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小説 火の鳥 大地編 三章 「楼蘭」 作:桜庭一樹

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小説 火の鳥  作 :桜庭 一樹 画:黒田 征太郎
                    原作:手塚 治虫

 バックナンバー  

 

マリア        楼蘭国王女。時間の旅を繰り返す
間久部緑郎  関東軍少佐
間久部正人  緑郎の弟。八路軍に所属
猿田博士    緑郎の恩師。満州 大陸科学院付
川島芳子    黄金栄の手下。過去は清国の王女
ルイ         ダンサー。黄金栄の手下
三田村要造  三田村興産社長


感想
マリアが語る、繰り返される時間巻き戻しの旅。元々は、滅びた楼蘭王国の最後の一日を楽しく過ごさせてやろうという火の鳥の好意。それが終わるのがイヤで火の鳥の首を封印。全てはそこから始まった。
楼蘭王国が滅びる時の木彫りのラクダは、ギリシャ神話の「トロイの木馬」が元ネタ。マンガ「火の鳥」のギリシャ編でもそのまんま出て来る。

 

首を取りに来る者が次第に変わったり、また同じ者でも以前の記憶がなかったり、注意して読み進まないと混乱して来るが、結局それは後の伏線になっている。
日本の周辺で起きる戦争が、時間の巻き戻しを繰り返す度に少しづつ変化していくところも、後のために記憶しておく必要があり、こうした記録が欠かせない(やっかいな小説やなー)

しかし首を取られても、風が吹いてマリアが戻り楼蘭王国が復活した時、火の鳥の首も戻っている。

要するに時間が戻るのだから「そこにある」という解釈なのネ。

まあ小説内ルールと考えるしかないか・・・

 

 

[17] 「歴史を変えることは、できないけれど」 8/3

三章 楼蘭

その1 ゾロアスターの神の鳥
楼蘭王の娘マリア18歳、弟ウルス16歳。

その結婚式典は国を挙げての行事になる予定だった。
楼蘭王国はシルクロードの拠点として栄え、栄華を極めていた。
その楼蘭に寄り添うロプノール湖は、場所を移す事はあっても遠く離れることはなく、豊かさを支えた。

式典の前夜、マリアはウルスと口喧嘩をしてしまった。弟が友人ワナントとふざけ合うのを見て、彼女が焼きもちを焼いたのだ。

 

そのいさかいが収まらず翌日を迎えた。

豪華な式典が始まった。御馳走、酒、果物・・・
様々な民族が贈り物の列を組んで入って来る。
夜になり、宴がますます盛んになる中、10メートルほどもある巨大な木彫りのラクダが持ち込まれた。

警備が咎めるが、酔ったウルスは「受け取っておけ・・・」

夜半、ウルスに起こされるマリア。敵襲だという。木彫りのラクダから出て来た敵兵が門を開け、明の兵士が攻め込む。
ウルスが果物の山にマリアを押し込み、これが全部腐るまで出るなと言って、戦いに向かって行った。

 

敵兵たちの動きはしばらく続き、数日経って果物がベタつき始めた頃、外に出たマリア。
倒れている兵士たち。ウルス、ワナント。そして父、母も死んでいた。
廃墟となった王国をさまようマリアは、ウルスとの日々を思い出し、涙する。

とぼとぼと神殿に戻った時、その先に松明の輝きを見つける。
近づくと、それは鳥だった。燃える体を持つ、大きな美しい鳥。
燃える鳥を見るのは三回目。二年前と、半年前にロプノール湖畔で。水浴びをしており、神の鳥だと思っていた。その時、直接心に語りかけられ楼蘭の事、自分が王女であることなどを話していた。

鳥も、少し前まで島国にいたが、休める場所を探してここまで来たと言った。

何があったのか?と聞く鳥に、楼蘭が一夜にして滅んだ事を話し、ウルスとの喧嘩をした事まで話した。
深く同情した鳥は、王国が滅びるような歴史を変えることは出来ないけれど、小さなことなら自分の力で変えられるから、ウルスと喧嘩しない最後の婚礼前日を過ごしなさいと言った。


[18] 「あなたに逢いたくて」 8/2
鳥が言うその方法は、鳥の首を切り落とし、それをウリとブドウと柳の葉で包んで祭壇に供えるというもの。
言われた通りにしたマリアが神殿を出ると、滅びたはずの楼蘭王国は元通りになっており、行きかう人々が賑わう婚礼前日の朝になっていた。急いでウルスを見つけ出したマリアは、安堵でへたり込む。
喧嘩を封印し、楽しい一日をゆっくり過ごしたマリア。

 

夜になり、鳥と約束した通り神殿に向かうマリア。
約束は、祭壇の鳥の首を、燃える松明にくべること。そうする事で鳥が復活し、元の時間軸・・つまり王国が滅びた後の世界に戻る。

言われた通り首を火に投げ込むと、鳥は火の粉を撒き散らし、復活してマリアの元に降り立った。


感謝の気持ちを伝えるマリアだったが、その直後隠し持っていた剣で鳥の首を刎ねた。
その首をまた葉で包み、神殿に捧げたマリア。
外に出ると、再び婚礼前日の朝になっていた。
ウルスの元に駆け寄るマリア。 「あなたに逢いたくて、逢いたくて・・・」
神の鳥を裏切り、神の火を盗んだ罪人となったマリア。

その日から、楼蘭は婚礼前日を毎日繰り返すようになった。

マリアは18歳のまま何年も、楼蘭という永久機関に籠り続けた。
時々はロプノール湖畔で人に会い、外界の変化を察していたマリア。

 

ある日見慣れない大柄の男が訪れた。

同じ毎日の繰り返しで、部外者だとすぐ判った。
「誰!」と追いかけるマリアに向かって発砲する男。腹に激痛。
男は祭壇から鳥の首の包みを持って逃げて行った。
血を流しながら追うマリアだが、振り返ると楼蘭が消えて行くところだった。
鳥の首を取られたための滅亡。ロプノール湖畔で座り込むマリア。

マリアは村人に助けられ、手当てを受けて助かった。

マリアの話す言葉は大昔のウイグル語なので、皆が驚いた。

 

傷が癒えて何度も楼蘭を訪ねるが廃墟のまま。
生きるために都市を目指し、成都で中国語を覚えて食堂で働き始めた。
この時が1904年。楼蘭が滅ぼされてから400年近く経っていた。
町にもなじめず、親しい人も作れず年を経て、10年経ったマリアは28歳になっていた。年齢なりの顔には苦労が刻まれている。
客の話で「世界大戦」なるものが起こったと聞いた。

 

それから数年後、どこかの国で革命が起き、また、その「指導者のレーニンという男が外国人に殺されたらしい」とも聞いた。

その翌年、突然草原にいる様な突風を受けて気を失ったマリア。
目覚めた時、婚礼前日の楼蘭王国にいたマリア。

顔かたちも18歳に戻っていた。


[19] 「あの男は“日本人”だぜ」 8/31
婚礼前日には戻ったが、マリアの心は28歳。その変化にウルスは心配する。
王国を守りたいという一心で、あの男を警戒していると、再び現れた男がまた鳥の首を奪う。

 

ワナントが気付いて、剣で男の左腕を刺すが、胸を撃たれて絶命。
ラクダに乗って逃げる男を追うマリアだが、背後の楼蘭王国が消えて行った。
数日の追跡もむなしく、男は自動車に乗って逃げてしまった。

町の人の話では、あの男は日本人。
それまで楼蘭と成都しか知らなかったマリアは、急速に知識を得て世界の事を知る。
この時楼蘭の外の世界は1915年になっていた。ロシア帝国で革命が起きた事も聞いたが、「指導者のレーニンとスターリンがいる建物に日本軍が砲弾を撃ち込み、二人が辛くも脱出した」という噂も聞いた。前

回と少し違う・・・
マリアは男を追って三年間中国の東北地方をさまよったが、ある朝、突然草原を吹くような突風に遭い気を失う。

 

再び婚礼前日の楼蘭王国で目覚めるマリア。
復活した楼蘭で注意深く毎日を過ごすマリア。

回りの兵士に警備を頼んだ。
何日も過ぎたある夜、男が神殿に入るのが見えた。見張りは居眠り。
北京語で「待ちなさい!」と叫ぶマリア。
中国語を聞いて思わす立ち止まる男。日本人よね?と聞くと、犬山だと答えて鳥の首を掴み、去ろうとする。だが鳥の首が何だかは知らない。なぜ何回も来るのかと聞いても、初めてだと言って話が合わない。
逃げる男を追うマリア。再び楼蘭は崩れ去った。

 

三回目の世界は1916年。世界大戦の最中。しかしレーニンとスターリンは殺されず、ロシアに革命政府「ソビエト連邦」が出来ていた。
歴史が毎回変わっている。
前と同じく中国の東北地方をさまよった後、長春で働き始めたマリア。
いつか風が吹いて楼蘭に戻ると思っていたが、今度はずっと吹かない。
この時代に生きる覚悟をして満州族の男と結婚したマリアは、男女三人づつの子供を儲け、22年の歳月を経て40歳となった。時代は1938年。
長男が所帯を持つことになり、孫の期待をするある朝。
突然草原に吹き荒れるような突風が吹いた。

 

目覚めた時は再び楼蘭王国で18歳のマリアに戻っていた。
ついに帰れた! だが今までの家族、夫、子供たちは?・・・
城門を飛び出すマリア。


[20] 「あなたの部下を殺すわ! 」 9/7
マリアは中国東北地方の長春を目指した。1916年から1938年までの22年間を暮らしたはず。
旅の途中で確認した今の年代は1931年。楼蘭王国に戻るたび、そこから出た時の年代が少しづつ進む。
長春の我が家では、別の家族が長く住んでいた。

夫の職場から本人の存在を確認し、その自宅を訪ねるが、夫は別の女性と所帯を持ち、その子供もいた。
物乞いをしながら、毎日子供たちの名を呼ぶマリア。

そうした一ケ月が過ぎた9月10日、突然日本の軍隊が攻め込んで長春を制圧。「九一八事変」(満州事変の中国呼称:1931年)
だが三回目の世界では1938年まで平和に暮らしていた。毎回歴史が変わっている・・・
マリアは旅をして楼蘭に戻った。鳥の首が奪われたわけではないので、王国は毎日同じ一日を繰り返していた。

ある日、背中に若い男を乗せたラクダを湖畔で見つけたマリアは、王宮に運び込んで男を手当てした。うなされる男は判らない言葉を呻いていた。
目覚めた男は訛りのある北京語で「楼蘭に行かなくてはならない!」と言った。
ここが楼蘭だと教えると、美男子ながら悪い表情をよぎらせる男。
マリアがいないわずかなスキに男は逃げ出し、神殿から鳥の首を奪って逃げ出した。
ラクダを盗んで逃げる男を追うマリア。背後で再び楼蘭は崩れ去って行く。

 

四回目の外界は1934年になっていた。再び長春を訪れるマリア。
中国東北地方一帯は、日本の関東軍が支配する満州国になっていた。日本に有利な様に歴史が変わり続けている。
犬山の言葉を思い出すマリア。上官の命令で来たと言っていた。神の鳥の首を欲しているのが日本の軍隊?
男と関東軍の情報を探るスパイ活動を進めるマリア。
だが一年あまりで再び草原の様な風が吹き、楼蘭王国に戻ったマリア。
はっきりと敵の存在を意識したマリアはワナントに頼んで戦い方を学ぶ。女でも扱える鉄製の笛。永遠の一日を利用して上達して行くマリア。
そしてようやく敵、あの若い男が再び現れた。

相手は二人でやって来た。もう一人は線が細い部下。部下を羽交い絞めにして刃物を突き付け、名を名乗れと男に言った。
間久部緑郎、大日本帝国から来たと言った男は、君たちの大事な火の鳥とやらの力を頂くと重ねた。
そうはさせない、と人質にした部下の首に刃物を食い込ませると、男は川島と呼んだその部下の額を、素早く抜いた銃で撃ち抜く。

 

さらに続く銃撃を避けて飛び回るマリア。
皇軍の士気高揚のため火の鳥が必要、と言い、鳥の首を握って去る間久部。
追いかけるが逃げられる。再び崩れて行く楼蘭王国・・・


[21] 「芳子といっしょにいたくても…きっとまた」 9/14
マリアにとって五回目の外の世界。時代は三年後の1937年7月。
満州国に向かい、間久部という日本人を探す。

中国東北地方の関東軍に少佐として居ると判明。
だが日本軍は「支那事変」の「形勢不利となったところ」で混乱状態であり、見つからず。
間久部少佐が三田村財閥の末娘との縁談がある事を知って上海に向かうマリア。
上海語を覚えつつ娼婦となって間久部を探すマリアだが、夜会の席で会えそうなところでまたもや草原の様な風が。

 

再び楼蘭に引き戻されたマリア。
神殿で一人過ごすマリアのところへほどなくやって来た間久部少佐。今度は少佐と似た顔の青年と美貌の青年を連れている。美貌の青年に武闘笛を叩きつけて倒し、もう一人の首をへし折ったマリア。
男を間久部緑郎と名指した事を驚く緑郎。会うのは三回目だと言い、うなされていた時母の事を言っていた事も知られている。
隙を突かれ、ナイフで頬を刺されたマリア。

その間に緑郎は鳥の首を持って神殿から飛び出す。
ああ、また消えてしまう。

このまま城門から出なければ自分も消えるのか。
消えてしまってもいいと一時は思ったものの、結局外に出たマリア。

それは敵たる間久部緑郎がいたから。

緑郎を追い、上海まで来た時の時代は1937年9月。
華やかな都だった上海は日本軍の侵攻で戦場になっていた。そこからロシア租界に逃れたマリアは日系露人に化けて情報を集めた。
ある日、日本軍の建物から出る男性用中国服姿の断髪美女を見て、間久部少佐が二回目の時に殺した部下だった事を知るマリア。

女だったのか。
この川島芳子に、旧ロシア貴族令嬢を装って近づいたマリア。
芳子は関東軍に騙されて利用されている事を嘆いた。親密な関係になる芳子とマリア。
上海の軍事状況は緊迫化。この年の10月「日本軍は上海制圧に失敗、中国大陸から撤退した。日本は支那事変(日中戦争)に負けた」。
日本に協力し続けた芳子は、南に逃れて余生を送ると言う。君も来ないかという言葉に驚くマリアに「キミの国も、もうないんだから」
楼蘭王国を思い、涙するマリア。
だが予感があった。「日本は今日、戦争に負けた」。必ず歴史を変えようとする力が働く・・・
びゅっと風が吹いた。運命に対抗する様、風に向かったマリア。


[22] 「事情がまーったくわからんな」 9/21
また楼蘭王国で目覚めたマリアは、もうここに居てはいけないと悟った。楼蘭王国がある限り、間久部緑郎が神の鳥の首を奪って歴史の改変を行い続ける。
自分は神の火の力を盗んだ罪人。

だが更に悪い事をしている者がいる。
一日かけて王国の皆に別れを告げたマリアは、神殿に入り自らの手で祭壇から神の鳥の首を持ち出して、王国の外に出た。
砂塵と共に消えて行く楼蘭王国。それが今見ている遺跡。

南に進む途中の町で、神の首を安全な場所に隠した。

そして上海へ向かう。
外の世界は前と同じ1937年7月。今回も日中戦争のさなかだったが、日本軍が有利な状況で、上海を制圧、次いで南京も陥落していた。
1938年1月、キャセイ・ホテルの楽隊員となり、大夜会に潜り込んだマリア。
軍服姿で勝ち誇り「中国なんて、揚子江の水まで日本のもんさ、アーハハハ!」と笑う男。
とうとう見つけた!関東軍の間久部緑郎少佐を。


その2 廃墟の七人
夜のタクラマカン砂漠。マリアの声を茫然と聞く緑郎、猿田博士、芳子、正人とルイ。
大日本帝国が火の鳥を使って歴史を修正している・・・関東軍は「時間旅行軍」・・と猿田博士。
否定する緑郎だが、自白剤の効果は確かだ、と博士。マリアの言う、めいめいの過去の状況について勝手に話し合うみんな。


緑郎が話の整理に入る。
楼蘭王国は425年前、明に滅ぼされたが火の鳥の力で、滅びる一日前を永遠に繰り返す様になった。
1904年に犬山という日本の軍人が鳥の首を盗んだ。何者かが火の鳥の力を悪用して時を撒き戻している。
博士が後を引き継ぐ。マリアの経験した世界は、繰り返すたびに変化している。レーニンは一回目で殺され、二回目では日本軍に砲撃された。
三回目では殺されずソビエト連邦を樹立している、と続ける緑郎。
満州事変も初めは失敗し、四回目でソ連の様に満州国が樹立した。
更に五回目では支那事変が形勢不利となり、六回目では上海戦で敗退し大陸進出を諦めた。
そこで七回目である今は、中国大陸を次々と制圧して西、南へと進撃している。


[23] 「誰にも言うなと脅されて」 9/20
「時間を撒き戻している黒幕は誰だッ!」と怒る緑郎。

知らない歴史の中で捨て駒にされた。
心当りがある、と芳子。調査隊に雇われるため三田村家へ行った時、地下の秘密部屋に入った。
地下の部屋には「鳳凰機関」とあり、中の部屋に居た三人の会話を障子越しに聞いた芳子。
一人目のロイド眼鏡。

正人が「関東軍 参謀長 東條英機じゃないか」
二人目は黒マントの小男。甘党。

同じく正人が「参謀副長 石原莞爾か?」
三人目は背の高いおじさんと言った芳子。官僚かも知れない・・・
話の断片を伝える。鳳凰が飛ぶ・・・あの男なら帰還してくれる・・・
鳳凰は火の鳥、あの男は緑郎か・・・

 

遺影の話も続ける。一人は麗奈そっくり。麗奈の母だろうと言う緑郎。数年前に亡くなった。
もう一人の山本五十六閣下。昨年客死したという話。

三田村家の地下にある「鳳凰機関」という組織が、火の鳥の力を使って世界情勢を日本有利に導いている・・・
だが七回目の今回は今までと違う。

マリアが先回りして鳥の首を隠した
火の鳥の首をどこに隠した?と恐ろしい顔でマリアを見下ろす。
正人がマリアを庇い「三田村要造氏も関わっているんだね」と話をそらす。
それには同意せざるを得ない緑郎。

 

そこで芳子が得意げに、リマの飛行場で三田村氏に会ったと言った。
皆に責められ「だって、誰にも言うなと脅されて・・」
そこに銃声。芳子の帽子に穴が明いた。闇から現れたがっちりした体躯の老人。
「口外するなと言ったはずだぞ。愛新覺羅顯㺭(あいしんかくら けんし)」 とたんに震え出す芳子。


[24] 「洗いざらい吐くのは貴様の方だ!」 10/5
その老人は三田村要造。
犬山元帥から調査隊の記録写真を見て追って来た。

楼蘭の笛吹き王女。今回は変則的な時空のようだ。
猿田博士が、この七回目の世界は貴殿が首謀者か?と訊ねる。
要造が、正しくはこの世界は15回目の世界だという。

哀れな王女は9回目以降の記憶しかない・・・
更に問いを重ねる博士に、説明する必要はない、時を巻き戻せばここにいる者たちは皆消える。

ユーラシア大陸を手中に収める。

新たな16回目の世界が来るのだと言う要造。

 

要造が緑郎に、マリアへの自白剤注入を命じた。

火の鳥の首のありかを吐かせるため。
緑郎が従順に頷き、注射器の準備を始めるが、手が震え何度も薬瓶を落とす。
注射の準備が出来、マリアの腕を取った緑郎。
次の瞬間立ち上がって要造の背後に回り、首ロックをかけて銃口をそらす緑郎。
だが老人とも思えない怪力で緑郎の体が浮く。
正人、芳子も加勢して押さえ付ける。

ルイが刀を要造に振り降ろそうとするのを緑郎が止めた。
要造の腕に注射器を刺す緑郎。「これまでの事を全部話せーっ!」
呻きながら話し出す要造。

 

48年前の1980年。病で休学している時に、秘境探検隊を率いる大滝雪之丞という男に会った。
猿田博士がその名を知っていた。

 


NHKスペシャル「食の起源」第1集 「ご飯」 11月24日放送

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TOKIOのメンバーをナビゲーターにして全5回に亘り特集する。

今後の放送
第2集「塩」  12/15
第3集「脂」  来年1月
第4集「酒」  来年2月
第5集「美食」来年3月

 

第1集「ご飯」    Nスペ5分

~ご飯は健康長寿の敵か?味方か?~

ナビゲーター(TOKIO):城島茂 国分太一 松岡昌宏 長瀬智也
ゲスト:檀れい

700万年前。意外な食べ物が主食だった。
石器時代の民の化石から歯石を採取

→でんぷんの粒子。糖質を食べていた証拠。
全カロリーの5割以上を賄っていた。

城島がどんぐり、木の根をかじるがまずい。

 

食の革命があった。

イスラエルの石器に加熱した痕跡。火で調理した証拠。
でんぷんを加熱する事でブドウ糖化→食の喜び

生                     加熱


おいしさの発見だけではなく、大量の糖が脳に集中して巨大化(知能の発達)。

 

現代でも糖質は大事(減らすのは危険)。米シモンズ大で13万人を20年調査。糖質が少ない人の死亡率が1.3倍。

長年の糖質制限が深刻なトラブルとなる。

人類は進化の過程で、微生物が行う糖化を体内に取り込んだ。その痕跡がミトコンドリア。

糖質を摂らなくなったらどうなる?
たん白質、脂肪からエネルギーを調達→動脈硬化、心臓病リスク。
動物性たん白質の摂り過ぎも弊害あり。

 

一万年前に始まった農耕により人類は糖質たっぷりの食材(穀物)を得る。
米には必須アミノ酸、食物繊維も含み、長期貯蔵も可能な優れた食材。
日本人の米食の歴史は三千年。この間に進化。
クラッカーを食べて甘みを感じるのが、日本人は早い(外人の二倍)
アミラーゼ遺伝子が関与(唾液に含まれる)
アミラーゼ遺伝子が多いと太りにくい。すい臓からのインスリン抑制。
食が変わるだけで遺伝子変化が起こる。
日本人の長寿の要因。

 

ラオスでご飯をモリモリ食べる民族がいる(ナムヨン村)
家族四人で一日3kgの米を食べる。腸内細菌の中のプリボテラ菌が2割以上存在。

この菌は糖質を好み、短鎖脂肪酸に変える(健康効果)。脂肪燃焼にも寄与。
日本人にも7.5%居る。

 

最適な糖質の摂取量は全エネルギーの半分(毎食茶碗一杯程度)。
これまでの人類は飢餓との戦い→今は飽食の時代(難しい)。


感想
久しぶりの大型Nスペ特集。

最近活動不振のTOKIOのためには有り難い企画。
過度の糖質制限は健康に悪いという事は知っていたが、こうやってものの理屈から知ると、中途半端なダイエットの危険性が良くわかる。
今回のキーワードは「アミラーゼ遺伝子」と「プリボテラ菌」

 

 

鍵泥棒のメソッド 2012年

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監督・脚本 内田けんじ

 

キャスト
桜井武史                     :堺雅人
コンドウ / 山崎信一郎   :香川照之
水嶋香苗                     :広末涼子
工藤純一                     :荒川良々
井上綾子                     :森口瑶子
水嶋徳治             :小野武彦

 

 

予告編


感想
TV放映の録画を観たもの。
何の予備知識もないまま観始めたので、いきなりの殺人現場にびっくり。かなり手のこんだ設定で、さすがに少し予備知識があった方が良かったか。

終盤になって、ようやく桜井が自殺しようとした理由が見えて来るが、それにしてもヘタレやなぁ。

記憶をなくした山崎が、クラシック曲を聞くことで全てを思い出すくだりは秀逸。実際こういう事があるらしい。


広末涼子は、こういった空気読めない生真面目タイプをやらせるとうまい。
芸達者が集まって見せるエンタメとして、お正月映画にピッタリだと思うが、公開は9月だった様だ。

