未見の方はスルーして下さい。
監督 ライアン・ジョンソン
脚本 ライアン・ジョンソン
原作 ジョージ・ルーカス
キャスト
ルーク・スカイウォーカー - マーク・ハミル
レイア・オーガナ - キャリー・フィッシャー
カイロ・レン - アダム・ドライバー
レイ - デイジー・リドリー
フィン - ジョン・ボイエガ
ポー・ダメロン - オスカー・アイザック
ホルド中将 - ローラ・ダーン
スノーク最高指導者 - アンディ・サーキス
ハックス将軍 - ドーナル・グリーソン
ローズ・ティコ - ケリー・マリー・トラン
DJ - ベニチオ・デル・トロ
キャプテン・ファズマ - グェンドリン・クリスティー
マズ・カナタ - ルピタ・ニョンゴ
予告編
あらすじ
レイア・オーガナ提督率いるレジスタンスが基地から撤収しようとしている時に、ファースト・オーダーの艦隊が奇襲。リーダーはハックス将軍。同乗するカイロ・レン。そして二人の上に君臨するスノーク最高指導者。彼らが乗る旗艦メガ・デストロイヤー。
レジスタンス艦隊は辛くも脱出。ポー・ダメロン中佐らが指令を受けて迎撃。相手の主力であるドレッドノート艦への攻撃。だが相手の勢力が強く、爆撃隊が次々撃墜される。レイアの制止を無視して敵のキャノン砲を破壊するポー。
一方、たった一機残った爆撃機がドレッドノート艦の急所に近づいたが、爆弾投下出来ない。パイロットの女子隊員が投下口まで降りて、死亡していた投下手に代わって爆弾を投下。
ドレッドノート艦は破壊される。
レジスタンス艦隊はそこでハイパースペース航法により脱出。だがメガ・デストロイヤー側に特殊な追尾装置があり、同じくハイパースペース航法で追って来る。
一方、惑星オク=トーに居るジェダイ・マスターのルーク・スカイウォーカーと対峙しているレイ。
ライトセイバーを差し出すが、ルークは投げ捨てた。
レイがレジスタンスの窮状を話すが、相手にしない。だがレイの持つ強大なフォースに驚く。
長い間ファルコン号の中で動きを止めていたR2-D2が、中に入って来たルークの気配を感じて起動。戻る気はないというルークに、若きレイアがオビ=ワンに助けを求めた時のホログラム映像を見せる。「ズルいぞ」と呟くルーク。
レイにジェダイのための三つのレッスンを授けるというルーク。そして滅び去るべき理由も。
レイは岩の上に胡坐をかき、目を閉じて念じる。周辺の小石が浮かび、島の海岸にある深い穴の場所を透視するレイ。だがその穴を覗こうとするとルークが止めた。暗黒面に引き込まれるという。
この体験により、遠く離れたカイロ・レンとテレパシーを交わす事が出来るようになるレイ。
それを途中で遮ったルークは、今までのいきさつを話す。
ハン・ソロとレイアから生まれた息子ベン・ソロを預かり、ジェダイとして鍛えていたが、いつのまにかベンはスノークの暗黒面に惹かれ始めていた。ある日戦いとなり、ベンは弟子たちを皆殺しにして火を放ち、出て行った。
訓練の時に引き込まれそうになった穴に落ちるレイ。洞窟の中で直立する水面があり、そこに手を伸ばす。自分の先に延々と続く鏡像。後ろを振り返るとそちらにも続く鏡像。自分の意思でその場から離脱した。
ハックスの戦法が手ぬるいと、カイロ・レンが自ら戦闘機を駆って出撃。旗艦のコクピットを狙おうとするが、レイアの意識を感じて射撃を躊躇する。その間に同行した部下が攻撃を加え、レイアは宇宙空間に投げ出された。
レイアは死んでおらず、何とか戻ったところを回収された。重体であり、ホルドが代理の提督として指揮を交代した。だが今のままではいずれ燃料が尽きる。
長い間昏睡状態だったフィンが目覚め、ICUのチューブを繋いだまま歩いているところをポーが見つける。ポーから今までの状況を聞くと、何とかレイの元に行こうとして脱出ポッドを使って外に出ようとした。
そこで整備員のローズ・ティコに見つかる。ローズは先の爆撃でドレッドノート艦と共に散った女子隊員の妹だった。当初はレジスタンスの英雄だと感動していたが、フィンが逃げ出そうとしていると勘違い。スタンガンで気絶させられるフィン。
