買った文藝春秋を譲り受けて、延々と放置していた。
今回たまたまページを開いて一気に読んだ。以下、あらすじと感想。

 


あらすじ
コンビニ(スマイルマート日色町駅前店)でキビキビと働く女性、古倉恵子。コンビニ店員として「生まれて」18年の、現在36歳。
コンビニ店員になる前の記憶があいまいだが、奇妙がられる子だった。幼稚園の頃、公園で死んだ小鳥を見て「これ、食べよう」と言って母親を驚かせたり、小学校では男の子のケンカに「誰か止めて!」との叫びを聞いて、スコップで暴れ

る男子の頭を殴ったり。
何かをすると周りが強く反応する、そういう思いから、自分から動く事を一切やめた。

 

大学1年の時、今のコンビニがオープンする準備段階を目にして興味を持ち、面接を受けた。研修の過程で、店員としてのスキルをどんどん身に着けていく。手本通りにこなして行く快感。
他の店員たちとも適度な距離を保ち、日常生活も見かけ上うまくこなしている。相手の表情を見て「ああ、私は今上手に「人間」が出来ている」と感じる。
同僚の泉さん。似た年恰好のため、同年代としてのセンスを真似ている。

 

学生時代の友人との会話。結婚していない事に対して最近問われる事が多い。あまり体が丈夫じゃないから今もバイト、という言い訳を続けている。

 

ある日店に、新人の白羽がやって来る。痩せて背が高く、勤勉とは無縁の印象。商品並べもまともに出来ない白羽に恵子が細かく説明。こんな仕事は男の本能には向いていないと居直る白羽。
別の店員が白羽の奇妙さを指摘し、古倉さんは怒らないですよね、と感心。ぎくりとする。

 

バイトが休みの日に妹のところへ遊びに行く恵子。電気会社に勤める夫と、乳幼児の息子を持つ妹。結婚もせず、18年もコンビニ店員を続けている事の言い訳を、妹に考えてもらっていた。

 

客にいちいち指図をする中年男性を巡ってひと悶着。店長が対応した。それが一段落して白羽の話に。今日も遅刻でまだ顔を見せていない。別の店員から、勤務中にケータイ見ているとの情報も。
そこへやって来た白羽に店長が叱咤。恵子と二人だけになった時「コンビニの店長ふぜいが」と罵る。次々に出て来る差別用語。
何の気なしに、どうしてここで働き始めたのかを聞くと、婚活だと言う。だがろくな相手が居ない、とまたグチ。

 

次に店へ行った時、シフト表の、白羽の名前にバッテン。常連客の女性へのストーカーまがいの行為が見つかり、店長がクビにしたという。

 

久しぶりに同級生の集まり。バーベキューパーティで、ユカリの旦那も来ていた。仕事の話から、例によって恵子が結婚していない話題。いつも通り体が弱いとの言い訳に、ユカリの旦那が反応。就職が難しくても、結婚ぐらいはした方がいいとおせっかい。次第に盛り上がり、婚活サイトに登録したら、とまで。
「今のままじゃだめって事ですか、それって何ですか」の言葉に、場の空気が一変。自分が異物になっている事に気付く恵子。
だから治らなくてはいけないんだ。治らないと正常な人達に削除される。

 

パーティの後、休みだったが店に顔を出す恵子。店員たちから声をかけられ、今はまだ使える「道具」だと実感する。
店の外にいる白羽を偶然見つける恵子。常連客の女性を待ち伏せていた。今度こそ警察沙汰になりますよ、と警告されても居直る白羽。だが話しているうちに感情が高ぶり、泣き出す。

 

仕方なく白羽を連れて近くのファミレスに入る恵子。ドリンクバーで恵子に出された飲み物を飲みながら、延々と持論を展開する白羽。この世界は縄文時代と同じ。ムラのためにならない人間は削除されて行く。
結婚して、文句を言われない人生を送りたい、という白羽に、婚姻だけが目的なら、私と婚姻届を出すのはどうか、と提案する恵子。
君を相手には勃起しないとうそぶく白羽に、婚姻届は書類上だけの話だと説明し、コンビニ店員を例に挙げて、皆の中にある「普通の人間」という架空の生き物を演じるのだと言った。
どこかで変化を求めていた恵子。悪い変化でも、膠着状態よりはマシ。沈黙する白羽。

 

見切りをつけて帰ろうとする恵子に、ぽつりぽつりと身の上話を始める白羽。
ルームシェアをしていた相手が居るが、家賃滞納で追い出されかかっている。北海道の実家には弟夫婦がいて借金が出来なくなった。
長い話に、翌日の仕事に差し支える、と強引に自分のアパートまで白羽を引っ張って来る恵子。妙な臭いのする白羽を無理やりシャワーさせている間に、妹に電話して家に男性が居ると話す。妹は勝手に話を作り上げて感動。

シャワーから出て、恵子が妹に電話をかけた事を知った白羽は、そんなに結婚をあせっているのかと引くが、恵子自身にはそんな気はなく、嫌なら帰っていいと突き放す。翌日仕事だからと、さっさと寝る恵子。翌朝も書置きだけして店に出る。

 

帰宅すると白羽はまだ居た。恵子のことを底辺中の底辺、子宮も劣化した「ムラ」にとってのお荷物と罵った一方で、恵子の提案を受けるという。
白羽が家に居ることで(貧乏人が同棲)皆が納得してくれる。あなた側のメリットは?と聞くと「自分を世界から隠して欲しい」。赤の他人に干渉されるのはうんざり。
何も食べていない白羽に冷蔵庫から炊いた米、茹で野菜(醤油をかけたもの)を出す。食材には火を通すが、味は必要ない。塩分が欲しい時には醤油をかける。

 

こうして始まった同居生活。同級生の集まりに行った時、皆は狂喜乱舞。こちら側へ「ようこそ」。
白羽の分の食費が増えたので、出勤日を増やす必要がある。店長へ申し入れ。
そのついでに店長が、白羽の私物が置きっぱなしだとのグチ。何の気なしに「持って行きましょうか」と口をすべらせると、店長が食い付いた。
混雑する店内に入り、ヘルプをしてその場を逃れるが、バックルームに戻ると店長が喋ったため、皆が恵子と白羽の関係を聞いてくる。

 

帰宅すると、白羽は風呂場のカラになったバスタブでタブレットを見ている。押入れでは虫が出るという。コンビニで白羽の事を話してしまったと言うと、困るのは貴女だと返す。今までただ気持ち悪かっただけだから何も言われなかった。

だがこれからは直接言われる、と。

店では白羽と恵子の事が広まり、皆からしつこく聞かれるようになった。うんざりする恵子。

 

あの日電話を掛けてから1ケ月ほどして妹が訪ねて来た。外出を促したが、白羽は部屋から出なかった。妹が来て、電話で喜んだ状況とは違っている事に気付く。あれを家に入れておくと便利だと説明する恵子に、いつになったら治るの、と泣き始める妹。コンビニのバイトを始めてからますますおかしくなったとも。
そこに、風呂場から出て来る白羽。実は恵子とケンカをして風呂場に居たとの説明。元カノと飲みに行ったのがバレたのだという嘘の演出に、妹として許せない!と叫びながらも、このうえなく嬉しそうな妹。
叱るのは「こちら側」の人間だと思っているから。問題だらけでも「こちら側」の方がマシ。

 

翌日、店から帰るとまた女物の靴。白羽の弟の嫁だという。ルームシェアの家賃滞納で実家まで請求が来た。どうしてここが判ったのかと白羽が聞くと義妹は、以前彼が借金で実家に来た時、亭主に頼んで白羽の携帯に追跡アプリを入れたのだと言って鼻で笑う。

義妹の視線が恵子に向かった。36歳でバイトをしているという返事に驚き、就職か結婚、どちらかした方がいいと忠告。

白羽は、彼女にはバイトをやめてもらって職探しをしてもらう、と宣言。しぶしぶ帰る義妹。疲れてぐったりとなる恵子。

 

コンビニを退職した恵子。18年間勤めた割には全くあっけなかった。
白羽はネットで恵子が次に働くための求人チェックを意気揚々と行っている。
眠くなったら眠り、起きたらご飯を食べる生活。日付を見たら二週間ほど経っていた。全てをコンビニにとって合理的かどうかで判断していた自分。基準を失った。

 

コンビニを辞めてから1ケ月あまり。初めての面接。白羽が見つけて来たもの。
面接先まで送るという白羽。電車で向かうが、一時間以上前に着いてしまった。コンビニのトイレに向かって恵子も後に付いた。
コンビニに入った瞬間、聞こえる懐かしいチャイム。コンビニの中の音全てが細胞へ直接働きかける。
店内の商品レイアウトが気になって手直しする。怪訝そうに見る客に「いらっしゃいませ」と挨拶してごまかす。更にチョコレートの陳列も売れ筋に合わせてセットし直す。
女子店員も怪訝な顔で見るが、レジに忙しくて身動きが取れない。本社の社員を装い会釈する恵子。それだけで納得する店員。
その間にセットし直したチョコに目を止めて客が盛り上がる。
レジが一段落して女店員が近づくと、店の運営についての注意すべき点をテキパキと教えた。信頼しきった声で「はい」と返す女店員。

 

トイレから戻った白羽が「何をしているんだ!」と怒鳴る。訳が判らない女店員。
店の外へ引き出された恵子は「コンビニの声が聞こえるんです」。
怯えたような表情の白羽に、人間としていびつでも、コンビニ店員から逃れられない、私の細胞全部がコンビニのために存在している、と話す。
狂ってる、そんな生き物を世界は許さない。そんな事より僕のために働いた方がずっといい、と諭す白羽に、コンビニ店員という動物である私に、あなたは全く必要ないんですと言った。

気持ちが悪い、お前なんか、人間じゃない、と言う白羽の手を振りほどく恵子。白羽は去って行く。

 

細胞全てがコンビニのガラスの向こうで響く音楽に呼応して、皮膚の中で蠢いているのをはっきりと感じていた。

 

 

感想

コンビニやマクドで見掛ける、マニュアル通りの挨拶、応対にイラっとする事がたまにあるが、そのマニュアル通りに動く事で、ようやく「人間として生きられている」。そんな主人公を巡る話。

 

まず、本当に読み易いのに驚く。何の抵抗もなく読み進めているうちに、終わってしまったという印象。
文章力がある、という事なのだろう。
また、一人称なのに、どこか客観的な表現(あらすじでは便宜上三人称としている)。

十八歳でコンビニバイトを始めてから、同じ店で十八年間。元々おかしな子、と言われて来たのを、沈黙する事でかわして来た(本質は変わっていない)。コンビニのマニュアルを纏う事で「普通の人間」を手に入れたものの、延々と勤める

うちに、次第に綻びが出て来た。

 

そんな時に現れた白羽。いきなり婚姻届、にはちょっとドン引きだったが、もともと自身を突き放しているし、他人が感じる白羽に対する嫌悪感さえも、あまり感じていない。
そういう意味では、どこかが欠落している、という恐ろしさがジワジワと迫って来る。

 

結局白羽のようなクズ人間にさえも見放され、喜びを以て元のコンビニ生活に戻って行く姿に、悲惨さを感じるのか、明るさを感じるのか。その両面性を持つのが、この小説を非凡なものにしている。

 

自分自身のエピソードで、幼稚園の運動会での大玉送りを、先生から「乱暴に扱ってはダメ」と言われて丁寧に扱いすぎ、競技が中断してしまったという話に、笑った(本人にそういう資質あり)。

 

 

 

 

NHK モーガン・フリーマン 時空を超えて「光の速度を破れるか?」 4/13放送

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番組紹介

 

人類は星を見上げて来た。宇宙は思ったより広い。
子供の頃のキャンプファイヤー。炎の光が一瞬で消え去る→なぜか。

ショー・キャロル。光の性質の研究。秒速30万km。この世に光より速いものはない。宇宙のあらゆるものと違う(興味深い)。

 

50km/hで走る車の前方にコーラの入ったカップを放る。カップは車の速度+アルファで前方に飛ぶ。光はこの法則には従わない。どの方向にも足したり引かれたりはしない。
アインシュタインの相対性理論 E=MC~2。時間と空間は一体。
ロケットは光速に近づくにつれ質量が増す。光速では質量は無限大となる→光速で動くのは不可能。これが宇宙というスケールを考えた時の足かせとなる。

 

