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ヒューマニエンス「“ゲノム編集”新人類を生む技術か」NHK 8/23放送

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 ヒューマニエンス 40億年のたくらみ
「“ゲノム編集” 新人類を生む技術か」
NHK 8/23放送

感想
前回の「遺伝子」を引き継ぐ形の番組。
ゲノム編集は以前コチラ(NHKスペシャル)でもやっており、新情報としては半分ぐらいか。
しかし何万年もかかって起きる変異が、いとも簡単に実現出来るのは、本当に福音なのかどうか。
それにつけても思うのは生命の仕組みの精緻さ。ホントたんぱく質って何にでもなれる。驚異としか言えない・・・

内容
司会 :織田裕二、藤井彩子
ゲスト:いとうせいこう
解説 :堀田秋津(京都大教授)

ゲノム編集は生命科学分野で今世紀最大のトピック。
その適用は主に①医療、②食料、③新人類誕生

2020/12月。ノーベル科学賞は「ゲノム編集」
クリスパー・キャス9→狙った遺伝子を切断して組み換え

象徴的な例→黄色いイモリ。

本来は黒の色素がある部分の遺伝子を消した。
イモリの受精卵にクリスパー・キャス9を入れたら勝手にやる。
 

ガイドRNAが標的に対応する遺伝子を見つけ結合。

そこにキャス9が来てハサミの様に遺伝子を切断。

細胞の修復機能で配列される→配列に変化が出来る。

自然界の突然変異と同じ。偶然を必然に変える。
元々は細菌が持っている防御機能(他から来たものを切る)
これらのものは働きを終えたら消滅(痕跡を残さない)
007みたい(織田)
目的の遺伝子の加工にはガイドRNAを設計。神のハサミ。

ある難病の治療。現在遺伝性疾患は7,000以上ある。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの青年(21歳)
小3から発症して10歳から車椅子生活。
ジストロフィン遺伝子(体の細胞膜を支えるもの)
異常があると筋肉が減少する。


遺伝子を二箇所で切断し異常な部分を除去→異常を除いた状態でジストロフィン遺伝子が作られる。

細胞レベルでは成功。


培養して移植するのが課題。増やすのにiPS細胞を利用する。


その先を考えている→ヒトの体内で直接作る。
ゲノム編集したものを脂質で包む→脂質ナノ粒子

ガイドRNAを入れて注射。体内で作動して遺伝子改変。

マウスでの実験では1年間持続した。

ミクロの決死圏みたいだ(ナノの決死圏・・・)
今の課題は届ける範囲が狭いこと。他の遺伝病にも使える。
局所的に筋肉を強くする事も出来る(遺伝子ドーピング)
証拠残らない?細胞を取って調べないとダメ。
女性の体もデザインできる。
より強く、は問題がある。病気は治したい(いとう)

ゲノムは医療革命を起こす。がん治療。
免疫細胞の改変
T細胞(がんを攻撃する免疫細胞)を患者から取り出しゲノム編集を施す。
T細胞表面にある、受容体を作る遺伝子を改変し、ある受容体が出来ない様にした。その後人工的な受容体を付加→無害なウイルスの遺伝子を組み込むより攻撃力のある受容体が作られる。

それでがんを叩く。
改造T細胞は患者の体内で300日間定着。がんは半分になった。


新薬の開発
動物実験のプロセスを変える。
ヒトの肝臓を持った動物→ヒト化動物
ラットの受精卵に加工そて免疫不全ラットを作り、その後ヒトの肝臓を移植→拒絶反応は起こらず、その肝臓の7割はヒト。
ヒトの臓器レベルで安全性の確認が出来る。

どうなりたいですか?の問いに「300年先が見たい」(織田)
動物の臓器をどんどんヒト化すると何が出来る?(いとう)

食料問題の解決
食物アレルギーを防ぐ品種改良の加速。
アレルギーの主な原因物質「オボムコイド」を含まない卵。
使うのは「始原生殖細胞」これにゲノム編集を施してオボムコイドを作る遺伝子の機能を失わせる。その細胞を卵に植付け、殻に移し孵卵器で育てる。

その後成長したオスとメスを何度も交配させ、オボムコイドが含まれない卵を産むニワトリが誕生。
この様な品種改良は様々なもので作られている。

遺伝子組み換えとは違う? 遺伝子組み換えは外から入れる。ゲノム編集は元々あるもの。
期待されるのは飢餓地域。暑さに強い作物。育て易い家畜。


欲望と倫理
受精卵の改変。人類はそれを抑えることが出来るか?
2018年、中国で生まれたルルとナナ。エイズウイルスからの感染予防→キーとなるCCR5遺伝子を受精卵の段階で無効化。

国際的にはタブー視されている行為。
デザイナーベビー問題を生じる。
 

学者への質問

100年後、人類は受精卵をゲノム編集しているか?

6人中4人は「やっているだろう」と回答。
何が悪いか?
・受精卵治療自体、本人はそれを選べない(意思ではない)
・治療したヒトの遺伝子が次世代に引き継がれる
ワクチンを打つ感覚でやるかも知れない。
優生学の考えは良くない。差別の助長

技術的な問題。CCR5遺伝子は対エイズウイルスだけの作用ではなく、免疫系として大事な役割りをしている。
別のウイルスに罹り易くなるかも知れない。不要な試みだった。
地道な研究が必要。

 

 

 


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