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ボーイング737MAX 墜落事故に思う

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当該機が半年の間に二回墜落事故を起こした件(基本情報はこちら)で、その原因が制御装置にある事が次第に明らかになっている。
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失速回避用のMCASと呼ばれるシステムの中で、機体の水平に対する角度を知る、迎角センサーが誤動作した事が主原因とされている。
問題なのはこのセンサーが左右一対になっていて、その協調が狂った場合の警告装備がオプションだった事。一歩間違えたら墜落の危険がある装備の安全装置が、オプションなんてシャレにならない。
またもっと源流的な事を言うなら、このMCASを解除した時、機体の姿勢によっては手動操作が困難になる程の重い操舵になるという(詳細はこちら
最近の制御機器の開発は、おかしな領域に入り込んでいるのかも知れない。

 

 

それで思い出すのが、1994年に名古屋空港での着陸時に墜落した中華航空機(エアバスA300B)。記事はこちら
自動操縦に関わるものであり、パイロットの意思に反して自動操縦が作用した事が事故の要因だった。
メーカは制御の改善を通知しており、中華航空がその改修を先送りしていた事が判明したため、製造側の責任は問われなかった。

ただ、その自動操縦の考え方そのものに穴がある。

 

通常、飛行機の水平尾翼は安定飛行のため、主翼との間で定められた取付角差を設定して固定されている。意図的な操縦を行うために、水平尾翼の一部分である昇降舵を上下に動かす。
ジェット戦闘機などでは、運動性を増すため、水平尾翼全体を動かす「オールフライング・テール」という機構が良く採用されており、これが旅客機の自動操縦に組み込まれる様になった。
その上でパイロットが操作する昇降舵も備わっているので、両者の協調が重要課題になる筈。だがこの機体にはその考慮がなされず、今回事故ではパイロットが機首下げ動作をするのに反する様、自動操縦が水平尾翼全体を機首上げにした。その結果水平尾翼は横から見て「への字」状となり、極めて不安定な状態に落ち込んだ。
この詳細説明はこちら。だがここでも「への字」になるのがどれほど異常な事かという言及はされていない。

 


この一連の状況を考えると「飛行機とは何か」という事を技術者自身が判っていないという恐怖を感じる。
技術者がもし、日頃から模型飛行機等に接していれば、こんな機構が理屈に反している事がすぐ判っただろうに。
世の設計者よ、自分で飛行機を飛ばせ!

 

 


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