メーテレがこの季節に深夜枠で放送しているシリーズ。
今年は全10話との事であり、半分づつレビューする。番組HP
過去作
2016年 2017年
2018年 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩
第一話 1/15放送
フリーの雑誌ライターになった吉川一美(松井玲奈)。
屋台の取材をするため名駅に来たがドタキャンで困っていると、ナナちゃん人形の前でデジカメを持ってうろついている男(皆川猿時)に会う。フラッシュをたかれて写真を撮られるうちに気を失う一美。
目を覚ますと中学時代にタイムスリップしていた一美。そこで同級生の城本君(鈴木福)から映画に誘われる。断るとタイムループして同じ事の繰り返し。誘いを受けてループを前に進める。
それを繰り返すうちに、例の男がナナちゃんの前に居るのに出くわす。好きな人がナナちゃんに声を掛けて帰宅するのを見て、それを真似している男。だが彼女には声がかけられない。
この人と彼女がうまく行くのがタイムループを進める方法だと考え、一美は彼女にインタビュー。女性はカメラの前で笑顔になれないのが悩み。写真部だった城本君がアドバイスして、男に手ほどき。
チャンスを作って男と彼女を引き合わせる。だがうまく笑顔が作れない彼女。男はナナちゃんのネタで彼女を笑わせ、いい写真が撮れる。
タイプスリップから解けると、さっきの男は助手を使うプロのカメラマンになっていた。そのカメラマン、君島に取材協力を持ちかけて記事化に成功する一美。
感想
タイムスリップものは、このシリーズで初めて観る。メジャーどころの鈴木福の起用で力が入っている。シナリオも、今までのものに比べてしっかりしており、30分番組の割りには充実していた。
電車ネタではないが、名鉄百貨店の顔「ナナちゃん」をリスペクト。もう45歳だって!
中学生の松井玲奈は、最初ビミョーだったが、すぐに馴染んだ。
第二話 1/22放送
海老せんべい工場に就職した雄介(矢本悠馬)。品質管理部門で働き、パートのおばちゃんとは仲がいい。通勤の名鉄電車で良く見る女性は「見るだけ彼女」。
卓球の同好会で東野(今野浩喜)と知り合い、休み等で一緒に練習する雄介。
ある日最終電車で帰る時に例の彼女も乗っていた。駅に気付いてあわてて降りた彼女。その時席にスマホを忘れているのに気付いて改札まで走って渡す雄介。電車に乗れなかった雄介に、食事をおごると言う山口里美。
高級レストランでの食事に緊張する雄介。今度はイタリアンでと言う里美。次からは割り勘で。
次のデートの時、さりげなく保険の事を聞かれる雄介は何も入っていなかった。彼女はその関係に詳しいと言って、パンフレットを渡す。
何度か会ううちに彼女の扱う保険に入った雄介。だが家に5万入れている状況で4万の保険料は痛い。母親は雄介の金のおかげでゆとりが出来たので、国民年金基金の積み立てを始めた。
雄介が「彼女がいる」と言った事で東野が里美に会わせろと迫っている時、偶然彼女に出会う。実は彼氏との待ち合わせだった。
ショックを受ける雄介。
会社でも落ち込んで、パートのおばちゃん軍団も慰めようがなくて困惑。
東野が、卓球の練習が終わってから、次の大会にダブルスで参加しようと誘う。
雄介は笑顔で「やります!」
感想
昨年は一人だけの卓球部員として頑張っていた雄介が就職。この会社は東海市に工場がある「坂角(ばんかく)総本舗」。ラインを流れるえびせんべいの「ゆかり」は有名。宣伝にもなるので、この会社もけっこう支援しているのだろう。
偶然出会ったと思った彼女が、実は契約獲得が目的だったとはホロ苦い話。
チラっと出て来た彼氏はボイメン(Boys & Men)の水野勝。以前紹介した同じメーテレ系の「サチのお寺ごはん」に準主役で出ていた。
第三話 2/4放送
中村公園近くの商店街で八百屋を経営しているみゆき(柚希礼音)。男まさりで声も大きいが、町内でも人気者。シングルマザーとして小二の花梨(野澤しおり)を育てている。
転校して来たるみちゃんと仲良くなり、家にも招待される。るみちゃんのお母さんは亡くなっており、お父さんと二人暮らし。
花梨が、みゆきにもっとおしとかやになって欲しいという要求を出す。それが次第にエスカレートし、服装もキレイにして、お茶の習い事もやってという。
そんなある日、るみちゃんの家におよばれするから一緒に付いて来て欲しいという花梨。
みゆきは、実は花梨の叔母。兄夫婦が交通事故で死んでしまったため、代わりに育てている。
私は大丈夫だから結婚してという、花梨の気持ちを知って「気合い入れてく」とみゆき。
訪問当日。買い物をして来たるみちゃん父娘と、玄関で挨拶するみゆきたち。だが入り口が開いており、泥棒とばったり出くわすみんな。父親は危険を避けて盗られたものを諦めたが、るみちゃんは母親の形見が持って行かれるのはイヤと言う。
それまで上品に努めていたみゆきだが、どうしても我慢出来なくなり、大声を上げて泥棒を追う。
そして得意のプロレス技で泥棒を仕留める。
帰りの電車で、無理な願いを謝る花梨に笑いかけるみゆき。
感想
