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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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笑う月  安倍公房(新潮文庫)

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かなり以前に読んで放置していた。今回義父の検査に付き合って、数時間の待ち時間があるというので持参したもの。全17編のエッセイ、短編、アイデアノートなどをごった煮状態にしたもの。


睡眠誘導術
羊が一匹、羊が二匹・・・というノリでインディアンを一人づつ弓矢で殺して行く。だが先端恐怖症で矢が自分を向く。そして人との待ち合わせまでの時間潰しに誘導術で見た夢の話。


笑う月
幼い頃から良くみた夢。直径1メートル半ほどのオレンジ色の満月。「花王石鹸」のような笑い顔。精神が活性化しているほど夢を見る。夢の有効利用(創作活動への)。


たとえば、タブの研究
A氏にとって重要な「タブ」なるものをB氏が製造して供給している。それをめぐる定義付けと行く末。


発想の種子
「燃えつきた地図」を書くためのプロットを記したメモ。ずっと探していて見つからず、脱稿から数年経って出て来た。「箱男」の着想にたどり着くための重要なメモでもあった。「箱男」も完成させてから出て来たそのメモの中に、種子は残っていた。


藤野君のこと
「ウエー(新どれい狩り)」に登場してくる飼育係。この人物のモデルになった男。その前に「ウエー」の発想の元となった話。北海道のいたるところで行われているアムダ狩り。アムダは人間そっくりの動物で皮はなめして靴、鞄、肉は食糧と期待をかけられていた。終戦を迎え、野生化したアムダが繁殖を始めた。その話に興奮する筆者。だがそれは「ハムスター」の聞き違いで、人間そっくりというのもネズミそっくり、だった。
その誤解の種子が二十年を経て小説となった。
藤野君の話はそれから更に遡り、満州からの引き揚げ船での事。引き揚げ者はすし詰め状態で、空間の争奪戦。そんな中で藤野君はいつも空間を確保していた。種明かしは「サッカリン」。この合成甘味料を日に三度、耳掻き一杯与えることで空間を買い取っていた。


蓄音機
一時期祖父の家で暮らした記憶。中風で寝たきりの祖父に、従兄弟がやるいたずらは、祖父が嫌う音楽を蓄音機で鳴らす事。叫び声を上げ、身をよじりながら蓄音機に向かう祖父。後年蓄音機になった夢を見た。その時、夢の中で唄った歌を覚えている。


ワラゲン考
終戦間もない頃、瀋陽での医学生時代、ワラジ虫の煎じ薬が発疹チフスに聞くという噂話をしたら、患者がいきなりワラジ虫を数匹飲み込んだ。その患者は快方に向かった。
病院経営をしていた叔父が肺炎に罹り、多少復讐の意味でワラジ虫の粉末を処方した。1時間毎に小便し汗もひどく、典型的な強心利尿剤の作用。
筆者はこれを「ワラゲン」と命名。ワラゲン的青春。


アリスのカメラ
筆者のカメラ好き。日本におけるカメラの物神崇拝。それに引き換え日本人のフィルム使用量の低さ。「不思議の国のアリス」の作者、ルイス・キャロルが晩年カメラに凝ったという話(少女の写真に熱中)。アリスは一種の恋愛小説だったという評価。


シャボン玉の皮
ゴミに惹きつけられる筆者。シャッターを押したくなる。「箱男」の中の8枚の写真の種明かし。自分がゴミそのものではないという自覚がかろうじて自分を支える「シャボン玉の皮」。


ある芸術家の肖像
劇作家のAとB。BがAの家へ強盗に入った。だが入っただけでそのまま逃げて行った。逃げられた後で、声もかけずに逃がした事を後悔する。Aは登山ナイフを持ち、革手袋をはめて外に出た(Bの家へ強盗に行くために)。この一件を芝居として夢想するA。だがその堂々巡りの中で立ちすくんでしまう。


阿波環状線の夢
前述の鉄道の沿線に伝わる風習。男性が女性の後方から性行為を行う限り、罪に問われないという。この夢をテープに吹き込んでから、長い間書けなかった。主体性の欠如。見なかったものを捨て去る勇気。


案内人
記述困難。石段を下りて案内人に続く。工場で蒲の穂のようなものを作る者たち。工場の片隅に導かれ、粉末の鳥料理を出される。案内人が突然四つん這いになりズボンを降ろすと、作業員が蒲の穂を案内人の尻の穴に挿入した。肛門の清掃だという。結局、これが現代のレストランだと語る。


自己犠牲
船が難破して、救命ボートに乗り移った三名。最新式のボートで、水とその他生活環境の設備は充実しているが、唯一食料品だけがなかった。医者と、コックと二等航海士。それぞれが、自らを食料として提供すると申し出る。
二等航海士が自分の首を掻き切って死んだ。解体して食料にする。それから二十日間後、再び食料が底をつく。自分が死ぬとお互い言い張って争いになる。医者はこれで殺される事を期待したが、コックは自らの心臓にナイフを刺した。それから四十日後、医者は救出された。
その講義が終わった後、医者はメスを取り上げ、僕の解体作業に取り掛かった。


空飛ぶ男
夜明けの空を飛ぶ男を見た。夢の続きと間違えて不用意に見続けていたので、相手に知られてしまう。来訪した空飛ぶ男との会話。この浮遊現象は伝染するという。強がりを言う自分を見透かしている男。



半年以上前に出した新聞の求人広告を見てやって来た男。大きな鞄を持っている。なぜ来たのかを聞くと、鞄に導かれて来たような事を言う。鞄に興味を持ちつつ、採用を決め、男が周旋された下宿に向かった後、ふとその鞄を持った。ずっしりと重いが、持てないほどではない。
いつの間にか事務所を出ていた。戻ろうとするも、どうしてもうまく行かない。鞄が行けそうかどうか、という基準で行先が決まった。私は嫌になるほど自由だった。


公然の秘密
半ば埋め立てられた掘割。泥と汚水がねっとりとよどんでいる。そこにうごめくもの。次第に姿を現すと、それは飢えた小象だった。鼻は腐って落ち、体も腐って痩せ細っていた。掘割から上がり、歩き出す小象。商店に向かうも店主は黙殺。小象が見物者の方に歩き出す。誰かがマッチを放った。嬉しそうにそれを食べる小象。次々にマッチが投げつけられ、中にはガスライターもあった。無邪気にそれらを食べ続ける小象。
やがて小象は古新聞のように燃え上がり、燃えつきた。


密会
ついさっき夢を見始めた男。医局長で、昼休みを使って同僚の女医と密会に行く途中、退院予定の女性患者と出会う(軟骨の1/3を樹脂と合金で補填)。患者は彼の話を聞こうと附いて来る。途中、米軍と自衛隊の交戦。たまたま入ったレストランには医局の全員が居た(密会相手も)。
レストランを出て、娘の家に行くが、家の中には異様な小動物(軟骨の異常)。逃げ出す医者。医局員とのゴタゴタ。戦争だとわめく医者に自衛隊員が、発狂した米兵の事件に過ぎないと言う。
娘から逃げる医者。戦車に向かって「志願する」と叫ぶ。


感想
安倍公房の「発想ノート」を覗き見した様な仕立てになっている。自分にも子供の頃、熱を出すと必ず見る夢があり、それが現れると極めて心細い思いをした。
夢のしっぽを掴むために、公房は枕元のノート、テープレコーダー等を駆使していた。
しかし時々「あらすじ」が書けない、本当に支離滅裂な内容を堂々と活字にしてしまう潔さ。
久しぶりに読み返してつくづく思う。すごい作家だったなぁ。


ファンキー加藤 下半身

ボーン・コレクター  2000年

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監督 フィリップ・ノイス


キャスト
リンカーン・ライム     デンゼル・ワシントン
アメリア・ドナヒュー    アンジェリーナ・ジョリー
セルマ(看護師)      クィーン・ラティファ
チェイニー(部長)     マイケル・ルーカー
ポーリー・セリット     エド・オニール
ケニー・ソロモン      マイク・マッグローン
リチャード・トンプソン   リーランド・オーサー
エディー・オーティズ    ルイス・ガスマン
バリー・リーマン医師    ジョン・ベンジャミン・ヒッキー


予告編
https://www.youtube.com/watch?v=w4z4Xsp-bos


あらすじ
刑事リンカーン・ライム。地下で起きた事件の検証に赴く中で事故により全身麻痺の体になる。動かせるのは首回りと指先のみ。
ニューヨークの空港で車を待つ夫婦。迎えが来ないのでやむなくタクシーに乗るが、目的とは違う方向に走る。

巡査のアメリア・ドナヒュー。パトロールに出掛ける矢先、連絡を受けて鉄道施設構内に急行。通報した少年から話を聞くうちに砂利の中から出た手を発見。指先の肉が取れ、骨が見えている。廻りを見回すと線路に何かが置いてある。証拠品と判断して貨物列車を停止させるアメリア。現場の様子をインスタント・カメラで丹念に記録した。


刑事のセリットとソロモン。リンカーンの元に事件捜査の協力を求めに来た。リンカーンは現在、刑事からは退き、独自の推理力で捜査に協力して一定の報酬を受けている立場だった。事故から4年が過ぎていた。住み込みの看護師セルマが日常の世話をしている。医療機器の調整をするリチャードは友人。

最初は興味がなかったが、アメリアが撮った写真を見て行くうちに単なる誘拐事件ではないと気付くリンカーン。そして写真を撮ったアメリアの捜査センスの良さを評価し、捜査メンバーに加える様に要求。

残された証拠(ボルトとアスベスト、新聞切り抜き)からリンカーンは妻が監禁されている場所と処刑時刻を推定。アメリアは無理やりの形で現場に同行させられる。
地下道の蒸気パイプが交差する場所。あと一歩で時刻に間に合わず、妻は蒸気を浴びて死んでいた。リンカーンからの無線指示で現場の証拠を集めるアメリア。だがリンカーンが特徴のある手錠を外すため、犠牲者の手首を切って外せという命令を、どうしても実行出来ない。思い余ってその場を放棄し、自分の家に戻るアメリア。


次の事件が発生。若者が黄色のタクシーで連れ去られた。冷静に戻り、リンカーンの元に戻るアメリア。残されたものの臭い、動物の毛などからリンカーンは場所を旧い家畜処理場だと推理。
アメリアも鑑識の道具を持って急行。だが青年は全身に付けられた傷をネズミにかじられて絶命していた。
今回も優れた証拠集めをするアメリア。

犯人が残した小さな紙片をPC画面上で組み合わせているうちに、アメリアが女性を顔を見出し、リンカーンはそれが出版社のロゴマークであると思い出したと同時に、その出版社が出している犯罪の実話録も思い出していた。
古書店でその本を見つけるアメリア。第一から第三の殺人まで本と同じ殺害方法と残された証拠。
そこに書かれていた第四の殺人。


同じ頃タクシーで老人と少女が連れ去らせたという情報が入る。
リンカーンから伝えられた推理に基づき、アメリアが二人を見つけるが、老人は救えなかった。
現場に残されていたナンバープレートの番号(それだけホコリが付いていない)を見て必死に思い出すアメリア。リンカーンが警察時代に撮った写真に付いていたナンバー(認識番号)と同じ。リンカーンの命が狙われている。


その頃、リンカーンを訪れる男。入り口に出たセルマをナイフで一突きして男が入って来た。男は医療機器調整のリチャード。
実はリチャードは以前、警官を数名殺した男の特定に関して鑑識上のミスを犯しており、その事がリンカーンの意見書により罪に問われて6年収監された。それを恨みに思いながらも、次第に友人としてリンカーンに近づいて行ったのだった。
動けないリンカーンはわずかに残る指の機能でベッドを手動にし、チャンスを捕らえてリチャードがベッドに手を掛けた瞬間、ベッドの背を倒した。指を挟まれて出血するリチャード。逆上したリチャードはリンカーンをベッドから突き落とし、銃を向けた。その瞬間、アメリアがリチャードを射殺する。


リンカーンの部屋でのクリスマス・パーティー。


感想
デンゼル・ワシントンが、全く動けない役ではフラストレーションが溜まったことだろう。アンジェリーナ・ジョリーは「そんなタマかよ!」の一言も言ってやりたい気分だが、アクション俳優としてブレイクする前の作品だから、まあいいか。


被害者の手首をノコギリで切り落として手錠を取れって、いきなりの指示では、そらー無理。
しかし、犯罪の質が緻密なようで全くなってない。リンカーンの指示も「碁盤目の様に歩け」と言いながら、その結果をアウトプットで再構築する様な場面は全くないし、ただの精神論かよ、と言いたくなる。

しかし、逆恨みではあるけど、犯罪の原因を作ったのが主人公、というのは後味があまり良くない。


それから、看護師セルマ役のクィーン・ラティファ。「TAXY NY」で過激なタクシードライバーの印象が深いが、ここでは非常に地味な役割。


NHK モーガン・フリーマン 時空を超えて「時間は存在するのか?」 6/10放送

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番組情報
http://www4.nhk.or.jp/P3452/x/2016-06-10/31/19225/1988020/


過去、現在、未来。別々なのか繋がっているのか。
一日を区切る数字の並び。
子供の頃、時計と無縁の時期を過ごした。太陽が目安。その時、時間に意味はさほどなかった。


時間は宇宙に存在するのか。
デイヴィッド・イーグルマン(脳神経科学者)。時間は脳内で構築されるもの。

ロジャー・スミス(時計職人)。グリニッジ標準時に合せて時計を作っている。
ニュートンは時間を拍動のようなものだと解釈していた。


リー・スモーリン(宇宙物理学者)。ニュートンは同じリズムを刻むと言っているが、ミュージシャンの合同演奏は、相対的な時間の流れを把握して進んでいる。メトロノームを止めても流れ続ける。


アインシュタインの相対性理論の確認。
アルミニウムイオン時計を二個準備。一個を他方より30cm上げて設置。上げた方が早くなった(時間の速さは重力の影響で遅くなる)。アインシュタインはこの事を予見していた。

ショーン・キャロル(宇宙学者)。アインシュタインは時間も次元の一つだと言った。重力→時空の歪みを生じ、宇宙では時間が早く過ぎる。


時間は人間の頭の中にある?
歳を取ると、時間の流れが早くなる。10歳を1とすると、20歳→1.4、60歳→2.5(時間の過ぎるスピード)。年齢によって感じ方が異なる。

デイヴィッド・イーグルマン。時間は心理的なもので変わる。事故に逢った人が、その瞬間をスローモーションの様に感じる→記憶は時間を歪める(細部まで記憶しようとする反応)。
時間は最も強固な思い込みでもある。


時間は存在しないという考えは2500年前からあった。パルメニデス。

ジュリアン・バーバー物理学者)。宇宙に時間は存在しない。瞬間の中に時間がある。静止画像のような空間。スナップ写真の集合体のような概念。時間は幻想。

リー・スモーリンはそれに反対する。


ティム・モードリン(哲学者)。数字、幾何学は時間と関係なく、物理学者は実際の世界が見えていない。時間こそ必要。空間はなくてもいい。時間は全ての土台。

時間の有無についてはビッグバンまで遡る。光が長い距離で速度を変えるか。時間が存在するなら光の速度が変わる→検証できる。

時間が逆に進む(反転した宇宙)。


時間はどこから来たのか。
ショーン・キャロル。証拠は至るところにある。
なぜ時間に向きがあるか。エントロピー。
時間が経つほどエントロピーが増大する。ビッグバン以降、エントロピーは増大傾向。


時間の何が謎なのか。

多元宇宙。母宇宙から子宇宙が生まれる時、低エントロピーから高エントロピーとなり、この時逆に進む宇宙も同時に出来る。


謎はまだある。時間の流れは横方向で説明される事が多い。もし上下にも流れているとしたら。
スティーブ・ワインスタイン。ひも理論からの発展。
四次元以上の空間の存在。

時間は一次元。もし時間が二次元なら形になる。電子、光子が二つの次元に存在するなら、時間が二つの次元に存在する事の証明になる→非常に困難。

時間の多元的構成は今までにない考え方。研究するしかない。
それが判ったとしても人間のサイクルは変わらない。


感想
はっきり言って「ついて行けない」。
というか、番組自身も学者のコメントを並べるばかりで、時間に対するアプローチとして体系付けられてもいないし、理解させようとする意欲も感じられない。

要するに、時間が存在するのか、しないのかは、けっこう深い問題として議論されていますぅ・・・という事だけが判った。


以下の表記を読んでから番組を考えると、腑に落ちる部分がある(でも難しい)。

時間の捉え難さ
http://www.rs.tus.ac.jp/makita/stellung/stell_phi_zeit_j.html

マネーモンスター 2016年

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監督 ジョディ・フォスター


キャスト
ジョージ・クルーニー     リー・ゲイツ      番組司会者
ジュリア・ロバーツ       パティ・フェン     番組ディレクター
ジャック・オコンネル      カイル・バドウェル   乱入犯
ドミニク・ウェスト        ウォルト・キャンビー  アイビス社CEO
カトリーナ・バルフ       ダイアン・レスター   アイビス社広報(秘書)
クリストファー・デナム      ロン・スプレチャー   番組AD
ジャンカルロ・エスポジート   マーカス・ポウェル  カメラマン
エミリー・ミード         モリー         カイルの恋人(妊娠中)
グラント・ローゼンマイヤー   デイヴ
クリス・バウアー         ネルソン


