総括
この、オムニバス形式の「世にも奇妙な物語」が始まったのは1990年からだという。当初は毎週のレギュラー放送だったが、第三シーズンを終えてからは春と秋の特別篇という運用。
昔の「怪奇大作戦」的なテイストの回もあり、以前はけっこう入れ込んで観たが、最近はパクリ疑惑等もあって時々観ない事もある。
潜在的視聴者は多いから、もっと真剣に取り組んで欲しいものだ。
全体予告
1.脱出不可
スタッフ
脚本 山岡潤平
原案 コヤナギシン
演出 都築淳一
編成企画 渡辺恒也、狩野雄太
プロデュース 植田泰史、中村亮太
キャスト
志倉真司 坂口健太郎
あらすじ(公式サイト)
ある日、目を覚ました主人公の志倉真司。
そこはコンクリートの狭い部屋の中。
「何だこれ、暗証番号?」ドアは施錠されており、たたいても応答はない。携帯電話も時計も見当たらず途方にくれていると、突然4つのモニターが起動する。
1つには真司自身の姿、その他のモニターには真司と同じように閉じ込められた男女3人の姿。
画面の右下には“視聴者数”の表示。“脱出ゲームスタート”の合図が出ると、“なにこれww”“ドッキリ?”など、視聴者コメントが続々と表示される。
どうやら4つのモニターは、インターネットを通じて不特定多数の人に閲覧されている模様。ふと、“視聴数を稼ぎ、視聴者からヒントを集めることで突破口を見つけられるのでは?”とひらめいた真司は、視聴者の力を借りながら脱出を試みるが―。
一体、なぜ真司は密室に閉じ込められてしまったのか? そして脱出ゲームの主犯は何者なのか…?
結末まで
部屋にある写真。「燃やしてみたら?」のネットのコメントに、ポケットに入っていたライターで火を点けると、二重構造の中から金属の板が出て来る。いくつか組み合わせて「1020」となり、打ち込むと第一の鍵
が開く。
次にアドバイスでスプリンクラーの口を外すと、記号の形をした金属が入っていた。
「アナグラム?」のコメントに、何回か並べ替えて「KENMU1」。「建武一年。1334じゃね?」を受けて打ち込むと、第二の鍵が開く。
鍵はあと一つ。
その時、画面にマンション火災の映像が出る。母親と娘が死亡。閉じ込められたうちの二人に、この事件に関する重大な過失があった。
そして真司自身この火事を発見し、母親の叫びに応えることなくその動画をSNSに投稿していた。
これはゲームじゃない、復讐・・・
投稿時刻の1513を入力するが反応せず。
ネットから「押すべきだった数字を押すんじゃない?」との書き込み。「119」を押して解放される真司。
真司が自宅に帰ると恋人のみどりがPC画面を見ていた。出て行こうとする彼女を止めるが「しんちゃんが火を点けた事にされてる」と冷たく言って出て行った。
ポケットにあったライターで放火をする男の姿が、防犯カメラ映像に映っていた。
感想
ネットからのヒントを受けて鍵を開けて行くというアイデアは新鮮味があって面白かったが、もう少しネタを吟味して欲しかった。建武元年って何よ、関係なくね?
