監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 ピーター・ベンチリー
音楽 ジョン・ウィリアムズ
キャスト
マーティン・ブロディ ロイ・シャイダー
サム・クイント ロバート・ショウ
マット・フーパー リチャード・ドレイファス
エレン・ブロディ ロレイン・ゲイリー
ベン・メドウズ カール・ゴットリーブ
ボーン市長 マーレイ・ハミルトン
映像(一部)
感想
スピルバーグの、ブレイク第一号映画(「激突!」が注目されるきっかけではあったが)。キャラの立った三人が、ボロ船に乗って鮫退治に出掛ける時の高揚感が、何とも言えず心地良かった。
フーパーは、昔観た時は単なる海洋ヲタクぐらいに思っていたが、かなり専門的な知識を持った学者。なにより物事を断定しない点(可能性がある、という表現が多い)には好感が持てた。
公開時に観ている。観るのはこれで多分三回目だと思うが、クイントがインディアナポリスの乗員だった話は、完全に忘れていた。
アメリカの言う「原爆が戦争終結に貢献した」という見解は、この映画も多少影響を与えているかも知れない。
彼はユダヤ系という事もあって、所々で戦争ネタを仕込んで来る事が多い。ごく自然な事もあり、鼻につく事もあり・・・・・
この作品は、構図がシンプルな分、感情移入し易く、パニック映画としてかなり成功している。
クイントが鮫に食われるシーンは、確かにショッキングだが、中盤で船底の穴から、死んだガードナーの顔がヌッと出たのを初めて見た時には、本当に心臓が止まるかと思った(一回目だけの衝撃)。
クイントが、機関室に水が入るのも構わずエンジン全開で走るシーンにはシビれた。確かに非常識ではあるが、サメと命のやりとりをしている男の生き様をバーン!と見せられた感じ。
ラストでブロディが叫んだのは、公開時の字幕は「笑え、バケモノ」だったと思うが、その後の媒体での吹替えでは「くたばれ、バケモノ」とある。あちこち調べると「Smile,you son of a--」とかなんとか・・・
圧縮空気ボンベを撃って、あそこまでの爆発を起こすかどうかはビミョーだが、クライマックスのシーンとしては秀逸。
あの鮫のロボットの出来が、この映画の肝。
メイキング映像が面白い。
最近話題の「MEG ザ・モンスター」はフルCGで何か味気ない。
あらすじ
夜の砂浜でマリファナ・パーティをする男女。女が海に泳いで出た。付いて来た男は酔っぱらって服を脱げない。
女が何者かに体を引きずり回されて、海中に没した。
朝、若い女性が行方不明との電話を受けるブロディ。「アミティ」島の警察署長。
海岸で見つかった女性の死体を見て、鮫の襲撃と判断したブロディだが、市長はそれに反対。アミティ島は夏の観光で持っている。都会から、たまたま今年赴任したブロディなど相手にされない。死因はボートのスクリューによるもの、と書き直された。
それから数日後少年が、多くの海水浴客の前で鮫に襲われて死んだ。
少年の両親が鮫に賞金3,000ドルを出したため、新聞まで取り上げて、街は大騒ぎとなる。
街の者が集まる中、鮫捕り名人を自称するクイントが、一万ドルで鮫退治を請け負うと言うが、相手にされない。
桟橋で鮫捕りのための仕掛けを投げ込む男二人。だがその仕掛けを括った桟橋ごと持って行かれて蒼ざめる。
海洋研究所のマット・フーパー。ブロディが呼び寄せた専門家。遺体を見たいと申し出る。遺体の観察によれば、スクリューなどではなく、鮫に襲われた可能性が高い。
そんな時に、人食い鮫を捕獲したとの情報があり、海岸に出向くブロディとフーパー。
記念撮影をしている者たち。フーパーの話ではイタチザメ。人を襲う事もあるが、歯形の大きさが小さ過ぎ、この鮫でない可能性がある、とフーパー。本当にこの鮫が少年を食ったのか調べたいと申し出るが、公衆の面前でそれは無理。