予告編
https://www.youtube.com/watch?v=R9_DD0DyJrQ


あらすじ
FNNでリー・ゲイツが司会を務める財テク番組「マネーモンスター」。リーの巧みな話術で高視聴率を取っている。番組ディレクターのパティ・フェンの指示を度々無視してアドリブに走る。運用上のメリットもあり、ある面泳がせているパティ。


その番組最中にピザのデリバリーを装って男が侵入し、スタジオのリーに拳銃を突きつける。男はカイル。母親が残した遺産6万ドルをリーの情報に従ってアイビス社に投資し、数日前に起こった同社の株価暴落によって大損害を被っていた。パティが映像を切るよう指示したが、カイルは生中継を続けるよう要求。パティは最低限のスタッフを残してみな避難するよう指示。


カイルは箱からベストを出させ、リーに着るように命じた。そこにはプラスチック爆弾が仕掛けられており、カイルが握る起爆スイッチを離すと爆発する。リーは6万ドル程度の損失なら自分が補填出来るとなだめるが、カイルはもう一人のキーマンであるアイビス社CEOのウォルト・キャンビーにも同じ思いをさせようとしていた。
アイビス社全体としての損失は8億ドル。アイビス社広報として番組出演のため待機していたダイアンは、事を察知して局から社に戻る。CEOのウォルトは自家用ジェットで飛行中のため、現在位置がつかめない。
カイルはこの損失が出た原因は何かと迫り、リーはアイビス社から聞いた「アルゴリズム取引におけるプログラムのバグ」と言う事を話すが納得しない。
そのプログラムがキーになると、パティはインターネットから情報を集める様指示を出す。

一方ダイアンもこの損失には疑問を持っており、プログラマーの一人と接触して問い詰める。男は、プログラムには一種のプロテクトがかかるため、一度の取引で8億もの損失が出ることはない。「それには人間の指紋が付いている」と示唆した。


ウォルトの乗る自家用機がようやく着陸し、ダイアンが事情を伝える。ウォルトは会見を行うと言い、ダイアンに場所のセットを依頼。ダイアンはウォルトの愛人でもあった。
ダイアンはウォウトのバスポートから、彼が南アフリカに居た事を知る。そしてその事をパティに伝える。
ウォルトの顔写真データから、彼のここ数か月の行動が全て抽出された。またダイアンから聞いた「コンボ」をキーワードにして新たな情報を得るパティ。


一方警察では犯人情報からカイルの恋人を突き止めていた。恋人のモリーは妊娠中。局に連れて来られ、ディスプレイ越しにカイルに話し掛けるが、その内容はカイルを汚い言葉で罵るばかり。意気消沈するカイル。
警察はベストに付いている起爆装置の受信部を狙撃して解決を図ろうとしていた。場合によりリーも受傷する。パティは直前になってその情報を知り、イヤホンでリーに伝える。間一髪で狙撃から免れ、その時イヤホンが脱落して、リーとパティとの連絡手段が途絶えた。リーはカイルに「真相を暴こう」と説得。カイルに受信機の盾になる様指示して局から外に出るリー。ウォルトが行うという会見場に向かった。リーに同行するよう頼まれ「度胸だ」と付いていくカメラマンのマーカス。
番組ADのロンに、リーへイヤホンを手渡すよう指示するパティ。


ダイアンはウォルトにテレビ情報を伝えず、カイル達が向かって来る事を隠した。
会見場に行く途中でロンがリーにイヤホンを投げ付けるが、過剰反応でカイルが発砲した。左肩を負傷するロン。
歩く途中でカイルが、プラスチック爆弾はただの粘土だと告白。だがリーは真相を掴むため、このまま演技を続ける決心をした。


会見場に到着するリーたち。その頃ウォルトはTV画面を見てようやく事情を知り、ダイアンを罵るが、彼女は事実を話せと見放した。

逃げ出そうとするところでカイルに見つかり、会見場に引き出されるウォルト。
パティが掴んだ情報をバックにリーがウォルトを追い詰める。
アイリス社の株価が暴落した原因は、取引の途中でアイリス社が故意に取引を中止したため。その暴落の裏でウォルトが8億ドルを捻出していた。
元々ウォルトは南アフリカの金鉱山に目を付けており、その会社のキーマンであるコンボを使ってストを乱発させ、株価を下げた状態でその鉱山の株を買い、のちに株価が上がったところを売り抜けて利益を生み出す予定だった。だがコンボはとことんストを続けると言って逆らい、予定した鉱山の株価回復が期待出来ず、大きな損を出していた。8億ドルはその補填に使われた。


事情がバレても自分の非を認めないウォトに銃を突き付けて謝れ、と迫るカイル。
とうとうウォルトが謝り、納得してカイルは起爆装置のスイッチを手放した。リーが「撃つな!」と叫ぶが、爆発が起こらないのを確認して警察がカイルを狙撃する。胸を撃たれてカイルは絶命。事件は解決した。


違法取引でウォルトが司法当局から告発される中、彼がリーに殴られる場面が、YouTubeですさまじい再生数を数えているとの報道。それを見ながら病院の一角で語り合うリーとパティ。


感想
大女優ジョディ・フォスターが監督した映画。2時間弱と、最近の映画ではやや短いが、非常にテンポが良く楽しめた。


軽薄なように見えるが、芯の部分では熱いものを持っているという、ジョージ・クルーニーがピッタリハマる役どころは、かつての「ER」のダグを思い出させる。
またパティも最初は事件に戸惑うが、次第にマスコミ関係者としてのプロ意識で、このライブ番組をプロデュースしていく姿が頼もしくもあり、恐ろしくもあり・・・。


コンピュータのアルゴリズムによる高速取引は、小説、映画で時々取り上げられており、さほど新鮮ではないが、あまりマニアックに走らず、一般民にもついて行ける程度の水準で説明が進む。

ただ番組準備のところで、リーに医薬メーカの勃起クリームを紹介するロンが「20分で検証しろ」と言われ、同僚とのSEXでそれを確認するなんて下ネタ豊富で、これが監督の趣味なんやろか、とやや疑問。

それから、社に戻るダイアン、飛行場でウォルトを捕まえる、会見場に向かう、と地理的にけっこう距離がある筈なのに、それをすっ飛ばしてどんどん畳みかけて来る。テンポはいいのだが、少し無理がある気がする。


また、故意に取引を止めたなんて、どう考えても秘密裏にやれる事ではない。この辺の辻褄合わせは、やっぱりキモだから、なぜ秘密に出来たのかキチンと裏付けがないと弱い。


それから終わりの方で、リーがウォルトを殴るシーンがYouTubeでガンガン再生されるというニュース映像の引き合いに出されたのが、なんとジャネット・ジャクソンのオッパイポロリ事件。僅か1~2秒だと思ったが一目見て思い出したので、米国民も、あれがインパクトある映像だと認識しているのだろう。


このジャネット・ジャクソンの行為がYouTbe誕生のきっかけになったらしい。12年前の話。
http://jisin.jp/serial/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%A1/hollywood/8738


オマケ(好きだね、俺も)
この画像の最後の方でJUSTIN TIMBERLAKEがジャスティンのドレス右胸をはぎ取った。
右胸だけ取れるドレスなんて普通作らんから、これは確信犯。
https://www.youtube.com/watch?v=npF1lkKEM9o

https://www.youtube.com/watch?v=WJEXKFWu-y8


最近の映画・TV 2004年~

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最近の映画


<洋画>


アイアンマン  2008年

アビエイター  2005年

アレキサンダー  2004年
イルマーレ  2006年

インセプション  2010年

インターステラー  2014年
ウォール・ストリート  2011年

ウルヴァリン 「SAMURAI」  2013年

エクスペンダブルズ  2010年 (10/31 TV放映)
X-MEN THE LAST STAND  2006年

X-MEM フューチャー・&パスト   2014年

エリジウム    2013年

エンダーのゲーム   2014年

オデッセイ  2016年

オブセッション 歪んだ愛の果て 2009年

オブリビオン   2013年

ALL YOU NEED IS KILL   2014年

96時間 2008年

96時間/リベンジ 2012年

96時間/レクイエム 2015年

GODGILLA   2014年

ゴーン・ガール  2014年
クラウド・アトラス  2013年

ザ・シューター/極大射程 2006年 

ザ・バンク(堕ちた虚像)   2009年

サンシャイン2057  2007年

幸せのレシピ 2007年

Shall we Dance?  2005年

16ブロック   2006年

ジュピター 2015年

シンデレラマン  2005年 

スターウォーズ エピソードⅢ  2005年 

スター・ウォーズ 「フォースの覚醒」 2015年

スタートレック   2009年

スタートレック・イントゥダークネス  2013年

ゼロ・グラビティ   2013年

007 スペクター 2015年

ダーク・ナイト  2008年

ダークナイト・ライジング  2012年

タイムマシン  2002年

ダイ・ハード/ラスト・デイ    2013年

ダ・ヴィンチ・コード  2006年

地球が静止する日  2008年

父親たちの星条旗  2006年

ディパーテッド   2006年
トゥモロー・ワールド  2006年

トランセンデンス   2014年

ナショナル・トレジャー  2005年

バットマン ビギンズ  2005年

バベル  2007年

ファイヤーウォール  2006年

フライトプラン  2006年

ブラック・スキャンダル 2016年

フレンチなしあわせの見つけ方  2005年

プロメテウス  2012年

ホテル・ルワンダ   2004年

ボルベール〈帰郷〉  2006年 (8/17TV放送)
マイ・インターン 2015年

マネーモンスター 2016年

M:i:Ⅲ  2006年

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 2011年

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション 2015年

ルーシー   2014年

ルーパー(LOOPER)  2013年

RED/レッド 2010年

レッドクリフ part1  part2 2008年

レヴェナント: 蘇えりし者 2016年

私の中のあなた   2009年




<邦画>


2012年

アウトレイジ  2010年
アウトレイジビヨンド  2012年
明日の記憶  2006年

あなたへ   2012年
アンフェア the movie 2007年

アンフェア the answer  2011年

アンフェア the end 2015年

アンダーウェア (TVドラマ) 2015年 (2016年再放送)

硫黄島からの手紙  2006年

家族はつらいよ  2016年

蝉しぐれ  2005年

そして父になる 2013年 2/7 TV放送

TAKESHIS’  2005年

地下鉄(メトロ)に乗って  2006年

東京家族 2013年

東京タワー  2004年

日本沈没  2006年

半落ち  2003年 (8/10TV放送)

亡国のイージス  2005年

真夏のオリオン  2009年 (5/27TV放送)
夜明けの街で 2011年

ローレライ  2005年


<TV>


お父さんは二度死ぬ 2013年  紹介  第1話  第2話  第3話  第4話

鴨川食堂 BSプレミアム  1/10~2/28放送(毎週日曜)

NHK 木曜時代劇「ちかえもん」1/14~3/3 全8回

吉原裏同心 (NHK木曜ドラマ) 2014年

名古屋行き最終列車 2016  2/1~4



ちょっと前の映画 1985年~

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NHK シリーズ キラーストレス 6/18、19放送

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第1回 あなたを蝕(むしば)むストレスの正体 ~こうして命を守れ~
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160618
番組詳報
http://tvtopic.goo.ne.jp/kansai/program/nhk/25413/497491/


ゲスト 高須高聖、林修、澤穂希、小島瑠璃子。

ワシントン大での実験。被験者への課題:1873から順次数字を引いていく→扁桃体が反応する。
恐怖や不安を感じた時も扁桃体が反応し、副腎からストレスホルモンを分泌→心拍数を増やし、また血液を凝固し易くする。

自律神経:興奮すると血管を締め付け血圧を上げる→ストレス反応。

数万年前(狩猟時代)。天敵だらけ。逃げないと生きられない→ストレス反応で生き延びる。ケガをした時、血が止まり易くする。命を繋ぐための機能。


天敵が居ない現代でも体は恐怖、不安に反応→キラーストレス。

お通夜に行く途中に倒れた人。脳出血→一命を取り止めた。睡眠不足のところへ親戚の死で精神的に追い詰められた。
複数のストレスがキラーストレスを生む。ストレス反応の暴走。


・・・・飲酒によりここでダウン。


第2回 ストレスから脳を守れ  ~最新科学で迫る対処法~
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160619
番組詳報
http://tvtopic.goo.ne.jp/kansai/program/nhk/25413/497836/


ゲスト 高須高聖、林修、古川 聡、小島瑠璃子。進行:熊野宏昭。

堀北祐司(大手家電メーカ勤務)15年前にうつ病を発症。クレーム処理の顧客対応を4年間続けた。眠れない、心ここにあらず→うつ病の診断。


ストレスを受けると扁桃体が活動。副腎からストレスホルモン分泌。拍動を早め血圧を上げる。
注目されているものはコルチゾール。通常は脳内で吸収されるが、一定量を超えると脳を破壊する。
ネズミを金網内に留めておくと、海馬に異常が起きる。海馬を構成する神経細胞が目立って減っている。
海馬の損傷がうつ病の発症に関係する。うつ病の人は海馬が委縮している。

天敵が居ない現在。人間関係による精神的負担。たて続けのストレス(休むヒマがない)。ずっとストレスホルモンを出していなくてはならない。


コルチゾールの過剰分泌。
さらに悪化するしくみ→記憶力、想像力。
厳しい叱責を受けると、その場だけでなく家でも思い出す。その度にストレス反応を起こす。過去、未来に亘って支配→マインド・ワンダリング。これが生活時間の多くを占める。


ハーバード大。2250人による行動心理調査。マインド・ワンダリングで考える時間が生活時間の47%を占める。あれこれ考えるのがストレスを呼び、心の状態を悪くする。珍しい事ではない。
①がんばるストレス→体の反応(アドレナリン)
②我慢するストレス→落ち込み、不安、心のストレス(コルチゾール)


マインド・ワンダリングが続くとどんどん落ち込む。インターネットの普及が影響している。テキスト情報が主体のため、いろいろ考えてしまう。
海馬がうつ病に関与。ストレスに強い人、弱い人→生れ育った環境。
強いストレスを受けた人の30年後、脳の扁桃体に変化が見られる。
幼い時にストレスを受けると扁桃体が大きくなる。小さなストレスにも反応する→ストレスホルモンをどんどん出す。成人になって影響が出る。
環境、遺伝、生活習慣等ですぐ起こる。

今に満足している人はストレスが少ない→だからストレス対策が必要。その最前線は「宇宙」。一瞬のミスで命を奪う。

JAXA→ストレス対策の研究を行っている。宇宙航空医師:緒方克彦。

コーピング(ストレス対処法)
ストレスが掛かった時、何をやったら気晴らしになるかを決めておく。音楽、読書・・・・ ストレスが掛かるたびに、それに見合った気晴らしを行う。観察、対策を繰り返す。
古川宇宙飛行士の気晴らし:家族との通信、青い地球を見る、一人野球。

広島大 岡本准教授。閾値下うつの患者に対しての専門プログラム。気分が上がる行動をリストアップし、達成感、喜びの度合いを10点満点で点数付け。気分と行動の評価。

意識下うつ患者118人に展開。対策なし→変化なし。対策あり→健康レベルに回復。

ミシガン大 キング教授。ストレスを数値化する事で、扁桃体の活動時に前頭葉が活性化して抑制している事をつかんだ。車のアクセルとブレーキの関係。コーピングは、木に触れることでも効果がある。何でも試してみる。空を見る、歌を唄う。心のチャンネルを変えて整えて行く。
自分のストレス対策を認知する。実際にやってみる。
ゲストの書き出し。小島:6、高須:9、林:6、古川:12.質より量。カウンセリングでは100出して下さいと依頼する。
思い描くこともコーピング(宝くじが当たる)。
ストレスが来た時にやってみる。しょぼくてもいいからたくさん出す。


世界のストレス対策、トレーニング→マインドフルネス(プログラム)。
大企業が取り入れ、学校、刑務所にも展開。
マサチューセッツ大 サキ・カントレリ教授。

基本は瞑想(ただし宗教性を排除)。
体と呼吸に意識を集める。雑念が浮かんだら考えない様にする。毎日10分。8週間のプログラムで 体の不調35%、心の不調40%が改善。
マインド・ワンダリングはくよくよする事でストレスの再生産。
マインドフルネスは今に注意を向ける事でコルチゾールの分泌を抑える。
16人の追跡調査。海馬が5%増加(回復)。扁桃体5%減少。過敏な反応の抑制。


マインドフルネスの具体的方法
・体がまっすぐの位置を探す
・顔の力を抜く
・呼吸の長さをコントロールしない。感じ続けて見守る
 膨らみ、膨らみ・・・縮み、縮み・・・気付きが追いかけて行く
・雑念を除く
・吸った息が行き渡る感覚
・部屋の広さにも意識を広げる
・まぶたの裏に注意を注ぐ
これは、日本の文化に既にあるもの(禅)。