 


あらすじ
出版社。結婚宣言をする編集長の水嶋香苗。

出会いから結婚までの計画(二ケ月)。
夜、人をナイフで殺して車のトランクに入れた男。

返り血を洗うために銭湯へ向かう。
アパートで泣いている桜井武史。自殺に失敗。金は千円と小銭だけ。
銭湯の券があったので、最後に身ぎれいにしようと銭湯へ。ポストボックスの納税督促状をポケットにねじ込む。

脱衣所で隣り同士になる二人。

人殺し男が石鹸を踏んで転倒した。そのまま気絶。

 

その時彼が落としたロッカーの鍵を出来心で手にした桜井が、その男の服と荷物を奪って逃げる。

車の鍵があり、車も失敬。人殺しの男は山崎信一郎。

 

財布の大金で借金を返して回る桜井。

元カノにも会い返金。結婚すると言って引越し最中の彼女が、思い出の写真を渡す。

泣きながらその写真を順に見るが、投げ捨てて車で走り去る桜井。

 

病院へ見舞いに行き、持ち物を返そうとする桜井だが、相手は記憶を失っており、持っていた納税督促状で自分の事を桜井だと思い込んでいる。そのまま荷物を持ち帰る桜井。

 

山崎の自宅で大金を見つけ、贅沢な生活を始める桜井だが、山崎のケータイに電話。「コンドウか?」との問い。山崎に殺してもらった社長の、金のありかが判らない言う。電話の主はヤクザの工藤。
その後工藤と対面する桜井だが、顔を知らなかった工藤は、桜井をコンドウと信じ込む。

殺した社長の愛人宅を聞き出向く桜井だが、愛人の綾子は団地住まいの質素な生活。金を受け取っている様子はない。

工藤に顔もバレて逃げられなくなった桜井。

 

一方進展ないまま退院した山崎は、自分が行く住所をどう行ったらいいかを病院の前で会った香苗に訊ね、ボロアパートまで送ってもらう。

 

桜井が役者志望なのを知った山崎は、日雇いの仕事で何とか生活を維持しながら役者の勉強を始める。
ヤクザの演技が絶賛され、本格的に取り組む山崎。

 

一方綾子に一目惚れした桜井は、彼女を助けるため別の部屋を借りて逃がそうと画策。

香苗は、死期の迫った父のために結婚を急いでいた。境遇に嘆くことなく役者の勉強をする山崎に惹かれて結婚を申し込む香苗。
だが父は病状の急変で死亡。

その葬儀に参列した山崎は、父が好きだったというクラシック(ベートーベン弦楽四重奏曲)を聞いて全ての記憶を取り戻す。

 

綾子を逃がす計画がばれ、工藤に追われて逃げる桜井が自宅に戻ると、山崎が待ち構えていた。
追って来る工藤。事情を察した山崎がベランダから隣室に逃げる。

このフロア全体を借り切っていた。カラの部屋を見て、帰って行く工藤。
実は山崎は、業界では「コンドウ」と呼ばれている殺し屋だが、実は「便利屋」。殺したと見せかけて逃がす。

殺したい方、逃げたい方の両方から金がもらえる。
今回もナイフで刺したと見せかけ、社長を沖縄へ逃した。

 

「コンドウ」の部下だと言って、工藤に寝返る山崎。「コンドウ」の桜井を刺し殺す芝居の最中に香苗が入り込んで大混乱。

全ての事情を知った香苗。
綾子の団地で、隠れていた綾子を見つける桜井。

部屋には盗聴器が仕掛けてあった。

綾子の悲鳴。工藤が急いで団地に来た時、綾子は腹を刺されて絶命しており、息子も別室で死んでいた。

それを見て信じたかに見えた工藤だが「本物の血の匂いがしない」

息子に化けていた早苗も見つかる。

 

絶体絶命のところで香苗が部屋にある品々を見て、アンティークとして相当価値のあるものだと指摘。億単位の金になると聞いて色めき立つ工藤。綾子は金を、この方法で保管していたのだ。
金の回収さえ出来れば、と解放された桜井たち。

 

工藤の指示で桜井と綾子の始末を命令された山崎は、別れた後で警察に電話する。
荷物を持ち出すところを逮捕される工藤と子分たち。

 

香苗を降ろして別れた山崎は、今後の始末について桜井に話した後、なんで自殺なんかしようとしたと聞く。

それに「金や仕事では死なない」と答える桜井。
女で死のうとするヤツがいる、と笑う山崎に「一緒になるつもりだった・・・」
別れ際に、山崎が俺の人生をもらうと言っていた事を問い返す桜井。
あの女の人のためだったんじゃないか、あんたも同じとの言葉に「じゃあな」

渋滞にはまってイラついている時に、床に落ちている写真を見つける山崎。桜井が捨て忘れた元カノとの写真。

 

帰宅して車を止める香苗。山崎の残したノートを見る。几帳面に問題点や解決方法が書き込まれている。
そこに「水嶋香苗」の文字。胸がキュンとなる香苗。


その時衝突音。山崎の車が電柱にぶつかっていた。
お互いに車から降り、抱き合う二人。

送られる途中の綾子がシートを蹴る。

 

NHKスペシャル「食の起源」第2集「塩」12月15日放送

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第1集「ご飯」

第3集「脂」  来年1月
第4集「酒」  来年2月
第5集「美食」来年3月

 

第2集「塩」   Nスペ5分
~やみつき?塩の魔力!人の進化と驚きの秘密~


感想
自分が腎臓系の持病を持っている事から、この項には強い興味を持った。改めて腎臓の能力を知り、その重要性を痛感した。
「スイカに塩」の科学的根拠については思わず「ガッテン!


内容
ナビゲーター(TOKIO)
:城島茂 国分太一 松岡昌宏 長瀬智也
ゲスト:常盤貴子

メンバー、ゲストが焼き鳥を食べる→物足りない。

塩をかけるとおいしい。
厚労省の塩分目標(1日)男7.5g未満 女6.5g未満。WHOでは5g未満。


人はどのぐらいの塩分量で生きて行けるのか?
ケニア マサイ族。一日の栄養をほぼミルクで得ている(2リットル)。

 

肉はたまに食べる程度。
塩分はミルクに含まれるものだけ(2g)。

動物が食べる土(エンボレイ)に塩分を含む。

塩分の摂りすぎは高血圧、動脈硬化、脳卒中等のリスクを高める。
塩分の、脳に対する影響
高濃度塩分に慣らしたマウスの塩分を急に止めさせると、麻薬を欲しがる時の物質が増える(塩中毒)

過去に起きた2つの事件
4億年前
祖先は海水の中で生きていた。潤沢な塩分の中でナトリウムを取り込んで生きて来た。受精、脳細胞の活動等、ナトリウムの関与が高い。
新天地を目指し陸上に上がった生物(2.5億年前)
陸上では塩分が不足する。
①舌のセンサー(味蕾)が敏感になって摂取に貢献。
②腎臓。尿から出るナトリウムを回収(99%以上)し、体内に200gの塩分を保つ。

 

1日で失われる塩分1.5g

塩分を大量に摂る様になった時期→800万年前
農耕を始めた事で穀物、野菜の摂取が増えた(高カリウム)。

 

カリウムの摂取増えたため、その排出にナトリウムが必要になった。

ヒトの体は塩分保持よりカリウム排出を優先する。
各地で製塩技術が進歩。

 

舌のセンサーの能力
甘み、旨み等に塩分が加わると、よりその感受性が高まる。

スイカに塩を振るとより甘く感じる。
脳の報酬系に関与する→脳は塩のとりこになって行く。宿命。

おいしい減塩の極意
提供された定食(塩分1.5g)普通においしい。表面のみに塩分。醤油もスプレーで表面だけに塗布すれば減塩効果大。

 

新たな課題
腎臓は40代を越えると機能が落ちて来る(回復しない)
健康で長生きするためには減塩が重要。病気になる前から始める。

 

 

 

時代屋の女房 1983年

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監督  森崎東
脚本 荒井晴彦
原作 村松友視

 

キャスト

安さん              :渡瀬恒彦
真弓、美郷          :夏目雅子
若者               :沖田浩之
サンライズ・マスター    :津川雅彦
サンライズ・ユキちゃん   :中山貴美子
サンライズ・渡辺クン    :趙方豪
菊池松江            :朝丘雪路
鈴木健一            :平田満
トン吉・おかみ         :藤田弓子
トン吉・おやじ          :藤木悠
クリーニング店・今井さん :大坂志郎
クリーニング店・奥さん    :初井言榮
平野旅館前主人       :坂野比呂志
平野旅館の客         :名古屋章

 


感想
過去数度観ている。

夏目雅子のために作られた、と言っていい映画。
「時代屋」という骨董屋に、ふらりと訪れた女性を巡る物語。

 

オマケの話が多すぎる、との批判もあるが、繰り返し観ているうちに、それぞれのエピソード全てが愛おしくなってくる。
例えば安さんの父の後妻、松江。ただの継母ではない。

安さんが、父の事を母親に対してひどい人だったとは言ったが、それほど母から愛情を受けたわけではなく、彼の幼い記憶にあったのは、当時お手伝いだった松江。息子の世話を松江に任せきりだった母親。熱を出した安さんを抱きしめる松江。
そらー、あの豊満な胸でギューっとされたら刷り込まれるわな。
会話の中の微妙なニュアンスで、この二人の肉体関係を想像させる。安さんが下半身にちょっと倫理観がないのは松江のせいか?・・・・

マスターの津川雅彦もイイ味を出している。

離婚した妻子に送金しながら、店の女の子とイイ仲になるも、借金で首が回らなくなる。それでも安さんの事を心配して盛岡まで付き合う。
小樽へ電車で行く時の別れにはジンと来た。

 

真弓については、美郷は絶対真弓が変装しているのだと思ったが、マスターが公園で真弓の逆立ちを見た時、胸の下にホクロがあるのを見ていた。鈴木健一の話では美郷のそこにホクロはなく、二人は別人。
まあ、基本大人のファンタジーなのだからいいんだけど。

真弓と関係のあった青年が、彼女の事を「団地に帰るんじゃないですか」と言った事で、安さんが眺めていた団地の明かりにリアリティが湧く。彼女はそこから来たのだろうか。
多少の疑問を残したまま帰って来た真弓と、安さんはどう付き合っていくのだろう・・・
繰り返しの視聴に耐える作品。

 


あらすじ
東京で骨董店の「時代屋」を営む「安さん」。
ある日猫を抱いて店を訪れる若い女。

品物でなく、時代を売るから時代屋・・・・
猫はその辺で拾ったという。しわがれた鳴き声だから「アブサン」。
店にある涙壺の話。戦地にいった夫を思った妻が溜めるもの。


猫と一緒に店に棲み付いた女は真弓といった。

寝た後に安さんが詳しい事を聞こうとすると「私のことは今わかったでしょ、踏み込まないのが都会のルール」。

 

それから半年。
「ちょっと出てきます、アブサンのエサ忘れないでね」とのメッセージを残し、真弓が居なくなる。
居酒屋「トン吉」での会話。毎晩おやじにプロレス技をかけるおかみ(当時のリングネームはグレート小松)。

喫茶「サンライズ」のマスター。そしてクリーニング店の今井さん。
安さんの仕事に「死にかけたものを生き返らせる、やさしいのか残酷なのか分からない仕事」との言葉。

 

それから四日後に真弓は戻って来た。何も訊かない安さん。

その後も時々起こる不在。

三回目の不在から帰った時、「アブサン、どう思う?」と安さん。
銭湯からの帰り、真弓が言う言葉

「涙って、耳の穴から心に戻る気がする」

 

今井クリーニングの奥さんが旧い革のトランクを持って来る。亭主がずっと持っていたという。引き取った安さんだが、中に切符が入っており、日付が二月二十六日。

もし2.26事件と同じなら値打ちもの、と骨董屋魂。
切符を返しに今井さんを訪ねる安さんに、微妙なリアクションの今井さん。
その後トランクを取り返しに来る今井さん。

言い値で買い取るとの言葉に「買った時の三千円でいいよ」。

 

そんなある日、また真弓の不在。

今度は「安さん、あまり飲まないでね。さよなら」とのメッセージ。
居なくなる少し前に、真弓につきまとう青年がいた。

マスターが訪ねて来る。借金で身動きが取れない。
時代屋を始めたいきさつを聞くマスター。

開いて八年。古い道具が好きで始めた。
ポップな古道具屋は真弓ちゃんのおかげや、と言うマスターに「今度は帰らない気がする」

 

最近亭主が張り切ってる、とクリーニング屋の奥さん。

あのトランクは若い頃の思い出の品。十五、六の時人妻と駆け落ちし、自分だけが駅で捕まった。彼女とはそれきり。

 

安さんの父の後妻、松江が訪れる。

父親の見舞いに来て欲しいという。ここ二、三日がヤマ。
母親に対してひどい男だった、と拒む安さん。

安さんが常連と「トン吉」で飲んでいるところへ入って来たパーマの女。安さんの話を横で聞いて「女が蒸発する時は一人じゃない、必ず男がいる」
その後みんなでベロベロになるまで飲み、歌う。女は美郷といった。
美郷を店まで連れて来る安さん。

東京での最後の夜、と言って下着姿になる美郷を抱く安さん。
翌朝、汚れたシーツを洗うと言って聞かない美郷とコインランドリーに行く安さん。駅のホームで、泣きながら走って見送って欲しいという。

マスターのところへ真弓から伝言が入る。

翌日、駅で美郷の願いを叶える安さん。

別れる前に、一週間後に郷里の盛岡で結婚すると言った美郷。


店に戻るとマスターが来ていた。喫茶店を閉めるという。

夜逃げならぬ朝逃げ。

 

そして真弓からの伝言「のぞきからくりを売ってくれる」を伝える。
昨年の夏、盛岡の平野旅館にあったのぞきからくり。

 

その時の主人は売らないと言っていた。
車で盛岡に行こうとする安さんに、友人のツテがあり小樽に行くマスターも途中まで同行。

 

盛岡の平野旅館で酒を飲む安さんとマスター。宿泊の客も合流。

のぞきからくりはそこにあった。先日ご主人が亡くなり、真弓に言われて奥さんが売る気になったらしい。
もう一つ、安さんが欲しがっていた囲炉裏の南部鉄瓶は、売られて小さいものになっていた。
客が奥さんに真弓の事を聞くと、一昨日男と二人連れで来たという。

相手は安さんの様な男。ショックを受ける安さん。

 

部屋の隅の五右衛門風呂に安さんが入っているところへ、オートバイに乗って来た男、鈴木健一が迫る。
実は美郷の婚約者。盛岡に帰ったが、好きな人が出来たと言って東京へ行ってしまった。
風呂から立ってイチモツを出したまま謝る安さんに「座れぇ!そったらもん見たくねぇ!」と健一。
その後和解して皆で飲み明かす。

 

翌日マスターは電車で小樽に向けて出発した。
宿に戻ると、客が昨夜の婆さんの話は、昨年の安さんたちの事であり、今回の真弓は一人だったとのこと。
のぞきからくりの屋台をトラックに積み、東京に戻る安さん。

帰りの道で、安さんに近づく軽トラック。
ラーメン屋で事情を聞く安さん。その若者は真弓から時代屋の事を聞いていて、車のロゴを見て近づいた。

 

真弓に会ったのは、母親の葬儀の直後。

あんなに悲しい目を見たのは初めて、と真弓は若者に体を差し出す。
真弓を主婦売春と勘違いして持ち金の三千円を渡した若者。
若者はそれからも真弓につきまとい、死んでやると言って彼女を引き回した。
ある時線路で、死ぬパフォーマンスをした時、逃げずにそこで動かない真弓。焦った若者。電車は真弓の直前で何とか止まった。
その別れ際、真弓は「旅に出てから家へ戻る」と言ったという。

 

安さんが家に帰ると、そこに喪服姿の松江が待っていた。

新聞を見せる。ガラス工芸家だった父の訃報記事。
あの涙壺はニセモノだという。松江が作った。

いつかあんたが使う日が来たらいい、女は判れる時、男が自分のために傷付いたらバンザイ。
少しは傷付いたみたいね、と張り紙を指して帰る松江。

そこには美郷が「やっぱり盛岡に帰ります」と書置きしていた。

アブサンもいない。

 

翌日、アブサンが帰って来た。

その後、窓越しに日傘をさした真弓が歩道橋を歩いて来た。
その差し上げた手には、安さんが欲しがっていた南部鉄瓶が。

 

 

歪んだ波紋(TVドラマ)5~8話(全8話)NHKBS 10/30~

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前半(1~4話)はコチラ

 

原作 塩田武士
脚本 向井康介

 

キャスト
沢村政彦(さわむら まさひこ)         - 松田龍平
三反園邦雄(みたぞの くにお)        - 松山ケンイチ
相賀正和(あいが まさかず)           - 長塚京三
森本敦子(もりもと あつこ)              - 小芝風花
野村美沙(のむら みさ)                  - 山口紗弥加
桐野弘(きりの ひろし)                    - 筒井道隆
沢村早百合(さわむら さゆり)           - 美村里江
沢村一平(さわむら いっぺい)          - 角野卓造
垣内智成(かきうち ともなり)            - イッセー尾形
桐野月子                      - 真野響子
赤西峰子(あかにしみねこ)        - キムラ緑子
安藤勲                        - でんでん
安藤民子                      - 萩尾みどり
野村新一                      - 柏原収史
正田則夫                       - 佐木井けん太
吾妻祐樹                      - 勝矢
安田隆                        - 橋爪淳
アンデソン                      - 大八木淳史

 

感想
後半の4話分。
前半では桐野が企てた捏造の背景が語られ、次いで垣内が追っていた赤西峰子の死、垣内自身の死に関わる疑惑が浮かび上がる。
それと並走して、夫を交通事故で亡くした妻敦子の暮らしがトレースされる。

後半での目玉はアンデソン。韓国籍の、日本の経済を裏で牛耳るフィクサー。7年前に国税の追及を振り切って逃げていた相手に対するインタビューとして、桐野が罠を仕掛けた。
最初信じない、と相手にしていなかった三反園が、月草で母親と話す桐野の姿を見て信じ込んだ。
そのウィークポイントである母親の事故により足止めされ、桐野に付け込まれた。この辺りは人間ドラマとして見応えがあった。

 

原作者の、数編の短編を統合して作っているため、赤西峰子の焼死事件が途中で宙に浮いてしまった。垣内の死にアンデソンの関与まで匂わせておいて、そのまま放置ではいかにも中途半端。

ただ、様々な形での誤報を取り上げ、それを生み出す心の弱さについて丁寧に描かれており、毎週が楽しみだった。

キャストもBSの割りには(失礼)しっかりしたメンバーを揃えており、今年観たドラマの中ではトップと言える。

 

松田龍平は、父親の松田優作が亡くなった時、メソメソ泣いていて「しっかりせえよ」と思っていたが、父とのキャラの違いをキチンと認識し、自分なりの立ち位置を確立して、最近ではかなり好きな役者。
小芝風花もベテランの中にあって、良く頑張っていた。最終話で沢村と話し、最後に笑った笑顔はサイコー!

 


あらすじ

第五話「逮捕」12/1放送
「メイクニュースPRESS」として地上に出て来たメイクニュース。
悪質なミスリード。過激な言葉でアクセス数を稼いでいる。

金儲けに走り出したのは活動資金稼ぎか?
三反園が、これはファクトジャーナルが追う、と沢村に言った。

「お前にしか出来ないことをやれ」

 

産婦人科の診察を受ける敦子。

女の子です、と言われ淋しく笑う。支払いもギリギリ。
敦子のアパートに両親が訪れた。保険屋からの電話で初めて夫の死を知った。年も離れていて結婚に反対されていた。
大阪に戻ろう、と言う母親に「帰らない、自分で何とかする」

 

あの三叉路でまた事故があった、と妻の早百合。

息子の通学路でもあり心配。
その記事担当の沢村。昔の記事スクラップを見る。

 

マリーゴールドの会。

クリーニング店「安藤舎」を訪れる沢村。
安藤夫妻は、交通事故で以前息子を亡くしていた。沢村と同年齢。

事故を通じて長い交流がある沢村。
敦子の事を話す沢村。誤報で苦しめてしまった・・・

 

メイクニュースを追いたいという沢村に先輩社員の吾妻が反対。

紙の新聞がやる事じゃない。それにファクトも絡まれている・・・
三反園のオフィス。あのニュースサイトの運営には10人ぐらいは必要。報奨金やりましょう、と言う部下に「百万円」と三反園。

 

ハローワークで職を探す敦子に声を掛ける安藤勲。だが警戒して受け付けない敦子。 「俺もあんたと同じなんだよ」
家まで連れて来て事情を話す勲。交通事故で息子が死んだ。

それ以来「マリーゴールドの会」を立ち上げて活動。
なぜ私の事を知ったのですか、との問いに、被害者支援センターからの連絡、と話を合わせる妻の民子。
カミさんも足が悪いから、ここで働いてくれると助かる・・・

 

相賀の家を訪れる沢村。表に出て来たメイクニュースの相談。

きっと何か始める、その前に特定したい。

「桐野と思ってる?」の問いに頷く沢村。
ネットの事は判らないが、文体なんかどう?と言う相賀。

記者が書く文には各人のルールがある。隠しきれないなにか。
調べ始める沢村。

美沙が残してくれた桐野の記事スクラップが役に立った。

 

メイクニュースが、三反園の父のスキャンダル(不倫)を暴露。

社でも微妙な目で見られる三反園。
桐野の文体のクセについて、メイクニュース記事との照合結果を話す沢村。だが決め手にはならない、と三反園。
報奨金につられて情報提供者が現れた。依頼本人とのコンタクトはなくメールしかないが、ギャラの振込先が判っている。
「オザキユウスケ」口座番号から住所を割り出す。

部下が「二日ください」

 

仕事にも馴染んで来た敦子に勲が、文集の事を説明する。

事故被害者を忘れないために年一回出している。
人は二度死ぬ。

一度目は肉体が滅びることで、二度目は存在が忘れられることで。
息子が亡くなった時は23歳。自転車ツーリング中に轢かれた。

相手は飲酒運転。 みんなと辛さを分かち合うと楽になる・・・・

 

メイクニュース運営者の居所が判った、と三反園からの電話。

一緒に行く沢村。現場に乗り込むと三人ほどの若者。

沢村が桐野の写真を見せるが知らないと言った。

桐野の母親の居酒屋に行く沢村。あれから来ていないという。 
新聞社に勤めたのが間違い。将来父を継いで医者になるのが夢だった。父の死を受け大学受験後、記者になると言い出した。
何考えているか判らない、と母。

 

敦子の夫の轢逃げ犯が逮捕される。飲酒で過去に人身事故を起こしていた。沢村が最近書いた、魔の三叉路の記事が元で読者からタレコミがあった。いい記事ありがとう、と警察の井岡。
編集会議に乗り込み、この逮捕記事を社会面トップでお願いします、と訴える沢村。誤報の償い。
最初さんざんに言われるが、自分の良心に従いたい、と沢村。
それが地方紙の道、と認められた。

 

安藤の店に敦子の両親が押しかけて来て、連れ帰ろうとする。
その親に説教して追い返す勲。普通ならこんなとこ居たくない筈。

だけど頑張っている。父親が理解して、母親と共に去って行った。
敦子が言う。産むかどうか悩んだ。結婚して、どこに住んでも馴染めなかったが、ここに辿り着いた。ぴったりの場所。

あの人が生きた場所を子供に教えたい。

相賀を呼び出す三反園。

 

 

第六話「たからもの」12/8放送
相賀が、鶴見区であった火事について説明する。

あれは放火と断定された。赤西峰子は事故でなく殺された。
峰子の借金の裏に詐欺グループがいる。峰子は彼らに利用される形で垣内から金をだまし取っていた疑いがある。
今は詐欺グループを割り出したところだ、と言い、興味あるか?と尋ねる相賀。
本来こういう事がやりたかった、と三反園は返し、ファクトジャーナルとして働いてもらう事を決める。

