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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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コズミック フロント「相対論vs量子論 事象の地平線と“異次元のダンス”」BSP 9/22放送

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感想
ついて行けないと分かっていても、こういう番組はどうしても観てしまう(疲れるだけなのだが)
物理学と量子学でこれほどの論争があったとは知らなかった。
量子の世界では物理学のルールが当て嵌まらないとか、ブラックホールの事は、過去の番組でも語られている。
例1 村山斉の宇宙をめぐる大冒険
 2 宇宙を支配する法則は何か?
 3 ブラックホールの闇に魅せられて
ホーキング博士が投げ込んだ「爆弾」のために世界中の学者が考えを巡らし、物理と量子の世界が繋がった。
分からないなりに「感動した!」
オマケ

①小説「三体」の後半では太陽系の三次元世界が二次元へ崩壊して行く姿が描かれるが、まさに今回の知見が駆使されている。

②しかしストーリーテラーとして、日本の学者と大学生の会話がチョイチョイ挿入されるが、これがまた「うざい」
こんなのはやめて、量子の話をもう少し噛み砕いて説明してくれた方がよほどいい・・・


内容
CHAPTER 1 情報パラドックス
1983年。サンフランシスコのセミナーで口火が切られた。
情報パラドックスの提示→ホーキング博士が火つけ役。
ブラックホールから熱が放射されている(ホーキング放射)その時情報も消滅する。

それは物理法則を崩壊させる。即座に問題点を理解したレオナルド・サスキンド博士。その提示を「爆弾」と呼んだ。

もう一人の反論者はヘラルド・トホーフト博士

 

ホーキングの主張:ブラックホールの「事象の地平線」
ここを越えると外に出られない→情報は消える。

反論:情報とは異なる別のものを区別するもの(例:水とリチウム)混ざっていても個々の属性(情報)が残っている。
失われたら元々何だったか分からなくなる→あらゆる物理法則の否定。議論は物別れに終わった。
量子論も根底から崩壊する(サスキンド)

CHAPTER 2 ブラックホール論争
各博士の人となり
サスキンド:労働者階級の出身。大学から物理学に目覚めた。全体像から直感で理解する。専門は量子論。
ホーキング:17歳の時、飛び級でオックスフォード大学に入る。専攻は数学。重力の物理学者。
・素粒子は重力を扱わない

・相対論は重力により説明

サスキンドは彼のパラドックスに取り憑かれた。

相対論と量子論の関係をぶち壊す→修復が必要。


CHAPTER 3  ホログラフィック原理
10年後、理論武装を続けるサスキンド。相補性を使って説明。
ブラックホールに落ちる物体と同じ速度で観察する(止まることはない)それを外から観察すると事象の地平線に近づくにつれて速度が遅くなり、ひいては止まって見える。それらが両方起こるのが「相補性」そしてホーキング放射と共に放出される。
それをトホーフトが別の言葉で説明。
相補性はホログラフィック原理と同じ。情報が、ある空間の境界に暗号として保存され、内部に投影されている。
光は波の性質と粒の性質を併せ持つ。

CHAPTER 4 サンタバーバラの戦い
南カリフォルニア。1992年、熾烈な戦いが再び始まる。
カブリ理論物理研究所。サスキンドが乗り込んだ。
皆ホーキングの味方。相補性の説明は斬新だが納得せず。トホーフトも説明したが、時空の専門家は相補性を理解せず。
選択肢は4つ(投票)
①情報は失われる(ホーキング案)     25票
②情報は外に出て来る(サスキンド案)  39票
③情報は中に閉じ込められる           7票
④その他                             6票
サスキンド案が一位となったが、合意には至らず。

CHAPTER 5  異次元のダンス
両者の橋渡しをしたのがフアン・マルダセナ博士。


超弦理論。ホログラフィックの数式化。
二次元情報を元に三次元が再構築できる。素粒子を振動する弦として捉える。素粒子は「開いた弦」 重力は「閉じた弦」

缶の輪切りの平面が空間、上下が時間の流れ。中には時空のスープ(質量とエネルギー)その中身の情報が、表面で振動する弦の相互作用として記述されている。ブラックホールとの類似。

二次元の表面にある情報→表面はホーキング放射と共に放出される。
その後マルダセナ博士による学会が半年開かれた。量子論側と重力側で計算して一致し、情報が失われない事が証明された。


当時「マカレナ」が流行→替え歌で「マルダセナ・ダンス」が歌われた。物理学者も人間。
議論は後戻り出来ないところまで進んだ。情報は失われない方向にスイッチが入ったが、ホーキングは認めず。
問題の本質は「量子重力理論」を打ち立て、宇宙の始まりを解き明かす事が究極の目的(マルダセナ博士)

CHAPTER 6  ホログラムとしての宇宙
二次元情報から三次元が立ち上がる。新たな公式を打ち立てた。
カギは「量子もつれ」ホログラフィックに当て嵌めた量子もつれが三次元に投影されている→三次元宇宙の幾何構造がミクロの量子もつれから生まれる。

ホログラフィック原理が宇宙全体にも当て嵌まる。

物理学界がその方向に動き始めている。

CHAPTER 7 ”地平線”のかなた
ブルックヘブン国立研究所。
ホログラフィック原理の実証作業。「電子・イオン衝突機」で金の原子核と電子を衝突させる(宇宙の始まりの再現)

日本のスパコン「北斎」も協力(ブラックホール内部のシミュレーション)量子的行列モデルの作成。内部の様子が分かる。

ホログラフィック原理が機能する事が実証された。
 

情報パラドックスが提示されて30年。
ホーキングは敗北を認めた(2004年)

ブラックホールは飲みこんだ情報を放出する。よって過去への遡上、未来の予測も可能。

サスキンドの言葉
ホーキングの問いは絶大だった。
彼が間違っていたことは小さい問題。
彼が正しい問いを立てた事が重要。
 

 


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