ミゲル・アルクビエレ(物理学者)。ワープを提唱。空間に動いてもらう(空間を歪めて移動)。実現には負のエネルギーが必要。

 

スティーブ・ラモロー(ロスアラモス国立 研究所)
荒れた海に二隻の船を配し強い波を与えると、両者が引きあう。この原理を原子レベルで検証。15年の研究の末、二枚の電極の間の零点エネルギーが減少する事を証明。この時の負のエネルギーは微々たるもの(赤血球一個分の重さ)だがワープドライブが物理法則に叶う事を意味する。

 

ワームホール。宇宙の近道。未知の世界に飛び込む勇気も必要。
スティーブン・シュー。トンネルは安全なインフラ。
紙の上のアリ。紙の表面を歩いて裏面に行くには一回りする必要がある。穴があればあっという間。
三次元でのワームホール入り口はシャボン玉に見える。

 

ワームホールを人工的に作る。二つの入り口の一方を数光年先に遠ざける→巨大な負のエネルギーが必要。負のエネルギーは元々不安定。シャボン玉に指を入れるようなもの。

自然界にあるものを利用する。ビッグバンで出来た小さなワームホールがある(素粒子サイズ)。
空間の量子ゆらぎには落とし穴がある。量子力学は予測不能。どこに出るか判らない、時刻も不明。

 

最も安全な方法→一歩も動かない。私たちの体を情報に変換し光の速度で送る(テレポーテーション)。
ウォルムシェンクとモンロー。隔離された二つの原子が情報を共有出来る事を実証。数百個の原子でも出来る。人体は膨大→可能か。
チェリーパイをミキサーにかけてドロドロにする。分子構成は同じだが配列が異なる。今のところは非現実的。

 

光に関する理解が間違っていたとしたら?光の制限速度が修正される。
ジョン・ウエッブ。宇宙線をスペクトル分析し、光を発した星に特定の元素の有無を知る。
電磁気力の強さは光子が媒介する。掛けた光のバーコードで遠くの天体の様子が判る。

リチャード・ファインマン。
宇宙のガス雲を分析にかける。地球の南と北での観測結果が異なる。変化の原因→電磁気力が場所によって異なっている(光の性質そのものが変化)。
物理の方程式も変化し、根本から見直しが必要。

 

スーパーハイウエイ。
ジョアオ・マゲイジョ。宇宙の一様性問題。宇宙はどの方向にも均一に広がっている事の説明。
ビッグバンをパーティーに例える。同じワインが全員に配られている。初期(インフレーション前)は小さい→広くなる。最初が点であれば均一という説(インフレーション理論)。

 

マゲイジョは新理論を考えた。
制限速度を変える(光速変動理論)。ウェイトレスが光速以上で動いてワインを配った。光速が時間の経過で変化。

宇宙ひも。速い速度が今も残っている。長さ数十億光年。スーパーハイウエイ(地下鉄のようなもの)。
宇宙ひもに沿ってスーパーハイウエイを通す(まだ理論の段階)。
将来、物理の常識は今とは変わる。


感想
ワームホールと言えば「インターステラー」の解説で、現代の最新情報に忠実に描いたとかなんとか言ってたっけ。

 

ワープ、ワームホールと来て最終的に「宇宙ひも」によるスーパーハイウエイに話を持って行く。そうなると、テレポーテーションの話が、なんか異質。
まあ、何でもかんでもぶっ込む、このシリーズの「クセ」みたいなもんかな。

 

参考文献
光の速度は不変ではなかった?

 

 

農作業がんばれ~~

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ヤスミンさんにコメント入れられないので「リブログ」を。

 

後半で農作業の記述が(なつかしー)。
ワタシも伯父の家で育てられたのが農家だったので、小5の時から耕うん機を扱っていました。
もちろん畦塗りも。田植えが終わってからは畦に豆を植えるんですよね。この作業が延々と続いて、もうトラウマ。
1.穴を開けて 2.豆を投げ入れて 3.もみ殻の灰をかける・・・・・・

 

まあ、米を収穫するまでに、どれだけの手間がかかることよ(八十八回だってば)。

Men At Work の Who Can It Be Now? もツボでした。

 

ヤスミンさんがんばれ。私は見ています(って迷惑か・・・・)。

 

画像使用許可頂きました

 

 

 

閃輝暗点

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10年ほど前、会社で突然目の、文字を読む領域でチカチカと虹色に光る「Uの字」状の小さい「ヒモ」の様な物が見え始めた。その近辺は文字が読めす、仕事は中断。だが時間と共にそれは拡大しながら下方へ移動。その後30分ほどで消滅した。

会社の診療所の嘱託医に聞いたところでも、望む回答は得られず「眼科へ行ってください」

 

それで眼科に行った結果、正常眼圧緑内障(NTG)が発覚し、以来目薬を差し続けている。詳細は その1 その2 参照

 

だがその後も目に現れるチカチカは一定の間隔で発生を続け、また左右どちらを閉じても状況は変わらなかった。その症状については、当時の眼科医に訴えても反応は鈍かった。

 

そこで数年前、ネットで「目 チカチカ ギザギザ」で検索したところ、これはと思うワードが「閃輝暗点(せんきあんてん)」。

脳の一部の興奮で起こり、偏頭痛の一症状として現れる事が多い様だ。
偏頭痛にはなった事がないが、毎回の様子を思い返してみると、それが発生している時には後頭部でモヤモヤした感覚がある。

 

芥川龍之介の「歯車」にも閃輝暗点らしき症状が記述されているとのこと。

 

頭痛を伴わない閃輝暗点は危険、との記述もあったため、3年ほど前に脳ドックも受けたが、とりあえずは大丈夫だった。
持病には事欠かないわが生活・・・

 

 

 

ゴースト・イン・ザ・シェル   2017年

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監督 ルパート・サンダース

 

キャスト
ミラ・キリアン少佐 / 草薙素子    スカーレット・ヨハンソン
バトー                   ピルー・アスベック
荒巻大輔                              ビートたけし
オウレイ博士                          ジュリエット・ビノシュ
クゼ                                    マイケル・ピット
トグサ                                  チン・ハン
ハイリ(少女の母親)                 桃井かおり
カッター                          ピーター・フェルディナンド
ダーリン博士              アナマリア・マリンカ

 

予告編

 


液体の中から持ち上げられる女性の体。ハンカ・ロボティクス社のアンドロイド製造現場。科学者たちの会話。脳以外を全て義体化した開発の初めての成功例。開発責任者のオウレイ博士。

 

一年後。
ビル屋上で待機するミラ・キリアン少佐。外国の要人と会食するハンカ社の科学者を監視中。
数名いた芸者ロボットが、科学者に酌をした時突然襲いかかる。少佐は荒巻部長の制止を振り切り、屋上からダイビングし、窓を破って侵入。敵を次々倒す。
科学者を殺した芸者ロボットを確保しようとした時、ロボットは「タスケテ」と命乞いをする振りをして攻撃を仕掛けるが、少佐が息の根を止める。その寸前に「ハンカ社と組んだら滅亡だ」と言い残すロボット。

 

自室で、処方を受けている薬剤を首の脊椎に注入する少佐。

 

公安9課に集結する少佐、バトー、トグサら。調査の結果、芸者ロボットは「クゼ」という者に操られていた事が判明。

ハンカ社社長のカッターは荒巻部長にクゼ探しを依頼。

少佐によって破壊された芸者ロボットは、データ吸い上げのため、ハンカ社に持ち込まれていた。同社のオウレイ博士から傷の手当てを受ける少佐。過去の記憶が思い出せずに悩む少佐を慰める博士。

 

 

芸者ロボットのデータ抽出に苦労しているダーリン博士。少佐の手荒な扱いのせいだった。芸者ロボットの電脳内にダイブして情報を得ようとする少佐。
脳内世界を彷徨い、クゼらしき者を見つける少佐だが、異常な負荷が掛かりケイレンを始めた。接続を強制切断するバトー。

 

ダイブで得た情報によりヤクザが経営するクラブに潜入する少佐とバトー。先に入った少佐は通信の届かない部屋に監禁された。
重火器でその部屋に押し入るバトー。建物の奥でクゼらしき男を見つけた少佐だが、仕掛けられた爆弾により少佐は倒れ、バトーは失明。
これによりバトーは義眼を装着。

 

少佐の行ったダイブを叱責した荒巻だが、カッターからの苦情は撥ねつけた。
ダーリン博士はクゼにより殺されていた。次のターゲットはオウレイ博士。

 

オウレ博士の乗った車に追突するゴミ収集車。そこに駆け付けた少佐とバトーにより辛くも助かるオウレイ博士。逃げた運転手を追い詰める少佐。
運転手はクゼから脳を操作されていた。運転手は最後にクゼのメッセージを残して自殺した。

 

運転手への指示の逆探知で、トグサがクゼの居所を特定。そこに向かう少佐とバトー。
そのアジトには、何十人もが脳を繋がれてネットワークを作っていた。その繋がった先にクゼが居た。

 

クゼが話す真相、ハンカ社は脳を除く全ての義体化を「プロジェクトNo.2571」として推進しており、ここに繋がれている者や、クゼ自身も実験体だった。クゼの次の実験体が少佐だった。
クゼは廃棄される前に意識体としてネットワーク上に退避し、独自進化を遂げた。

少佐の悩みでもある思い出せない記憶、小屋が燃えているシーンのフラッシュバックをクゼも持っていた。処方を受けている薬剤は記憶を抑制するものだから止めろと言うクゼ。

 

真相を聞くため、オウレイ博士を問い質す少佐。博士は、少佐が98体目で初めて成功した実験体だと告白。その時カッターが現れて少佐は捕らえられる。
真相を知った少佐を廃棄するようオウレイ博士に命令するカッター。博士は廃棄の手順の途中で、少佐に手がかりとなる情報を注入。
博士の手引きで少佐は脱出するが、それを知ったカッターは博士を射殺。
そして公安9課のメンバー全員に刺客を放つ。

 

皆と同様に襲われる荒巻。厳しい襲撃だったが数名の相手を倒す。「キツネを倒すのにウサギを送り込むな」

 

手がかりが示す住所を訪ねる少佐。そこにはハイリという女性が一人で住んでいた。レジスタンス活動をしていた娘が一年前に失踪したのだという。その彼女の名前は「草薙素子」。

 

手がかりの一環で隠れ家を探し出した少佐は、そこでクゼと再会。その建物は記憶にあり、探索するうちに全てを思い出した。かつて少佐もクゼも電脳化に反対するレジスタンス活動を行っており、この場所で襲撃を受けて殺され、実験体とされた。クゼの元の名はヒデオ、少佐は素子。二人は恋人同士だった。

 

そこにカッターが多足戦車を送り込む。逃げ回りながら応戦する少佐。
クゼが戦車のアームに頭を掴まれて動けなくなった。戦車の上部に飛び乗り、ハッチをこじ開けようとするが、強固でビクともしない。限界を超えて引き上げるうちに腕は千切れ飛んだ。それと同時にハッチが開き、制御パーツが破壊されてクゼへの拘束が解けた。

 

戦車の前で崩れ折れる少佐とクゼ。クゼは少佐に、電脳空間で融合してネットワーク上で生きて行こうと言うが、少佐はそれを断る。

カッターのオフィスへ向かう荒巻。カッターを始末するよう大統領からの許可も得ていた。カッターを追い詰め、最後に電脳通信で少佐に同意を求める荒巻。その同意を得てカッターを射殺する。

 

後日ハイリと共に素子の墓を訪れる少佐。そして彼女に、これからは墓参りは不要だ、と言ってその肩を抱き寄せる。

そして新しい任務に向かって行く少佐。

 

感想
アニメの実写化なんて観るもんじゃない・・・と思いながらもあの「攻殻」だがらなー、とノコノコ視聴に。まあ、確かに後悔した部分もあるが、そもそもアニメと全く一緒である必要はないし、その点で言えば「世界観」が受け入れられるか、という面では、さほど悪いとも言えない。

 

コマ割りとしてのエピソードは、1995年公開の「GHOST IN THE SHELL」を基本としつつ2004年公開の「イノセンス」のいいところをつまみ食いした感じ、か。

 

1995年版 超あらすじ
天才ハッカーの「人形使い」を巡る話。外務省が開発(プロジェクトNo.2501)した破壊工作用プログラムが独自進化して、ネット上を自由に動けるようになり、メガテクボディ社の義体を使って草薙少佐に接触。
事件後、少佐はネット空間にダイブ。

