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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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移動都市/モータル・エンジン   2019年

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監督 クリスチャン・リヴァース
脚本 フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン
原作 フィリップ・リーヴ『移動都市』
 
キャスト
ヘスター・ショウ                - ヘラ・ヒルマー
トム・ナッツワーシー          - ロバート・シーハン
サディアス・ヴァレンタイン  - ヒューゴ・ウィーヴィング
アナ・ファン                      - ジヘ
ベヴィス・ポッド                 - ローナン・ラフテリー
キャサリン・ヴァレンタイン  - レイア・ジョージ
マグナス・クローム            - パトリック・マラハイド
シュライク                        - スティーヴン・ラング
チャドリー・ポムロイ          - コリン・サーモン
キャプテン・コーラ            - レジ=ジーン・ペイジ
パンドラ・ショウ               - カレン・ピストリアス

 

 

予告編

メイキング映像

モデル(こういうの見ると胸躍る♪)

コスチューム

作品

 

 

感想
予告編見てちょっとそそられたものだから・・・・・
数キロ平方ほどもある都市が、そのままキャタピラで移動する。

このビジュアルはなかなかの迫力。

千年以上前に行われた「60分戦争」と呼ばれる量子兵器を使った戦争。そして残された者から生み出された生きる手段。
移動都市と、反移動都市が反目する中、移動都市の代表格「ロンドン」が、ブリテン島を出てヨーロッパへ進出した事で事態が変化する。
いきなり移動都市「ロンドン」で圧倒させ、次第に状況を説明して行くという手法なので、ボーっとしてると話について行けなくなる。
予告編からの推定で、巨大都市同士の戦いを期待したが、桁違いに小さい都市を銛で捕獲する程度であり、ちょっと肩すかし。しかしこんな小さな獲物で「ロンドン」が一週間維持出来るとも思えないが・・・・

 

原作者のフィリップ・リーヴはイギリス人。

だから主役が「ロンドン」なのは納得。
それから製作はニュージーランドとアメリカの共同だが監督、脚本陣全てがニュージーランド人であり、都市が大陸に進出する話が、島国の人間の思い入れとして共感を生んでいるのか(日本人にも?)。
話によればアメリカでの受けは悪いらしい。興行的にもコケたみたい。イギリス発祥でアメリカに受けたのはビートルズと007ぐらいか。

 

特異な世界観という点では、今まで良くあるSFとは一線を画した感がある。ただ、世界観が特異な割りに各要素がショボい。あの「メデューサ」程度の武器が数十発で、大陸の形が変わるほど破壊されるとは思えない。やっぱSFなりの「それらしさ」が欲しいところ。

 

登場人物もテンコ盛りでもう少し整理が必要。
最初キャサリンとトムの絡みがあり、この二人が関わって話が進むと思ったら、基本はヘスターとトムの関わり。結局キャサリンは脇役。

トムの存在感もなんか弱いし草食系すぎる。
ヘスターとシュライクとのエピソードも、いい話ではあるけど6ケ月前に「ロンドン」が手に届くところまで来て心変わりしたのなら、それまでの間にバレンタイン憎しという感情の吐露があった筈。それがあまりないのに違和感。

それからヘスターの顔の傷。確かにストーリー上大きな要素なのだが、後半で簡単にトムに恋して涙流すし、その重みがあまり感じられない。いっそこのエピソードはない方が良かったか。

その方が興行成績も上がったかも。

キャサリンとベヴィスが「猫しのび」を登って真相を知る場面でも、ただそれを知っただけでストーリーに何の関与もしておらず、またベヴィスそのものが一体何の役割りがあったのかも首をかしげる。

 

バレンタイン役のヒューゴ・ウイーヴィングは例の「マトリックス」で「アンダーソン君」と言っていたエージェント・スミス。あの時はサングラスで判らなかったが、けっこう目がかわいい。ヒゲもあった方が男前。

 

 


ケチばっか付けていてもあかんので・・・・
アナ・ファン役のジヘが良かった。ヘスターの母親の同志という設定で、ヘスターを助け、トムを激励し率先して「ロンドン」攻撃を提案。アクションのキレもハンパなかった。バレンタインとの戦いで死なせてしまったのが惜しい。韓国系のロックミュージシャンらしいが、ウィキペディアにも記載がない。今後の注目株。

 

映像についてはかなりの迫力で、追われる岩石採掘都市の描写には引き込まれた。
またアナ・ファンの愛機「ジェニー・ハニヴァー号」は気球部分が流線形で空気抵抗を減らし高速飛行可能にしたものであり、レトロな中にいいセンスが盛り込まれている。

