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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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ブレードランナー 2049   2017年

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*完全ネタバレです。映画未見の方はスルーして下さい

 

製作総指揮   リドリー・スコット
監督          ドゥニ・ヴィルヌーヴ

脚本          ハンプトン・ファンチャー
                   マイケル・グリーン

音楽            ハンス・ジマー

 

キャスト
K / ジョー           - ライアン・ゴズリング
リック・デッカード      - ハリソン・フォード
ジョシ警部補(マダム)   - ロビン・ライト
ニアンダー・ウォレス   - ジャレッド・レト
ジョイ               - アナ・デ・アルマス
ラヴ                - シルヴィア・フークス
アナ・ステリン博士     - カーラ・ジュリ
マリエッテ            - マッケンジー・デイヴィス
ドク・バジャー         - バーカッド・アブディ
サッパー・モートン      - デビッド・バウティスタ
ココ                 - デヴィッド・ダストマルチャン
フレイサ              - ヒアム・アッバス
ミスター・コットン         - レニー・ジェームズ
ファイル係             - トーマス・レマルキス
レイチェル             - ショーン・ヤング
ガフ                  - エドワード・ジェームズ・オルモス

 


予告編等

 

あらすじ
2049年 カリフォルニア。大規模な太陽電池パネル群の上を飛ぶスピナー。
作業スーツに身を包み、生け簀で虫を飼育している男、サッパー・モートン。
サッパーの家を訪れるロサンゼルス市警(LAPD)の捜査官K(識別番号KD6-3.7)。サッパーは旧型のレプリカント(ネクサス8型)。反抗するサッパーと格闘の末、ねじ伏せて眼球の識別記号を確認するK。なおも抵抗するサッパーを射殺。
サッパーの言った「お前らは、奇跡を見たことがない」の言葉。
近くに生えている枯れ木に目を止めるK。根元に「6 10 21」の刻み数字。

 

スピナーに戻って上司のマダム(ジョシ警部補)に報告。ドローンに、地下も含めた木の周囲30mの記録を指示。木の近くの地下に箱が埋まっている。
本部に戻ってメンタルテストを受けるK。「部屋 部屋 連結・・・・」

 

自宅に戻ったK。出迎える女性「ジョイ」。目まぐるしく衣装が変わる。彼女はAIで、その姿はホログラム。
料理を用意する、と彼女が言うが実際は映像だけ。Kが用意した配給食に画像がシンクロして料理に見える。

 


少し会話を楽しんだ後、Kがジョイにプレゼントがあるという。「これ、エマネーター?」と驚くジョイ。「これがあればどこでも行ける」。それを起動させて、雨が降るビル屋上に出るK。後に続いて外に出るジョイ。

 

ジョシからの呼び出しを受けるK。例の箱の回収結果。中身は女性の骨と髪の毛。外傷はないが、腸骨にヒビ割れがあり、出産の結果だとの分析。帝王切開の形跡も残っている。サッパーはカランサに居た、元軍の衛生兵だった。
骨の顕微鏡映像をどんどんクローズアップした先に、識別記号が現れた。
レプリカントが妊娠、出産した事にショックを受けるジョシ。保たれていた壁がなくなったら、戦争が起きる。
子供も含め、全て抹消せよとKに指示。生まれたものには魂(たましい)がある、と戸惑うKだが、命令は絶対。ジョシはKに「あなたは良くやってる、魂(たましい)がなくても」

 

ウォレス社に出向き、髪の毛からレプリカントの製造番号を聞き出そうとするK。2022年に起きたブラックアウトより前の型だから、データが見つからないと言うファイル係。

 


別室でレプリカントの商談をしている女性。端末からのメッセージを受けてそれを切り上げ、Kが話をしているところへ向かう。
ファイル係の男が、残っている紙データからようやく 製造禁止前の標準タイプ タイレル社製 とまで解明したところで、先の女性が顔を出し「お役に立てるデータがある筈です」。そして「ウォレスの代理でラヴです」と自己紹介。
データ保管庫で製造番号から、音声ログが再生された。

かつてデッカードがレイチェルのテストを行った時のもの。彼女がデッカードを挑発している、と指摘するK。

 