 

2004年版 超あらすじ
ガイノイド(少女型アンドロイド)が所有者を殺害する事件。その裏には義体メーカのロクス・クルス社が行っている犯罪。子供を誘拐し、洗脳してガイノイドにダビング。そのためクルス社のガイノイドは高評価だった。
敵中で危機になったバトーを助けるガイノイド。ネット空間からゴーストハックした草薙少佐だった。


設定として一番異なるのが、少佐誕生の秘密そのものが物語の中心になっている点。このため草薙素子という、アイデンティティーの塊みたいな力強さは、どうしても出て来ない。

 

ビートたけしの荒巻は、確かにもしあの頭にしたら笑うしかなかっただろう。しかし何と滑舌の悪いことよ。せっかく日本語で押し通したんだから、もう少しまともに喋って欲しかった。番宣でスカーレット・ヨハンソンにカンペ持たせたとか言ってたが、そんな事だからセリフ流れが悪い筈だ。
思った以上に荒巻の出演シーンが多かったのは、監督のたけしに対する敬意か。またたけしが銃を撃つと、ホント見事に「アウトレイジ」化してしまうのが笑えた(警察が、あんなにあっさり被疑者(カッター)を殺したらあかんだろう・・・)。

 

 

 

キャストを見るとイシカワ、サイトー、ボーマも出ていたようだが、記憶があるのはバトーとトグサのみ。バトーの設定は概ね良かったが、義眼以降は「為五郎」見ているようで、やっぱり実写にするとどうしてもオカシイという点は出て来る。

 

 

またトグサ役はシンガポール系の役者らしいが、チビで歳を食い過ぎて・・・それにストーリーにもほとんど絡まず、かなり不満が残る。

 

アニメ派としては突っ込みどころ満載。でもアニメで印象的だったシーンをとにかく頑張って実写化したという、監督自身のアニメに対するリスペクト感はハンパなく、その点ではよく頑張った。元々アニメの核だったバトーの、少佐に対す

る「想い」も良く描かれていた。

 

でも、やっぱアニメがええなあ。

 

 

新聞小説 「国宝」(3) 吉田 修一

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新聞小説 「国宝」 (3)   2/22(51)~3/18(75)

作:吉田 修一  画:東 芋
                                 (1) (2)

第三章 大阪初段 1~25

どしゃ降りの中、タクシーを降りて改札に向かって走る喜久雄とマツ。それを見送るために追う組員数名。
発車する寝台特急「さくら」。この慌ただしい出発の理由は、例の朝礼の一件。

 

 

あの朝、喜久雄のドスは宮地の大親分の腹には届いたが、財布のおかげで傷は浅いものだった。むしろ体育教師、尾崎の体当たりで肩を脱臼した喜久雄の方が重傷。
普通なら警察沙汰になるところを、尾崎が宮地を保健室まで連れ込み、治療の折りに、この話を美談として穏便に済ませる事を提案。吉良上野介を引き合いに出され、宮地がその話に乗った。
ほどなく宮地は朝礼の場に戻り、警察を呼べ!と暴れる喜久雄を前に演説を続けた。
ただし宮地が被害届を出さないための条件は「立花の息子を長崎から追い払うこと」。

 

列車がそろそろ博多に着こうとした時、徳次がバッグを持って現れた。驚く喜久雄。
話はあの朝に戻る。警察に徳次を捕まえさせようと電話をした喜久雄。だが徳次はそれを察して捕まる事はなかった。その後伝え聞いた喜久雄の刃傷沙汰。
徳次が向かった立花組では、喜久雄をどこかに預ける件の協議。ヤクザにはしないと言い張るマツに、組を仕切っている辻村が、あの襲撃の時にも来ていた、二代目花井半二郎の名前を出した。

 

大阪の駅に着き、改札を出ると「立花喜久雄君」という紙を持った男。早速タクシーに乗せられる。男は半二郎のところの番頭をしている多野源吉。
マツに仕込まれた挨拶を聞いた源吉は気さくに「源さんと呼んでくれ」と言って二人を中華そば屋に連れて行く。

 

廊下を歩く女中の足音に目を覚ます喜久雄。早朝の5時にここ、花井半二郎の家に着いたのだった。
源吉が「もう昼近いで」と言って布団を畳みに来た。
源吉は、洗面台で身繕いをした喜久雄と徳次を連れて、ここの女将、幸子に引き合わせる。半二郎の後妻で四十前の色気ざかり。
マツ仕込みの挨拶をする喜久雄に、お昼にしよかと気楽に返す幸子。

 

喜久雄たちが連れて来られたのが家族用の台所。そこでうどんをすすっている同じような年恰好の少年。花井半二郎の一人息子の大垣俊介。花井半弥の名で舞台にも出ている、喜久雄と同じ十五歳。
母親に子供扱いされて面白くない俊介。喜久雄たちを下働きと勘違いして丼の片付けを喜久雄に言いつけ、それを怒った徳次と揉めそうになる。
更に俊介は、稽古に行くから車を回せと源吉に命令。そんな事やった事もないくせに、と大笑いする幸子に面子を潰された俊介は、プイと玄関に向かう。

稽古と聞いて気になった喜久雄は幸子に聞いた。義太夫の稽古だという。聞かれるままに、母親から文楽を観せられていた事を話す喜久雄。
興味があるなら、俊介が行っている岩見のお師匠さんとこを覗かせてもらい、と話す幸子。

 

マツが愛甲の辻村に頼んだのが、とにかく大阪で高校に通わせて欲しい、という事。その旨を半二郎に伝えると、うちの倅と同い年だから倅が通う予定の天馬高校に通わせる、との段取りに。半二郎は、役者に学問は不要、という先代の方針に苦しんだ経験を持っていた。

 

昼食を終えて、俊介が稽古を受けている岩見に出掛ける喜久雄と徳次。
中から聞こえる張扇の音と共に聞こえる俊介の声。稽古をつけている岩見鶴太夫。古希を迎えたが生気が漲っている。

 

 

稽古の中休みで、見学していた二人が呼ばれた。幸子があらかじめ連絡を入れていた。
歌舞伎役者はまず義太夫と踊りを知ってなければ半人前にもなれないという。また、歌舞伎には文楽を歌舞伎にしただけのことがなければ意味がない、と鶴太夫は皆に話す。

ふいに鶴太夫が喜久雄に声を出せと指示。聞いていたものをそのまま真似る喜久雄。それに続けて徳次も。そうして唐突に稽古の続きが、喜久雄と徳次も含めて始まった。

 

鶴太夫が喜久雄たちを神聖な稽古場に引き上げたのには訳があった。数日前に訪れた半二郎は頼まれて男の子を預かる事になったが、俊介と一緒に稽古をつけて欲しいという。
俊介にはどうしても甘えがあって、ライバルが必要だという事。そしてもう一つ、その子が生来の役者の資質があるように思える、という事。
そんな事も知らず、喜久雄は義太夫節の虜になって行く。


感想
親の仇を討ち損ねた喜久雄が、あの花井半二郎の家に預けられるまでの話。
徳次の人生を考えて、敢えて警察に売ったのだが、勘のいい徳次はそれを切り抜け、大阪に行く喜久雄になおも付いて行く。この、何があってもゆるがないという徳次のキャラクターにも惹かれる。

 

喜久雄が歌舞伎役者としてのし上がって行くための、端緒というべき章であり、新たに加わった俊介との関係も楽しみになっている。

 

 


新聞小説 「国宝」 (4) 吉田 修一

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新聞小説 「国宝」(4) 吉田 修一    3/19(76)~4/13(100)

作:吉田 修一  画:束 芋
                           (1)   (2)   (3)

第四章 大阪二段目 1~25 
1965年(昭和40年)の大阪駅前。両手にバッグを下げた春江。弁天という名のチンピラに絡まれていると、そこに現れる徳次。
先に手を出した徳次と弁天のケンカが始まる。昼休みで多くの見物人が居たが、五分五分の力でなかなか決着がつかない。散って行く見物人。
大の字に倒れてゼーゼーと息をしている二人。

 

 

市電で春江を半二郎の家に案内する徳次。家に着くなり皆から声を掛けられる徳次は、すっかりこの家に溶け込んでいる。
徳次は稽古中の喜久雄を春江に見せるために、稽古場の襖を僅かに開ける。
半二郎に稽古を付けられている俊介と喜久雄。足の踏み出しが悪い、と喜久雄が太ももを掴まれて動かされる。二人とも青痣まで作っていた。

 

厳しい稽古に驚く春江に、しばらく終わらないから、と春江のために借りたアパートへ連れて行く徳次。
部屋はみすぼらしく、ため息をつく春江。長崎のマツからは毎月三万の仕送りがあったが、しつけに厳しい半二郎は自分の息子の俊介にも月百五十円の小遣いしか渡しておらず、当然喜久雄や徳次にも自由になる金がなかった。

 

稽古を終えた喜久雄がアパートにやって来ると、春江が飛びついた。稽古疲れでへたり込む喜久雄。春江は母親の紹介でミナミのスナックで働くという。

 

授業を終えて、自転車の二人乗りで駅に向かう喜久雄と俊介。駅で源さんが荷物を持って待っている。この月、京都南座の興業で半二郎が「土蜘」の僧の役を演じるため、半月の間二人に黒衣をさせるために呼ばれていた。
だが半二郎の目的は別にあり、この月に「隅田川」で演ずる希代の女形「六代目小野川万菊」の舞台をどうしても二人に見せたかった。
喜久雄が大阪に来てから一年あまり。喜久雄と俊介に女形の才能を見出す半二郎。

 

自転車で駅に向かう俊介は、荷台の喜久雄に「うちの部屋子になるん?」と聞いた。部屋子とは、子役の時から幹部俳優に預けられて全てを仕込まれる立場の事。見込みがあれば将来大きな役がつく可能性がある。
喜久雄を部屋子にしたい、という事は半二郎から長崎のマツに伝えられていた。その話を受けるかどうかの前に、まず我が子の顔を見なければ、と上阪したマツは、ここでの暮らしを喜々として話す喜久雄を見て安堵する。

 

興業が終わった京都の夜、お茶屋遊びをした喜久雄と俊介は、その店「井出」の市駒と富久春を待っていた。そこへ普段着に着替えた二人が。
境内で焚火がしたいという市駒の言葉で、枯れ葉を集めて火を囲む四人。俊介が富久春の手を引いて暗がりへ行き、キスを交わしている。
二人はもう長いんやろな?と話す喜久雄に、ポツポツと身の上話を始める市駒。
お茶屋遊びが初めてだったと言う喜久雄に、市駒が「うち、喜久雄さんにするわ」と言い自分の人生を賭けると言う。慌てる喜久雄だが、満更でもない。奥さんなどとは言わず、二号さんか三号さんに予約だと市駒。

 

京都南座の屋上でキャッチボールをしている喜久雄と俊介。半二郎がどうしても二人に見せたいという小野川万菊は、身内では遠州屋の小父さんと呼ばれている。挨拶をすると半二郎に言われていた二人は階下に降りた。半二郎に連れられて小野川万菊の楽屋へ挨拶に。
万菊が俊介に会うのは五年ぶり。半二郎は喜久雄も紹介した。俊介は、ちらっと向けられた万菊の視線にゾクッとするが、俊介には遠州屋の小父さんとしか見えていない。
挨拶を終えて去る時、万菊は喜久雄を呼び止めてきれいなお顔、と褒めたが、役者になるならその顔は邪魔も邪魔、いつかその顔に自分が食われる、と忠告。混乱する喜久雄。

 

 

半二郎の楽屋で昼食を済ませた喜久雄と俊介は、万菊の舞台を観るために、用意された席でその出番を待った。

出し物は「隅田川」。狂乱ものと言われるもので、我が子を人商人に攫われてもの狂いとなる、班女という女。
万菊演じる、班女の作り出す怪奇な世界に引き摺り込まれる喜久雄。「化け物」。あまりに強烈な体験に、心が拒絶反応を起こすが、次第にその化け物がもの悲しい女に見えて来る。
この日の小野川万菊の姿が、のちの二人の人生を大きく狂わせて行く。

 