空中都市ヘイブンの造形も好感が持てる。
世界観の整理と、シナリオのテコ入れでもっと良くなったと思うのが、ちょっと残念。
基本的には応援したい映画。映像体験という視点で「オススメ」

辛口レビューの一例
まあ、同感出来る部分もあるが、人それぞれ・・・・

 

そういえばネットを漁っていた時に、都市が動くというシチュエーションが「ロボット・カーニバル」のオープニング映像に表現されているとの情報あり。これは大友克洋が手掛けたものであり、ロボット・カーニバル自体は1987年にアニメ監督8人が短編を構成して出したOVA作品。
今回の原作が発表される10年以上前に出されているので、ひょっとしたら参考にしているかも知れない。

ロボット・カーニバル オープニング

 

 

 

あらすじ
オープニングナレーション
古代人が人類を滅亡に追い込んだ「60分戦争」。
生き残った者たちは毒にまみれた地球で動く都市を作り、新たな生き方を始めた。
食べ物と燃料を求める戦いで弱者は滅び、強者は更に力を増した。
そうやって新しい時代が来た。偉大なる捕食移動都市の時代だ・・・

 

迫りつつある移動都市「ロンドン」に気付き離散する弱小都市たち。
その中の岩石採掘都市ソルツヘイクンが、逃げ遅れて射程に入る。

積荷を捨てて逃げるが、次第に追い詰められる。


「ロンドン」のコントロール室でのやりとり。ブリテン島から渡ったのはヨーロッパを貪りつくすため、とサディアス・ヴァレンタインに嫌味を言う市長のマグナス・クローム。こんな獲物では一週間分がいいとこ。

 

「ロンドン」内の博物館に出勤するポムロイ博士。攻撃の揺れのせいで展示品が台無し。アメリカの千年以上前の遺物「ミニオンズ」。

 

キャサリン・バレンタインと話すポムロイは、またトムが遅刻だとボヤく。
銛を打ち込まれて捕獲される岩石採掘都市。

 

 

 

 

 

遅れてポムロイ、キャサリンの前に出たトム・ナッツワーシーはここの職員。
古代人の最後を研究しているというキャサリンに説明するトム。当時の記録はほとんど残っていない。
21世紀に起きた「60分戦争」についての説明。量子エネルギー兵器「メデューサ」が何十発も世界中で炸裂した。
当時の技術は「オールドテク」と呼ばれ、それを拾って展示物にしようとしているが、何故かいつも消えてしまう、と嘆くトム。
そのため今後は黙って溜める事にした、と収蔵物を見せるトム。それを陰で見ている男。

そこに現れる先の男、ハーバート。家柄が上なのを嵩にかけてトムを最下層のガットへ追いやった。

それに反発してトムを案内するキャサリン。

 

本来通れないルートを、キャサリンの同伴者という事でフリーパスで通過するトム。最下層のガット(腸)では、捕獲した都市の分解及び捕虜となった者への説明を行っていた。
捕獲したものの中に貴重品がないか探すトム。作業員との話で耳にする最悪の反移動主義者「アナ・ファン」の噂。
彼らにすれば、私たちの全てが我慢できないの、とキャサリン。
作業員が捨てようとしたものを慌てて止めるトム。「サンビームTA200」トースト二枚が同時に焼ける。
その時バレンタインが声をかける。こんなに状態のいいものは博物館にもない、とトムを褒める。
「おはよう、パパ」とキャサリン。連れの名をトムと聞いて、君の両親を知っていると言う言葉に感激するトム。
作業員が部品の中からある物を見つけた。「フュージョン・インバーターのセルだ」とバレンタイン。「すごく危険な代物」とトム。博物館でこの部品がごっそりなくなった事を告げるトムに「私が適切に処理する」。

 

捕虜の中に、赤いスカーフで顔を隠した女。トムと目が合う。とっさにバレンタインに「危ない!逃げて」と叫ぶが、女はするすると前に出て「パンドラ・ショウの復讐だ」と言い、バレンタインの腹をナイフで刺した。
その先の攻撃を止めるトム。女は解体の始まった岩石採掘都市に逃げ込んだ。カッターが乱舞する中を逃げる女と、それを追うトム。
とうとう作業場の外れまで追い詰めたトム。顔を見せた女の左頬にナイフの古傷。これはあの男がつけたもの。母さんを殺したのもあの男。ヘスター・ショウと言えば判る、と言って排出口に落ちて行った女。
追い付いて来たバレンタインに、あの女がおかしな事を口走ったと言って聞いた言葉を伝えると「罪深い言葉だ、聞くべきではなかった」と言ってトムを排出口に突き落とすバレンタイン。