捕まって皆の前に引き出されるフィンだが、誤解は解け、敵がどうして追跡出来るかを彼が説明した。敵艦に搭載されている追尾装置を破壊するには、その部屋に入るためのコードが必要。
マズ・カナタに連絡を取り、コードを破るための情報を聞くと、コード破りの達人が惑星カントニカに居るという。フィンとローズは脱出艇を使ってカントニカに向かう。
カントニカには銀河随一のカジノがあり、その華やかさに目を奪われるフィン。一方ローズは屋外で開かれている、現地の獣を使ったレースを見て、そこで騎手として酷使されている子供たちの事を思った。
目的の男を何とか見つけるが、交渉する前に捕まり、牢に入れられるフィンとローズ。
その牢で、コード破りの話をしていると、たまたま同室だった男DJが、自分なら破れるとアピール。だが二人は信用しない。
二人で揉めているうちに、DJが牢の錠を簡単に開けて、外から二人を見る。脱出したローズは同じ階に居て牢に入っていたレース用の獣と騎手の子供たちを解放。獣たちは群れになって建物から逃げ出し、二人も獣に便乗して逃走。
だが脱出艇が目の前で爆破された。万事休す、という時にDJが小型の宇宙船に乗って二人のそばに停船。否応なくそれに乗る二人。
その船の中で、船の持ち主だった商人の販売する武器が、ファースト・オーダーだけでなく、レジスタンス側にも流れている事を知らされるフィン。どこの世界も金次第。
再びカイロ・レンとの接触を行うレイ。だが彼との意識接触の中で、先に手を出したのがルークだと知る。
ルークはベンの意識下にある暗黒面に自ら恐怖し、それでベンに斬り付けた。ベンは自分の命を守った結果、スターク側に傾いた。
レイは、ベンにはまだ善の心が残っている、ベンを味方につける事がこの戦いに勝つ鍵だと言う。相容れないルークを残し、チューバッカと共に惑星オク=トーを出るレイ。
大木の元にある、ジェダイの聖堂に火を放とうとするルークだが、自分では出来ない。そこに師匠ヨーダの霊体が出現し、聖堂を、教えを書いた書もろとも燃やした。
「失敗こそが最高の教えじゃ」とルークを諭す。
メガ・デストロイヤーに潜り込んだレイは、捕まってスノークの前に引き出される。後ろに控えるカイロ・レン。
対抗しようとするレンだが、フォースが違い過ぎてライトセイバーは取り上げられ、スノークはそれを手許に置いた。
フォースによるスノークの拷問は続く。呻き声を上げて苦しむレイ。それを見て苦悩するカイロ・レン。
スノークが力の限りフォースでレイを押さえつけ、カイロ・レンに自分のライトセイバーでとどめを刺せと命令する。
ライトセイバーに意識を集中するカイロ・レン。その時、スノークの脇に置いてあるレイのライトセイバーが僅かに動いた。
そしてカイロ・レンがセイバーを振りかざして斬ろうとする瞬間に、スノークの脇のセイバーが彼の腹を貫通した。
カイロ・レンが腕を払うとスノークの胴体が切断され、上半身が転げ落ちた。
一時的に共闘を組んで兵士らを倒すレイとカイロ・レン。
敵を倒した後、レジスタンス側に戻ろう、と呼びかけるレイに、自分が最高指導者になると宣言するカイロ・レン。
彼により語られるレイの出自。貧しい一般人で、父親の酒代のために売り飛ばされた。
二人の間でフォースによるセイバーの取り合い。そしてセイバーが破壊された。
一方惑星カントニカを脱出したフィン、ローズ、DJの三人。DJの裏技でメガ・デストロイヤーのバリヤーにわずかなすき間を作って小型艇ごと入り込む。
そして追尾装置の設置されているドアの前に立つと、DJがコードを送り込んでそのドアを開けた。目指す装置に走り出したフィンの前に現れる兵士。完全に動きが読まれていた。
レジスタンスの旗艦は追われながらジリジリと燃料を消費していた。ボルドは船員たちを小型艇に分乗させて脱出する指令を出していた。
旗艦を捨てたら武器もなく全滅するだけだ、とポーが反乱を起こしてボルドを拘束した。だがそこに目を覚ましたレイアが支えられながら前に出て「私の指示です」。
小型艇ならファースト・オーダーに気付かれずに脱出出来る。またこの近くにある惑星クレイトにはレジスタンスの設備もあるという。真意を知って納得するポー。
メガ・デストロイヤー船内。捕まって幹部らの前に引き出されるフィンとローズ。だがDJは相手の側に居た。