少年の母親が来て、ブロディを平手打ち。鮫が居る事を知っていた、貴方の怠慢だ、と。
その晩、酒を持ってブロディを訪れるフーパー。二人で海岸まで行き、イタチザメの腹を裂いて胃袋の内容物を確認。
少年の体は食っていなかった。
フーパーの所有する「オーロラ」号。ほとんど自費で揃えた。
ベン・ガードナーの舟が漂流しているのを見つけて、調べるために海中に入ったフーパー。舟底には穴が明いている。穴の縁に巨大な鮫の歯。その穴から死んだ男の顔がヌッと現れて、フーパーは仰天。歯は落としてしまった。
フーパーの話では、襲ったのはホオジロザメ。かなり巨大なもの。市長に、本当に襲った鮫は別に居ると進言するが、証拠を見せろと突っ込まれる。7月4日の海開きが決まっている、と話す市長。
海開きの日を迎え、多くの人が島に押しかける。海岸警備の人数を増やしての運用。
みんなで泳いでくれ、と要求する市長の言葉を受けて、一家族が海に入ると、それにつられて次々に海へ入る客たち。
ブロディは、仲間と一緒にヨット遊びをしようとしていた息子のマイケルに、入り江で遊ぶように諭した。
サメのヒレが近づくのを見て悲鳴を上げる客。一斉に海岸に戻る群集。だがそれは子供のいたずらだった。
そして、今度は本物が来て女性が騒ぐが、さっきのニセモノの件だと思い、皆取り合わない。ボートの男が襲われる。ちぎれて沈む片足。
本物だと判ってブロディも気付く。鮫は入り江に入っていた。マイケルが泳ぐ、すぐ脇を泳いで抜けて行った鮫。
ブロディは、一万ドルでクイントを雇う書類のサインを、市長から無理やり取る。
クイントの所有する「オルカ」号で出港するクイント、ブロディ、フーパーの三人。
使い物になるかどうか、もやい結びをさせてテストするクイントに憤慨するフーパー。
エサ撒きの時、一瞬鮫を見たブロディはクイントに「この船では小さ過ぎる・・・・」。
鮫を見つけ、第一の銛を刺すクイント。
だが銛に付けた樽が海中に沈むのを見て驚く。
鮫は全長8mクラス。3tはある。
その晩、酒を飲んで傷の自慢をし合うクイントとフーパー。
クイントの腕の傷が入れ墨を消したものだと気付き、何と彫ってあったのか、としつこく聞く。
「インディアナポリス」と答えるクイント。
終戦直前に、テニアン島まで原爆を運んだのがインディアナポリス号。その原爆が広島に落とされた。帰路で日本軍の魚雷攻撃により沈没した同船にクイントも乗っていた。
極秘任務だったため救援を呼べず、同胞が次々に鮫にやられた。
五日目で助けられたが、順番待ちが一番怖かった。1100人中、助けられたのは350人。だが原爆は届けた。
鮫は三本もの樽を引きながらも沈ませる事が出来る怪物。
鮫が逆襲に出て、船体に頭突きをし始め、浸水が始まる。浅瀬におびき出すために船を走らせるが、クイントが全速で飛ばしたため、機関室に水が入ってエンジンがだめになる。
フーパーの案で、水中銃を使って鮫に毒薬を撃ち込む事として、防護檻を組み立て、それに入って沈んで行くフーパー。
だが、鮫の一撃で水中銃は落とされ、檻も体当たりでバラバラにされる。
海上では、鮫が船尾からのしかかって船体後部を破壊し、船が沈み始める。クイントがそこにいたため、サメの口に落ち込んでしまった。口から血を吹き出し、鮫に飲み込まれるクイント。
再び、船室に頭を突っ込む鮫。鮫の口に圧縮空気ボンベを突っ込むブロディ。
船はほとんど沈み、マストによじ登ってようやくこらえているブロディ。
ライフル銃だけ持っている。そこに近づく鮫。口にはボンベを咥えている。三発まで撃つが、相手のダメージはない。
最後に、ボンベの狙いをつけてブロディが叫ぶ「笑え、畜生」。
その瞬間、ボンベが大爆発して鮫の頭部が粉砕され、胴体が沈んで行った。
海底で難を逃れていたフーパーが浮かんで来た。
樽を二個つなげたいかだで陸を目指して泳ぐ二人。