感想
「アラビアのロレンス」の映画は観た記憶があるが、こんな話だとは思っていなかった。
イスラエルとパレスチナの確執。
アメリカが肩入れしていた事、苛烈な運命だった事もあって、どうしてもユダヤ人の方を正義に見てしまっていた。
最もキタナイのはイギリス。アラブ人、ユダヤ人双方に国を与えるとの甘言でオスマン帝国を崩壊させ、利権を丸取り。
そもそも植民地で潤って来た国だから倫理観が希薄なのか。
しかし岡本公三にはショック(忘れかけていた) 忘れてはダメ
バンクシーについても単に「路上アーティスト」としての認識しかなく、彼の平和への思いについて知らなかった(反省)
内容
路上芸術家バンクシーが作品制作している。
平和への願いと暴力批判。
そこはイスラエルが作った分離壁。全長700キロ。
アラブ人とユダヤ人。報復が報復を呼ぶ。
百年前の第一次世界大戦。
一人の将校の裏切り
かつてアラブ人とユダヤ人は仲が良かった。
映画の父リュミエール兄弟が撮った「列車の到着(1897)」
エルサレムは三つの宗教の聖地(ユダヤ、キリスト、イスラム)
20世紀初頭、この地はオスマン帝国が支配(多言語国家)
赤部がオスマン帝国
それを壊す第一次世界大戦が勃発(1914年)
欧州は二大陣営に分かれ、オスマンはドイツ傘下に。
チャーチル(イギリス)はアラブ人の独立願望を利用して帝国の内部崩壊を目論み一人の将校(トーマス・エドワード・ロレンス)を送り込んだ。
アラビア語に精通するロレンスはアラブ人に独立支援を約束(イギリスの方針) アラブ指導者ファイサルはロレンスを信用。
オスマンに向けゲリラ戦を仕掛けるファイサル。
一方イギリス外相バルフォアはユダヤ系財閥(ロスチャイルド家)に対し、パレスチナにユダヤ人国家を作る事への支持を伝える。イギリスの膨大な戦費調達のため、ユダヤ人が奮起。ユダヤ人部隊の旗はユニオンジャックの下にダビテのマーク。
ロレンスはイギリスの裏切りに怒るが、それを伏せたまま活動。
ユダヤ人、アラブ人の反乱によりオスマン陥落。
1917年、エルサレムにユダヤ人入城。
1918年ダマスカス陥落によりファイサル入城。アラブ人が求めた自由の実現。だがアラブ人の国は作れないとイギリス軍司令官アレンビーが伝える(ロレンスが通訳した)
イギリスはパレスチナを統治、石油採掘権も取った。
ロレンスは砂漠の英雄として記録映画が上映された。
本人は罪の意識に苦しんだ。
1920年、ユダヤ人との約束を守ったイギリスは、パレスチナにユダヤ人を入植させた。移住は5年間で3.5万人に。
悲劇がドイツで起こる。1930年ベルリン。ヒトラーの台頭。
ユダヤ人根絶を掲げるヒトラー。
ユダヤ人はドイツを脱出しパレスチナに向かった。
共存関係にき裂。ユダヤ人は貧しいアラブ人から土地を買って開発を進める→憎悪を受ける。抗議が頻発し反乱も起きる。
和解工作、調停も失敗しイギリスは方針転換。
パレスチナへの入植を今後5年で7.5万人に制限。
1939年、客船セントルイス号がユダヤ人乗客900名を乗せてアメリカに向かう。だが入国拒否を受け、船は欧州に戻り周辺の4ケ国(フランス、オランダ、ベルギー、イギリス)が受け入れる。
だが第二次世界大戦が勃発し、イギリス以外の三国がナチスに落ちた。その国に行ったユダヤ人は強制収容所に送られた。
セントルイス乗客937名中254名が犠牲となった。
ナチスに殺害されたユダヤ人は600万にのぼる。
1945年、第二次世界大戦終結。解放されたユダヤ人の、パレスチナへの思いが噴出(シオニズム)
1947年、イギリスはパレスチナ統治を断念。国際連合に委ねる。
ユダヤ人国家(イスラエル)建国は33:13で可決(1948年)
ユダヤ人国家誕生と同時にアラブ人の憎しみ増幅。
周辺国が宣戦布告して第一次中東戦争勃発。イスラエルは海外から兵器を買い付け勝利。アラブ人75万人を追い払った。
それがパレスチナ難民。
1970年代、アメリカの助力でイスラエルは発展(人口250万)
イスラエル初代首相ベングリオンは、当初アインシュタインに就任を依頼したが断られた。彼は両民族の共存を説き、今後どんな態度を取るかで民族としての道徳水準が問われると言った。
パレスチナゲリラ。首領はアラファト。自由の戦士。
1972年、テルアビブ ロッド空港乱射事件。
3人の実行犯は日本人。首謀者 岡本公三。
うち一人は自爆。
自爆テロによる大量殺りくが新しい戦術となった。
1972年、ミュンヘン・オリンピックのイスラエル選手団をパレスチナゲリラが拉致し、政治犯の釈放を要求。
人質、ゲリラ多数の死者。本国では「最高のジハード」と称賛。
2001.9.11ニューヨーク同時多発テロ。
2002年、イスラエルは分離壁の建設着手。高さ8m。長さ700キロ。
2005年、バンクシーがその壁に壁画を描く。
「Love is in the Air」 火炎瓶でなく花束を投げる青年
「Angels」 分離壁をこじ開けようとする二人の天使
バンクシーの肉声
何世紀も聖地だった場所に コンクリートの壁が作られた
この巨大なキャンバスに絵を描けば
世界最大のアートに変えられる
2017年、バンクシーはアポロジーパーティーを開く。
エリザベス女王の面を被った者に謝罪させた。
世界のアーティストが分離壁をキャンバスにした。
今も衝突は続く。2021年、ガザ地区への空爆で250人死ぬ。
1935年、ロレンスはオートバイ事故で死ぬ(46歳)
残した言葉
年がたつにつれ、私は自分が演じた役割りを憎み、軽蔑する様になった。もしも私がアラブ人に対するイギリスの取り決めをなくす事が出来たら、新しい共和国を作れたかも知れない。
アラブ人とユダヤ人は強国の圧政に苦しんだ従兄弟の様なもの。
アラブ人とユダヤ人双方が助け合う未来を私は願っている。
今日の一曲
Freedom Sound · The Jazz Crusaders
渋い曲で・・・・