 

美沙を訪れる沢村。今はセミナー講師として韓国語を教えているという。子供の頃韓国で暮らし、大学でも専攻していた。
ビルにテナントで入っている「横浜ハングルセミナー」で授業の準備をする美沙。廊下で騒ぎがあり、男が取り押されられていた。

女子トイレの盗撮。男の顔をはっきりと見る美沙。
家で、大日記者である夫の新一にその話をする美沙。

 

保育園に娘の杏を迎えに来た美沙。

杏が好きな男の子がリクだと知る。すれ違いで園に来た男の子の父親が昨日の盗撮男だったのに戦慄する美沙。
その事を新一に話すが、話題になっていないと言う。
沢村に電話をして相談する美沙。妻の早百合はおかんむり。

 

大日キャップの曾我部に聞きに行く沢村「昔、貸しがあったろ?」

美沙にモニター原稿を見せる沢村。やはり逮捕されていた。

 

正田昌司。別記事に差し替えられた。他紙も同じ。

微罪なので本人は釈放されたらしい。
あいつスマホ壊そうとした。常習犯だと怒る美沙。
そこに保育園からの電話。杏に熱があるという。

 

病院で沢村からのメール。

犯人は、人権派で有名な正田則夫弁護士の次男。
本件嗅ぎまわってる事を弁護士サイドが知った様だから、早く動いた方がいい、と沢村。
美沙母娘を家に連れて来る沢村。

驚く早百合だが事情を知って杏を預かる。

 

正田弁護士事務所に乗り込む美沙。

アポなしで断られるが、息子さんの件と言って強引に面会。
父親の正田則夫の話。
今から三ヶ月前、県警OBと地元記者クラブのメンバーとの親睦会があり、泥酔したOB二人が乗って来た車を、酒の量が少なかった記者が代わりに運転し、検問に捕まった。

OBと判明して穏便に済まそうとしたところ、ゲリラ的に動画を撮る連中に現場を撮られた。

正田はそのグループに貸しがあったため、事態を丸く収めた。
その貸しのおかげで息子の罪をなかった事に出来た。
動画を見せるよう要求する美沙。母親として娘を守るため。
だがその動画の中で、夫の新一が撮影を止めるよう威嚇する姿を見る。外に出て膝をつく美沙。

 

家で夫に全てを話す美沙。すまん、の後「ありがとう」と言う新一。

翌日風邪も治って登園する杏と美沙。だがリク君がいない。

お父さんの仕事の都合で転園した、と話す保育士。
大日新聞による記者会見が放送される。

 

新一は停職一ケ月。
それを見ていて、自分が轢逃げの件で誤報を書いた事を早百合に話す沢村。手を取ってそれを慰める早百合。

 

 

第七話「誕生」12/15放送  
三反園と話す桐野。メイクニュースはあなたですか、との問いに

「事実は存在しない、あるのは解釈だけ」

とニーチェの言葉ではぐらかす桐野。
新神奈川を辞めてからは「水嶋アキラ」名でフリーライターをやっているという。
人手は足りていると言う三反園に、私が雇いたい、と桐野。
7年前の「週刊新都」のアンデソン(安大成)独占インタビュー記事。


会ってみたくないか、アポ入れている、と言う桐野。

あなたのお父さん、アンデソンにハメられて大学を追われた・・・

 

敦子に声を掛ける早百合。誤報記事を書いた者の妻だと聞いて拒絶するが、その直後に腹痛で倒れる敦子。

 

編集次長の安田に呼ばれる沢村と先輩記者の吾妻。7年前のアンデソン最後のインタビュー後、最近独占取材を試みたという、ちば房総TVの番組「よろず屋ジャーナル」を見せられる二人。
7年前に課税逃れで国税局の調査が入った時、ソウルに逃げたアンデソン。彼を韓国まで追って取材寸前まで漕ぎ着けた。
それをあたって欲しいと言う安田。持ち込んだのは桐野。

もちろん断ったが、このネタを捨てたくない。

桐野は次にファクトジャーナルに行くと言っていた。

 

吾妻と一緒に「ちば房総TV」に出向いた沢村。待つ間に、離婚して別れた息子の事を話す吾妻。養育費は頑張る・・・
相手は「よろず屋ジャーナル」の構成作家と仲が悪い作家だと言う吾妻。
番組録画を観て違和感ある、と言う構成作家の川口。

見つける寸前で逃げられた。TV初公開。
川口が音声データにフィルターをかけると、日本語で注文を聞く店舗スタッフの声が浮かび上がる。

 

日本の韓国料理店で撮ったもの。やらせ取材だった。

 

美沙を呼び出す三反園。

アンデソンの事で桐野を信じていいのか聞く。なぜ持って来たかの問いに父の件を話す三反園。父の大学でバイオ系の新学部を設立する時、その過程で組んだ不動産屋の裏にアンデソンがいて、理事の椅子を欲しがった。それを断ったために大学院生との噂を立てられ、大学を追われた父。桐野はそれを知っていて持ち込んだ。
美沙の韓国経験を活かして、自社の特別調査員を打診する三反園。

 

社の三反園を訪れる相賀。
登記簿から、赤西峰子が借金をしていた会社は、社名を変えて今でも生きている事が判った。付け込まれて口封じのために殺された。
その不動産会社の相談役だったのがアンデソン。垣内は、もしかしたらその線に気付いたために殺されたのかも知れない。
アンデソンは今でも日本の経済に影響を与えている。
桐野と会うのも悪くないかも知れない、と相賀。

 

社によろず屋ジャーナルの構成作家、香山が苦情を言いに来る。

だが沢村と吾妻がやらせの話で逆襲。

記事にすると言った時に、そちらにも都合が悪い、と香山。このネタを持って来たのは次長の安田だという。
安田のところへ行って詰め寄る沢村だが、ネタなど流していない、と否定する安田。
スマホを操作しながら「先越された」と記事を見せる安田。週刊オルタでよろず屋ジャーナルの捏造をスクープ。
だが吾妻に疑いを向ける沢村。捏造の話はアンデソンを追っていて偶然見つけたネタ。我々しか知らない。
居酒屋で、別れた妻子の話をする吾妻。

 

居酒屋「月草」に出向く三反園。
ソウルに行くんです。アンデソンと約束を取り付けている、と言う桐野を信じられない。
そんな時、今日は僕の誕生日です、と言う桐野。母親にとっては特別な日。難産だった、と母親。桐野の乾杯を受ける三反園。

 

出社早々会議室に呼び出される沢村。安田の前で吾妻が辞表を出していた。ネタを他社にリークした、と安田。
追い駆ける沢村に、お前は俺のようになるな、いい記者の前にいい父親になれ、と言い残して去る吾妻。

 

敦子が産気づいて病院に運ばれた。付き添う早百合の元に母親が訪れる。私の顔を見たら嫌がる、と動けない母親に、一人じゃないと言ってあげられるのはあなただけ、と早百合。
分娩室に入る母親。敦子の手を握り「大丈夫や、お母ちゃんついてる」
無事に女の子が産まれて目を潤ませる沢村。

夜、社に一人残る三反園の元に電話。

母親がバイクと接触して救急搬送されたという。

 

 

第八話「波紋の行方」(最終話) 12/22放送
三反園の母親、菊乃が救急病院に運ばれた。命の危機は脱したが、すぐ駆け付けられる様にと三反園に依頼する医師。

 

アンデソンへの面会をセットした、と話す桐野。だが三反園は動けない。せめてカメラマンを同行させたいとの話に、以前の記事でいい写真を撮っていた人がいた、と桐野。
ファクトジャーナル立ち上げの時から一緒だった徳田を同行させ、桐野がソウルに向かった。

 

子供を産んだ敦子に付き添う早百合は、いつか話せる時が来たら夫に会ってあげて、と言った。

 

次長の安田に呼ばれる沢村。

大きな世界を見たいなら口利きするという話を一蹴する。

 

相賀が三反園を訪れる。追跡に繋がる男を見つけた。
だがファクトジャーナルのアクセス数が稼げておらず、気が入らない三反園。アンデソンの独占インタビューが出せれば有力なテコ入れになる、との言葉に不安を抱く相賀。

相賀の息子が自宅に押しかけて来る。何故定期を解約した?
調査報道には金がかかる、と言う相賀に反発する息子。死んだ垣内が追っていた事件のきっかけを与えたのは俺、責任がある・・・

 

桐野からの原稿送付。インタビューに成功。写真も送られ、ファクトジャーナルとしてスクープ記事を発信。大反響で社内は沸く。


だが美沙が、何かおかしい、と訪れる。以前の取材相手の吉川から、写真が7年前の週刊新都のものと同じという指摘。
ネット上では過去記事のコピペだと大炎上。
次いで「バーチャルエステート」というメディア攪乱集団のメンバーリストに桐野、徳田、安田が入っている事が判明。


アンデソンからの声明。あの記事は自分ではない。
訂正記事の準備を指示する三反園は、桐野弘を止めてくれ、と沢村に声を絞り出す。

 

月草を訪れる沢村。そこにちょうど電話がかかって来る。
桐野に会う沢村。安田を引き込み、メイクニュース、アンデソンの捏造記事、全てを認めた桐野。
沢村の追及に、もっと先を見ろ、と言う。
目的は第四権力の消滅。次の権力はネット社会。

個人による情報発信と監視。それで初めて情報がフリーになる。
一度落ちたら二度と戻れない、こんな社会は壊さなきゃいけない。
更に責める沢村だが、これから新しい時代が始まる、と言って去って行く桐野。

 

相賀と話す沢村。桐野について、俺たちの責任だと言う相賀。15年前の桐野がやった捏造で、原理原則と向かい合うべきだったが、しなかった。それで桐野の中に怪物が生まれた。
放火の現場にまた行くと言う相賀は「浅瀬に留まるなよ」と沢村に言った。

 

沢村と会う敦子は、気持ちは十分伝わったと言った。この事があって「新神奈川日報」を読むようになった。新鮮に感じた。

当たり前の事がキチンと書かれている。読むのも人、作るのも人。
これからもこの町で暮らして行く。

仕事を沢村さんが見つけてくれたから・・・

 

三反園が反撃の記事を用意した。バーチャルエステートへの攻撃。

 

沢村が打ち込む記事。
情報がキチンとした波紋を描いていた時代は終わった。

インターネットが土台となった世界では市民の振る舞いが社会に大きな影響を与える。
そこでは嘘が真実となり、時に誤報が生まれる。
そんな誤報にも負けない人がいる。寛容な心を持ち、生活をより良いものにしようとする人たち。
ジャーナリズムは本来その様な市民のためにある。
誤報は人間の弱さが生み出すもの。

だがそれで伝える事から逃げてはいけない。
真実は、強く恐れない人の心の中にある。

 

クリスマスの約束  2019年  12/25放送

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この記事が今年の〆かな。

二年ぶりの「クリ約」は横須賀芸術劇場で行われた。
大体パターン化されている中で、今回の目玉は「松崎ナオ」。
独特の世界観を持っており、今後の注目株(43歳だって!ビックリ)

オマケ
ドキュメント72時間」といえば2015年に放送された「秋田・真冬の自販機の前で」をたまたま観てハマった。もう修理パーツもないうどんの自販機を維持し続けている店主と、それを愛する客たちとの交流。

 

過去分
2012  2013  2014  2015  2016  2017

これ、第一回の時のヤツ(面白い)

「クリスマスの約束」山下達郎から小田和正への手紙

 

 


セットリスト

全員で
What a Wonderful World

 

委員会バンド

小田和正、スキマスイッチ、根本要、水野良樹(いきものがかり)


心の旅
 こういう歌は今の方が同化する、と小田。
白い冬
 「ふきのとう」の持ち歌。しっとりとして余韻がある。
○「愛を何度も」
 このバンドで作った歌。

 題名は水野が考えた。別の題名「もう一度手紙を」は却下。

 

KAN
愛は勝つ
 最初は「やらない」と言って、結局歌わせる。
 ただ途中まで歌わせてストップ(脚本がそーなってる)
星屑の帰り道
 なんであの歌一発で終わったのか、フシギなシンガー。

 

松崎ナオ

 

NHKの「ドキュメント72時間」のエンディング曲「川べりの家」で注目していたと言う小田。
彼女の父親がミュージシャン。また「オフコース」の初代事務所社長だったとか。母親がオフコースの大ファンで、音楽が刷り込まれた。

「鹿の一族」というバンドをやっている。

誇れるのはたゞ
 地味な曲、と言って小田の持ち歌を歌わせる。
川べりの家

 

和田唱(トライセラトップスのボーカル)


旧い歌を良く知ってる(小田)

親父が映画好きで、よく連れて行ってくれた、と和田。
お父さん(和田誠)は残念だった。

お父さんの絵、大好きだった。アルバム絵描いてもらいたかった・・・

ムービーメドレー PART3
初め観客に大脱走のテーマを口笛で練習させる。

The way we were  「追憶」
Cheek to Cheek  「トップ・ハット」
Oh,Pretty Woman  「プリティーウーマン」
The Windmills Of Your Mind  「華麗なる賭け」
Ghostbusters   「ゴーストバスターズ」
Let It Go    「アナと雪の女王」
 最後に二人で 「少しも寒くないわ~」
The Great Escape March   「大脱走」
Oevr the Rainbow   「オズの魔法使い」

 

JUJU
今年は15~16周年でコンサートツアーがごった煮状態。

ここに呼んでもらえるか心配していた。
Will You Still Love Me Tomorrow? 
 キャロル・キングの大ヒットアルバム「タペストリー」からの一曲。

 

矢井田瞳、熊木杏里
今日もどこかで

 

清水翔太
この日のこと 
 2009年に清水翔太が初参加した時の思い出話を披露。
 歌い出しの後は全員で


ナレーションは松たか子(お前、出てこいよ!)

 

フレンチ・コネクション 1971年 アメリカ (再レビュー)

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監督 ウィリアム・フリードキン
脚本 アーネスト・タイディマン
原作 ロビン・ムーア

 

キャスト
ジミー・ドイル(ポパイ)     ジーン・ハックマン
バディ・ルッソ              ロイ・シャイダー
アラン・シャルニエ       フェルナンド・レイ 
サルバトーレ・ボカ           トニー・ロビアンコ
アンリ・デブロー              フレデリック・ド・パスカル
ピエール・ニコリ              マルセル・ボズフィ
ウォルト・シモンソン         エディ・イーガン
ビル・クライン                  ソニー・グロッソ
ビル・マルダリッグ           ビル・ヒックマン
アンジー・ボカ                アーリーン・ファーバー
ジョエル・ワインストック  ハロルド・ゲイリー

 

予告編

 

感想
NHKのBSプレミアムで、最近1と2が連続放送された。
記憶していたのはドイルが地下鉄でシャルニエに撒かれるとこ、電車を車で追うとこ、車をバラすとこぐらいか。

港の改造について意見を言うシャルニエは、引退した実業家といったところか。アメリカ行きを前に愛人からコートをプレゼントされている。

 

序盤はほとんど内容が判らず、中盤からようやく輪郭が掴めて来るというのがまたいい。
車についても、バラバラにされる茶のリンカーンが、実は最初から出ていたというのは、二回目を観て判って来る。

 

実話をベースにしているので、地味と言えば地味だが、いかにも本格派のバディもの。ジーン・ハックマンは「ポセイドン・アドベンチャー」の神父よりは、やんちゃなこっちの方がスキ。

あれだけメチャクチャなバラし方したのが、あんなに完璧に治る筈はないが・・・・・
隠し場所のロッカーパネルはすっかり忘れていたが、ここは車の基本構造となる部分。今の車では一度にロボットで作るので、フタを外す様な形態ではない。
このリンカーン・コンチネンタル、トランクの蓋がそのままスペアタイヤの輪郭という独特なスタイリングで、自分としてはアメ車の中ではかなり好き。

 

ドイルがシャルニエを追ってそのまま終わる。
何とも中途半端な終わり方だが、これが続編で生きて来る。

 


あらすじ
マルセイユ。髭の男が茶のリンカーン・コンチネンタル(ナンバー18 LU13)で立ち去るのを見送る刑事。

その後も見張りを続けるが、自宅近くで暗殺者に殺される刑事。
ブルックリン。サンタ姿のドイルは、建物から逃げ出す男を追うルッソと共に走り出す。捕まえてヤクの卸元を聞き出す。二人はニューヨーク市警の薬物対策課。麻薬ルートのコネクションを追っている。

 

非番時にナイトクラブで飲むドイルとルッソ。

 

奥のボックスで札ビラを切る若い男に目をつける。

その周囲には麻薬ディーラー、マフィアの幹部たち。
女を連れて帰る若い男を尾行する二人。

着いたのはイタリア人街のレストラン「サルとアンジーの店」。
新聞に挟んで何かやりとりをしている。男はサルバトーレ・ボカ。

強盗をしたが有罪を免れた。女房はアンジー。
サルを監視するドイルとルッソ。

 

髭の男シャルニエと話す殺し屋のニコリ。金に困っている俳優 アンリ・デブローの利用を相談。アンリが来て仕事を了承。

サルを尾行するうちにメキシコルートの元締めだったジョエル・ワインストックとの接触を知る二人。
ウォード島に行ったサルを見送るドイル(弟に会いに行った?)。

 

バーにガサ入れする二人。皆を足止めしてテーブルの下から麻薬を回収。店に居たアフロの男をトイレに連れ込む。

潜入捜査官。今週あたりヘロイン入荷の噂。
「どこがいい?」の問いに顔を指さすアフロ。

殴るドイル。バレないための細工。

上司に調べさせてくれと頼むドイル。ワインストックを落とす。

相手は大物だと警告する上司。ツッソも援護。
今市場は品薄。盗聴の申請を裁判所に出すことを決める上司。

 

ニューヨーク入りしたアンリに対する取材。

なぜ船で?の問いに「海の上でゆっくりしたくて」
船からクレーンで降ろされる茶のリンカーン。

それを見送るフェルナンドとアンリ。

60日間の盗聴許可令状がおりる。作戦に参加する財務省の二人のうちの一人マルデリックが、かつてドイルのせいで警官が死んだ事を問題にしていた。モメるなと宥める上司。

 

明け方バーから出て帰宅するドイル。

途中で自転車の娘の尻に目が行く。
ドイルのアパートを訪れるルッソ。女を連れ込んでいたドイル。

手錠プレイ。令状が出た事を伝えるルッソ。

マルデリックとクラインの参加に「邪魔だ」

 

廃車センターで車を物色するシャルニエ。

42-399の車を落札した男を確認。

盗聴するドイルたち。水曜10時にサルがフランス人と会う。
尾行するドイルたち。どうせ雑魚だ、と言う後部座席のマルデリックにイラつくドイル。
渋滞でサルの車を見失った。

クラインに電話をして尾行の継続を指示するドイル。
皆が入れ替わってサルを尾行。「ルーズベルト・ホテル」の前で挨拶するシャルニエ、アンリとサル。
サルと別れたシャルニエ、アンリを追うドイル。

 

高級レストランで食事をするシャルニエら。寒い中監視を続けるドイルにルッソがピザとコーヒーを差し入れ。

冷えたコーヒーを下水に捨てるドイル。
食後、店の前で別れた二人。

ドイルはシャルニエを追い、ルッソはアンリ。
「ウエストベリー・ホテル」に入るシャルニエ。6階で降りる。

車のルッソとマルデリックに合流するドイル。髭はただ者じゃない。6階なのに4階で降りた。尾行を感づかれた。
茶々を出すマルデリックに「黙らないと一発食らわすぞ」

 

測定器で麻薬の純度を確認する男。見守るサルとワインストック。フェルナンドから渡されたサンプル。純度89%。50万ドルの価値がある。60キロある。7倍に薄めて末端価格3200万ドル。
取引きをあせるサルに、慎重に行動しろとワインストック。

 

ホテルから外出するシャルニエを尾行するドイル。
店で撒かれるが、何とか傘と帽子の目印で追い続ける。
地下鉄に乗るシャルニエ。続いて車両に入るドイルだがシャルニエが降りる。ドイルも続いた。
そして次の電車を待つ間に張り込みをしているマルデリックに電話。

ホテルから出た事を知らなかった。
動きを見せるシャルニエにあわてて電話を切る。
次の電車が来てまた乗り込むシャルニエ。ドイルも続く。
ドアが閉まる寸前、傘の柄を挟み再びドアを開けさせたシャルニエは一旦外へ出るが。続いてドイルが出た瞬間に戻る。戻り遅れるドイル。
窓を叩くドイルに手で「バイバイ」のシャルニエ。

 

シャルニエにワシントンへ呼び出されるサル。尾行するクライン。
取引きまで数日待ってくれと言うサルに「今週末までだ」

 

アンリと合流するシャルニエ。「手ごわいのがいる」の言葉に「始末する」とアンリ。

ハイウェイで交通事故。監視の関係者が死んだ。

お前は二ケ月を無駄にした、と上司。ドイルの特殊任務が解かれた。
自宅に帰る途中、ビルの屋上から狙撃されるドイル。主婦が巻き添えで撃たれた。
屋上に行くと残されたライフィルと薬莢。

逃げて行くアンリを見つけ後を追うドイル。
高架の電車に乗って逃げたアンリ。
車を止めて、それで電車を追うドイル。壮絶な追跡。


電車では車掌が怪しんでアンリを追う。
追い詰められて車掌を撃ったアンリは、先頭車両の運転室に入り、運転手に次駅で止まるなと命令。
駅に上がるドイルだが、電車は全速で過ぎる。再び追跡。
停まらなかった事で、乗客が運転席に殺到。客を撃ち殺すアンリ。

運転士はショックで気を失い電車は暴走。
停止車両に激突して止まった電車。

追い付いたドイルが見上げるとアンリが出て来た。
逃げようとするアンリを射殺するドイル。

 

サルを尾行するルッソ。

だが地下の貸し駐車場でサルとばったり出会う。

 

係員から車を受け取って出るサル。茶のリンカーン。

合流して追跡するドイルたち。
街外れに車を止めて立ち去るサル。中には女房。「ヤクはあの中だ」
徹夜で張り込み。

怪しい車がリンカーンのそばで止まり、また去って行く。

 

同じ車が三度目に通った時、車から降りる数人がリンカーンに向かう。パトカーで取り囲み検挙。だがチンケなタイヤ泥。

押収したリンカーンに必ずブツがあると言うドイル。
持ち込まれた車体をバラし始める。

シート、フロアマット、ダッシュボードも外すが何も出ない。

ジャッキアップしてオイルパンも開ける・・・
担当者もサジを投げる中、車を受け取りに来たアンリ。

国際問題になるとすごむ。
車の重量を聞くルッソ。ここに来た時は2175kg。仕様書では2121kg。

54キロ重い。マルセイユの積み込み時で既に54キロ重い。
整備担当が「残りはロッカーパネルだけだ」
化粧板を外し、パネルの溶接を電動タガネで外すとヘロインの包みが出て来た。

 

ルッソがアンリの元へ出向いて車が見つかったと報告。

そして案内する。
「傷ひとつない完璧な状態ですよ」

 

アンリを呼び出すシャルニエ。

だがアンリは降りると言って手を引いた。
自らリンカーンを運転してウォード島に向かうシャルニエ。

現場で待ち構える関係者たち。
ロッカーパネルが開かれヤクの袋が出される。純度を確認する男。
契約成立し、50万ドルが支払われる。
金は以前廃車センターで競り落とされた42-399の車のロッカーパネルに入れられた。

取引きが終わり、島から出るシャルニエ。一本道の先にパトカーの集団。ドイルが手をバイバイした。


慌てて引き返すシャルニエ。関係者は一網打尽。
一人だけ別行動で逃げたシャルニエ。サルを射殺するルッソ。

 

廃屋の中に入ってシャルニエを追うドイル。続いてルッソも合流。
だが追い詰めたと思ってドイルが数発撃った相手はマルデリック。

死んでいた。
それには構わず「やつがいる、トドメを刺す」とドイルは廃屋の先へ走る。


ジョエル・ワインストック  証拠不十分で釈放
アンジー・ボカ        微罪で執行猶予
ルー・ボカ           共同謀議と麻薬所持で有罪後に減刑
アンリ・デブロー       共同謀議で有罪 懲役4年
アラン・シャルニエ     逮捕を逃れてフランス在住

ドイルとルッソ両刑事は麻薬局から移動。後に復帰した


注)
冒頭の「 コパカバーナ」のシーンではブレイク前のザ・スリー・ディグリーズが登場し、"Everybody Gets To Go The Moon"(ジム・ウェッブの作品)を歌う。

 


新聞小説 「カード師」 (5) 中村 文則

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朝日 新聞小説 「カード師」(5)  12/3(62)~1/3(91)
作:中村 文則  画:目黒 ケイ

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感想
スキを見せた市井の誘いに乗って寝てしまった「僕」はスマホ、PCと佐藤の髪、爪も奪われる。
自宅と占い部屋を別にしているのは、セキュリティの意図もあった筈なのに、何とお粗末な(笑)

 

その落胆の後、ムダに続く過去話。
養護施設における7歳から11歳までの「僕」。
母親は居るが、事情があって同居は出来ない。

父親ではないスポーツ刈りの男の存在。
施設職員「山倉」に教えられたカードが高じて悪魔の呼び出しにのめり込み、山倉の移動を悪魔の仕業と思い込む事で「ブエル」を脳内に飼ってしまった僕。

しかし「トンビが鷹を産む」と「実存は本質に先立つ」の食い付きが悪い。確かに言いたい事は判るが、なんか違和感がある。

 

ブエルの最初の誘いは女性を損なうこと。

対象は施設の前を通る黒髪の女性と、施設内の18歳の女性。
具体的ではなく「穴に落とす」という抽象的な言葉。
女性に対して「損なう」は性的な凌辱か。

まあ11歳の少年には荷が重いわな。
その実行の前に行われた、いじめっ子Kとの度胸だめし。

結局Kはねん挫ですんで、その後どうなったかは放逐されたまま。

次の章でもディオニュソス神(バッカス)の話が続く様で、どうにも作者の意図が読みづらい。

 

自分の行動規範が「ブエル」によるものだと言いたいのか。

四十を前にした、いいオッサンが・・・
こんな過去話や神話ばなしをぐだぐだしているうちに、読者がどんどん離れるってばさ!