キャサリンに、トムが落ちた事を伝え、探させていると言ったバレンタイン。女の素性をキャサリンに聞かれるが、シラを切る。
移動都市と静止都市との共存を願うキャサリンを否定し、盾の壁を作って資源を抱え込む反移動都市同盟ジャングオを非難するバレンタイン。

 

「ロンドン」の残した轍の間で目覚めるトムに食ってかかる女、ヘスター・ショウ。あの採掘都市に潜り込むのに6ケ月かかった。あと少しでバレンタインを殺れたのに、アンタが邪魔をした。

 

「ロンドン」のコントロール室でバレンタインと話す市長。食料、燃料等の資源は減る一方。ヨーロッパに渡ったのは失敗。
前々から言っているエネルギー計画がうまく行けば、と言い時間の猶予を求めるバレンタイン。カリスマ性を信じて考古学者から抜擢されたバレンタインだが、疎まれ始めていた。

 

大聖堂で指示を受けて作業する女性士官は、巨大な装置の前でバレンタインに数週間必要と話す。インバータシェルを見せて、これで何とかしてくれと指示。
刑務所から「ストーカー」を一体捕まえたとの連絡。復活者。制御不能。そして、ある名前「ヘスター・ショウ」を叫び続けているという。

 

泥水を飲んで渇きをしのぐヘスターを見て驚嘆するトム。両親が死んで8年、と少し過去を話すトム。
都市が近づいたのを勘違いして救出を求めるトム。だがそれは敵。トムを庇って足にケガをするヘスターが穴に落ち込んだ。続いて吸い込まれるトム。
落ちたところは地下移動都市スカトルバッグ。親切にされ小部屋に案内される。
自分を責めるトムに、過去を話し始めるヘスター。
母親が亡くなったのは8歳の時。母は考古学者で遺物を掘り起こしていた。バレンタインが時々来ては共同で調査をしていた。
失われたアメリカで母が見つけた遺物を見て、あいつの様子が変わった。それを巡って争う中で、母からある物を渡された。母は殺され、私は顔を切られた。でも逃げ延びた。

 

刑務所へ「ストーカー」に会いに行ったバレンタイン。

鉄の箱の中でヘスターの名を叫び続ける者。

なぜ追うのかを聞くと「俺との約束を破った」
彼女を見つけたら殺す、との言葉を聞き、立ち去る時に刑務所を破壊してストーカーを逃がしたバレンタイン。

 

閉じ込められた事に気付いたトムとヘスター。トムが床板を剥がし「逃げられる」と言うが、足のケガで行けないヘスター。

脱出を断念するトム。
移動都市が止まり、奴隷市場に引き出されるヘスター。ケガもしているし、まともな値はつかない。10キルケ、5キルケ・・・
そこに「50キルケ」の掛け声。未登録の客の申し出。それは賞金首のアナ・ファン。金の代わりに銃をぶっぱなし、ヘスターを救うアナ。

そこに現れた復活者。「シュライクよ」とヘスター。
アナ・ファンの飛行艇ジェニー・ハニヴァー号に乗り込むヘスター。続いてトムがもやい綱につかまるが、それにシュライクも取り付いた。

ヘスターの投げたナイフでトムが辛くも綱を切り、逃れた飛行艇。

 

アナ・ファンはヘスターの母、パンドラ・ショウの同志だった。死んだら娘を探して欲しいと言われていた。
死んだものと諦めかけていた。それが生きていると聞いて不思議に思った。どうやって生き延びたのか。
そこでトムが言う「君はあのバケモノに育てられた」
トムの知っている復活者は、死んだ兵士の悪い部分だけを取り出して、その意識を全部機械に詰め込んだ怪物。
「黙れ!」と叫ぶヘスター。シュライクに命を助けられた。
アナ・ファンがトムに向かって「お前、バカか?」

ヘスターの話は続く。シュライクは命の恩人。顔を切られて倒れていた彼女を運び、世話をしてくれた。彼なりのやり方で。
ガラクタ集めが好きだったシュライク。壊れたものに自分自身を投影していたか。
いつも悲しそうにしていたヘスターを見て、用意していた機械の体を見せ、俺の手でその痛みを消してやると言ったシュライク。

そして彼のようになると約束したヘスター。
そう望んだのなら、どうして逃げ出した?とトム。
6ケ月前のこと、「ロンドン」が陸の橋を越えて、バレンタインが手の届くところまで来た。以上よ。

 

機械工のベヴィス・ポッドを問い詰め、父がトムを突き落とした事を知るキャサリン。そこへポムロイ博士が来て、トムが隠していたオールドテクの部品が奪われた事を伝える。
大聖堂の中で何が作られているかを知りなさいと言って、千段以上あるというらせん階段(猫しのび)を指すポムロイ。
大聖堂では装置が完成し、全システム稼働となっていた。ロンドンを東に進めるべきです、と女士官。
進路が変わった事を咎める市長。