アパートの炊事場で、店に出す煮物を作っている春江。小皿を貸してくれたおばさんとの会話。そこに飛び込んで来る徳次。店用の冷蔵庫が見つかったという。探し出したのはあの弁天。春江に惚れている、と徳次。
弁天とつるんでいる徳次を心配する春江。本来なら鑑別所から逃亡中の身の上なのだが、喜久雄のお供が決まってからは、愛甲会の辻村が動いて、その収容期間を短縮させた。
そんな逃げ得が身に着いた徳次は、手代の修行にも飽きて弁天と遊び歩いている始末。
冷蔵庫をトラックに載せて待っている弁天。何やら徳次と北海道行きの話などひそひそやっている。現場監督もどきの仕事で月四万のボロい話。

 

弁天と共に手配師から話を聞いた徳次は、喜久雄にこの話の次第を説明した。
北海道で勝負に出てみようと言う徳次に、急な話で声も出ない喜久雄。騙されているのでは?と心配する喜久雄に、もっと大きな事で坊ちゃんを助けたいと話す徳次。
字が書けるのも、計算が出来るのも、全部坊ちゃんが教えてくれたおかげやけん、と話す徳次。
「徳ちゃん・・・」それだけ言うのがやっとの喜久雄。止めたところでここに徳次の居場所がない事も事実。
心配いらんて、と言った徳次の笑顔を、本当に久しぶりに見たように思う喜久雄。

 


感想
最近、家事多忙でちょっとご無沙汰。

半二郎の厳しい稽古を、全く辛いとは思わずどんどんのめり込む喜久雄。半二郎が喜久雄と俊介に見出した女形の素質と、小野川万菊との出会い。

 

ずっと喜久雄を見守って来た徳次が、一旗あげようと北海道に行く。そんなうまい話があるわけないとは思うが、さてこの先どうなって行くのか。喜久雄から離れたサブストーリーにも興味がある。

 

 

 

NHK モーガン・フリーマン 時空を超えて「太陽のない世界 人類は生存可能か?」5/25放送

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太陽は、地球の受ける光をほぼ支えている。太陽なしで人類は生きられるのか?

 

ピーター・シュレイダー(天文学者)
太陽はあと50億年で水素を使い切り、次にはヘリウムによる反応に切り替わる。いずれ太陽は巨大化して水星、金星、そして地球も飲み込む。

 

グレッグ・ラフリン(天文学者)
地球を太陽から遠ざける方法。小惑星を地球に近づけて、スイングバイの原理で少しづつ太陽から遠ざける→重大なリスク。遠ざけるには数百万回行う必要があるが、コースを少しでも誤ると地球に衝突(元も子もない)。

 

クリス・マッケイ(天文界のインディ・ジョーンズ)
火星に温室効果ガスを定着させて移住する。パーフルオロカーボンを生成→100年で移住が可能になる。
ただし火星への移住は一時的な解決策。ヘリウムによる反応を経て太陽は最終的に白色矮星となる。

 

エド・モーゼス
水の核融合でエネルギーを創生→自ら太陽を作る。

他の星への輸送
小さなブラックホールを宇宙船に繋いで前進。

 

アンソニー・アギーレ
宇宙は繰り返し生まれるもの。インフレーションにより今も宇宙が生まれている。
新しい宇宙を作っても人類を運べない。
ワームホールを利用すれば可能→現在の地球文明はタイプ0.7の位置付けであり無理。
時空の構造の制御(負のエネルギーが必要)。


感想
例によって中途半端な技術番組。
太陽の寿命が有限である事、終末期には膨張する事などを捉えて、その方面の学者のアイデアを寄せ集める。
ただ、途中からブラックホール利用、ワームホールで人類を移送とか、だんだんと怪しくなって来る。

 

火星のテラフォーミングに関する論文(大学の卒論)
http://www.hino.meisei-u.ac.jp/phys/astrolab/stu/2012/Akiba.pdf

宇宙文明のタイプ
http://www.thedarars.com/archives/395

 

メッセージ (原題:Arrival) 2017年

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監督  ドゥニ・ヴィルヌーヴ

脚本  エリック・ハイセラー

原作  テッド・チャン 「あなたの人生の物語」

 

キャスト
ルイーズ・バンクス     エイミー・アダムス
イアン・ドネリー      ジェレミー・レナー
ウェバー大佐        フォレスト・ウィテカー
シェン上将         ツィ・マー

 

予告編

 


あらすじ
言語学者のルイーズ・バンクス。娘の記憶。彼女は病気で先立っていた。
大学の教室へ講義に行くが、生徒に「TVを見せて下さい」と言われる。
世界中の12箇所に出現した飛行物体(直立した楕円状:長さ450m)。世界中は大混乱に陥る。

 

休講となり自宅へ帰ったルイーズを、ウェーバー大佐が訪れ、彼女の言語学者の能力を使って異星人とのコンタクトを要請した。
半ば強引に、軍用ヘリでモンタナ州に出現した飛行物体調査の拠点基地に連れて行かれる。ヘリで同乗した物理学者のイアン・ドネリー。彼がこの調査チームのリーダー。サピア=ウォーフの仮説に関する考察(言語が知覚のあり方を形作る)。

 

 

その宇宙船は地表近くに浮いており、18時間に一回、最下部に開口部が現れる。
防護服を来てその穴に赴くルイーズ、イアンらの調査チーム。穴に入ると、途中で重力が反転し、開口の壁面に沿って歩けた。
最奥部まで行くと、そこには厚い透明な仕切りがあり、その奥から二体の異星人が現れた。7本の脚を持ったタコの様なイメージであり「ヘプタポッド」と名付けられた。
ルイーズは、彼らとは筆談が可能と判断し、次回コンタクトでボードに「HUMAN」と書いて自分を指さした。その領域の気体構成は地球のものと酷似しており、ルイーズは彼らに親愛の情を示すため、防護服を脱ぎ捨てた。

彼らからのメッセージとして触手から黒い液体が放出され、円環状の模様が出現した。
そのデータを持ち帰って分析に取り掛かるルイーズとイアン。二体の異星人にはそれぞれ「コステロ」「アボット」と命名。

 

 

その後も続くボードへの文字記載と手振り、それに返される円環文字。円環の各部に現れる微小突起の位置、長さ等が固有の意味を持ち、次第に解読が進められる。
ある時、透明な壁にルイーズが手を置くと、彼らも手を添えた。自分の娘のビジョンを瞬間的に感じるルイーズ。

 

言語の意味が概ね理解出来た状況で、ルイーズは彼らに「地球に来た目的は?」と尋ねると、その答えが「武器の提供」。この結果を知った軍部は宇宙人の攻撃が始まると思い込む。特に中国のシェン上将は宇宙船に対する攻撃の準備を始める。

 

武器という解釈ではなくツール、テクノロジーの意味かも知れないと考え、ルイーズとイアンは再度彼らとのコンタクトを取ろうと穴に入って行く。だがその直前に、軍隊内の狂信的な者がその中に爆弾を仕掛けていた。
彼らたちの反応がおかしく、透明な壁をドン、ドンと突いた。意味が判らないルイーズ。その直後に彼らから発せられた多数の円環メッセージ。いつものとは様子が違っていた。
その爆発の瞬間、ルイーズとイアンは穴の外に放り出された。

 

キャンプの医療班の中で目覚めるルイーズ。イアンも無事だった。軍が撤退を進める中、彼らが最後に放出したデータを見つめるうちに、突然自分が彼らの言語を解読した記念パーティーのイメージが頭の中に現れ、そのメッセージを瞬時に理解する事が出来た。武器の真の意味は「贈り物」。

 

一人で宇宙船に向かうルイーズ。宇宙船は例の爆破を受けて、地上から離れた所まで上がっていた。小型のポッドが宇宙船から出てルイーズの元に降り立った。それに乗って本体へ運ばれるルイーズ。
コステロと対面するルイーズ。アボットは例の爆発で負傷し、多分助からない。
危機的な状況で、協力の方法を尋ねるルイーズに、コステロはルイーズに未来を見通す力がある事を伝え、3000年後、我々が人間の助けが必要になるからここに来た、とも。

 

地上に戻されたルイーズ。異星人の目的は判ったものの、全世界で起ころうとしている攻撃、特に中国を止めなくてはならない。

 

そこで自分の未来を見るルイーズ。国際的な会合で中国の代表、シェン上将から核攻撃を思い留まったいきさつを聞かされる。上将の無き妻のダイイングメッセージをルイーズが直接電話で伝えた事で、彼女を信じ核攻撃を思い留まる事が出来た、と。
でも私は貴方の携帯番号を知らない、と言うルイーズに「ほら、今教えた」と番号を見せる上将。ハッと我に返りその番号をメモすると、撤退した者が残した携帯電話を見つけてシェン上将に電話。
軍内での探知システムで中国への電話が検知され、追い詰められるルイーズ。危ないところでイアンが体を張って時間稼ぎ。何とか上将と繋がり、攻撃中止へと向かった。

 

その全世界の動きを受けて、世界中の12体の宇宙船はかき消えるように消滅して行った。
危機は全て去り、イアンはルイーズにプロポーズする。娘を産み、その後イアンと別れ、結局娘も亡くす事が判っていて、その運命を受け入れるルイーズ。

 

 

感想
アクションらしいアクションはなく、地味な映画ではあったが、上質な手触りを感じた。

 

ヘリで向かう現地に行くまでの表現が秀逸。一本道に連なる車の列、それがどんどん膨らみ、野次馬の姿が見えたと思ったら、突然何も無くなった。軍による規制線の存在。そして前方、霧が這う向こうに出現する宇宙船。
自然も見事に取り込んで、このシーンはもう一度じっくり味わいたい。

 

7本脚のタコにはちょっとびっくり。ただ、特段の特徴もない地味さで、まあ許容範囲か。
言語を理解する事で未来が見通せる様になる、という概念がイマイチ理解し難いが、要は自分の子供が死ぬという個人的な体験が宇宙と直結しているという関連付けと、知った上でそれを受け入れる生き方。そういう資質があるから選ばれたのか。
何か「惑星ソラリス」を見た後に感じたものと共通するイメージが心に残った。

 

この監督、ブレードランナーの続編も手掛けているらしい。楽しみ。

 

 

スナックJUJU アリーナツアー2017  6/1開催(名古屋)

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アルバム「スナックJUJU」ダイジェスト

 

 

「ジュジュ苑スペシャル- スナックJUJU アリーナツアー 2017」 と銘打って現在コンサート活動中のJUJU。
一応、年1回はコンサートかミュージカルに行こうという「家庭内福利厚生」の一環として3月上旬にチケット購入。アリーナ席は取れずスタンド席だったが左側の下の方で、距離的にはかなりいい席。

 

さて当日。開場17:30に向けて、ほぼその時刻に日本ガイシホールに着いたが、地下の売店で軽くうどんを。
その後会場入り。全体にモヤがかかってあまりスッキリしない(理由は後で判明)。
開演の18:30になっても客がゾロゾロと入り続けて開演出来ない。一時間も前から開場してんだから時間守れよ!と言いたいところだが、会社休めない人はどうしても、やむを得ないか。

 

やや遅れてアナウンスが始まる。マスターの「山本」さんによるJUJUママの紹介。そしてJUJUママ登場。
黒いドレスの前がミニになっていて、歩くと脚がチラチラ見える。
ステージが明るくなるとモヤの印象は消え、スポットライトの光跡をハッキリさせるためのモヤだったと理解。

 

「ああ無情」「六本木心中」「飾りじゃないのよ涙は」の3曲を続けて歌った後にMC。自分が子供の頃は、よく親に連れられてスナックに行ったとか。
舞台の左右に大きなディスプレイがあって、JUJUのアップと曲の歌詞が出るので、カラオケスナックのノリで一緒に歌ってもオッケーとの事。
さすがMCはうまい。ただ、笑い声の下品さは地なのか演出なのか・・・

 

スナックと言えば昭和歌謡、という事で「シルエット・ロマンス」「二人でお酒を」。
そして景気良く「真夏の世の夢」。この時にステージ上にボワッ!と炎が出てびっくり。ガス量を厳密にコントロールして、途中で消滅する様にはなっているが、輻射熱が自分の頬にまで感じられ、やはり万一の事を考えた場合には避けるべき演出だろう。

 

歌が終わってから、松任谷由実についてのリスペクト。小さい頃から彼女の歌で育って来た。
次の曲は「影になって」。曲名が思い出せず、帰ってから歌詞の中の「ネガ」を見つけてこの曲と特定。

