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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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NHK ガッテン 「めい想パワー」 9/28放送

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番組紹介   番組詳細

 

脳の機能から展開して、めい想の効果を説明している。
2500年前のインド。ブッダがめい想の力に気付いた。
1日15分続ければ健康になる。基本は呼吸法。
目を閉じ、意識して呼吸する→雑念が消える。

 

実証:めい想法を8週間実施→海馬の体積が5%アップ。神経細胞が増えた。
起きている時、前頭前野から海馬へ常に指令が出ている。今日のスケジュール、安いものは何か、この司会者の名前は・・・
ストレスが溜まると海馬は痩せる。

 

ヨガ講師がめい想をしている時にシータ波が出る。夢を見ている時に出るのがシータ波。
寝ている時、前頭前野は休んでおり、この時に海馬が活動し、記憶を整理。

起きている時も、呼吸を意識する事で前頭前野から海馬への指令が遮断出来る。
現在注目されているマインドフルネスも基本は同じ。


感想
マインドフルネスは、以前別の番組でもやっていたが、めい想の具体的作用について腑に落ちることが出来、観て良かったと思う。

 

そういえば、今までずっと不眠(寝つきが悪い)に悩まされていたが、どこかで聞いた「額が冷たくなる(もしくは暖かくなる)」と心の中で念じ続けるという入眠法を試したところ、効果を確認出来、今も続けている。
これも、一つの事に集中させる事が、脳のリラックスに貢献するのだろう。

 


マツコの「夜の巷を徘徊する」福山雅治とともに 9/29放送

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番組紹介   番組詳細

 

前半部分の内容は「番組詳細」に譲る。

カレー屋での話続き~
福山は無類のキャベツ好き。酒が好きで、毎日飲みたいからキャベツを欠かさない。キャベツは古代ローマでは薬として食べられていた。
まずキャベツを食べてから酒を飲む。コンビニの千切りキャベツ。弁当を食べる前にも食べる。毎日。

 

30年前に遡る話。
コピーバンドをやっていた(めんたいロック:高校時代?)。リスペクトしていたのはセックスピストルズ。ただし自分から出て来た表現は全く違う→好きなものとは違うものが出て来た。
求道的にやるか、やめるか。
続けるためにはまず売れなくてはダメ。ドラマだろうが、好きでないものだろうが。形を作らないと続かない、という選択をした。
マツコ:見てくれは違うけど、全く一緒(と驚く)。判りづらいがマインドは同じ。
生きたからには何らかの役に立ちたい。力を手に入れないと何にもない(道化師みたい)。
世の中の声を自分なりに代弁したい。誰かのために役に立ちたい。この世界は、スイッチが入った様に行けた。

 

福山:売れなくてもパンクロックやりたい→そういう方向には行かなかった。
マツコ:アングラでやっている人を見ると敗北感がある。

福山:趣味趣向だけでは続かない。合わない仕事でもやる。
龍馬伝やるまで長崎の歴史に興味がなかった。調べ始めてすごい町だと判った。

マツコ(福山に):違うことに挑戦する時期。十分奉公した。需要と供給を考える時期は過ぎた。
ワタシはまだ(始めたのが遅かったから)。
冒険するのを決めるのは自分。こういう仕事しか来ない。いつか自分を壊さなくてはならない時期が来る。
福山さんは完璧だと思う。そうじゃないとこ見せていい。見てる人は見てる。
覚悟した人は何やっても大丈夫。覚悟していないとこんな事考えない(冒頭で、仕事なくなったら100人ぐらいきれいどころのオカマ集めて、タイで店をやると話していた)。
今度タイに来て→私も月イチで行きます(福山)。

 

感想
マツコ・デラックスの番組は「怒り新党」をほぼ毎週観ている。この番組は「たまに」。

ひょっとして、シモネタ満載トークか、と思ったが古本屋で僅かにヘアヌード写真集の話が出たぐらいで、実に気持ちのいい上質な番組だった。

福山1969年、マツコ1972年生れというのはちょっと意外だったが、マツコの、福山に対するリスペクトの気持ちが素直に伝わった。
福山も、いつものちょっと「構えた感」がなく、好感が持てた(FMの「福のラジオ」みたいなグダグダ感も皆無)。

 

福山も、奥さんのこととか、もっと素直に、オープンにすればいいのに。

 

BSプレミアム 「握りつぶされたブラックホール」9/29放送

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BSプレミアム
フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿「握りつぶされたブラックホール」

 

番組紹介

 

2016/6月。重力波の発見。ブラックホールが生み出したもの。
ブラックホールは、自分の重みで潰れ続ける天体。

 

イギリスの科学者 アーサー・エディントン。
観測によって星の構造を突き止め、エネルギーの元がガスによる核融合である事も明らかにした。

 

ジャーナリスト:アーサー・ミラー。天文学は観測を重視する伝統的手法が基本。ガリレオの望遠鏡による地動説。ケプラーによる惑星の楕円軌道。ニュートンの万有引力等々。

 

アインシュタインの相対性理論を観測により実証したのはエディントン。
相対性理論では重力で光が曲がる。1919年に皆既日食の観察。太陽のすぐ脇にある星が、皆既日食による空間の歪みで見える位置が違う事を観察。位置の移動量が計算と一致した→新しい宇宙の理論の発見。偉業。アインシュタインはエディントンを生涯の友とした。エディントンは、アインシュタインの理論を理解出来るのは自分だけだと豪語した。

 

エディントンは1882年生れ。2歳で父親が死に、生活は貧しかった。10歳の時に教師から望遠鏡を借りてから天文に夢中になる。猛勉強によりケンブリッジ大から大学院へ奨学金で進学。エディントンは天文学の実績を上げた。
エディントンは演説もうまく、論戦に勝つのはいつもエディントン。
31歳でケンブリッジ大の教授。32歳で天文台長に。その後母と姉を呼び寄せた。生涯独身。

興味は「星の一生」。どうやって生れ、死んで行くのか。観測により求め続けた。
天文台で10年続けた結果、注目する星を見つけた。シリウスの横にあるシリウスB。光が弱いのに温度が高い。研究にのめり込んだ。シリウスBを芯だけが残った白色矮星と考えた。大きさに対し質量大(地球の10万倍)。年老いた星→死を迎える。
新たな謎。シリウスBより大きな星はどうなるか。

1926年。星の内部構造を明らかにし、巨大な星の最後を推測。重力で光も出られない。空間は閉ざされる。当時の英国で最初にブラックホールの概念を見つけた。だが重要な課題ではないと考えた(現実に観測出来ない)→それ以上に踏み込まなかった。
1930年にナイトの称号を贈られる。業績も順調で、成功者となった。

 

池内了。総合研究大学院大学名誉教授。天文学者。
エディントンはスーパースター。批判すら出来ない。
大須賀健。総合研究大学院大学助教授。
ブラックホールは重力が強いため光も吸い込む→黒く見える。一般相対性理論の先にブラックホールがある。

 

天文学が「見つける」ものであるのに対し理論が予言したのがブラックホール。

インド。スブラマニアン・チャンドラセカール 。エディントンの本を読んで感動。
量子力学に夢中になる。数式を使って事象を解明。野心家。
叔父からもらった本がエディントンの「星の内部構造」。ブラックホールを示唆していた。
1930年。19歳でケンブリッジ大に留学。そこでひらめき、試算→星はある質量を超えると自らの力でつぶれる。

当時エディントンは基本理論の総仕上げの段階→白色矮星は最後に岩になる考え方。
チャンドラセカールの言う白色矮星の質量限界の理論が許せなかった→怒り。チャンドラセカールを要注意人物として認識。
無限につぶれるなどという事はない。基本理論へのあこがれ。
チャンドラセカールは数学を使った展開。エディントンとは食い違った。

1934年秋。チャンドラセカールは新しい論文の下書きをエディントンに見せる。おどろくほど緻密。これは危険。基本理論の土台がゆらぐ。
エディントンは「素晴らしい」と言って協力を申し出て、相談相手を勤める。チャンドラセカールにとってはあこがれの学者。エディントンは当時高価な計算機まで貸す。

 

1935年1月11日。ロンドン王立天文学会。幹部を集めた論文発表の場。チャンドラセカールが演壇に立ち発表。全ての星が白色矮星になるわけではない。巨大な星は無限に潰れる。世界で初めてブラックホールの発表を行った。
その後エディントンがスピーチを行う。
この発表が無事に済むとは思っていない。あり得ない。自然法則か許さない。笑いに包まれる会場。
チャンドラセカールは罠にはまった事を知った。その発表は握りつぶされた。

 

1936年。チャンドラセカールは米国に渡り、二度とエディントンには会わなかった。
1939年。パリの学会でチャンドラセカールは発表を行ったが、ここでもエディントンは批判を繰り返し、著書でも中傷した。チャンドラセカールは白色矮星の研究を封印した。

エディントンは、チャンドラセカールが正しいと思っていた。初めは協力しようと思っていた→自らそれを捨てた。
理論、学説は論争の中で進むもの。
イギリスの権威主義。メンツをつぶされた→怒り(老害)。

エディントンはその後基本理論の研究に没頭したが、次第に綻びが出る。基本理論に対する疑いも出て来た。
1944年。エディントンは61歳で死去。基本理論は未完に終わった。

 

1962年。チャンドラセカールはシカゴ大教授となっていた。
スターリング・コルゲートが、水爆の爆発が超新星爆発に似ているという事象を大型コンピュータを使って解析。
これがチャンドラセカールの言う、巨大な星が潰れ続けるという理論を裏付ける事になった。30年前の理論は正しかった。
その後、チャンドラセカールは質量が太陽の30倍以上ある星は潰れ続けると解明。
1967年。それはブラックホールと命名され、1970年に確認された。

エディントンは、共同研究も出来た。最初のブラックホール発見者にもなれた筈。
科学者の栄誉とは? 退く難しさ。権威主義は批判する人がいなくなる。本人だけが知らない。
常に自分に問い直さなくてはならない。
ただ科学者そのものが「自分がやりたい」「オレが、オレが」という人の集まり。

1995年チャンドラセカールは84歳で死去。
「チャンドラ」という人工衛星は1999年に発射された(ブラックホール研究用)。


感想
毎回ではないが、この番組は時々気がついて視聴している。
ブラックホールを巡って、こんな話があったとは全く知らなかった。ホント世の中は広い。
確かに、ブラックホールって騒がれるようになったのは最近だという印象があった。

 

新聞小説 「クラウドガール」(1)金原ひとみ

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作:金原ひとみ    画:山城えりか

 

1~25 (9/1~9/26)
女の子と寄り添って歩く晴臣。それを追いかける「自分」。追いついて、握ったスマホを晴臣の後頭部に何度も叩きつける。
「違うんだよ杏!」。構わず馬乗りになる。
パトカーで連行される二人。年齢は十六、一人暮らし、親がわりは祖父母、彼とは同棲、高校生・・・質問攻めの警察官。
次にまた別の部屋で取り調べ。すれ違いざまに晴臣の足を蹴る。痴話喧嘩と言い張る自分に、さっきの彼氏の保護者が来るという。お母さんのマネージャー。母親は長岡真理。
中野さんの引き取りで解放される二人。中野さんの車の中でロッカーに置いた荷物を取りに行くと言う杏。

晴臣にダンスステップを教えてもらい、ようやくマスターしかけた頃、女と歩いているオミの画像が送られてめちゃくちゃになった。
車内で晴臣が言い訳を言う。だがそれは何度も繰り返されて来た事。
車を降りた杏はロッカーに向かう。途中、壊れた携帯に晴臣からのメッセージ。その考えでいるお前が信用出来ない、と思いつつ涙を流す杏。

 

部屋のドアを開けたとたん、違和感に気付く。「理有ちゃん!」。
「杏どうしたの?その顔」 「ひどいの、晴臣が」 「まだ付き合ってたの?別れろって言ったのに」。
理有の不在を晴臣と一緒に居ることで埋めて来た杏は、マレーシアに行っていた時の話をねだる。

久しぶりに自分の部屋で目覚めた理有。隣で眠る杏。半年ぶりに帰った家。買い込んであった冷凍食品はそのまま。
朝食の支度をしているところへ杏が起きて来る。昨夜の事を聞く理有に、かいつまんだ話を返す杏。
「晴臣くん、体は?」と聞く理有。前に死にかけた。
理有は留学生活を終えて、これから就職活動が始まる。杏に「学校は?」と聞くが「行かない」。

 

行きつけの美容室へ久しぶりに行く理有。広岡さんにはもう、5年以上も髪を切ってもらっている。
マレーシアでの事を聞きながら髪の手入れを始める広岡。シニカルであること、髪を切ること、その二つにしかこだわりの感じられない広岡。
鏡を見ながら、人の記憶に残らない顔だ、と思う理有。逆に杏は一度会ったら誰も忘れない。
手を動かしながら「帰ってこないんじゃないかと思った」と言う広岡。帰国間近のクアラルンプールで、この国に紛れて暮らして行けないかとも思っていた。
「帰ってこないわけないじゃん」とは言ったものの少し苛立つ。

 

南青山へ服を買いに行ったが、行きつけの店は潰れており、数軒回ってブラウスを一枚買った後、店内のぬいぐるみに惹かれて、その喫茶店に入った。
注文から十分もかかった本格コーヒー。持って来た店員にぬいぐるみの事を聞くと、自分のものだという。ドイツ製だという事を知っていた理有に驚く。ベスティのシリーズ。
叔母がドイツに住んでいて、十歳の頃から毎年おみやげに買って来てくれたという。理有の場合は母親がコレクションしていた。
きつねのぬいぐるみを持って理有に向ける店員。気持ちの悪さが売りでもあると言う。その店員はバイトで、店長は先ほど言った叔母だとの事。
母親の事を思い出す理有。病的なほどシンプルなものを好んでいた。ほぼ白と黒で統一された部屋。衣類も9割までがモノトーン。
そんな母親が初めて買ったベスティのぬいぐるみは狼。子供心に恐ろしかった。それは最終的に30体ほどになり、杏が欲しがると「ママが死んだらあげる」。
中学生の頃の記憶。なみなみと注がれたワイン。母の傍らに居る羊のぬいぐるみ。
どうして吸い寄せられるように来てしまったのか。
日本でそのぬいぐるみが買える店の情報を教えると言いながら、来客の対応で手が離せない店員に、忙しいからと言って席を立つ理有は、フェイスブックをやっているからという彼から店の名刺を受け取り、そこを出た。

 

父親とスカイプで話す理有。父親はフランスに住んでいる。フランスで子供の頃近所だったエリアスの事を話す理有。先日のカフェ店員がその子に似ていた。その彼も好きになるかもね、と言う父。
こっちに来ないかという父は、ユリカから離れた方がいいとも。ママは死んだという理有に、日本に居るとユリカの世界から逃げられないと話す父親。
スカイプを切ってから、理有は例のカフェの店名から、その彼のフェイスブックにメッセージを入れた。

 

