感想
地球の成り立ちについては今までの番組でも取り上げられているが、今回のアプローチは新鮮で面白かった。
マントルの深層ではキラキラした鉱物で溢れているなんて・・・
コアが水を吸収して、適度な海水量になったという話は、確かここの番組で過去知った様な気がしたが、実験でその証拠を掴んだというのは新しい発見。
地下深層に生息する微生物の存在にも驚かされる。
コアが磁力を生み出すメカニズム、またそのメカニズム以前には化学反応が関与していたというのも実験から導き出されたもの。
研究者に対して、もっと敬意を表するべきダナ。
内容
アポロ計画と同時期に進められた、地中にフロンティアを目指す「モホール計画」
海底から深さ7kmまで掘削する計画→183mで中止された。
地球は4つの層で出来ている。
深くなる程高温、高圧。中心部分は5500℃、364万気圧。
CHAPTER 1 見えてきた!地球の内部
地震波の伝わり方のデータを照らし合わせると、ある距離を超えた時P波が観測されなくなる。
深いところに地震波が屈折する領域がある。
地殻、マントル、コアの存在を突き止めた。
北海道 アポイ岳。
46億年前、原始惑星同士が衝突して地球が誕生。マグマの海だった地表が冷えて大地になる(地下深くで結合したカンラン岩)
それをプレートが押し上げた。
再現実験。
マルチアンビルにより高温高圧(地下700キロ)再現。
カンラン石を粉状にして直径2mmの容器に入れ19万気圧、1500℃。地下520kmの環境を4時間与える。
顕微鏡観察で青くなった→リングウッダイト(結晶構造が変化)
相転移によりキラキラした結晶のある層が4つ重なる。
マントルの4つの層がプレート運動の原因にもなっているという。
CHAPTER2 コアに秘められた謎
コアの主成分は鉄。地球誕生直後に出来、重力で沈んで行った。
生命にとって重要な事が起きた。コアの中に水素が大量にある。
ある事件→小天体の衝突。その水が海の元になった。
小天体の水がそのまま海になると今の海の50~100倍の量になる。
カギがコアにある。水が水素の形でコアに溶け込んだ。
コア環境の再現。4000℃、45万気圧でケイ酸塩と鉄を圧縮。
熱は近赤外線レーザーで与える。
これによるコアに含まれる水の量(推定):海水の30~70倍
CHAPTER 3 発見!地下の巨大生命圏
青森沖の調査。2.4kmの地下掘削。サンプルの持ち帰り。
4時間後アワが出て来る(メタン)→電子を利用して作られた
微生物同士の共生。地上生物との関係も示唆される。
地球生命誕生の謎。地下微生物のDNA研究。
米カリフォルニアで、ある微生物発見。緑色に発光。
通常微生物の1/10サイズ。生命に必要な遺伝子に乏しい。
普通遺伝子は機能を9つ持つ
初期に誕生した地球の生命だと考えられる。
白馬村でCPR細菌を採取。ここの水はカンラン岩と接触して水素を多量に含み強アルカリ性(PH11)今後の研究に期待。
火星にもCPR細菌が居た様な環境の場所がある。
CHAPTER 4 地下が作る地球の磁場
磁場は太陽風、宇宙線から地球を守っている。
磁場を作っているのが液体・個体コア。
磁場が生まれる仕組み
液体と固体コアの温度差で熱対流が生まれ、それに自転が加わり、らせん状の渦になって磁力を発生(磁場が出来る)
コアと矛盾する存在が「海」
固体コアが出来たのは今から5億年前。
それより前には磁場は存在出来なかった?
→磁場がなければ地球は干上がる。
旧い鉱石に磁場があった事が証明されている。
どうやって磁場は存在し続けたたか。
実験の設定:45億年前。
深さ3000キロ(140万気圧)、4000℃(地球の冷え始め)
材料は当時の酸素、ケイ素、鉄の混合試料
実験後の分析→鉄と二酸化ケイ素に分離
→地球が冷えて行く時、コア内が鉄と二酸化ケイ素に分かれる。
その分離メカニズムにより液体コアの対流運動が維持され、磁場も維持された。
進化のバトンは受け継がれる
生命を守っていたのは、磁場を生み出す地球内部の化学反応だった。
磁場はいつか消える
→サウスカロライナ大 ダニエル・フロスト教授の研究。
固体コア直径変化のシミュレーション。
年間1mmのペースで大きくなっている。
液体コアは小さくなり、いずれ消える。
磁場は永遠ではない。