金次第と言っただろ、と言ったDJはそこでハックス将軍に、レジスタンスは小型艇で脱出中だと進言した。
その情報によりメガ・デストロイヤーの、小型艇への攻撃が始まる。旗艦に最後の一人として残ったボルドは、船の向きをメガ・デストロイヤーに向けた。だが砲を撃つ兵員はいない。
ボルドは敵艦に向けてハイパースペースを仕掛けようとしていた。ハックスもそれに気付いて総攻撃をかけるが、艦はメガ・デストロイヤーの左弦を切り裂いた後、消滅した。
メガ・デストロイヤー内は大混乱となり、それに乗じてフィンとローズが敵との戦いを始める。そこに現れたキャプテン・ファズマ。フィンがファースト・オーダーから逃げ出した時からの因縁の相手。
一進一退の攻防の末に、フィンがファズマのヘルメットを半壊させて勝利する。
同行していたBB-8の働きで、敵戦闘機を奪って脱出するフィンとローズ。
惑星クレイトの基地に逃げ込んだレジスタンスの一行。他の惑星に救難信号を発するが、応答はない。
敵戦闘機の攻撃を受けて入り口の強固な扉を閉じ始めるが、そこへ機体を半分潰されながら滑り込む一機。中から出て来たのはフィンとローズ。
カイロ・レンをリーダーとするファースト・オーダー軍はスーパーレーザー砲を携えて基地入り口に向かう。この砲でやられたら装甲は一発でやられる。
防衛のために基地内の旧式戦闘機スピーダーで迎撃するポー、フィン、ローズら。
惑星の地表は塩で覆われているが、その下は真っ赤な土。スピーダーのスタビライザーが地表を掻くと真っ赤な航跡が舞う。
スピーダーは次々と撃墜され、火力で倒す事は不可能。フィンは意を決してレーザー砲への特攻を仕掛ける。激突の寸前に横からローズのスピーダーが体当たりしてフィンの機を特攻かから逸らした。
破壊されたコクピットに駆け寄るフィン。重傷を負ったローズに「もう少しでやっつける事が出来たのに」と言うと「愛する人を守りたい」と言って気絶するローズ。
基地の大扉はレーザー砲で穴が明けられる。
そこに姿を現したルーク。レイアとの30年ぶりの再会。明けられた穴から敵の軍団の前に出るルーク。
その姿を見て集中砲火を行うカイロ・レンだが、煙幕が切れた時、ルークは何のダメージもなくそこに立っていた。
一人艦を降りるカイロ・レン。師弟の再会。ライトセイバーによる一騎打ち。だが勝負がつかない。
長いラリーの末に、カイロ・レンの刃先がルークの体を裂いた。
だがダメージはない。ルークの胸を突き刺すカイロ・レンだが、それも効かない。
ルークの体はフォースによって造られた幻影。カイロ・レンに「私は最後のジェダイではない」と言って姿を消した。
ルークの実体は惑星オク=トーにあった。だがフォースを使い過ぎた体を支える体力もなく、倒れ折れるルーク。
レイアたちは奥の通路へと脱出。
そこへファルコン号のレイとチューバッカが救援に駆け付ける。操縦はチューバッカ、射撃はレイのコンビネーションで次々と敵を倒す。
レイラたちは現地の動物に導かれて出口に近いところまで辿り着いたが、大石が出口を塞ぎ、人は出られない。
気配を感じて出口側にファルコン号を降ろしたレイは、その前に立つと、フォースで石を浮上させる。呆然とその光景を見るポーは、気を取り直して石の間を抜けて外に出た。
生き残ったレジスタンスのメンバーは、ファルコン号に乗れるだけしか残っていない。
それでも同志を集めて新たな戦いを決意するレイたち。
感想
ブレードランナーほどの思い入れはないが、スピンオフを含め8作を今まで観ているため、宗教的見地から視聴。
2年前、さんざんじらせたあげく、1カットしか出なかったマーク・ハミル。今回の出番はタップリ。だがレイに背を向け、ジェダイ・マスターとしてのオーラは全くない。
巨大過ぎるモリで大きな魚を仕留めるシーンでは「そんな事にフォース使うな!」と思わずツッコミ。
ルークの心を支配しているのは弟子ベンに対する思い。ベンが暗黒面に堕ちたから倒そうとした、と皆に説明して来たが、レイがベンと精神交流して掴んだ真実は、ルークが初めに殺そうとした。それに絶望してベンはカイロ・レンになったという事。