老人ホームを訪れるK。そこでデッカードと仕事をしていたという老人(ガフ)に話を聞く。行先についての情報はない。老人の言葉「あの男は望みを手に入れた 孤独だよ」。

 

ウォレス社。ラヴの案内で、生まれたばかりのレプリカントに立ち会うウォレス。
何度も繁殖を試みたが、私には出来なかった。製造可能な数以上のレプリカントが必要。タイレルの最後の仕掛け。
そして生まれたばかりの女性レプリカントの腹をナイフで切り裂く。

 

街で食事をしているKに近づく娼婦たち。仲間のサッパーが殺された事を知っている。その中の一人と軽い会話を交わすK。

 

サッパーの家を再び訪れ、中を改めて調査するK。ブリキ缶の中にあった小さな靴下を見つける。

 

警察に侵入するラヴ。見咎める職員のココに、許可証を見せると言って気をそらして殺し、資料庫の骨を奪い去る。

 

警察でジョシからの詰問を受けるK。ココが殺され、骨も奪われた。
サッパーの家は燃やした。それと見つけた靴下。

そして木に刻んであった数字(6 10 21)。
Kが、他の者とは違う事を気にするジョシ。幼い頃の記憶を聞く。
植え付けられた記憶だが、という前提で、木の馬のオモチャを奪われそうになって、焼却炉そばの戸棚に隠した事を話す。いい話ね、と返すジョシ。

 

資料部門で2021年6月10日生れの人間のDNAデータを要求するK。分析用の電子データはなく、生データを突き合わせるしかない。エマネーターに入れて来たジョイの助けも借りて分析を進めた結果、全く同じ遺伝子の人間が二人抽出された。二人が同じDNAを持つ事は不可能であり、どちらかがコピー。
二人が暮らしていた孤児院へ向かうKとジョイ。

 

廃棄物に埋もれた場所。狙撃を受けて不時着するスピナー。襲われるが、はるか上空からの援護に助けられる。ラヴが高空から指示を出していた。「さっさと仕事をして、子供を探しなさい」。
孤児院とは名ばかりで、集めた子供に基板から貴金属を取り出す仕事をさせていた。責任者のミスター・コットンを脅して、当時の資料を調べさせるが、その年のものだけ破り捨てられていた。
その孤児院の焼却炉に見覚えがあったKは、記憶のままに戸棚の前にひざまずき、そのフタを開くと、布に包まれた木馬が出て来た。

裏に刻まれている「6 10 21」。

Kがやはり特別な存在だったと喜ぶジョイ。Kに愛称の「ジョー」を連発。だがKにはその記憶が誰のものかを知る必要があった。

 

ステリン研究所を訪れるK。所長のアナ・ステリンは免疫不全で部屋から出られない。会話もガラス越し。記憶作家として、レプリカントのための記憶生成の仕事をウォレス社から請け負っている。
記憶の作り方についていくつかの質問をするK。幼い頃からの無菌室暮らしから、想像力が付いたと話すアナ。記憶生成に実際の記憶を使うのは違法。
作られた記憶と実際の記憶との違いが判るのか?と訊くKに、細部は関係なく、感情が伴うかどうかだ、と答えるアナは「試してみましょうか?」と誘う。
機械を覗くアナは、Kの思い浮かべた記憶を見ているうちに、涙を流す。
「誰かが経験してる、実際の出来事よ」  席から立ち、回りを蹴って激怒するK 「本物だった やっぱり! ふざけるな!」

 

警察から呼び出されるK。

そこでのメンタルテストでの評価は「基本ラインには程遠い」。
ジョシからの詰問。別人のように変わってしまったKの精神。
子供は見つけた、そして「完了した」と言うK。標準のレプリカントとして、自分が何者かも知らずに。

ジョイの「どういう意味?」との言葉にも「完了した」とだけ。
ジョシは、任務完了を評価したが、テストが元に戻るまでの間は、銃とバッジを返せと命令。次のテストまでの猶予は48時間。

 

Kが部屋に戻ると、以前街で出会った娼婦、マリエッティが部屋に入って来た。ジョイが呼んだもの。
Kとのやりとりを通信で聞いていて、Kが気に入っていると踏んで呼び寄せた。ジョイがマリエッティの体とシンクロし、生身の女としてKと愛し合うために。

 