次は来生姉弟の「GOODBYE DAY」。これにはちょっとウルっと来た。次の「駅」にもけっこう動かされたが、この曲はパクりで作られたもの(詳しくはこちら)。

 

次いでMC。次は愛知県にゆかりのある人の歌を唄います、と言い「名古屋と言えば~?」と客席にマイクを向けると「手羽先~~」でずっこけ。そんなやりとりで次に出たのが「マツケン」。え?愛知出身だったっけと思ったが、後で調べ

たら豊橋市の出身。次回はマツケンサンバやりますわ、だって。

 

そんなこんなで愛知出身の歌手は「八神純子」。曲は「みずいろの雨」。ずいぶん久しぶりに聴いて新鮮だった。ちなみに昨日はあみんの「待つわ」だったとのこと。

 

続いて、スナックの定番といえば~?と再びマイクを客席に。そうしたらいきなり「デュエット~~」と正解が出てしまい、JUJU絶句。「すぐ終わっちゃうじゃん」とかぶつぶつ言いながらコーラスの女性とのかけあいでちょっと時間を稼ぎ、正解は「デュエットでーす」。
そしてお客さんと歌うと言って「唄いたい人~」と誘うと、挙手する人がちらほら。それらの人を立たせてジャンケン。

JUJUの出す手に負けたら座るという事。時間かかるからトイレタイムの人は行ってもいいよ、と言うと、思いのほか多くの人が動いてJUJUもびっくり。
10回足らずで最後の一人まで決まって、その女性を係員が確保し、いったんJUJUの持ち歌のメドレーに入る。

メドレーは「ラストシーン~この夜を止めてよ~ナツノハナ~やさしさで溢れるように」。

 

デュエット曲は「ロンリーチャップリン」。登場した女性は愛知から来た「みっちゃん」。だが話を聞いてみると「ロンリーチャップリン♪」という所しか歌えない。前代未聞ダ、とJUJUびっくり。彼女の言うには決戦で負けた人に他を唄ってほしいとか。そこで急きょその人をステージへ。少し大柄でメガネをかけた「みどり」さん(愛知)。
歌が始まると、このみどりさんがなかなかウマい。
そんなこんなでデュエットタイムが終了。

 

次は明菜の「DESIRE」。けっこうリキ入っていて、例の炎の演出も全開。
最後の曲としてはちあきなおみの「喝采」。

そしてJUJUママは深々とおじぎをして退場。バンドマンも退席。客席から拍手。

 

今までのコンサートの例だと、2~3分もすれば一定のリズムになって「アンコール!」の流れになって行く筈だったが、今日はいつまで経ってもその兆候は出ず、延々と普通の拍手が続いた。

 

5分以上拍手が続いてからマスターの声で「ママの出番は終わったのですが、JUJUさんが来てくれたようです」。

 

そしてレインボーカラーのミニワンピースを来たJUJUが登場。
メドレーで「PLAYBACK」「Believe believe」「What You Want 」

最後に演奏者たちの紹介を行って、皆をステージの前一列に並べ、手をつないで一斉におじぎ。
演奏者たちを去らせ、最後に残ったJUJUが少し話をしてからステージの左、中央、右に移動して手を振りステージ下手に去って行った。

 


感想
アリーナ席はほぼ満席、スタンド席も多分9割近くは埋まっており、さすがの集客力。
「スナックJUJU」という趣向はほぼ成功と言えるだろう。彼女自身、不遇の時代を経験しているからこそ、MCやっても堂々としていて、精神面の余裕がある。
その分リラックスしすぎてプロらしくない、ともいえる。ステージをスナックに見立てて楽しむという事と、プロの歌手の技を堪能するという事は、両立し難いということかも。

 

開演前にジャンジャン流されていた彼女の「Summertime」や「Take 5」などのJazzナンバーは一曲もやらず、やっぱ「昭和のスナック」でした。

 

 

セットリストまとめ

 

あゝ無情

六本木心中

飾りじゃないのよ涙は

シルエット・ロマンス

二人でお酒を

真夏の夜の夢

影になって

GOODBYE DAY

恋におちて

みずいろの雨

メドレー (ラストシーン~この夜を止めてよ~ナツノハナ~やさしさで溢れるように)

ロンリーチャップリン

DESIRE -情熱-

喝采


アンコール:

PLAYBACK

Believe believe

What You Want

 

 

 

新聞小説 「国宝」(5) 吉田 修一

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新聞小説 「国宝」(5) 吉田 修一    4/14(101)~5/9(125)

作:吉田 修一  画:束 芋
              (1) (2) (3) (4)

 

第五章 スタア誕生 1~25
二人道成寺の舞台準備をする俊介と喜久雄。俊介は花井半弥、喜久雄は花井東一郎の芸名をもらっている。
徳次が北海道に旅立ってから既に四年の歳月が経っており、喜久雄は結局半二郎の部屋子となっていた。

 

 

初舞台の記憶を鮮明に覚えている喜久雄。御曹司だった俊介の初舞台は四歳の時であり、この初舞台の恍惚感は自分だけのものだ、と素直に思う。

 

高校に入学した喜久雄だったが、通ううちにその背中の彫り物が問題となり、保護者の間から排斥運動が起こされた。稽古の量が増えるなら学校辞めてもええわ、とあっさり退学した喜久雄。

 

時は関西歌舞伎低迷の頃、俊介や喜久雄に役など回って来ない。そんな状況で半二郎が始めた地方巡業。それが今回の「二人道成寺」。場所は四国琴平の芝居小屋。
今回の巡業には立花組の辻村が援助していた。
源吉に促されて舞台に出て踊る二人。だが客席はガラガラ。当時の歌舞伎巡業は厳しいものだった。

 

楽屋で化粧を落としている喜久雄と俊介の前に現れた恰幅のいい男。半二郎があわてて「梅木社長」と声をかける。今回の歌舞伎を仕切っている興業会社「三友」の社長。二人の出来を見て満足している。
なんでも早稲田教授で劇作家の藤川先生が二人の道成寺を観て絶賛していたという。特に東一郎には芸品があると。
目を逸らした入り口に立っている若い男が冷笑しているのを見て、腹を立てた喜久雄が声をかける。それは梅木が連れて来た竹野。映画を担当したくて入社したのに、退屈な歌舞伎担当に回されてやる気をなくしているという。
梅木が、竹野が言っていた歌舞伎の悪口を面白く話して、嫌な空気が流れる。

その流れで梅木が、この道成寺を京都の南座でかけてみようと言い出した。話を続けながら部屋の外に出る半二郎と梅木。
その話を聞きつけて感極まる源吉。だがそこに冷ややかな視線の竹野。
竹野を楽屋から押し出そうとする喜久雄に、ただの世襲の世界、最後に悔しい思いをするのはお前だ、と言う竹野。
もともとヤクザの息子、女形の姿のままで竹野を蹴りつける喜久雄。まさに狂乱の二人道成寺。

 

西回りの地方巡業も中国、四国の各県を回り、その後九州に入って連日の移動。いよいよ博多での最終公演で終了となる。半二郎が喜久雄を呼び、次の三連休で里帰りしてはどうか、と持ち掛けた。
そうさせてもらいます、と言う喜久雄に、母親のマツから送られて来る仕送りはもう不要だという事を、今度の南座での事も含めて話して来いと指示。

 

実家に帰って来た喜久雄の姿を見て慌てるマツ。だがそこに「おマツさん、おマツさん」という声。玄関わきの女中部屋に押し込められる喜久雄。状況が次第に判って来た。
屋敷も抵当に取られ、そこの住み込み女中として働いているマツ。熱いものがこみ上げて来る喜久雄。

 

半二郎の稽古を受けている喜久雄。一段落してから半二郎に実家での様子を聞かれた。長崎でのつらい立場のマツを思い出して肩を落とす喜久雄に、半二郎が通帳を差し出す。二百万近い額が入っている。毎月マツが仕送りしていた金を全て貯金していたのだ。好きに使うたらええ、と言う半二郎。

 

京都南座の「二人道成寺」の初舞台。前評判ではまだ大舞台で芯を勤めるのは早いと言われていたが、例の劇作家の藤川がNHKの番組で「スタア誕生の瞬間を観たければ南座へ」と言った事から人気に火が付き、チケットが売れた。

 

南座での二人道成寺は予想以上の成功を収めた。グループサウンズを引きあいにした嫌味でさえ、そのファンだった女の子たちの目を東一郎、半弥に向けさせた。
どんどん注目を受ける二人。浮かれる俊介は毎夜祇園通い。だが喜久雄は早く一流になりたいという考え。そのちょっとした違いが、二人を大きく分けた。

 

京都南座での公演が終わると、梅木の一声で次の大阪中座での公演内容を変え、東一郎と半弥の二人道成寺を再びかける事となった。公演のポスター撮りに忙殺される喜久雄と俊介。

 

 

楽屋の途中にある、大部屋俳優がトンボを切る練習場。そこで「坊ちゃん!」という大きな声。徳次だった。上手いトンボに感心する喜久雄だが、上手すぎて自分だけ高く跳ぶから出番がないのだと言う。低く跳べばいいのだが、その調整が出来ない。それ下手ってことやで、と俊介が口を挟んで笑いが起こる。


感想
ひょんな事から急に注目を集め出した喜久雄と俊介。俊介は元々歌舞伎役者の息子という事で、幼い頃からの積み重ねがあるが、その慢心から遊び事も激しい。
一方喜久雄はすっかり歌舞伎に魅せられて、どっぷりと稽古に明け暮れる。この違いが先になって決定的な差となるのだろうか。

 

しかし前回で急に北海道に旅立った徳次が、五年の歳月を経て、また何事もなかったように二人とつるんでいるのがちょっと違和感。まあサイドストーリーだから端折ったという事か。

 

ローガン   2017年

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監督    ジェームズ・マンゴールド
脚本    マイケル・グリーン。

 

キャスト
ローガン(ウルヴァリン)       ヒュー・ジャックマン
チャールズ・エグゼビア    パトリック・スチュワート
ローラ(X-23)         ダフネ・キーン
ドナルド・ピアース       ボイド・ホルブルック
キャリバン           スティーヴン・マーチャント
ガブリエラ・ロペス      エリザベス・ロドリゲス
ザンダー・ライス博士     リチャード・E・グラント
ウィル・マンソン        エリク・ラ・サル
キャスリン・マンソン     エリゼ・ニール
ネイト・マンソン         クインシー・ホウス
X-24              ヒュー・ジャックマン

 

 

予告編 


2029年。新たなミュータントが生まれないまま25年が過ぎた。ローガンはリムジンタクシーのドライバーとして細々と暮らしており、ミュータントのキャリバンと共にチャールズを介護している。チャールズは認知症の様な身の上で、時々超能力の発作を起こす。最近は、ミュータントと交信したなどと言うが、ローガンらは信用しない。

 

街なかで女から声を掛けられるが怪しんで立ち去るローガン。それと前後してローガンの素性を知る男ピアースから協力を求められる。彼が残した名刺の会社名に「アルカリ・トランシジェン」の文字を見つけて愕然とするローガン。

先に声をかけて来た女、ガブリエラが尋ねて来て11歳の少女ローラをノースダコタ州のエデンまで送り届けて欲しいとローガンに頼む。報酬は二万ドルで、現地に着いたら更に三万ドル渡すという。
チャールズとは、いずれ船を買って安全に暮らそうと話しており、その話に乗るローガン。

 

改めてガブリエラを迎えに行くと、彼女は殺されており、残されたローラを連れて家に戻るローガン。そこに、後をつけて来たピアースとその一味から襲撃を受ける。とてつもない殺人能力を発揮するローラ。拳の先から二本の爪も出る。
ローラとチャールズを連れて辛くも脱出するローガン。

 

ガブリエラの残したスマホの情報で経緯を知るローガン。かつてローガンを改造した組織(アルカリ湖の研究所)では生活用の飲み水に特殊な薬液を混ぜて、人からミュータントが発生する能力を抹消していた。その上で幼い子供たちをミュータントに改造して人間兵器にする事業を運営。
ただ最新研究により、子供たちを使わなくてもミュータントを造り出す研究が確立され、子供たちは不要な存在となった。その研究所で働き、次々と殺される子供たちを見て、少しでも助け出そうと動いたガブリエラ。
子供たちが研究所で見ていたコミックスが「MARVEL」。だがガブリエラが届けて欲しいと言っていた住所は、そのコミックスで最後の楽園とされている「エデン」と全く同じもの。