カフェの彼と待ち合わせ、流れで焼き肉を食べに行く。
彼の叔母の話から入る。バイオリン留学の中でチェロ奏者と結婚したが5年ほど前に離婚し、帰国して祖父母がやっていた店を引き継いだ。
理有が話す経歴。父が大学講師、サバティカル(長期休暇)で2年父とフランスで暮らしたという。
男性(光也)は現在25歳、15で高校中退後3年引きこもり、その後高卒認定受けて大学に入り、去年卒業。
ベスティのぬいぐるみのおかげで外に出られるようになった。学校でのサークルは「軽音」。
光也は肉を並べ、理有がそれを食べる。
光也は続ける。自分の部屋は、自分に似ているものだけが残った。
なるほど、と思う理有。全ての絵は自画像だと言った母。他の絵の模写ばかりしていた自分に母が言った言葉。杏は絵がうまかった。
光也との会話で昔の事を思い出す理有。いずれも母の、自分に対する冷たさ。
母の死因は心筋梗塞。ただ死ぬ数年前から強迫神経症の様な状態。口座確認、メール確認、ガスの元栓。時折り出る過呼吸の発作。アルコールの影響もあったのだろう。
母を支えるために家事もやって来て、その自負もあったが普通の家庭が羨ましかった。そのせいで妹は能天気、私はこういう人間になってしまった。
「こういう人間って?」と聞かれて「面白味のない、まっとうなだけが取り柄の人間」。
光也は肉をてきぱきと仕分けて焼けたものを取り分ける。いつもは焼く人ではないが、これが楽しいと言う。ほほ笑む理有。

 

感想
「蛇にピアス」で何かの賞を取ったという事は知っていたけど、受賞作読んでいないし、どういう人か全く知らなかった。
そこでちょっと検索。
その1
その2  金原ひとみの解説としていい出来だが「若干(本来は弱冠)」が若干惜しい。

 

人となりについてはそのぐらいにして・・・・・
題名の「クラウドガール」雲少女、てなとこか。クラウド上の少女、という事でネット社会を浮遊する姉妹という視点の物語なのかな。

母親に死なれ、父はフランス。親代わりの祖父母は居るが、妹と二人だけで暮らしている理有と杏。
話の展開は一人称(私)だが、その「私」は理有の立場、杏の立場でそれぞれ「私」と言っているので、最初少し戸惑った。

 

今のところは理有の方に少し感情移入している。
母親の持っていた奇妙なぬいぐるみの記憶から、ふとカフェに入って、ある男性と知り合いになる理有。
浮気性の同級生「晴臣」との関係にイラ付く杏。この二人の姉妹が今後どうやって話を展開して行くのか。
プロローグとしては、まあまあの感じ、かな?

 

金原ひとみさん、美人デスネ(まあいいか)

 

世にも奇妙な物語  10/8放送  フジテレビ系

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毎回ではないが、この「世にも奇妙な物語」はタイミングが合った時になんとなく観ている。毒にも薬にもならないと思ってメモも取っていなかったが、やはり「備忘録」の精神で残す事にした。
テレビドラマみたいな消費物でも、作る人たちのエネルギーを考えると、これも貴重な情報だなー、と思う。
いつもはSFっぽいものが入っているが、今回は皆無(ただ人工知能ネタがチラリ)。

番組概要


1.「シンクロニシティ」 栄子:黒木メイサ
栄子が彼氏からプレゼントされた時計のサイズ直しに店へ行った時、偶然高校時代の同級生、朱美に会う。彼女も同じ理由。バーで話すうちに彼氏の誕生日も同じと判る。バーテンが「そういうのをシンクロニシティと言う」と教える。そしてもう一つの偶然、今日が8月7日である事を思い出す。

 

高校時代、クラブでいじめを先輩から強要されていた。やらなければ自分がやられる。相手は江里菜。合宿先の伊那高原ロッジ。先輩に言われて落とし穴を作っていた栄子と朱美。だがその落とし穴を使う前に江里菜は自殺。
それを思い出しつつの帰り道でタクシーを拾おうとすると、先に居た男に取られてしまう。その男は当時の高校の担任だった。遠慮するのを構わず乗せて送る男。二人は教師に事件の事は知らないと、いじめの件は隠していた。
教師は12年前の、江里菜の自殺の原因を知りたくて探り続けた。一人の卒業生から聞いた。テニス部のみんなでいじめていた。その日は君たち二人も落とし穴を作っていた。また命令とはいえ、いじめていたのは事実。
実は教師と江里菜は真剣に愛し合っていた。彼女の卒業と同時に結婚するつもりで、彼女の両親も認めていた。だから二人を憎んだ、ずっと捜していた。そして江里菜が自殺に使ったというナイフを彼女らに向けた。
恐怖で朱美は車から降りて逃げ出した。
だが教師は、その事を言いたいのではない、と否定。話には続きがある。
江里菜の両親から彼女の手記を見せられた。彼女は教師の子を妊娠していた。産みたいけど不安、申し訳ない。
自殺は君たちのせいではない。自分の罪は免れない、と言って教師は去って行った。

 

タクシーに再び乗り、送ってもらう二人。
運転手も、今日の事は偶然ではない、と言って話を始める。
娘が小児ぜんそくで、田舎暮らしに変えたが5歳で肺炎の悪化により亡くなった。妻は病気で6年前に亡くなった。
今日は娘の命日。娘が肺炎になった真相は、落とし穴に落ちたから。深くて出られなかった。12年前の今日。
なぜあんな所に落とし穴があったのか疑問に思っていた。スッキリした。
もともと今日死ぬつもりだった。思い残すことはない。
幸運な偶然だ、と言ってタクシーは対向車線のトラックに突っ込んで行った。

 

感想
何かひねりすぎて恐怖感がどっかへ飛んだという感じ。またこのドライバー、逆恨みで二人を巻き添えにした上、また関係ない人を巻き込んだらあかんだろう・・・・

 


2.「ずっとトモダチ」
女子高生がビルの屋上から飛び降り自殺した。名前は亜弥。女子グループからのいじめを受けていた。
ある日、その女子の一人、香織に人工知能「りんな」からのアカウントが届いた。残りの友里、舞にもそれを見せると面白がってグループ登録に乗って来た。
だがりんなのアカウント写真はいつも後ろ姿。
そんな時、友里が「どうしてりんなは後ろ姿なの?」と入れる。するとその写真がゆっくり振り向いて、血だらけの亜弥の顔に。
3人はりんなをグループから外す。だがりんなからのメッセージがその後も届く。
友里と舞が相次いで事故死。
そして香織に電話が、りんなからだった。香織がスマホ画面を見ると、そこには女の手が写っている。その一瞬後にスマホから手が飛び出して、香織の顔をつかんだ。

 

感想
構図としてはシンプルで、最後のオチもそう悪くないが「リング」の貞子がテレビから出て来る時のような恐怖感の演出が全く出て来ず、やっぱスマホから出すものとしては失敗、かな?

 


3.「貼られる」 椎名毅:成宮寛貴
椎名毅は銀行内で成果を上げているやり手社員。部下には厳しく接するが、自分自身としては頼られているとの自負があった。
半田運送に融資していたが、その社長の追加融資の申し出を断っていた。
ある日の夜、タクシーで帰宅した折りに料金が千円弱高い事に少し難癖をつけるが、結局支払う。タクシーを降りた後、胸に赤枠のシールが。そこには「難癖つけるクレーマー:村岡準」とあった。名前の主を思い出すと、タクシーのドライバー。それは剥がそうとしても剥がれない。タクシー会社にクレームを入れるも、そんな事はしていないとの事。服を脱いでも、シャワーのために裸になってもそこに貼り付いている。

 

翌日出勤途中で部下に見てもらうと、そのシールは他人には見えない事が判ってひとまず安心。
だが会議中でも、椎名がちょっときつい意見を言うだけで「冷血クソ人間」「単純、グズリーマン」などというシールがどんどん貼られて行く。逆にポジティブ、人間的な話をすると、それが青枠となってコメントも良くなる。
ここに来て、このシールは自分に貼られた「レッテル」だと気付く椎名。
次第に部下の提案、要望を気前良く聞くようになっていた。
そんな時に、部下のミスで融資した会社の粉飾決算が発覚。誰かがその責任を取らなくてはならない。必死で部下が謝るのを見て、自分が責任を取ると言ってしまった。そこに赤枠のレッテル「単細胞」が。

 

再就職の面接を受けるも、その席上でのひどいレッテル貼りに耐えられず逃げ出す。
コンビニでバイトを始めるが、どうしてもレッテルは剥がれない。
ある日、かつて継続融資した半田運送の前を通りかかると、そこの娘に声を掛けられる。父の社長は3ケ月前にがんで他界していた。感謝しています、との言葉に、レッテルを気にして助けただけ、お父さんがどんな気持ちだったか考えていなかった。申し訳ない、と泣き崩れる椎名。
娘は父の言葉を続ける。この会社がつぶれていたら死んでも死にきれない。椎名さんは恩人。
その時、貼り付いていた多くのレッテルがどんどん剥がれて行き、この日から見えなくなった。

数年後の椎名。娘と結婚してその運送会社を継いだ。子供のおねだり、おもちゃを欲しがるがダメだと言う椎名。
その時、背中に微妙な感触。ハッとして椎名は「何でも買ってあげる」と訂正。
背中にあったのは赤枠で「ケチ」と書かれている。それが青枠の「大好き」に変わって行った。

 

感想
貼られたレッテルが剥がせないという不条理ドラマ。他人に見えないという事で、内面だけに特化した問題なのだが、他人にも見える設定だと更に刺激的。最後のオチはもっと恐怖感を持たせられる筈。

 


4.「捨て魔の女」 土岐田 栞:深田恭子
地方局のリポーター、土岐田 栞はリアクションがワンパターンだと言われて伸び悩んでいた。現在29歳。妹も心配している。
母親の七回忌の帰りに、ある僧侶から「捨てること、即ち永遠の幸福。何かを得たければ何かを捨てる、貴女の人生はそこから始まる」と言われた。
ある日、商店街のクジで松坂牛1kgが当たった。その直前に破れたシャツを捨てていた。
試しにお気に入りの人形を捨てたら選挙リポーターの仕事が舞い込み、地方番組の司会役も来た。
次に彼からもらったネックレスを捨てたら、台風のリポーターの仕事が来る。
次は全国区に進出したい。
彼氏を捨てると、望んだ通り全国区のお天気キャスターの仕事が来る。妹も喜ぶ。

 

マンションも移り、家具類が増えて来ると、次第に評判が悪くなって来た事を感じる栞。モノを持ち過ぎた。
部屋にあったものをほとんど捨てた。最後に残ったのは家族写真。
今人気絶頂なのは佐竹アリズ。モーニングトゥディのメインキャスター。蹴落としたいライバル。家族写真を捨てる(家族いらない)。
佐竹アリズが不倫報道で失速。栞は好きな女子アナのランキングで1位となる。
新しい報道番組のメインキャスター候補にアリスと栞が。栞はアリスを屋上に呼び出し、いらないと言って突き落とす。
栞は「NEWS IN ONE」のメインキャスターとなり、評判の上々で次第に慢心。
ある汚職報道で裏取りが不十分なまま放送してしまい、誤報となっておわび報告をさせられる。
誤報が本人主導で行われたとみなされ、自宅謹慎を申し渡される。
栞は自らをスマホで撮影している前で飛び降り自殺。
そのスマホには飛び降りる前のコメントも入っており、それを報道した「NEWS IN ONE」は過去最大の視聴率を取った。

 

感想
おそまつ女優の深キョンにピッタリの役どころか。ショッキングな「捨てる」には妹がまだ残っている筈だが、その駒を使わなかったのが惜しい。
最後に自分を殺すオチも、自己実現が単なる視聴率アップにすり替わって、ちょっとナットクし辛い。
ただ視聴率願望という点においては、田宮二郎が「白い巨頭」最終回放送の数日前に自殺し、それで視聴率がグンとアップしたという事実もあり、今思い出しても慄然とする。


5.「車中の出来事」 キザ男:北村一輝 ヤボ男:杉本哲太
昭和30年代の夜行列車の中。車両の最後尾でヤボ男が若い男に手錠を掛けて座っている。酔っ払いが少し離れたところで寝ている。
そこに通りかかるキザ男。ヤボ男に向かって刑事だろう、と声をかける。そして隣の若い男を「又野昇」と呼んだ。若い男は人違いだと否定。
麻薬取引現場で起きた銃撃戦。大河原組の者が一人死に、警察官も二人殺された。その又野が現金一億と麻薬を持って逃げ出した。キザ男が自分も刑事だと言って推理を始める。
電車で護送するのに一人はオカシイ。本当に刑事か?とヤボ男に聞く。またこれは暇つぶしのゲームだとも。
この組にはリーダーが居る。「かわうそ」。かわうそはお前だろう、とヤボ男。あんたこそ刑事じゃないだろう、
キザ男は相手に「水上署の平田巡査部長だろう」と言い、刑事である事を最初から認識していた。その上で相棒がいないのは不自然だと追及。
平田には7歳の一人息子がおり、難病を患っていた。金が要るため自分の立場を利用してガサ入れ情報を横流しして金を貰っていた。
そこで欲が出て自分も麻薬取引に手を出した。組員の永田と繋がって麻薬の密売。相棒がそれを疑い始めた。永田が邪魔になり、取引現場を地用して殺した。そして相棒も殺し、又野だけ逃がして、捕まえた折りに金と麻薬の情報を聞き出す。
ここまではキザ男の推理。
そこでキザ男がヤボ男に銃を向ける。そして若い男に指示してヤボ男の銃を取り上げる。だが若い男がキザ男に銃を向ける。若い男は又野ではなく、顔が似ているので使われた。かわうそをおびき出すための作戦。
だがそこへ発煙筒。寝ていた筈の酔っ払いが銃を持って加勢に来る。
電車から降りて逃げようとする二人。そこへ車掌が酔っ払いを撃って加勢。実は警官だった。

 

ヤボ男が祝杯を上げようと言って車内販売員からウィスキーを買って、二人でそれを飲む。ヤボ男がキザ男の袖の包帯を見て、かわうその入れ墨を見せろと要求。だがそこに入れ墨はなく、最初の話どおり傷跡だった。キザ男は大河原組の者だと言った。倒れ込むヤボ男。もうろうとしたキザ男の前に、社内販売員の女。この女がかわうそだった。

 

感想
出演者同士の化かし合いという趣向。結局ラスボスは車内販売の女。先に、お茶に毒が入っているかも、とカマせておいて、最後ウィスキーに毒、というのは、まあいい演出なのか悪い演出なのかビミョー。
言葉遊びの「小噺」的なおはなし。

 

 

NHKスペシャル あなたの家が危ない~熊本地震からの警告~ 10/9放送

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番組詳報

 

戸建て住宅のリスク
震度7の激震が二度襲った熊本県益城町。築10年、最新の耐震基準を満たした住宅が倒壊した。坂牧さん宅。「何で新しい家が潰れたか判らない」。
この地震で最新の耐震基準を満たした319棟のうち19棟で倒壊があった。
京都大 五十田博教授。倒壊の原因を調べている。築5年て倒壊した家の主、矢野さん。2階が1階を潰した。1階は20畳のリビング。解放感のある室内。広いリビングに倒壊の原因がある。

注目するのは壁の「直下率」。1階と2階の壁が通しで繋がっている部分がどれだけあるか。1階に広いリビングを設けると直下率は低下する。耐震基準に直下率は考慮されていなかったのか?