以前、新聞小説を良く手掛ける作家の話を聞いたことがあるが、毎日1ケ所、章内で1ケ所、必ず盛り上げる場を意識して進めている、とのこと。
毎日継続して少量読むという「新聞小説」の特殊性をまず理解すべきだろう。

 

オマケ
この章でひとつ象徴的な言葉として「変容」がヒットした。
篠田節子の「絹の変容

養蚕業を継いだ息子に関わった女性が、蚕の品種改良を行った末に、鶏まで襲う蚕を作り出したホラー。
変容という言葉には、これぐらいのパワーを込めてもらいたいものだ。

 

 

あらすじ 62~91

<あなたは肝心なことに気づかない> 1~3
「どうか、しました?」と岸田亜香里の視線。
胃薬の男の家での出来事。まだ報道はない。
男性から食事に誘われたという岸田の話に、占いを始める。
だが胃薬の男の死体が浮かび、喉が圧迫される。
とてもいい運気だと言い、占いに頼らなくても生きて行けると彼女に伝えた。涙を滲ませる岸田。
「ありがとうございます。先生の、お蔭でした」

 

次いでチャイムが鳴る。

前回途中で終わり、無料で見ることになっていた市井の来訪。
肩を出した服に茶色のメッシュ。就職は諦めたか?
僕は、今の市井の状況を見極めようとしていた。
恋愛の相談がしたいと言う市井に、一枚は自身を、二枚目は相手をイメージしてカードを選ばせる。
恥かしいと言う市井に背を向け、再び戻る。
カードの説明をしようとした時、市井が突然手に持っていたカードをめくり柄を見せた。
「私が<世界>。男性が<棒8>」と市井は言い、もう一枚私たちの真ん中に、と言って<愚者>のカードを見せた。

市井が酔っていることに今さら気づいた。
「あなたは肝心はことに気づかない。カードがなければ人のことがわからない」 自分の人生に女を巻き込みたくないなんて、そんなの後で考えればいい、と挑発する市井。
僕は市井の細い手を掴んで ソファベッドに押し倒した。

 

翌朝、目覚めた時に市井はいなかった。
テーブルにメモ 『あなたは肝心なことに気づかない』
与えられていたスマホと、ノートパソコンがなくなっていた。
その場に座り込む。佐藤の髪と爪がない。

 

 

<過去-俺は君でなくてよかった> 1~4
施設に送られた7歳の僕。職員の男、山倉に連れられて一緒に住む子供たちの前に出される。黙って見つめる彼ら。

彼らもこのひとときを経験している。

寄付されたものの箱を開ける作業。自分を損なうものの予感。

怯える僕の代わりに箱を開けてくれた山倉。

 

何事も悲観的に考える僕に、山倉はトランプを教えた。

カードをめくる時の恐怖。
「大丈夫、君を傷つけるものはいない」と諭す山倉。
初めに教えられたババ抜き。他の子供も交えて始まったゲームは、最後に僕と山倉のみとなり、結局僕のところにジョーカーが残った。
このゲームは、最後までジョーカーを持つことができた者の勝ちだ、と言う山倉。

一人遊びの「ソリティア」「四つ葉のクローバー」などを介してトランプに親しんで行く。並べられたカードに潜む秘密。

なぜ欲しいカードが出ないのか。あるカードが出るのは偶然か。

もうそのカードが何かは決まっている。それは一体どういうことか。

 

山倉でなく、最近入った職員の男の言葉

 「俺は君でなくて本当によかった」
人を決定付けるのは遺伝と環境だと断じる。遺伝とは血。

君の親は、と言いかけて笑う男。
彼は長くはいなかった。入所者に手を出して退職。

山倉が突然「君を占ってあげよう」と言った。初めて聞く言葉。
君の運命がわかる、と言われて怯える僕。

 


<過去-君達の人生にも> 1~3
逃げたかったが、勇気がなかった。

彼を失望させたくない、との思いに押さえ付けられる。
タロットカードと言われたそれは、今思えばウェイト=スミス版。
次々に並べられるカードに魅せられる。
君はいろいろ耐えなければならないが、将来君は凄い人間になる。
そして 「君は幸福になる。絶対だ」 と山倉。
次いでトランプを広げる山倉。これが「社会」だと言う。
カードを使った生き方の指南。

だがパートナーを示すハートのカードが出ず、まごつく山倉。

 

山倉が呼んだ慰問のための手品師。数々のマジックに喜ぶ子供たち。
そして手品師は子供たちに、辛いことがあるかも知れないけど、と言ってカードを投げ上げ「君達の人生にも、もちろん」と言った時にそのカードたちが花に変わり始める。
いつか、こんなことが起こる!と言った時に花たちが一斉に花火のように大きくなった。歓声を上げる僕たち。

 

一時的に自分のアパートへ帰った僕。

記憶にあるのは泣く母親。出て行ったスポーツ刈りの男。
慰めようと、トランプ占いを始めるが、それを払いのける母親。

宙に舞うトランプ。

 


<過去-悪魔> 1~20
舞い上がったカードは、花にはならなかった。

調子にのってはいけないことを、忘れていた。
足りないカードを探し続ける。僕は施設に戻った。

 

小学校では幽霊が見えると言い張っていた僕。

独自で考案したトランプ占いで友人たちの運勢も見た。

場合によりいじめの対象にもなり得たが、当時の「こっくり」さんブームの陰で免れた。

 

「オカルト」は世に定着し、僕は小学5年生になっていた。
こっくりさんの最中に階段から落ちた、クラスの女子。

短い藍色のスカートから、倒れた彼女の足が見えていた。

施設の前をよく通る黒髪の女性を連想する。

 

悪魔を呼び出す知識を得るため、図書館に通う僕。

そして見つけた一冊の本。
魔法陣による悪魔の呼び出し。
呼び出せる悪魔はバエル、ベヘモト、アスタロト。
呼び出しのための道具を持って、夜中秘密基地の林に出向く。
魔法陣を描きロウソクに火を点け、特定の呪文を唱える。「アグロン・テタグラム・ヴァイケ・・・」それは悪魔を苦しめるためのもの。

 

三度繰り返しても何も起きず、諦めて施設に戻って眠った筈だが、魔法陣の中で目覚める。
出て来たのはブエル。ライオンの頭部に五本の鹿の足が出ている。

 

僕には関係のない悪魔。
助けてくれ、と訴えるブエル。

契約の最中に、悪魔はあらゆる手段で人を騙すという。
動けない僕にブエルは、だから皆君を嫌うと言った。

君のお母さんも・・・・
カードを一枚めくれば世界が出現する、私は本当に存在する。

 

いつもの布団で目覚める。ずっと鼓動は速く、学校が終わるとすぐに秘密基地に向かったが、ブエルはいなかった。
深夜になって天井の角にブエルが現れた。

頭部が縮んでいた。助けてくれない事への恨み節。
こっちに来るといい、と誘うブエル。
願いを叶えると同時に悪魔は魂を要求すると聞いている。

その期限は24年後。
「アグロン・・・」と呪文を唱えると、本当にブエルが苦しみだした。

 

願いを言った僕。山倉という男を遠くに追いやってくれないか。
言いながら僕は泣いていた。
施設の前をよく通る、黒髪の女性。

彼女を秘密基地の穴に落とす感覚に実感があった。

見えなくしてしまおうとする思いと、共に穴に入る思い。
施設内に居る18歳の女性に対しても、その思いがある。

山倉という男は私も嫌いだ、とブエル。だが悪魔との契約では24年後に魂が奪われる。契約せず成就するのがいい。 どうやって?
君が山倉を殺せばいい。裏の林にある毒草をコーヒーに混ぜればいい。君を惑わす黒髪の女性も穴に落として楽しめばいい。
一つお願いがある。君が楽しんだ後、彼女を私にくれないか。

 

翌日、僕はインフルエンザで熱を出した。

その苦しみに快楽に似たものを感じる。
熱が下がり、林に行っても毒草が判らない。

 

学校に行くようになってもぼんやりしている頭。
そんな時、教室にブエルが現れた。背の高い女子生徒に取り付こうとしているブエル。呪文を唱えるが効果がない。

おまけに教師に叱責される僕。
その晩、再び施設に現れたブエル。金縛りにあう僕。
-君の願いを叶えよう。

もういい、と言う僕に山倉を殺すと言い張るブエル。

元々殺せとは言っていないと言う僕。
その願いを叶えよう。その代わり君にとって最も大切なものを奪う。

 

その二週間後、山倉が施設を辞めることになった。

アメリカに行くという。40歳を優に超えているのに。
手品師の出演枠が空いたとの誘い。
別れの時、偶然二人きりになる。

ブエルの事、悪魔が加担しているなどとは言えなかった。
彼をトランプで占い、上手く行くと言うと、山倉は涙ぐみ僕を抱き締めた。


「トンビが鷹を生む」との言葉を与える山倉。

遺伝や性質より何をしたか、どう生きたかが重要。
後にサルトルの「実存は本質に先立つ」の言葉を同じ意味に解釈した。

 

山倉を見送った先にブエルがいた。
願いの代わりに僕から奪うものを聞くと、呪いをかけたと言うブエル。
もう今後一切、君の人生には山倉のような人間は現れない、と。

・・・女性も含めてね。
つまり、山倉を遠くに遠ざけるという願いを拡大解釈した。
あと、君の混乱した欲望を止められない様にした。君が損なった後、その彼女を私にくれ。カードみたいに全てをめくってしまえ。
私に捧げるために彼女達を損なえ、と言ってブエルは消え、僕の脳内に入り込んだ。

 

悪魔がいるなら神もいる。なぜその感覚が湧かなかったのか。
ペストが蔓延したヨーロッパで、キリストに対する信仰が失われた。

税だけ取り、奇跡を起こせぬ教会を捨てた農民たち。
彼らが惹かれたのは、魔力を伴う悪魔。
ガラスの靴、かぼちゃの馬車しかり。変容は、なくてはならない概念。
彼らは深夜に秘密の集会を開き、踊り騒いで乱交した。

様々なものが変容していく。だがそれらはキリスト教に追いやられた。その土地土着の多神教の神々。

 

施設に一度来たカトリックの司祭。

施設の子供を「恵まれない」と断言。
彼の着る服の豪華さにも納得が行かない。
正しさを説かれることが何より嫌だった。

ただ褒めてもらいたかっただけ。

唯一者として僕の内面に住み続けたブエル。

取り除きたかったが、出来なかった。

 

女子たちの主導で始まり、そして終わったこっくりさんブーム。

クラスメイトの嫌がらせ。僕の薄いランドセルが、壊れた棚板の隙間塞ぎとして押し込まれていた。

ブエルと同時に脳内に出来た渦。

不快な事は全てそこに吸い込まれた。

あの黒髪の女性を秘密基地に落とせという、ブエルのそそのかし。
また教室でのいじめリーダーKも損なえ、との命令。
子供の遊びには危険が伴う。無数にあるその機会。

 

窓から校庭を見ているK。さりげなくぶつかり、突き落とすことも出来たが、まだ早い。
学校付近の公園にあるアスレチック遊具。

Kたちが度胸試しに使っている。
そこでのやりとりに「甘いよそれは」と挑発する僕。
「勝負しよう」とアスレチックに登る僕。

追うK。彼に挑発をかわす器用さはない。
Kを誘う、輪の連続の先にある円柱の上。それは完全犯罪だった。

 

「これを渡れるか」 「お前もできないだろ」
渡り始める僕。運動靴の裏に感じる円柱の形。
次いでKも踏み出し、互いに地面から伸びる棒に片手で掴まった。
手を離して同時にジャンプしよう、と提案する僕。

下の者には聞こえない。
言い訳は既に考えていた。Kは自信を持つと急に大胆になる性格。

同時に飛ぶと見せかけて飛ばなかった僕。Kも飛ばなかった。
「・・・卑怯だぞ」の声にはタイミングがずれただけ、との言葉を用意していた。
言った瞬間、飛んだ僕。危ういところで棒を掴み、落下は免れた。


「君の番だ」と言う僕。 Kの顔が汗で濡れている。
彼はもう飛ぶ以外の選択肢がない。

 

Kが飛んだ。着地出来ず、バランスを崩して腹を円柱に打ち付け、そこにぶら下がった。
-踏め と脳内のブエルの声。
Kの片方の手が離れそうになる。彼が落下すれば自分も落下すると思った。殺人者になる事への躊躇。
山倉の言葉を思い出す。
「君はいろいろ耐えなければならないが、将来君は凄い人間になる」
-踏まなければ、君は完全に私に支配される、とブエル。

踏めば自分が人殺しとなり、踏まなければ自分を失う・・・

 

下でうろつく連中に指示を出すが動かないため、自らジムを降りて、着地させるためのタイヤとロープを戻した僕。
何とか足をねん挫した程度で降りることが出来たK。
-君を狂わせる。一人で破滅するといい、とブエルの声。

君はもう何も選ばなくていいからね。

誰が呼んだか、Kの母親が駆け付けて来てKを抱きしめた。
Kの手を踏めばよかった。

そうすればこの場面は、もっと劇的になっただろう。

 

施設前を通る女性。一時髪の色が変わったが、元の黒髪に戻った。
施設内の18歳の女性は大学に合格した。
四月を前に欲望成就の期限が迫る。

その実行をトランプ占いに委ねるが、いつも失敗と出た。
そんな僕も奪う、とブエルは言う。彼による支配、それもいい。

 

図書館の女性職員が教えてくれた、オリンポス12神の紹介絵本。

彼女も穴に落とすリストに入っている。


一番覚え難い神の名を選んだ。手に取る時に感じた、指への抵抗。
ディオニュソス神。別名バッカス。

 

 

ラストエンペラー 1987年 (伊・中・英合作)

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監督・脚本  ベルナルド・ベルトルッチ
音楽      坂本龍一、デイヴィッド・バーン、蘇聡


キャスト
愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)   ジョン・ローン
婉容(えんよう)                    ジョアン・チェン
レジナルド・ジョンストン              ピーター・オトゥール
アーモ(溥儀の乳母)              イェード・ゴー
戦犯収容所所長                  英若誠
陳宝琛(溥儀の教育係)           ヴィクター・ウォン
大李(溥儀の召使)               デニス・ダン
甘粕正彦                      坂本龍一 
溥傑(ふけつ:溥儀の弟)           ファン・グァン
イースタン・ジュエル(川島芳子)     マギー・ハン 
西太后                        リサ・ルー

 

予告編(日本語版の後に英語版)

 

感想
かなり以前に録画して寝かせてあった。
お正月という事もあり、何とか時間を取って鑑賞。
ブロ友のZELDAさんのレビューはこちら(マイ・ベスト・ムービーらしい)

第二次大戦中、日本が中国に作った傀儡国家「満州国」の皇帝として祭り上げられた、愛新覚羅溥儀の人生が語られる。
劇場では観ていないが、レンタルビデオの時代に一度借りて観た覚えがある。

特に覚えていたのは音楽と、コオロギが筒から出て来るところ。

 

映画では、ソ連の抑留を解かれて中国に戻り、収容所に入れられてからと、過去とが交互に描かれる。
元々歴史に強いわけではないので当方の「あらすじ」はウィキペディアをレイヤーにして、観た内容を乗せて行った感じか。

 

史実では「1912年、辛亥革命により退位」とあるが、溥儀そのものは少年の上に情報が与えられず、それを弟の溥傑に教えられる始末。

三歳足らずで即位して、何も判らないまま意のままに暮らした者が、どれほどいびつな人間に育つのか。

壮大な実験を見せられている様な気がした。

 

様々な場面で溥儀を阻む「門」。城から去ったアーモを追った時。亡くなった母に会いに行こうとした時。
その後も溥儀の人生に立ちはだかる、象徴としての「門」。
その門からようやく出られたのは、クーデターによる退去のため。

 

国内のデモを知って、自分自身も何かしようという思いはあったのだろう。そうした気持ちが、日本軍に付け込まれる土壌を作ったのかも知れない。
また、描きようによっては相当ひどい奴にする事も出来たが、この監督の目線は、あくまでも溥儀に優しく、それが一種の切なさとなって胸に残る。いい悪いは別にして。

 

川島芳子が婉容にアヘンを教えたり、甘粕と関係を持ったりした点はフィクションだが、飛行服姿の彼女はりりしく「男装の麗人」のイメージ(ただ、もう少し東洋美人にして欲しかった・・・)

 

甘粕役の坂本龍一は、努力は感じるものの演技イマイチ。これより前に演じた「戦場のメリー・クリスマス」のヨノイ大尉役の方が良かった。

本人も軍国主義まき散らす様なキャラじゃないし、あくまでも静かに演じた方が良い。芳子と指を絡めるシーンは蛇足もいいとこ・・・

 

この映画で最も賞されるべきは「音楽」
こちらは大まかなあらすじも確認出来るため、私の「お気に入り」

 

でもこの曲聞くと「新日本紀行」のテーマ曲を思い出す。
パクリとかではなく、雰囲気のこと。

 

オマケ

溥儀と昭和天皇の同時代の写真。

監督は、傀儡としての日本国天皇も描きたかったのかな。

 

オマケ2
ジェーン・ドゥさんがお気に入りの音楽は、第二夫人が雨の中去って行く時の「Rain
良かった~

 

 

 

あらすじ
1950年の満州 ハルビン駅。
ソ連からの抑留を解かれ送還される者たちの中で、ある男の前に跪く人たち。

 

気付かれないように洗面所に入ったその男は、手首を切って自殺を図る。幼い日々を思い出す男。

1908年 北京
清朝西太后の命令により、幼い溥儀が紫禁城に呼ばれる。

乳母アーモに息子を託す実母。
西太后の前でも物おじしない幼児。

溥儀を皇帝に指名して西太后は崩御する。

即位式で無邪気に歩き回る溥儀。咎める者はいない。

コオロギの鳴き声を追って行くうちに、ある家臣に辿り着く。

小さな筒を取り出してフタを開けるとコオロギが出て来る。

 

その贈り物を受け取る溥儀。
細心の注意で育てられる溥儀。毎回の便を侍従がチェック。

何でも好きなことが出来た。

一万年王朝の天子と呼ばれたが、紫禁城の外には出られない。

 

1950年
命を取り留めた溥儀は、戦犯として収容所に送られた。そこの所長が溥儀を助けた男。再び過去を振り返る溥儀。

 

弟の溥傑がお相手として紫禁城に送り込まれた。

母親との七年振りの面会。我が家の誇り、と母。
溥傑に話す溥儀。普通の人は皇帝を見てはいけない。

悪い事をしても罰を受けるのはこいつら。
時々アーモの乳を吸う溥儀。それを双眼鏡で見ている先の帝妃。

 

ある日溥傑が黄色い服を着ているのを咎める溥儀。

皇帝のみが着られる色。
だが兄ちゃんは皇帝じゃないと言って、窓外の袁世凱を指さす溥傑。
紫禁城の中では皇帝である、と宦官から聞かされる溥儀。
アーモが城から追われた。

乳母など要らない歳。それを追う溥儀。「一番大事な人だ」

 

十代となった溥儀の元に来た、イギリス人家庭教師のレジナルド・ジョンストン。


最初に学力をテストしようとするジョンストンだが「皇帝をテストする事は出来ません」
多少の行き違いを越えて、ジョンストンは世界の様々な情報を溥儀に与え、彼もそれを吸収した。

外で何かが起こっている。何が起こっているのですか?
大学生のデモ運動。日本への権益譲渡への反対で、多くの首が斬り落とされた。
学生の怒りは当然。私も怒っているが、紫禁城から出られない。

 

溥儀に自転車をプレゼントするジョンストン。

母親の死を人づてに知る溥儀。

母は自殺だ、アヘンの固まりを飲んだ。
弟にも会いたい、と自転車で外に出ようとする溥儀だが、門は閉じられた。秘密で飼っていた二十日鼠をその門に打ち付ける溥儀。

 

母親が死んでも会いに行けない。屋根に上って反抗する溥儀。

ジョンストンらが手を伸ばして助けるが、その時彼の目の異常に気が付くジョンストン。
医師の検査で陛下には眼鏡が必要だと言うが、それは許されない事だと拒否される。眼鏡をかけなければ失明する。
眼鏡が許されないなら辞職し、中国の新聞にこの件を公表すると脅したジョンストン。

 

溥儀の眼鏡が実現した。その目で見たのが妃候補。
17歳の婉容を皇后、12歳の文繍を第二皇妃とした。

モダンな妻を望んだ溥儀。
そして行われた結婚式。全てを改革したい、と夢を語る溥儀。

ベッドの下にはオックスフォード行きのカバン。

婉容にも米国人の家庭教師がいた。ミス・ウィンザー。

 

1950年
囚人981号として出頭する。名は? 愛新覚羅溥儀。
君はなぜここに来た?と問われる。
告白は日付の羅列だと断じられた。どんな告白をすれば?・・・
ありのままに。君のことは全部判っている。
-改革をしたかった。全てを

 

再び過去
成長した溥儀は自ら辮髪を切った。

「紫禁城の改革で殺されるか確かめる」
まず在庫目録の監査に着手。自ら統治したい。
婉容、文繍らと寝間で過ごす溥儀。外では火の手が上っていた。
一部の宦官が証拠隠滅のため、保管庫に放火した。激怒した溥儀は千人を超える宦官を追放した。
庭に集まって許しを乞う宦官の集団。