 

街のホテルで一息つく三人。チャールズと映画「シェーン」を観ているローラ。だが次の車を手配しにチャールズとローラを残して出掛けたローガンは突然体を拘束される。周りを見ると全ての人の動きが止まっている。チャールズの仕業だと直感し、渾身の力で部屋まで戻るローガン。部屋ではチャールズをまさに撃とうとする敵の姿が十名以上。その者らを次々と刺す。最後の者を倒し、ローガンが鎮静剤を打ってチャールズの能力が切れた。一人だけ倒し損ねた者を倒したのはローラ。

 

逃避行の途中でトレーラーに乗せた馬が逃げ出して困っている家族を見つけ、チャールズの助言で助けるローガン。その感謝のしるしに家での夕食を誘うマンソン一家。作法も知らず手掴みで物を食べるローラ。
夕食後、立ち去ろうとするローガンらは泊まる事を勧められる。だがその晩水を止められ、主人のウィルはローガンを伴って給水場に向かう。町の有力者から嫌がらせを受けているという。バルブを戻したところでその連中がやって来る。ローガンの迫力で撃退。

 

その晩にキャリバンの持つミュータント探索の能力を使って、ピアースらがマンソン家を襲撃。その襲撃メンバーの中に、ローガンそっくりの男。博士がコントロールしている。X-24と呼ばれていた。ローガンを装ってチャールズを刺殺するX-24。

襲撃に気付き、急いでチャールズの許に行くローガン。銃で応戦するがすぐに倒されるウィル。
襲って来るX-24に全く歯が立たないローガン。
だが瀕死のウィルが銃を撃ったおかげで時間稼ぎが出来ローラ、チャールズを連れて脱出するローガン。

絶命したチャールズを湖畔まで運んで埋葬したローガン。車のエンストをきっかけに、度重なるストレスのため、気を失う。

 

病院で目覚めるローガン。ローラが近くに居た人に助けを求めて運び込んだ。ミュータントの事を知っている医師が、もっとしっかり手当てしたいと言うのを振り切って外に出るローガン。そこにはローラが調達した(盗んだ)クルマ。

礼を言うローガンに初めて口をきくローラ。ノースダコタの「エデン」に連れて行って欲しいと言う。だがそこはコミックスに書かれた架空の住所。だがそれでも言い続けるローラに根負け。

疲労の溜まったローガンは運転を続けられず、途中からローラが替わった。

 

その住所にようやく辿り着く二人。崖の上から手作りのバケットが降りて来て、子供らが皆でローガンの体を引き上げた。
十名近く居る子供らは皆研究所から逃げ出した者。リーダー格の少年の話では、翌日の朝、森を抜けてカナダへと逃げる計画。
同行を誘われるが断るローガン。

 

目覚めると、そこに居たのはローガンだけ。枕元にはリーダーが残したミュータントの体力回復のための薬剤が置いてあった。
だが近くを飛び回るドローンの姿を見つけて追っ手が来た事を知るローガンは、その薬剤を全て注射し、子供らを追った。

追い詰められた子供たちは、能力を使って応戦するが、次々と捕まる。追いついたローガンが加勢して子供らを助けるが、そこに現れるX-24とライス博士。ライス博士の父親は、ローガンが殺していた。
X-24とローガンとの壮絶な戦い。だが身体能力はX-24の方が数段上。木の枝に串刺しにされて動けないローガン。
ローラは、ローガンが自殺用に一発だけ持っていたアダマンチウム製の弾丸を銃に込めてX-24の頭を撃ち抜いた。絶命するX-24。

 

回復能力を超えたダメージを受けたローガンは、ローラの腕の中で息絶える。

ローガンを埋葬した子供たち。ローラは立ち去る前に十字架を抜いてXの形にした。

 

感想
X-MENのシリーズは比較的観ている。今回はヒュー・ジャックマンが最後の出演かも、という事で視聴に出掛けた。

 

老醜漂う、ズタボロのローガンが、車のタイヤ泥の数名を相手に戦うシーンから始まる本編は、これまたヨレヨレのプロフェッサーXことチャールズとの組み合わせで、侘しいことこの上ない。

 

ストーリーとしては、脚本がいかにも甘いが、まあ「MARVEL」シリーズだからこんなもんだろう。ただ、ミュータントの話なのに、その能力を廃絶した上で、研究開発により特殊能力を開発するという研究所の方向性そのものが、ちょっと「いかがなものか」的な。
しかし兵器開発の側面から行けば、基本的に理詰めでコントロール出来るものの方に価値を見出すという事で、開発した子供たちを抹殺するという思考は理解出来る。

途中で出て来た酪農夫婦の夫「ウィル」を演じたのは「ER(緊急救命室)」のベントンを演じていたエリク・ラ・サル。ERの出演メンバーは皆芸達者だが、ダグ役のジョージ・クルーニー以外は普通の映画で全く見ないのが不思議。


ローガンとローラの擬似親子体験は、それなりに感動を誘った。バンバンと平気で敵を殺すローラが、死にゆくローガンに涙を流すという対比。
ヒュー・ジャックマン最後の御奉公、という点で、まあ全て許せるか。

 

でもこのX-MENシリーズ、この先続けようと思ったら、このシナリオではあかんわな。

 

新聞小説 「国宝」 (6) 吉田 修一

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新聞小説 「国宝」  (6) 吉田 修一    5/10(126)~6/3(150)

 

作:吉田 修一  画:束 芋
              (1) (2) (3) (4) (5)

 

第六章  曽根崎の森の道行
大見得を切って弁天と共に北海道の旅立った徳次。実は出発からわずかひと月で大阪に舞い戻っていた。
徳次らが頼ったのは釜ヶ崎の手配師。北海道に楽な仕事がある、と騙されて未開地の道路掘削の現場に放り込まれた。
いくら抗議しても通る相手ではなく、給金も先延ばしで手元に来ない。

 

こんな所に長居は無用、と弁天と二人で逃げ出した。追っ手からは逃れたが、その日の昼飯代もない。だがそんな二人を助ける者がいた。農婦、トラック運転手等々。
青函連絡船の前では、戦後の引き揚げで世話になった事がある、と連絡船の切符を買ってくれた人までいた。

そうして人々の好意に助けられてなんとか大阪に辿り着いた徳次と弁天。だが半二郎宅には戻らず、悪徳手配師に何とか仕返しをしようと、労働福祉センターへ陳情に乗り込んだ。
そのセンターでたまたまドキュメンタリー映画の撮影中だったため、徳次らが興奮して陳情する姿は、そのままカメラに収められた。この監督の清田誠は、三友興業の映画部出身だった。
陳情自体は、北海道の現場でも前金が払われており、結局ムダ足。

 

清田が撮ったドキュメンタリー映画「青春の墓場」がTV放映になると、これが反響を呼び、次いで小劇場ながら全国数ケ所で上映された。特に大阪の映画館では連日の満席。
そんな事があり、清田が低予算の実験的な映画に徳次を主役で抜擢。驚くほどの芝居勘の良さで徳次は好演。この映画も注目を集めた。

徳次はその後順調に俳優への道が拓け、とは行かなかったが、その噂が喜久雄の耳にも入った。春江に尋ねると、口止めされていたが、大阪にはずっと前に戻っていたとの事。
早速喜久雄が会いに行き、半二郎の所へ連れ帰った。話の早い半二郎はさっそく「三友」に口を利き、徳次を大部屋俳優の一人として雇い入れてもらった。

 

ある日芸人横丁を訪れる喜久雄。そこには弁天と徳次が漫才師の沢田西洋を立たせようとしていた。彼の生まれて初めてのTV収録の日。弁天は縁あってこの西洋に弟子入りしていた。相方で妻の沢田花菱が二階から降りて来て、西洋に構わず先に出掛ける。あわてて立ち上がる西洋。

 

収録時刻の迫る中、電車で局まで向かう一行。喜久雄まで見学に。
若いディレクターにせかされて芸を始める西洋。調子が乗って来たが、TVの尺には収まらず、短くしろ、いやだめだの押し問答の末、西洋がキレて蝶ネクタイを毟り取った。だが弱い立場を思い出し、詫びを入れての再収録。

 

そんな時にスタジオ内が騒がしくなる。花井半二郎が交通事故にあったとの情報。あわてて公衆電話から家に電話を入れる喜久雄。 入院先の天馬総合病院にタクシーで乗り付けた喜久雄ら。源さんを見つけて様子を聞くと、命に別状はないが、両足骨折とのこと。
喜久雄がつぶやく「あ、来週、初日や」。大阪中座での公演。出し物は「曾根崎心中」で半二郎が主役のお初。

 

半二郎の骨折騒ぎの翌日。母親の帰りを待つ俊介と喜久雄。帰って来た幸子は、半二郎が泣いていたという。二歳で初舞台を踏んでから一度も舞台に穴をあけた事はなかった。俊介に心の準備をしておく様にと伝える幸子。
半二郎は二人に、予感があったと思えるほど、今回の「曾根崎心中」の稽古を毎日見せていた。大抜擢やな、と俊介に話す喜久雄。

その後三友の梅木社長から電話があり、出た幸子がその話を受けた。社長の言うには、半二郎の代役は喜久雄で行くとの事で、それを決めたのは半二郎自身だという。

 

旧い話の挿入。江戸時代、近松門左衛門が「曾根崎心中」を書き上げた頃、関西で人気を博した初代坂田藤十郎。自分が亡くなる時、シンボルの「紙子」を弟子に授けたという。彼が重きを置いたのは世襲ではなく実力。

 

幸子、俊介、喜久雄の三人で病院まで行き、幸子が質問攻めをした後、半二郎が「決めたことや」と言った事で全てが決まった。
真っ先に部屋を出た俊介を追う喜久雄。突然俊介が「泥棒と一緒や」と言って喜久雄の胸倉を掴む。だがそれはポーズ。実の息子より部屋子の方が上手い、と言うのがあの花井半二郎なら仕方がない。代役が勤まるよう助ける、と俊介。

 

 

舞台稽古まであと三日。喜久雄は半二郎の病室に通い詰めて指導を受ける。容赦なく喜久雄を締め上げる半二郎。醤油問屋の手代、徳兵衛と愛し合う遊女お初の悲恋物語。
世間では喜久雄を抜擢した事で、隠し子ではないかとの噂まで立ち、それでチケットがはけて行くのも確かだった。

 

三日間はあっという間に過ぎ、座頭の徳兵衛役、生田庄左衛門による舞台稽古が始まった。庄左衛門の厳しさは有名で、以前グループサウンズを引きあいにして揶揄したのも彼だった。
稽古は二場面目まで滞りなく過ぎ、そこで庄左衛門が休憩を入れた。喜久雄に声を掛け、初役の割りには良く入っている、との褒め言葉。ただ、今回もらえる拍手は子役がもらうそれと同じもの。二度目はない、と。

 

袖から稽古を見ていた俊介の前で、弟子たちが容赦のない物言い。二人道成寺でも東一郎の方が華がある、この際丹波屋の若旦那がどっかに行ってくれたら話が早い、とまで。

 

こうして始まった大阪中座での公演。昼の部では俊介との「二人道成寺」。称賛を受けるのは喜久雄ばかり。必死で演じる俊介には容赦ない野次が飛ぶ。また夜の部では「曾根崎心中」のお初を徳兵衛役の庄左衛門と演じる喜久雄。
極限状態を続けて二十一日間。終わってみれば劇評は絶賛、東一郎が表紙を飾った週刊誌まで発売され、東一郎ブームとなった。

 

千秋楽の夜、三友の梅木社長の御馳走を受けた帰り「無事に終わって良かったな」と喜久雄をねぎらう俊介。

 

翌朝、喜久雄が俊介を起こしに部屋へ行くが、姿が見えない。枕元には置手紙「父上様 探さないで下さい 俊介」。
俊介はこのまま行方不明となり、数年が流れた。俊介の出奔でもう一つ判ったこと。その日に春江も姿を消していた。当時春江は北新地でも有名なクラブの雇われマダムとなっており、喜久雄は俊介を連れて何度か訪れていたが、二人の仲を全く疑った事がなかった。

 

 


感想
徳次の北海道での顛末と、その後の大部屋俳優との接点が語られる。本当に調子の良さが際立つ男だが、喜久雄に対する想いが変わらないところは好感が持てる。

 