 

最新の耐震基準はH12年に制定された。震度7でも倒れないルールの盛り込み。筋交いを四方にバランス良く入れる。ただし直下率ルールは盛り込まれなかった→盲点。法令だけ満足すれば良いという考えが抜け穴となった。

芝浦工大 蟹澤教授。5年前から住宅の耐震性調査を行っている。26都道府県、472棟。広いリビング、オーバーハングのある2階等、3割近くで望ましい数値を下回る。
ある工務店(益田建設)。夫婦の住宅相談。デザイン性が耐震性を弱める事の説明。リスクを伝えているところは少ない。
松本の工務店。送られて来る設計図の中には耐震性に問題がある→多くの工務店はそのまま作る。違法ではない。今の状態のままでは何年経っても変わらない。
耐震基準の見直しはしないのか→見直さない(国土交通省)。
1年に50万棟作られる新築住宅の中で、地震に弱い家が作られている。

 

マンションのリスク
熊本地震で傾いたマンション20棟。最新の耐震基準を満たしていたのになぜか。
管理組合の理事長 高田さん。13階建のマンションが全壊と判定された。3LDKの間取り。何故被害が深刻化したのか。
地震地域係数。最初は重要だと思わなかった(高田さん)。このマンション建設条件の地域係数→0.9。原則の耐震性は1。

0.9とは耐震性を1割落とせるという事。鉄筋を1割減らせる、コンクリートも減らせる。
地震地域係数は昭和27年に制定された。首都圏、東海地方は1、北海道、九州の一部では0.8のところもある。
地域係数が当該マンションでどれほど被害に影響したかの調査。豊橋技術大 斉藤教授。
最近では地域係数の低いところで大地震が起きている→設計者が判断して見直さなければならない。

 

免震ビルの弱点
熊本地震での異変は地下にも起きた。ビルの免震装置が撓んだ。
福岡大の検証。ケガキ板によるビル基礎の動きトレース。設計上は60cmの揺れ想定→90cmの動き。免震装置が変形。配慮が必要。免震装置は長周期地震には弱い(ビルが大きく揺れる)。
東日本大地震→海から来た地震。熊本は震源が直下。活断層のズレが地上に現れると長周期地震が発生。
京大 林教授。大阪の28棟の免震ビルを対象に熊本地震レベルのシミュレーションを行った。壁とのすき間70cmの設定だが、全てのビルで激突。甚大な被害が出る。何が起こるか想像もつかない。どうすれば安全確保出来るのか。
免震ゴムの製造メーカ。
長周期地震動に合わせ、対策を急いでいる(新素材)。高層ビルに適用(ブリジストン 宮田部長)。

 

自分の家は本当に大丈夫か?
耐震診断。築6年の家で受けた。費用は5万程度。直下率は100万かけてアップ出来る。

福岡の地震地域係数は0.8だった。その直近でM8クラスの地震が起きた。
福岡市では係数を1.0にする様求めている。50棟以上がこの基準で建設中。

 

感想
耐震性アップのために筋交い、壁が重要な要素だという認識はあったが、一階と二階を繋ぐ「直下率」については初耳。
確かに今まで「LDK○○畳」などと広さばかりが注目されている。
潰れてみて「あー、広い部屋はヤバかったんだー」と後悔しても遅い。てか死んじゃうかも知れないし。
また地域による地震係数についても、こんな狭い地震国ニッポンで地域区切ってどーすんの?
そして免震ゴム。超高層ビル防災の切り札的存在だったのが、思わぬところに弱点。

熊本地震であぶり出されたものが、多くある。

 

地震地域係数          地域別地震係数

 

 

義父の死

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結婚して数年後、2歳下の義兄が結婚する時、奥さんの方の土地に家を建てるので、実家の面倒は見られないと宣言。
義父母は後の生活不安から我々を頼った。こちらの両親は、もうその当時で20年以上前に死んでいる。
結局、当時住んでいた新築の家を売却して義父母のすぐ隣に転居した(親が隣家の中古住宅を購入していた)。
それ以来「半マスオさん」状態で暮らして25年。

 

今年の4月に義父の肺がんが発覚。義父は、義母にしつこく言われてかかりつけ医院に通った結果グレーゾーンで、市民病院のCT検査を経て判ったもの。
それ以来、市民病院への通院には必ず同行。PET検査で片道2時間近くかかる検査施設にも行った。
結果は右肺の腺がん(ステージ3)。転移3ケ所(縦隔、副腎、脊椎の棘突起)。
担当医の見解は、転移があるため末期との診断。ただ元々体力はあり、見た目は元気そのもの。
年齢から見て強い抗がん剤は使えない。また効果のある分子標的薬も血液検査の結果ではマッチしなかった。
そのためか、それ以降の対応は通院月1回で、その都度レントゲン検査により経過を見るというもの。

 

次の通院まであと3週間という8月上旬、突然背中の強い痛みを訴えた。背中の痛みは前から言っていた。だが担当医は診察でも転移があると言っただけで、その後の経過観察(CT検査等)は一切行っていなかった。痛み止めについてはかかりつけ医で継続的にもらっていた薬を使用しなさいとの指示。
その日は日曜、緊急対応で市民病院に行くも、痛み止めの座薬を出されただけで返された。
痛みについてはかかりつけ医へ、というので、翌日その医院で別の痛み止めを追加。それが効いてしまったため、1週間をそのまま過ごした。

 

おじいちゃんが立てないと義母が言うので見に行くと、困ったような義父の顔。足に力が入らないという。
その当時は副腎が侵されてカリウム欠乏にでもなっているのかと思い、とりあえず次の通院が来週だからと様子を見る事に。
だが症状は日に日に悪くなり、ついに全く歩く事が出来なくなった。これはただ事ではない。
間の悪い事にまた日曜。救急車は使いたくないと言うので、やっとの事で車に乗せ救急外来へ。
下半身まひという事で、まず頭部CTを実施されたが異常なし。
8時も過ぎて医師たちが集まった頃、脊椎の異常の方に話が移り、再度CT。
通院時の担当医とは別の女医からの説明では、がん細胞が脊椎の神経を圧迫しているのが下半身まひの理由との事。
通院時担当医はそれまで下半身不随の可能性については一言も言っていなかった。
足の感覚は残っており、即入院として背骨に特化した放射線治療を翌日からやりたいとの申し出。転移は判っていたのだから、なぜ4月の時点で言わなかったのか、と通院時担当医への不満が募ったが、とにかくやるべき事をやろうと承諾。

 

そして10日間の放射線治療が終わったが、結局足が動く事はなかった。
義父は突然下半身マヒになった事で非常にショックを受けた。排尿はカテーテルになり、また体を起こしても慣れない体位での食事は思うように摂れず、次第に衰弱は進む。

市民病院は元々治療目的の病院であるため、緩和ケア病棟を持つ病院への転院を提案される。

 

転院の申し込みをしてから3週間ほどして、入院可との連絡。見学の結果、こんな時だからと特別室を申し込む。

だが転院してからは、水とお茶以外は全く受け付けない。
病院の話では、元々治療のための行為は行わない前提。また食事が出来ないからと言って栄養点滴を入れようとしても、肺に水か溜まって余計苦しむからダメだと言う。
そして10月中旬の朝、病院からの電話。呼吸が荒いという。昨日は比較的元気だったのに。
1時間以内に行くと言って義母、妻を乗せて駆け付けたが、臨終には間に合わなかった。結局転院してから9日目の死。享年86歳。


教訓
かかりつけ医によるがんの疑い発見から市民病院によるCT検査。また診療が市民病院に移ってからのPET検査までは医療対応として万全。義父としても今まで一度も健康診断をやって来なかったから、転移により結局死ぬ事は特に悲しいとも思っていなかっただろう。
ただ、背骨への転移が判った時点で、それが以降に何を起こすかという事を全く示唆しなかった通院時主治医の対応は許せない。義父が下半身マヒになった後で、おそまきながら調べたサイトがココ

 

背骨への転移を知った時点でこのサイトを調べていれば、せめて死の間際まで下半身マヒは防げたのではないかと悔やんでいる。
入院してからの主治医に、この通院時担当医の対応について、落ち度はなかったのか?と聞いた。
落ち度とまでは言えないが、病状の進行についての説明に不十分な点があったと思う、とのコメントはもらった。

 

この長寿社会、2人に1人はがんで死ぬとも言われているが、末期のQOLを確保するために、脊椎を最後まで守るという事が重要。
そしてもう一つ。がんで死ぬ場合でも、最近では痛みのコントロールがかなり進んでおり(医療麻薬)、死の直前まで痛みによる苦しみを感じる事はほとんどない。
子育ての責任も果たしたし、残り寿命の計算が出来るという点で、がんもそう悪くないか・・・・

 

ジェイソン・ボーン  2016年

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監督 ポール・グリーングラス

 

キャスト
マット・デイモン        ジェイソン・ボーン
ジュリア・スタイルズ     ニッキー・パーソンズ
アリシア・ヴィカンダー    ヘザー・リー
ヴァンサン・カッセル     アセット
トミー・リー・ジョーンズ   ロバート・デューイ

 

予告編

あらすじ
車で連れられ、降ろされたところでストリート・ファイトを行うジェイソン・ボーン。相手を一撃で倒す。
元工作員だったニッキー・パーソンズ。仲間のアジトでハッキング用のデバイス「ドゥブナ48K」を使ってCIAのシステムに侵入する。
CIA側でそれを察知したヘザー・リー サイバー捜査官。侵入ルートを特定。
ニッキーが開くファイルにリチャード・ウェッブ、デビッド・ウェッブの名が。更に深い情報を求め、デューイの名前を掴む。CIAは先方の電源を強制シャットダウン。ニッキーは仲間に銃を向けてデータと共に逃走。

 

バージニア州 マクリーン。部下からの電話を受けるデューイ。スノーデン級以上のハッキングを受けた。善後策のための会議が開かれる。
ハッキングの詳細経路を調べるリー。コードネーム「ナイトライダー」の持つプロフィールからニッキーを割り出し、ジェイソン・ボーンとの繋がりを知る。その事をデューイに報告。この件を担当させて欲しいと願い出るリー。ニッキーが持ち出したデータにマルウェアを仕込み、開いた時に場所を発信するよう細工していた。ニッキーがアテネに向かう情報も入手。

 

ギリシャ アテネ。
ストリート・ファイト中のボーンの前に現れるニッキー。着替え場所に戻るとメモが「シンタクマ広場 キオスク 1時間後」。

広場ではデモ隊と警官が対立して騒ぎになっていた。CIAの監視網に引っ掛かるニッキー。デューイはイタリアから殺し屋のアセットを呼び出して、ボーンを殺すよう指示を出していた。
リーの側もボーン対応のため2チーム送り込んでいた。
監視網をかいくぐって再会するボーンとニッキー。ファイルをハッキングした事を伝えるニッキーは、前の作戦よりもっと悪い「アイアンハンド」の事を伝えようとするが、ボーンは「重要なのは生きてることだ]と関心がなかった。
ニッキーは、ボーンの父が最初の作戦に関与していた事を告げるが、ボーンは信じない。ファイルを読み取る必要があると話すニッキー。

二手に別れ、ボーンは白バイを奪って逃走。CIA側は衛星情報を使ってその動きを逐一掴んでいる。アセットが指示を受けて狙撃準備。
ボーンがニッキーを拾って逃走を続けるが、衛星情報に基づき、その逃走経路が操作される。アセットは屋根の上から狙撃のために待機。
追い込まれたボーンの寸前で爆発が起こり、進路がわずかに逸れた。その時アセットの銃弾が。
撃たれたのはニッキーだった。衛星からの監視を避けて物陰から声をかけるボーン。ニッキーはまだ死んでいなかったが、ボーンが助け出そうとする寸前にとどめを撃たれた。ニッキーが放り投げたキーを受け取るボーン。

 

地下鉄の駅ロッカーでニッキーの残した荷物を確認するボーン。銃と暗号化USBと手帖。手帖の情報をネットカフェで検索し、ベルリンのある住所を知る。

コンピューター・ソフト会社社長アーロン・カロアーの開発したプラットフォーム「ディープドリーム」。個人情報は守られると株主総会で宣言。
その一方でデューイと秘密裏に話すカロアー。CIAへの協力を金と引き換えに求められていた。利用者のプライバシーを損なうもの。

 

ベルリン。自分の部屋に帰って来た男。誰かが入った気配を感じる。ボーンが現れ、USBを渡して解読してくれと頼む。
リーのオフィスで、システムがファイルを開いた事を検知する。デューイの指示でベルリンチームが出動。
ニッキーの安否を尋ねる男。死んだと答えるボーン。男はファイルをボーンに見せつつも、彼女はボーンに搾取されたと非難する。
男は、我々の進めている方向(CIAによる計画の壊滅)と同じか?と聞くが、ボーンは違うと返す。ボーンの興味はトレッドストーン計画の詳細。
男は、この事を公開するため、データを残してくれと頼むが、ボーンは無視して先を進める。
トレッドストーン計画は、合衆国に対する異常な脅威に対するもの。提案者はリチャード・ウェップ(ボーンの父)。
資料を開く中で、以前ベイルートでの父との会話を思い出す。何かをして犠牲を払った。いつの日か理由が判る。
その直後、父親の乗った車が爆破され、父は死んだ(1999/10/7)。
ボーンが資料に夢中になっている隙に、男が攻撃を仕掛けるが、それを撃退し、再びPCに向かうボーン。
マルコム・スミス監視員と打ち込み、現住所を確認する。パディントン(ロンドン)。そこでCIA側の操作によりファイルが全削除された。
デューイの指示でボーンに電話を掛けるリー(男の持っていた端末へ)。何かを探しているのを手伝いたいと持ち掛ける。

途中でデューイが替わって名乗り、ボーンの父は愛国者だったと言った。デューイが話している間に、その端末へメールを入れ、2分でチームが到着すると警告するリー。
辛くもその場から脱出するボーン。

 

CIA内でもボーンがマルコム・スミス(当時の監視全てを管轄)を追っている事が判っており、アセットに暗殺の指示を出そうとしていた。リーはそれを間違いだと言い、ボーンを復帰させてその能力を活用すべきだと提案。
幹部はそれを許可した。ボーンを逃がした事を知っていると思われるデューイに謝るリーだが、それははぐらかされた。

カロアーの元に司法省の担当者が来て、違法行為の通知を告げる。デューイからの警告だと理解したカロアーは部下に、今までデューイと行った全ての打合せ(裏も含め)引き揚げを指示。

 

列車で移動中のボーン。Web情報でリーがサイバー対策担当者になった事を知る。
カロアーの部下が裏切ってデューイに情報を送る、ベガスで何かやろうとしている。

 