オチの決め方がイマイチ。
だがこの番組はいつもこうなので(ま、いいか)
2.あしたのあたし
スタッフ
脚本 武井 彩
原案 赤松 新
編成企画 渡辺恒也、狩野雄太
プロデュース 植田泰史、中村亮太
キャスト
斉木香織 国仲涼子
小野寺修二 忍成修吾
加藤由佳 森田涼花
斉木拓也 渋谷謙人
あらすじ(公式サイト)
斉木香織は、刺激のない退屈な生活を送っている主婦。夫の拓也とも倦怠(けんたい)期に入り、トキメキとはほど遠い状況だ。
そんなある日、香織のスマホ画面にバナー広告らしきものがポップアップされ、そこには“あしたのあたし”という文字が…。
興味本位でアクセスすると、いきなり香織本人の姿が画面に現れ、映画の予告編のような動画が流れ始める。
予告の中で、元カレ・小野寺修二と再会を果たす香織。
まるでラブストーリーのような展開に、「なんなのこれ…」と、驚きを隠せずもう一度再生しようするが、“視聴済みのため再生できません”という表示が。
翌朝、いつもと変わらない日常が始まり、すっかり動画のことなど忘れかけていた香織だが、目の前に修二が本当に現れて・・・
結末まで
予告ではかなり思わせぶりな言葉が出て、心ときめくが、実際の場面では意味が異なりさして進展がない。
一方修二は大病院の医師であり、看護師の彼女・由佳が居たが、彼女が香織の事を誤解して敵意を抱く。
その間にも無断で服を買った事を拓也になじられ、ケンカをしてしまう香織は、怒ったまま彼を出社させてしまう。
“あしたのあたし”の最終回では拓也が工事現場の事故で亡くなり、修二と結ばれる様な場面。
修二に会いに行く途中でスマホに電話がかかる。拓也から贈られたという花。修二に会うが、デートを断り拓也の会社に電話をかける。彼が事故で入院した。
見舞いに行くと、足を骨折しただけで命は無事。予告動画は彼の事ではなかった。
香織を幸せに出来ていない、と謝る拓也に少しづつ積み上げて行こう、お金も幸せも、と香織。あしたの私は自分で積み上げて行く。
病室を出て歩く香織の背後に気配が。女がナイフを握りしめて香織の背後を刺す。由佳だった。
「死ぬのは私だったのね・・・・・」
感想
ちょっと隙間風の入り始めた夫婦。そこに乱れを生むアプリ。SNS時代にマッチしたネタ。
ハッピーエンドで終わりそうな寸前に「ブスッ」と来る意外性。
これもまたよし。
3.幽霊社員
スタッフ
脚本 赤松 新
演出 星 護
編成企画 渡辺恒也、狩野雄太
プロデュース 植田泰史、中村亮太
キャスト
工藤良治 佐野史郎
里山秀平 勝地 涼
あらすじ(公式サイト)
とある建設会社の社史編集室でひっそりと働く工藤良治(佐野史郎)は、存在感ナシ、定時になるとすう~っと帰ってしまういわゆる幽霊社員。
仕事の情熱もとっくになくなり、定年まであと4年、余計な事をせず平穏に過ごそうと思っていた。
そんなある日、工藤は会社のトイレで、過労死したはずの若手社員・里山秀平(勝地涼)に遭遇する。
なんと里山は幽霊となって工藤の前に現れたのであった。しかも、姿が見えて会話出来るのは何故か工藤だけ!?「最後の仕事をどうしてもやり切りたいんです!どうか力を貸して下さい!」と懇願された工藤は里山がやり残した仕事を渋々引き受ける事になって・・・
結末まで
里山のやり残した仕事は、事業獲得のためのコンペ参加。里山のサポートでいいところまで行くが、霊感の強い女子社員が手配した神主の除霊で、存在出来なくなってしまう。
自信をなくす工藤だが、若手社員や妻子のサポートでプレゼンをやり通す。
コンペに勝ち残り受注が取れて、上司に褒められるが微妙な工藤。
トイレの帰りに悪寒を感じると、無数の幽霊社員が・・・編集室に押しかける亡霊社員の群れ。
タモリコメント:旧い会社には無数の思いが棲み付いている・・・・
感想
脱力社員を佐野史郎が演じるのは絶品。
一人の思いを叶えたばかりに、大勢の幽霊が集まってしまったというオチ。ヒネリも起伏もあまりなく、「まあこんなもんか」
4.マスマティックな夕暮れ
スタッフ
原作「マスマティックな夕暮れ」 諏訪 雅(ヨーロッパ企画)
脚本 上田 誠(ヨーロッパ企画)
演出 紙谷 楓
編成企画 渡辺恒也、狩野雄太
プロデュース 植田泰史、中村亮太
キャスト
凛子 玉城ティナ.
文哉 ジェシー(SixTONES)
一成 田中 樹(SixTONES)
大知 松村北斗(SixTONES)
宗徳 髙地優吾(SixTONES)
隆 やべきょうすけ
郁子(隆の母) 山村紅葉
あらすじ(公式サイト)
主人公の凛子は不良少年グループの文哉、一成、大知、宗徳から、「てめえ…勉強できるんだったら、ドウシンエン(同心円)の描き方を教えろ!」と突然絡まれる。
不良少年たちが同心円の描き方を知りたい理由はただ一つ。事故で死んでしまった仲間、隆(たかし)を生き返らせるため・・・
リーダー格の隆を突然の事故で失い悲しみに暮れていた少年たちはある日、道ばたで「黒魔術」と書かれた古書を偶然拾う。「死者蘇生の方法」が書かれているが数学用語だらけで全く理解できない。
「俺たちに数学なんてできんのかよ…」と弱気になる少年たちだが、「私も手伝います」と凛子。
その日以来、放課後になると凛子を囲んで勉強会をする日々が始まる。はたして彼らは隆を生き返らせることができるのか?