半二郎が事故に遭ったことで露見した俊介と喜久雄の問題。いくら血縁者でも精進しなければ跡目を継ぐことは出来ない。
この問題は会社の経営にも言えること。創業者が自分の子供に後を継がせる事で会社が弱体化して行く。タカタの倒産しかり。

 

それにしても意外だったのは春江。喜久雄について行くと言っていたのが、俊介と一緒に出奔。これからどうなる、俊介。


ただ、ここに来て作者の、読者におもねる様な表現に少し違和感。敬体での表現は別にいいのだが、途中で度々挟まれる「読者の皆様」と言ってしたり顔に説明するくだり。三人称ならそれに徹して作者としての姿は見たくない。これは後に単行本にする場合にも見直さないと「ウザい」小説となるだろう。
また各章がぴったり25回で終わっているのも、いかにも新聞小説然として、これまた「ウザい」。まるで「天声人語」が文字数に支配されて、毎日本末転倒な苦労をしているのを彷彿とさせる。

 

更に言えば挿絵の作者。最初はその独創的な表現に感嘆したが、こう毎回やられては「お前、人の顔が描けないのかよ」とでも言いたくなってしまう。

 

ああ、いけない。映画評みたいに辛口が出てしまった・・・・・

 

 


ジャージー・ボーイズ 2014年

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監督      クリント・イーストウッド
脚本      ジョン・ローガン

 

キャスト
フランキー・ヴァリ          ジョン・ロイド・ヤング
ボブ・ゴーディオ           エリック・バーゲン
ニック・マッシ             マイケル・ロメンダ
トミー・デヴィート          ヴィンセント・ピアッツァ
ジップ・デカルロ           クリストファー・ウォーケン
メアリー・デルガド          レネー・マリーノ
メアリー・リナルディ         キャサリン・ナルドゥッチ
フランキーの父            ルー・ヴォープ
フランシーヌ・ヴァリ(17歳時)   フレイヤ・ティングレイ
フランシーヌ・ヴァリ(7歳時)    エリザベス・ハンター
フランシーヌ・ヴァリ(4歳時)    グレース・ケリー

 


予告編

 

ニュージャージーの貧しい街ベルヴィル。床屋の息子フランキーが初めての客の顔に剃刀を当てている。相手は地元マフィアのボス「ジップ」。

トミーが急に入って来て、それに驚いたフランキーがジップの顔を傷付けるが、何とかやり過ごす。
トミーは金庫を盗もうとするような不良。

 

最初はトミーと弟ニッキー、フランキーとニックの4人で始めた「ヴァラエティ・トリオ」というグループ。
だが追っかけの女の子がらみで強盗未遂としてフランキー、トミー、ニッキーの三人が警察に捕まる。トミーは更生施設で実刑。

トミーが出所して4人での音楽活動再開。グループ名は「フォー・ラヴァーズ」。

 

フランキーはその時期に知り合ったメアリー・デルガドと結婚。

弟のニッキーが脱退した後、トミーは友人ジョー・ペシの紹介で作曲・キーボード担当のボブを加入させる。

フランキーのファルセット・ボイスに惚れ込むボブ。
だがその当時(1960年)は知名度も低くデモテープを送る毎日。

 

ある日ボウリング場で曲を演奏しようとするが追い出される。その店の名が「フォー・シーズンズ」。

ボブの作曲した「シェリー」がヒットし、1962年シングル・チャートの一位に。次々とヒット曲を連発して行く。
POPグループ「フォー・シーズンズ」として全米ツアーを駆け回るフランキーに、妻のメアリーは不貞を疑う。
7歳の娘、フランシーヌに最後の別れの言葉を告げて家を出るフランキー。

 

エド・サリヴァン・ショーに出演する寸前に、高利貸しのノーマンが舞台裏を訪れて、トミーに多額(15万ドル)の債務があると言う。
側面からグループを支援していたジップが間に入って解決策を考えるが、ニックは更にグループからの金も50万ドル以上横領していた。
メンバーのニックは、トミーとの10年間の同室で彼の悪い面をさんざん見ており、グループを脱退。
フランキーは、そんなトミーにも「自分を拾ってくれた」と言って債務を全て引き受けると宣言。グループはフランキーとボブだけになり、フランキーはソロ活動で借金を返して行く。

 

返済のためもあり、フランキーはミュージシャン達を雇って「フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ」としてツアーを回り、ボブは裏方に回った。

フランキーに元妻のメアリーから連絡。娘のフランシーヌが家出してニューヨークに居るという。探し出して17歳のフランシーヌを諭すフランキー。歌手になるという目標を与えて更生に導く。

 

その二年後、借金返済がやっと終わった頃のフランキーに電話、フランシーヌの死を告げるものだった。悲しみにくれて歌う気力も消えたフランキーに、ボブが彼のための曲を持って来た。

初めは手が付かなかったが、楽譜を見るうちに次第に気持ちが入り、ボブに電話を入れるフランキー。
そうして生まれた「君の瞳に恋してる」は1967年全米ヒット・チャートの二位となる。

 

時は流れて1990年。フォー・シーズンズがロック殿堂入りとなり、その表彰式で再会する4人。確執のあったフランキーとトミーの握手、そしてハグ。


感想
7/10のBSプレミアムをたまたま観たもの。気付くのが遅くて最初の一時間は見損ない、不足分はネット情報で補完。

最初、ミュージカルとして上演されていたものをクリント・イーストウッドが映画にしたらしい。

 

元々フランキー・ヴァリ(と4 seasons)の曲はノリが良くてそこそこ聴いていたので、音楽とのマッチングが本当に心地よかった。
音楽を巡る確執、挫折。娘との死別を乗り越えて歌われた名曲。まあ出来過ぎの感があるが、キーマンのトミーが実際に語る内容を読むと、借金に関する部分はほぼ事実だって(びっくり)。
中でもマフィアボスのクリストファー・ウォーケンが良かった。「ディア・ハンター」の頃のキレまくりの演技から年月を経て、本当にいい顔になっている。


トミー・デヴィートのインタビュー

 


やっぱ彼の歌が聴きたいよね


Can't Take My Eyes off You

 

Sherry

 

Who Loves You

 

My Eyes Adored You

 

OUR DAY WILL COME

 

WALK AWAY RENEE


Elise を探したけど、ネットで見つからない・・・・不思議ダ。いい曲なのに。
アルバムの中には入っています)

 

 

 

 

マイケル・ジャクソン THIS IS IT 2009年

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監督 ケニー・オルテガ

 

 

2009年6月25日に急死したマイケル・ジャクソン。本当ならその翌月からロンドンで50公演に亘るコンサート「This Is It」を開始する筈だった。
この映画はその公演に関連するドキュメンタリーであり、マイケルが死ぬ前日までのリハーサル風景を主体に構成されている。

 

2年ほど前に録画して、ずっと気になっていたが観ずじまいで今まで来てしまった。良く立ち寄るサイトで、マイケルの命日の事が記事になっており、急に思いついて視聴。


ダンサーも含めたスタッフたちは皆オーディションで集められたが、全ての者が喜々としてマイケルの素晴らしさをたたえ、一緒に仕事が出来るなら、それだけで幸せと言い切る。

 

多くの映像は、リハーサルも終盤に近いものだろう。衣装は普段着だが完成度は高い。中でもマイケルの歌とダンスは手抜きがなく、確かに彼の死後、この映像は映画としてのクォリティを備えている、と判断した者の感性は優れている。

 

マイケルがこのコンサートツアーで一番やりたかったのは、地球環境を破壊から救い出すためのムーヴメント作り。4年あればそれが出来る、とも言っていた。

 

彼の死が、この地球にとって大きな損失だった事は明白。
そして今、アメリカはパリ協定(地球温暖化防止)からも抜けようとしている。

この録画は、やっぱ消せないな・・・・

 

 

ネットで拾った「This Is It」

 

This Is It (Official Video)

Billie Jean

Wanna Be Startin'

Smooth Criminal

They dont care about us

Human Nature

Jackson 5

 

 

Muse細胞による腎臓修復のニュース

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6/12に、報道ステーションを見ていたら、ミューズ(Muse)細胞を静脈から点滴で入れる事により、慢性腎不全のマウスの腎臓組織が修復されたという→ココ
慢性腎臓病患者にとってはとてつもない大ニュース。

 

そんなわけで「ミューズ細胞 腎臓」でネット検索→ココ

東北大による研究とのこと。手術なんかではなく、手軽な点滴でやれるというのが魅力。
まずは心筋梗塞患者への治験が始まるとの事で、腎臓の方に手が回るのはまだまだ先のようだが、久々にいいニュースを見た。

 

ちょっとお勉強

腎糸球体とボーマン嚢

 

 

パイレーツ・オブ・カリビアン シリーズ  2003~2011年

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今年シリーズ最終作が公開されたので、ちょっとおさらいの意味でこれまでのシリーズを紹介。

 

1.パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち  2003年

監督  ゴア・ヴァービンスキー

 

キャスト
ジャック・スパロウ      ジョニー・デップ
ウィル・ターナー       オーランド・ブルーム
エリザベス・スワン      キーラ・ナイトレイ
ウェザビー・スワン      ジョナサン・プライス
ジェームズ・ノリントン    ジャック・ダヴェンポート
ヘクター・バルボッサ     ジェフリー・ラッシュ
ジョシャミー・ギブス     ケヴィン・マクナリー

 

 

予告編

 

あらすじ
スワン提督の娘エリザベス。幼い頃、海で少年ウィル・ターナーに助けてもらった記憶と、その時もらったメダル。ウィルは鍛冶屋の息子。
バルボッサ船長率いる海賊ブラックパール号が町を襲い、エリザベスを誘拐する。彼らは不死の呪いをかけられており、それを解くカギが例のメダル(アステカの金貨)。エリザベスは召使いを装う。

 

牢に入っていたジャックを助け出してエリザベス救出に向かうウィル。

呪いとは、かつて盗まれたアステカの金貨。最後の一枚を元あった石棺に戻す事で解けるが、そこに海賊最後の生き残りビル・ターナーの血を受け継ぐ者、ウィルの血が必要だった。

一方、ジャックは元々ブラックパール号の船長だったのが、10年前バルボッサに船を奪われ、孤島に置き去りにされた過去を持っていた。ウィルに協力したのはその復讐のため。

バルボッサたちとウィル、ジャックらの戦い。最後にウィルが自分の手をナイフで切り付け、その血を金貨にかけて棺に納める。呪いが解けてバルボッサたちは絶命。

 

事件解決後、絞首刑にされかけるジャックだが、ウィルの機転で逃げ出し、ブラックパール号の船長として去っていく。


感想
シリーズ第1作。ジョニー・デップをメジャーにのし上げた記念すべき作品だが、却ってそれがイメージを固定させる事にもなった。

 

 


2.パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 2006年

監督  ゴア・ヴァービンスキー

 

キャスト
ジャック・スパロウ      ジョニー・デップ
ウィル・ターナー       オーランド・ブルーム
エリザベス・スワン      キーラ・ナイトレイ
デイヴィ・ジョーンズ     ビル・ナイ
ビル・ターナー        ステラン・スカルスガルド
ジェームズ・ノリントン    ジャック・ダヴェンポート
ウェザビー・スワン      ジョナサン・プライス
ジョシャミー・ギブス     ケヴィン・マクナリー
ティア・ダルマ        ナオミ・ハリス
カトラー・ベケット      トム・ホランダー
ヘクター・バルボッサ     ジェフリー・ラッシュ

 

 

予告編

 

あらすじ
結婚式を控えたウィルとエリザベスだったが、ジャックを逃がした罪で投獄されるウィル。東インド会社のベケット卿が、ジャックの持つ「望むものの方向を指すコンパス」を持ってくれば許すという。

ベケット卿は、それによって海賊デイヴィ・ジョーンズの心臓が入った箱を手に入れようとしていた。目的は海賊の根絶やし。
デイヴィ・ジョーンズはかつて海の神カリプソへの愛の証しから、自分の心臓をえぐり出して箱に入れていた。

 

ジャックを探し出して事情を説明するウィルに、ジャックはコンパスを渡す代わりにその心臓が入った小箱を開ける鍵探しを手伝う事を依頼する。
ジャックは13年前、ブラックパール号の船長になる代わりに、ジョーンズに魂を売り渡す契約を結んでいた。期限が来るとジョーンズの船「フライング・ダッチマン」号で100年間の奴隷生活。その期限が迫っている。契約の無効化にはジョーンズの心臓が必要。