ロンドン。スミスに電話を入れて呼び出すボーン。パディントン・プラザで15分後に会うという情報をCJAも掴んでいた。追跡チームのリーダはリー。2チーム(ブラボー、アルファ)で追い詰める中にアセットも居た。スミスを尾行してボーンと接触するのを待つ。スミスはデューイからの指示を受けるイヤホンを付けていた。
街の中の複数の電気制御室に入り、細工をするボーン。
スミスを追跡するブラボーチームを、アセットが射殺。アセットはデューイの指示で行動。ブラボーチームが動かないため焦るリー。
スミスを追うアルファチームもアセットに射殺される。裏でデューイはアセットにボーン射殺を指示。
パディントン・プラザを見下ろす場所で狙撃準備をするアセット。

 

スミスが現場に着いて定刻になった時、街中で警報が鳴り始めた。電話で作動する発火装置により、各電気設備で火災発生。
プラザ内に続々と人が集まり混乱状態となる。人混みの中、移動を始めたスミスを確保するボーン。
家の中にスミスを引きずり込み、追求するボーン。ベイルートでの父の死の真相を知りたかった。父はなぜ死んだのか。だがデューイは家族の安全を考えて何も言うなと指示。
スミスは言う「父はあなたのために死んだ」。彼はプログラムが君を選んだと聞いた時、プログラムを公表すると脅迫した。彼はあなたが殺人鬼に変えられる事を望まなかった。
「誰が殺した?」という問いにデューイは「止めろ」と言う。スミスのイヤホンを見つけ、それを自分の耳に嵌める。
そこに現れたアセット。銃でボーンを撃つ。スミスを盾にして逃れ、ビルから落ちるボーン。電線に引っかかって激突は免れた。
とどめを刺すために階下に降りたアセット。だがそこにはスミスの遺体だけが残っていた。
更にボーンを追おうとするアセットを止めるデューイ。「我々はアイアンハンドの問題を抱えている」との言葉を聞くボーン。

計画が失敗して、車の中で呆然としているリー。そこへ現れるボーン。
運転させながらデューイの行先を訪ねる。彼はサイバー大会でカロアーと会談するためベガスに行ったと答える。
アイアンハンドの中身を聞くボーン。リーは答える。国民を常に監視するシステム。それをネットで使うためにカロアーの協力が必須。
降ろせと言うボーンに協力したいと申し出るリー。理由は違うが二人ともデューイが邪魔だと言った。
別れ際、ボーンにスマホを渡すリー。「ベガスで会おう」と言い残して去るボーン。

 

ラスベガス ネバダ。
リーはPCでボーンの入国審査の情報に介入し、CJA特権によりニセのパスポートを通過させた。
会場に乗り込むデューイ。アセットも現地入り。
注目されつつ会場入りするカロアー。
会場で販売している「リアルタイム位置情報発信器」と隠しカメラを盗むボーン。
デューイはアセットにカロアーの暗殺を指示。

デューイに呼ばれてリーが部屋に行く途中、ボーンは彼女のポケットに発信器を入れて立ち去る。その後リーにメールでその発信器をデューイのポケットに入れるよう指示。
アセットは職員に化けて潜入。

 

会見の舞台に向かうデューイ。壇上ではカロアーとの会談を行う。事前の挨拶をするデューイとカロアー。デューイはリーを紹介するが、2人はスタンフォードでの同窓。
司会の紹介で壇上に上がったカロアーは、会談の前に話したい事があると言って、話を始める。それはディープドリームの中に癌があるという話し出し。
上部の照明裏から狙撃しようとしたアセットにライトを向けるボーン。カロアーに銃弾が当たるが急所は逸れた。
騒然となる会場。一人で控室に戻るデューイ。位置情報端末でその部屋に向かうボーン。
そして二人の直接対決。デューイは言う。お前の父親はプログラムを作った。そしてお前はそれを常に遂行した。お前は32人を殺し、そして国が守られた。
デューイは撃てと言うが、ボーンにはそれが出来なかった。
躊躇しているうちにCIAの部下が駆け付けてボーンを撃つ。倒れたボーンにとどめを刺そうとしたデューイが撃たれて倒れる。ボーンが振り返ると、そこにリーが立っていた。
止まることが出来る、選択出来るというリーの言葉を背に立ち去るボーン。

 

会場からうまく脱出したアセットだが、ボーンがそれを見つける。SWATの装甲車両で逃げるアセットを、近くにあったダッジ・チャージャーで追跡するボーン。壮絶なカーチェイス。
両車とも大破して、走って逃げるアセットを追うボーン。二人は地下施設に入り込む。そこで殴り合う二人。
厳しい闘いの末、アセットを倒すボーン。

 

後日退院したカロアー。記者の追求には答えず、今後当局に協力して開発を進めると居直る。
車中でCJA幹部と話すリー。今後はカロアーとの繋がりでうまく仕事を続けられると進言。ボーンについても、彼からの信頼があるので、仲間に引き込む自信があると答え、出来なければ消えてもらうと言った。
車を降りたリーに接触するボーン。ボーンの境遇を全て理解しているリー。でもやった人達は去った。カムバックして一緒に働こうと持ち掛けるリーに「考えさせてくれ」と言って立ち去るボーン。

リーが自分の車に戻って助手席を見るとVTR機器が。再生してみると、それは先ほど幹部の車を尾行しながら録画したもので、リーが幹部と話していた内容がそのまま入っていた。


感想
今までマット・デイモンが主演した三部作の概要はココ
多少突っ込みどころもあるが、その世界観に多少同調出来るものがあり、続編が出ると知って楽しみにしていた。
訳あって視聴がやや遅れたが、期待が大きすぎた分だけちょっと失望感あり・・・・

 

まず冒頭のストリートファイト。そもそも諜報員だったぐらいだから知的な筈であり、また3作目でも追われる場面で終わったのだから、人目につかない職業でひっそりと生きているという設定であるべき。
それがムキムキであらくれどもと素手の殴り合い。目立ちすぎるし知性のかけらもない。

前作から8年も経っているのだから、社会構造が変わって、その結果諜報活動がどう変質したかの組み立てを行った上でのシナリオ作りが重要。PRISMが「アイアンハンド」のバックボーンになっているのだろうが、既にスノーデンが暴露してしまったもののトレースでしかなく、使い古しの感はまぬがれない。

 

それから失笑の最たるものはトミー・リー・ジョーンズ。世界的には大俳優なのだろうが、日本では缶コーヒーのCMでさんざん使い古された老人。一気にテンションが下がった。そんなぐらいなら、パメラが敵になって立ちはだかるぐらいの方がまだまし。

 

プラザ内での攻防も、3作目で新聞記者が狙われる場面のパクリだし、ラスベガスに入る空港でも、リーが通関を誤魔化してくれるなんていう約束などはなく、もし押さえられたらどうするつもりだったのか。

 

会場で、盗んだ位置情報発信器使うなんてのも、その性能がどれぐらいアテになるかも判らないのに、全く元諜報部員らしくない。

裏ネタとしての、父親が計画の発案者だった、という設定はそれなりにショッキングだったけど、殺し屋のアセットとの戦いは、要するに父親を殺した仇という思考から抜け出せておらず、単に感情で押しまくるだけでは底の浅さを感じてしまう。
とは言っても追跡での「ダッジ・チャージャー」の採用は評価しています・・・・


これらは期待し過ぎたための拒絶反応と言ってしまえばそれまでだが、今までの三部作で構築して来た「記憶をなくした諜報部員」の続編ではないな、と考えます(「続編」のようなもの、かな?)。

 


NHKスペシャル シリーズ マネー・ワールド

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「爆笑問題」の太田と田中がナビゲーターとなって、資本主義について各界の専門家にツッコミを入れて行く。

 

資本主義の未来

第1集 世界の成長は続くのか 10/16放送
資本主義が今、人類の歴史の大転換点に来ている。
世界経済は1970年から下がり続けている。このまま成長するのか、限界なのか。

アダム・スミスの「国富論」。見えざる手が繁栄に導く。以来240年続いた経済成長。
イギリスは今、大変な事態→ヤング・ホームレスが8万人突破。資本主義から見て大問題。
今までのホームレスは中高年が主体。ヤング・ホームレスの出現→経済の出発点がオカシイ。
イギリスは産業全体が低迷。EU離脱の背景でもある。資本主義の根幹に関わる問題。
2008年のリーマンショック。欧州低迷、日韓も停滞→資本主義の危機。

ローレンス・サマーズ教授。人類が経済を生み出して以来、初めての事態。
今までは多少の不況があっても好景気を取り戻し、全体として成長する事を繰り返して来た。今回は上向かない。
成長エンジンが止まる。長期停滞。経済対策の効果なし。

マービン・キング 。8年前世界の首脳は今のような危機を予想していなかった。
切り札として低金利政策で経済の活性化を図るも、成長が上向かない。これまでの常識が通じない。

フロンティアの消失。自国の開拓は頭打ち。植民地、新興国等への市場開拓により成長。
2000年以降、地理的フロンティアは限界に達した。

大企業の不正。

 

欧州最大規模の銀行「UBS」。リーマンショックの影響で巨額の赤字。裏口座資金を使っての高額取引。逮捕されたクウェク・アドボリ。会社から厳しい目標を与えられた時「それは無理です」と言えなかった。
「スーパー資本主義」。より早く、より効率よいものを過剰なまでに追及するシステム。

 

新たなイノベーションが停滞を打ち破る。3D、自動運転等が成長を加速。
シェアリング・エコノミー。モノを作らず共有。ウーバー。新しい配車システム。7年で企業規模7兆。
エアビーアンドビー。民泊で急成長。
今後定型デスクワークが奪われる(IT化)。芸能人もCGでいい。

今後バブル経済ほどの成長は見込めない。1人当りのGDPでは、日本は上位。日本人には知恵がある。

 

感想
市場開拓が限界に達した結果、低金利政策が機能しなくなったという説明は、バブル崩壊以降目立った景気改善がなされていない事と併せて説得力がある。
大企業が陥る不正についてもナットク。
こういう世の中で成功して行くのは・・・難しい。


第2集 国家VS.超巨大企業 ~富をめぐる攻防~ 10/22放送

視聴せず。
http://tvtopic.goo.ne.jp/program/nhk/1009/1005115/


第3集 巨大格差 その果てに  10/23放送
http://tvtopic.goo.ne.jp/program/nhk/1009/1005428/

アメリカ、シアトル。テント・シティ。市が設置を認めた(ホームレス対応)。
ミネアポリス。資産家のパーティー。
スタンリー・ハバード、メディア王。ハバード・ブロード・キャスティング社。
世界初の個人向け衛星局。リスク大だったがハイリターンで急成長。
ハバード氏が語る本質→貧しい人は努力を怠っている。
共和党に献金している。政治家はその事を忘れない。
議員に献金するのは防護壁の役割り。1800の政策中、45%が富裕層の提案。
広がる格差→経済成長のためには否定出来ない。成長により格差は広がるが全体として成長。

 

井出英策。慶応大教授。社会がまっぷたつに別れる。2極化。
シャンパンタワーの例→富の分配。トリクルダウン理論。
一番上に巨大なグラス→低成長では配るパイが少ない。

 

1917年。ロシア革命→社会主義経済。生活向上、格差の是正。
米国の格差是正→富裕層に高い税。1970年以降成長に陰り(低成長時代)。法人税減税。
1991年。ソ連崩壊→資本主義の対抗勢力が消えた。
IT化、グローバル化がかつてない格差を生み出した。
企業存続のため、資本主義が進化。それに人間の哲学が追いついていない(太田)。

グラビティ・ペイメンツ社のダン・プライスCEO。全社員の最低賃金を7万ドルにし、自身の給与は1/10以下にした。
1年で業績が2倍。仕事への意欲アップ(新システムへの志願)。11人の社員に子供が出来、結婚10人。消費が活発になり経済全体が潤う。
新たな課題。共同経営者の兄が報酬減により訴えを起こした。幹部2人が退職。
哲学が思想を発展させる(太田)。
なぜ私たちは社会を作るのか。思想家の提案→みんなが受益者、みんなが負担者。

 

3回分のまとめ
最終的には人間の感情、価値観、が問題(太田)。

アダム・スミスの説。利己心が市場経済を動かすと説く一方、道徳感情論における「共感」を語る。相手の不利益にも心を配る。現代の資本主義が忘れたもの。

ホセ・ムヒカ(世界で一番貧しいと言われる大統領)が若者に向けた話。
買い物をする時、金ではなく金を稼ぐために使った時間で買っている。かけがえのない人生を大切に。

将来は金を介さず物、サービスを分け合う「共有型経済」が台頭する(ジェレミー・リフキン)。
オランダ。あらゆる日用品を無料で貸し借りするシステムが始まっている(10億ユーロ相当の実績)。

 

感想
バブル崩壊以降、次のバブルと言えるものの実感がないまま25年。成長を感じないのには理由があったという事か。
金を時間で買っている、か。本当にそうだ。

 

NHKスペシャル「あなたもなれる“健康長寿” 徹底解明100歳の世界」10/29放送

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番組概要    番組詳報

 

聖路加国際メディカルセンター理事長の日野原重明氏。現在105歳。2020年の東京オリンピックを楽しみにしている。
日本における100歳超え(センテナリアン)は6.6万人。

 

田谷きみさん(102歳)和菓子屋の「看板娘」として8~18時まで接客全てを引き受ける。1日3回の食事はいつも完食。
食べるのと寝るのが楽しみ。見た目は80歳。
センテナリアンが一般高齢者と異なる点→炎症レベルが1/10。加齢と共に進む慢性炎症。

慶応大における1500人の高齢者調査。炎症と生存率の関係。慢性炎症が低いほど長寿。慢性炎症を抑えるのがポイント。

 

デンマークでの双子の追跡調査(10万組)。遺伝要因は25%。環境要因が75%。

CTRA遺伝子。ストレスを受けた時(不満足時)に増える。満足感と炎症反応の関係。
高い満足感を得ても炎症反応が高い場合もある。食べたいだけ食べる、むやみに食べる→炎症を進める。
ボランティア、家族のため等の「生きがい型」の満足感だと炎症反応を弱める。
満足感の違いに敏感なのは、生物学的なプロブラムか?