翌朝、Kの服のポケットに何かを忍び込ませるマリエッティ。ジョイに、追い払われるようにして帰った。
もうすぐ追っ手が来ると話すK。私も行く、とジョイ。だがメモリが残っていては行先が判ってしまう。

エマネーターに全データを入れ、コンソールから私を削除して、と頼む。
これが壊れたら君が消える、と拒むKだが「そうよ、本物みたいにね、お願い」。
コンソールからデータを削除し、アンテナを折った時、その情報がウォレス社に届く。

 

質屋で木の馬を見せるK。本物の木を見て、何にでも替えられる、と驚く店主のドク・バジャー。
放射線劣化の状況から「1ケ所しかない」。

ブラックアウト時の中心地だった場所。放射線汚染区域に向かうKとジョイ。

 

警察に侵入してジョシと対峙しているラヴ。Kの行先を問い詰めていた。あなたが持ち去った骨以外は全て彼が処分したと笑うジョシ。

つまらない人間、とラヴ。
ジョシを刺殺したラヴは、殺した後のジョシの顔を使ってPCの認証を突破する。そして「KD6-3.7の現在位置を」。

 

赤茶けた砂漠に降り立ち、その先の建物に入るK。
宝島の一節で声を掛けるデッカードに答えるK。

聞きたい事がある、と言ったとたんにデッカードが発砲。
ホールの方へと場所を移しながら殴り合いが続く。

途中エルヴィス・プレスリーのホログラム映像。
お互い殴り疲れて、飲みながら話す事に合意。

 

レイチェルとの事を順に話し始めるデッカード。子供に一度も会っていない事に驚くK。データを改ざんして足取りを隠す計画だった。

愛する者のためには、他人でいた方がいい。

そこにスピナーに乗ったラヴの手下が迫って来た。

ビルの一角に侵入するスピナー。

 

襲撃を受けてデッカードが拉致された。

手負いの状態で執拗なラヴの攻撃を受け、倒れるK。

ジョイが懇願する前でエマネーターを踏み潰すラヴ。ジョイの姿が消えた。

 

 

倒れているKのポケットから発信器を取り出すマリエッティ。彼女らに連れられてアジトまで行く。
引き合わされたのはフレイサ。サッパーと共に赤ん坊の出産に立ち会った。サッパーの部屋にあった写真を思い出すK。
間もなく革命が起こる。我々は軍隊を組織している。仲間たちを解放する。
そして、我々を守るためにデッカードを殺してくれ、とフレイサが頼む。
彼女は無事、時が来たら表舞台に立って軍を率いる、とのフレイサの言葉に驚くK。隠したのは男の子のはず、という言葉に 「それはパズルの1ピースに過ぎない」。
子供は自分だと思ったのね、とフレイサがKの頭を優しく抱く。
みんな自分だと願っていた だから希望がある。
Kの深い慟哭。


拉致したデッカードと話すウォレス。
出産の秘密を解明するには子供が必要だ、と言った。
そして、そもそも君がレイチェルに惹かれた事自体が、仕組まれていたのではないかと迫る。

何が本物かは知らない、と相手の言葉には乗らないデッカード。
あなたは、苦痛を愛している。苦痛は、味わった苦しみを本物と思わせてくれるから。
そして「天使が舞い戻った。あなたのために」と言った後、ラヴの示す方から、以前の姿のままのレイチェルが歩み寄って来た。

愕然とするデッカードの頬をやさしく撫でて「寂しかった?」と言うレイチェル。
沈黙の後、レイチェルが「愛してないの?」
彼女から目をそらし「瞳は緑だった」と背を向けて離れるデッカード。
そのレイチェルの頭を銃で撃ち抜くラヴ。
ウォレスは言う「オフ・ワールドで、どんな手を使っても話してもらう。本当の苦痛というものを、そこで知るだろう」

 

夜の街を彷徨うK。コマーシャルタイプの超特大JOIが話しかける「何だか寂しそう。慰めてあげる」。そのまま過ぎ去るK。
フレイサの言葉-大義のために死ぬのは、最も人間らしい行為
サッパーの言葉-奇跡を見たことがないからだ 

 