手に持つ容器を聞く溥儀に「体の一部」

1924年。
婉容らとテニスをしていた時、北京政変(馮玉祥によるクーデター)のため一時間以内での退去を命じられた溥儀。
ジョンストンによるイギリス大使館への避難要請は、国際問題を嫌って受け入れられず、溥儀に手を差し伸べたのは日本のみ。

同世代の天皇も居て親近感があった。

 

日本の庇護下、天津での生活を楽しむ溥儀。

溥儀と婉容はヘンリーとエリザベス、と名乗り注目された。
第二夫人では妻と認められず、離婚を望む文繍。
蒋介石率いる国民党の上海鎮圧を受けて、甘粕正彦大尉が溥儀を日本公使館に迎える。


雨の日に出奔した文繍の代わりに、飛行服姿の川島芳子(イースタン・ジュエル)が婉容の友人として近づいた。

彼女は溥儀の遠縁(愛新覺羅顯㺭(あいしんかくら けんし))。
行くなら日本よ、と言って芳子は婉容にアヘンを教える。

 

1950年
溥儀に対する詮議。告白には日本に誘拐されたとあったが、ジョンストンの著書「紫禁城の黄昏」には彼が自由意志で行ったとの記述。
溥儀の使用人だった男も、天津に発つ前日に荷造りしたと証言。
この資料で真実を思い出せ、と取調官。

TIME誌(溥儀の正装した表紙)。
房で使用人に何でもやらせていた事が発覚し、知り合いのいない房に移される溥儀。一族から離れて暮らした事がない、と嘆く溥儀。

 

1934年
満州国皇帝となる溥儀。即位を祝う舞踏会。

その様子の撮影を指示する甘粕。
欄の花を食べる婉容。それをたしなめる溥儀だが、会を中座してアヘンを喫いに行く婉容。
訪日する溥儀。

1935年 満州
帰国早々、新任大臣の承認を求められる溥儀。
東京訪問中に大改革があった。国務総理大臣の鄭孝胥が、息子の暗殺により辞任。後任は関東軍の推薦。
日本と対等の関係を築きたいと話す溥儀だが、甘粕他家臣たちは次々に退席。婉容が自らの懐妊を告げる。相手は満州人。
そこに新首相の承認書類を持ち込む甘粕。後継者が出来ると強気に出る溥儀に、相手の男(陛下付きの運転手)まで教える甘粕。

皇帝の名誉を守ると言われ、やむなく署名する溥儀。

 

婉容は出産したが、赤ん坊はすぐに安楽死させられた。
満州の公用語が日本語と決められた。
婉容は暖地で静養すると聞いて、見送ろうとした溥儀だが、既に車は出発。追う溥儀の前で門が閉じられた。

それを階上で眺める甘粕と芳子が、指を絡め合う。

 

日本軍の後退による満州国への圧力が描かれる。
そして1945年8月15日、天皇裕仁の玉音放送。

国民は初めて天皇の実声を聞いた。
甘粕は自殺。狂って戻った婉容。
溥傑の勧めで日本に亡命しようとしていた溥儀は、婉容に会うが狂って会話にならない。
亡命の途上でソ連軍に捕らえられた溥儀。

 

1950年代
ソ連抑留以後の、中国共産党の取り調べで、あらゆる告白に署名した溥儀。自分の知らないハルピンでの細菌戦の事まで。
自殺から救ったのも利用するためだろう、と溥儀。

1959年
戦争犯罪人として10年投獄されていたが、特赦により収容所を出た溥儀。53歳。

1967年 北京
自転車の群れの中に居る溥儀。

庭師として植物園に勤めていた溥儀は、近衛兵のデモを見かけ、その中にかつて自分を取り調べた所長が罪人として引き回されているのを見つける。
この人はいい人だ、と懸命に庇うが、相手にしない近衛兵。

 

そして溥儀は、博物館として一般公開されている紫禁城に行く。
立ち入り禁止の札を越えて玉座に向かおうとする溥儀を、守衛の子供が制止した。
「昔ここに住んでいたんだよ」との言葉に「証拠は?」と少年。
玉座の後ろからコオロギの筒を出して少年に見せる溥儀。
その蓋を開ける少年。中から茶色いコオロギがゆっくり姿を現した。
少年が顔を上げると、そこに溥儀の姿はなかった。

 

 

スターウォーズ EP9 / スカイウォーカーの夜明け  2019年

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監督・脚本   J・J・エイブラムス
音楽        ジョン・ウィリアムズ

 

キャスト

カイロ・レン                      - アダム・ドライバー
レイ                                - デイジー・リドリー
フィン                              - ジョン・ボイエガ
ポー・ダメロン                   - オスカー・アイザック
レイア・オーガナ                - キャリー・フィッシャー
ルーク・スカイウォーカー     - マーク・ハミル
ジャナ                              - ナオミ・アッキー
アーミテイジ・ハックス将軍   - ドーナル・グリーソン
エンリック・プライド元帥       - リチャード・E・グラント
マズ・カナタ                       - ルピタ・ニョンゴ
ゾーリ・ブリス                     - ケリー・ラッセル
チューバッカ                      - ヨーナス・スオタモ
ローズ・ティコ                     - ケリー・マリー・トラン
シーヴ・パルパティーン        - イアン・マクダーミド
ランド・カルリジアン             - ビリー・ディー・ウィリアムズ
ハン・ソロ                           - ハリソン・フォード

 

予告編


感想
スターウォーズはもう「宗教」みたいなものなので(私ではなくカミさん)、観に行くことは既定の事実だったが、封切り日に行ったので、その晩にやった前作( EP8 )は後で観る形になった。
まあ、パルパティーン復活、とあっては別に前作観なくても関係なかったけど(笑)

 

前作(EP8)で、カイロ・レン率いるファースト・オーダー軍に追い詰められ、ファルコン号に乗れる程度にまで縮小したレジスタンス。
どうやって立て直すのかな?と思っていたら、いきなりのパルパティーン復活。
パルパティーンと言えばダークサイドの主。

EP6 でダースベーダーと共に死んだ事になっているが、そもそも全能の前提だったから、あれしきで死ぬ筈がなかった。
だから新三部作になって「ファースト・オーダー」だの最高指導者スノークだの言われても、どうもピンと来なかった。
そういう意味でナットクはしたのだが、なーんか変だな的気持ちの悪さは残る。

 

それにしても、レイがスカイウォーカー家の血とは関係ないところで、フォースを身につけたこと自体に、大きな意味を感じていた人は多かっただろう。
それが「実はパルパティーン生きてましたー」そして「レイはその孫でしたー」では、何の後ろ盾もなく努力して来たレイへの肩入れが無駄だった様な虚しさを感じる。

 

ファースト・オーダーって、何かヘンなネーミングだなと思っていたが「ファイナル・オーダー」への伏線だったのね(どうでもいい話にナットク)

 

ファイナル・オーダーに辿り着くための道程が、例によってややこしい。行くためにウェイファインダーが必要であり、そこに行き着くための情報がまた別途必要(ダガーナイフ)
ナイフやそこに仕込まれた情報を巡ってゴチャゴチャするが、結局見つけた二個目のファインダーは破壊され、レンの持っていたものでファイナル・オーダーに行くのだから、要は時間つぶしでしかない。
こういった流れはSWのお約束だから、むしろ「ああ、またか」と懐かしく思うのが正しい反応か(笑)

今回ゲストとして存在感があったのはランド・カルリジアン。

スピンオフの「ハン・ソロ・スターウォーズ・ストーリー」で関係が描かれていたのも補強材料か。
ハン・ソロ亡き状況では、彼の映像がオールド・ファンにとっては一種の癒しだった。

 

ちょっと疲れて来たので、この感想は切り上げよう。
結論を言えば、何者でもないレイがフォースを身に付けて行くというサクセスストーリーは、EP78によって醸成されたもの。

パルパティーンを出すことで「やっぱり血だね」という屁理屈上の落としどころではあったが、却って新三部作全体を台無しにしたという印象。
EP8でひどい事になっていたのをJJは何とかうまくやった、という人も居るだろう。
映画だから、その辺について争うつもりはない・・・・

良くも悪くも、これでSWは打ち止め。だよ、ね?

興行収入も芳しくないようだし、続編作る元気はディズニーにないだろう・・・・

 

そういえばEP8の最後、フィンたちの脱出を助けた少年が、フォースでホウキを引き寄せ空を見上げるシーンがあったが、それにまつわるストーリーが全くなかった。
新技「伏線崩し」・・・・

 


あらすじ
皇帝パルパティーンの遺言に基づき、カイロ・レンがシスのナビゲーター(ウェイファインダー)を手に入れる。
導かれる様に寺院でパルパティーンと会うレン。

倒したスノークはパルパティーンの分身だと言う。


新たな帝国、ファイナル・オーダーをレンに引き継がせるつもり。
そのための条件はレイを殺すこと。

祖父ベイダーのなし得なかったジェダイの終わりを実現させよ。

 

ファーストオーダーに潜入しているスパイから情報を得て、帰還するフィンとボー・ダメロン。
パルパティーンが生きており、何十年もかけて巨大艦隊ファイナル・オーダーを作った。

今から16時間以内に自由世界への攻撃を始めるという。

 

C-3POの情報で、皇帝の艦隊が居る場所は、未知の領域「エグゼゴル」。
レイは、ルークが残したノートにそのヒントを見つけていた。

シスのウェイファインダーがエグゼゴルへのコンパス。
レイアが言う惑星パサーナの協力者を求めて、出発するレイ、ポー、フィン、チューバッカら。

一行は惑星パサーナでランド・カルリジアンに会う。彼がかつてルークと共にウェイファインダーの情報を持ったオーチを追って来たが、見失った。


レンはレイとのフォース交信で彼女の居場所を知り、追跡を始めた。

 

オーチの行動を辿るうちに、砂に取り込まれた一行。その地下でオーチの残したドロイドD-Oと、手掛かりになるダガーナイフを見つける。

そこに書かれたウェイファインダーのありかをC-3POは読めたが、シス語のため翻訳にプロテクトがかかり、知ることが出来ない。
一方レイはレンの到来を知り、一人戦いに出向いた。
その間にファースト・オーダーが襲って来て、ファルコン号とチューバッカ、ダガーナイフが奪われた。
逃げるファースト・オーダーの輸送船を巡って、レイとレンのフォースパワーの引き合いが繰り広げられるが、輸送船が破壊される。

中に居たチューバッカを死なせてしまったと嘆くレイ。

 

C-3POに残っているナイフのデータを読み取るため、惑星キジーミのジャンク屋がデータを抽出。その場所はエンドアの月。
だがその時レイは、チューバッカが生きて上空のスター・デストロイヤーに捕われている事を感じ、ボー、フィンらと共に潜入する。

潜入にはボーの旧い知り合いゾリ・ブリスから貰った、フリーパスのメダルを使った。
チューバッカを救い、ダガーナイフも取り戻したレイだが、レンから彼女がパルパティーンの孫である事を知らされてショックを受ける。

互いがフォースで交信出来ることをパルパティーンは知らず、皇帝を倒して二人玉座に就こうと誘うレン。
レイたちは拿捕されていたファルコン号で脱出。それを助けた、レジスタンスのスパイだったハックス将軍は処刑された。

 

エンドアの月に到着したレイたち一行。そこに住んでいたのは、ジャナたちストームトゥルーパーから逃げたレジスタンス。

フィンも同様の境遇なので親しくなる二人。

ダガーナイフの仕掛けでファインダーの位置を知るレイ。

 

単身ヨットでデス・スターの残骸に向かうレイ。

だが追って来たレンにウェイファインダーを破壊される。
レイとレンによるセイバーでの戦い。

 

その最中にレイアが死にかけ、それを感じたレンが気を取られてレイに腹を刺される。
レイアの死をレイも感じ、フォースでレンの傷を治す。
レンを置いてレイは、かつてルークと修行した惑星オク=トーに行き、ルークの霊体に教えを乞う。
ルークは自身のXウィング機を引き上げ、レイアのセイバーも与えた。
レイは、レンから手に入れたウェイファインダーを使ってエグゼゴルに向かった。

 

残されたレンは、記憶となったハン・ソロとの語らいで自分を取り戻し、レンの象徴であるセイバーを海に捨ててベン・ソロに戻った。

 

同じ頃、パルパティーンは見せしめのため、惑星キジーミを破壊する。

レジスタンス基地に戻ったポーたち。情報抽出と同時に記憶を消去されたC-3POは、R2-D2によって復旧された。
レイの辿ったコースの追跡で、エグゼゴルに向かうレジスタンス部隊。

エグゼゴルに着き、パルパティーンと戦っているレイ。

憎しみと共に自分が殺される事で、シスの能力全てをレイに受け継がせようとするパルパティーン。

 

一方レジスタンスの部隊が到着してシスの艦隊に攻撃を仕掛ける。

 

だが圧倒的な武力の差に苦戦。
そんな時、カルリジアンが援軍を連れて到着。
ベンもレイを助けるために来て、レイからライトセーバーを受け取り、自らの騎士団を倒した。

パルパティーンは、レイとベンのフォースを吸い取る事でパワーを取り戻し、まずベンを地の底に落とした。
力を奪われて倒れるレイ。

過去のジェダたちが次々に現れてレイに力を貸した。
フォースの力をぶつけ合うレイとパルパティーン。
そして遂にパルパティーンを倒すが、レイも動かなくなった。

 

崖を這い上がって来たベンが、レイを抱き上げフォースを使って蘇生させる。
目覚めたレイがベンにキスをするが、そのまま絶命して消滅するベン。
レジスタンスはシスの艦隊を全滅させた。

 

勝利を祝った後、レイは惑星タトゥイーンに向かい、ルークの養父母

ラーズ夫妻の住居跡を訪れたレイ。
レイアとルークのライトセーバーをそこに埋めた。
通りがかりの者に名前を聞かれ「レイ・スカイウォーカーです」と答えるレイ。

 

NHKスペシャル「食の起源」第3集「脂」1月12日放送

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シリーズ
第1集「ご飯
第2集「

第4集「酒」  2/2
第5集「美食」3月


第3集「脂」  Nスペ5分    番組詳報

~発見!人類を救う命の油~

 

感想
EPA、DHA等の血液サラサラ成分が青魚に豊富という事で、一時期サバ缶をせっせと食べたが、あまり長続きしなかった(効能にイマイチ実感なし)
今回、人類の歴史の観点からの必然を理解出来て、実にためになった。
やっぱ、牛の霜降り肉なんて食っちゃダメ(負け惜しみ半分・・・)
中トロはいいみたいダ。

 

内容
ナビゲーター(TOKIO)
:城島茂 国分太一 松岡昌宏 長瀬智也
ゲスト:小芝風花

我々が食べる油は一般的に飽和脂肪酸と言われる(オメガ5、7、9など)。その中でもオメガ3、6が重要(オメガ兄弟)

 

オメガ3
北極圏のイヌイット。クジラ、アザラシ等を捕って生活。

摂取カロリーの7割を油から得ている。
ヨーン・ダイヤベルグ博士の調査。
彼らが摂取するオメガ3は一日14g(日本人の10倍)
細胞は油の膜て包まれている。オメガ3の形は曲がっているため、細胞間に入った時摩擦が減る→動き易い。


血管の壁もオメガ3でしなやかになる。
精子の形成にも影響。高度な脳機能にも関与。

 

オメガ3と人類進化
6億年前、人類の祖先は体内でオメガ3を作る事が出来ていた。

だがオメガ3は、それを有しているエサを食べる事でも摂取出来る。
外部摂取を行ううちに、オメガ3製造の遺伝子が消えた。
オメガ3を大量摂取出来る種が栄える。

7万年前に起きた大噴火→寒冷化による食料不足。アフリカ海辺の住民が食べた「ムール貝」に豊富なオメガ3を含んでいた。

→高度な知性が芽生える。この子孫が世界に広がった。

 

オメガ6
体にとって重要。病原体の侵入に対し、白血球に攻撃指令を出す。
だが過剰に存在すると、体の細胞まで痛め付ける。

 

オメガ3はその暴走を抑制する作用も持つ。
3と6の割合が1:2を越えてオメガ6が増えると心臓病リスクが増大する。


現代人はオメガ6が過剰(1:10)

 

食べるエサで比率が変わる。
穀物で育てた牛の肉(1:10)。牧草で育てた牛の肉(1:2)。

その動物本来の自然な食べ物を食べる事がバランスを保つ。

 

ある時からバランスが崩れた。
3500年前のミイラ50体の調査。

CTスキャンにより半数が動脈硬化を持っていたと判明。
当時の王族はグルメ。食用油の製造。

穀物過剰で育てたガチョウ(フォアグラ)。

現代だからこそ判った→自然がいい

フランスで進む、牛のエサの牧草化。

福島の畜産農家でも試みが始まっている。
今は、脂との新しい関係を築いて行く時代。

 

 

新聞小説 「カード師」 (6) 中村 文則

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朝日 新聞小説 「カード師」(6)  1/4(92)~1/15(103)
作:中村 文則  画:目黒 ケイ

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感想
とりあえず次章で現在に戻る様だから、ここまでをアップ。

 

章題は変わったが、前章と同じく「僕」の過去の話。
ブエルに次いで内部人格に加わったディオニュソス。
子供向けでは飽き足らず、大人用の神話本を読んで心酔する、当時小5の「僕」。ディオニュソスに自分を投影する事で自信を得、思春期を経てブエルと決別した。
単に他を損なえ、と言うだけのブエルに対して、半神として出生時から苦しみを与えられたディオニュソスに、より近いものを感じたのだろう。


しかしミミズクにはまいった。読んで「えっ!そんなもん居たっけ?」と読み返したら前章で、女子が階段から飛び降りたところの直後、オカルト的エピソードとして出ていた。あわてて前章の記事に追記(笑)

 

しかし、これらのエピソードで作者は何を伝えたいのか?
「僕」の心の中にある様々な葛藤、心象風景を代弁させようとしているのか。この程度の事で僕の人格が出来ました、ってのも「薄い」

 

オマケ
オリンポス12神についてはコチラを参考に。

 

 

あらすじ 92 ~ 103
<酒神ディオニュソス(バッカス)> 1~12
主神ゼウスと人間の王女との子、半神のディオニュソスは酒の神。
子供向けに作られた本では、十二神の一人になった経緯があいまい。
実際の神話は根本的に違った。

ディオニュソスはゼウスと、穀物の神の娘ペルセポネーの間に、ザグレウスという名で生まれるが、それに気付いたゼウスの妻ヘラが、巨人のティターン族を使い八つ裂きにした上食わせてしまった。
最後に残った心臓を女神アテナが救い出し、それを飲み込むゼウス。
次にゼウスは人間の王女セレメーを愛するが、ゼウスの妻ヘラがセレメーに、ゼウスへの疑念を植え付ける。
セレメーはゼウスに真の姿を見せてと懇願したが、それを叶えたせいでセレメーは焼け死ぬ。
セレメーの腹から、ザグレウスの心臓が入った彼女との子供ディオニュソスを取り出して、自らの腿に縫い込み、誕生まで育てたゼウス。

 

そして生まれたディオニュソスは、女としてセレメーの家系で育てられるが、ヘラの妨害を受ける。


ディオニュソスは賭博の神ヘルメスに託され、ニンフとして育てられる。
再びヘラに発見され、狂わされた末に放浪の旅へ出るディオニュソス。

 

ディオニュソスはシレノスという者から葡萄栽培と、それを使った酒造りを伝授された。酒神として人間に酒を与えたディオニュソス。

ディオニュソスの名が意味すると言われる「癒し」は、彼の悲劇的な存在ゆえなのかも知れない。
彼がイカリオスという者に葡萄酒の作り方を教えたが、村人は毒と思いイカリオスを殺す。その娘は首を吊った。
怒ったディオニュソスは、村人にも首を吊るよう仕向けた。村人は謝罪。初めて酒の作り方を知る村人。
葡萄酒造りにおける犠牲、生け贄の概念の背景。

 

旅の過程で、貧者や女性信者を増やして行くディオニュソス。
抑圧された女性たちの解放。

女たちは一時的に家事から逃れ飲酒、乱交を行った。


「バッコスの信女」という物語。

二十歳の頃読み返して、女性解放と共に危険と理不尽を抱いた。

 

テーバイの国に来たディオニュソス。

国王の母アガウエはセレメーの妹、即ち叔母。

だがディオニュソスをゼウスの子とは信じないアガウエ。
この地でも、皆を狂わせて欲望を解放したディオニュソスに王ペンテウスは怒り、信者たちを捕えてディオニュソスも死刑にしようとした。
女性蔑視のペンテウスに対し、信女たちによる攻撃で男を屈服させたディオニュソスは、報復よりも偵察だと言って彼を女装させ、山を占領した信女らの所に連れて行く。
狂わされて信女となった母アガウエを救いたいペンテウスに、連れ帰る事が出来ると誘う。
女たちを良く見るために、と木に登らされたペンテウスは逆に見つかり、木を倒され八つ裂きにされる。その先頭にいたのはアガウエ。

首を持って帰ったが、正気に戻って息子のものだと気付く。

 

別の神話でもディオニュソスは、家事に明け暮れる女たちを狂わせて解放した。だがそれは母性までも奪う。
二千年以上前に、既にこんな物語があった事に驚く僕。でもそれは全てディオニュソスの願望ではないか?

別の神話で冥界に行くディオニュソス。死んだ母セレメーの取り戻し。
冥界の神話として知られるオルフェウス。妻を救い出す時、取り決めを守れず振り返って失敗。
だがディオニュソスは成功し、ゼウスの許可を得て、死んだ母を神にした。そしてあのヘラとも和解。

 

出来過ぎている、と思った僕の頭に浮かぶ一人の青年。
父を知らず、母も亡くなった。その蘇りを望み、皆からの尊敬、認めを願う。
実際のディオニュソスは、好色ではなく酒に酔いしれる人々を離れて見ていたのかも知れない。

陽気に酔わせておけば、肩を組む事も出来ると。

常に認めてもらいたがったディオニュソス。

八つ裂きの手段もその一つ。
母性を奪うことも、その対象となる子供への嫉妬があった筈。母親に抱かれるKに僕が感じた様に。

 

後にオリンポス十二神の一つとなるディオニュソス。一説では孤児たちの神ヘスティアがその座を譲ったという。
文学の起源と言われるギリシャ悲劇。

元々はディオニュソスの悲劇を演じるために始まったとされる。
演者は舞台で仮面を付けた。仮面で別人になる。ニーチェは言う。悲劇の各神たちもディオニュソスの仮面に過ぎない。


冬の間、アポロンに代わって予言の神を務めたディオニュソスに、僕は憧れた。十二神の中では一番。物語を、初めて身近に感じた。
それはまるでアニメヒーローかスポーツ選手。

人は白昼夢を見ることでストレスを回避する。神話の世界でディオニュソスに自分を投影しようとした。
悩ませる集団に対する回避。

効かない時は超能力で遥か遠くへ追いやる。
テレビゲームがあればやった筈。

想像、白昼夢の中での世界の救済、もしくは滅亡。

女性を穴に落とすより、恰好の良かったディオニュソス。
ディオニュソスと内面を一体にする事で自信を持ち始めた僕。

彼はなぜブエルの様に、僕を支配下に置かなかったのか。
他の多くの神。残酷だが緩い。

 

漠然と将来の自分を想像する。プロの手品師。驚いている人間は均等。人が恐ろしければ驚かせればいい、喜ばせればいい。

将来の自分への期待は、今の自分への自信。

将来凄い人間になる、という山倉の暗示。
ディオニュソスの様に複数の仮面を付けて、相手の喜ぶ自分を演じ始める。自分で考えたトランプ占いは30を越えようとしていた。

世界の秘密を思う。
一定のルールでめくるカード。それにより計算される確率。
生きるという事に対する行動。めくる、めくらないの選択。
未来の選択肢を選べるのか?膨大な可能性の無視。
験担ぎをしても、思った通りのカードは出ない。

 

出来事をカードで表現する事もあった。

犬に吠えられ、給食は好きなソフト麺、職員の小言・・・
これらの出来事の順や数、マークを事前に知り、変容させる事がなぜ出来ないのか?
毎日カードを並べて、数字やマークの支配を考えた。無数の選択。

小五の終わり、大学に合格した18歳の入所者が声をかけた。
「占ってよ」
大学生活がうまく行くかの問いだったが、薄手の部屋着にも戸惑い、間違えて恋愛成就のトランプ占いを始めてしまった。

成功確率は5%の設定。甘い匂いを発する彼女の髪。

数日後「初恋」と認識したが、その時は混乱。施設前を通る黒髪の女性はどうだったろうか。性愛願望の転化?

