ヒューマニエンス 40億年のたくらみ
「“胃” 生きる喜びを創る臓器」NHK 9/13放送
感想
４年ほど前にピロリ菌の除菌をした。今までさほど胃の不調は感じていなかったが、やや逆流性食道炎気味かな？と思っていた。それが除菌してからほぼ完璧に。
今回胃がんのほとんどの原因がピロリ菌と聞いてビックリ！
医学教授が断言しているんだから、確かなんだろう。
また、ピロリ菌のグレートジャーニーも興味深かった。
内容
司会 織田裕二、藤井彩子
ゲスト 宮本亞門
解説 三輪洋人 川西市立総合医療センター総長
山岡吉生 大分大学教授
胃は外側が筋肉、内側が粘膜（中は強烈な胃酸）
特殊なホルモンを出し、神経が集中（脳に伝わる）
胃は歳を取らない→人の胃を取り出して年齢を推定は困難。
胃の粘膜は毎日更新される（食事するだけで剥がれる）
胃は喜びの臓器
王貞治さん。2006年にがんで胃を全摘出。
60歳男性。胃を全摘出。それまでは毎日ビールで晩酌。
半年後、医師の許可が出て飲んだがうまくない。
1999年、重要なホルモン「グレリン」が胃から作られる事が分かった（日本人が発見）以前は脳で作られると思われていた。
食事前に作られる。胃を切除すると欠乏する。
元々は成長ホルモンの生成を助ける。
摂食中枢を刺激し空腹感、幸福感を支配する。
胃がヒトの「時間」を作った
動物に胃袋のふくらみが出来たのは比較的新しい。
鶏には胃が二つある（腺胃と筋胃）
更に特殊なのは牛→４つの胃を持つ。
①ミノ②ハチノス③センマイ④ギアラ
草から栄養を極限まで摂取するため、胃を適応させた。
ヒトの胃の特徴→強い胃酸（pH1.5 猫は3.5）
目的は消毒、殺菌。ヒトは雑食（腐ったものも食べた）
胃を持ったことで変化（時間を分けた）
胃に貯め込む事で食べる時間と食べない時間を分ける。
→文化を生み出す要因。
胃が酸に強い仕組みは巧妙。
粘液で全体を覆う。表面は酸性→中に行くに従い中性。
だが近年の衛生的な環境では、強い胃酸は病気の元。
日本人は元々胃酸は強くなかった。
食事の欧米化で脂肪分が増えたため胃酸分泌が増えた。
胃酸が増えると上に行く→食道は粘膜で守られていない→「逆流性食道炎」 ヒトにとっていい状態ではない。
守るために吐く
敵から逃げる時、腹に多くの食べ物があると逃げるエネルギーが取られる→吐いて身軽になって逃げる。ヘビも同じ。
緊張すると吐き気がするのは太古のシステムが残っている。
機能性ディスペプシア→ストレスで胃が不調になること。
いつも胃が不調の人は「吐けない」 若い人は痛くなる。
歳を取ると「胃がもたれる」
ラットを子供の時に母親から離して育てると、胃に軽い炎症が起きている。心のキズが消化管の炎症を引き起こす。
機能性ディスペプシアの改善にはヨガ等の心のコントロールが有効。
胃から見えるヒトの歩みのヒストリー
大分大学の山岡教授が世界中から集めているもの「ピロリ菌」
ピロリ菌はヒトの胃だけに存在する。胃酸を中和する酵素を出して生き延びる。胃の上皮細胞に取りつき発がん物質を出す。
胃がん原因の９割がピロリ菌。親から子にうつる。
→人類の歴史が分かる。
世界のピロリ菌は７種に分かれる。進化の系統図が描ける。
元は６万年前で生まれ、グレートジャーニーと同じ経路を移動して来た（人類の移動と一致）
日本人のミステリー
胃がん罹患率の全国平均指標を99.7とした時、沖縄は36.9と極端に少ない。
それで沖縄の人のピロリ菌を調べると種類が違う。
系統樹から行くと４万年前から枝分かれしたもの。
謎の足跡（沖縄の先祖は違うルートから来た？
沖縄では胃がんが少ない。
沖縄で旧石器時代に居た（2万年前に絶滅）と言われる「港川人」は日本人と遺伝的関係がない。
ヒトは絶滅したが、ピロリ菌は残った。
ピロリ菌は医学的にも進歩をもたらした（1979年に発見）
それまでは胃がんがなぜ起こるか分からなかった。
胃がんの全てはピロリ菌によるもの（断言）
これから胃の病気は減っていく。
ピロリ菌は胃の粘膜にしかいない。ピロリ菌に感染した胃の粘膜は次第に萎縮→住めなくなる（その状態が胃がんに一番近い）
昔は胃がんになる前に死んでいた。
40歳までに除菌すれば胃がんにならない（それまでのダメージの程度で個人差あり）
子供に除菌する検討も進められているが、その影響が不明。
とりあえず「二十歳の除菌」を推進すれば大丈夫。
今日の一曲
Sting - Fragile
指の汗をジーンズで拭く仕草にシビれる～～