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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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来る(映画)  2018年

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監督・脚本 中島哲也
原作      澤村伊智「ぼぎわんが、来る」

 

キャスト
野崎和浩     - 岡田准一
田原秀樹     - 妻夫木聡
田原香奈     - 黒木華
田原知紗     - 志田愛珠
比嘉真琴     - 小松菜奈
比嘉琴子     - 松たか子
津田大吾     - 青木崇高
逢坂セツ子    - 柴田理恵
高梨重明     - 太賀
スーパー店長 - 伊集院光

 

ロングトレイラー


感想
NHKの情報番組で、松たか子がこの映画の番宣をやっていたので、ちょっと興味あって視聴。
小説は2015年に「第22回日本ホラー小説大賞」を受賞した作品。

原作は未読。
物語のベースにあるのは各地域に言い伝えられている「神隠し」。

当時貧しい農村で行われていた子供の「間引き」。

生活に困った親が、生活能力のない者を殺し、その言い訳として様々な理由付けを行って来た。
その怨念が次第に集合して邪悪なものに成長した。

人の邪悪な思念を「アレ」が吸収して肥大化して行く。

原作では「アレ」は「ぼぎわん」と言うが、劇中では主に「アレ」(十三回忌の時、親族の者たちが時々ぼぎわんと言っていたが・・・)

 

一つひとつは他愛のない微小な悪意。

それが積み重なって「あれ」に凝縮されて行く。
キーとなるのは「芋虫」。オープニングで少女の赤い靴に取り付き、秀樹のマンションのベランダにも群がっていた。それは心の弱さの象徴であり、除霊の最中琴子も血と共に吐きだした。
麻薬中毒患者が、禁断症状でウジ虫やら芋虫が群がる幻影を見るというが、それも思わせる。

 

ドラマの構築としては、大まかに三つ。序盤でいい人ぶったクズ育メンを殺し、中盤で母親を殺す。終盤で最後の戦い。
最後まで「アレ」の実体を見せる事がなかったが、成功している様な、いない様な。全く姿が見えないのもちょっと「つまんない」
セツ子の腕をもぎ取った時の迫力はハンパなかったが、琴子との戦いではさほどの印象を持たなかった。見えないなりに、存在を感じさせる演出がもう少し欲しいところ。

でもところどころ、小ネタでゾワッと鳥肌が立つ恐怖感の演出はあり、ホラーとして一応及第点はやれるだろう。

 

工事関係者を使って祭壇の準備をするところは、怪獣映画で地球防衛軍が迎撃の準備をしている様なノリがあり、バックの音楽いれたらメチャ受けるだろうな、と(笑)

 

シリアスな割りに、琴子の登場場面では黒の革ジャンで決め過ぎが笑えたり、なぜか琴子がラーメンを食べる場面では、女のくせにどんだけー、というぐらい多くの麺を箸で取って「ズズーっ」。

あれなら三口ぐらいで食い終わるナ・・・

琴子の生死をはっきり言っていないのは、続編を匂わせているのか?

 

しかし良く出回っているポスター。ホラー映画の告知として、なんでこんなダサいもん作ったのか。

 

 

あらすじ
サラリーマンの田原秀樹。スーパー店員の香奈を見染めて、祖父の十三回忌の場で親族に紹介する。田舎に言い伝えられている「ぼぎわん」の言い伝え。言う事を聞かないと山に連れて行かれるという。
子供の頃、秀樹と一緒に遊んだ少女が居なくなった話を母親がする。

 

そして結婚式。幼なじみの津田大吾も招待されて祝辞。
子供を授かり、手放しで喜ぶ秀樹。出産前からブログで子育て日記をアップして入れ込む。


出産に備えて和光市に転居し、同僚たちを招待する秀樹。津田やパパ友も呼んで、幸せの絶頂。家の壁には、実家から送られて来たものを始め、多数のお守りやお札。

会社にかかって来た面会のコールを秀樹に取り次ぐ同僚の高梨。

相手は「ちささんの事で話がある」と女性の声で言ったという。
ロビーに行くが、そのような人はいない。一緒に来て不思議がる高梨だが、突然ワイシャツを血だらけにして倒れる。

原因は判らなかったが傷は浅く、すぐ仕事に復帰する高梨。

 

女児を出産した香奈。秀樹が知紗と名付けた。

だが秀樹はイクメンとは名ばかりで、育児は一切せずブログ上でのパフォーマンスだけに浸っていた。


高梨はあの事故の後体調を崩し、秀樹を妬みながら一年あまりの入院生活の後死亡。
知紗が生まれてから二年。相変わらず秀樹は非協力的で、次第に精神のバランスを崩す香奈。
家事も出来ず知紗を抱く香奈を見て、幼い頃を思い出す秀樹。
幼なじみで行方不明になった少女。

「アレが来る、ヒデキのところにも。だってアンタはうそつきだから」 

靴に群がる芋虫。

 