大型のスピナーで海上を護送されるデッカード。ラヴが同行。

「どこへ行くんだ?」「故郷(ふるさと)」。
そこへKのスピナーが襲撃をかける。

攻撃を受けて海岸近くに不時着するスピナー。
Kの銃撃でパイロットは死に、残るはラヴだけ。Kとラヴとの死闘。戦いは互角。
手錠がシートに繋がれていて、溺れそうになるデッカードを庇いながら、ラヴの首を絞めて窒息させようとする。そして動かなくなるラヴ。

 

体に重大なダメージを受けて倒れ込むKにデッカードが「死なせてくれれば良かったのに」
「あんたは死んだ。これでやっと娘に会える」

 

そしてスピナーでステリン研究所まで乗り付けると、Kはデッカードを玄関に送り出した。
扉を開けてアナの姿を見るデッカード。
雪降る中、そっと体を横たえて空を見上げるK。

 

 

感想
あの「ブレードランナー」の続編という事で、事前情報集めてかなり盛り上がったのは、世間のヲタク同様だが、初見としての採点は「75点」といったところか。
世間では「大コケ」だとか失敗作だとか騒いでいる様だが、そこまでひどいとは思わない。かと言って「絶賛!」とまでは言ってあげられないのが辛いが・・・・

 

まず全体の印象として、ディストピア感がすごい。前作では酸性雨が降る、とは言っても夜の高層ビル群をすり抜けてスピナーが降下したり、タイレル本社に向かう途中での浮遊感が、すばらしい体験として沁み込んでいる。
だが今作ではそういったきらびやかな印象はまるでなく、大気汚染でどんよりとした街並みを飛行する姿は、とても陰鬱。この世界観は文句のつけようがない。
スピナーも前作では軽快なシティー感覚だったのが、軍用一本槍の無骨なものに変化。この30年で環境が相当厳しくなったという事が肌で感じられた。

 

軸となるストーリーは、白骨で発見された、レプリカントから生まれたとされる子供の行方を追ううちに、自分自身の出自を知ってしまう捜査官Kの話。
途中から、自分がその子供ではないかとの疑いを膨らませて行く過程は、やや冗長ながらも丁寧に描かれていて、そんなに悪い印象はない。
常に冷静・沈着なKが、アナ・ステリンの「実際の出来事よ」という言葉に感情を爆発させる。そして職務遂行出来ないほどの精神変革を起こしてしまう。ここが自分の考えるドラマとしてのピーク。

 

描かれる、人間とレプリカントの違いとは何か。
そもそもレプリカントは、遺伝子工学により作られた存在。現実社会でもiPS細胞の出現により、様々な臓器の製造が可能になっており神経節、いずれ脳細胞も作られるようになるだろう。

 

入れ物としての人体を作り出した時、そこに入れる知識のコアになるのが「記憶」。それこそが人のアイデンティティーを決定付ける。

今までのレプリカントが成体として世に出され、それを機能させるために擬似記憶の助けを借りているとしたら、赤ん坊として生まれたレプリカントが、最初から自分の経験で成長すれば、それはヒトとの区別が無くなる。
それが魂(たましい)を持つという事か。

 

アナという存在。そしてアナの記憶を植え付けられたK自身も、結局ジョシが言っていた「あなたは良くやっている」という評価に繋がる「人間らしさ」となっていた。

 

一方、AIのジョイにより描かれる、バーチャルとリアルの境界。彼女の持つ「切なさ」が、見た目も含めて非常に説得力を持って迫って来る。

ちょっとズルいかも。
マリエッティとシンクロする場面でも、バチっと重なった、じゃなくてその後何度も離れそうになり、二人の女のせめぎ合いみたいな微妙な感じが良かった(この場面を作るのに1年以上かかったとか)。

 

体格で数段勝るサッパー・モートンが、案外あっさりと殺されたのも、子供が見つけられないための犠牲的精神。
だが終盤で繰り返されるフレイサの「大義のために・・・・」は言わずもがな、という感じ。
逆か。Kは大義のためにデッカードを助けたわけではないだろう。

 

監督はレプリカント、AI、人といった関係を使って様々な「愛」を描いた。そう考えればこの映画として一定の評価が出来る。

 

 