占いは予想に反し、成功に近づいていた。

カードの導きか。成功したら。
速まる鼓動の中で浮かぶ想念。彼女に対する特別な思いを告白しなくてはならない。拒絶の恐怖と同時に、解放される思い。
♡のエースか♡のクイーンが出たら言わなければならない。


♡のクイーンが出た。呼吸か苦しい。

 

自分の赤面を感じた。手も震える。まだ未熟。
大学生活がうまく行くと伝えたが、声は震えていた。
彼女は奨学金で大学に行くため来月施設を出る。施設はかなりの田舎にあった。彼女のその後は知らない。

黒髪の女性も、いつの間にかみかけなくなった。

 

小6になり、以前こっくりさん絡みで階段から落ちた彼女とすれ違った。
振り返ってバツが悪そうに笑い、去って行った彼女。
あの頃、別の世界に感染していた僕たち。成長への不安?
ミミズクの剥製の耳は立ったままだった。恐らくあの学校で、今でも立っているだろう。

 

中学生になり、ギリシャ神話の白昼夢は徐々になくなった。
女性に対する苦しい想像は続く。それが思春期。
初めてつき合う女性が出来た時期に、インフルエンザに罹った。

再びブエルの出現。


君の仮面をめくった先にあるのは、とても奇妙な存在。

レトルト文化人間という言い回し。
ブエルが消えた瞬間たてがみをひるがえした。

胸に強い衝撃があり、飼育小屋の臭気を感じた。
ブエルは言う。君が将来精神を病んだ時、頼れるのは私。世界全体が病んだ時は別の者が出現する。
目覚めた時、飼育小屋の臭いは残っていた。

 

男はつらいよ 50 お帰り 寅さん 2019年

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監督・脚本 山田洋次

 

キャスト
渥美清       車寅次郎
倍賞千恵子   諏訪さくら
吉岡秀隆     諏訪満男
後藤久美子   及川泉(イスミ・プルーナ)
前田吟       諏訪博
池脇千鶴     高野節子
夏木マリ      原礼子
浅丘ルリ子    リリー
桜田ひより    諏訪ユリ
美保純       朱美
笹野高史     御前様
橋爪功       及川一男  
カンニング竹山 飯田編集長
小林稔侍          窪田
佐藤蛾次郎   源

 

 

予告編


感想
寅さんを演じた渥美清が亡くなって24年。
寅さん映画は、冬と夏の風物詩として定番の娯楽だった。

とは言っても劇場で観たのは10本ぐらいだったが。
それが再び映画になるという事で、ファンでもあり楽しみにしていた。
それが11月頃映画を観た帰り、ダメモトで応募した試写会に当選し、公開日の2週間前に視聴(ラッキー♪)

 

ストーリーとしては、寅さんの甥である満男を軸に話が展開する。
シリーズ終盤で、満男の彼女として4回出た、後藤久美子の出演が一種のサプライズだったが、介護施設の父親と泉、離婚した母の礼子を巡る話が、イマイチスッキリしなかった。
泉の年齢からの設定なら父親はまだ70代後半。介護施設なんかに入れなくても、もう少し気の利いたシナリオに出来ただろうに。

 

だがそれとは別に、デジタルリマスターされた寅さんの過去映像にはある意味感激。一つの映画として何の違和感もなく寅さんが溶け込んでいるから、旧くからのファンには本当に嬉しい作品。
思い出のエピソードとして、寅さんが持って来たメロンを彼抜きで食べようとした時の話が出て来る(第15作)
また、ドラマの中では寅さんの生死について明らかにしていない。

要はそういう映画なんだと割り切れば、腹も立たないか。
全盛期の吉永小百合、栗原小巻などなど思い入れのあるマドンナに再会出来たのも収穫。

多分歴代マドンナが、1カットづつながら全員出演したのではないか。
寅さんファンを自称するなら、観ておくべき映画だと思う(宗教的見地から)。

映画館の壁に、シリーズ全作のポスターが縮小版で集中展示されていた。

 


あらすじ (詳細は映画ウォッチさん参照)
寅さんの甥、諏訪満男は、サラリーマンを辞めて小説家になり、ようやく認知され始めたところ。
一人娘のユリは中学生。

 

妻が亡くなって六年、実家の「くるまや」で営まれる妻の七回忌。

 

寅さんの「メロン騒動」の話で盛り上がる。
タコ社長の娘朱美が満男に再婚を勧めるが、気のない満男。

出版社担当の高野節子がセットしたサイン会で、思いがけない人に会いドギマギする満男。

 

高校時代につき合っていた泉だった。彼女はヨーロッパで結婚し、今は国連の難民関係事務所の職員として働いており、今回上司に付いて来日していた。

本屋で満男の名を見て来たという。
泉を、寅さんがかつて恋していたリリーが経営するジャズ喫茶に連れて行く満男。

 

二日程度の休養が取れるというので実家の「くるまや」に泉を泊める満男。

 

翌日、介護施設に居るという泉の父一男の元へ車で送る満男。

父の浮気が原因で離婚したため、未だに両親とうまく行かない、と泉。

渡欧したのもそれが原因。
施設では母の礼子が待っていた。今は関係ないものの、やむなく付き合ったという状況。
一男に、そばに居て欲しいと言われるが日本に住めないと言って断る泉。

 

施設からの帰路、父の面倒をどうするかで喧嘩となる母娘。

寅さんの事を思い出して二人をとりなす満男。

翌日、欧州に帰る泉を空港まで見送る満男。父の事は力になると言った満男に泉は、今度は奥さんに会わせてと言った。
そこで別れ際、ようやく妻が既に亡くなっている事を打ち明ける満男。泉に負担をかけたくなくて黙っていた。
走って駆け寄り満男にキスする泉。

「満男さんのそういう所が好き」

 


過去の予告編一覧

1.1969 男はつらいよ                    光本幸子
https://www.youtube.com/watch?v=5aALSxkwqT0
2.1969 続・男はつらいよ                佐藤オリエ
https://www.youtube.com/watch?v=rvx6DIaa4p4
3.1970 男はつらいよ フーテンの寅  新珠三千代
https://www.youtube.com/watch?v=k1hSNlX2tXg
4.1970 新・男はつらいよ                栗原小巻
https://www.youtube.com/watch?v=tQTqUGpa4RY
5.1970 男はつらいよ 望郷篇             長山藍子
https://www.youtube.com/watch?v=CeeZ1ILAr-o
6.1971 男はつらいよ 純情篇            若尾文子
https://www.youtube.com/watch?v=mjXdZgeVlhA
7.1971 男はつらいよ 奮闘篇             榊原るみ
https://www.youtube.com/watch?v=cpzWm1r-0tQ
8.1971 男はつらいよ 寅次郎恋歌     池内淳子
https://www.youtube.com/watch?v=CZF-AvcUESI
9.1972 男はつらいよ 柴又慕情         吉永小百合
https://www.youtube.com/watch?v=sG6FBeCWytw
10.1972 男はつらいよ 寅次郎夢枕     八千草薫
https://www.youtube.com/watch?v=0phOKGhQRLg
11.1973 男はつらいよ 寅次郎忘れな草    浅丘ルリ子
https://www.youtube.com/watch?v=oE7zk7_z7zY
12.1973 男はつらいよ 私の寅さん        岸惠子
https://www.youtube.com/watch?v=w_AeYF4925o
13.1974 男はつらいよ 寅次郎恋やつれ      吉永小百合
https://www.youtube.com/watch?v=AsBNGJJyyCk
14.1974 男はつらいよ 寅次郎子守唄      十朱幸代
https://www.youtube.com/watch?v=DnUOAkNVZAo
15.1975 男はつらいよ 寅次郎相合い傘     浅丘ルリ子
https://www.youtube.com/watch?v=c-S94oFF60c
16.1975 男はつらいよ 葛飾立志篇     樫山文枝
https://www.youtube.com/watch?v=swfx5wtKNSY
17.1976 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け  太地喜和子
https://www.youtube.com/watch?v=7apeNau2Cg8
18.1976 男はつらいよ 寅次郎純情詩集      京マチ子
https://www.youtube.com/watch?v=Uk1dCpjtaqI
19.1977 男はつらいよ 寅次郎と殿様      真野響子
https://www.youtube.com/watch?v=ZZJYW5I6mkU
20.1977 男はつらいよ 寅次郎頑張れ!      藤村志保
https://www.youtube.com/watch?v=rRFghY-_smw
21.1978 男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく  木の実ナナ
https://www.youtube.com/watch?v=fRxCAZu9sWU
22.1978 男はつらいよ 噂の寅次郎      大原麗子
https://www.youtube.com/watch?v=tmq9MYFz5cs
23.1979 男はつらいよ 翔んでる寅次郎      桃井かおり
https://www.youtube.com/watch?v=ANn8Ik9wiFA
24.1979 男はつらいよ 寅次郎春の夢      香川京子
https://www.youtube.com/watch?v=-aspXIey6bI
25.1980 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花  浅丘ルリ子
https://www.youtube.com/watch?v=hpojmcb1AYc
26.1980 男はつらいよ 寅次郎かもめ歌    伊藤蘭
https://www.youtube.com/watch?v=B0ycz4el3j8
27.1981 男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎    松坂慶子
https://www.youtube.com/watch?v=ROZbzGZ3unU
28.1981 男はつらいよ 寅次郎紙風船    音無美紀子
https://www.youtube.com/watch?v=_5dmOgk8ApM
29.1982 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋  いしだあゆみ
https://www.youtube.com/watch?v=uDOsscheA4A
30.1982 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎     田中裕子
https://www.youtube.com/watch?v=KSo9-2hhUTQ
31.1983 男はつらいよ 旅と女と寅次郎    都はるみ
https://www.youtube.com/watch?v=dBjho-DiV0I
32.1983 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎    竹下景子
https://www.youtube.com/watch?v=wiaQvJ7EE2o
33.1984 男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎  中原理恵
https://www.youtube.com/watch?v=oHuorirKLDY
34.1984 男はつらいよ 寅次郎真実一路      大原麗子
https://www.youtube.com/watch?v=CHA-EEVxIfE
35.1985 男はつらいよ 寅次郎恋愛塾      樋口可南子
https://www.youtube.com/watch?v=ZxVNmVgm8lg
36.1985 男はつらいよ 柴又より愛をこめて  栗原小巻
https://www.youtube.com/watch?v=cEWTQxkrrxY
37.1986 男はつらいよ 幸福の青い鳥      志穂美悦子
https://www.youtube.com/watch?v=it05AG-k4iA
38.1987 男はつらいよ 知床慕情      竹下景子
https://www.youtube.com/watch?v=uhK8zR_mBpU
39.1987 男はつらいよ 寅次郎物語      秋吉久美子
https://www.youtube.com/watch?v=KBS-zkh3Oz0
40.1988 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日  三田佳子
https://www.youtube.com/watch?v=2vb5UiQ3JmU
41.1989 男はつらいよ 寅次郎心の旅路      竹下景子
https://www.youtube.com/watch?v=8MnrfBVAuYE
42.1989 男はつらいよ ぼくの伯父さん  檀ふみ、後藤久美子
https://www.youtube.com/watch?v=3Hcigfyd4Vs
43.1990 男はつらいよ 寅次郎の休日  夏木マリ、後藤久美子
https://www.youtube.com/watch?v=sbIODk6yXKg
44.1991 男はつらいよ 寅次郎の告白  吉田日出子、後藤久美子
https://www.youtube.com/watch?v=JIWWXVOAvZ0
45.1992 男はつらいよ 寅次郎の青春  風吹ジュン、後藤久美子
https://www.youtube.com/watch?v=O134XInkOzI
46.1993 男はつらいよ 寅次郎の縁談           松坂慶子
https://www.youtube.com/watch?v=5FDJK6D_JPc
47.1994 男はつらいよ 拝啓車寅次郎様        かたせ梨乃
https://www.youtube.com/watch?v=iCGRLSmvj2U
48.1995 男はつらいよ 寅次郎紅の花           浅丘ルリ子
https://www.youtube.com/watch?v=gRMb740LLZw
49.1997 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇  浅丘ルリ子
https://www.youtube.com/watch?v=qnrKTMeRXs4

 

 

フォード vs フェラーリ 2020年

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監督 ジェームズ・マンゴールド
脚本 ジェズ・バターワース

 

キャスト
キャロル・シェルビー   - マット・デイモン
ケン・マイルズ       - クリスチャン・ベール
リー・アイアコッカ      - ジョン・バーンサル
モリー・マイルズ      - カトリーナ・バルフ: マイルズの妻
ヘンリー・フォード2世  - トレイシー・レッツ
レオ・ビーブ                - ジョシュ・ルーカス: フォードの副社長
ピーター・マイルズ       - ノア・ジュープ: マイルズの息子
エンツォ・フェラーリ      - レモ・ジローネ
フィル・レミントン       - レイ・マッキノン: シェルビーの工場責任者
ロイ・ラン                 - JJ・フィールド: フォードのチーフエンジニア

 

 

予告編

Best Scenes

 

 

感想
予告編をチラチラ見ながら、公開日を楽しみにしていた。
カーレースを題材にした映画は「男と女」が有名だが、ル・マンを扱ったものとしてはスティーブ・マックィーン主演の「栄光のル・マン」だろう。チームのために勝ちを譲るといった話だったと思うが、今回作品にも繋がる。

ル・マンでの優勝経験もあるが、心臓病のために車のセールスをやっているシェルビーと、レースに卓越した能力を持つが、商売にはイマイチ向いていないケン。
それを繋げたのがル・マンで勝ちたいという「フォード」。

もちろんフォードGT40は、あの頃のカーキチ少年のあこがれ。
本物が走ってるってだけで感動(笑)。

それに腹に響くエキゾーストノート。
ストーリーを追うというより、レースの現場に立ち会っているという臨場感で、アッという間に時間が過ぎた。

 

話の構造としてはシンプル。

業績不振のフォード復活のため、幹部のアイアコッカがレース参戦を社長に吹き込んだのが発端で、歯車が回り始める。
ネットでいろいろ調べてみると、内容はおおむね史実通り。

ただ副社長のレオはややオーバーか。

 

中でも印象深かったのは、ケンとピーターの親子関係。レースや商売では相手とトラブルばかり起こすが、息子に対しては徹底的に優しい。またピーターも父を尊敬している。

 

渡欧の前日、ピーター手作りのコースを使って、父がていねいに説明をしているところで、何故か涙が出てしまった。
あの年頃の息子に対して、自分はそこまでキチンと向き合っていなかったナー、という後悔。
ピーターも、ケンが事故に遭った後でメカニックのフィルに、耐火スーツを着てても死ぬの?と聞く場面がある。

父を思う気持ちが判るだけに、慎重に言葉を選ぶフィル。

 

こんな場面もあった。ケンとシェルビーが取っ組み合いのケンカをしている時、シェルビーが思わず缶詰を手にするが、慌てて袋物を掴み直してぶつける。こいつら本気じゃないな、と笑った。

 

それから、ディスクブレーキが赤熱している様がとにかく印象深かった。やや演出の部分もあると思っていたが、実車のベンチテストでは実際真っ赤に焼けている。すごい世界やなぁ。

 

一つ、ちょっと惜しいと思うのはレース自体がフェラーリの自滅で、フォードの圧勝により勝負の緊張という点での興奮が少なかった事。

でもこれは事実だからしゃーないか。

 

それから、主役としてはやはりフォードGT40メインなんだから、改良の過程とか耐久性の向上に何をやったか等、少しハード面に踏み込んでも良かった。
何せル・マン(カーレース)はドライバーもさることながら、裏方にこそドラマがあるのだから。

 

最後に音楽。どの場面でも、エンジン音が基本にあって、それに乗せて行く様に少しずつ音楽が入って来る。
実に控えめだが気が付くと「あ、流れてる」といった感じ。


もう一つ思い出した、ダメポイント。
ル・マンのレースで、シェルビーがフェラーリチームに対して、ストップウォッチかっぱらったり、ホイールナット転がしたりの嫌がらせ。
元々ブレーキアッセンブリの交換が問題ない事を、ルールブック読み込んで反論したんだから、基本はフェアプレイでしょう。

こんなつまらない事で笑いを取ってどうする!
これにはマジ幻滅。

 

オマケ
実録の1966年ル・マン。やっぱホンモノは違う。

https://www.youtube.com/watch?v=AdpWTLB0Y4I

 

 

あらすじ
1969年。ル・マン24時間レースを走るキャロル・シェルビー。アメリカ人として初の優勝。
その後心臓病の悪化でレーサーをリタイヤしたシェルビーは、スポーツカーの製造会社「シェルビー・アメリカン」を設立。

ル・マンで優勝した知名度を利用して車を売る。

 

自動車の整備・修理工場を営むケン・マイルズ。

客が苦情を持ち込んでも、乗り方が悪い、と軽くあしらう。
妻のモリーは、車が好きでケンと結婚した様な女。

そして一人息子のピーター。

 

自分の会社でラインを止めさせる、社長のヘンリー・フォード二世。

社員に大声で、アイデアのある者は提案しろ、それが出来ない者は家に居ろ!と叫ぶ。

 

SCCAが主催する自動車レースに出場するケン。

シェルビーも車を提供する立場で参加している。
ケンが出場する車のトランクルームが小さくて既定のトランクを入れた時に閉まらない。検査官が失格だ、と騒ぐのに文句を言うケン。

シェルビーが聞きつけてとりなしている間に、ケンがトランクリッドの裏をスパナでガンガン叩き、閉まる様にした。

何とか話を収めたシェルビーがからかうと、頭に来たケンがスパナを投げ付ける。それが自分の車の風防に当たって破損。
テープで修理した風防を誰かが聞くと「ニューデザインだ」
そのレースで勝利するケン。
だが親子が意気揚々と帰って来た時、整備工場が国税局に差し押さえられた事を伝えるモリー。
レースから足を洗ってキチンと稼ぐと言い、トロフィーや盾を捨てるケンだが、それを内緒で回収するピーター。

 

社長のフォード二世に、将来を見越してレースで勝つ事が必要だと上申するリー・アイアコッカ。

そのためのフェラーリ買収に向けて交渉に行くアイアコッカだが、レーシング・チームを手放したくない社長のエンツォ・フェラーリが破談にした。そしてフォードの車と社長本人を罵る。
フォード二世はそれを聞いて激怒し、ル・マンでの勝利を命じた。

 

アイアコッカは、シェルビーのところに出向き、協力を頼んだ。目標は90日後に開催されるル・マン。キーマンに心当りがあるシェルビー。

シェルビーからフォードのル・マン参戦を聞いて、200年先の話か?と聞くケンは、きっぱりとオファーを断る。

新車発表のセレモニーだけは来てくれと頼むシェルビー。

 

新車発表の当日にピーターを連れて行くケン。

新車はフォード・マスタング。
ピーターが車に乗り込もうとするのを副社長のレオ・ビーブが止めた。
それを知ったケンが、レオに向かってマスタングの欠点を思い切り並べ立てる。
セレモニーの場で、フォードがル・マンに参戦する事を宣言するシェルビー。

 

参加する気が全くないケンを訪れ、30分だけ欲しい、と引っ張り出すシェルビー。
夜の空港でGT40のプロトタイプを見せると、早速乗り込み走り回るケン。そして次々に改善点を指摘する。

メカニックのフィル・レミントンはそれを全て採用する、と確約。

 

妻モリーの運転で助手席に座っているケン。突然スピードを上げて追い越しをかけるモリー。

https://www.youtube.com/watch?v=gqI8sfEvwEY

仰天して止めるよう懇願するケン。モリーにはル・マンには関わらないと言っていた。
シラを切るケンに、更にスピードを出すモリー。

やらないと言っていたのに、と怒るモリー。
工場の差し押さえを食らっている状況で、金の事が一番心配。「お金をもらって」と訴えるモリーに「週200ドル、経費は別」と言うケン。

モリーの態度が変わった。


GT40の改良が本格的に進む。
ル・マンへの準備が進む中、レオがシェルビーに、ケンをドライバーから外すよう要求。ケンは開発のキーマンだと突っぱねるが、クライアントでもあり無視出来ない。
参加メンバーに渡航チケットを配って回るシェルビー。

当然参加と思っているケンに宣告するシェルビー。
ギヤボックスが弱いから大事に乗れ、と言って去って行くケン。

 

1964年、ル・マンのラジオ中継を工場で作業しながら聞くケン。

フォードのトラブルを聞いて「ガスケットだ・・・」
そこにモリーが食事の差し入れに来た。

ラジオを音楽に変え、ビールの栓を抜いて乾杯。
結果。フォードは全車リタイヤ。

フォード本社に呼び出されるシェルビー。負けた言い訳を言わせようとする社長に、直線では350キロ以上出た事で、はっきりとフェラーリに恐怖を抱かせた、と堂々と返す。

そこから先を話そう、と奥へ促す社長。

 

アイスを買って家に戻る途中のケンに声をかけるシェルビー。

ギヤボックスが弱かったと言う、シェルビーに追い打ちをかけるケンとの間で殴り合いが始まる。

見物を決め込むモリー。

ケンカに疲れたところへ、モリーがコーラを持って来て渡した。

https://www.youtube.com/watch?v=6zxw7bneSA4

 

GT40の開発は更に進む。
テストコースをピーターと歩くケン。コーナー手前の、このクラックが減速ポイント、とドライビングテクニックの説明をするケン。
テストの最中にブレーキが利かなくなり、車が火災を起こす。

 

辛くも脱出したケン。ブレーキングシステムの見直しが必要。

心配するモリーとピーター。

 

再び以前の様にケン外しを要求するレオは、レース運営のトップだった。心配するケンに、信じろと言うシェルビー。

ただハイリスク、とだけ言った。

テストの現場に、社長が幹部を伴って視察に来た。

数百万ドルの投資の確認。
レオを会議室に閉じ込め、その隙に社長を助手席に乗せるシェルビー(sat on my nuts)

飛行場内を全速で走るシェルビーに悲鳴を上げる社長は、これほどとは、と愕然とする。


これはケンが開発した、と言うシェルビーに、レースはレオに任せていると言う社長。
だからあなたに話す。ケンがデイトナに勝ったらル・マンに出して欲しい。負けたらシェルビーの会社をフォードに譲る・・・・

https://www.youtube.com/watch?v=kBAQqQZYX1I

 

デイトナのレースが始まる。スタート時の事故で順位を落とすケンは、何とかガマンのレース。エンジン回転を6000rpmに制限するシェルビーにもっと行ける、と進言するが許可されない。
ケンと別チームを率いるレオは、ピットクルーに特別チームを使い、ケン達より短いピットイン。
そんな中でもじわじわ順位を上げるケン。

レオがピットクルーに電話を掛けているのを見つけるシェルビー。

ピットクルーの一人が指示用の看板をコースに出そうとするのを奪う。ケンへのスローダウン指示だった。
シェルビーはとって返して看板に殴り書きをしてコースに向かい、ケンに指示を出す。「7000 UP OK!」
そこから快進撃を始めるケン。最終では9000rpm。

ゴール寸前でレオチームの車をかわして一位になるケン。

 

1966年のル・マン
フランスへの渡航前夜、夜更かししているピーターの部屋に入るケン。ピーターが手描きで作ったル・マンのコースを指で辿って攻略法を話した。その様子を黙って観ているモリー。

