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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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戦争と平和(映画)   1956年

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監督 キング・ヴィダー
脚本 ブリジェット・ボーランド
原作 レフ・トルストイ
音楽 ニーノ・ロータ

 

キャスト
ナターシャ・ロストフ              オードリー・ヘプバーン 
ピエール・ベズーホフ伯爵        ヘンリー・フォンダ
アンドレイ・ボルコンスキー公爵    メル・ファーラー
アナトーリー(エレンの兄)         ヴィットリオ・ガスマン
ナポレオン・ボナパルト          ハーバート・ロム
ミハイル・クトゥーゾフ将軍        オスカー・ホモルカ
エレン(ピエールの妻)           アニタ・エクバーグ
ドーロホフ大尉(エレンの不倫相手)  ヘルムート・ダンティーン
ニコラス・ロストフ伯爵(ナターシャの父)  バリー・ジョーンズ
マリア(アンドレイの妹)          アンナ・マリア・フェレロ 
リーゼ(アンドレイの妻)          ミリ・ヴィターレ
ニコライ・ロストフ(ナターシャの兄)  ジェレミー・ブレット
ソーニャ(ニコラスの妻)          メイ・ブリット

 

 

予告編

 

感想
19世紀前半のヨーロッパ。ナポレオン東進によるロシア遠征と、その失敗の時期である1805年から1813年を描いたもの。
三つのロシア貴族の興亡を、ピエールとナターシャの恋を軸に描く。

まず、以前「レッド・スパロー」で「ロシア人がみんな英語喋ってる~」と茶化したが、歴史があるのネ。

こんな先例があれば、どこの国だろうが吹替えで作るわな・・・

 

白黒だった「ローマの休日」から三年後のオールカラー作品。

ヘップバーンの魅力が十二分に現されている。
しかし悪いヤツとはいえ、エレン役のアニタ・エクバーグの美貌と豊満な肉体には心が動いた。

ピエールの行動がイマイチ判りづらいというか、変。愛人の子供だったのが、思いがけず父の遺産を受け継いで名門に仕立てられたまではいい。その後、軍隊に入らないのに戦争は経験したいとばかりに戦場をウロウロする。そらーアンドレイだってイラつくだろう。
それで戦争の悲惨さを知ったなんて、中学生か!

ナターシャにしても、アンドレイに求愛されて許嫁の立場となったにも関わらず、アナトーリーの誘惑に負けて駆け落ちしようとする。

 

原作は重厚なロシア文学なのだろうが、映画として尺に収めるため端折った結果、やや薄っぺらいものになったナーという印象。
ただ、戦闘シーンの迫力にはまいった。

延々と続く行軍は1キロ以上もあるかと思われ、また乗馬による集団の撮影も、これが実写?とビビる程。

 

ナポレオンは小太りで、有名な肖像画とは似ても似つかないが、これが実際の姿なのだろう。

ただ、映画なんだからここまで忠実にせんでも・・・・

世間に知られているナポレオン

 

原作について、ネット情報を集めてみたところでは「時代の出来事に抵抗して、どの様に生きるべきかを描いたもの」とのこと。
スカーレット・オハラほどの迫力はないがナターシャ、ピエールにその傾向を見て取る事は出来る。


音楽はニーノ・ロータ。「太陽がいっぱい」や「ゴッドファーザー・愛のテーマ」「ロミオとジュリエット」などで名声の高い作曲家。
代表となる楽曲の印象はないが、大スペクタクル巨編にふさわしい重厚な味付けがされている。

 

 

 

 

あらすじ
<前編>

勢力を拡大して東進を続けるナポレオン軍。ロシアへの進攻が噂される中でも、いつも明るい雰囲気のロストフ伯爵家。父親、母親、長男ニコライ、長女のナターシャ、弟のペーチャと、ニコライの恋人ソニア。
そこに以前から親しく訪れるピエール。


出征するニコライに別れを惜しむ家族。

 

ピエールはパーティ好きのドーロホフ伯爵家で、ホストのドーロホフがワインのイッキ飲みをするのに対抗して自分もやろうとしていた。
そこに訪れる友人のアンドレイが、ピエールに父のベズーホフ伯爵の危篤を告げる。ピエールは父の庶子だったが、遺言でベズーホフ家の財産を相続した。
その臨終に立ち会ったクラーギン公爵は、美貌を誇る娘のエレンをピエールの妻にと画策。

 

軍人のアンドレイはボルコンスキー公爵家であり、出征に先立ち厳格な父から家名を汚すなと檄を飛ばされる。妻のリーゼは妊娠中だが父に気を遣う。妹のマリアは内気で沈黙を守る。
ピエールは美貌のエレンとの結婚を決め、それをナターシャに話す。結婚の実感がまだ理解出来ないナターシャ。

 

戦線に到着したアンドレイは、総司令官クトゥーゾフ将軍の幕僚として働く。チェコの村アウステルリッツでの戦いに臨むが、敗戦に終わる。クトゥーゾフは「重要なのは最後の戦闘だけ」と言って敗戦に無頓着。戦場で旗を持って負傷したアンドレイは、ナポレオンの声かけで意識を取り戻し、捕虜となるが、捕虜交換でモスクワに戻される。


その後リーゼは娘を出産したが、その時に死亡。

内に閉じこもるアンドレイ。
一方結婚はしたが派手好きのエレンは、ドーロホフを誘惑して街中の噂になる。

 

それを真に受けてピエールはドーロホフに決闘を申込み、相手を負傷させる。笑い者だと腹を立てるエレン。

外に出ようとしなかったアンドレイをロストフ家が別荘に誘った。

そこで次第に明るくなるアンドレイ。
舞踏会で、一緒に踊りながら求婚するアンドレイに喜ぶナターシャ。

 