 

手がかりを求めて予言者ティアを訪ねるジャックとターナー。ジョーンズは小箱をどこかに隠し、その鍵は肌身離さず身につけているという。心臓を手に入れた時、陸に由来するものが必要という事で、ティアが土入りの瓶を手渡す。

フライング・ダッチマン号に潜入するウィルだが、あえなく捕まる。奴隷生活の中で父親ビルに逢うウィル。鎖に繋がれた悲惨な姿。
絶好の機会を見つけてジョーンズから鍵を盗み出すウィル。

 

ジャックは小箱の隠し場所であるルーセル島に向かっていた。箱をめぐっての争奪戦。
ジャックが箱を手に入れ、鍵を使って心臓を取り出すと、ティアからもらった土入りの瓶に移し替えた。だがエリザベスの父が決めた婚約者のノリントンが裏切り、瓶から心臓を奪う。
ジャックは知らずに瓶を持って逃げるが、巨大タコのクラーケンに船ごと飲み込まれる。

 

ノリントンが帰国して心臓を渡した相手はベケット卿だった。
ジャックを助けようと予言者ティアを訪れるブラックパール号のクルーたちだが、そこで見たのは、死んだ筈のバルボッサ。


感想
ジョーンズの、あのタコの足みたいな髭がウニョウニョ動くのが印象深い。
シリーズものの悪い癖で、この回は単なる「前編」。結論先送りのイヤな終わり方。

 

 

3.パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド  2007年

監督 ゴア・ヴァービンスキー

 

キャスト
ジャック・スパロウ      ジョニー・デップ
ウィル・ターナー       オーランド・ブルーム
エリザベス・スワン      キーラ・ナイトレイ
ヘクター・バルボッサ     ジェフリー・ラッシュ
サオ・フェン         チョウ・ユンファ
デイヴィ・ジョーンズ     ビル・ナイ
ジェームズ・ノリントン    ジャック・ダヴェンポート
ビル・ターナー        ステラン・スカルスガルド
カトラー・ベケット      トム・ホランダー
ウェザビー・スワン      ジョナサン・プライス
ティア・ダルマ        ナオミ・ハリス

 


予告編

 

あらすじ
戒厳令下のポート・ロイヤル。海賊関連の者は次々と処刑される。海賊長たちによる評議会開催の触れ。
巨大タコのクラーケンに飲み込まれたジャックは、デイヴィ・ジョーンズの墓場に送り込まれて苦しんでいた。

 

預言者ティアと契約して復活したバルボッサ。ブラックパール号クルーと共にジャックを救出するため「世界の果てへの地図」を「伝説の海賊」の一人サオ・フェンから入手して、そこに向かった。

一行は船を失いながらも世界の果てまで辿り着いてジャックと再会し、この墓場から帰還する方法を教える。元の世界に帰還するものの、サオ・フェンの裏切りに遭う。

元の世界ではノリントンがフライング・ダッチマン号を指揮。心臓を握られたジョーンズは言いなり。制海権を支配しつつあるベケット卿。

 

評議会を目指す者たち。バルボッサ、ウィル、ベケット、そしてサオ・フェンが命を落とし、遺言によって海賊となったエリザベス。
難破島で行われる、伝説の海賊たちによる評議会。海賊王を決める投票。皆自分に票を入れるため、決まらないのが常だが、ジャックがエリザベスに投票した事で、エリザベスが海賊王となった。

 

ベケット卿率いる大船団とブラックパール号、フライング・ダッチマン号との決戦。戦いの中でジョーンズは自分のフライング・ダッチマン号を取り戻す。
心臓の争奪戦の末、ジャックがジョーンズの心臓を剣で刺す。だがその一方ジョーンズはウィルを突き刺した。海に落ちたジョーンズは海の中のカリプソに取り込まれ、ウィルはフライング・ダッチマン号と共に沈んだ。

軍艦エンデヴァー号に乗るベケット卿は、残ったブラックパール号に総攻撃をかける。その時海からフライング・ダッチマン号が姿を現す。加勢に来たかと喜ぶベケットだったが、船長として現れたのはウィル。ジョーンズの代わりに心臓を取り出されたウィルが次期船長として君臨していた。

 

ブラックパール号とフライング・ダッチマン号による総攻撃でベケットはあえない最期を遂げる。

夕日に佇むウィルとエリザベス。呪いを受け継いだウィルが再び陸に上がれるのが10年後。
一方ジャックは生命の水を求めて出航して行った。


感想
ちょっと話が複雑で、イマイチ乗り切れなかった。ただ、フライング・ダッチマンはあのガトー・バルビエリのアルバムを出しているレーベル名だしウィルの親父、ビルのあだ名「ブーツストラップ(靴紐)」は、オーディオアンプのブートストラップ回路を思い出したりして、自分的にはちょっと気になる映画ではあった。

 

 

 

4.パイレーツ・オブ・カリビアン/命の泉  2011年 

監督  ロブ・マーシャル

 

キャスト
ジャック・スパロウ         ジョニー・デップ
ヘクター・バルボッサ        ジェフリー・ラッシュ
アンジェリカ            ペネロペ・クルス
黒ひげ(エドワード・ティーチ)   イアン・マクシェーン
ジョシャミー・ギブス        ケヴィン・マクナリー
フィリップ・スウィフト       サム・クラフリン
シレーナ              アストリッド・ベルジュ=フリスベ 人魚
セオドア・グローヴス        グレッグ・エリス

 

 

予告編

 

あらすじ
イギリスのロンドン。ジャックと間違えられて裁判にかけられた右腕のギブスを助けるジャックだが、結局英海軍に拘束される。イギリス、スペインとも国家として命の泉のありかを追っていた。
そこにジョージ二世に忠誠を誓うバルボッサが。辛くも逃げ出すジャックは、自分の名前を騙って船員を集めている男を突き止めるが、それは元恋人のアンジェリカ。彼女は最恐の海賊「黒ひげ」の娘として黒ひげに同行していた。下働きとして船に乗せられるジャック。

 

一方ジャックが持っていた命の泉への地図を持ったギブスは、英海軍に捕まった時、場所は頭に叩き込んだと言ってその地図を燃やしてしまう。案内役をやらされるギブス。

命の泉を求めて進む中で、永遠の命を得るための手順が明らかになって行く。聖杯2つと人魚の涙。

 

人魚が住む地域で一人の人魚を生け捕りにして連れて行く黒ひげ一行。一方聖杯はスペイン海軍が押さえていた。成り行きからバルボッサと共に聖杯を奪うジャック。
宣教師を使って人魚のシレーナから涙を回収した黒ひげ。

 

いよいよ命の泉に辿り着き、儀式のための準備を始めるが、スペイン軍はこれらを邪悪なものとして破壊し始める。争いの中でアンジェリカが毒塗りの剣で受傷し、命の危険が迫る中、ジャックは黒ひげとアンジェリカに聖水の入った聖杯を渡す。一方には人魚の涙が入っており、こちらを飲んだ者が永遠の命を得て、他方が命を奪われる。
涙入りはアンジェリカの方だと言うと、黒ひげがそちらを奪って飲み干す。黒ひげを助けるために残った杯を飲み干すアンジェリカ。
だが黒ひげの方が絶叫とともに消滅してしまう。


感想
ペネロペは、まあ良くも悪くもペネロペ。映画の色を決めてしまう。だがアンジェリカが本当に父親のために死のうと思っていた事は、この映画のなかでの救い。
命の泉といいながら、要するに二人居るうちの一方の命を奪って他方に与えるだけの話。国を賭けて奪い合うにはちょっとショボい。

 

 

さて、今年の「最後の海賊」を観る前のおさらい、と思ってまとめたが、何か「お腹いっぱい」てな感じ。

 

観に行くかどうかはビミョー。

 

ライフ   2017年

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例によってネタバレですが、そろそろ関係者の記事アップも一巡した頃ですので、ご容赦下さい。

 

監督  ダニエル・エスピノーサ

脚本  レット・リース

 

キャスト
デビッド       - ジェイク・ギレンホール: 医師
ミランダ       - レベッカ・ファーガソン: 検疫官
ローリー      - ライアン・レイノルズ: 航空エンジニア
ショウ       - 真田広之: システム・エンジニア
ヒュー      - アリヨン・バカレ: 宇宙生物学者
エカテリーナ   - オルガ・ディホヴィチナヤ:司令官

 


予告編

 

あらすじ
ISS(国際宇宙ステーション)のクルー6人。彼らのミッションは火星探査機の回収とその中にある火星の生物の確認。

 

生物学者のヒューが凍結状態の細胞を通常環境に戻し、手順を踏んで育てて行く。この情報は地上にも知らされ、公募によりその生物は「カルビン」と名付けられた。

 

カルビンがヒトデ状の手の平ほどの大きさになった時、ヒューのミスで培養器の気圧環境が変化し、カルビンが動かなくなった。生物としての防御反応と推定。

電気ショックを与える事を提案し、実行するヒュー。だがその時、カルビンが突然ヒューの左手(培養器の手袋を介した)に巻き付き、その骨を砕く。ラボは隔離されていたが、ローリーがヒューを助けるためにドアを開けて救い出す。だがその時、カルビンが培養器内の電気ショック用プローブを短く破壊して手袋を破り、ラボ内に飛び出す。逃げ遅れたローリーを残してドアが閉まる。ローリーは火炎放射器で駆除しようとするが効果なく。結局カルビンに口から侵入されて絶命。
その時の火炎でラボ内のスプリンクラーが作動。散水開口部から逃げ出されるのにクルーが気付き、次々と閉めて行くが間に合わずカルビンはラボ外に出る。

 

地球に状況を伝えようとするが、通信機器が故障しており、修理には船外へ出る必要がある。

エカテリーナがその任務にあたるが、その機器の場所へ行き、フタを開けると冷却剤がカラになっていた。カルビンが水分を求めて取り込んだとの推定。
その時穴からカルビンが飛び出してエカテリーナに取り付く。エカテリーナはカルビンが再び船内に入らないようフタを閉める。船内のクルーが指示を出してエカテリーナを船内に引き込もうとするが、彼女は自分を犠牲にする。

だがカルビンは入り口を求めて各所のロケット噴射口に向かい、結局再び船内に侵入。ロケット噴射でカルビンを殺そうと操作するうちにISSは静止軌道から逸れて落下を始める。

 

途中、ISSを軌道上に上げるためのドッキング船が接岸するが、結局破壊され、ショウも犠牲者となった。

最後に残されたデビッドとミランダ。デビッドの提案は、2台残っている救命艇の一つに誰かがカルビンを道連れにして乗り、地球外へ行き、残りの一台でもう一人が地球に戻るというもの。前者を自分がやるという。

酸素トーチでカルビンをおびき寄せながら救命艇まで辿り着いたデビッドはエンジンに点火し、カルビンの攻撃を受けながらも離脱軌道へ。
同時にミランダももう一方に乗って発進。2艇が交差しながら反対方向へ。

 

地球に向かった救命艇は大気圏突入後、パラシュートが開き着水。そこへ漁師がやって来て救命艇を見つけ、ドアを開けようとする。その窓にはカルビンに襲われているデビッドの姿が。

開けるな!という声は届かない。そして開かれる扉。


感想
密閉空間でのパニックSF。
船内の無重力表現は秀逸。球状のプヨプヨした水を飲むシーンはちょっとくどいけど・・・・
各クルーの性格、人物背景等、丁寧に描かれており、その点では好感が持てる。

 

栄養を与えられて次第に大きくなって行くカルビンは本当に愛らしく、ヒューが感情移入してしまうのは当然のこと。
それが一転してヒューの指を砕き、その後折ったプローブを上手に使って培養器から脱出するシーンはなかなかの見もの。

 

だだ、宇宙空間でも死なないというのは無敵すぎて気力が萎える。でもラストシーンでもっと気力が萎えるんだけど。

 

救命艇で、一方は宇宙のかなた、他方は地球へ、という話になった辺りで「もしかして・・・・」とは思ったけど、バッドエンドの演出がいかにも・・・・・
ジェイクにこんなクサい芝居させて(かわいそう)。
もう少し何とかならなかったものか。

 

 

 

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