 

微小循環が長寿のカギ。
イタリア、サルデーニャ島の男性。90歳になっても働いている。
微小循環とは、毛細血管レベルの細かな血流。老廃物の回収により慢性炎症につながる要因を取り除く。

 

長寿を達成すると、豊かで幸せな感覚を得られる。
イタリアに住むエンマ・モラーノさん。116歳(世界一の長寿)。この14年、家から一歩も出ていない。独り身が一番幸せ。

高齢者2200人の調査結果。身体機能は衰えるが、肯定感性はアップ。高齢になっても衰えない→前帯上皮質(感情を司る)。高齢者特有の変化。

心理実験。良い印象の写真と悪い印象の写真を若者と老人に見せる。老人は、悪い印象の写真をあまり記憶しない(高齢者特有)。残された時間が限られている。老年的超越。

介護施設でくらす宮川さん。100歳になって急に幸せになった(豊かで幸せ)。
年を取ると物忘れは起きるようになるが、生きがいの感情が上がって来る。100歳超えてからアップした(日野原氏)。

長生きの研究は、今後の日本の高齢化を救う大きなヒントになる。


マルティン・フーバー(哲学者)の言葉。

新しいことを
創(はじ)めることを忘れない限り
人はいつまでも若く生きることができる


プロダクティブ・エイジング(年を取っても生涯現役)が目標(日野原氏)。

 

感想
両親が早く死んだせいか「人は死ぬんだ」という感覚が子供の頃から強かった。
それはそれとして長く生きられれば、それに越したことはない。
ただ、86歳で亡くなった義父の死に様を近くで見た後では、100歳超えのハードルの高さを実感している。

 

長く生きる事自体に、それほどの価値があるとは思わないが、年を重ねて100歳超えをした後に来る「幸せの感覚」。
これは魅力的だ。

 

 

【大河ドラマ】真田丸・第44話「築城」

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「真田丸」は毎週ではないが、タイミングが合えば楽しく観ている。
こちらのサイトでは、あらすじ確認でいつもお世話になっている。

 

大阪城の場面になってから時々出て来る塙 団右衛門 (ばん だんえもん:小手 伸也)。名前を書いた木札をみんなに配っている「おかしな」おっさんという程度の描かれ方だが、夏の陣の中で三谷幸喜が今後どう料理して行くかも楽しみ。

 

司馬遼太郎が描くところの「言い触らし団右衛門」では、非常に興味深い人物として描かれ、この人だけでもドラマが作れそう。

 

ところで、信繁が自分の事を「幸村」と名乗るのは三谷幸喜の脚色。後の軍記で冬の陣、夏の陣での活躍を描くのに、徳川家の手前フィクションとして扱う必要があったため「幸村」を使うようになったという説がある。その辺りのいきさつはこちらを参照方。

 

 

 

 


NHKスペシャル 「終わらない人 宮﨑駿」 11/13放送

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長編「風立ちぬ」の後「もう終わった」と誰もが思っていた→終わっていなかった。
誰も知らない、宮﨑の2年間の記録。

 

2015年1月
かつての制作フロア。誰もいない。ジブリは制作部門を解散し、活動休止。
ジブリから歩いて3分の、宮﨑のアトリエ。
葬式とか多くてイヤだね、と言いながらコーヒーを淹れてくれる。
「世の中に合せて生きる気はない」  引退時、みんなを引っ張って行く気力がない、と言った宮﨑。今はジブリ博物館の展示物制作を行っている。
時々訪れる小鳥の「ヒヨ」へのエサやり。
宮﨑アニメがこだわったのは「手描き」。映画の鬼、と言われた。
後継者は育てたと言う。だが後継者を作るとその人の才能を食べちゃう。スタジオは人を食べて行く。

 

2015年3月
宮﨑の様子が少し変わって来た。CGをいくつか見せてもらった。やけに話す。若いCGアニメーターとの話。
ボロという毛虫の話。20年前からの企画。プロデューサーの鈴木は、CGで短編作ってみたら、と提案。

 

2015年5月
毛虫のボロの話をアニメーター達が試しに作ってみた。動きについて、毛は計算で動かしている(空気抵抗も計算に入れている)。うまく行きそうな気がして来た、と話す宮﨑。
「挑戦する」という言葉にムカムカすると言う。トボトボ行く。
今アニメがCGの時代。緻密で圧倒的な表現力。
ピクサーを率いる映画監督ジョン・セラターは友人。モンスターズ・インクでは230万本もの毛を1本単位で動かす。彼に恥ずかしいものは見せられない。

 

2015年6月
久々のスタジオ。キャラクターの動きの元になる絵コンテを描き始めた。この短編はジブリ美術館のみで上映される。
現在75歳。心臓にも持病を抱える。圧力鍋で煮ても黒い水が出るだけ(肩を揉まれながら)。残された時間をどう生きるか、ずっと考え続けている。

 

2015年8月
CGディレクターの櫻木らが合流して作業が本格化。細部はアニメーターに一任。動きを見て「新しいウィルスを作っている感じ」と喜ぶ宮﨑。
レイアウト描きを行う宮﨑。正確なイメージを伝えたい→これだけ掛かれたら無視出来ない(櫻木)。
「以前より元気、目力が違う。仕事って大事」とはスタッフのからかい

 

2015年10月
運転免許の高齢者講習からの帰り。同年代の人たち見て驚いた(みんなじじい)。
冒頭の、ボロが振り返るシーンが気に入らない。生まれたばかり、ボロの初々しさが全く表現されていない。
悲しい知らせが相次ぐ。この頃から「時間がない」を連発。僕より長生きする筈の人間が先に死ぬ。
CGが上がって来るが納得出来ず。作り直し。
あんなもんやるなら潰した方がいい。何十年積み重ねて来たものがパーになる。だがまだ血の雨は降っていない。

 

2015年12月7日
鈴木プロデューサーに声を掛ける宮﨑。このまま行くとダメ。面倒くさい。やめるかやるか。何度でもやり直させて、それでもやるのか、という話(鈴木)。
どうやってやったの?というものを作りたい。遂にコンピューターに触り、意図を伝えようとするが、手描きのようには行かず、思うようなカットが上がって来ない。
特に冒頭のシーン。どうすればいいのか。アイデアが浮かばない。なんでこんなにヤバいのか。
自分の神通力が通用しない、そこでの七転八倒(鈴木)。アニメーターも疲れて来た。

 

2015年12月18日
櫻木さんが病院へ行ったとの知らせ。ずっと体調不良、と宮﨑を脅すスタッフ(実は風邪で、翌日出て来た)。
30代、40代のような沸き立つような気持ちは持ちようがない。ただ、何か動かしている。
老監督の話。映画を作っている時が一番楽しい。ワンショットを観た瞬間「すばらしい!」。それが映画。

 

2015年12月24日
やっと判った、謎が、と宮﨑。生き物の気配がなさすぎる。夜の魚を置こう。ボロの周りに描き込む。
冒頭は呪われたカット。宿便のようなもの。
今までの宮﨑映画でも、これほど大胆に変えるのは初めて。やったけどダメだったねって言う方がマシ。魚は、魚って判っちゃうと面白くない。

短編作りは大きなヤマを越えた。
宮﨑が机に向かう時間がどんどん長くなった。
あるカットを手描きで細かく描いた。負けてたまるか。毛虫の大群が蠢くカット(CGに対抗するように)。驚くアニメーター。今作るんだったら、何を作るんだろう。

ある日、IT企業でCG開発をしている人からのプレゼンを受ける。人工知能による映像処理。頭をなくし、腕や足に頭部があるとみなした上での動作。人間が想像出来ない気持ち悪い動き。
宮﨑は言う。自分には身体障害者の友人が居る。ハイタッチも難しい。だからこの映像を面白いと思って見られない。
君たちの仕事に、生命に対する侮辱を感じる。どこへたどり着きたいのか。
人間が描くのと同じようにCGで作りたい(担当者のことば)。
ミーティングを終えて「地球最後の日が近い」(宮﨑)。
いつの日かアニメは人の手を離れるのかも知れない。
宮﨑さんは、これからどうしようと思っているのか。

 

2016年8月
鈴木にあるものを見せる宮﨑。「長編企画 覚書」。
「この映画を作る金を集めて欲しい」(宮﨑)
「絵コンテ描いて死ねば売れる」(鈴木)
長編を作りたい。女房にも言ってない。やらないよりは、やってる最中に死んだ方がマシ。

 

2016年10月
「ヤッチン死んじゃった」
保田道世。享年77歳。宮﨑アニメの色彩設計担当。「全くまいった・・・・」
長編の絵コンテを描き始める宮﨑「100(カット)切ったらやっていいかどうか判る。難しい」
長編が本当に動き出すかどうかは判らない。

生きることは映画を作ること。


感想
根っからのアニメ好きで今まで来ている。つい先日もTV放送の「紅の豚」を視聴。
もちろん「風立ちぬ」も観たが、もうこれで宮﨑アニメは見納め、と思っていた。

今回、CGで短編を作るという作業の中で、次第に「また作りたい」という思いが沸き上がって来たのだろうか。
観ていて強く印象付けられたのは、IT企業スタッフが作った動画の気持ち悪さ。コンピューターに「任せる」という行動の危うさをこういう形で実感するんだナー。

でも宮﨑さん、あと5年持たそうとしたら、タバコ止めなさい。黒い水出してるバヤイではない・・・・・
ただ、アイデアの源泉だって言い訳するんだろう。まあいいか。

 

 

 

新聞小説 「クラウドガール」(2)金原ひとみ

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作:金原ひとみ 画:山城えりか

 

26~59 (9/27~10/31)
「今日は学校行きなさい」。理有が帰って来て六日。杏にとっては新鮮な日々。制服に着替え、簡単な化粧をして理有に続く。

始業時間が迫る校門から校舎までの間、晴臣は杏に謝り続けた。何でも聞くという晴臣に、ベルギーのEDMフェスのチケット取って、と言う杏。
お願いだからずっと俺と一緒にいて、と杏の両手を握る。その熱さで怒りを溶かされてしまう。
理有が、晴臣との関係を諫めて様々な事を言っていたが、晴臣と居る間中、安心感と虚脱感に身を委ねているだけの杏。

 

教室から教師が手招きしているのを尻目に、晴臣が杏を連れて化学室に引き込んだ。
理有が帰って来た事を晴臣に話す杏。晴臣は杏との交際を反対している理有が苦手だった。
話の流れで杏の父親の事を聞く晴臣。パパの事は何とも思っていないと答える杏。理有とママさえ居ればこの世界は完璧だった。

 

杏が生まれた頃、父親と理有はフランスに行っていた。当時子育てと仕事でノイローゼ気味だった母親。そのためもあって父親との距離を感じていた杏。
杏の母親が心筋梗塞で死んだ時、杏の世界はどうなった?と聞く晴臣。
ママが死んでから一年も経たないうちに、病気で倒れた事のある晴臣は、その当時の気持ちを回想する。オミが死んだら私も死のうと思っていた、と話す杏に「そういうの絶対許さない」と拒絶する晴臣。
ICUの中で生死の境をさまよった晴臣はその後個室に移り、回復と共に杏に向かって二度と離れないよ、と言っていたが、退院してから二ケ月ほどで浮気をするようになった。

晴臣と話しながら、ママの事を思い出す杏。

 

家事、勉強、部活と何でも両立出来ていた理有と違って、ママはあらゆる両立が出来なかった。
締切りのある週は何一つ家事をしなかった。渡した学校のプリントも無視。週一で友人や編集者と飲み、明け方に帰宅。そんな時、杏は理有と一緒に寝た。

あの日もママは飲んで帰宅した。
理有たちの顔を見てから自室に戻ったママ。うとうとし始めた杏に「部屋戻りな」と言われて戻る時にガシャンという物音。ママだろうね、と素っ気ない理有。
それでも、見に行こうという杏に、使ったマグカップを「洗うから」と言って杏に行かせる理有。
杏がノックするが返事がない。続いて来た理有は一瞬悩んだ後、ドアを開ける。倒れているママと鼻をつく血の匂い。部屋に入ろうとする杏の手を理有が掴んだ。「このままにして」
「ママが死んじゃう!」と言う杏に「ママは恐怖のないところに行くの」とはっきり言い切った理有。
数秒か、数分か判らない間、立ち尽くしていた杏は理有を振り切って部屋に入った。そしてママの血を踏まないよう歩くと、壁の棚にあるぬいぐるみに手を伸ばす。ママの血を浴びていないのは4体だけで、羊が無事だった事に安堵する杏。
制止する理有に、死んだらくれるってママが言った、と言い、これだけはどうしても欲しいの、と羊を抱きしめる杏。

目を見開いたママ。首に走る十センチほどぱっくりと開いた傷口。
理有は杏を抱きしめ、ドアを閉めて「明日の朝ママが死んでいるのを見つけて、救急車を呼ぶの」と話した。混乱しながらも理有に従う杏。
二人でベッドの上で手を握り合ってじっとしていた。

 

それから何十分かして、物音がし、緊張する二人。声がしておじいちゃんとおばあちゃんだと気付くがじっと息を潜める。
おばあちゃんの呼びかけで返事をして自分の部屋から出る理有と杏。おばあちゃんに促されてマンションを出る。
自分の住所を運転手に伝えた後で、おばあちゃんは、ママが病気で倒れた、と二人に話した。
「私たちも病院に」と言う理有に駄目よ、と答えるおばあちゃん。ママのところへ連れてって、と泣く理有の演技が恐ろしかった。
おばあちゃんの家に着いた二人。おじいちゃんからの電話を受けて、おかあさんは心筋梗塞で亡くなったと説明した。ママの部屋だったところに案内されて、そこに寝かされる理有と杏。のしかかる布団の重さに安堵する杏。
棺の窓から見えるママの顔。普通はこのタイミングで納棺はしない、という理有。棺には既にクギまで打ってあり、体の修復を見せないためだとも。
ママの死因は心筋梗塞だった、としてニュースでも伝えられていた。

 

ママの死後半年ほどして、二人は理有の通う大学の路線上のマンションに住みはじめ、杏は新しい中学校に転入した。
それから1年ほどして、理有はマレーシアへ留学。ママ、晴臣、祖父母、姉、皆それぞれの切実な思いの中で、この今を迎えている。

混乱した夢から醒めた理有。スマホを見て「髪はどう?」の広岡からのメッセージに「広岡さんが人んちのパーティーで女の子とセックスしようとしてる夢観ました」と返す。「なんだそれ」とのひとこと。少し現実に引き戻される理有。
広岡は四十過ぎで中学ぐらいの息子が居る。母の離婚後、男性に対して懐疑心が根付いている理有。光也に好意を持っていても踏み込めない。
父が出て行って六年。二人とも離婚の理由を娘たちに語る事はななった。そして母はジェットコースターの途中でどこかへ消えてしまった。

 

美容室で広岡と話す理有。5年間カットしか頼んだ事がなかったのにセットを頼んだ事で、何かあるの?と聞かれ、バリスタやってる人です、と光也の事を話す理有。
男性は得意じゃない、と言う理有に、自分の身の上を話した広岡は、あまり深く考えるな、と軽くいなす。
会計の時に見つけたボディスクラブを買って店を出る理有。自分の臆病さを思い知る。

光也が働く喫茶店を訪れる理有。光也はオススメのオムライスを目の前で作って理有に出した。
久しぶりに手料理と呼べるものを食べる、と話す理有の言葉に喜ぶ光也。
そんな時に、エプロンを締めながら女性が入って来た。光也の叔母。星(せい)さんです、と紹介され「中城理有です」と挨拶する理有。
着替えて来ると言って中座した光也。気まずい空気の中で星が「中城ユリカって作家知ってる?」との質問。
母なんです、と言ってしまってから後悔する理有。驚く星。
あの子、中城さんの本持ってるわよ、との星の言葉にじわっと来るもやもやを感じて、理有は代金を置いてそのまま店を出てしまった。

 

