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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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マイストーリー(5) 林 真理子

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 作:林 真理子 挿絵:三溝美知子


テレビドラマ 193~215(11/16~12/8)
高橋直樹の自伝がテレビドラマとして放送される事が決まった。辺見が「ふたりのシネマ」として企画を持ち込んだところ、ちょうど決まっていたドラマが吹っ飛んだ時期で、その穴埋めが必要だったのだ。来年1月放送まで3ケ月もない。驚くユアーズ社の社長。その方面では有名なプロデューサー、江口波留子が手がけるという。
急いで1ケ月掛かるという太田に、本の早期完成を強く要求する辺見。
江口の話では、夫と妻の闘病記を中心に据えなくては弱いとの指摘。だがそれは依頼者の由美が望んでいない方向だった。半ばゴリ押しの形でその話を受ける太田。
高木が草稿を送るついでに関係情報を伝える。江口が高橋直樹と面識があった事と、吹っ飛んだドラマのいきさつ。


由美の地元での打ち合わせ。社の方からは辺見、太田、高木。出版する本の事は伝えてあったが、辺見は担当するプロデューサー江口の事を話す。人気のあった番組をいくつか並べると、由美の顔がパッと輝いた。
辺見は続けて、この本の内容を闘病記の比重を高める様提案した。態度を硬くする由美。辺見がとりなすのをサポートする高木。
辺見はじわじわと由美を追い詰めていく。
食事も終わり、重ねて高木が、由美の嫌がる闘病記にはしないという言葉に沈黙で応える由美。
だが別れ際に辺見の言った「記者会見」という言葉に、由美が辺見に対し歓喜の表情を見せた事を歯がみする太田。
由美と別れ、駅に向かう3人。由美のこだわりに不快感を現す辺見。
駅で辺見と別れ、太田と高木は高橋直樹が入院していた病院にタクシーで向かった。
県立病院に着くと、担当医師だった小池が応対した。病状の説明に続いて、最期の時の様子では、由美は遺体にとりすがって「私をひとりぼっちにしないで」と号泣したという。


感想
辺見の思い込みだけと思われていたTVドラマ化が思いがけず現実のものとなり、むしろ出版よりも大きな話になり始めた。


身内にTV制作関係者が居るので、この辺りのプロットだけでけっこう大きな話が決まってしまうという感覚は、ある程度理解出来る。
元女優で、かたくなに「ただの闘病記にはしたくない」という一方で「記者会見」の言葉に喜びの感情を見せてしまう。由美の真意がどこにあるのか、この辺りがこれからの興味になって行くだろう。


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