さて、ここからツッコミ開始・・・・

まず、成体のレプリカントを作るところまでは技術面で納得したものの、やはりレイチェルが妊娠・出産するという飛躍には、奇跡と言われても納得しづらい。
卵子を遺伝子工学で作るという事であり、いくらSFと言いながら、成体のレプリカントを作るのとは、ハードルの高さが違う。
ただこれは、ファンタジーとしてサラリと流すべきなんだろうな。

 

上記を何とかクリヤーしても、たまたまタイレル博士が、寿命も定めない特別仕様としてレイチェルを作り、それが子供を産んだとして、どうして生殖能力のないネクサス8型の革命に繋がるのか。「奇跡」のシンボルとして祭りあげるというだけでは、ちょっと弱い。
本来革命というのであれば、生殖能力を作り出す事を、人間ではなくレプリカント側が取り返すためのシナリオが必要。軍を組織するとか、は方向性が違う。

 

まあ、ぶっちゃけ「入れ物」を作って運用してみたら卵子も「できちゃった」とすればいいのか。そうなるとレイチェルだけには輸卵管、子宮など労働力とは関係ない女性器官を全て備えていた、とかすれば辻褄は合う。
SFなんだから、一言でも説明があればそれで納得するんだけどネ。
そういうシナリオにしておけば、アナの細胞に識別記号があるのか?というのが一つの謎解きになるし、ウォレスが子供に固執する動機にもなる(続編作れる?)。

 

レイチェルの特定
骨の顕微鏡映像で識別番号は判っているのだから、ウォレス社に持って行くデータはこれだろう。なんで髪の毛?まあ髪の毛からも同じ識別番号が出たという事なのネ(別にいいけど・・・・)

 

ガフは何とかして欲しい
前作であれだけシニカルな役をやったガフが、デッカードの同僚でござい、と出て来るのがファンサービスだと思うんだったら逆効果。
「ファイナル・カット」でガフは、デッカードもレプリカント(リドリー・スコットの解釈)だと知った上でレイチェル共々逃がした男。言ってみれば人間側とも、レプリカント側とも取れる相当な食わせ者。もう少し練り上げた上で使って欲しかった。

 

レイチェル出現の意味は?
拉致されたデッカードの前に現れた、当時のままのレイチェル。年老いたデッカードとの対比がハンパなかったが、ストーリーの中で一体何の意味があったのか。サプライズというより、悪いものを見たという「ゾッとした」感が強かった(むしろそれを狙ったという事ならナットク)。
 
ラヴの行動
今回の中では最強のレプリカント。Kが孤児院を訪れて襲撃された時には、遠隔で高空から援護して「早く子供を探して」と何でもお見通しという全能ぶりだったのが、ジョシを殺し彼女のPCを奪ってKの居場所を探す、という無粋な姿とのギャップ。これはやはり、何が出来て何が出来ないのか、という基本シナリオとして整合させないと違和感が残る。

 

音楽
前作は、ヴァンゲリスがこれ以上ない、と思えるぐらいの世界観を与える音楽をつけてくれたが、今作としてはそこまでの思いがない。確かにシーンによって緩急が適切に仕込まれていたが、メロディーの印象がほとんどない。

 

また効果音としてのズン、ズン、ドン、ドンは結構景気良かったものの、やはりもう少し洗練されたイメージが欲しかった。
殴り合いの音も、まるでバットマンでも観ているようなドスッ!、バキッ でかなり俗っぽい。

 

ただ、前作の音楽も一部使われていた様だ(事後情報で知った)。途中がどうであれ、この曲でエンディングを決められたら、もう全部持って行かれる(前作でロイが最後に息絶える時に流れた曲)。

 


まあ、細かい事を言い出せばキリがないが、基本はタイレンジャーさんの見解どおり「ヴィルヌーブは良くやった」というところだろうか。
途中から引き受けて、リドリーのご機嫌も取らなくちゃならない中で、自分らしさも考えつつ進めるのは大変だったと思う。

 

数あるアイデアの中から、このストーリーを選んでしまったのだから、これの続編はかなり制約を受けそうだが、果たしてあるのか?・・・・・
リドリーのバイアスが入らない、ヴィルヌーブ100%の「ブレードランナー」も観てみたいが・・・・

 

 

追記

ZELDAさん提供の、ラヴちゃんネイル場面

 

 

 

 

 

 


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