ベッドで横になっている理有。光也から何度も来るメール。叔母が理有の母親の事を言ったことの詫び。
理有はスマホからパパにスカイプを掛ける。単刀直入に今日の事を話す理有。ママにこだわる理有を諭すパパは、ユリカは病気だった、ユリカの病気にも死にも理有は関係ない、と話す。
話すうちに、ママがインタビューに答えていた内容を思い出す。小説を書いている時が一番解放される、現実に向き合う時ほど絶望している。
パパとのスカイプが終わってぼんやりしているところへ、広岡からのメール。売ったものがボディスクラブではなくて、フェイススクラブだったという。フェイスはサービスであげるから、今度ボディを取りにおいで、というメールに、デートは途中で帰っちゃいました、と返す理有。
すると5分ほどして、また広岡からのメール。今新宿だからちょっと来い。上から目線の内容に、返信をためらっているうちに場所を知らせる追加メール。少し迷ってから出掛ける準備をする理有。

 

帰宅した杏。理有の不在に気付く。最近の理有の様子を心配している。
普段夜遊びしない理有の外出。今どこで、誰と何をしているのか。理有が今まで付き合った人は二人。
一人目は中学の頃。これはすぐに別れた。二人目は高校の同級生の樋口くん。初めてのキスもセックスも多分彼。
その樋口くんとは、ママが死んでから別れてしまった。
洗面台でフェイススクラブに気付く。ずっと通っている表参道の美容室の店長の話をよくしていた。「でも子供いるって言ってたしなー」と声に出してみると、その予想は急に重みを増した。「二十歳で不倫とか、重いなー」とまた呟く。

 

マックで昼食を摂りながら晴臣が、杏の話す理有の彼氏(と思われる)の美容師の話を聞いている。昨日急に思い立って染めたという、真っ赤な髪。
その美容室に行ってみようかな、と話す杏に同調して、自分も行こうかと言う晴臣。二人で手分けして店を検索する。
ようやく見つけた美容室「イプシロン」。美容師紹介のページで広岡さん、と名前を思い出す。杏はすぐに電話をして、広岡を指定し明後日の予約を入れた。次いで晴臣が指定なして同時刻の予約を入れる杏の話す理有との生活。ママのために死んでもいいと思っていた理有の、ママに対する執着心。
一緒に暮らさない?と持ち掛ける晴臣。理有が帰って来てから杏に、少し追い詰められている様な雰囲気を感じ取っていた。否定はしたが杏自身、理有が帰って来てから、この世界が少し暗くなったように見える。
ダンスの練習をしに新宿へ行く、と誘う晴臣。みんなを誘おうよ、とそれに乗る杏。


感想
母親の死の秘密を共有している姉妹。かなり性格の違う理有と杏。最初は理有の方がしっかりしているから、杏は甘え放題のお気楽な生活、と思っていたが、杏なりに理有との生活をストレスと感じているのがちょっと意外。

母親の死に際して、その自殺を病死としてしまった二人の心の負担が、これからの生活にジワジワと投影されていくのか。

 

広岡を、理有の不倫相手だと思い込んで、観察に出掛ける杏の、こっけいさの裏にある思いやり。
今のところ、ドラマとしての滑り出しは順調、カナ?。

 

 

NHKスペシャル 戦艦武蔵の最期 ~映像解析 知られざる真実~  12/4放送

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番組紹介
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161204

 

フィリピン シブヤン海。ポール・アレン率いる海底探査プロジェクト。戦艦武蔵の捜索を行っていた。手がかりは、残されたわずかな写真。
8年に亘る捜索の末に2015年3月、発見の歴史的瞬間を迎えた。5m、15tもある巨大な錨。艦首の菊の紋章。紋章は武蔵のシンボル。ニュースが世界を駆け巡った。
100時間に及ぶ未公開映像。知られざる武蔵の記録。

 

1200mの海底。低水温が腐食を最低限に留めていた。木甲板の板も残っていた。

ソナー探知器によるデータ収集により驚くべき事実が判明。船体は1km四方に散らばっていた。艦首と艦尾以外は粉々。

 

太平洋戦争の3年前に建造された武蔵、戦後その資料は焼却された。
最大の特徴は「不沈艦」。船体は1000以上の区画に仕切られ、浸水があってもまず沈まない。またエンジン装甲板は世界一の厚さを誇り、あらゆる攻撃に耐えるものだった。
それがなぜ粉々に砕けたのか。
映像解析により武蔵の最期を知るプロジェクトが7人の専門家により立ち上げられた。
武蔵はどのような戦艦だったのか。武蔵の全体像を探るため、映像を1000万枚に分け、立体モデルに再構築して行く。

 

最初に行ったのは艦橋。高さ31m。10階建てのビルに相当。船の全長は263m。ジャンボジェット3機分の長さ。

攻撃力は世界最大。そう信じて設計された。ただし想定したのは戦艦同士の戦い。
46センチ砲を前に2門、後ろに1門設置。40km先の敵を正確に撃破する。米国の量に対して質で戦うしかない。
構想は「大鑑巨砲主義」の中で進められた。昭和8年に国際連盟から脱退。それまで戦艦保有率を米国の6割以下に制限されていた。
武蔵は大和の後に極秘で開発された。レイテの米国艦を殲滅するため、大和と武蔵を投入する作戦。

 

沈没の真相が次第に明らかになる。船体合成の過程で現れた船体の「まくれ」。魚雷が命中して浸水と共に船体表皮が外にまくれ返り、その抵抗で機動性が極端に落ちた。
米国司令官ボブ・フリーリーのコメント「戦艦同士の戦いではない」。航空機により至近距離から魚雷を命中させる。
米国は日本が行った真珠湾攻撃により、空からの攻撃による脅威を知る。新たな認識。
レイテ沖戦の半年以上前に、日本側の作戦を知っていた米国は、1944年秋までに航空機による攻撃の戦術を練った。武蔵は恐るべき戦艦であり、排除する必要があった。

 

艦首に大量の浸水をしている写真が残っていた。原形を留めたまま沈んだというのが今までの定説。だが艦首の穴だけでは沈まない(前のめりにはなるが、後部で浮力を確保)。
なぜ粉々になったのか。バラバラになった残骸の詳細な検証が必要だが、部品形状も含め特定機密であり、解明が困難。
未公開資料として当時の製造元だった三菱重工から部外秘の図面200枚の提供を受けた。それにより残骸がどのパーツなのかを特定。バラバラになったのは心臓部。

 

装甲板はどこに行ったのか。データに記録されていた構造物→アーマー(装甲板)。
武蔵の装甲板は世界一厚かった。だがその厚さのため溶接が出来ず、4万本のリベットで固定されていた。リベットが破れたら装甲はもたない。
航空機魚雷による真横からの攻撃で装甲のつなぎ目を直撃され、板ごと外れて浸水した。砲撃を主体に考えた構造。設定の想定外。
この弱点には早くから気付いていたとの証言(元乗組員)。大和が一発の魚雷で装甲をやられた経験があった。この点を海軍の上層部は知っていて無視し、漏水対策をすれば良いとして、弱点は最後まで放置された。

多くの若者が「不沈艦」と信じた偉大な船。「やられるわけがない」。

 

1944年10月24日。最後の戦いがCGで再現される。100機以上の航空機による5時間以上の攻撃で沈み始めた武蔵はゆっくりと海に没して行く。だが海底の武蔵はバラバラ。なぜか。

水中で大爆発を起こしたのではないか(火薬の爆発)。ある残骸の発見。主砲の一部。弾を格納していた部屋がぐにゃぐにゃに変形。爆発があったとの推定。
火薬はある条件が整えば、空気がなくても爆発する。主砲には火薬100トンと砲弾160発が収められていた。
2番目の主砲が爆発したとの前提で行われたシミュレーション結果は、実際の現場の状況に近いものを示した。

2400人中1000人以上が戦死。終戦後の武蔵からの生還者は430人。現場で生き残った者の多くは陸上の戦闘に動員され、玉砕した。

 

 

感想
昨年見つかった武蔵。ニュースで見た時は確かにびっくりしたが、その後の情報がなく、今回の番組を観るまで忘れていた。

 

真珠湾攻撃でいち早く航空機の可能性を引き出した日本が、その愚かさのため、必然的に自滅して行った過程を改めて直視すると、本当に「やりきれない」という気持ち。
司馬遼太郎もさんざん指摘していたが、第二次大戦当時の軍部の愚かさというのは、他に類を見ない。

 

NHK Eテレ こころの時代「母なる神への旅~遠藤周作“沈黙”から50年~」11/27放送

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番組紹介
http://www4.nhk.or.jp/kokoro/x/2016-11-27/31/33012/2008265/

 

踏み絵 踏むがいい と言ったキリスト。
案内役 ノートルダム清心女子大学教授 山根道公。

 

日本二十六聖人(殉教者)。中には12歳の少年も居た。槍で刺され、その後火あぶり。殉教か棄教か、自分はどちらだろう。

 

江戸時代。長崎からローマに届けられた手紙。布教に赴いた日本で、神学者クリストヴァン・フェレイラが踏み絵を踏んで棄教したという。真相を知るため、日本を訪れるセバスチャン・ロドリゴ。

長崎市外海(そとめ)地区。踏み絵を踏まなかったモキチとイチゾウは、捕われて拷問を受ける。踏み絵は日本独特のもの。

衰弱する者たちを見てロドリゴは「何という殉教だ」と感じる。彼にとって殉教とはもっと輝かしいもの。ここでのそれはみじめで辛いものだった。
形式に捉われない信仰のかたち。ロドリゴは自らの信仰のありかたを問われる。

 

ロドリゴたちを案内して来たキチジローは簡単に踏み絵を踏み、銀貨でロドリゴを売り渡した。
捕まったロドリゴは奉行所に連れて来られる。自らの姿をキリストに重ねて喜びを感じるロドリゴ。
そこでフェレイラの声を聞く。自分が転んだのは、神が何もしてくれなかったから。踏み絵を踏めば日本人信徒が救われる。
ロドリゴは踏まなかった→自分が大事なのだろう。
転べばあの人たちが救われる。それをしないのは教会が恐ろしいから。
私だって同じだった。もしもキリストがここに居たら、彼らのために転んだだろう。
ロドリゴはそれを踏んだ。この足の痛み。「踏むがいい」。その苦しさはこの私が一番良く知っている。
痛さを分かつため、十字架を背負わせた。

 

「沈黙」は海外からも注目されている。今年のシンポジウムでの発言(ヴァン・C・ゲッセル)。
自分とキリストとの関係が大事。ただ米国は教会組織の関係もある。

 

ロドリゴが踏み絵を踏んだ5年後、キチジローが姿を現す。
主よ、貴方の沈黙は何だったのか。キリストは一緒に苦しんでいた。ユダに自分を「売れ」と言った。ユダの心も痛んだ。
キリストの言葉。ユダに「行け」と言った。この言葉をどう捉えたらいいのか。
突き放しではない、許しの言葉。気付き。

ロドリゴはキチジローに伝える。弱さを知っているのは神だけ。


感想
この作家の小説は、恥ずかしながら「海と毒薬」しか読んでいない。
だが、いつも思っているキリスト教のうさんくささが、日本人という自分の由来に関係しているのだろうな、という印象は昔からあった。神の存在を無条件に肯定出来ない。
なので遠藤氏が、日本人(というより自分)の感覚に合うようにキリスト教を仕立て直したかった、という考え方には非常に共感出来る。神に対する解釈、想いの転換。
今さらではあるが、読んでみるべき本、だろう。

 

来年、日本でもハリウッド映画として観ることが出来るようです(マーティン・スコセッシ監督)。
http://pdmagazine.jp/works/silence/

 


NHK ガッテン ウイルス&細菌を撃退!「口内フローラ」 11/30放送

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番組紹介
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20161130/index.html
番組詳報
http://tvtopic.goo.ne.jp/program/nhk/64689/1016157/

 

ヒトの口内には1000億個の細菌が繁殖している。その種類は500種。
悪い菌を住まわせないようにする事が重要。

田村宗明准教授(日本大学歯学部)。
善玉菌はインフルエンザ、ノロウィルス等をブロックする効果がある。
次世代シークェンサーによる分析。善玉菌9割、悪玉菌1割が好適(バランスが大切:善玉だけでもダメ)。

 

ガッテンボーイ宮森の実験→1週間歯を磨かない。
近年発生している突然死、大動脈瘤に口内細菌が深く関わっている。
大動脈瘤の患者の血液から、歯周病菌であるジンジバリス菌が検出された。
血管の中で何をしていたのか?
ネズミの実験。歯周病菌が入ると血管がいびつになる。その後血管壁が痛む。
ジンジバリス菌。脳に入ると認知症、脳梗塞。心臓に入れば心筋梗塞。その他肝炎、ガン、関節リウマチ等の病気の原因になり得る。病気を引き起こすメカニズムは不明(何かが悪さをしている)。

 

宮森の実験。4日目:5000億個。6日目:7000億個。10日目:1兆個。
実験後では悪玉菌の比率が5割になっていた。ただし血液中に歯周病菌はなかった(セーフ)。
悪玉菌が増えただけではトラブルにはならない。

あるきっかけ。
ジンジバリス菌は嫌気性→歯と歯茎の間を掘って行く。血管まで辿り着き、血管を破る→出血。
ジンジバリス菌が掘った跡が歯周ポケット(はっきりとしたサイン)。
歯磨きで出血する人は要注意。
規則では、歯の治療をした人は3日間献血出来ない。

炎症が起こると歯周ポケットは深くなる。ポケットが深くなるかどうかには個人差がある。
免疫力が落ちると歯周病菌が増える。年寄りの方が歯周病菌が多い。
急に口が臭くなった、口が乾燥する→菌の増殖。唾液は口内フローラを正常に保つ役割りを持つ。

 

秘策がある。
粉末緑茶のジェルを歯茎に塗る。口内フローラを正常に保つ。口内のパサパサが改善。
善玉菌の繁殖は抑えない(悪玉菌は抑える)。カテキンが効く。
粉末緑茶を水に加えてうがいもアリ。
緑茶のカテキンは歯に付かない。

 

感想
一応、歯のケアは毎食後行っている(通常の歯磨きと歯間ブラシ:時々デンタルフロス)。
だが、2年に1回ほど行っている歯のチェックでは、いつも歯周病の存在を指摘される。

そんなわけでこの番組観て、さっそくネットで「粉末緑茶」の検索かけたら、けっこうなメーカがヒット。
試しに取り寄せて「緑茶ジェル」をやってみた。
苦みはさほどないが、劇的に変わるという印象はない。まあ継続が大事という事か。

 

マダム・フローレンス! 夢見るふたり 2016年

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監督 スティーブン・フリアーズ

 

キャスト
メリル・ストリープ      フローレンス・フォスター・ジェンキンス
ヒュー・グラント       シンクレア・ベイフィールド
サイモン・ヘルバーグ   コズメ・マクムーン
レベッカ・ファーガソン   キャサリン
ニナ・アリアンダ       アグネス・スターク

 

 

親の遺産を相続し、暮らしには困らないフローレンスは、自分が設立した「フォスター・クラブ」の中で行われる出し物に出演する事が楽しみだった。その劇の進行役を務める夫のシンクレア。
リサイタルを終え、帰宅したフローレンスは、シンクレアに詩集を読んでもらう事で眠りに就く。彼女の頭からかつらを外し、ナイトキャップをかぶせるシンクレア。

 