どういう人がどういう対策をすればいいか。
実社会ではコーピングがいい。
疲れが溜まったらマインドフルネス。


感想
初日は、娘から父の日プレゼントで送って来た「空山独酌」飲んでいい気持ちで見てたので、不覚にも途中で寝てしまった。まあゲストにこじるりなんて低レベルなモンを出してるから、そのせいもあったが・・・・


2回目はキッチリ見て、これはかなり参考になった。
うつ病が脳を破壊するなんて、想像もしていなかったが、コルチゾール恐るべし。
幼い頃の恐怖体験、貧困、苦痛等が成人しても影響を残すという事が、具体的に示された形になる。


ストレスに強い人、というのは、それをやり過ごす能力が高い人、という事。
自分自身、成人したら子供の頃の事は関係ない、と思ってここまで来たが、要するに肉体的、医学的に残る影響というものを認識し、ストレスによるダメージを回避するという意識改革が必要、ということ。


人生の第三コーナーにかかってから判っても、ちょっと手遅れ感はあるが、それでも今後を少しでも快適に暮らすため、実践してみたい。




新聞小説「春に散る」(12)沢木 耕太郎

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作:沢木 耕太郎 挿絵:中田春彌 5/1(386)~6/11(426)


竜が曳く車 1~41
広岡は令子に、翔吾が山越ハヤトとの一戦を承諾した事を伝えた。試合まであと5週間。5人で練習のスケジュールを決めた。


だが練習初日が雨。家の中でのトレーニングを決め、居間兼食堂を片付ける。「悪くないな」と藤原。
一通り4人相手のミット打ちが終わってから、佐瀬が鍔のない竹刀を持って来た。通称「三九」と言われる120cm程度のもの。かつてジムのトレーナーがこれと同じサイズの竹刀をトレーニングに使っていた。
佐瀬に促されてその使い方を翔吾に教える広岡。
リング上でのボクサーの前後の動きは、この竹刀の全長の範囲に収まる。途中の目印である柄の端、中結という革紐の結び目の位置に応じて相手との間合いの掴み方が変わって来る。ジャブを受けながら翔吾に指示を出す広岡。そして中結から剣先までの間が、翔吾が戦う時の距離だと教える。


翌日から佐瀬の三段打ちの練習が始まった。まずノーステップで一段目のジャブを打ち、すぐに踏み込んで二段目、更に半歩前に出て三段目のジャブを打つ。この攻撃に相手が慣れると、相手は一発目のジャブで過剰反応してバランスを崩し、それがまた攻撃のきっかけになる。
三段打ちの極意は、打ち抜こうとするのではなく、引き剥がそうという意識でやること。打つのではなく、引く。その秘密を広岡は初めて知った。
数日でその技をマスターした翔吾。


次の週からは藤原のインサイド・アッパー。ロープに追い詰められ、相手が嵩にかかって打ち込んで来た時、相手に隙が出来る。そこでロープの反動を利用して一歩踏み出してアッパーを突き上げる。
追い詰められた時、一歩前に出る事がパンチをかわす事になると教える藤原。


この日は星の料理で、翔吾も一緒に食べた。相変わらず旺盛な食欲の翔吾。
佐瀬が翔吾にウェイトを聞いた。スーパーライト級のリミット63.5キロまであと1キロ落とせばいいと返す翔吾。藤原は、プロのボクサーは観客に勇気を見せる事で金を貰う職業だと言った。

翔吾が帰っても、藤原は酒を飲み続けていた。一杯つきあう広岡。俺は勇気がなかった、と語る藤原。広岡も知らなかったが、藤原には娘と息子がいた。娘が11、息子が7歳の時に離婚。今後一切会わないでくれ、と元妻に言われ、逆らえなかった。もう三十を超えているとのこと。堅気の生活をしている。一つくらい、息子に教えてやりたかったと話す藤原。一歩踏み出す勇気。


対山越戦の練習が始まった次の週に、広岡は翔吾を連れて真拳ジムを訪れ、移籍の礼を言わせた。そして、スパーリングの相手を捜してくれる様頼む。
真拳ジム側が見つけてくれたのは城南ジムの藤田。スーパーライト級の日本3位。
真拳ジムでスパーリングが行われる当日、4人も様子を見に来ていた。
藤田とのスパーリングは、圧倒的に翔吾の方が強かった。練習生たちも驚きの目でそれを見ている。ジムのホープ、大塚が広岡に一年もブランクがあったとは思えないと話し掛けた。

2日目以降、藤田と翔吾の力量差は更に歴然とし始めた。
4週目に入り、長めのスパーリングに入ろうとした時、令子から、藤田が足を捻挫してスパーリングが出来なくなったとの連絡が入る。だがそれは口実で、藤田が自信をなくしているのだという。
困ったという広岡に、令子がうちの大塚とやってみないかと提案。世界レベルの選手が相手なら願ってもない。


次のスパーリングの日、翔吾と大塚は6ラウンドのスパーリングを開始した。早いスピードで優勢を保つ大塚。翔吾も大塚のスピードに慣れていき、善戦した。5ラウンド目に入り、さすがに翔吾は疲れを見せ始める。大塚のフックでぐらつく翔吾。大塚はワン・ツーを放って追い込む。だがロープを背にした翔吾は大塚の動きをじっと見ていた。
飯塚がフックを打とうとした瞬間、広岡と藤原はその意図を知り「打つな!」と叫んだが、その前に翔吾の右アッパーが大塚の顎を打ち抜いていた。
倒れた大塚はしばらく動けなかった。まだやれるという大塚を制して、スパーリングはそこで終了となった。
シャワー室から出た大塚が広岡に話し掛ける。ラッキーパンチだったという広岡に、アッパーにラッキーはないと返す大塚。僕も、広岡さんに教わりたかったと話す大塚。


ジムからの帰り道、藤原が翔吾に「誘ったな」と言い、誘っては駄目だと諭した。不満そうな翔吾に、いざとなればあれがあると思うと、試合運びが雑になると言い、それをするようになって俺は確実に弱くなったと言った。


試合当日、後楽園ホールは満員だった。広岡は万一異変が起きた時の事を考えて、セコンドは残りの3人に任せた。
そこにやって来た佳菜子。社長からの伝言で祝勝会の予約を決めてくれという。気が早いという藤原に「黒木君は勝ちます」ときっぱり言う佳菜子。

セミ・ファイナルも終わり、翔吾の試合の番が来た。翔吾らがリングに上がると、大音響の音楽と共に山越ハヤトが登場。動画で見た時よりはるかに大きく見えた。広岡は令子に促されてリング脇の椅子席に座った。
試合開始。いきなり攻撃して来た山越のパンチを危うくかわし、翔吾も戦闘モードに入った。藤田とはレベルが違い手強い相手。1ラウンドが終わり佐瀬、星、藤原がセコンドとして対応しているのを見て「年寄りの冷や水!」続いて「年寄りの死に水!」とのヤジ。星は睨み付けたが、翔吾は笑いをこらえきれずに体を動かした。

笑ったおかげで緊張も解け、次第に翔吾のペースになって来た。ラウンドを重ねるうち、翔吾は確実にポイントを重ねて行った。だが山越のタフさは想像以上であり、ノックアウトはまず難しいと思われた。6ラウンドが終わった頃から翔吾がしきりに広岡の方を見るようになった。7ラウンドの途中でまた翔吾が広岡を見た。何かの許可を求めている、と感じ、インサイド・アッパーを使いたがっていると理解する広岡。
8ラウンド開始の時、またこちらを見た翔吾に、大きく頷く広岡。
ラウンド後半で山越のフックを受けて吹っ飛ぶ翔吾。一気に勝負を付けようと乱打を始める山越。とどめの一発を打ち込んで来た山越に、ロープの反動を利用して踏み込んだ翔吾は完璧なアッパーを打ち込んだ。打ち抜かれた山越は動かない。


控室に戻ると、新聞や雑誌の記者が押し寄せて来た。慣れた様子で対応している翔吾。
広岡が通路でぼんやりしていると、年配の男性に話し掛けられた。名刺をもらって、先方も当時若手のライターだった事を思い出した。彼は、広岡がアメリカで成功していた事も知っていた。

ホールに戻ると佳菜子が待っていて、祝勝会に案内するという。

出口に向かう途中で似たような歳の男性に呼び止められた。翔吾の父親だった。状況を察して先に行く佳菜子。
会うのは初めてではないと言う黒木は「ハザマショウイチ」と名乗った。羽佐間正一は、過去に広岡が戦ったボクサーの一人だった。6回戦に上がって最初の相手で、広岡が大差で勝った。
広岡に負けてからボクシングをきっぱりとやめ、当時働いていた町工場で続けて働いているうちに、その家の娘と結婚して婿養子に入った。それで黒田姓になった。

栗木の妻は40代で乳がんにより亡くなり、その後健康維持のためのボクシングをやろうと近くのジムに通った。そこの女性インストラクターと親しくなり、妊娠させてしまった。歳の差が恥ずかしかったが急いで結婚し、そうして生まれたのが翔吾。そのジムが後継者難を理由に廃業しようとしていたのを知り、譲り受けて今に至る。
幼少から非凡な才能を発揮していた翔吾だが、プロに転向して7戦目に勝利してから突然止めると言い出した。その後の話は広岡の知っている翔吾と符合する。
息子を生き返らせてくれたと感謝する黒木に、本当にそうだろうか、と自問する広岡。


祝勝会場の居酒屋に行くと佳菜子が一人で待っていた。続いて残りのメンバーが続々と到着。皆で生ビールで乾杯。翔吾も許可を得て飲んだ。
「佳菜ちゃんの言った通り翔吾はノックアウトで勝った」と言う星の言葉を聞き、それでインサイド・アッパーを使いたかったのかと理解した広岡。次は星のボディ・フックだな、と言う藤原に、その前にやらなければならない事がある、と言う星。


あのパンチを効果的にするにはもっと体を鍛える必要がある。星たちは当時港湾荷役のアルバイトもやっており、それが体幹をいつのまにか鍛えていた。今は二代目となっているその佐藤興業で翔吾を働かせてくれるよう令子に頼む広岡。
もしそこに通うとなると、翔吾の家からでは遠すぎる。藤原が翔吾をチャンプの家に住まわせる事を提案。皆が賛成した。

そこに佳菜子が、私もチャンプの家に住みたいと言い出した。部屋は1階の和室が空いてはいる。どうして?と聞く星に家賃が倹約出来るから、と答える佳菜子。貯金するという。何のために?という問いに広岡は、以前彼女から聞いた言葉を思い出し「ヒ・ミ・ツなんだね」と収めた。


佳菜子はこうなると思っていたと話す。翔吾という名前。里見八犬伝だと言う。広岡の名前、仁一の仁が里見八犬伝から付けられたと聞いた佳菜子はマンガでその物語を読んでいた。広岡はが仁一で一、藤原が次郎で二、佐瀬は健三で三、星は奥さんが弘を弘志として四を与えたと言う。そして翔吾の五。佳菜子は七ではなく、亡き父の旧制が六浦だったから六。

七と八がないと言う佐瀬に、星が真田会長の言っていた六頭の竜、と言い出した。古代中国では太陽は六頭の竜に曳かれた車「日車」に乗って昇るという。皆が曳く太陽は誰か、という星の問いに佳菜子が「会長です」。令子は零、〇だから。望みは何かと星に問われて、世界チャンピオンをこのジムから出す事かも、と答える令子。父親の願いだった。
広岡は、このために自分が日本に帰って来たのかも知れないと思った。


感想
カムバックの試合で見事に勝ってしまった翔吾。まあ、出来過ぎではあるけど、ハナシ的にはそうなるわな。
翔吾と父親の話す内容の微妙な違い。立場が違うとこうも感じ方が違うのか、とある意味実生活でも示唆となる。

翔吾がメインだが、ここへ来て佳菜子もチャンプの家に入り込んで来るとは。里見八犬伝にはまいったが、若い人の少々強引な思い込みも愛嬌か。
佳菜子が金を溜めたい理由は・・・・ヒ・ミ・ツね。


今まで張った伏線をそろそろ回収いないと、なんて大きなお世話か。


NHK モーガン・フリーマン 時空を超えて「パラレルワールドは存在するのか?」 6/24放送

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番組情報
http://www4.nhk.or.jp/P3452/x/2016-06-24/31/29350/1988004/


もう一人のあなた。別の人生があったら。


マックス・テグマーク(宇宙学者)。宇宙は無限であり、起こりそうもない事が起きる。人体は膨大な原子で構成されているが、宇宙の中に自分と同じものを見つける可能性はある。

エドウィン・ハッブル(天文学者)。全ての銀河は遠ざかっている(膨張)。
ミクロの宇宙にもパラレルワールドが存在する。シュレーディンガーの方程式。


フランク・ティプラー(物理学者)。全ての可能性は別次元で実現する可能性がある。選択のたびに分身が現れる。すぐそばにあるかも知れない。

無数の分身の集合体。パラレルワールドはスライドが何枚も重なった状態。


マックス・テグマーク。手がかりはレーザーポインター。ガラスに当たった粒子が反射するか通過するかの検証。光の粒子が同時に2ケ所存在出来るのなら、人が同時に2ケ所に存在出来てもおかしくない。


アンドリュー・クリーランド(物理学者)。シリコンチップが量子機械の法則に従うかどうかの実験を行った。隔離、低温の環境で1量子のエネルギーを入れる→同時に2つの状態を実現して振動(60億回/秒)。パラレルワールドの理論展開に繋がる。


反物質
物質と反物質が接触すると爆発して消滅する。
物質と反物質はビッグバンで同時に生じた。
反粒子で出来たものを反物質という。ビッグバンで反物質は大部分消失→将来爆発するかも知れない。
B中間子と反B中間子を加速器で作り出す実験。崩壊する過程を調べようとした。反B中間子の方が僅かに早く崩壊する。これが宇宙の誕生に影響を与えた。
ボードゲーム。最初は同数だがゲームの過程で次第に数が減少。最後に残った駒が今の宇宙の全て。物質と反物質の不均衡がなければ宇宙は出来なかった。


現在の宇宙は物質で出来ている。反物質が消滅したからといって安泰とは言えない。衝突していない反物質の宇宙が存在する。
アルファ磁気分光器(AMS:Alpha Magnetic Spectrometer)による観測。
反物質の宇宙。おおいなる未知。宇宙を支配するパラレルワールド。


宇宙はどのように誕生し、どのように終わるのか。
アンドレイ・リンデ(理論物理学者)。宇宙の始まりにはビッグバン以外の力が働いている。
宇宙のインフレーション理論。ビッグバン直前に膨張を始めていたとするもの。宇宙はある時突然膨張するかも知れない(アワを破壊するように)。今の状態は危ういもの。

違うという意見もある。ポール・スタインハート(物理学者)。インフレーション理論には限界がある(膨張を終えた宇宙との関係)。

新たな研究。第四の空間的次元。宇宙に埋め込まれた膜。ブレーンワールド。柔らかな膜が引き合い衝突する事がある。これがビッグバンなのかも?四次元目の領域は見えないが、重力は感知出来る→ダークマター。ブラックホールの中心にカギがある。膜同士を繋ぐピン。ピンのつなぎ目がブラックホール。ブラックホールの向こうにパラレルワールドがある。


ニコデム・ポプラウスキー(物理学者)。ブラックホールの構造研究。アインシュタインは重力で空間が湾曲すると説明。そこにねじれの理論をブラックホールに当てはめた。ブラックホール中心に開口部。反対側でホワイトホールとして噴出(別宇宙)。我々の宇宙もホワイトホールによって出来た→元の宇宙と結ばれている。へその緒がある→それが宇宙の中心。

元の宇宙とのコミュニケーション取る事は可能。メモを水の入ったミキサーに入れる。攪拌しても情報は残っている→誰かが解読する。


情報が届いている→ガンマ線バースト。強烈な光。放出メカニズムは判っていない(別宇宙から届いている?)。信号なのか。
最新望遠鏡の観測で、銀河団が同じ方向に流されている。銀河の流れに興味がある。

パラレルワールドはファンタジーではない(現実は一つではない)。かつてはSF。今ではレッキとした科学。
この宇宙の他にも多くの宇宙が存在する可能性がある。


感想
原子が同時に2ケ所存在する事が出来るから人間も・・・・という理屈にはなかなか賛同し兼ねるが、ブラックホールを介して別宇宙と繋がっているという話には説得力がありそう。
ただ、これだけ壮大な内容を1時間かそこらの番組で表現しようとする事自体に無理があるなー。
元々嫌いじゃないから、宇宙に関する話は今後も継続して情報収集に務めよう。


参考サイト


シュレーディンガーの方程式とパラレルワールドを繋ぐ記述
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7c3c8532b7e96f0529a8f4cbe68e4068


世界初の量子機械(2010.12.18記述)
http://blog.scienceweb.jp/?cid=3963


B中間子と反B中間子
https://ja.wikipedia.org/wiki/B%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC


AMS
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E7%A3%81%E6%B0%97%E5%88%86%E5%85%89%E5%99%A8


重力波観測で開く“多宇宙”への扉
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9047/


宇宙のインフレーション
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3


ブレーンワールド
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89


ニコデム・ポプラウスキーの仮説
http://cosmos.hix05.com/07black-hall/blackhall02.door.html


NHK クローズアップ現代+「アインシュタイン“最後の宿題”が解けた!」 6/29放送

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番組紹介
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3830/


番組詳報
http://o.x0.com/m/277790


要点
13億光年離れた宇宙に2つのブラックホールが連なって回っている。引き合い、最後に合体。その時の空間歪みが宇宙全体に広がる。それが今回初めて観測された。

空間の歪みはアインシュタインの一般相対性理論で説明される。左項:空間の歪み、右項:物質の重さ・エネルギー。エネルギーがあると空間が歪む。
その歪みは極端に小さく、アインシュタインは見つけられないだろうと言った。


米施設「LIGO(重力波望遠鏡):Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory」リーダー:デイビッド・ライック教授。
全長4kmの真空の管2組が端の方で直角に交差。空間に歪みがあると、管内を通る粒子の速度に差が出て検出出来る。
課題はノイズ。1000km先の振動も影響を与える。海岸の波でさえ観測の邪魔になる。
観測用の鏡も動く→誤検出。振動のキャンセルのため、鏡を吊るす。4段振り子でキャンセル。ノイズ除去に貢献した日本人科学者:河邊径太。
原子の1億分の1の歪みの検出に成功。1000人以上の科学者の執念。革命的な発見を促す。
ブラックホールの観測が可能になる。波形により距離や重さが把握出来る。先のブラックホールの重さは太陽の36倍。
宇宙初期の形の解析に貢献する。

京大 研究グループ。
宇宙誕生から間もなくガス・塵が集まりファーストスターが誕生。それが自らの重みで潰れ、ブラックホールになった。
原始重力波は今でも存在している。重力波でビッグバンそのものが見える。他にも施設を作る事で方角が判る。日本での開発「KAGRA」。


感想
重力波の観測に成功したというニュースは2月頃だったか。当時新聞でも取り上げられていたが、一時の興奮で、ちょっと経つと何の事だったか忘れてしまう。
ただ、この重力波測定により、宇宙の姿が次第に解明されるという時代に生を得ているのは非常にラッキーな事。それについてはゲストの中川翔子に同感(ちょっとはしゃぎすぎではあるが)。
先日のパラレルワールドの話も含め、注目して行こう。


参考サイト


河邊径太によるLIGOの説明
https://dcc.ligo.org/public/0038/G060164/000/G060164-00.pdf


KAGRA
https://ja.wikipedia.org/wiki/KAGRA



NHK モーガン・フリーマン 時空を超えて「宇宙は生きているのか?」7/1放送

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番組紹介
http://www4.nhk.or.jp/P3452/x/2016-07-01/31/34352/1988005/


生命の定義とは?
宇宙を一つの生命体として見る考え方。
幼い頃、ホタルを見る機会があった。星も生きているように見えた。生きているというのはどういう事か。


ユルゲン・シュミットバウアー(コンピューター学者)。生命の定義は拡大解釈されつつある。
自動車は工場プログラムによって作られている→生きているとも言える。
スワームボット。個々は簡単なプログラムで動くが、複数になって行動すると複雑な動きが出来る。アリはフェロモンによって統一行動を取る。スワームボットのそれは電気メッセージ。宇宙は超個体。


ジェフリー・ウエスト(素粒子物理学者)。代謝の概念は都市にも当て嵌まる。人、高速道路、電線等により都市機能が維持されている→生命体に繋がる。ネットワーク構造。
生きるために、体内にどれぐらいのエネルギーが必要かが判る(数学と物理学による算出)。クジラの拍動は6回/分。ネズミは500回/分。
都市にも当て嵌まる。ラッシュという形で2回/日の拍動。


宇宙が生きているとしたら、その拍動はあるのか。
ステファン・アレクザンダー(理論物理学者)。宇宙の鼓動を聞くことが出来る(特有のパターン)。ビッグバンで生まれた→ビッグバウンズ(跳ね返り現象)。収縮と膨張を繰り返す。今は膨張の時期。膨張しきると今度は重力が増し、収縮に転ずる。収縮しきって特異点に陥ると光も逃れられない。

ビッグバウンズ理論では特異点には達しない。ニュートリノの存在(反発力がある)。ニュートリノは重力がなく、物質を通り抜けられる。鼓動を打たせている存在。圧縮すると超流動体となる。何兆年にも亘り収縮、膨張を繰り返す。それらを経てもニュートリノは生き残る。
ビッグバウンズは芋虫から蝶への変態に例えられる(分子の材料が同じで、構造が変わる)。


宇宙も生命体なら子孫を残すのか。共通しているのは「何かから生まれた」。
リー・スモーリン(理論物理学者)。人間は単純なものから進化。宇宙も同じ。
宇宙に祖先はいるか?。いくつかの方法が選択されて今の形になった。自然の選択。鍵を握るのはブラックホール。


量子重力理論。
恒星の爆発により新しい宇宙が生まれる。無限大の密度になる前に膨張する→新たな宇宙。物理法則が異なる。多くのブラックホールを生み出す物理法則の方が有利。系統樹。
ブラックホールは太陽の20倍以上の恒星が崩壊する時に出来る。冷却材に用いられるのが一酸化炭素。炭素、水素も構成材。


宇宙が生きているかどうかの見極め→頭脳があるかどうか。原子を用いたコンピュータ。
セス・ロイド(量子コンピュータ学者)。量子コンピュータは同時に複数の処理が出来る。量子力学では同時に複数の場所に存在出来る(常識を超えている)。20年続けた研究。
量子コンピュータはまだ簡単な計算しか出来ない。宇宙は巨大な量子コンピュータ(知的生命体)。その考えを読み解けるのか。
ユルゲン・シュミットバウアー。模様を描くプログラム。1個は単純だが、組み合わせて複雑なものになる。

宇宙観は、そもそも絵空事かも知れない。あなたが現在存在していると言えるか。宇宙も例外ではない。


ロバート・ランサ(生物工学者)。動物クローンを多く作って来た。
宇宙観は脳内で生じた産物。生命中心主義。
電磁波は人には見えない。人に赤く見えるものが動物にはオレンジに見える。

量子力学では、素粒子は観察した時、初めて位置が決まる→時間に関する情報はなくなる。
森で木が倒れたらどうなる?→観察者が居る事で存在する。考えを閉ざせば空間も時間も消える。

セス・ロイド(機械工学教授)。ビッグバン以降の宇宙はコンピュータが計算したもの。
宇宙は細かなゆらぎを経て時々大きく増幅する。生命が誕生した事で違う道を歩んでいる。


感想
最近宇宙がらみの話が多くてやや「お腹いっぱい」状態かな?
宇宙が意識体である、というのは小松左京が「果しなき流れの果に」で提唱した考え方。当時はそのバカげた壮大さに違和感もあったが、時代がこうなってみると、別に誇張でも何でもなかったという感じがして来る。


果しなき流れの果に 書評
http://ameblo.jp/yashima1505/entry-10001270695.html
ガイド版
http://ameblo.jp/yashima1505/entry-10001313897.html


原子という単位で見れば、人体なんて空間だらけのスカスカ状態。宇宙そのものが生物だったとしても不思議ではない。

宇宙という生命体の中の一単位としての地球は、一体何の役割りを担っているのか。


文献

スウォーマノイド
http://wired.jp/2007/05/15/%e7%be%a4%e8%a1%8c%e5%8b%95%e3%83%ad%e3%83%9c%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%ae%e9%80%b2%e5%8c%96%e5%bd%a2%ef

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量子重力理論
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8F%E5%AD%90%E9%87%8D%E5%8A%9B%E7%90%86%E8%AB%96

ループ量子重力理論の説明
http://blog.livedoor.jp/dogon23/archives/29551837.html

セス・ロイド
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89

量子重力が予言するビッグバウンス宇宙
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0901/200901_040.html

サイクリック宇宙論(ビッグバウンス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%AB%96

ビッグバウンスとブラックホール
http://sonokininatte55.blog.fc2.com/blog-entry-190.html




ガンダム SEED 2003年

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2003年10月~2004年9月 全50話(HD版は48話) 毎日放送・TBS系列で放送


<オープニング・ナレーション>
コズミック・イラ70。血のバレンタインの悲劇によって地球・プラント間の緊張は一気に本格的武力衝突へと発展した。誰もが疑わなかった、数で勝る地球群の勝利。が当初の予測は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまま既に11ヶ月がすぎようとしていた。


あらすじ
従来人類「ナチュラル」による地球軍と、遺伝子操作によって生まれた「コーディネーター」のザフト軍との間で行われる戦争を描いたドラマ。


主人公キラ・ヤマト。中立国オーブのコロニー「ヘリオポリス」で暮らす工学専攻の学生。オーブで地球軍用として秘密裏に作られていた新モビルスーツ5体。そのうち4体がザフト軍に奪われるが、残る1体「ストライク」をたまたまその場に遭遇したキラが操縦して敵を退ける。強奪組の中に幼なじみの「アスラン」が居ることを知るキラ。敵の隊長は「クルーゼ」。アスランの他、イザーク、ディアッカ、ニコルが強奪チーム。
同じくオーブで作られた新造戦艦「アークエンジェル」(ザフト軍は「足付き」と呼ぶ)。士官は全て戦死し、少佐クラスのみの運用。行き場所のないキラたち学生数名はアークエンジェルと行動を共にする事を強要される(機密保持のため)。図らずも乗り合わせたエースパイロットの「フラガ」。
戦いの中で避難民の乗ったカーゴを回収するキラ。その中に友人の同級生「フレイ」が居た。

ヘリオポリスは壊滅し、アークエンジェルは地球軍に合流すべく進むが、それもままならず地球軍の要塞「アルテミス」に逃げ込む。
ザクト軍が奪ったM・S4体がしつこく攻撃を仕掛け、それと対戦するキラ。アスランが搭乗する「イージス」。
アルテミスはあっけなく陥落し、アークエンジェルはやむなく離脱。


補給のため、デブリ・ベルトに紛れ込んだアークエンジェル。その警戒中に緊急脱出ポッドを回収して来るキラ。中から出て来たのはザフト軍の歌姫「ラクス・クライン」。
ザフトとの戦いの中で、父親が乗る船を助けるために、フレイはラクスを人質にしろと叫ぶ。だが父の乗った戦艦は撃墜された。助けることが出来なかったキラ。
結果的にラクスを人質にしたおかげで窮地を脱したアークエンジェル。人質を取る事を良しとしないキラは、ラクスを連れて艦を出てアスランを呼び出し、彼女を返す。

何とか第8艦隊と合流したアークエンジェル。ここで避難民を降ろし、キラたちも艦を降りるかの選択を聞かれる。帰還用シャトルに乗る寸前で、戦う事を選ぶキラ。
フレイはキラに愛を打ち明け、守って欲しいと強引にキスをする。フレイの本心はキラに(戦って死ね)との願い。

軍の指示によりアークエンジェルとストライクは地球のアラスカ基地(地球軍本拠)へ、今の構成員のまま移動する事になる。


戦争に至るまでのいきさつが語られる。コーディネーターとナチュラルとの確執によりコーディネーターは宇宙のコロニーに移動し「ザフト」を結成。「血のバレンタイン」という地球側の破壊工作のため決裂(プラントの農業用コロニー「ユニウス7」が核ミサイルにより壊滅)。


大気圏突入の最中にも行われるザフト軍の攻撃。第8艦隊は、アークエンジェルの盾となって全滅した。キラのストライクは大気圏突入まで戦い、寸前でアークエンジェルが軌道を変える事で回収された。
だがそのために、艦はザフトの勢力圏である砂漠地帯に着陸。


砂漠の虎ことアンディ・バルトフェルドとの戦い。四足歩行型モビルスーツ「バクー」。戦う中で、キラ達はザフト軍と戦うレジスタンスと協力する事になり、バクー3体を撃退する。レジスタンスの中に居たカガリ(ヘリオポリスで助けた彼女)。
報復のため、レジスタンスの街を焼き払うバルトフェルド。住民は殺さないそのやり方に反発するカガリ。
武器、食糧等を調達するためにザフトの街に潜入するレジスタンス。それに加わるキラとカガリ。
キラとカガリが買い物を済ませ、食事をしているところに近づく男。妙になれなれしく自宅に無理やり招かれる。中の女性、アイシャに身なりを整えられ、美しく変身するカガリ。そこでようやく相手がバルトフェルドだと気付くキラ。撃ち合うが結局負ける。だがバルトフェルドは二人を無傷のまま返した。

砂漠での戦い。バルトフェルドの乗る金色のバクー。相棒はアイシャ。厳しい戦いの末にバクーを倒すキラ。大爆発するバクー。

前回の戦いで宇宙に残っていたアスランも地球に降りてアークエンジェル掃討に加わっていた。
シミュレーションでの戦績を買われ、2機追加された戦闘機のうちの1機で戦う事になったカガリ。アスランの乗った輸送機を攻撃して撃墜する、自身も銃撃を受け、小島に不時着。同じく脱出したアスランもその小島に流れ着いていた。二人は戦い、主導権はアスランが握ったが、カガリを殺す気はなかった。
お互い救援が来る事が判り、二人は別れて行った。


ザフト軍からの猛攻を受け、オーブ国への領海侵犯を犯しそうになるアークエンジェル。警告するオーブ軍。
だが不時着する形で結局オーブ軍に逃げ込んだアークエンジェル。出迎えたのはカガリの父、ウズミ。オーブ国の最高指導者。
オーブ軍としても、単に匿うのではなく、驚異的な運用実績のストライクとキラに関する技術供与を求めて来た。それと引き換えの修理と補給。
オーブの兵器開発技術主任エリカ・シモンズにより語られるモビルスーツ進化理論。

オーブに避難している家族と面会する、軍属になった学生たち。だがキラは両親に会おうとしなかった。それは同情なのかと反発するフレイ。
アークエンジェルの存在を確かめるために潜入したザフトの精鋭チーム。その中にアスランも居た。ドックの仕切り近くに居るところへキラのメカペット、トリィが飛んで来る。昔アスランが作ってプレゼントしたものだった。トリィを追い駆けてキラが。トリィを仕切り越しに渡し、仲間と共に去って行くアスラン。


修理を終え、出港するアークエンジェル。カガリも行こうとするが、ウズミは許さなかった。
キラ対アスランの戦い。お互いに友情を振り切っての限界で、アスランの危機を救うため、仲間のニコルが自分を盾にした。戦死したニコル。
ニコルを殺した事で苦しむキラ。迷うな!と喝を入れるフラガ。

ニコルを失い、本気でキラを倒そうとするアスラン。キラとの戦いで援護に来ていた同級生のトールが戦死。死にもの狂いで戦うキラとアスラン。
機体に大ダメージを受けたアスランは脱出と共にストライクにM・Sを抱き付かせて自爆。


ラミラス艦長はオーブ軍にキラの救援を要請。だがストライクのコックピットは焼けただれ、キラは居なかった。その場に居たアスランに詰め寄るカガリ。キラの生死も判らないが、呆けたアスランに同情するカガリ。

戦闘の最中に身動きが取れなくなったディアッカ。アークエンジェルの捕虜となる。
一方、キラはラクスの屋敷で目覚める。盲目のマルキオが助けて来た(らしい)。


アラスカ基地にようやく辿り着くアークエンジェル。だがストライク運用のキーマンであるキラが居ない今、存在価値としては弱い。査問でラミラスは不手際を指摘される。
ザフト軍がアラスカを総攻撃する作戦(オペレーション・スピットブレイク)を聞き、行かなくては、とあせるキラにザフトの最新鋭M・Sの「フリーダム」を引き渡して逃がすラクス。
アラスカ基地に潜入していたクルーゼ。フレイを見つけて連れて行こうとする。
アラスカ基地の幹部はアークエンジェルに守りを任せてそこを脱出。ザフト軍を引き付けて最強兵器「サイクロプス」により壊滅させるのが裏の目的だった。フラガはカラになった司令部の中でそれを知る。脱出を図るアークエンジェルだが、厳しい状況。そこへフリーダムのキラが救援に。
フリーダムはニュートロンジャマーキャンセラーにより核エネルギーで作動している(燃料補給の必要がない)。


戦線を離脱したアークエンジェルは再びオーブ国に避難。このためディアッカは釈放となる。カガリとの再会。
地球連邦がオーブ国に、連邦へ入る事を強要して来た。それを拒否したため連邦軍の攻撃が始まる。3機の強力なM・S。連邦の策士はムルター・アズラエル。
キラたちに加勢するアスランとディアッカ。アスランの機体はジャスティス(フリーダムと兄弟機)。

連邦の攻撃にオーブ陥落。その前にウズミはカガリに赤ん坊が二人写った写真を渡し「一人ではない」と言い残した。写真の裏にはKira Kgariのサイン。カガリを乗せた戦艦「クサナギ」が宇宙に向けて軌道を走る。その軌道をザフト軍から守るキラたち。
宇宙で合流したアークエンジェルとクサナギ。

