番組紹介
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160424
83年前に行方不明になっていた絵が発見された。一対の掛軸。
辻惟雄(東京国立文化財研)と小林忠(美術史家)が鑑定。
孔雀鳳凰図
http://www.okada-museum.com/information/archives/1114
伊藤若冲の真筆と鑑定された。
城野誠治(東京国立文化財研):繊維まで写すカメラで分析。
孔雀の羽根の描写、細かい所で0.2mmピッチの線。
応挙の絵は羽根を面で描くのに対し、高度な技術を駆使。
輪郭線が存在しない。下描きなし(1ケ所のミスもない)。
一定の間隔、一定のリズム。根気良さ、相当な情熱。
誰から絵を学んだか、謎に包まれている。
江戸中期、京都に生まれる。裕福な青物問屋の長男として生まれる。
素朴な自然を愛した。特に愛したのは鶏。命の輝きを描いて才能を開花させた。基本的に独学。常識を覆す手法。
最高傑作は 動植綵絵(宮内庁所蔵)
http://matome.naver.jp/odai/2141949831683645001
極彩色の群鶏図他30幅の絵。現代アートとしても通用する色彩、構図。
謎の言葉を残す『千載 具眼の徒を待つ』(せんざい ぐがんの とを まつ)
早川泰弘(東京国立文化財研):X線で絵の具の種類を解析。
日本画の絵の具:胡粉(白)、辰砂(赤)、群青(青)。それほど多くはない。
その中で圧倒的な色彩を誇る。
ぼたんのめしべ。直径1cmに重ね塗り。下塗り:緑→白の点→黄色→赤(計4層)。立体感を生み出す。
全く違う技術。
なんてんの赤。赤い顔料は1種類。なぜ違って見える→X線撮影。顔料の厚さを変えて透け具合で色を変えた。
肉眼で見えないレベルの表現
小さな雀の絵。偶然絵を撮ったら僅かな鉛を検出(分光分析)。雀の胸の部分から出ている。拡大すると絹目の間にオレンジ色の点。正体は鉛丹。
点は0.1mm。人間の目では認識出来ない。脳の潜在意識下でやっと判る程度。
紅葉小禽図
http://blog2.hix05.com/2015/12/post-2137.html
もみじの葉の色が全て異なる。分解調査で初めて判った。表側は赤、裏にダイダイを塗る。ピンク色:裏からだけ赤。一つとして同じ色がない。裏からもう一枚の絵を描くのと同じ手間。
今の技術で解き明かされていない技術もある(世界も注目)。
パリ。フランソワ・ラショウ教授(フランス国立極東学院)。気がついた事がある→花びらに施された光の表現。陰影を描いた(当時の絵の発想にない)。
印象派の創始者:マネ。19世紀半ばに陰影表現を初めて行ったとされている(革命と言われた)。その100年前、陰影表現に到達していた。
マリーピエール・フェイト(画家)。
油絵は何度でも重ね塗り出来、修正が可能。若冲は一度だけのアプローチ。修正の跡なし。
京都 信行寺。
花卉(かき)図
http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2015100538801.html
京都の出版社に若冲の絵を描き写した版木が残っていた。それに彩色してCG処理し、寺の映像と組み合わせた。
他国の花も多数。シュウカイドウ(中国)、ハイビスカス(亜熱帯)、キョウチクトウ(インド)。
その中の青い色は新たな顔料。ドイツで作られた絵の具、プルシアンブルー(赤い色を作ろうとして偶然出来た)。当時出島に1kgしか入らなかったもの。そんな貴重なものも若冲は試していた。
ユキオ・リピット(ハーバード大教授)談。若冲は特別な絵師。豊かな発想。あふれんばかりの情熱。どの流派にも属さない。独創的。
鳥獣花木図屏風
http://jakuchu.exhn.jp/feature7.html
空想も含めたもの。1万数千のマス目に絵を描いた。江戸時代のデジタル画。マス目に工夫。光を当てると色が変化する。
どの絵師とも異なる。十分には理解されなかった。
小林忠談。「千載 具眼の徒を待つ」は千年後に自分の絵が判る人が出て来るのを待つ、とでもいった意味だが、若冲の心の叫び。
絵の中で十分表現している。言葉はいらない。
若冲は73歳の時、天明の大火で自宅、作業場全てをなくした。
晩年は寺院に住み、享年は85歳。技は途絶え、記憶から失われて行った。
狩野 博幸(同志社大教授)。
若冲の絵には深いメッセージが隠されている。
花丸図 金刀比羅宮の奥書院
http://www.konpira.or.jp/news/2014/16/news.html
200の絵が描かれた襖絵。この中に執拗に描いているもの→病葉(わくらば)。普通寺院には美しいものを奉納するのが常識。
若冲の到達点。綺麗なものはいつか亡びる。
描きたいものを描く。移り変わる世の中を超えたところで評価される。
天明の大火の直後に描かれた仙人掌群鶏図(さぼてんぐんけいず)大阪 西福寺蔵
http://www.salvastyle.com/menu_japanese/jakuchu_cactus.html
この襖絵の裏に描かれた蓮池図
http://blog.goo.ne.jp/tetsu-t0821/e/ab688d58cd5d779d2bbd788e7c184f58
水墨画。荒涼とした世界。蓮の池、ただ寂しいとだけ思っていた。
5年前の東日本大震災。天明の大火と重なった。その後向き合ってあるものを発見した。蓮のつぼみ。芽吹きが描かれていた。目立たないけれど、密かに描かれていた。京都の再生を願った絵だった。
同じ絵が違う意味を持って来る。どこまで深いのか、広いのか。謎はつきない。宗教的。
伊藤若冲ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E8%8B%A5%E5%86%B2
伊藤若冲まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2137304111839024801
感想
大したものではないが、一応絵は好きで、以前描いていた。伊藤若冲についてはあまり知らなかった。
ほとんど独学、というのが素晴らしい。
気になったので、番組に出て来た絵は全てURLを残してみたが、確かに見事。実物を見たいものだ。
ただこの番組のナレーターがいけない。小松菜奈って誰よ?さすがにトチリはなかったが、言葉の意味を全く理解している様子がない。NHKともなれば、優れたアナウンサーはいくらでも居るだろうに。せっかくの番組の質がかなり落ちてしまった。
批判の一部
http://matome.naver.jp/odai/2146150480170315601
http://matome.naver.jp/odai/2146150063064400301