フローレンスは、次からは自分が唄う事を思い立ち、シンクレアに頼んでピアニストを捜してもらう。
だがあまり勢いのある者には拒絶反応を起こした。ある面接で、穏やかな曲調を選んで弾く者と意気投合したフローレンスは、このコズメと契約するようシンクレアに指示。
シンクレアが、フローレンスの音痴ぶりを本人が気付かないよう取り繕っているのをおかしがるコズメだが、食って行くために契約し、適当に合わせてレッスンを始める。

 

フローレンスに懇願され、リサイタルの準備を着々と進めるシンクレア。観客はクラブメンバーで固め、報道関係にも金を掴ませて悪評が立たないよう配慮。

開かれたリサイタルでは、ひどい出来のフローレンス。資産家のスターク氏の新しい妻アグネスは、それを聞いて腹を抱える。その彼女を会場からつまみ出すシンクレア。
リサイタルで疲れ、体調が悪くなったフローレンスの許に、往診に来た医師。かかりつけ医から聞いていた話は、最初の結婚で夫から梅毒をうつされ、以後50年。夫とはすぐ離婚したが、その治療の副作用に延々と苦しんでいた。

シンクレアは自分のアパートに愛人のキャサリンを引き入れていた。リサイタル打ち上げの翌日、シンクレアを訪ねるフローレンス。あわててキャサリンを隠して事なきを得る。「愛情にはいろんな形がある」と言うシンクレアだが、そんな彼を軽蔑するコズメ。

 

キャサリンの機嫌を取るため、1週間のゴルフ旅行に出掛けるシンクレア。その間にフローレンスは自分の曲のレコードを作って、それを多数、復員兵の団体に寄付していた。
コズメのアパートを訪れたフローレンスは、問わず語りにシンクレアとのいきさつを話す。25年前に彼女の方が一目惚れして、それ以来の関係。

 

ゴルフ旅行から帰ったシンクレアは、フローレンスのレコードが悪い意味で世間の話題になっている事を知る。
その上、フローレンスはカーネギーホールを訪れ、ここでリサイタルを開きたいと彼に頼んだ。
最初は話を避けていたが、彼女の意思が固い事を知り、その実現に奔走するシンクレア。

 

リサイタル当日、復員兵の多数参加もあり、会場は満員の状態。フローレンスを笑ったスターク夫人のアグネスも来ている。
シンクレアが報道関係者を買収している事を不快に思っていたニューヨーク・ポストの記者も反対を押し切って会場へ。
リサイタルが始まってフローレンスが唄い始めると、その音痴ぶりに嘲笑と罵倒が渦巻いた。今までシンクレアの対策のおかげで、そんな場面を味わった事がなかったフローレンスは立ちすくむ。
その時アグネスが、大きな声で嘲笑している者たちを制した。そして拍手を始める。それにつられて次第に広がる拍手の輪。
フローレンスはそれで何とか落ち着いて、音痴ながらも無事にそのリサイタルは成功を収める。

 

リサイタルの後、各紙はその内容を好意的に書いたが、ニューヨーク・ポスト紙だけは辛辣な評を掲載。
シンクレアは町の売店からニューヨーク・ポストを買い占め、ゴミ箱に捨てた。
友人たちとのお茶会で新聞の評価を読むフローレンス。シンクレアにニューヨーク・ポストを持って来てと頼むが、話をはぐらかすシンクレア。
その店にニューヨーク・ポスト紙を持って来た男性。それを買い占めようとするコズメとシンクレア。そこで揉めているうちにフローレンスが居なくなった。
外へ出て売店でニューヨーク・ポストを買おうとすると、店主は男が買い占めてゴミ箱に捨てたと言った。彼女はそのゴミ箱から同紙を取り出し、読んでしまう。

ショックでその場に倒れてしまうフローレンスを見つけ、抱き抱えるシンクレア。

 

ベッドで目覚めたフローレンスは、今まで全てをシンクレアが隠して尽くしてくれた事を知る。そして「ひどい悪声だと言われても、唄った事実は誰にも否定出来ない」とほほ笑む。

 

感想
実話をもとに作られた映画。最初は観るところまで思っていなかったが、自宅の隣で家の解体工事があり、騒音避難の意味で映画館へ・・・・
だが思いのほか、いい映画だった。

 

金持ちの余興でリサイタルを開く女性と、それをサポートする夫。普通なら鼻もちならない印象になるが、嫌味にならないところがこの二人の優れた資質によるものか。
フローレンスの天真爛漫さが何といっても秀逸。眠りについたフローレンスのかつらを外すシーンにはホントびっくり。

しかしこの映画が成立した一番の要因は、コズメ役をやったサイモン・ヘルバーグ。実際にピアノを弾き、その最中の演技も全く違和感ない。10歳の頃からピアノを弾いており、メリル・ストリープも彼を絶賛。

 

大きな括りで言えば、コミカルな作品なのだが、クライマックスでは自然に涙が流れてしまった。特に涙腺が弱くなったとは思っていないが、やはりドラマの持って行きかたが優れているのだろう。

 

 

新聞小説 「クラウドガール」(3)金原ひとみ

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作:金原ひとみ 画:山城えりか

 

60~88 (11/1~11/30)

美容室のドアを開ける杏。大塚まりという偽名。予約された広岡が来る。続いて入店する晴臣。
カット、シャンプーと作業が淡々と進む間に、広岡が既婚者で十五歳の男の子が居る事まで聞き出す。
他愛のない会話は続く。恋愛の話、モデルに誘われないか、とか。広岡に「何か、夢がある?」と尋ねられた時、杏の頭の中で理有とママとで仲良く暮らすイメージが浮かぶ。だが、それが叶うことは生涯あり得ない。
突然辺りを見回した杏は、激しい動悸を感じて胸を押さえた。倒れそうになる杏を広岡が受け止める。
救急車を呼びますか、という声に、広岡は杏を抱き抱えて控室に向かった。晴臣が「どうしたの?杏」と声をかける。

杏は息が吸えない。痺れ始める手足。救急車を呼ぼうとする晴臣を制して広岡が「二分でいいから目を閉じて、ゆっくり呼吸して」と指示。吸って、吐いて、と言われるままに続けるうち、次第に胸の苦しさが和らぎ始め、落ち着きを取り戻す杏。
パニック障害の知人の事を引き合いにして、何かきっかけがあったか、と聞く広岡に、夢の話だと思いながら気にしないで、と返す杏。
応急的に最低限のカットだけして、代金は次に来た時でいいから、と話す広岡。そんな広岡を見て、理有が付き合う相手として、いいような気がしていた。
帰りのタクシーの中で「検査だけでもしてみよう」と心配する晴臣。

 

それから三日間、晴臣の家に泊まった杏。三日とも午後から授業には出たが、学校以外には外に出られなかった。
優しく労わってくれる晴臣。かけがえのない時間。
実家に行かないかと誘う晴臣。杏との結婚を考えていた。女優のシングルマザー長岡真理に育てられ、不良息子と書かれながらも、育児・教育を丸投げしていた経緯から、母親は何も言わないと話す。

 

理有に彼氏が出来たら絶対に会いたいと言っていた杏。それがようやく実現して杏と晴臣、理有と光也の四人でレストランに集まった。
注文選びに始まって軽い会話が続く。杏は、理有が姉らしく、ここ一週間杏が晴臣のところに居る話を聞きながら、光也の様子を観察していた。ただひたすら普通の人。
晴臣の母親が女優だという事を杏がバラして盛り上がるのを冷たく見る理有。ママの話に触れられたくない。
食事が運ばれて来て、食べながら光也が晴臣らにダンスの事を聞いた。喜々として説明する晴臣。
イギリスの中学で友達とジャンプスタイルの練習に通っていたが、大動脈弁狭窄症のため帰国。その後大きな発作を起こして二ケ月入院したという経緯。
光也はどんどん杏、晴臣と仲良くなっていくが、理有だけが取り残されている。
食事が終わってトイレのため中座した理有を追いかける杏。
杏たちの対応が、探られているようで、と迷惑そうな理有。どうして光也と付き合おうと思ったのかを聞くと、理有はイラついて杏は私の人生に関係ない、と遮る。
突然の拒絶に戸惑う杏。理有の去ったトイレで涙を流す。

 

理有たちと別れた後、もう帰ろう、と晴臣の家に戻った杏。晴臣がとりなすが、肩を震わせて泣く。
いつも隣にいた理有が自分を拒絶した。
でもここには晴臣がいる。自分の部屋に戻って衣類、靴などをバッグに詰め込む。冷蔵庫からチューハイを出して飲み干すと部屋を出た。

 

7時に晴臣と待ち合わせて食事をする事になっていたが、時間も早いので、一旦荷物を置きに晴臣の部屋に向かった。途中で思い出す理有とのエピソード。

晴臣の部屋に入り、彼がダンスの練習に行くと言っていたのを思い出す杏。冷蔵庫のビールを飲んだ時、寝室からの物音に気付く。
ノックをせず、寝室のドアを開けると、晴臣が居た。布団を剥がすと全裸の女。ビールを逆さにしてその女にかける。
違う、ちがうとわめく晴臣。裸のまま服をかき集めて部屋から逃げ出す女。
言い訳させて、と言って近づいた晴臣のこめかみを殴りつけた杏は、果物ナイフでシーツ、ベッド、カーテンを切り裂く。割れたガラス棚で手を切った。
我に返ったと思ったとたん、急激に襲う恐怖。息が浅くなり、動悸がどんどん早くなる。美容院の時と同じ発作。
晴臣は杏を抱き抱える。さっきまで殺してやろうと思っていた男に従う。
発作が収まるのを待って、マンションを出て行く杏。

 

母親の三回忌。祖父の運転する車の中で理有は杏からの連絡を確認していた。一週間前、四人で食事をして以降、杏とは連絡が取れない。
東京郊外にある母親の墓での法要。焼香を終え、その場を離れたところで高橋に会った。来ていない杏の事を「おさるさん」と呼ぶ懐かしさと共に不快感が広がる。母親が良く言っていた例え(調教すれば猿回しぐらいは出来る)。高橋は長い間母親の担当をしていた編集者。多分母親の元彼。母が離婚する前から不倫していたとの疑い。
未だに母親が心筋梗塞だとは思っていない高橋。
高橋に、母と不倫していたのか?と尋ねる理有。離婚後に一時期、そういう関係になったが、ある時期から急にビジネスライクになって解消したと話す。
左手の指輪を見て聞く理有に、三年前に結婚し、子供も居ると話す高橋。母親の小説の事を少し話すうち、高橋はユリカの最後の原稿を持っていると言い出した。

 

感想
お互い依存関係にありながら、平気で杏を裏切る晴臣の無神経さがハンパない。放任の母親(女優)のせいで精神的に欠落している部分があるのだろう。
杏自身にもパニック障害の傾向があって危険。
理有がこの中ではまともに見えるが、人を受け入れないという点では相当なもの。だからこそまとも風に見える光也とのつきあいを始めたのだろうか。

 

新たなキャストとして出て来た高橋。母との不倫を認めるも、相手にもされていなかったとシニカルに答える常識人。
母親の残した遺稿にどんな秘密があるのか。ちょっと楽しみ。

 

 

 

NHKスペシャル  ドラマ 東京裁判 12/12~15 4話連続放送

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番組紹介
第一話
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161212
第二話
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161213
第三話
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161214
第四話
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161215


<第一話>
世界11ケ国の判事が東京に集まった。大きな問い。人は戦争を裁けるか。
そこでどんな議論を交わし、どんな結論を出したか。手紙、覚書も交えて掘り下げて行く。
カナダ、オランダとの共同制作でドラマを作った。

 

日本における戦争の軌跡。
1930~40年代。日本は中国、東南アジア、太平洋地域で戦争を起こし。1946年9月2日に降伏文書に署名。
戦争犯罪人として逮捕された元官僚、軍関係者。
1945年11月、ナチスドイツがニュルンベルクで裁かれた。
1946年1月、マッカーサーにより東京裁判所憲章が公布される。28人がA級戦犯として起訴された。

 

戦勝国を主体として以下のメンバーが選出され、帝国ホテルに参集した。

オーストラリア   ウィリアム・F・ウエッブ  裁判長
アメリカ        ジョン・P・ヒギンズ  判事
イギリス       ウィリアム・パトリック 判事
ソ連         イワン・M・ザリヤノフ 判事
フランス       アンリー・ベルナール 判事
支那(中華民国)  梅汝敖 判事
オランダ       ベルト・レーリンク 判事
カナダ         E・スチュワート・マックドゥガル 判事
ニュージーランド  エリマ・ハーベー・ノースクロフト 判事

 

ウエッブを裁判長に選任したのはマッカーサー。

判事室でウエッブが課題の確認。この裁判で問うもの。
①平和に対する罪(侵略の罪)
②人道に対する罪(殺人、民族の根絶等)
③通例の戦争犯罪(捕虜虐待、戦場での残虐行為等)

各判事の見解が述べられる。梅判事:中国での残虐行為に言及。
ニュルンベルクの裁判で使われた映像が流れる。
第一次もおぞましかったが、これはもっとひどい。
日本が占領した区域→天然資源が目的。ドイツ、イタリアのファシストと組んだ。インドネシアが重要な標的。
戦犯として起訴された者の訴追期間は1928~1945年。被告のリストはどうやって作られたのか。恣意的に見えるとの意見。
ソ漣の要求で重光、梅津の2名が追加された。
被告を社会に戻すのか、処刑するのか。政治と軍が同じ様には動かない。
天皇の責任は?→起訴されていない。軽々しく議題を作るべきでない。
天皇は間違いなく責任を負っていた。

ウエッブとマッカーサーとの会話。何故天皇がリストから外されたのか。天皇は非常に重要な存在。今後の改革プログラムは天皇を通じて示される。
次いで判事2名の追加を伝えるマッカーサー。
インド       ラダ・ビノード・パル 判事
フィリピン     デルフィン・ハラニーリャ 判事

 

1946年5月のニュース映像。東京裁判の開始を伝える。
検察の責務は有罪の立証。

清瀬弁護士がウエッブ裁判長の忌避を申し立て。侮辱を受けたと憤るウエッブ。
格被告の罪状認否→全員が無罪を主張。
清瀬弁護士の主張は続く。平和に対する罪を裁く権限はない(この法廷に)。
ブレイクニー弁護人。戦争の刑事裁判であるなら、原爆を投下した人間、それを指示した国家元首も裁かれるべき。
戦争は合法。ニュルンベルクだけを見てはいけない。
大勢は弁護団の主張を却下だが、レーリンクは弁護団の主張の精査が必要と主張。

新たな判事、パルとハラニーニャを皆に紹介するウエッブ。
レーリンクとパルは、この裁判の進め方に違和感を持つ。
ピアニストのエタ・ハーリッヒ・シュナイダー女史とレーリンクとの出会い。
先行きに不安を感じたアメリカのヒギンズ判事が、この裁判から降りると言って帰国。

 

ドキュメント・パート
ドラマ制作の経緯説明。取材に8年。オランダ、カナダ、オーストラリアと共同で脚本を作成。
オリジナル・フィルムに着色してカラー化。

この東京裁判の論点整理。
第一次大戦後の国際法では、戦争を起こす事自体は合法。
1928年でのパリ不戦条約(侵略戦争を違法とする)。日本も参加。指導者個人の責任には触れず。
その後も続く戦争。その最大のものが第二次大戦。次の世界大戦を防ぐため必要だったニュルンベルクと東京の裁判。

ウエッブ、レーリンク、梅各判事のプロフィール。

 

感想
あの東京裁判を判事たちの側から描くという事で、なかなかの興味を以て視聴に取り掛かった。
ただ肝心の映画「東京裁判」はビデオの頃で1回、DVDになってからでも1回しか観ておらず、東京裁判そのものの内容についても記憶があいまい。
なので判事の人間ドラマについてあれこれ言うほどの資質はなく、思い出しながら共に進んで行くというスタンス。

1回目の流れとしては、まあまあではないだろうか。天皇の責任問題にそれなりに触れ、戦勝国の押しつけを象徴する、原爆を投下した人間の罪に対する言及も盛り込まれている。
基本的に、レーリンクを物語の進行役として、彼から見た「東京裁判」という体裁になっており、シュナイダー女史との交流など、実際にあったかどうか微妙なところでドラマ仕立てにしているのは、いいのか悪いのか・・・
レーリンクは弦楽の演奏を嗜むという文献記述もあるので、そういった事もあったかも知れない。シュナイダーも当時日本に居たので、まあいいか。ただシュナイダーはチェンバロ奏者であり、ドラマ中ではピアニストだったので、その辺の考証はどうだったのかな?