父親、ザラ議長と決裂するアスラン。

新型戦艦エターナル。フリーダム運用のための艦だがラクスが奪って運用。操艦は、死んだと思われたバルトフェルド。

アークエンジェルの兄弟艦「ドミニオン」の艦長としてラミラスと対峙するバルジール。そこに3機の強力M・Sと乗り込んで来たアズラエル。バルジールに無理難題を吹っ掛ける。M・Sパイロットは「生体CPU」と呼ばれる若者。長時間の運用が出来ない。
クルーゼは「ドミニオン」にフレイと共にNジャマーキャンセラーの設計を渡す。アズラエルはそれによりすぐ核兵器を開発。


廃棄されたコロニーで対峙するクルーゼとフラガ。キラがそこへ救援に来て、二人でクルーゼを追う。この場所はコーディネーターの製造拠点。クルーゼはフラガの父の遺伝子から作られたクローン人間で、テロメアが短いため長くは生きられない。また副作用を抑えるため常時カプセルを飲んでいた。キラは人工子宮で生まれた最高のコーディネーター、カガリはヒトの子宮で同じ遺伝子提供者から生まれた。よって二人は兄妹。


連邦軍が核兵器でコーディネーターのコロニーを総攻撃するが、キラがそれを阻止する。
ザフト軍も報復のため核兵器「ジェネシス」(γ線レーザー装置)を照射。連邦の艦が壊滅。続いてジェネシスは連邦の月基地にも照準を合わせる。
そして月基地が破壊される。


戦艦ドミニオンのバルジール。アズラエルの指示に逆らって乗員に退艦を指示。錯乱したアズラエルは反重力砲でアークエンジェルの艦橋を直撃。

だがそれをストライクに乗ったフラガが防御。受け止めたストライクは爆発。
アークエンジェルの反撃でドミニオンは爆破される。

次にジェネシスが狙いを付けたのは地球。それを阻止するためにジェネシスに攻撃を加えるアスラン、キラ、カガリ。
アスランが捨て身の自爆でジェネシスを破壊。その寸前にカガリがアスランを回収して脱出。
キラは巻き込まれてフリーダムは破壊される。

エンディング。ノーマルスーツ状態で漂うキラ。「僕たちはどうしてこんな所へ来てしまったんだろう」とつぶやく。


感想
「機動戦士ガンダム」が最初に放映されたのが1979年。当時既に成人していたが、長期入院後の復職で、アムロの成長物語、またその世界観に興味があって観続けた。すぐに続編が出るだろうと思っていたが全く出て来ず、出て来たのは「超時空要塞マクロス(1982)」、次いで「聖戦士ダンバイン(1983)」。これらはどうも感覚的にしっくり来ず継続して観ることがなかった。ようやくガンダムシリーズとして出て来た「機動戦士Zガンダム(1985)」の頃には結婚して子供も居たので、完全に興味が離れてしまった。


そんなわけでガンダムについては「ファースト」しか知らなかったが、たまたま韓国系の無料動画をサーフィンしていてこの「SEED」の第一話を観てから、イモズル式に最終話まで・・・・・

遺伝子操作により生まれた「コーディネーター」と元々の人類「ナチュラル」との戦争を描いたものであり、設定としては興味深いが、コロニー襲撃→いきなりモビルスーツ操縦→避難民乗せての戦い→大気圏突入→砂漠の戦い・・・・とファーストガンダムのコンテをそのまま横流し、と言った感じ。「足付き」も要するに「木馬」の事だし。
まあ、ファーストに対する敬意の現れか。設定としては高校生であり、ファーストでのアムロが14歳だったのから比べると「色気重視」といった方向性か。オープニングの映像もヌード乱発で劣情をそそる。


中立国の人間だったキラが巻き込まれて、地球軍として戦うハメになったという悩みがストーリーのベース。奪われた兵器との戦い、という点も何だかモチベーションが落ちる設定。
女性士官のスカート姿も「萌え」ではあるが、戦時下ではあり得んわな。まあ、突っ込みどころはあちこち満載。


でも父親を殺されたフレイが、キラを愛するフリをして過酷な戦いを強要し、それによる死を願っているという黒い構図は、アニメらしくないダーティーさがあり、けっこう興味深かった。また後半あちこちでキスシーンの大盤振る舞い。
1年もストーリーを続けて行くシナリオの構築は確かに大変。そういう意味で遺伝子操作、人工子宮とかのネタを単なる説明ではなく、ストーリー展開の道具として活用すべきだったかも。また核兵器を無力化するニュートロンジャマーについても言葉だけでなく、ある程度は理論が納得出来るような「仕掛け」が欲しかった。


でも、ストーリーマンガってえのは、いくつになってもやっぱ「面白い」。


キャスト
キラ・ヤマト            :保志総一朗
マリュー・ラミラス         :三石琴乃
フレイ・アルスター         :桑島法子
ムウ・ラ・フラガ            :子安武人
ミリアリア・ハウ            :豊口めぐみ
ナタル・バジルール         :桑島法子
アスラン・ザラ             : 石田 彰
ニコル・アマルフィ          :摩味
イザーク・ジュール         :関 智一
ディアッカ・エルスマン       :笹沼 晃
ラウ・ル・クルーゼ           :関  俊彦
ラクス・クライン             :  田中理恵
カガリ・ユラ・アスハ  :進藤尚美
アンドリュー・バルトフェルド: 置鮎龍太郎
ムルター・アズラエル    :檜山修之


ガンダムSEED Destiny  2004年

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2004年10月から2005年10月まで 全50話がMBS・TBS系で放送された。


あらすじ
先の大戦が停戦となってから2年後。プラントのデュランダル議長を訪れるカガリ(オーブ首相)とアスラン(アレックス)。アスランはカガリのサポートをする立場。
そこにプラントの新造M・Sを奪いに来る者が。奪った機体で破壊しまくる者たち(ステラ、スティング、アウル)。新M・Sの「インパルス」で迎撃するシン・アスカ。同僚のレイとルナマリア。
攻撃で身が危うくなったアスランはカガリを乗せて近くのM・Sに搭乗。戦いにも加わる。逃げる3名を追ってプラント外に出るシンたち。アスランは機体ダメージのため新造戦艦ミネルバに収容されるが、当機も例の3名を追ってプラント外へ。


強奪組3名を収容した戦艦を指揮するネオ・ロアノーク(仮面の男)。逃げると見せかけてミネルバを誘い込む。
小惑星を盾にしながら巧みに攻撃する敵。アスランの助言でミネルバは難を逃れる。

そんな頃、先の大戦の発端となった農業コロニー「ユニウス7」の巨大な残骸が静止軌道から逸れ、地球に近づきつつある事が判明。それは人為的なものだった。


ユニウス7を細分化するための爆薬をセットするザフトのM・S群。アスランも加わる。だがそれを阻止するM・Sが。ザラ議長の遺志を継いでナチュラルを根絶やしにしようとする狂信的な者の仕業。彼らを排除して、ある程度の分割に成功するが、もっと細かくしないと被害が拡大する。ミネルバは大気圏突入をしながら砲撃で微細化を実行。シンとアスランも大気圏突入に巻き込まれるが、シンがアスランを確保しながらミネルバに着艦。


ユニウス7は無数の隕石となって地上に大きな被害を与えた。一部のザフトがやった事だというのがナチュラル、コーディネーター双方に知られる。報復に動き出す地球軍。
ミネルバは、カガリを乗せていた事もあり、オーブ国のドックに入って修理、補給を受ける事になる。
帰国したカガリを迎える宰相の息子ユウナ。アスランを格下として扱う。

キラ、ラクス、マルキオ、マリュー、バルトフェルドは停戦の後、オーブの片田舎に引っ込み孤児らと静かに暮らしていた。戦いとは無縁となったキラ。


地球軍はプラントに向けて宣戦布告し、大規模な核攻撃を行った。プラント側は最新兵器「スタンピーダー」により核を全て破壊。だが有効なのは1回限り。作戦の失敗をなじられるジブリール。
プラントではナチュラルを討てという世論が拡大したが、ラクスの演説、歌で沈静化。ラクスのそっくりさんを演じるミーア。

地球軍がオーブに対して連邦の同盟に入れと強要。反発するカガリだが、宰相、ユウナはそれを抑え込む。
情報を入手して、通信でミネルバの艦長タリアに脱出を示唆するバルトフェルド。それを受けてミネルバは港を出た。
同盟を結ぶ時、同時に結婚式も行おうとカガリに迫るユウナ。カガリの左手にアスランからもらった指輪があるのは承知の上。


ラクスたちの居るハウスが秘密部隊に襲われる。狙いはラクス。バルトフェルドとマリューが応戦しながら子供たち、ラクス、キラをシェルターに逃げ込ませる。だが敵はM・S部隊を投入してシェルターごと破壊に及んだ。
最後の手段として扉を開けるキラとバルトフェルド。そこには「フリーダム」が。敵M・Sを全滅させるキラ。


キラたちの許へ付き人が、カガリからの手紙を持って来た。ユウナと結婚し、国の安定を図る決意が書かれていた。シェルターにあったもう一つの秘密、アークエンジェルを発進させるクルーたち。
フリーダムが結婚式場に乱入し、カガリを拉致する。軍もカガリの身の安全を考えて攻撃出来ない。フリーダムを回収したアークエンジェルは再び海底へ。

キラたちの行動に怒るカガリだが、その気持ちを知り、泣き崩れる。何も知らずにオーブ国に入ろうとするアスラン。そこにミネルバはおらず、敵国として対応され、愕然とする。
改めて手続きをし、地球の勢力圏で整備中のミネルバの許に到着するアスラン。ザフト軍に復帰していた。艦長のタリアに挨拶すると、この船は地球軍に敵対している関係国の方面に出向くという。


出発したミネルバに攻撃を仕掛けるネオの部隊。迎撃するシン、アスランたち。シンは深追いの末敵基地を見つけ、そこで働かされている者たちの脱走防止柵を撤去した。だが命令を無視したシンにビンタを張るアスラン。


地球軍内での混乱。それを海底深く観察しているアークエンジェル。今はスカンジナビア王国に匿ってもらっている。核攻撃に対しても冷静に国民をコントロールしているデュランダル議長。ミーアを活用している。外から見ただけではザフト軍に肩入れしたくなると言うラミラス。だがもしラクスの暗殺計画がデュランダル側から出たものだとしたら、と考えるキラはもう少し様子を見ようと考えていた。

次のザフト軍基地に入ったミネルバ。その基地の司令官から作戦についての説明を受ける。今まで難攻不落だった要衝の攻撃。


ローエングリンゲート突破作戦。強大な砲台を落とさない限り突破出来ない。狭い地下坑道を飛んで砲台直下まで行く任務を命じられるシンはそれをやり切り。、陥落に成功する。
その後タリアとアスランは幹部の称号「フェイス」を与えられる。


黒海沿岸都市ディアキアに入港したミネルバ。そこに来てコンサートをしているミーア(ラクスとして)。デュランダル議長も来ていた。会食でタリア、アスランらに議長が話す「戦争による別の側面」。戦争によって経済が潤うという事。それを裏で操っているのがロゴス(ブルーコスモスの母体)。二人だけの場でアスランに、アークエンジェルの居場所が判らないかを聞く議長。それにラクスも乗っていると推測。

シンの側から語られる先の戦争の経緯。オーブ国が地球連邦からの同盟強要に逆らった時の攻撃で、シン以外の家族が皆殺しとなった。ただ一つ残された妹のケータイ。オーブに失望してザフト軍に入ったシン。


休暇で海に来たシン。崖から女性が落ちるところを見て飛び込む。何とか助けるが「死にたいのか!」という言葉に異常に反応する。名前はステラ。地球軍の、M・Sを奪った3人組の一人。エマージェンシーでアスランが駆け付け、戻る途中で残りの2人に遭遇。2人は素性を隠してステラを引き取る。
ミネルバに配属となったハイネ。アスランと同じくフェイスの称号を得ていた。

ジブリールの入れ知恵で、ミネルバの居る黒海の攻撃をオーブに行わせる事となり、ユウナを司令官とする部隊が出動。ネオは、ユウナの勇み足をいいことに高見の見物。オーブ軍の攻撃が本格化し、シンとアスランが迎撃。ミネルバは空母を殲滅するため陽電子砲「タンホイザー」を撃とうとするが、その直前にキラの「フリーダム」が現れ、砲を直撃で潰す。
アークエンジェルも出現し、地球軍とザフト軍との戦いに割り込んだ。キラは極力相手M・Sの武器だけ破壊して戦闘意欲を削ぐ方針。次いでカガリのM・Sが出てオーブ軍に攻撃中止を命じるが、ユウナは「偽者だ」と言って無視。


地球軍とザフト軍の間で再び再開される戦闘。フリーダムは双方に干渉して大規模な損害を回避していた。フリーダムに装備を破壊されたステラは逆上してアスランに捨て身の攻撃をかける。そこに割って入ったハイネが犠牲になった。両軍の戦いはもの別れ状態で中断された。
黒海に戻ったミネルバ。アスランはキラたちの真意を質すためにコンタクトを取る。キラ、カガリ、アスランの再会。キラの取った行動は混乱させるだけだと言うアスランに、キラはなぜラクスを殺そうとする者が居るのか、と問う。


指令を受けて地球軍の秘密研究所の探索を行うシンとレイ。見つけた場所でショックを受けるレイ。
報告を受けてシンたちが見つけた施設に入ったミネルバ。そこは遺伝子操作を嫌う地球軍が、それ以外の方法で戦闘に特化した肉体改造(エクステンデッド)を行う施設だった。廃棄された子供たちの死体。ネオが言うロドニアの施設。ロドニアという言葉を聞いて急激に不安定になるアウル。


M・Sガイアに乗って1機だけでロドニアに向かうステラ。
それを迎撃するシンとアスランの間で戦闘が始まる。
ガイアを倒し、そのコクピットにステラの姿を見つけたシンは、彼女を助け出し、無断でミネルバに運び込んでしまう。
後からシンを叱責するタリア。医師の話では、ステラはエクステンデッドだと言う。記憶も操作されている。
一方アークエンジェル。ラクスは真相を探りにプラントへ行くと言う。キラは反対するが結局受け入れる。

ミーア(ラクス役の)の慰問コンサートも終わり、プラントへの帰国準備の最中、本物のラクスと付き人のバルトフェルドが一足先に帰国便に乗って出発。追っ手のM・Sをフリーダムのキラが撃退し、ラクスらはプラントへ。

強奪した艦を廃棄し、ラクスらは協力者の艦に移動。ステラは生命維持のために特殊な薬物が必要と思われたが、それが判らず厳しい状態が続いている。
ネオはユウナに指示して再びミネルバの攻撃を行わせようとした。
戦いが始まる時、再びアークエンジェルがその戦場に向かった。


デュランダルによる独白。SEEDの頃からの経緯が語られる。デュランダルとクルーゼは、生い立ちを同じくした同志か。


地球軍とザフト軍との戦いに再び割って入ったアークエンジェル。オーブ軍の戦艦が沈む時、艦長が呼びかけ、志ある者はアークエンジェルに向かった。兵士たちとカガリの再会。
一方ミネルバのステラは生命維持の方法も判らず、命の危険を迎えていた。プラントに戻っても実験材料としてしか扱われない事を知って、シンはステラをインパルスに乗せた。脱出を手助けするレイ。
ステラの乗っていた機体から信号コードを割り出し、地球軍とコンタクトするシン。ネオ一人で来るようにという申し出を受けて出向くネオ。シンはステラをネオに引き渡し、ステラを戦いに使うなと頼む。


レイとシンは独房に入れられる。苦慮するタリア。だがステラは死んだ事にされ、シンへの処罰はなかった。ステラはロシアの施設で回復措置が取られる。そして再び戦いの場へ。機体は超巨大M・Sの「デストロイ」。この1機メインでコーディネーターの都市を3つ壊滅させた。知らせを受けて発進するフリーダム。

指示を受けてミネルバもデストロイの居る場所に急行。シン、アスランも出動。戦いのストレスでパニックになり、無差別攻撃を繰り返すステラ。

ネオは攻撃を受けて機外に放り出される。デストロイの最終武器起動の寸前、フリーダムがビームサーベルでそれを阻止。爆破されるデストロイ。
シンの腕の中で息絶えるステラ。

シンは、ステラの亡骸を湖に沈めた。例によってシンにはお咎めなし。ネオはアークエンジェルに回収され、手当てを受けていた。驚いたことにネオは遺伝子的にはフラガと同じ人間だった。だが目覚めた時、ネオには記憶がなかった。混乱するマリュー。

シンは、フリーダムのデータを分析して戦闘シミュレーションを行っていた。アスランは、フリーダムは敵ではない、と言ったが、現時点で一番強いM・Sであるフリーダムを想定するのは正しいとレイも支持。
デュランダル議長議長が全世界に向けてメッセージを出した。デストロイによる通告なしの虐殺。そしてこの戦いを裏で操作している軍需産業複合体「ロゴス」の存在を明らかにした。それに利用されるミーア(ラクス)。デュランダルはロゴスを倒す事を宣言した(33話)。