フランス入りした後の試合前夜、ホテルから出てコースを見に行くケン。ピットにシェルビーが居た。
軽い話をした後、ケンは第一コーナーまで歩く、と言ってコースに出た。

 

レース当日。他の選手とスタートラインに立つケン。そしてスタート。


だがケンの車のドアが閉じない。

スピードが上げられず順位を落とすケンは、ピットインして訴える。

メカニックのフィルがゴムハンマーでドツいて閉めた。
次第に順位を上げて行くケン。
中盤で二台のフェラーリの一台が事故でリタイヤ。
イタリアチームのストップウォッチをかっぱらうシェルビー。

ブレーキパッドがなくなり事故寸前となってピットインするケン。ブレーキを全体交換する作業を開始。フェラーリがそれを見て抗議し、ジャッジが反則だと警告するが、ルールブックを隅々まで読んでいたシェルビーとケンは問題ないと一蹴。
その後嫌がらせでフェラーリのピットにホイールナット一個を転がして行ったシェルビー。

 

一周遅れを挽回するために一位のフェラーリを抜くケン。

もう一回追い付かなくてはならない。
ゴボウ抜きを繰り返して、再度一位のフェラーリに近づく。
激しいデッドヒートの中で、フェラーリがオーバーレブを起こしてエンジンがダメになる。フェラーリは全滅。

https://www.youtube.com/watch?v=EW8f3_fOXoU

 

フォードチームの三台は健在で1、2、3位確定。
その時レオが三車同時のゴールインを社長に提言。

ケンは今休憩中で、その後ゴールまで彼の運転となる。

この車は一周近くリードしていた。
レオがシェルビーにスローダウンを指示するが、運転するのはケンだ、と突っぱねる。
その事を知るケンに、お前が決めていい、とシェルビー。

 

そしてピットインでケンに交替。

ガンガンに飛ばして周回のコースレコードを立てるケン。
ぶっちぎりのトップになるかと思われたが、最後でスピードを落として他の二車を待つケン。ケンはチームリーダーでもあった。

そして三車同時にチェッカーフラッグを受ける

 

だがお祝いの騒ぎの中で三車同着ではなく、スタート時後方に居たレオのチームの車が一位と認定された。
「この事を知っていたな!」とレオに食ってかかるシェルビー。
その結果を冷静に受け止めるケン。

 

次の改良に向けて車のテストを繰り返すケン。

だがコースの奥で爆発が起き、黒煙が上がった。
目の前で父の死に直面するピーター。

 

ケンの死から半年経っても、仕事に身が入らないシェルビーを心配するフィル。
ケンの家のそばに車を止めるシェルビー。そこにピーターが来る。

ケンが投げて車の風防を壊した時のレンチをピーターに渡したシェルビー。

 

 


男と女   1966年 フランス(再レビュー)

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監督 クロード・ルルーシュ
脚本 クロード・ルルーシュ、ピエール・ユイッテルヘーベン
音楽 フランシス・レイ、バーデン・パウエル

 

キャスト
アンヌ               アヌーク・エーメ
ジャン・ルイ・デュロック   ジャン=ルイ・トランティニャン
アントワーヌ          アントワーヌ・シレ

 

 

予告編

 

感想
フォードvsフェラーリ」で昔のカーレース映画を思い出した。
オープニング、無人でノロノロ動く車にビックリ。

実はジャン・ルイの息子が運転しているので頭が見えない。
お互い連れ合いを亡くした男女が、子供を通わせている寄宿舎の縁で結びつく。
子供の親同士という関係から、お互いの過去が次第に明らかになって行く。この辺りの距離感の詰め方が絶妙。

 

お互いに惹かれ合うが、連れ合いを亡くした苦い思い出が蘇える中、その先に進めないアンヌ。

駅まで送った後、車内で悪態をつくジャン・ルイ。

そこまで言うなら行かなきゃいいのに、結局次の駅へ先回り。
要するにフランス人特有の「お約束」か。そーゆー恋愛はできんナ・・・・

 

カーレーサーのジャン・ルイがフォードGT40の操縦をしている場面がある。実は昔観た時は全く印象がなかった。
それからアンヌが亡き夫とブラジルへ行った時のエピソードのバックで流れる「サンバ・サラバ」はバーデン・パウエルの曲。これもイイ。

 

ところでこの映画の続編「男と女 人生最良の日々」が今月末から公開らしい。主演は当時と同じアヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャン。dramatiqueさんのレビューはコチラ(試写会で観たそうな)。
行きつけの映画館ではやらないので、ちょっと検討中・・・

 


あらすじ
娘にあかずきんの話を聞かせる母親。
息子に車の運転をさせる父親。車は赤のマスタング(オープンカー)。

美しい夕暮れ。寄宿舎に娘を帰す母親。
次いで父親が戻る。息子はアントワーヌ。二年間世話になっている。
帰りの電車に乗り遅れた母親。娘はフランソワーヌといった。

 

声を掛ける男は、家まで送ると提案。母親はアンヌ、男はジャン・ルイ。
ご主人の話を聞くジャン・ルイに、スタントマンの夫の話を饒舌に話すアンヌ。アンヌは映画監督の補助をしており、夫と同じ職場。

平穏な人生ですね、とジャン・ルイ。
夫と一週間ブラジルへ行った話。アントニオ・カルロス・ジョビン、バーデン・パウエル。サンバ好きの夫。
彼女の家まで送るジャン・ルイ。パリ、ラマルク通り18区。
来週よければ一緒に、ご主人にも会いたいと言うジャン・ルイにアンヌは、夫は死んでると答える(撮影中の事故)。行けるかどうか判らないと言いながらも電話番号を告げるアンヌ(モンマルトル1540)。

 

レースカーの整備を指示するジャン・ルイ。コースに出て車体の状態チェック。第35回モンテカルロ・ラリーへの出場が決まっている。

 

アンヌを誘って寄宿舎に向かうジャン・ルイ。

 

ラジオのニュースでカップルの自動車事故の報道。
職業を聞かれて、自動車のテストドライバーとあいまいに答えるジャン・ルイ。子供たちも一緒に、二家族で食事をする。


仕事の話を聞かれ、専門的になってしまうジャン・ルイ。

レースで一番大切なのはエンジン音。

141マイル出せばスピン、139では負ける。

 

子供をダシにして船に乗るジャン・ルイとアンヌ。仲がいい子供たち。


老人が愛犬を連れて歩くのを見てジャコメッティの話をするジャン・ルイ。火事になったらレンブラントの絵より猫を助け、放してやると言った。「芸術より人生を」だ。感動的だわ、とアンヌ。

 

帰りの車でアンヌの手を握るジャン・ルイに「奥さんの話を」とアンヌ。
事故で病院に担ぎ込まれたジャン・ルイ。3時間の大手術。
妻は動揺し、ショックで居たたまれず自殺した。

モンテカルロ・ラリーに出るつもりだ、と言うジャン・ルイは、終わったら家に行くと言ってアンヌと別れた。
家に戻ると女がいた。そして雑誌記事を見せる。そこにジャン・ルイの記事「400キロの恋」。事実だ、と話し女と別れるジャン・ルイ。

 

ラリーのスタート。参加273台。雪道で事故多数。
ゴールしたのは42台。優勝して表彰台に上がったジャン・ルイ。
パーティ会場に電報を打つアンヌ「ブラボー 愛してます アンヌ」

祝賀会で電報を受け取ったジャン・ルイは、レース車をそのまま使ってアンヌの家へ行くが、管理人の話では娘に会いに行ったという。

 

警察を装ってホテルを聞き出して向かうジャン・ルイ。
再会し、愛し合う二人。だがアンヌの心にはまだ夫の事がしっかり残っていた。急速に醒めて行くアンヌ。
「なぜだ?」の問いに「夫のせいよ」 「彼は死んだ」 「私の中ではまだ死んでいないの」
電車で帰るというアンヌを駅まで送るジャン・ルイ。

 

車の中で一人ボヤくジャン・ルイ。幸福を取り逃がした。電報までくれたのに、女心は判らない。
夫も、どうせイカれた奴だったんだろう、似合いのカップルだ・・・・

 

だが結局アンヌの到着する駅に先回りして列車を待つジャン・ルイ。
列車から降り、一人歩くアンヌ。そしてジャン・ルイの姿を見つける。
抱き合う二人。

 

 

新聞小説 「カード師」 (7) 中村 文則

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朝日 新聞小説 「カード師」(7)  1/16(104)~1/28(116)
作:中村 文則  画:目黒 ケイ

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感想
長い過去話から、ようやく現在に戻って来た。
市井を追うために始めた作業は、実に危険なもの。

だって自分のものが盗まれてるんだから、今までの市井との会話がどうして信じられる?
警察関係者を装っても、こちらの顔はバレるわけだし、面接に行ったのが三年前だという話も、渡された履歴書も罠の可能性大。
そんな時に、呑気にいかさまポーカーなんてやってていいのか?(笑)
チェック柄の、二軍ピッチャー時代の話もイマイチ刺さらない。

 

そしてびっくりなのは、山本からの「殺人指令」
そもそもスマホを手渡しされたのは、通信履歴をプロテクトするためだろう。端末を押さえられたら全てが暴露される。だから「僕」のスマホに指令を出した時点で、山本は大きなリスクを背負う筈。
この辺がホントにザルで、ちょっと話に入って行き辛い。
山本を占うと言っても、ただ皇帝のカードの写メ送って「洗脳」って・・・

この辺りの幼稚さ、何とかならんか。

 

そして封印した筈のブエル復活~ 伏線活用の第一弾か・・・・・
しかしこの僕ちゃん、ハッキリ顔が出てしまうとイマイチ気が抜ける感じ・・・   挿絵はキレイだが、それだけで終わっている

 


あらすじ104~116
<現在--幸運/不運> 1~13
市井が並べていたカード。<世界> <愚者> <棒8>
今までの事を思い出す。
英子氏からの依頼を受けて佐藤の占い師になったが、その後依頼者は山本に変更となった。死人も出て、新たな依頼が下された。

そんな状況で、占いの顧客だった筈の市井が、僕から様々なものを奪った。
昨夜、行為の後手渡しされたグラスの水を飲んでからの記憶がない。


なくなったものは英子氏と山本から渡されたノートPC、そして佐藤の髪と爪。別のグループの可能性。心当りはあった。

市井はこれが目的で近づいたのか?
何を優先させるべきか。それとも逃げた方がいいのか。
思わずタロットカードに指が伸び、苦い笑いが湧く。

 

警察関係者を装い、市井が面接を受けたという会社を訪問する。

その会社は実在していた。
対応した四十代の男が面接担当の役員。「市井紗奈」は面接には来たが、採用には至らなかったがと言う。それも三年前。
同情を引く感じがあり、面接官の一人が高圧的な態度を取った事もあって記憶に残った。
彼女について、ずっと被害者に思えたという印象を伝え、殺されたんじゃないかと言う男。
ずっと被害者でいる人間などいない、それはあなた達が彼女に対しそうであって欲しいと思っているだけ、と不要な言葉を伝える僕。
その言葉を聞いた男が、しばらく席を外した後、彼女の履歴書を持って来た。折り畳んであった形跡があり、多分個人的に持っていたもの。

それを収穫として去る僕。

 

深夜の違法賭博場でディーラーとして場を受け持つ僕。

相手は眼鏡の男。仕込んだカードを各プレイヤーに配る。


次にめくったカードは♡8。眼鏡の手札はフラッシュ。

それに対して隣りのチェック柄はフルハウス。
チェック柄が賭け金を上げ、それは一千万以上となった。

勝利を確信した眼鏡はそれに応じて同額を賭ける。
次いでチェック柄がオールインして四百万を上乗せし、眼鏡も倣った。
最後のカードは♠3。眼鏡の男は千二百万を負けた。

 

やり過ぎだ、との僕の言葉に甘い、とチェック柄は言い、逆に手札の整え方を咎めた。
あの男が、目の前の♡8という幸運を手放せるか見たかった、と僕。
あの時、眼鏡の男は平静を装ったが、天気の話のやりとりの後立ち上がり、床に崩れ落ちた。
チェック柄は続ける。

あのカードを無視する人生を選んで、何が面白い?
やり過ぎだ、とは言ったが、あれは抗えない。

賭博の魔力で自分を失う快楽と、彼らを誘導する快楽。

 

午前五時。チェック柄が煙草に火を点け、しばらく東京を離れると言った。自分が使った人間がミスをしたその尻拭い。
どんな依頼だったかも言わない。
また、彼らが一番恐れているのはスパイらしい、との言葉に鼓動が早くなる。
スマホを奪われた事は伏せ、山本には破損したと告げていた。

既に依頼を送っているからまた送る、と山本。
つまり依頼内容は奪った人間に知られている。
スパイを恐れるのは組織が強く規律化して行く時の自然な流れ。

こういう時にまずいのは他と繋がっている人間。
僕も姿を消した方がいいかも知れない。逃げるか、市井を見つけてうまく対処するか。決められない。

 

占いもするんだよな、と聞いたチェック柄が二十年近く前の話を始めた。プロだったが二軍止まりのピッチャー。
二軍戦で中継ぎとして出た時、怪我で調整中の一軍選手と対戦した。
一球目インコースのボール球を見送り、二球目のインコースも見送り。それはストライクだった。
インコース攻めの後のアウトコースへスライダー、とのリードに従い投げた。完璧な最高の球だと思ったと同時に、必ず打たれるとの予感。


球は見事にライトスタンドへ入った。
スライダーではなく、逆方向に曲がるシュートにすべきだった、との思い。覚えたてのシュートを投げる選択が、その時出来たか・・・
結局そのチャンスを逃し、別の者が一軍に上がって投げた。
その話をしても、何も込み上げるものがないのに困惑するチェック柄。
野球は、ピッチャーが投げる事でしか試合が始まらない。

指先が深く関わるから、より精神が影響する。
その後怪我をし、甲子園の経験もなかったから、満員のスタンドで投げた経験がない。自分の一球からゲームが始まる瞬間を、一軍の舞台で経験する事が出来なかった。
もしお前があの時の俺を占っていたら判ったのか?スライダーじゃなくシュートだと・・・
そうしたら俺の人生はどうなっていたのか・・・

 

市井の履歴書にあった職歴の会社を回ってみたが、全て倒産していた。二日目にして行き詰まり。
明日、佐藤に会うことになっている。

用件は不明だが、爪と髪を悪用されていたら命はないかも。

 

山本からメールが届く。

先日、前に送った依頼を再度送ると言っていた。
メールを見る。佐藤を殺せと書かれている。

 

山本に電話をかける。
決まったことだ。やらなければお前を殺すことになる、と山本。
関わり過ぎているから、もう断れないとも。
なぜこうも無造作なのだろう。英子氏の言った「知性を持たずに、知的世界の支配権を握ろうとしている」
自殺に追い込むのが理想だが、殺すことになっても後の心配はない。幹部のイスが約束される。
委ねろ、私たちに・・・・悪いようにはしない。

彼らの言う通りに動けば、そうなるのだろう。
方法は考えると言い、山本にあなたの事を占ったと言う僕。
そして、今年はあなたの流れが劇的に変わると言って電話を切り、タロットの「皇帝」をスマホで撮って送った。

山本への洗脳。試す価値はある。

 

--久し振り。
ブエルだった。だが、久し振りと言いながら最近の夢には時々出ていたと言う。
君の人生が終わりに近づいているからだと言うブエル。

そうなる確率が高い。
遠くで鳴るサイレン。 「聞こえる?」 「うん」
注意深く聞いてみるといい。聞こえなくなるはずだ。

 

 

フレンチ・コネクション2   1975年  アメリカ

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フレンチ・コネクションはこちら

 

監督 ジョン・フランケンハイマー
脚本 ロバート・ディロン


ジミー・ドイル(ポパイ)   - ジーン・ハックマン
アラン・シャルニエ     - フェルナンド・レイ
ジャック              - フィリップ・レオタール
ブライアン                    - エド・ローター   米陸軍准将
アンリ・バルテルミー   - ベルナール・フレッソン
ラウール            - ジャン=ピエール・カスタルディ
バーテンダー        - アンドレ・ペンヴルン
老家政婦           - キャスリーン・ネスビット

 

予告編

 

感想
前作では解決しなかった事件。
シャルニエを追ってマルセイユまで来たドイル。一応NY市警からの依頼もあったのだろうが、冷たい対応のバルテルミー。

今回は前回の相棒ルッソは全く出て来ず、この男がバディ。
やりすぎポパイがここでも出しゃばって、潜入捜査官だった仲間を殺されてしまい、バルテルミーは怒り心頭。

 

そもそもドイルがマルセイユに来たのは、シャルニエに面が割れているドイルをオトリにしようというNY市警の作戦。

それをバルテルミーは知っていたため、ドイルの身の安全も考えて部下を尾行に付けていた。それを撒いたとたん拉致されたドイル。

緊急で医者の手配をしてドイルの命を救ったバルテルミー。

離脱症状の中で苦しむドイルに辛抱強く付き合う。

フランス人が野球なんかに興味あるわけがないのに、延々と話すドイル。そして回復して行くドイルの再生の過程。

 

ドックで逆にバルテルミーを救うドイル。
終盤でバルテルミーがドイルにパスポートと銃を渡した場面が好き。

その銃でシャルニエを仕留めたドイル。

この「2」も、最後に観たのがもう20年以上前。麻薬中毒から回復したドイルがヘロヘロになって走った末に、シャルニエを撃ち殺した場面ぐらいしか覚えておらず、バルテルミーの事もスコっと忘れていた。

特にカーチェイスなんかもなく、前作より地味ではあるが、本当に上質な映画を観たという印象。

駄菓子菓子(だがしかし)、あそこでシャルニエを撃ち殺したのは、実に良かったが警察としては明らかにやりすぎ。でも、まあいいか・・・

 

オマケ
「女はまだ早い」と言ったバルテルミー最高!

 

あらすじ
マルセイユ。ドックに入っている船には日本の地名(YOKOHAMA-KOBE)。日本人船長。コートの男(ジャック)がコンタクト。

タクシーから大きなトランクを降ろす、NY市警の「ポパイ」ことジミー・ドイル刑事。大人数で魚を捌いている。

バーターミーという男を探すが、発音が違うらしい。

あちこち回って会うとバルテルミーが正しい名。

マルセイユ市警のアンリ・バルテルミー警部。


魚の腹に麻薬、との密告でやっている仕事だが、一杯食わされた。

部下のラウールが「今日は4月1日(エイプリル・フール)」

 

署のトイレでドイルの資料を読み上げるバルテルミー。五人殺してる。うち二人は警官。
頼まれたから協力している、と迷惑そうに言うバルテルミー。

NY市警で押収したヘロインが消滅したための調査。内部犯行の可能性が高い。ドイルはシャルニエの逮捕が目的だと言うが「そういう名の者はいない」

 

日本人船長が公衆電話から連絡。ジャックが遊覧船に乗り、そこでバッグを受け取る男を追った先でアジトを知り、ガサ入れに行くが、見ているだけだとバルテルミーからクギを刺されるドイル。銃も持てない。

 

ガサ入れの現場で爆発が起こり、次々捕まる者たち。その中で一人逃げ出した。思わず追いかけるドイル。それに気付いてバルテルミーたちも追う。
長い追跡の後で、その男を捕えるドイルだが、追い付いたバルテルミーが、この男は違うと言って解放した。納得出来ないドイル。
だが解放された男が、少し行った先で倒れる。首を切られて絶命。
警察官だった。二ケ月の潜入捜査が無駄になったと怒るバルテルミーは「この町をなめるな」

 

ホテルでトランクの内貼りをはがし、銃と弾を出すドイル。

足に付けたホルスターにセット。

海辺のレストランで取引き相手の米陸軍准将のブライアンと話すアラン・シャルニエ。NYではどうやって警察から逃げた?との問いにNY市警83人のうち52人が意のままになる・・・
窓の外にドイルを見つけて驚くシャルニエ。

 

夜の酒場に行き、通じないながらも酒をおごりながらバーテンと仲良くなるドイル。その様子を窺う二人の男。


店を閉めたバーテンと二次会に向かうドイル。
翌日バルテルミーに尾行をやめさせろと言うドイル。「俺が見つける」

その後も町をブラ付き、浜辺でビーチバレーをする女性にも声を掛ける。
尾行を二人を撒き、ようやく自由になったドイルだが、数人の男に車で拉致される。もうろうとした頭で連れ込まれる時に見た「タンジール・ホテル」のロゴ。

 

撒かれたことを知ったバルテルミーが「奴が死んだら責任問題」と総出で捜索を始める。

捕われたドイルの前に現れたシャルニエ。「君の顔は二度と見たくなかった」 「NYではやられた、いい警官だ」と褒める。
ヘロインを注射されるドイル。

それは絶え間なく続き、正気を失って行く。
ベッドでもうろうとしているドイルの元へ老家政婦が来て、私にも息子がいた、と慰めるが、手をさすりながら腕時計を少しづつズラし、奪って行った。それに気付かないドイル。

 

部屋から引き出され、シャルニエの前に座るドイル。

腕をまくって注射を求める。

 

「吐くんだ!」という問いに「お前の顔を知っているから送られた。何も見つけていない」  「放り出せ」とシャルニエ。
署の前でターンする車。その勢いで転がり落ちる男。ドイルだった。
運び込まれたドイルはヘロインの多量投与で命の危険があり、医師総出で対応。心拍が止まると、体の下に板を入れて心臓マッサージ。
危機を脱したところでバルテルミーは、医師に口止め。

世間に判ったらドイルは警察に居られない。

 

ようやく話が出来るようになったドイル。あれから三週間、探し回ったというバルテルミーに「NYなら三時間で見つかる・・・ひでえ町だ」
体中が痛いという。禁断症状にさせるつもりか!と言うドイルに沈黙するバルテルミー。

そういう奴を見て来た。おふくろの名を呼んで壁に頭をぶつけて・・・ 
「おふくろさん呼ぼうか。諦めるな、じっとして寝てろ」

 

そこからは禁断症状との戦い。ハンバーガーよこせ、チョコバーがいいと要求を出すドイル。


だが酒を飲ますのが一番。高級コニャック。
ガキの頃の話を辛抱強く聞くバルテルミー。チームに強い奴がいた。

それが後のミッキー・マントル。それで諦めて警官になった・・・ ウィリー・メイズ知ってるか? 知らない。その後も続く野球のやりとり。
ドイルが泣いて「一回だけ打ってくれ」と頼む。 助けてくれ! 