だが家柄が違うと反対するボルコンスキー公爵。
戦争の状況が安定するまで一年待って欲しいと言い、また戦線に出るアンドレイ。

 

]オペラに出掛けるロストフ家の父とナターシャ、そしてソニア。そのボックスの隣に居たエレンは、兄で女たらしのアナトールに頼まれ、ナターシャを引き合わせる。


最初は拒むものの、甘い誘惑に負けてアナトールに夢中になるナターシャは、彼の誘いで駆け落ちの計画に乗ってしまう。
その事をソニアから聞いたピエールは、馬車で迎えに来たアナトールに、別に妻が居ることを暴露して追い払う。

ピエールに、騙されていた事を諭されるナターシャだが、既にアンドレイに別れの手紙を出してしまっていた。再び心を閉ざすアンドレイ。

 

 

<後編>
フランス軍のナポレオンに、撤退要請の文書を手渡しに来たアンドレイ。彼の顔を見て、どこかで会ったか?とナポレオン。アウステルリッツで倒れていた男だと思い出す。
文書に不満のナポレオンに「戦争回避の考えです」とアンドレイ。

良く読んで返事する、と言ったナポレオンは翌朝の進撃を指示する。

 

1812年6月12日。ナポレオンによるロシア侵攻の開始。農民は穀物を焼いて逃げ出した。
反撃を願い出る下士官に対しクトゥーゾフ将軍は、今正面から戦っても全滅するだけと消極姿勢。

 

教会で祈るナターシャ。その場所にピエールもいた。
この目で戦争を見たい、アンドレイの所に行く、とピエール。

アンドレイは許してくれそうかしら?と呟くナターシャに「何に?」とつれないピエール。

 

アンドレイに面会するピエール。翌日の戦闘を前に、初めて死にそうな気がする、とアンドレイ。
翌日はフランス軍とロシア軍の衝突。

 

砲撃部隊の後ろで歩き回るピエール。

戦士たちもどう扱っていいのか困っている。
そのうち、ロシア軍の歩兵が帯となって接近して来る。十分引き付けて砲撃と銃撃で応戦するロシア軍。
撤退した歩兵たちの状況を聞いて、騎馬隊の編成を指示するナポレオン。騎馬隊が砲撃部隊まで到達し、ロシア軍は総崩れとなる。
退却を命ずるクトゥーゾフ将軍。

モスクワが奪われる、との言葉にも頓着しない。

 

モスクワから逃げ出す市民たち。
ロストフ家も、数台の馬車に家財道具を乗せて脱出の準備をしていたが、負傷してどんどん送り込まれる兵士たち。目の合った三人を馬車に乗せようとしたナターシャだが、乗せた直後兵士は更に増えていた。

 

出来ないこともある、と言う父に「荷物を全部降ろせば乗せられる」とナターシャ。それを聞いて荷物を降ろす決心をする父「子が親を諭す・・・・」
兵たちを乗せて出発した時、ピエールが顔を出す。一緒に行きましょうと言うナターシャに「やる事がある」と別れるピエール。
撤退の馬車の中に、負傷したアンドレイが居るのを母親に告げていたソニアだが、口止めされていた。
耐えきれずにナターシャに話すソニア。

 

モスクワに入ったナポレオン。だが降伏使節は来ない。政府はなく、降伏する者が居ない。怒り心頭のナポレオン。
避難した場所でアンドレイを探すナターシャ。ようやく見つけたアンドレイは重体だった。姿を見せたナターシャに「愛している」とアンドレイ。

全てを許していた。

 

ピエールは廃屋の二階に上って、ナポレオンの行軍を待っていた。

手には拳銃。だが結局狙撃する事は出来なかった。

その後捕虜になるピエール。
獄中で農民と一緒になるピエールは芋を分けてもらう。

男は、全ては神の思し召し、と楽天的。

 

もう先が長くないアンドレイ。ナターシャの父が、アンドレイの娘を引き取って育てていた妹のマリアを連れて来た。マリアと娘に別れを告げて息絶えるアンドレイ。
自分よりマリアを愛しているニコライのために身を引くソニア。

 

面白くないナポレオン。

食料、武器はなく、空き家に放火する者も後を絶たない。
クトゥーゾフ将軍は言う。彼らは冬に閉じ込められる。時と忍耐。

まだ青いリンゴは捥ぎ取らんことだ。
フランス軍は、このままでは冬が越せない事を理解してモスクワからの撤退を始めた。

「ロシアは救われました」と彼らへの攻撃を進言する下士官。
クトゥーゾフ将軍の言葉。「この国土が彼らを滅ぼす」
ロシア一兵はフランス十兵より大事。

国境まで追ったらそれでおしまい。

 

撤退するフランス兵に従属する捕虜の中にピエールがいた。一緒に牢で話した農民は、途中で歩けなくなって射殺された。

残された犬を抱いて、また列に戻るピエール。

国境の川に渡されている橋を渡るフランス兵の膨大な集団。

 

コサック騎兵団を指揮するドーロホフがその集団を襲撃。

ピエールは救われた。だがナターシャの弟ペーチャは、文書伝達の業務から踏み込み、騎兵団に参加した事で戦死。

 

家に戻ったナターシャたち。見る影もない屋敷の状況。

そんな中で、家の外に男の人影。ピエールだった。
「あなたはこの家のよう」と言うナターシャ。

傷付いたが、倒れずに立っている。

 

エンドロール後の言葉

成し難いが、大切なのは
命を愛し 苦難の時も愛し続ける事だ
なぜなら 命が全てだからである
命は神なり 命を愛すはすなわち
神を愛す事である
 -トルストイ-  「戦争と平和」

 

 


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