民俗学の研究を行っている津田に相談する秀樹。
津田が紹介した野崎和浩。

心霊、オカルト何でも手掛けるルポライター。
霊能力を持つというキャバ嬢の真琴に対応を頼む野崎。
秀樹に会って何かを感じ取ろうとする真琴。そこで奥さんと子供に優しくすれば出なくなる、と真琴が言ったことで逆ギレする秀樹。
一方真琴は野崎に、同席していた津田の事についての不審を伝える。

津田の謝罪を受け、彼と別れてからしばらくして秀樹が家に帰ると、野崎と真琴が訪れていた。知紗と遊ぶ真琴。
真琴がどうしても現場を見たいというから、と弁解する野崎。

久しぶりに家で笑い声を聞いて容認する秀樹。
そんな時に「アレ」が入り込み部屋中のものを動かして見せる。

その直後に真琴に電話がかかる。それを受ける秀樹。


真琴の姉、琴子だった。

未熟な真琴が関わったために「アレ」を刺激してしまったと謝罪。
不安がる秀樹に「大切なのは”どうして”ではなく”どうするか”です」と諭す琴子。
そしてこの案件に対処するため、霊能力者の逢坂セツ子を紹介する。

 

街なかの食堂で逢坂セツ子に会う秀樹と野崎。早々に「アレが来ます」とセツ子。同時に秀樹のスマホに着信。

アレです、好きなだけ喋らせなさいとのアドバイス。
知紗の声、次いで香奈、高梨が女からの電話を受けた時の声に続いて、秀樹の声で香奈を悪く言う言葉。「そんな事言ってない!」と叫ぶ秀樹に「でも心の中で思っていた」と野崎。
それを制しようとセツ子が動いた時、回りに衝撃が走る。

セツ子が右腕をもぎ取られて倒れる。
家族のところへ行けというセツ子。野崎にも言われタクシーで家に向かう秀樹。途中で香奈に電話を入れ、知紗と一緒に家から出るよう指示。その後琴子から電話が入り、自宅で「アレ」を招き入れる作戦を指示される。

 

自宅に戻り、琴子の指示通り鏡を全て割り、刃物を一ヶ所にまとめて隠し、食器に水を溜めて廊下に並べた。
「これから先は私の仕事です」とスマホからの琴子の声。
そこに家の固定電話が鳴る。留守電に変わった時、それは琴子の声だった。
今起こっている事は全て「アレ」の罠だという。混乱する秀樹。
その時アレが部屋に入り込み、体を切断されて絶命する秀樹。

 


秀樹の死から一年。香奈は以前のスーパーに復職していたが、保育園と折り合いが悪く早退、欠勤で店長は閉口。

香奈のイライラのしわ寄せが知紗に向く。
事件のショックでずっと引きこもりだった真琴だが、知紗を案じて家を訪れる。知紗と楽しく遊ぶ真琴。

 

真琴に留守番を頼み、化粧をして出掛ける香奈。津田との逢瀬。

秀樹の生前から不倫関係だった。
留守番の真琴に野崎からの電話。仏壇の前にある魔道符は津田が呪詛を仕込んだものであり、破棄するようにとの指示。
それを破って燃やす真琴。だがその事が「アレ」を呼び寄せた。

家に戻った香奈がその現場に遭遇する。知紗を連れて逃げるよう叫んだ真琴は、ベランダに出て戸を閉める。

体をズタズタに切られて倒れる真琴。
逃げ出した香奈だが、隠れる場所などない。街をさまよった後、トイレに入るとドアが揺さぶられる。相手は自分を捨てた母。香奈にとっての「アレ」は母親。香奈は死に、知紗が連れ去られた。

 

重傷を負い病院のベッドで眠る真琴。
付き添いながらうたた寝する野崎。かつてつき合っていた彼女の、中絶を黙認した場面が夢に出る。
そこに琴子が姿を現す。

タバコの煙を吹きかけると、真琴の容体が回復。

 

「アレ」の除霊準備が始まる。
政府要人を呼びつけて、全国から霊能力者、宗教者を集めるよう指示する琴子。また埼玉県警にはマンション周辺一帯の入場規制を指示。
呼び寄せるための祭壇作り。工事関係者のヘルメットにはお札。

 

野崎が部屋を清掃し、そこに琴子が祭壇を設けた。儀式が始まる。
「アレ」と知紗は強固に結びついている。エセイクメンの身勝手な父親と、そんな夫を見限って不倫に走っていた母親。淋しい心がアレに付け込まれた。
知紗もろとも「アレ」を異界に送り返そうと考える琴子。
だが「アレ」と共に現れた知紗を抱きしめて離さない野崎。その心の結びつきを感じた琴子は「アレ」から知紗を引き離し、野崎と共にベランダから外に放り出す。花壇がクッションとなり助かる野崎と知紗。
「アレ」と琴子の壮絶な戦い。マンションの部屋には亀裂が入り、そこから血が噴き出す。
祭壇は破壊され、巫女や霊能力者たちも多く下敷きになる。

 

雪のちらつくクリスマスの夜。ベンチで知紗を抱く真琴。その隣りでビールを飲む野崎。
知紗が見ている夢は?と聞く野崎に「♪お~むらいすのくに いってみた~いな・・・・」と歌う真琴。

 

 


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