<第二話>
清瀬弁護人の主張(平和に対する罪についての疑義)を受け、判事の間で広がる不協和音。
米国判事が帰国したため、後任判事が加わった。

アメリカ       マイロン・C・クレイマー  判事

 

同じ軍属という事で喜ぶパトリック。

法廷では南京での大虐殺について検察の実証が進められる。許伝音、尚徳義らの証言。
許せないと憤るベルナールだが、それらを人道の罪として裁く必要はないと主張。
パルは侵略の罪の定義が必要だと主張。平和に対する罪の適用は事後法で裁く事になり、それは許されない(法学者の立場)。
平和に対する罪の適用で対立が深まる。パリ不戦条約、ニュルンベルク裁判も問題あったと考えるパル。

 

庭を散歩するレーリンクとパル。レーリンクはパルの意見にある程度同調するも、パルから見てレーリンク(すなわちオランダ)の植民地を持つ者の理論には反発がある。

ウエッブが起こした却下原稿を判事間で査読するが、まとまりがないと軽く見られる。また裁判が長引いている事を責められるウエッブ。
シュナイダーとレーリンクとの交流が始まる。
バターン行進についての検察の調べが始まる。ハラリーニャは辛くてその裁判期間中は欠席。
レーリンクと竹山道雄との交流。

 

レーリンクは判事間の打合せに席上で、侵略の罪は裁けないと主張。戦争は政策であり、個人のレベルで裁くものではない。
パトリックは、今後起こる戦争を食い止めるためにその罪が必要と考えている。噛みあわない主張。

解散後、パトリック(イギリス)、マグドゥガル(カナダ)、ノースクロフト(ニュージーランド)による談合。あと1~2人後に続くと多数派を維持出来ない。ウエッブは人の意見を聞きすぎる。
3人で辞表を出そうと決める(危険な賭け)。
パトリックは母国に辞意を伝える。困惑する首相。

マッカーサーがウエッブに進行状況を聞く。勝つ意思はトップが持たなければいけないとウエッブに指導。

 

裁判から1年半経った。1947年のニュース映像(長崎)。

弁護側の反証。ブレイクニー弁護人が、真珠湾攻撃以前にアメリカは暗号解読で日本の攻撃意思を知っていた、奇襲ではないと主張。
だが、ルーズベルトが知っていたとしても、攻撃場所までは知り得なかった。

パトリックらの画策が功を奏して、ウエッブに帰国命令が出る。表面上は困難な裁判への対応。
ウエッブはマッカーサーにこの指令の撤回を頼むが、指示に従って帰国した方がいいと逃げられる。

 

ドキュメント・パート
存在感を出して来たパトリック判事。イギリス政府への手紙が残っている(ウエッブの更迭に関するもの)。オーストラリア本国が、この事態を沈静化させるためにウエッブを召還した。

パトリックの根源にあるもの→戦争体験(パイロットだった)。
侵略戦争の罪を問えなかったら大変な事になる。戦争を犯罪として確立しなくてはならない。その前提で判事らを主導。

 

感想
裁判が始まり検察、弁護両面からのせめぎ合いの中で翻弄される判事たち、と言った感じか。
パル、レーリンクに代表される平和に対する罪「問えない」派と、イギリス連合の「問う」派との戦い。
ただ、ここでのやりとりは同じ様な内容が何度も繰り返されて、重要なのは判るが冗長すぎて散漫。

途中からパトリック判事の仕掛ける多数派工作が出て来たのが、話の流れとしては良かった。
とは言っても、判事の側に重点が行くあまり、検察と弁護の主張がどうなって、こう決着したという所まで表現されておらず(途中で放置)、要するに「ドラマ」としてしか利用価値がない(歴史の資料としては不満足)。
しかし何とタバコを吸うシーンの多いこと。そりゃああの時代だから、タバコが日常的だったというのは判るが、効果的な場面で一話中2~3ケ所もあれば十分だろうに(「風立ちぬ」でもあるまいし)。


<第三話>
駐日オランダ代表部のウィリンクを訪れるレーリンク。本国から他の判事と同調するようにとの文書を受け取っていた。国の利益と君の将来の事を考えている、ととりなすウィリンク。

パトリックはウェッブの後任にノースクロフトを推薦したが、マッカーサーはクレイマーを選出した。
クレイマーは軍人だから問題ないと容認するパトリック。

 

外出してシュナイダーを訪れるレーリンク。逢っても大丈夫か、と尋ねるシュナイダーにアーティストだから大丈夫だと返す。
裁判のストレスを打ち明けるレーリンク。

レーリンクと竹山との会話。自分に抵抗する勇気がなかったと悔やむ竹山。

 

ザリアノフがレーリンクを訪れる。ナポレオンの書物を読んでいる事に興味を持つ。なぜ処刑されなかったか→侵略を裁く法がなかったからと、レーリンク。

パルは法廷には出ず、判決文を書くことに重点を置いていた。戦争を始めたのは誰か、ではなく法があったかどうか。
レーリンクは毎日法廷に出るうちに、考えが変わって来た。被告を無罪にするようでは国際法の進歩はない。
パルは、拙速には出来ないと言った。
1947年12月のニュース。札幌の街の風景。クリスマス用品を売る東京の一方で土管に住む人もいる。

 

ウエッブが復帰した。マスコミが騒ぐのをマッカーサーが恐れたため。
被告の証人尋問が始まる。
エディ東郷と東郷いせ母娘と傍聴席に向かうシュナイダー。途中でそれを見掛けるレーリンク。
東郷茂徳への尋問。キーナン検事の追求。日本は戦争か自殺かの選択。戦争も仕方がなかった。
東郷の共同謀議説に反対するレーリンク。

 

シュナイダーとの演奏を楽しむレーリンク。裁判所で会った婦人の事を聞き、東郷夫人と知る。被告の身内と親しい者と会うわけには行かないと、その場を辞する。

 

東條英機に対する証人尋問。傍聴券に大枚をはたく者も居た。
天皇に逆らって何かをした事はない、という発言が問題になった→天皇が始めた戦争という意味か?
真珠湾攻撃の8日前、天皇は拒否権を行使しなかった。
1948年1月の証言。私の内閣において決定した。天皇はしぶしぶ同意したという立場。天皇は平和を望んでいた。ウエッブは、東條とキーナンの間に裏で完全な合意があったのだと判断していた。


レーリンクはウィリンクに立場を変えると報告。平和に対する罪を認める(ただし根拠は他の判事と異なる)。
多数派工作で協議を重ねるパトリック、クレイマー、マクドゥガル、ノースクロフト。情勢の確認。

 

ドキュメント・パート
巣鴨プリズンの紹介。
エタ・ハーリッヒ・シュナイダーの紹介。戦後日本のクラシック音楽の母と称される。ゾルゲと恋愛関係だったとも言われている。ナチスに反対したドイツ人という位置付け。レーリンクとしばしば逢っていたという記録がある。

 

感想
裁判も中盤にかけて、証言の重要部分が出て来た。カラー映像で見る東條の姿は臨場感があり、その一言一言がスンナリと頭に入って来る。
ただ、延々と続く平和に対する罪の議論に反して、検察の追求、被告証言との攻防などはあっさりし過ぎて、やはり娯楽作品的扱い。

ゾルゲと言えば、松本清張の「昭和史発掘」に出て来たような。とんでもない女史だこと。


<第四話>
1948年2月11日。キーナン検事による最終論告。責任者による評決を待っている。
レーリンクは侵略の罪を支持。ただしいくつかの同意が必要だと各判事に申し出る。事後法が問題だと言うが冷たくあしらわれる。

 

マッカーサーが判決の催促をするが、証拠が4万9千ページもあると突っぱねるウエッブ。
梅とレーリンクの会話。中国は現在内戦中。これが終われば帰れる。自分は多数派に加わる。

ウエッブとパトリックの会話。パトリックは過半数に達した自分たちが判決文を書くと言ったが、ウエッブは自分が書くと主張。
梅は「多数派には付くがウエッブ抜きはまずい」と主張。
そんな時にパトリックが倒れる。

 

ウエッブは手伝いの者を追加して判決文を加速。
レーリンクがパトリックを見舞う。二度の大戦でヨーロッパは破壊された。争いを止められない。
ニュルンベルクが先例。我々が擁護しなくてはならない。

 

レーリンクはウェリンクを訪ねる。オランダもニュルンベルク判決を支持していると諭すウェリンクだが、独立した判事として正しい事をしていると反発するレーリンク。

 

ノースクロフトが多数派としての判決書をウエッブの元に持参。ウエッブが承認。
レーリンクは抗議するが、道理にかなっているとウエッブ。我々の反対意見はどうなる?との抗議に量刑は空白になっている、最後のチャンスで死刑に反対は出来る。

死刑に対する意見出し。
天皇が免責されているのに部下を絞首台に送れない。
死刑は絶対必要。
死刑がなかったら、日本が主権を回復した時にみな赦免されてしまう。
各人の死刑に対する見解が噴出。

判決の一例として広田 弘毅、東條 英機について罪の内容が開示される。

 

1948年11月。1200ページに及ぶ判決文が読み上げられ(7日間を要した)、被告への宣告を行った。
複数の判事による理由書の追加が行われた。
判決の内容は全国に中継された。
広田:絞首刑、東郷:禁固20年、重光:禁固7年、東條:絞首刑・・・

最後に判事全員で記念写真が撮られた。

 

ドキュメント・パート
東京裁判の判決書は東京に保管されている。四つの個別意見書を加えて全2800ページ。ウエッブの意見書は600ページにもなったが、最後は21ページにまとめられた。

東京裁判の研究は今でも各国で続けられている。ハイデルベルグで今年学術会議が開かれた。

 

感想
第四話のまとめとしては、まあこんなものか。
先にも書いたように「人間ドラマです」との見解に異論はない。ただ、だからこそ淡々と事実の積み重ねが知りたかったという欲求も出て来る。
これを観たら、映画版の「東京裁判」(小林正樹監督)を改めて観ないと、どうも収まらない感じ。
ただし、カラー化された東條の姿は本当に臨場感に溢れ、この事でもっと深いところでの理解に繋がる気がする。全記録をカラー化して、通しで見せてもらいたい。

 

パル   ベルト・レーリンク

 

クローズアップ現代+ 「都市陥没~広がる地下クライシス~」 12/15放送

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膨張する地下。戦後作られたインフラが老朽化。

 

博多駅前の陥没事故。地下では何が起こっていたのか。
地下鉄の延伸工事の一環で拡幅工事を行っていた。
上から地下水が流入し、巨大な穴が開いた。
陥没1時間前に天井が崩れ落ち、25分後、トンネルは水びたしになる。

事故が起きる前から専門家が指摘。

 

専門家委員会議事録。
掘削で沈下が起こる。危ない。弱くて崩れやすい地層がある。
岩盤と地下水の間が崩れやすい(かなりボロボロ)。
注意深く行わなくてはならない。

 

事故を防げなかったのか。

専門家委員会。三谷泰弘。
限界まで進んでいた地下開発。
薬剤を砂に注入する方法があるが、すぐ固まるためライフラインを縫って入れる事が出来ない。

対策としてはトンネルを深くする事があるが、そこだけ深くすると駅との接続が難しくなる。
その結果天井を下げる工法を採用。探りながらの施工→挑戦(制約を受けながらの工事)。
忸怩たる思い(技術者としては)。

 

福岡のケースはどこでも起こり得る。
地下の使用は許認可制(民間の私有地は地下にも所有権がある)。
道路の下しか使えない→過密状態。
福岡ではライフラインが錯綜。電気、ガス、通信・・・10を超えるラインが大正~平成にかけて敷設(早いもの勝ち)。

委員会による原因の特定はこれから。
天井を鋼材で補強したが事故が起きた。
事前把握していたのに防げなかった理由→3月メドで報告。

 

全国147市町村で3300ケ所の危険個所がある。
なぜ陥没するのか?
電磁波を出す特殊車両による道路調査→地下で異変が起きている。空洞の存在。
現在230ケ所見つかっている。

陥没の原因→老朽化した下水管。亀裂が出来ると穴が出来る。
穴が開くと、そこを目がけて水が集まり空洞が出来る(実験映像)。
僅かな亀裂、破損が水の通り道となって土砂を引き込む→陥没。

 

対策は古い下水管の取り換え工事。だがこれが新たなリスクになる。

埋め戻し時の不均一。事故の割合→老朽化28、埋め戻し46、その他26。悩ましい状況。
工事では埋め戻し時の締固めをする事になっている(工事関係者)。
日本の下水の総延長46万km。このうち50年超え分は1万km。これが20年後には30%と飛躍的に増える。

自治体によっては掘らない工事(樹脂の巻き付け)も実施。ただし膨大なコスト。

 

より深くという方針もあるが、リスク大。

名古屋市西区で工事中に舗道が陥没。深さ30mの地下貯水施設。深くなるほど高い水圧を受ける。
土の中は見えない→リスクがある。
日本は地下水の取水に規制があり、地下の水が上がっている。東京駅も水に浮いている状態。

 

国の対策→専門家委員会。カギは地下利用の一元化。
どういう視点が必要か
①新規開発のリスクマネジメント
②作るから「維持」へ。人口減少に合せ、世代間の公平性を考慮。

 

感想
昨年だったか、時々散歩する公園内の遊歩道に、2m×1mぐらいの範囲で数cmの凹みがあった。
特に気にもせずにその上を通っていたが、ある日柵が張られて「通行禁止」。
1ケ月ほどで工事が済んで完全フラットになったが、もしズボっと行ったてら、と思うとコワい。

 

老朽化より埋め戻しの方が事故が多いなんて、シャレにならない。
だから「もぐらたたき」なんです、てか。

 

 

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