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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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サイエンスZERO「極小マシンがあなたを救う!?薬を届けるナノマシン最前線」NHK10/16放送

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感想
この番組でつい最近、ウイルスを使ったがん治療の話をレビューしたばかり(コチラ)であり、この方面の技術を集中的に放送しているのは素晴らしい。
ナノマシンというと小説「虐殺器官」を思い出すが、現代の研究もなかなか進んでいるナーと感心。
このマシンの性能アップに、ウイルスの特性もちゃっかり利用しているとは、科学者たちの思考の柔軟さにも敬服。
ホントに知的好奇心をくすぐられる回だった。
オマケ
PET検査が糖を利用しているとは知らなかった。

だから脳腫瘍の検査が出来ないのか・・・・


内容
司会  井上咲楽、浅井理
ゲスト 安楽康孝 東大大学院工学系研究科

工学の研究者を巻き込んで研究が進行中。
人工的に作ったナノサイズの乗り物に薬を乗せて運ぶ。
ドラッグデリバリーシステム
ナノマシンのサイズは50nm。赤血球が8,000nm。

 

どこがマシンなのか、どう設計するのか?
作っているのは「ナノ医療イノベーションセンター」
片岡一則センター長。
ナノ医療の必要性→抗がん剤を脳腫瘍に投与しても、辿り着く途中で正常な細胞にダメージを与える(副作用)

ひも状の高分子材料(アミノ酸)に薬を付けて運ぶ。
ひもの先に抗体をつける(がん細胞まで届けるナビゲーター)
隠れみのとして尻尾にポリエチレングリコールをつける。

 

マウス実験で効果確認。この時抗体付きと抗体なしで実験→どちらも同等の効果があった(新たな発見)
尻尾を中心にマシンが集まって球体を作る→「高分子ミセル」

薬剤運搬の効率が良くなる。
がん細胞の血管はスキマだらけなので、正常血管を素通りしてがん細胞に到達して取り込まれる。遺伝子、たんぱく質も運べる。


まだ課題がある(中に入っていない)→届けきる仕組みが必要。
ナノマシンはウイルスサイズ。

ウイルスには結合のトゲがある。
トゲを加えてがん細胞に入り易くする→2倍以上入った。


もう一つの工夫→ペーハーによる制御。がん細胞は酸性なので、これを利用して放出時期を設定→がん細胞全滅。

マシンの大きさ、トゲの設計等が重要。

到達が難しいのが「脳」
アツルハイマー抑制剤を投与しても、脳に届くのは0.1%。
脳の「ある仕組み」異物侵入を防ぐ。

血管にスキマがなくバリアになっている(関所)
どうすればバリアが解けるか→砂糖
PET検査は糖の取り込みを利用したもの。
脳血管にはグルコースが通れる管がある→突破できる。
ナノマシンの回りにグルコースを付ける。

空腹時に投与し、その後グルコース投与で一気にナノマシンも取り込まれる。

この仕様による効果は100倍以上。

脳の病気の治療成績向上が期待される。

この治療のヒトへの応用は最短で10年先。
大きな課題は、ナノマシンの副作用の有無。

今、更に検討しているのはナノマシンの「はやぶさ」化。
サンプルリターン→患部の細胞を取って帰る。
髄液採取等、危険を伴う検査の危険回避。

 

 

 

今日の一曲
ABC - When Smokey Sings 1987


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