ベンが本当に暗黒面に引き込まれていたのか?ルークの側からだけでは真相が判らない。
この辺、なんかサラっと流れてしまったが、追われて暗黒面に行ったという要因もあって、悪になり切れていないカイロ・レンのあいまいな心を忖度すると、ここがドラマの重要なポイントと言える。
皆がさかんに言っている「中二病」という事ではないと考える。
ネタバレサイトでは、遠隔で分身を操るのに全てを使い果たしてルークは消滅、という表現をしていた。
伝わるかどうかは別にして、あの闘いでルークは命をかけてベンに何かを伝えた。
そういう事でマーク・ハミルも、このふがいない役割りに折り合いをつけたのだろう。
さて、ここからツッコミ・・・
まずあのローズ。初めは、中国での興行成績を気にした製作会社のゴリ押しで、中国人を重用したのかと思っていたが、彼女はベトナム系アメリカ人で、両親は70年代に移住したという。
差別は良くないかも知れないが、同じアジア系でも、もう少しマシな人選はなかったか(天童よしみかと思った)。お姉さんはあんなに美人だったのに・・・
ギャグでもかませば良かったのに、ガチ愛してますって、フィンも困惑。
メガ・デストロイヤーの追跡装置を設置してある、部屋の入口の暗証コードを破れる人物を探して来るって、あと数時間で燃料切れしようとしている時に、何てバカな設定を与えているのか。
それでカジノ星でのドタバタ。本当にこういうのが好きだね、SWは。そのあげく、追尾装置破壊の話はどっかへ打ち捨てられる(ドラマ上、何の役割りも果たしていない)し、この辺アクションに追われているうちはいいが、後で考えると「萎える」。
スノークが死ぬシーンは、あまりにもあっけなくてあ然。分身からでも強大なフォースを使えて、カイロ・レンの心も簡単に読めるのに、なんで?
これへの回答としては、カイロ・レンが自分のライトセイバーに集中している心と同期させて、レイのセイバーを同時に動かし、マスキングしたという事なんだろうけど(そんな事では騙されないゾ)。
EP6でもダース・ベイダーが、シスを掴んでメインシャフト空間に放り出して殺したシーンがあったが、これも全能のシスにしてはふがいなさすぎる。
しレジスタンスの、なんと貧弱なことか。最後はファルコン号に全員収まるほどの小世帯になっちゃうし。
しかしシリーズ4以降、主役メカとして君臨しているファルコン号には脱帽。てゆうか何とかしろよ。EP6から30年も経ってて、なおファースト・オーダーの主力機と渡り合うんだから、もう少しリニューアルの場面が
あっても良かった(それがメカの魅力にもなるし)。
宇宙空間をものともしない演出はもう、SW独特というべきか。真空中に放り出されたレイアが目を覚ますのもさることながら、エアロック開けた内側には、普通にむきだしのクルーたちが。北海道だって外と室内の間にはワンクッションあるのに。
メガ・デストロイヤーがぶった切られて、辺りは完全に真空のはずなのに、フィン始め皆さんこれまたむきだしのまま戦ってます。
スペース・ファンタジーなんだから、いいのですよ。
そんな細かいことは。
まとめ
スターウォーズ自身、宇宙自治の綻びから繰り広げられる宇宙戦争、というのが基本。そこにアナキンから始まるスカイウォーカー家のドメスティックな物語を織り込んだ。
前シリーズ最終作のEP6でもたらされた宇宙の平和が、どうやって再び崩されて行ったかの経緯が、EP7ではほとんど語られていない。
ハン・ソロの死という極めて重要な出来事も、重みがない。
それを受けてのEP8。先にも書いたように、ルークが犯した過ち(ベンを殺そうとした)をもう少し深く掘り下げ、その上でスノークがどうやって帝国軍からの支配を受け継いだかも丁寧に描いていれば、重厚感が出たかも。
SWはもはやそんな点には目をつぶり、アクションを素直に楽しむ娯楽作品になったという事なのかも。ディズニーの運営になってそれが顕著になった。
ああ、質のいいSF映画を観たい・・・・(何度目かのつぶやき)
そういえば、この映画の監督のライアン・ジョンソン氏は以前「LOOPER」を撮っていたらしい。
ごちゃごちゃしたタイムループものがやれるんだから、もう少しシナリオに気合い入れて。