ロゴズにはオーブの企業も含まれており、マリューらもデュランダル議長の真意を図り兼ねていた。とりあえずカガリをオーブに送り込むため、アークエンジェルは向かっていた。それを追い込む地球連邦。またプラントからもミネルバにアークエンジェル撃墜の指示が出ていた。反発するアスラン。
キラをステラの仇だと思い込んでいるシン。捨て身の攻撃でフリーダムを爆破(34話)。


デュランダル議長のメッセージにより、ロゴスのメンバーは次第に暗殺されて行った。姿を消すジブリール。
辛くも危機を脱したアークエンジェル。キラはコクピットだけの状態でカガリのストライクルージュに回収された。
地球に向かったデュランダル。シンとアスランを呼び出し、新造のM・S「ディスティニー」と「レジェンド」を見せた(35話)。


デュランダル議長のやり方に同意出来ないアスラン。ミーアが部屋を訪れて逃げるように言う。だが一緒に逃げようと言うのは拒んだ。ルナマリアの妹、メイリンの部屋に逃げ込んだアスラン。メイリンはニセの警報を出して注意をそらし、車でM・Sの格納庫にアスランを連れて行く。気付いてそれを阻止するレイ。辛くもグフを奪って脱出するアスランとメイリン(36話)。


アスランを追うレイとシン。シンはメイリンが乗っている事で攻撃に身が入らない。アスランはデュランダルのやり方に対する疑問をシンにぶつけるが、それを遮るレイ。レイの挑発によりサーベルでグフに致命傷を与えるシン。グフは大爆発して分解、海中に没した。デュランダルのやり方に納得いかないタリア。デュランダルは関係国の軍隊を引き連れ、地球軍の最高司令部のあるヘブンズ・ベースに対し、ジブリール他ロゴス引き渡しと武装解除を要求(37話)。


地球軍は予告なしに反撃を開始。デストロイを5機投入して優位に立つが、シン、レイ、ルナマリアの働きで全て倒される。ジブリールは脱出し、地球軍は降伏を申し出た(38話)。


助けられ、アークエンジェルに運び込まれたアスランとメイリン。宇宙で潜んでいたエターナル。隊員がザフトの研究施設跡から数冊のノートを取って来た。そこには「DESTINY PLAN」の説明が。ザフト軍に見つかり、地球に向かって脱出を図るエターナルを攻撃するザフト軍。バルトフェルドがM・Sで迎撃するが苦戦。キラがストライクルージュにブースターを付けて救援に駆け付ける。バルトフェルドに「乗るべき機体がある」と言われエターナル内に。ラクスとの再会。新造のストライクフリーダムに乗って発進するキラ(39話)。


オーブ国に逃げ込んだジブリール。オーブのセイラン一族はロゴス系であり、匿う形となった。ユウナはザフトに対し、ジブリールは居ないと見え透いた嘘をつき、一斉攻撃を受け始める。自国を守るために動き出そうとするカガリに見せられたゴールドのM・S。父ウズミが、どうしても戦いが避けられなくなった時のため、カガリ用とした「クレナイ」。オーブの兵たちと出撃するカガリ。オーブ司令部から権限の委譲を受けたカガリは、国家反逆罪でユウナの逮捕を命じた。応戦のため出撃したシンがカガリと対峙する(40話)。


アスラン、キラの側から語られる今までの経緯(41話)。


エターナルに戻ったキラは、ラクスを新造M・S「ジャスティス」に乗せて2機で大気圏突入し、アークエンジェルに戻った。アスランとラクスの再会。一方シンとキラとの戦い。それにレイが加わる(42話)。

アークエンジェルとミネルバの一騎打ち。一方負傷の体でアスランもジャスティスで出撃。ジブリールはセイランのシャトルで月へ脱出した。無用な戦いを避けるため、タリアはM・S、部隊とも引き上げた。解放されるも再びアークエンジェルに戻ったネオ(ネオとしての記憶が怪しい)。
カガリがオーブ首長として声明を出すが、ミーアがラクスとして妨害する。それを受けて本物としてカガリと同席で姿を現すラクス(43話)。


本物のラクスは、デュランダル議長のやり方に賛同しないと主張。ナチュラル、コーディネーター双方が混乱。月の地球軍基地に到着したジブリール。「レクイエムシステム」の起動を指示。月の裏側から放たれたビームが、廃棄されたコロニーのチューブを通る事で屈曲し、プラント4基を破壊した。
破壊し合う事が避けられないのか、と自問するアスラン。ラクスはデュランダルの真の目的について語る。ヒトの発生全てを遺伝子操作で決めてしまうのが「ディスティニー・プラン」。遺伝子が王となる。(44話)。


ミネルバは指令を受けて月の敵発射基地への攻撃に向かった。発進するレイ、シン、ルナマリア。チャージ途中でビーム発射しようとする基地の司令部を寸前で破壊する。直前で脱出するジブリールだったが、レイがその艦を爆破した。その報を聞いてほくそ笑むデュランダル。プラントの危機は去ったが、今後オーブの自立が守られる保証はなく、アークエンジェルは情報収集のために月へ向かった(45話)。


月面都市コペルニクスに入港したアークエンジェル。だがそこにミーアもデュランダルの指示で隠れていた。付き人に入れ知恵されるミーア。息抜きに街へ出るキラ、アスラン、ラクス。街での買い物の途中、ミーアからのメモ。罠と判っていて出向く3人。思った通り待ち伏せだった。一緒に

逃げようとしたミーアは、ラクスを庇って銃弾に倒れる(46話)。


亡くなったミーアは整形手術を受けてラクスになった。残されていたミーアの日記データ。
デュランダル議長の会見。ロゴスが滅びた今、理想の社会を目指して「ディスティニー・プラン」を発動する(47話)。


ディスティニー・プランとは、遺伝子情報を全て掌握した上でヒトの適性を全て決めてしまう事。それにより争いの種は消える。だが自由、多様性などは全て摘み取られる。地球側ではオーブ、スカンジナビア王国がこれに反対を表明。月のアルザッヘル(地球軍陣営)も反対の意思を持って会見を求めていた。デュランダルはレクイエムシステムを起動させ、アルザッヘルを壊滅させた。一方レイはシンにデュランダル議長に付いて行く事が唯一だと言った。苦しみ出し、カプセルを飲むレイ。
集結するエターナルとアークエンジェル。ミネルバに彼らを討つ指令が出された(48話)。


レイが語る自身の出生の秘密。レイとクルーゼは、キラが遺伝子操作で生まれる時期に同時に作られたクローン。テロメアが短く、長くは生きられない。出生の呪いからデュランダルに賛同している。迷いを持つシン。
キラとアスランは偏向装置のコロニーを破壊。
デュランダルは新たな核兵器「ネオ・ジェネシス」で応戦(49話)。


敵味方入り乱れての戦い。アスランとシン、キラとレイとの戦い。レイを倒し、キラはネオ(フラガ)と共にレクイエムのビーム本体を破壊した。
そしてネオジェネシスを備え、デュランダルの居る「メサイア」を攻撃。指令室に入る。デュランダルとの対決。レイとタリアもそこに駆け付ける。銃口を向け合うキラとデュランダル。だがデュランダルはレイに撃たれて倒れる。キラの未来は奪えないと泣き崩れるレイ(50話)。
3人を残しメサイアから脱出するキラ。


感想
ガンダムSEEDの続編。先の戦いが停戦してから2年後の世界。だが話の発端がまた新造M・Sの強奪とは、芸がなさすぎる。というか最近のトレンドは敵の装備を奪って利用するという事か(要するに「将棋」だね・・・・)。

陰謀によるユニウス7の落下、地球軍の核攻撃を経て再び戦火が開く中でカリスマ性を発揮するデュランダルと、それを「オカシイ」と感じるアークエンジェルのクルーたち。


けっこう伏線も張られているし、デュランダルの最終目的についてもなかなか練られているが、最終的にシンの乗ったガンダム「ディスティニー」の存在価値がほとんど見えて来ない。ストーリーとして描くもののスケールに対し、モビルスーツの戦いそのものの意味が薄すぎて、何か消化不良の印象がある。結局主人公的存在のシンは、ドラマの中でほとんど何の役割りも果たしていない(ただの戦闘スタッフ)。
どこまで行っても主人公はキラ(とアスラン)。

そういえば、途中でアスランを庇って戦死する「ハイネ」という者がおり、声に特徴があるなー、と思っていたらT.M.Revolutionの西川貴教。なるほどね。


キャスト

プラント/ザフト
シン・アスカ         (CV:鈴村健一)
ルナマリア・ホーク     (CV:坂本真綾)
ギルバート・デュランダル (CV:池田秀一)
ミーア・キャンベル     (CV:田中理恵)
レイ・ザ・バレル       (CV:関俊彦)
タリア・グラディス      (CV:小山茉美)
メイリン・ホーク       (CV:折笠富美子)
ハイネ・ヴェステンフルス (CV:西川貴教)

地球連合軍/ロゴス
ネオ・ロアノーク       (CV:子安武人)
アウル・ニーダ        (CV:森田成一)
スティング・オークレー   (CV:諏訪部順一)
ステラ・ルーシェ       (CV:桑島法子)
ミラー・ジョーン       (CV:杉田智和)
ロード・ジブリール      (CV:堀秀行)
 
オーブ連合首長国
カガリ・ユラ・アスハ    (CV:進藤尚美)  
ユウナ・ロマ・セイラン   (CV:野島健児)
アマギ            (CV:千葉進歩)



百科事典
http://dic.pixiv.net/a/%E6%A9%9F%E5%8B%95%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0SEEDDESTINY

あらすじのHP
http://k-rakuraku.com/SEED/STORY/seed-1.html#DP1

ちょっと辛口の指摘
http://blog.goo.ne.jp/higejin/e/e4cc642a11f8876a47f39e8f0ea45339



新聞小説「春に散る」(13) 沢木 耕太郎

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作:沢木 耕太郎 挿絵:中田春彌   6/12(427)~7/5(449)


来訪者
広岡たち四人に翔吾、佳菜子を加えた六人での生活リズムも落ち着いて来た。
かつて広岡たちが働いていた佐藤興業で翔吾は働き、体幹を鍛えた。
翔吾とチャンプの家の事が、美談として一般のスポーツ誌にも取り上げられた。広岡は反対したが、令子は翔吾の今後を考えて、取材を受ける事を勧めた。代表して藤原がインタビューを受けたが、好き放題に脚色して話した事が記事になってしまった。


そんなある日の午前、真拳ジムの令子が電話で広岡に「話したいことがある」と申し入れて来た。令子は午後、和菓子を携えてチャンプの家を訪れる。広岡の淹れたコーヒーを飲みながら、父の淹れたコーヒーの味に似ていると言う令子。
令子の話は大塚の事だった。世界戦を控えていたが、嫌だという。スパーリングで翔吾にノックダウンされたのがよほどショックだった。
同じジムの選手同士が戦うのはあまりない事。令子は突っぱねたが、翔吾を倒さなくては前に進めないと言ってきかない。
令子の頼みというのは、翔吾が大塚との試合をする気がないという事を、スポーツ誌のインタビューで表明して欲しいというもの。


チャンプの家で六人揃っての夕食の後、広岡は令子からの話を皆に伝えた。三人は皆避けるべきだとの考えの中、翔吾はもう一度やってみたいと言い出した。大塚に勝つことが出来たら世界が掴めそうな気がする、と。
佐瀬はもう一、二試合リスクの少ない相手とやらせたい、と言ったのに対し翔吾は遠慮がちながら、リスクの少ない相手と戦っても仕方がないと返した。
この数カ月で翔吾を大塚に勝てるボクサーに出来ないだろうか、という広岡の言葉に皆が乗った。


翌日、広岡は令子に電話でそのことを伝えた。少し考えさせて欲しいという令子。
家庭菜園に向かった佐瀬がすぐに戻って来て広岡にイージー・ライダーのなりそこないの様な奴が近所を廻っていると伝えた。佳菜子から聞いた、進藤不動産の進藤が高校時代にタレントの追っかけをしていた仲間の事を思い出していた。


広岡が家の前で様子を見ていると、大型バイクが隣の家の前で止まり、こちらをうかがっているように見えた。バイクの方まで歩いて声をかける広岡。土井さんのお知り合いですか、の問いに「広岡さん・・・・ですか」と聞く男。広岡に促されて食堂の広間に入って行った。
男が出した名刺には「弁護士 宇佐美 薫」とあった。
佳菜子との関係を聞くと、宇佐美は叔父と姪のようなものだと返す。

雇い主の進藤から、佳菜子が引っ越したという話を聞き、集団生活をしているというので少し心配になって来たのだという。


宇佐美から語られる佳菜子の素性。
佳菜子は四歳で交通事故により父親を亡くし、母親は佳菜子を連れて再婚。だがその相手は暴力をふるう危険な男だった。度重なる転居と、見つけられての暴力を経て、最後に岐阜県の山深い集落に逃げ込んだ。
その集落は一種の「駆け込み寺」として機能していた。その集落の前身は明治時代の五家族から始まっていた。集落の運営はその五家族の合議に委ねられており、息をひそめる様にして暮らす生活が永く貫かれていた。
佳菜子が十五歳になった時、母親がクモ膜下出血で死んだ。村では医師の資格を持った女性が村民の病気に対応していたが、母親に対しては手の施しようがなかった。
身よりのなくなった佳菜子は、五家族の合議により、医師の資格を持った女性と暮らす事になった。一緒に暮らすうちに、その女性は佳菜子の特殊な能力に気付くようになった。動物や植物の声が聞こえる、天気の変化を言い当てる等の、ある種の予知能力。


やがて、集落の病人に対して、佳菜子がリウマチ、喘息等の患者に手を触れるだけで治してしまう事が起き始めた。女性は五家族の長老にその事を相談した。
実は、その五家族は新興宗教の信徒たちだった。明治政府から邪教として追い詰められながら生き延びていた。五家族はその血縁の中でのみ宗教を存続させていたが、佳菜子の存在が教団を再興する絶好の機会と考え、近隣の集落からも人を集めて佳菜子の霊力を見せつけるようになった。
最初は素直に動いていた佳菜子も、次第に教祖としての立場を嫌うようになった。同居の女性も責任を感じ、宇佐美を訪ねる事になった。宇佐美はカルト集団からの脱出を手掛ける弁護士としても知られていた。


相談を受けた宇佐美は、佳菜子に会い、助ける必要があると判断。脱出の手引きをしても法的に問題とならない十八歳になってから、佳菜子を脱出させ、高知にある宇佐美の母親のところで匿った。
宇佐美の母親は佳菜子にピアノ、料理等様々な事を教え、高卒の資格も取らせた。一年近く経った時、佳菜子が車に乗った男女に拉致されそうになる事件が起き、佳菜子をこのまま置いておく事が危険になった。
そこで宇佐美はかつてアイドルの追っかけをやっていた進藤のところで事務員として働かせてもらう事にした。

広岡は、佳菜子が常々アメリカに行きたいと言っていた事について宇佐美に尋ねた。岐阜の山奥で彼女を支えてくれたのがアメリカ映画。難視聴地域でTVが見られず、その代わり集会所のDVDライブラリにあった洋画は自由に見られた(邦画はなし)。
広岡は話を聞きながら、ロサンゼルスで自分の命を助けてくれたエミコの事を思い出していた。

宇佐美が帰ってから、三人に佳菜子の事をかいつまんで話す広岡。三者三様の反応。秘密はこの四人で守られた。


感想
ようやく見えて来た佳菜子の秘密。霊的能力があるから翔吾の勝利も予知していた?
しかし、このテの小説で超能力が出て来るとは・・・・
「イージー・ライダーのなりそこない」か。リアルタイムで体験した映画だから良く判る。


次からは翔吾と大塚の戦いに舞台が展開して行く。
若者がだんだんスキルアップして行く姿を見るのはなんとも心地よい経験(ガンダムしかり)。

けっこう長丁場になって来たが、飽きることなく毎日楽しく読んでいる。






「そして、誰もいなくなった」TVドラマ 2016年 1、2話 毎週日曜放送 日テレ系

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関係者が絡んでいるので、ちょっとテコ入れ。


番組サイト
http://www.ntv.co.jp/soshitedaremo/intro/index.html


キャスト
藤堂 新一  :藤原竜也
小山内 保  :玉山鉄二
長崎 はるか :ミムラ
斉藤 博史  :今野浩喜
藤堂 万紀子 :黒木瞳 新一の母親
倉元 早苗  :二階堂ふみ
西野 弥生  :おのののか
日下 瑛治  :伊野尾慧  バー「KING」のバーテン兼オーナー
君家 砂央里 :桜井日奈子
馬場演     :小市慢太郎 バーの常連客
田嶋 達生  :ヒロミ  新一の上司。第一開発課課長
五木 啓太  :志尊淳
偽・藤堂新一 :遠藤要 
西条 信司   :鶴見辰吾 弁護士
鬼塚孝雄   :神保悟志 刑事