前半でシングルマザーものか、と思っていたら、死んだ兄夫婦の残した子供を育てる女性の話。小品ながらも心温まる、いい脚本だった。
第四話 2/11放送
小さな劇団で小道具係をやっている藤田未来(花澤香菜)は、座長(神戸浩)から俳優志望と思われていないのにショック。
先輩俳優から10種の演技を同時に体験出来るバイトを紹介される。
出社早々に仕事。それは10個の電話の応対。
それぞれジャンルが異なる。
①魔女の館 ②温泉コンセルジュ ③説法の部屋
担当者がここまで説明すると、うまくこなす未来。
そして翌日
④今日のレシピ ⑤あなたの子守唄 ⑥お客様相談室
⑥は、各社のお客様相談でも対応しきれないものが回って来るが、それもうまくこなす。
更に翌日
⑦ガチ前世占い ⑧しりとり学園 ⑨恋人気分
⑨で鉄道オタクのマゾ男ヒロシに、適当に話を合わせる未来。
そこに⑩の電話。実は引きこもり相談。ぶっつけでこれもうまくこなす。
仕事も慣れた頃、⑩の電話で無言電話。未来は自分の事を話すが、電話は切れる。
だが次に電話がかかり、相手は早乙女涼と名乗った。ぎこちないながらも話が出来るようになる涼。
ある日⑨の電話で鉄道オタクのヒロシからの電話。デートにいい観光地の相談。改めて電話すると言って切り、調べる未来。
そこに次の電話。てっきりヒロシだと思って「彼女連れてこの旅館にでも行きやがれ~!」と言うと電話が切れた。
それは⑩の電話、涼からだった。
それから一週間、涼からの電話がない。以前の涼からの電話に電車の音が入っていたため、ヒロシにクイズだと言って聞かせると、電車は名鉄のミュースカイ、鉄橋のそばだからと候補地を教えてくれる。
それを手がかりに涼の家を突き止める未来だが留守。近所の主婦に聞くと、涼は以前から引き込もりだが、最近お母さんの姿も見ない。
翌日、主婦の訪問を受ける未来。そこにもう一人の若者、涼だった。未来にハッパかけられて目が覚め、母親と修善寺へ旅行に行って来た。外に出られるようになったのはあなたのおかげ。
劇団で出演者のオーディション。演技力が付いたと評価されて準主役。涼に観に来るよう誘う未来。
だが当日の未来の役はクマの着ぐるみ。「涼クン判るかなァ?」
感想
ちょっとひとひねり。ネタのアイデアがいい。そして涼の家を突き止めるところも、名鉄電車との関連付けでGood。
第五話 2/18放送
神宮小路の「えん楽」。休みたいというバイトの堀内(タイムマシーン3号:関太)からの電話を受ける前田清(波岡一喜)。
そこにフラリと現れた男・安田昌平(寺島進)。
店主の今村(大杉漣)は新婚旅行で海外から一年ほど帰らず、留守の間時々店を開いている状態。
出来ればバイトを雇いたいと言う清に「俺を雇ってみるか?」
20年前にここで大将の下で働いていたという。
言ってみれば清の兄弟子。
試しにラーメンを作ってもらうと、スープは鶏8、豚2の割合に隠し味もそのまま。儲けはそのまま給料、という事で店を任せる清。
自分の店「清楽」で堀口、客の麻耶(黒川 芽以)と話す清。「えん楽」を任せてしばらく経つので堀口が「行列リサーチ」で調べると結構繁盛している。
だがそれからしばらくして、グルメサーチで「えん楽」がとんこつ味の店に変わっている事が判る。
味を変えた事について清が聞くと、昔はとんこつ8、鶏2のスープも出していたと言って、そのラーメンを作った。それを食べると意外にしつこくない。そのまま続ける事を了解する清。
その後も昌平の店は繁盛を続け、TVにも出演する様になった。
近所の噂では隣りの空き店舗を借りてインド人にカレー屋もやらせているらしい。
商売優先かどうかを見るため、昌平に一杯500円を750円に上げて利益を増やしたら?と持ちかける。
それに対して「500円はえん楽の心、大将なら500円一個握って食べに来る子供の事を考えろと言う」と返す昌平は、今村の心をそのまま継いでいる。
それから二週間後、町内会長が店に食べに来て昌平の正体がバレた。昔、店の金を持ち逃げした店員。
話を聞きに来た清にいきさつを話す昌平。
とんこつ味も作っていたというのはウソ。提案したが却下された。
自分で独立するため、今村が改装資金として溜めていた300万を持って逃げた。そんな今村を助けたのが会長含め商店街の仲間。
昌平は店を出したがうまく行かず、借金が焦げ付いて全国を逃げ回った。最近になって「えん楽」の閉店を聞いて来てみたという訳。
店を去ろうとする昌平は、清にレジを開けさせた。分厚い封筒に300万。今までの稼ぎを全て溜めてあった。
その話は知っていたという清。昔昌平が今村に宛てて出したお詫びのハガキがずっと残っており、読んでいた。それを昌平に見せる。
でも自分は許されていないと言う昌平に、今村からのメールを見せる清。そこには昌平のとんこつラーメンを食ってみたいという、今村からの文。
感想
元々、昨年亡くなった大杉漣を核としたシリーズだが、遺作となった昨年を継いで、現在でも今村が生きている前提でドラマは進む。へー、小夜子(石野真子)と結婚したんだー、としみじみ。麻耶のいきさつについては昨年のシリーズ参照。
大将が居なくても、その存在をそこはかと感じさせる。いい話だった。