だがバレンタインの命令は変えられない。

 

アナの飛行艇は空中都市ヘイブンに着いた。そこにはコーラ他反移動都市同盟のメンバーが多数集結。


バレンタインが進めている計画を皆で考える。パンドラがヤバいものを見つけた。それをバレンタインが悪用するのを恐れ、何かを娘に託した。何の事か判らないヘスター。
断片的に思い出し「母から何か奪ったわ、オールドテクの部品・・・」
あの大聖堂で何かが作られている。半年前からバレンタインはフュージョン・インバーターを買い漁り始めた。
トムが模様を描いて、ヘスターに見せる。奪われたものにそのマークがあった事を思い出すヘスター。
それはコンピュータのコア。量子エネルギー兵器「メデューサ」の制御システム。
止めるためにはクラッシュドライブが必要だが、それも含め行方知れずのままだった。

ただ移動都市の攻撃に使うのなら、やらせておけばいいと言うヘスター。だがアナは「目的は別にある」。
バレンタインが狙っているのは、反移動都市同盟の拠点であるシャングオに築かれた「盾の壁」。残された時間は数時間。

 

その時、ヘイブンの中で停電騒ぎ。

混乱の隙を突く・・・「シュライクが来た!」
姿を現し、ヘスターに迫るシュライク。刃向かった者は次々に都市から落とされる。
トムがシュライクに踏み殺されようとした時、ヘスターが涙を流して「彼を助けて、殺さないで」と懇願。
お前はそいつを愛している・・・・・のか?と言って苦しみ出すシュライク。そして最後に目の形をしたペンダントをヘスターに渡し「お前を約束の芝居から解こう」と言って息絶えた。

 

盾の壁を越えてシャングオに帰還するアナたち。クアン総督との面会。
「ロンドン」にあるメデューサへの攻撃許可を申し出るアナに反対するトム。ロンドンには何千もの市民がいる。
クワンは、何より大切なのは人の命、と言い、だからこそ判って欲しい、と攻撃を命令。
一方礼拝堂で祈りを聞いているうちに、壁にあるメデューサ像と自分の持つペンダントを見比べるヘスター。ペンダントが開いて、中からキーが出て来た。
出撃命令で混乱する中、トムを見つけてキーの事を伝えるヘスター。
その間にもメデューサの発射シーケンスは進められる。そして発射。壁の上部が一瞬で破壊された。

 

クラッシュドライブでメデューサを止めるため、攻撃部隊を組んで発進するアナたち。
続けて二発目が命中し、更に破壊が進み、あと一発食らったら崩壊。
更に再充填。次で仕留めると言うバレンタインだが、過熱で通常指令を受け付けない。システムをオーバーライドして発射に持ち込めとの指令。
そこに到着した飛行艇。アナは操縦をトムに任せ、ヘスターと一緒に大聖堂に向かう。途中でバレンタインと遭遇し、アナが対応。
その隙に聖堂内に入ってコントロールボードに到着したヘスターは、キーをセットする。
最後の一秒で発射シーケンスは中止された。

 

バレンタインと戦うアナだが、刺されて突き落とされる。
そこにキャサリンが。「ケイト、無事だったか」
どうしてそんなに人が殺せるのか、と責める娘。ロンドンは死にかけていた、と言い訳するバレンタイン。
更に「お前を守りたい」と言う言葉に「何からよ」
あの壁はすぐに崩れる、と聞いて「ロンドン」のコックピットに向かうキャサリン。コックピットで、壁に向かっているロンドンを止めようとするキャサリンだが、操縦士は皆殺され、進路をバレンタイン

が固定していた。
そこにトムからの通信。トムの指示でロンドンの前面扉が開かれ、飛行艇ごと飛び込むトム。そして中枢のエンジンを破壊して再び脱出。

自分の飛行艇で脱出しようとしていたバレンタインの前に現れるヘスター。
必死に這い上がる、それがお前。私にそっくり。
母さんから聞いてないのか。知っていたんだろう? 我が子よ。
ヘスターを殺そうとするバレンタイン。そこに駆け付けたトムがヘスターを救い出す。
バレンタインの飛行艇が、止まりかけたロンドンの前に落ちる。そして巨大なキャタピラで踏み潰される。

壁の前で止まった「ロンドン」からぞろぞろと出て来る市民たち。その中にはキャサリンも居た。壁に立ち、手を差し伸べるクワン他反移動都市同盟のメンバー。

 

アナの残した飛行艇で旅に出るヘスターとトム。

 


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