スタッフ
脚本       秦 建日子
演出       佐藤 東弥、久保田 充
プロデューサー  鈴木亜希乃、渡邊浩仁


第一話 7/17  視聴率 10.7%
ビルの屋上でライフルに狙われている藤堂新一。声とのやりとり。狙撃されるか、ビルから飛び降りるかの二者択一。また、お前は法律的には存在していない、とも。

10日前。母親の万紀子に婚約者の倉元早苗を紹介する新一。レストランでの支払いにクレジットカードカードが使えない。

新一はシステム開発会社「L・E・D」で開発担当をしており、新システム「ミス・イレイズ」の開発に成功していた。ネットに拡散している個人情報を一瞬で消去出来るもの。
人事部に呼ばれる新一。幹部にバーソナルナンバーを聞かれ答えるが、そのナンバーは別人のものであり、該当の者は三日前に婦女暴行で逮捕され拘留中だという。自宅待機を命じられる新一。


総務省に務める大学時代の同級生、小山内に相談する新一。小山内の調べでは住民票、納税記録等、新一の個人情報はどこにも存在していなかった。世間的には新一の方がなりすましだと言う小山内。
家に戻り、待っていた早苗が婚姻届を出すが、今の状況での署名に躊躇する新一。怒って立ち去る早苗。

偽・藤堂新一は新潟で事件を起こしていた。それは新一が学生時代を過ごした場所。キャッシュカードが使えないため、少ない現金で夜行バスに乗り新潟に向かった新一。

新潟では元同級生の斉藤博史と長崎はるか出迎えてくれた。偽・藤堂新一の住んでいたアパートは、新一がかつて暮らしていた同じ部屋だった。隣の住人に話を聞くと、センター試験の時に熱を出し、東大入試を失敗して新潟の大学に入った、と新一の経歴をそのまま話していた。


新一のスマホに「ミス・イレイズ」が起動した事を知らせる通知が来た。「ミス・イレイズ」の応用でなりすましの人間を突き止める事が出来る事を思いつく新一。
拘留中の偽・藤堂新一を訪れる弁護士の西条。


斉藤とはるかから金を借りて東京に戻った新一は、小山内に偽・藤堂新一の写真を送ってもらう様頼み込む。非合法手段でそれを入手し、新一に渡した小山内。その画像を使って「ミス・イレイズ」の画像検索により、「川野瀬猛」という名前とプロフィールを示す情報が多数集まった。高校中退で格闘技家を目指していたが挫折、暴走族の経歴もあった。

一方、万紀子に電話を掛けるはるか。万紀子は、新一が新潟で、はるか達に世話になった事を知っていた。


バー「KING」で落ち合う新一と小山内。常連客の男が酒を飲んでいる。
明日警察に行って説明すると話す新一。店から出て別れた小山内は、タクシーで10分ほど回った後、再び「KING」に戻りバーテンの日下に提案を持ちかける。

新一のスマホに「ミス・イレイズ」の起動情報が届いたが、特に気にしなかった。


翌日、警察に行きパソコンで川野瀬猛の説明を始めた新一だったが、それに関するネット情報が全て消えていた。慌てて警察署から逃げ出す新一。その足で会社「L・E・D」に行き、後輩の五木の来客として社内に入る新一。アクセス・ログを解明しようとしたが、五木のIDでのアクセスが禁止されていた。
そこに人事部の田村が来る。隠れる新一。新一が2億円を横領し、「ミス・イレイズ」のプロジェクトが頓挫しているという。驚いた新一は姿を現してしまう。会社から逃げ出したが田村にケガをさせ、警備員から追われる羽目に。そこで偶然はるかに出会い、ホテルに逃げ込んだ。
会社ぐるみの陰謀を示唆するはるか。会社で信頼出来る人は、と聞かれ田嶋課長を思い浮かべる新一。


総務省。旧郵政省の派閥人事。行政企画局長の寺前と小山内との会話。アイデア実行の許可を得る小山内。

田嶋課長を呼び出す新一。横領の件は、普段から無防備の新一が印鑑を使われたのだろう、と田嶋。
新一が「ミス・イレイズ」へのアクセス・ログを聞くが、後輩の五木が確認した限りではゼロとの事。裏ログを確認すれば判ると新一は考え、自分がそれをやろうとするが、田嶋が止め、操作方法を聞いて自分がやってみると提案。

その晩バー「KING」で連絡を待つ新一。田嶋からの電話では、裏ログは見つからず変なプログラムが走り出したとの事。会社に向かう新一。新一の残したコップをビニール袋の回収する日下。

偽・藤堂新一を弁護する西条。婦女暴行の被害者の女性を訪れ、貴女と彼の秘密を知っていると言って、虚偽告訴の量刑について脅した。


冒頭のビル屋上の場面。狙撃、飛び降りの二択を迫られる新一が、第三の選択肢がある筈だと言うと、声の男が反応。自分の願いは孤独。誰も信用せず、誰とも仲間とならない、全員が平等で争いのない世界を作ろう、と持ち掛ける。拒絶する新一。


感想
まず「ミス・イレイズ」の設定にびっくり。確かにネットでは自分に都合の悪い情報も出回ったりして苦労する人も居るが、一切の個人情報をイレース(消去)するのはまず無理。中には有用(絶対必要)なものもあるし。それにテキスト情報だけでは、同姓同名の場合の選別は一体どうするの、とか。それからローカルフォルダの情報も消えるなんて、そらーコンピュータウイルスだべ。ちょっと考えただけでボロボロ。
まあ、そんな話はおいといて、というのがこのテのドラマのお約束だから、これ以上の突っ込みはやめておこう。しかし、マイナンバー制度に対する強烈なアンチテーゼ。自民党から圧力がかかるかも?・・・・

ドラマの進行としては、まあまあかな。ただ登場人物がみんな怪しく思わせぶりな演技だから、混乱することこの上ない。
一番黒いのは、やっぱ小山内だな。



第二話「新たな刺客から逃げろ」7/24放送   視聴率 8.6%
会社に向かう新一。田嶋が新一用にワンタイムのIDカードを用意してくれていた。新一の確認でもバックドアの裏ログは消去されていた。
そこへ電話が掛かって来た。相手は「ガキの使い」と名乗り、クイズと称して数字の羅列を言った(030122087514・・)だが途中で人が入って

来たため受話器を置き、新一は隠れる。後輩の五木だった。
田嶋と話す五木。偽・藤堂新一の弁護をしている西条の事務所で五木の同級生が働いているという。西条は高額の報酬を要求する事で有名のた

め、依頼人が別に居るのでは、との話。
再び電話が掛かり、五木が受けるとさっきの続きと言って「ガキの使い」が最後は00だと言った。


婚姻届にサインをして早苗を安心させる新一。会社の昼休みにウェディングドレスの試着に付き合ってと頼む早苗。
新一は出勤する振りをして西条法律事務所を訪れた。受付嬢にフルネームを伝えれば会ってもらえると言って待つが、数時間待たされる。
ようやく会えた西条に事実を訴えるが、守秘義務を盾に取り合わない。新一が、名前以外の情報を伝えていないのに、西条が新一の会社「L・E・D」の事を知っていた事を追求する新一。それには取り合わず、名刺だけ渡して追い返す西条。


早苗との待ち合わせを思い出した新一。ブライダルショップのパンフレットから、例の数字が電話番号と時刻の組み合わせだと知った新一がその電話番号に掛けると「上原動物園」だった。
新一が動物園に行き、14時になると万紀子、ヘルパーの西野、小山内の三人が連れ立って歩いていた。
小山内は、新一からこの動物園で会おうと連絡があった、と万紀子から聞いていた。小山内は、新一と連絡が付かないから万紀子に同行していたのだった。
万紀子が新一に封筒を渡す。新一宛てだという。封筒裏には「GAKINOTSUKAI」とあった。中には白いスマホが。
小山内が、自分の上司が新一のなりすまし被害に興味を持っていると話し、あのバーで会おうと言ってそこを去った。


ブライダルショップで友人と話していた早苗。飲み物を倒した時に使い捨てのおしぼりを出してくれた女性。はるかだった。急速に親しくなる二人。


新潟法科学研究所で働く斉藤。送られて来たコップの分析に取り掛かっていた。


バー「KING」で小山内、寺前と顔合わせをする新一。話をしようとした矢先、例のスマホから電話。それに出ると「ガキの使い」から。頼み事を受ければ謝礼と、今までのナンバーがらみのトラブル一切が元通りになると言われたが、即座に断る新一。
見つけ出して警察に突き出す、と息巻く新一に、君を附けている人が居る、と警告する男。見れば数人の男が近づいて来る。新一が逃げても彼らは執拗に追い続け、とうとう捕まってしまう。
目隠しをされて部屋まで連れて来られた新一。そこで刑事の鬼塚に、本当の名前を言え、と銃を突き付けられるが、とことん抵抗する新一。部下が口をすべらしたため、拉致者が警察関係だと知った新一は、弁護士として西条を呼んだ。


到着した西条。彼から話されるL・E・Dの開発システム。これは総務省が中心になって進める国民管理システムに使われるという。その開発に怪しい人間が居るのだから、公安に追われる理由としては十分。
更に西条は、偽・藤堂新一への婦女暴行の告訴が取り下げられた事も伝える。新一の立場はますます悪くなる。


新一の家で夕食の支度をする早苗。チャイムが鳴り、新一だと思ってドアを開けると、会社の五木が。早苗をソファに押し倒し、強引にキスをした。


感想
「ガキの使い」の正体は、バーの常連客の馬場、だな。しかし、数字の羅列が電話番号と時刻の組み合わせなんて、ちょっとヒネリに欠ける。

せめて緯度、経度の組み合わせとか(五十歩百歩か・・・)

追う公安とか、「本当の名前を言え」と脅迫するところも、ちょっと俗っぽい。

まあ、このテのサスペンスであまり考証をガタガタ言ってもしゃーないか。


五木の件は、ブライダルショップの友人が早苗に「あの話が大丈夫?」とか聞いていたから、そういう事かなー、と判断。早苗と五木が付き合っていた過去があり、その後新一が関わってデキちゃったという話なんだろな。それとも知らずに略奪してたとか。
ホントに新一の子供なのか?ってそこまで話が行くのかァ?・・・・・



NHKスペシャル イギリス EU離脱の衝撃 日本経済への波紋は  6/25放送

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いささか旧聞に属するが、メモを取っていたので記事アップ。


番組紹介
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160625

番組再生
https://www.youtube.com/watch?v=0yR38rurRE0


英国におけるEUの離脱は、国に大きな分断をもたらした。世界の株価が下落。
投資家の恐怖指数が急上昇。金融市場のおびえ。

戦争の教訓から生まれたEU。壮大な実験とも言われた。発足当時には理由があった筈。意味を見つめる。
三井住友海上→分析に追われる。影響は日本の株にも現れている。


ニューヨーク。運用会社「ブラックロック」が注目。離脱は大きなリスク。十分な備えを発信(「金(GOLD)」に注目)。
VIX指数(恐怖指数)が急増。ジョージ・ソロスがマーケットに戻って来た。悪い予感。今後の影響→信用不安。

2008年のリーマンショックには世界中がパニックになり、急激な円高を招いた。


G7の緊急TEL会議。政府対応の協議。世界経済がどうなるか。しばらく混乱は続く。日本経済は輸出に頼っており、対応が難しい。
株価振れ幅大の原因。①楽観ムードの反動 ②離脱のスケジュールが判らない。これらが不安をかき立てた。
為替の円高→驚き。EU離脱の直接影響はない→安全資産として円が買われた。

今後の流れ。
離脱の通告→2年以内。通知は2020年?


リーマンショックとの違い。リーマン時は金融取引の中止→市場に安心感を与えた。


今回の背景
イギリス国民の感情が一気に爆発した。イギリス人独特の価値観(大英帝国)。EUの規則に縛られているという意識。
ギリシャ、アイルランド等の債務危機の国に引っ張られる。


なぜ離脱が過半数を占めたか。
①移民政策への不満。リトアニアからの移民→給料4倍。
EU域内では人の移動が自由。年間20万がイギリスに流入。地元住民が仕事を奪われた→離脱支持に回った。外国人にはうんざり。
②広がる格差。低所得者層の増大。
ある若者(スゥインドン)。会社から休みの指示(その間無給)。新たな雇用形態。大きな怒りになって広がった。
キャメロン→移民を減らす公約。答えを示せなかった。
離脱派は移民を争点の中心にした。既存の政治への不満を感情に訴えた。

根底にある不満。EU方式の方程式の崩れ。許容のコンセンサス。CITY(金融センター)の重要性。
2010年からの緊縮体制。なぜ悪化したか。
住宅バブルの崩壊→ツケを払わされ続けた(イギリス銀行が取って来たやり方)。


今後の課題
①離脱までの動き ②うまくやれるのか。
後継者レース。EU本部(ブリュッセル)。対策の協議を演出。EU自身にも変わるべき点がある。
単一市場。移動の自由→義務も生じる事の説明をして来なかった。
離脱の連鎖を食い止める→英国に厳しい条件を付けて来る。

(離脱は)世界のパワーバランスに影響を与える。排他主義の増大。他国の追随。オランダは極右が台頭。
今のヨーロッパは火薬庫。英国がマッチになる。
EUの限界。終わりの始まり。EUとしては28ケ国の足並みを揃えることを優先。


喜んでいるのはプーチン。EUはロシアに対抗出来ない。シリア問題にも力を失う。G7の弱体化。西側の危機。
政治経済の弱体化。内向きの政策。ドミノ倒しの懸念。


2017年問題。フランス、ドイツの大統領選挙、オランダの総選挙。楽観できない。
イギリス経済。短期→不確実性の高まり。中長期→政策次第。米中とのFTA。


EUのお仕置き? 交渉期間の長期化。もう一度国民投票?

大きな視点で物事を捉える必要がある。


今回は移民問題でバイアスがかかった。

ナショナル・アイデンティティー。


感想
EU離脱については、下馬評で残留の予想が圧倒的だったのでホントびっくりした。
年長者の方に離脱派が多かったという事で「大英帝国」のプライドが支配してしまったという事か。


一時100円を割った為替も多少戻った。ただここ数日は102円台とまた不穏な動き・・・・
長い目で見て、英国経済はマイナスになるだろうから、その分日本にとっては円高要素になる。
米社債にちょっと関わっているから、円高は困るんよ。


番組で、大越キャスターに久しぶりに会えたのが良かった(NHK9時の顔だったもんね)。


ジョージ・ソロス
http://www.mag2.com/p/money/15385



モーガン・フリーマン 時空を超えて「死後の世界はあるのか?」7/22放送

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番組紹介
http://www4.nhk.or.jp/P3452/x/2016-07-22/31/15373/1988018/


人間の魂はとは何か(内なる何か)。生き続けるのか。いずれ誰もが直面する問題。


モーガンの経験
六歳の時、祖母を亡くした。なぜ突然居なくなったのか判らなかった。魂はどこかで生き続けるのか。


エベン・アレグザンダー(脳神経学者)
急性細菌性髄膜炎で脳の表面が膿で包まれ、大脳皮質が麻痺し7日間昏睡状態が続いた。その後回復。
昏睡時には「ミミズから見た世界」を経験(汚い土の中)。
その後くるくる回るものが現れ、美しい野原に出た。自分が蝶の一羽となり、群れの中を飛んでいる。暖かく神聖なもの(神、宇宙)を感じる体験をした。超越的なものが存在する。自分の体験を科学的に説明出来ない。


ブルース・グレイソン(脳神経学者)
臨死体験の調査を行った。肉体からの離脱、光、神聖な存在を見る→多くは幻覚。1970年代、パイロットにGを掛ける実験が行われた。気を失う時、まぶしい光を感じ、自分自身を高い所から見る感覚があった。ただし神聖な存在との出会いはなかった。

臨死体験の壁。なぜ記憶しているのか。死の先に何かがある印なのか。
魂を科学的に解明する必要がある。意識とは何かがポイント。


スチュワート・ハメロフ(意識研究センター所長)
脳の活動と意識の関係性を調べる。
マイクロチューブル(脳の中の細胞骨格)。脳細胞をコンピューターの一種と考える(量子コンピューター)。量子もつれが意識と深い関係にある。脳の離れた場所で反応する。何もないところでも伝わる→外の空間と繋がる可能性がある。

意識は宇宙の構成物質で出来ている?
脳の機能が停止するとマイクロチューブル内の物質が散らばる。意識を取り戻すと戻る。量子情報は魂のまま浮遊する?
脳死患者のモニター。脳のニューロンが爆発的に活動→量子論で説明可能?