それでも沈黙のバルテルミー。

 

それから数日後の差し入れ「朝食食べられるか?」 「食べてみる」
その後許された車での外出。だが手錠付き。

町を流して走るが、「あの時は頭を殴られて何も覚えてない」

ソフトを食べる女を見て「あれがいい」 

「女はまだ早い」と言うバルテルミー。


ソフトを食べながら「本当の事を言え、俺はオトリだろ?誰のアイデアだ?」  「誰でもいいだろ」
「歩かせてシャルニエに始末させる」 「普通ならすぐ気付く」
「俺がバカだからな」

懸垂、腕立て、腹筋を始めるドイル。 そしてランニング。

 

回復して町を回り始めるドイル。

例の「タンジール・ホテル」を思い出した。
夜になってバルテルミーにホテルの名を教えて

「水を大量に持って来い」
油入りのポリタンクを持ってホテルに乗り込むと、油を撒きながら上階に行き放火。焼け出される客や関係者。
消防車やパトカーが駆け付ける中、自分を襲った男の一人を捕まえるドイル。そして男が持っていたヘロインをポケットに入れる。

 

船(タロン号)の整備中のドックに潜入するバルテルミーたち警部とドイル。ヘロイン原料の取引現場を吐かせていた。
船体に取り付けられている部品を剥がしての積み込み作業。

だが見張りに見つかり銃撃船になる。ドックに水が入れられ、その中でバルテルミーが負傷。ドイルがそれを助ける。

警察側の人数が足りず原料を押さえることが出来なかった。

 

ドイルがアメリカに送還される事が決まり、パスポートを渡せと迫るバルテルミー。

彼らが帰った後、男から奪ったヘロインの袋が出て来た。

しばらくそれを見た後、袋を破くドイル。白い粉が床に落ちた。

 

ドックの船長が事情聴取を受けるが、舵の修理だと言い張る。
シャルニエは荷を受け取らないと金を渡さない、船長を泳がせろ。必ず接触する、と主張するドイル。迷うバルテルミーに 「命を助けた」

 

船長を見張るバルテルミーとドイル。
そして船長が動き出した。遊覧船でバッグがジャックの手に渡る。

どんどん人を交代させてジャックの追跡を行う。
バルテルミーがドイルにパスポートと銃を渡した。

突き止めたヘロイン精製工場。

そのブツは液状にして缶詰の形にして箱詰めされていた。
乗り込む警官たち。今度は十分な人数。

逃げるシャルニエを見つけで追うドイル。

 

シャルニエはトロリーバスに乗る。それを見て走って追うドイル。
バスが終点に着き、ドイルが探し回るが居ない。
その時、港から動力航行で出ようとするヨットに、シャルニエの後ろ姿がチラっと見えた。
確信を感じて海岸沿いにそのヨットを追うドイル。

道は障害物だらけで、柵も乗り越えよろめきながらの追跡。


何とか先回りして足首のホルスターから銃を出し、構えるドイル。


シャルニエは外海を間近にして甲板に顔を出した。


「シャルニエ!」の声に振り返る。
その胸に二発、銃弾が撃ち込まれた。

 

 

名古屋行き最終列車 2020 1/27~(5話連続)

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メーテレがこの季節に深夜枠で放送しているシリーズ。
最近は週一で10回も放送するから、2ケ月以上の長丁場となってイベント感が損なわれていたが、今年は基本に戻り、集中放送で5話に絞った(やっぱこれぐらいがイイ)

 

過去シリーズ

2016年 2017年 
2018年                  

2019年 ①~⑤話 ⑥~⑩話

 

番組告知(メーテレ)

 

第一話 1/27放送

いきさつは2019年の第三話参照。
中村公園近くの商店街で、八百屋を経営している山中みゆき(柚希礼音)。亡き兄夫婦の娘、花梨(野澤しおり)の親がわりとして働く。
歯が痛いが、怖くて歯医者に行かない花梨。
常連客に聞いて、催眠術で怖さを軽くする医者を紹介される。

 

店先で声を掛けられるみゆき。幼なじみの長田晴男。

外に出ていたが、戻って魚屋を継ぐことにした。

みゆきに気があるそぶりを見逃さない花梨。
店に来た客に、花梨がピアノを弾くのが上手だと聞いたみゆき。

花梨は両親が生きていた時にはピアノ教室に通っていた。
花梨をピアノ教室に通わせ始めるみゆき。

講師は全国レベルだと褒める。

 

歯の治療は催眠術のおかげで順調に進み、医師(上川周作)がみゆきに好意を抱いている事に気付く花梨。
その後みゆきらと晴男を交えての夕食。そこにラーメン屋の清(波岡一喜)も合流して盛り上がる。清は成功して、近々結婚の予定。
みゆきがトイレで中座した時、彼女がかつてバスケットで大活躍していた事を話す男たち。それがいきなり八百屋をやるからびっくりした。
「私のせいだ」と沈む花梨。

 

家の押し入れを調べてバスケットボールと、みゆきが活躍しているアルバムを見つける花梨。
ピアノ教室で「エリーゼのために」を弾く花梨に、小三で人生の憂いが表現出来ている、と絶賛する講師。

 

治療が終わったのに訪れた花梨に驚く医師。

「催眠術を教えてくださいっ!」と花梨。

次の日曜の3時、公園でみゆきが待っている、大事な話がある、と医師と晴男に話す花梨。
みゆきに催眠術をかける花梨。

3時になって最初に見た人を好きになる・・・・

 

予感があって、花を手に公園へ向かう医師と晴男。
だが3時ちょうどにみゆきの前に清が現れる。

結婚して~、と迫るみゆき。慌てて再び催眠術で「家に戻る」とかける花梨は、結婚が夢って事もないか、と考えを巡らす。

 

家でみゆきに催眠術をかける花梨。

「これから本当の気持ちを話します」
あなたが一番やりたい事は?の問いに
バスケットは大好きだった。
-花梨のためにやめた?・・・
やめたのは怪我をしたから。

このまま続けると歩けなくなると言われた。
そんな時に私と同じ様に絶望しているコを見つけた。
その子の母親になりたかった。私の新しい人生。
-その子の人生を背負っただけ・・・
違う。二人分の人生を生きている。

花梨と私は違うから、花梨の気持ちになるためピアノを始めた。
私も違うピアノ教室に通うようになりました。
今後は二度と催眠術にかからない、と言ってみゆきを目覚めさせる花梨。次の日からいつもの日常が戻る。

 

感想
亡き兄の遺児を引き取って、店も継いで奮闘するみゆきの奮闘物語。
叔母の苦労を思い、苦悩する花梨の切なさ。
他愛のない話だが、お互いの思いやりを感じてほのぼの出来る小品。

 

 

第二話 1/28放送

いきさつは2019年の第五話参照。
全国を逃げ回っていた男が神宮小路に舞い戻って一年。


ラーメン屋「えん楽」の営業が終わって、名古屋行き最終列車で家に帰る安田昌平(寺島進)。ホームを歩く女性に目を奪われた。

 

おでん屋でクダを巻く小夜子(石野真子)。

夫の今村(大杉漣)が新婚旅行の途中、ベトナムで店を出す事になり、自分一人帰って来た。信じられなーい!と怒る小夜子に大将らしい、と弁護する清(波岡一喜)。
清が帰ろうとして駅に行くと昌平がいた。最終に乗らないと、もう電車がない。俺の事はいいからと言う昌平とゴタゴタしているうちに電車に乗り損ない、またおでん屋へ。

 

どういう話?と聞く清に30年前の話を始める昌平。
店の金を盗んだ時、将来を約束した女がいた。独立して店を持ったら一緒になるつもりだった。金持って逃げた人間だから顔を見られない。戻って彼女がいた店に行ったが閉じていた。
それが一週間前に、その彼女を見た。
未だにこの界隈に住んでいるのは、待っててくれているんでは?と期待している昌平。それで待ち伏せしていた。
トイレから出られず、その話を聞いていた小夜子が出て来てバッサリ。女はそんな生き物じゃない。変な希望は持たないこと、と言われ、調子に乗り過ぎた、と帰る昌平。

 

街でその女性、木平涼子(中島ひろ子)とばったり出会う昌平。

お互いおじさん、おばさんと言い合った後、結婚約束していたのに悪かったと言う昌平だが、涼子は「そんなのしたっけ? 急いでるから、じゃあね」 と去って行った。

 

仕事に身が入らない昌平に、この間行ったラーメン屋が「えん楽」の味に近いから、とメモを渡す小夜子。
そのラーメン屋を訪れる昌平。実は涼子が営んでいた。

居抜きで買った店。やっぱり待っていてくれたと喜ぶ昌平に「そんなんじゃない」
自分のために勝負したかった、と涼子。 でも、本当はそうじゃない・・・

 

涼子と昌平が会った所を見ていた小夜子は、涼子の後をつけて店で彼女と話す。
実は、あの人が帰って来たらと思い金を貯めていた。

待つのが生活の一部。
最近TVにも出ているのは知っていたが、怖くて会えなかった。

忘れられてると思ってた。小夜子が昌平の気持ちを伝える。

貴女のことを置き去りにして30年、後悔してた。
会った時に取り繕って気のない応対をした事で、どうしたらいい?と聞く涼子。
待ってたと言ったら調子に乗られて主導権を渡すことになる、と小夜子。新しい恋を始める事にしたら・・・

 

涼子のラーメンを食べる昌平。「どこで勉強した?」
今村さんに教えてもらった。

 

私のために必要最小限の事を教えてくれて。
でも最近お客取られて客が減ってる・・・・
あ、オレ? えん楽かぁ
夜は閉めてコンビニでバイトしているという涼子に、少しでも役に立たせてくれ、と昌平。

 

涼子のラーメンを試食する小夜子。

おいしい♪ でもどうしてこんな事に?
店は客で満員。
えん楽でヒマにしているところを清が訪れる。

なんで客がいないんスか・・・
ライバル店に作り方を教えたと聞いて仰天する清。
いいじゃないか、持ちつ持たれつだろ・・・・


感想
昌平の過去にまつわる話。

捨ててしまった女性との再会に小夜子が一肌脱ぐ。
このラーメン屋の店主役だった大杉漣は2018年に亡くなったが、物語の中では生き続けている。
こうやって彼へのリスペクトが続くのが素晴らしい。

 

 

第三話 1/29放送


いきさつは2019年の第四話参照
女優を目指して三年。少しだけそっち方面に近づいている藤田未来(花澤香菜)はネット配信会社で働いている。

社長は山西(東根作寿英)
三ケ月前--
初めて番組を任された未来の「お助けクッキング」だが初回からドジ続きでアクセス数が伸びず、資金が続かなくて、今回が最終回。

劇団にも所属している未来は、置物のカエルを相手にセリフを言うが、途中で団長がダメ出し。

相手の気持ちが判るまで役をあげないと宣告される。

 

最終回の収録が始まる。スタジオと家庭とで同じ料理を作るという進行。家庭の方には七歳の翔太君。ピーマン嫌いの子にピーマンを食べさせる。メニューはピーマンの肉詰め。
突然ピーマンの気持ちになって独り言を言う未来。

せっかく栄養いっぱいで育ったのに嫌われて悲しい、と泣く。
それを手伝うと言うタマネギとひき肉。野菜たちと会話をしながら料理は進み、出来上がった料理を、翔太君はおいしいと言って食べた。
最後に、この番組が終わる事を告げて、ごきげんよう、と言う未来。

 

だがこの配信が話題を呼んでトレンド入りした。
ピーマンの気持ちになった会話が共感された。

これなら続けられるかも知れない、と山西。
そして始まった「お助けクッキング」の第二シーズンは好調で、本やグッズも売れ出した。

休日の山西にばったり出会う未来。スーパーの袋を持っていた。
番組の打合せに欠席した山西。離婚したらしい、とスタッフ。

この事業をやるのにも、奥さんが猛反対した。

 

次回のテーマはセロリ。十歳の女の子からの要望。


八百屋のみゆき(柚希礼音)に相談する未来。セロリは素材が勝負。いい生産者のものがいい、とスタジオに届けてくれた。

まずはそのまま食べて。シンプルなメニューがおすすめ。

 

番組の本番。その少女(なっちゃん)は、パパのセロリ嫌いの影響で自分も食べられず、それでいつもママとパパがケンカ。
この番組でいろいろ食べられるようになったけど、セロリだけがダメ。
パパとママのケンカはあなたのせいじゃない、と言って料理を始める未来。
セロリ、大根、キュウリをスティック状に切ってから、それに付けるディップを味噌とマヨネーズで作り、他にもソースを作って完成。
匂いがダメと言うなっちゃんに、それは最高級のもの、同じものを送ってある。食べてみて「おいしい♪甘い」となっちゃん。

 

これで慣れればパパも食べられる筈、と未来が言ったところで山西が飛び込んで来た。
くるみ、見てるかー、パパも食べるぞー、と言ってセロリを食べる。
うまい!おいしいよ。これでまた三人で暮らせるね、と少女。

奥さんとくるみは家に戻って来た。元々離婚したのではなく、山西の仕事を邪魔しないため、実家に避難していただけ。

 

劇団で団長が、料理番組を観たと言って、セロリを食べられる様にした未来を褒める。
未来を主役にした脚本を書いたという。題は「セロリ娘の大冒険」


感想
ネット配信の料理番組、といま風なテーマ。

野菜が目をくるくる動かしてしゃべる演出は、どうもイマイチではあったが、まあいいか(深夜ワクだし)

 


第四話 1/30放送


いきさつは2019年の第十話参照
鉄オタ高じて名鉄に勤める森本宗太郎(六角精児)。

元々は遺失物係だったが、どうしても果たしたい事があって一年前から車掌になっている。


鉄道に憧れて名鉄に入った鉄太郎。視力が悪くて運転士にはなれず車掌となったが、その仕事が嫌いだった。

 

ある日整備の先輩、鈴木さんが飲みに誘ってくれた。
そこでSR(スーパーロマンスカー)の事を教えてくれた人について熱く語る鉄太郎。
普通の人は誰にも好かれる花形、パノラマカーを好きになる。
40年前の子供の頃、鉄太郎はパノラマカーに憧れて、乗るまで帰らない、と母親を困らせていた。

そんな時にSRの事を教えてくれた大人がいた。

元々パノラマカーの基本はSR。その技術の素晴らしさを熱く語った人。それが鉄道ファンになった始まり。
それ、俺かも知れない、と鈴木さん。SRは父親が開発したものだという。その父も他界した。
お前は車掌としてSRを見守ってくれ、と鈴木さん。

 

それから車掌の仕事に対する見方が変わった。

ただの移動ではなく人々の生活そのものの橋渡し。
その鈴木さんも事故で亡くなった。
鈴木さんの墓におまいりする鉄太郎。

 

いよいよSRの引退の時を迎える。
だが社ではSRの引退イベントはやらないと言う。

パノラマカーに比べて特別人気があった訳じゃなく、それより特別な事をやっての事故の方が心配・・・

SRに対する思い入れが強い鉄太郎の企画で「SRと私の、思い出を語る会」が個人的に開催された。
出産間近でSRに乗り、皆に助けられた主婦。熱中症気味で電車に乗り、その時数少ない冷房車だったSRに助けられたサラリーマン。
SRに乗り、眠たくて隣りの人の肩にもたれて最終駅まで行ってしまい、その人と結婚した女性。
そこで鉄太郎の弟子、奈々子(谷花音)が、師匠はこの五年、ロマンスカーが別れの場だと暴露。
SRは人々の人生に寄り添って来た。ラストランに立ち会いたいというみんなに、事情があってそれは言えない、と鉄太郎。

 

ほとんどの人は納得するが「私はイヤです」と木下さん(宮下かな子)が立ち上がる。
子供の頃、姉と一緒にSRに乗ったが、眠っている姉が着けていたペンダントを外して眺めていたら、起きた姉が騒ぎ出した。

慌てて後ろに隠したが、いつのまにかなくなってしまった。
それ以来姉とはギクシャクして今に至っている。
SRの引退を知り、何かきっかけが見つかるかも知れないと思ってここに来た。

 

岐阜駅出発のSRに乗る鉄太郎。実は今夜がラストラン。
告知していないのに、あの時の会のメンバーが皆乗っていた(鉄オタ恐るべし)。
木下さんが座っているのを見つける鉄太郎。ペンダントをなくしたのがこの席だと聞き、鈴木さんに聞いた事を思い出す。
椅子を外すことが出来た。これは万一の時に外して社外へ降りるすべり台として使える機構。
開けた空間の奥からペンダントが出て来た。
「SRはずっと待っていたかも」と鉄太郎。

 

終点の名古屋を前に、鉄太郎が車内放送でメッセージを流す。
このSRは名鉄を代表する車両。随所にあるキズも勲章。
お疲れ様でした。 そして、ありがとう・・・
車内からみんなの拍手。


感想
確かに10年前パノラマカーが引退した時は、ニュースにもなって、自分でさえも記憶があった。
SRなどという車両があった事も知らず、その意味ではいいドラマを観たとの思いがある。
技術面をもう少し細かく知りたかった。

 

 

第5話 2/2放送 「もし私がSKE48に入っていなかったら」

 

電車に乗っているユウナ(江籠裕奈)。

私は電車が好きだ。この空間が好き・・・

 

①アパートに入ろうとするアカリ(須田亜香里)。だがカギが合わない。

電話をすると郵便受けの扉裏にカギがあるという。
駅のコインロッカーを開けるアカリ。同棲していたが、長く放置していた彼氏に追い出され、荷物全てがそこに入っていた。

 

②土鍋を持って出勤するミナ(大場美奈)。

彼氏が病気のため雑炊を作った。

 

③喪服姿で終電後の駅前で路上ライブを行っているカノ(野島樺乃)。

その隣りをヤバい、ヤバいと言って通り過ぎるアカリ。
カノはバイトが葬儀関係で、喪服がユニフォーム。

 

マンガ喫茶で一晩を過ごすアカリ。SKE48のオーディションに落ちてから、家を出てバイト暮らし。たまに働いては海外をバックパック旅行。
働いていたキャバクラに行くが、今は若いコばかりで、熟女キャバクラを紹介されるアカリ。
なんでこうなったんだろう。あのままバレエを続けていれば・・・
街を歩いていて声を掛けられるアカリ。バレエ教室の恩師だった。

バレエを辞めてから十年。バレエから逃げたと言われてしまう。

 

アカリが働くキャバクラを訪れる東野西男(今野 浩喜)。

28歳まで独身だったら結婚すると言っていた。

祖母の遺産六億あると言われ、結婚を決めるアカリ。

婚前旅行は明日出発のドバイ行きファーストクラス。

 

ミナは土鍋を持って彼のマンションに行くが、オートロックが開かない。彼に電話すると具合が良くなったから出社したと言う。
雑炊は処分してと言われ、会社へ持って行けないのでコインロッカーに預けるミナ。

 

空港で東野と出発準備のアカリ。バレエ恩師からの電話を受けるアカリ。バレエ講師の空きが出たから、今夜8時までに来てと言う恩師。

結婚は38まで待ってと言って逃げ出すアカリ。
バレエシューズを探さなくてはならない。

 

スカウトからの電話を受けるカノ。喪服の路上ライブを見て興味あるからオーディションをやると言う。だが今日に限って喪服じゃない。

 

コインロッカーで荷物をブチ撒けているアカリ。

そこへ土鍋を取りに来たミナ。汁を吸って雑炊が倍の量に。
そんな時、アカリの荷物からガスコンロが出て来る。

 

思わず「貸して!」と言うミナに「返さなくていいから」とアカリ。
ついでに喪服も出て来た。それを見て「貸してください!」とカノ。
やっとバレエシューズが見つかり、片付けをカノに頼んでテスト会場に走るアカリ。
テストに何とか間に合った。

 

彼氏の会社に行き、出て来るのを待つミナ。

彼氏が出て来た時、処分なんか出来ない!と叫ぶ。

お百姓さんが作ったお米。捨てたら目が潰れる。
食べて・・・食べろ! との言葉に道路に座って食べ始める彼氏。
ミナが宣言する。

4年間つきあったけど、私あなたと別れることにしました。

 

最後に再び電車内。私は電車が好きだ・・・・
それぞれのメンバーにカメラがパンしてフェードアウト

 

感想
三つのドラマを繋ぎ合わせるのが駅のコインロッカー。
ドラマの中心は須田亜香里。だが男と同棲とかキャバクラ勤めとか、なんかレベル低すぎて幻滅感がハンパない。

アイドルグループなんだから、もう少し清純さを押し出した脚本が書けないものか。しかしまあ、28歳ともなれば清純でもないか・・・

江籠裕奈は進行係、北野 瑠華はマンガ喫茶の店員とチョイ役。

 

全体感想
自分がレビューを始めて5年目。

シリーズとしては2012年から始まっている(2013年は休止)。
冒頭でも言った様に、今年は原点回帰で、その意味では良かったが、淘汰されて行く演目もあり、ちょっと寂しい。
吹越満と松下由樹が営む、弥冨の金魚業者のその後が知りたかった・・・
松井玲奈も何度か出ており、やはり長くやっていると新陳代謝もやむを得ない。

 

 

NHKスペシャル「食の起源」 第4集「酒」 2月2日放送

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シリーズ
第1集「ご飯
第2集「

第3集「
第5集「美食」 2/23

 

第4集「酒」 Nスペ5分  番組詳報
~飲みたくなるのは“進化の宿命”!?~

 

感想
アルコール分解遺伝子も、アセトアルデヒド分解遺伝子も知識としては知っていたが、稲作とアセトアルデヒド分解能力の関係については初耳。
確かにメリットがあるからこそ、種として生き残ったという事なんだろう。
私は父方も母方も強かったから、缶ビール1本ぐらいでは全く顔色も変わらないが、息子はコップ一杯のビールで真っ赤。

かと思えば娘は私同様強い。ホント遺伝の不思議に驚かされる。

 


内容
ナビゲーター(TOKIO)
:城島茂 国分太一 松岡昌宏 長瀬智也
ゲスト:萬田久子

 

エチオピア南部の高地に住むデラシャ族。「パルショータ」という、モロコシをすりつぶして発酵させた酒を、働く合い間に飲んでいる。

度数はビール程度。一日5ℓ飲む。


食事は摂らず酒だけで栄養を賄う(子供も薄めて飲む)。
分析の結果では必須アミノ酸、ビタミンも豊富。

 

酒にまつわる三つの大事件

①アルコール分解遺伝子
1200万年前、樹上生活をしていた人類の祖先は、気候変動で森がなくなり地上生活を始める。
落ちた果実は発酵しておりアルコールを含む。

その中で、アルコールに強い遺伝子を持った者が生き残った。
パルショータを再現した酒で皆乾杯。微炭酸で、噛める飲み物。

 

②宴会で脳を乗っ取られる?
一万二千年前のトルコが農耕の発祥地。

発掘されたキョベックリ・テペ遺跡の一角で容積160リットルもの容器が発見された。これで酒を作っていた。


小麦粉を水に溶かして実験、三ヶ月で酸味のあるビール状の飲み物が出来る。
当時は異なる部族が集まって集団生活。大神殿を作る事業も行われ、コミュニケーションが重要。友好を深めるために酒が使われた。
脳の表層は理性を司る(高温)。酒を飲むと表層が青くなる。

理性を弱め打ち解けやすくする。


国分→新しい番組やる時、まず飲む。

ワイン作りも始まり、次第に強い酒を欲するようになった。
脳を操る酒の魔力。
酒が脳に向かうと、分子量が少ないためバリヤーをすり抜け、脳に入り込む→ドーパミンを放出し、快楽が暴走。
8世紀から究極の酒作りが始まる

→蒸留酒(ブランデー、焼酎、ウォッカ・・・)
食の世界で、これほど良い面と悪い面が背中合わせのものはない。

 

③日本人が、わざわざ酒に弱くなる→謎の進化
発端は中国。紹興酒発祥の地でも酒に弱い人が半数。


なぜ一部のアジア人が酒に弱くなったか。
アセトアルデヒド分解遺伝子の欠如。
酒を飲むとアセトアルデヒドが生成される→これは毒。
稲作の広がりとアセトアルデヒド分解遺伝子欠如の広がりとがリンクしている。


仮説
稲作の食料を食べる時には水が関与し、微生物を取り込むリスクがある。それで命を落とす。
酒を飲んで、アセトアルデヒドが体内に出来る事で、微生物を抑制して生き残った。

しかし現代では衛生環境も良く、微生物による死は考えなくていい。
そうなるとアセトアルデヒドは「毒」でしかない。
アセトアルデヒド分解遺伝子の働きが弱い人は、食道がんリスクが7倍。
酒に強い人でも一日のアルコール量20g(ビール500mℓ相当)を越えると病気リスクが上る。

アルコール依存症になり易いのは酒に強い遺伝子タイプの人。

 

 

毒と快楽のジレンマ
それを乗り越えるためにノンアルコール酒が開発されている。
普通の酒のアルコール分だけを蒸発させる(非加熱)。

本物そっくりの味。
ノンアルでも酔いの快楽が味わえる。


自律神経に作用し、酔いの精神的変化が継続する。
酔った事の、脳の記憶がある(楽しさの記憶がある)人に有効。

アルコール、ノンアルいずれにも意味がある。
それを踏まえて、飲む。

 

 

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