結末まで
凛子の指導でめきめきと学力を上げる不良たちは、先生から大学進学を勧められるまでになる。
学業を重ねた結果、黒魔術の書の、魔法陣の描き方を習得した彼らは、リーダーの隆を呼び出す。
呼び出された隆。祝いに飲みに行こうと言う隆に、いろいろと指導を始めるみんな。
違和感を抱きながらも、皆に言われて母親に会いに行く隆。
感想
不良たちが凛子に、同心円の描き方を迫るところは秀逸。
基本となる図形「五芒星」を描くための知識が、不良たちの基礎学力を飛躍的に高めたという展開もいい。
ただ、最後の決め方がやはり中途半端。
メガネ女子の玉城ティナには「萌え~~」
5.クリスマスの怪物
スタッフ
原作「薄氷の日」 朱川湊人(集英社文庫『水銀虫』収録)
脚本 和田清人
演出 岩田和行
編成企画 渡辺恒也、狩野雄太
プロデュース 植田泰史、 中村亮太
キャスト
小野寺奈央 川栄李奈
緒方良輔 本郷奏多
あらすじ(公式サイト)
クリスマスイブが近づき、恋人で、IT企業社長の緒方良輔にすてきなホテルディナーを予約してもらった主人公の小野寺奈央は、その日良輔からのプロポーズを期待している。
気がかりはクリスマスイブになると必ず現れる、不気味な装いの“怪物”の存在。ボロボロのコートを羽織り、背中が大きく曲がっている醜い姿の“怪物”。
ボサボサの髪に覆われているため表情は見えない。この“怪物”は、7年前に起きたある事件を境に、クリスマスイブになると奈央の前に必ず現れるようになった。
忘れられないすてきな一日になるはずのクリスマスイブ当日。
ディナーを終えた奈央の目の前にその“怪物”が現れて―。
結末まで
奈央と幼い頃から仲良しだった秀美。だが学校でミハルからいじめを受ける。それに加担させられた奈央。
7年前のクリスマスの夜、秀美にトナカイのキャップを被せ、鼻に口紅を塗り街で「私は馬鹿でーす」と言わせるミハルと奈央。
翌日から秀美が休校。家のベランダから転落して大けが。体が不自由になり杖をついての生活。顔の傷を隠すため、いつもマフラー。施設に入るため転校。
その翌年からクリスマス・イブの夜に必ず秀美が現れる様になった。
良輔にはそれをミハルの話として脚色。
良輔が、「それは神様が謝るチャンスを与えている」と話す。
上階のホテルの部屋へ先に行って良輔を待つ奈央。だが部屋に入ろうとすると、そこに秀美が現れる。
屋上に逃げる奈央だが秀美も付いて来る。倒れた秀美に馬乗りになり首を絞める奈央。「死ねよ!」
そこに良輔が顔を出す。言い訳をする奈央を突っぱねて話し始める。
7年前、街でのいじめの後、奈央を訪れた秀美。だが奈央は「私には関係ないから」と言って拒絶。その二時間後に秀美は自宅のベランダから飛び降りた。
「君が彼女の人生をぶち壊した」
奈央は、やったのはミハルだと言い逃れる。
すると良輔が「彼女はもう罰を受けている」と倒れている女を指さす。秀美だと思っていた醜い体の不自由な女はミハルだった。
ミハルに突き落とされ、屋上フチにぶら下がる奈央を見下ろす良輔。助けて!と叫ぶ奈央に女性の声で「私には関係ないから」
落ちて行く奈央。
感想
いじめっ子の尻馬に乗って、幼なじみをいじめていた女が復讐される話だが霊的、ホラー的要素はあまりなく、ただの復讐劇に過ぎない。
秀美の修復に特殊な組織が関与したとか、いじめの実態トレースよりもそっちの方面に力を入れると良かった。