意識はどこから来てどこへ行くのか。
脳の活動パターンで意識を捉える。
脳に意識が宿っている。死んだ時、眠りに落ちた時、脳に何が起きるのか。


ジュリオ・トノーニ(神経科学者)
意識の謎の解明。寝ていても脳は活発に動いている(意識はない)。
パターン化。関係性の情報(炎のようなもの)。
実験:意識を失った脳を調べる。大脳皮質が電流にどう反応するか。
一つの刺激が反応を生む→目覚めている。
意識がない時。情報を共有する力がない。例えば会議のようなもの。意識がある時は話し合っている状態。
昏睡状態で意識は存在しているのか→ない事は判る。意識を生み出すために必要なものは何か。

魂とは何か。エネルギー?重さはあるのか。
物質なら原子で出来ている。原子ならリサイクル可能。


クリストフ・コッホ
ニューロンのネットワークにより意識が生まれる。永遠の魂は存在しない。不変の魂はない。常に変化する。肉体よりも長くは生きない。


ダグラス・ホフスタッター(認知科学者)
認知機能のモデル化に成功。
モデル化とは。例えばコショー入れ。すぐに認識出来る(モデルがある)。
蜂→太陽と巣の位置が判る。ヒヒは群れの序列が判る。人間は自分が何者かを知っている(作り上げる)。精神のフィードバックループ。
カメラでTVを写す(画面の重積)。
人間以外にも魂はある。魂を人工的に作る。

多くの宗教は「肉体は魂の入れ物」と説く。
脳のコピーにも魂が生まれるか。脳の模倣は難しい。


スティーブ・ポッター(神経工学者)
生きたニューロンとコンピューターを繋ぐ(半分機械、半分生体)。多電極アレイ培養皿。これが意識を持っているか→yes。どうやって知るか。会話をして、相手を信じるしかない。

肉体は亡びても魂を残せると考える。


ダグラス・ホフスタッター。
意識とは、情報により複雑な思考パターンを作り出すこと。
ショパンの楽譜。感情が現れている(魂の一部)→生き続けている。永遠の魂を獲得。
死は皆既日食の様なもの。月に隠れてメインの光は遮られるが、その周辺(コロナ)は淡い輝きが残っている。
妻キャロルの死。イタリアの旅行中に脳腫瘍で倒れ、翌日に昏睡状態(その後死亡)。
妻の一部だけでも生き続けられないかとの願い。

モザイク画。破壊されてもコピーは出来る、概要は伝えられる。
出会った人の中で生き続ける。人々の心の中以外で生き続けられるか。


ジュリオ・トノーニ。死ねば消え去る。

必要なのは、何を信じるか。


感想
最初題名見て「あ、例の臨死体験かー」とスルーしようとしたが、録画チェックで結局全部観る事になった。

マイクロチューブルによる情報処理の解明の中で、離れた場所へ情報が伝わるという話には非常に惹かれる。
その辺りの真偽についてはまだまだ研究の余地があるだろうが、ショパンの楽譜の件は、なんだか切ない感じ。


紙の情報でも感情が伝わる・・・・今こうやってBlogを書いている事も、一応電脳社会で生きているという事か。
本人そのままでなくとも「コロナ」成分ぐらいは伝わっている、かなぁ。


追加情報 
スチュワート・ハメロフ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%A1%E3%83%AD%E3%83%95

クリストフ・コッホ『意識をめぐる冒険』
http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20141012/1413079094


シン・ゴジラ  2016年

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最初に断っておきます。ネタバレです。


総監督・脚本・編集  庵野秀明
監督・特技監督    樋口真嗣
音楽         鷺巣詩郎


キャスト
矢口蘭堂(内閣官房副長官) 長谷川博己
赤坂秀樹(内閣総理大臣補佐官) 竹野内豊
カヨコ・アン・パタースン(米国大統領特使) 石原さとみ
大河内清次(内閣総理大臣) 大杉漣
東竜太(内閣官房長官) 柄本明
志村祐介(内閣官房副長官秘書官) 高良健吾
森文哉(厚労省課長) 津田寛治
安田龍彥(文部科学省課長) 高橋一生
尾頭ヒロミ(環境省課課長補佐) 市川実日子
間邦夫(国立科学研究科 准教授) 塚本晋也
泉修一(保守第一党政調副会長) 松尾諭
財前正夫(統合幕僚長) 國村隼
西郷(戦闘団長) ピエール瀧
花森麗子(防衛大臣) 余貴美子
里見祐介(農水大臣→臨時代理) 平泉成


予告映像
https://www.youtube.com/watch?v=WEGowRHB_N4
https://www.youtube.com/watch?v=IgHlSg577OA
https://www.youtube.com/watch?v=rfXgMErs754


あらすじ
横浜沖で発見されたプレジャーボート。中には誰も乗っておらず船内に赤い折り鶴があった。
その時海上で大きな水しぶきが発生し、周囲が赤く染まる。
東京湾アクアラインの地下トンネルに亀裂が入る。
政府で緊急の会議が始まる。矢口が巨大生物の可能性を指摘するが相手にされない。
緊急連絡が入り、首相指示でTVがつけられると、水しぶきのあった場所から巨大なしっぽが現れる。


巨大生物は大田区の多摩川支流を遡上。なぎ倒される船や橋。
当初有識者の発言を受けて、生物は自重で崩れ、上陸は不可能、と首相が発表したが、生物は立ち上がってビルをなぎ倒した(顔はワニ状)。
武力行使を首相に迫る花森防衛大臣。超法規的解釈で自衛隊による攻撃を許可する首相。戦闘ヘリ数機により攻撃準備するが、逃げ遅れた住民のため、中止される。
その後巨大生物は東京湾に戻って行った。


一夜明けて、日常を取り戻す都民。巨大生物は第一~第三形態まで変化したとの判断。
御用学者はアテにならず、矢口は各方面のスペシャリストを集めて対応チームを結成。だがカギとなる生物の皮膚等がアメリカに回収されてしまう。
生物の動きからして通常の代謝エネルギーでは説明がつかない。調査の進展により生物が放射能をまき散らしている事が判明。
生き残っていた古代生物が、放射性廃棄物を食糧として変化したものだとの推定。


アメリカから大統領特使としてカヨコ・アン・パターソンが官邸に来た。そしてゴジラ出現を予言していたというマキ・ゴローという人物の情報を提供。彼は5年前から指摘していたが、日本国内で相手にされず、渡米したらしい。
カヨコはその生物の事をゴジラと呼んだ。

残った組織からゴジラの体内に未知の元素があり、またヒトの8倍の遺伝子情報を持っている事が判明。
矢口のチームでゴジラの体内冷却機構の調査から、血液を凝固させる方法の可能性が導き出された。その方面の検討を指示する矢口。


ゴジラが相模湾に出現。体長が倍近くになり、形態もまた変わっていた(第四形態?)。鎌倉に再上陸した。
ゴジラは街を破壊しながら川崎方面に進む。防衛幹部の進言により、総理から無制限の武器使用許可が出される。

多摩川を防衛ラインとした「多摩作戦」の実行。フェーズ1.数十機による戦闘ヘリ攻撃。次いでミサイル攻撃するも効果なし。フェーズ2.戦車からの砲撃。これも効果なし。フェーズ3.戦闘機F-2による爆撃。これは多少効果あり、ゴジラの進行方向を変える事が出来た。その後大規模攻撃。だがゴジラには被害を与える事が出来ない。自衛隊の攻撃はこれで終了。
ゴジラは都内に入った。


政府は米国に支援を求めたが、米軍は既にハワイからB-2爆撃機を発進させていた。兵器は地中貫通爆弾(バンカーバスター)。この攻撃は有効で、ゴジラからの出血が確認された。その時ゴジラの背中が白く光り、口から光線を吐いた。上に向けた光線で爆撃機が1機撃墜される。

残りの機で爆撃を継続すると、ゴジラは背中からも光線を放射。残りの爆撃機は全て撃墜された。
避難のため、総理ら要人を乗せたヘリも巻き添えになって撃墜される。
ゴジラはエネルギーを放出して休止状態となった。


政府の本部は立川に移動。死亡した総理に代わって農水大臣の里見が臨時総理となる。
矢口のチームは半数が死ぬが、ゴジラの血液凝固剤の絞り込みが済んでいた。

国連では多国籍軍の名目でゴジラを核攻撃で排除すると申し入れて来た。ゴジラのエネルギー補充の間隔から見て猶予は2週間。
特定出来た血液凝固剤は700kgあまり必要であり、全国の関係機関に製造を依頼。
都民360万人の避難もそれまでに済ませなくてはならない。


マキ・ゴロー教授の残していた紙の解析表。彼が乗っていたプレジャーボートに残されていた折り鶴を思い出したチーム員が、解析表に折り目を入れて立体にする事で解析法を解明。
その結果では、ゴジラの正体は微生物の持つ新元素。その情報は凝固剤の作戦に活かす事が出来た。


アメリカの核攻撃まであと2日。だが凝固剤の製造完了まで24時間足りない。攻撃までの時間稼ぎをフランスの関係者に働きかける。

凝固作戦は「ヤシオリ」と名付けられ、カヨコの手配で米軍も協力する事になった。

1.新幹線に爆弾を乗せてぶつける
2.無人爆撃機による攻撃(ゴジラに光線を吐かせ続ける)
3.ビルを爆破しゴジラを転倒させて物理的に拘束
4.コンクリートポンプ車でゴジラの口に凝固剤注入
だが途中でゴジラが起き上がり、ポンプ車をなぎ倒す
5.爆弾を仕込んだ在来線を次々にぶつけ爆破。ゴジラが転倒
6.凝固剤を再び注入
起き上がったゴジラだが、次第に凝固を始め、動かなくなる。体内温度-196℃を確認

尾頭の解析で、ゴジラの放射能は半減期が短く、東京の除染は数年で可能との見込み。

東京は救われた。

ただしゴジラが活動を再開したら、その3526秒後には核攻撃が行われる。


感想
エヴァの新・劇場版作らんと、こんな映画・・・・とも思ったが、一応ゴジラには親しんだ世代なので観に行った。

まず、この現在の日本でもし巨大生物が出現したら、という事態を政治的・社会的に具体化して描いたという点が画期的。もちろん初代「ゴジラ」でもそれは行われていたが、自衛隊出動に関する制約、日米安保等、緊急事態に対して政府がどう対応して行くかという社会派SFとしての描き方には好感が持てる。

ゴジラの形態にしても、最初は水棲生物としての形。あのトンマな顔見てて、あーそうかと思い出した。エヴァンゲリオンの第4使徒「シャムシェル」だな。
だが1回目の上陸の後、さっさと海に戻って行ったのはちょっとあっさりしすぎ。戻って行く姿もなかったし。


また、自衛隊の攻撃に対して無傷だったのが、米軍の地中貫通爆弾が有効だったという部分。ここにはちょっと引っ掛かった。火器としてそれほどの差があるのなら、そこを端緒として攻撃法を考えるべきでは。


今回の映画で一番ザンネンだったのは血液凝固剤。まあ凝固剤まではいいけど、ポンプ車で投入しても血液に触れるわけじゃないからなぜ凝固するのか。またビル破壊で広範囲のがれきに囲まれるのに、ゴジラの口元までタイヤ形式のポンプ車が行き着ける筈がない。それにあんな入れ方で全部入って行くわけがない(大半こぼれる)。
政治的にここまでリアルにやったんなら、もう少し確からしい作戦にまとめて欲しかった。

本来、この作戦は血液の凝固であって「凍結」ではない筈。それがいつのまにか凍結にすり替わって、最後では「-196℃」なんて、そんな冷凍エネルギー、どこから出て来るのよ・・・・


それから音楽。いくら音楽担当が鷺巣詩郎で、エヴァの音楽使ってもオッケーだと言っても、会議の前にかかるあのティンパニーのリズム。この映画で聞いてしまうと、みんなエヴァに染まる。

NHKスペシャル「決断なき原爆投下 ~米大統領 71年目の真実~  8/6放送

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番組紹介
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160806


今年5月のオバマ大統領による広島訪問。謝罪のことばはなかった。


1945年8月6日。広島に投下された原爆。
ハリー・トルーマン大統領の演説(原爆投下は)戦争を早く終わらせるための決断。
この時、トルーマンは原爆投下について明確な判断をしていなかった可能性が最近浮かび上がった。


空軍士官学校に保管されていた重要な資料。
原爆投下の軍側の最高責任者、レスリー・グローブス准将のインタビューテープ(1970.4.3に収録)。
グローブスはその3ケ月後に心臓病で死亡。
「大統領は軍を止められなかった」


原爆製造のための「マンハッタン計画」はルーズベルト大統領の指示で始められた。予算は22億ドル。
1945年4月のルーズベルトが急死。その直後、副大統領だったトルーマンが、引継ぎのないままマンハッタン計画の最高責任者になった。
トルーマン自身、原爆投下の計画を全く知らなかった。

制作スタッフは米国の機密資料を収集。政権と軍との攻防が見えて来た。


4月25日。大統領執務室。グローブスからトルーマンへの進捗説明(続行の許認可)。議題はどこに落とすか。
当時文民統制のルールにより、計画の実行には大統領の承認が必要。24ページの報告書(目的、材料、仕組み等)。だがトルーマンの反応は意外なもの。報告書の詳細を知ろうとしなかった。グローブスはこれを「承認された」と解釈。


実行計画。1回目7月。2回目8月。その年の暮れまでに17発の原爆を作る(大量投下を計画)。トルーマンは気付いていなかった。
トルーマン図書館に日記が残っている。1945/4/12 不安、トップの重圧。外交に自身なく、軍にどう見られるかの心配。
当時の情勢。ヨーロッパではナチスが降伏寸前。戦争をどう終わらせるか。ソ連との関係。

4/27 計画は次の段階へ(目標検討委員会)。気象専門家の意見→6月は最悪(梅雨)。8月になって良くなる。9月に悪くなる。投下日8/10が決まる。
物理学者。人口集中の都市。空襲を受けていない事。最大の効果を得られる(直径5kmを確保)。その結果、広島と京都が候補にされた。


ヘンリー・スティムソン(陸軍長官)。トルーマンに原爆投下に関する情報を伝える役目。5/30 トルーマンに呼ばれる。スティムソンは「京都は認めない」。日記が残っている。6/6 原爆投下はアメリカが残虐行為をしたとの汚名を着る。スティムソンは二度京都を訪れていた。おびただしい死者が出る。アメリカのイメージを悪化させたくなかった。


グローブスは京都にこだわり、京都には軍事施設があると主張(実は紡績工場)。グローブスはトルーマンのところへ6回通ったが、京都への攻撃は国益を損なうとして認めなかった。

事態は7/16に大きく動く。ニューメキシコで世界初の原爆実験成功。日本への空襲は激化しており、降伏は間近。戦争が終わる前に原爆を使わなくてはならない(22億ドル使った計画の効果証明)。


7/24 軍の動きを受けてスティンソンからトルーマンへ電報。「京都は外すべき」。
トルーマンは、原爆投下は軍事施設に限るべきと指示(女性、子供はターゲットにしない)。
軍は、広島には日本軍の司令部があると報告し、軍事都市だと断定。研究者、軍が事実を覆い隠した。報告書は巧みに書かれていた。
トルーマンは、原爆投下しても一般市民は死なないと思い込んだ。


7/25 グローブスは指令書を起草。最初は広島、小倉、新潟、長崎のいずれか。2回目以降は追って指示。

テニアン島。原爆投下の前線基地。原爆投下の特殊部隊:509混成群団。
レイ・ギャラガー(投下時の搭乗員)。目標はヒロシマ。徹底的に破壊しろとの指示。目標地点は「相生橋」直径5kmで円を描くと山裾ギリギリ→破壊効果を最大にするため。


8/6 1:45に出発し、8:15に投下。二度と見たくない光景。運べと言われたものを運んだ。

投下時、トルーマンは大西洋上。ポツダム会談の帰り道。この時に演説を収録。軍事目標に落としたと強調。軍の思惑に気付いていなかった。

8/8にトルーマンが気付く。スティムソンから広島の被害写真を見せられた(市街地がことごとく破壊)。
トルーマンの言葉。こんな破壊行為の責任は大統領の私にある。明確な指示をしなかった責任。軍の暴走。
次いで原爆は8/9 長崎に投下された。


8/10 トルーマンは全閣僚を集め、これ以上の原爆投下を中止せよと指示。グローブスは3発目の準備をしていたが、断念せざるを得なかった。

8/9 トルーマンが米国民に向けた言葉に追加された文。戦争を早く終わらせ、多くの米兵を救うために決断した。投下の責任を都合の良い理屈で覆い隠した。
命を救うために原爆を使ったという世論操作の演出。8割の国民がそれを支持した。

その後被害の実態が伝わらないまま、核開発競争が行われた。


感想
原爆投下の日に行われた、重いテーマのNHKスペシャル。
京都がターゲット候補に入っていたという話は以前聞いた覚えがあるが、投下の決心自身が大統領の明確な指示なく行われたというのは驚き。また「戦争を早く終わらせるための原爆投下」も後付けの屁理屈だったというのも不快。


それにしても、もしルーズベルトが急死せずに計画推進の中心に居続けていたとしたら、当初計画通り17発もの原爆を投下されていたかも知れない、と考えれば、トルーマンが3発目以降を食い止めてくれた事は、良かった。



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