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コズミックフロント「ついに見た!?宇宙の始まり インフレーション」 12/4放送

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番組紹介
http://www.nhk.or.jp/space/program/cosmic_141204.html


毎週木曜22時に宇宙関連の情報番組としてやっている。今回は宇宙の始まりの話。


宇宙はどうやって始まったか
1928年、エドウィン・ハッブルによって、銀河が遠ざかっている(膨張している)事が発見された。逆回しにすれば、宇宙は今より小さかった→宇宙には始まりがある。
1946年、ガモフによってビッグバンによる宇宙の始まりが提唱されたが、観測してみると2つの問題があった。
①ビッグバンの温度
宇宙の名残りの温度が届いているが、どの方向を測っても同じ温度。始まりの場所があるなら、どこか高いところがある筈。これを地平線問題という。例:パリのカフェで飲む紅茶の温度が80.000℃。ニューヨークでの紅茶の温度80.0008℃。パリとニューヨークでどうして同じ温度が出せるか。
②ビッグバンの膨張速度
宇宙の平坦性問題。膨張速度が(1)遅い時:宇宙は歪んで縮む。(2)速い時:引き伸ばされて双曲線状になる(3)中間の時:平らになる。しかし平らになるための確率は1/10^6。例:焼き立てのマフィン。膨らむか凹むか、頂部がまっ平らなマフィンが出来るのと同じこと。
またビッグバンは、初期にどうやって火の玉が出来たかの説明が出来ない。


インフレーション理論
別の研究からもたらされた。発表したのは佐藤勝彦教授。
真空のエネルギー。今までの真空の概念を変えるもの。従来、真空は何もない空間と言われていたが、ミクロの世界では素粒子が生まれたり消えたりしている(真空のエネルギーの概念)。これを宇宙初期の研究に関連付けて計算。ベースには相対性理論を使用。

その結果、e(指数関数)の関わる簡単な式に集約された。それは宇宙が急膨張を起こす事を表していた。
例えばシャンパンのアワ1個がインフレーションを起こして銀河サイズになるのにかかる時間は1/10^34秒。今までの常識から逸脱するので、確認に10ケ月をかけた。


マサチューセッツ工科大学のアラン・グース博士。偶然関わった真空エネルギーの研究から、佐藤教授のプロセスとほとんど同じ結論を導き出した。これを「インフレーション」と名付けた。それぞれ独自に発表(佐藤氏:1980/2月、グース氏:1980/8月)。当時発表しても、これが受け入れられるか不安があったが、ビッグバン理論の欠陥を解決するものだった。
地平線問題→東京で同時に同じポットから2つの紅茶を入れ、インフレーションによってパリとニューヨークに離れた(名残りの温度が同じだった理由)。
平坦性問題→マフィンがどんな形であっても、急激に引き伸ばされたから平坦になった。
火の玉が生まれた理由→相転移。例えば氷が水に相転移する時80cal/cm^3の熱量が出る。真空でも膨張時に相転移が起こる。そのエネルギーは1cm^3当り10^94cal。宇宙誕生時の温度は10^29℃。これがビッグバンの火の玉を作った。


宇宙は一つではない?
佐藤教授の理論では、いったんインフレーションが起きるとそれが続く。炭酸水の様なもの。良く振るとアワがどんどん発生→インフレーションのイメージ。インフレーションが終わらない。
この点に悩んだ佐藤氏、インフレーションがどうやったら終わるかについて数学的に解いた。インフレーションがいったん起きるとトンネルの様なものが出来る(宇宙と宇宙をつなぐトンネル)。宇宙が次々と生まれる。親→子→孫(生まれた後、トンネルは消える)。宇宙のユニバースに対し、この多宇宙をマルチバースと言う。


インフレーションの証明
ロシアのアレクセイ・スタロビンスキー博士。原始重力波(波長が数百光年)を捕らえることが出来ればインフレーションの証拠となる。発表した時は測定手段がなかったので認知されなかった。
1997年、マーク・カミオンコウスキー博士。ビッグバン後の最も古い光→宇宙背景放射。ここの奥でビッグバンが発生した。ここに原始重力波がぶつかって変形し、ゆらぎを生じる(渦巻き模様)。これを見つけたらインフレーション発見の一番乗りになるため、世界中の13チームで観測を続けている(チリ、南極等)。




2014/3月、インフレーションの証拠を見つけたとハーバード大のチームが発表(南極:BICEP2望遠鏡)。大気等のダストの影響で渦巻きが生まれる場合もあるため、検証作業が必須。12月の国際会議で結果が出る筈だったが、結果発表出来ないとの結論。別チームからの発表があり、ダストの存在するエリアの特定(MAP化)が出来たという。ハーバード大では更に感度を5倍に上げたBICEP3の開発中。インフレーション証明の戦国時代。


インフレーションと私たちとの関わり
宇宙背景放射は10万分の1の温度の違いを表したもの。温度ムラ物質密度の違い。その結果ガスが集まる、銀河が生まれ、太陽、地球が生まれる。インフレーションは誕生の種を蒔く。
素粒子研究の先に宇宙がある。

インフレーションの証明は、我々はどこから来たのか、何のためにいるのかを追究する糧となる-佐藤勝彦。


感想
宇宙誕生とか、宇宙の外には何がある?とか悩み出すとキリがない話ではあるが、ビッグバン以降の情報が得られて、非常に有益な機会だった。
特に「素粒子研究の先に宇宙がある」というのはすごい。
こういう研究をひたすらやっている人たちが世界中に居る。

彼らは宗教家としても存在し得る、か。


佐藤勝彦氏の対談
http://www.athome-academy.jp/archive/space_earth/0000000243_all.html
http://www.ipmu.jp/webfm_send/705
http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/053/talk_index.html
タイムマシンの話なんかもやってる・・・・
https://www.youtube.com/watch?v=z4utlrGv6hQ



宇宙背景放射の解説
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E6%B3%A2%E8%83%8C%E6%99%AF%E6%94%

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