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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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Air/まごころを、君に(エヴァ旧劇場版 後編)1997年

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新世紀エヴァンゲリオン

Air/まごころを、君に / THE END OF EVANGELION(旧劇場版 後編)

 

監督    庵野秀明(総監督、26話監督)
           鶴巻和哉(25話監督)
脚本    庵野秀明
音楽    鷺巣詩郎
主題歌    LOREN & MASH「THANATOS -IF I CAN'T BE YOURS-
興行収入 約25億

特報


感想
TV版総括としての25、26話を思い切り「やり切った」映画。
地球サイズに膨れ上がった綾波レイが黒い月を手で挟み、そこで補完が実行されて行く。
ホント、ちょっとズレているとも言えるバカげた壮大さは、まず実写では表現出来ない。
そういう意味で、こんな映像は今まで観たことがなかった。
その終盤で人類が一つの生命体としてまとまるか、個々の人格を取り戻すかの選択がシンジ一人に託される。
裏切られると分かっていても、そんな相手にもう一度会いたいと思う気持ち。それが世界を取り戻す力となった。

でもこれは、人類全体を巻き込んだ碇一家の「家庭劇」だった。
あれほどシンジに冷たくしていた父ゲンドウの懺悔。
「シンジが怖かったのね」というユイの言葉が痛い。

この前提を踏まえて「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を観るのが正しい取り組み方・・・・カナ?
ただこの先新劇の「序」「破」「Q」がある。シン・エヴァのレビューはまだ
先ダナ・・・

中田敦彦のアツすぎる解説(各2時間!)その① その②
映画の全セリフはこちら

あらすじ
(シト新生の終盤と重複)
ゼーレが戦略自衛隊を使ってNERV本部の直接占拠に動き出した。
シンクロ出来ないアスカだが、弐号機に乗せられ地底湖に避難。
初号機が待機するが、シンジは逃げ出してうずくまる。

それを救出に向かうミサト。
一方地底湖で、母の存在を意識して復活したアスカ(弐号機)が戦略自衛隊を撃退。


そこに白い飛翔体がいくつも現れ、弧を描く。
「エヴァシリーズ・・・完成していたの?」

S2機関搭載型を9機投入とは大げさな、と冬月。
初号機へのアクセスポイントに着いたミサトは、アスカにエヴァシリーズの殲滅を指示し、シンジを引きずる。
残り3分半で9つ。病み上がりに軽く言う、とボヤきながら戦闘を開始するアスカ。

ルート20へのゲートを見つけた時に銃弾を受けたミサト。
ミサトを見ることが出来ないシンジ。自分に出来ることは何もない・・・
もう一度エヴァに乗ってケリを着けなさい。

何のためにここにいるのか・・・
そしてシンジに長いキスをしたアスカ。


「大人のキスよ、帰ってきたら続きをしましょう」
そしてエレベーターを閉じたミサトは倒れ込み、絶命した。

量産機と果敢に戦うアスカ。プログ・ナイフで次々に倒して行く。
襲いかかる後続。それらをなぎ倒す弐号機。
行き着いた初号機のケージで、アスカの戦う通信を聞くシンジ。

レイを連れたゲンドウが、ターミナルドグマのリリスの前に立つ。

そこにリツコがいた。
「お待ちしておりました」銃を向けるリツコ。
MAGIのプログラムを書き換えたと言うリツコは、その指令ボタンを押すが反応しない。
「赤木リツコ君、君は本当に・・・・」
銃声と共に倒れるリツコを見つめるレイ。

戦い続ける弐号機。活動限界はあと15秒。
背後から量産機の武器が飛来。それをA.Tフィールドで止めるが、その武器がロンギヌスの槍に変形して弐号機の頭部に深々と刺さった。


「きゃぁぁぁーー!」左目に激痛を受けて絶叫するアスカ。
そして弐号機は、活動限界が来て沈黙。
倒した筈のエヴァシリーズが活動を再開した。羽根を広げて飛び上がり、次々に弐号機の体に食らいつく。はみ出す臓物。
耐えきれずモニターから目をそらすマヤ。
「・・・・殺してやる・・・殺してやる・・・」


左目を押さえながら虚空をつかむアスカ。
無数の槍が弐号機の体を貫いた。

「シンジ君!弐号機が!アスカがぁ!」と叫ぶマヤ。
だが動けずうずくまるシンジ。「だってエヴァに乗れないんだ・・」
その時エヴァの腕が動き、シンジが乗るための足場を作った。
ゲンドウが呟く「初号機が動き出したか」

起動した初号機。十字の光が天を貫き、光の羽根へと変化した。
羽根をまとった初号機。顔を上げるシンジ。
そこには、量産機に食いちぎられて肉塊となった弐号機の姿があった。その壮絶な光景を見たシンジは絶叫する。


--つづく--

リリスの前に立つレイに語りかけるゲンドウ。
「ユイと再び逢うにはこれしかない。アダムとリリスの禁じられた融合だけだ」
レイの左手がもげて落ちる。A.Tフィールドが形を保てなくなっている。
ゲンドウが、アダムを埋め込んだ右手をユイの胸に差し入れる。めり込む手をゆっくりと下腹部に動かして行く。
うめき声を上げるレイ。


第26話 まごころを、君に
「うわぁぁぁーーーっ!あぁぁぁーーー!!!」
シンジの絶叫に共鳴するように、初号機が自らの装甲を破壊して行く。そして光の十字架が発生する。
月に刺さっていたロンギヌスの槍が大地から抜け、飛び出して地球に向かう。それが初号機の喉元で止まった。

ゼーレの部屋。キールが宣言する。
エヴァシリーズを本来の姿に。人々を真の姿に。
では儀式を始めよう。

量産機の二体が初号機の両手に槍を突き刺して広げ、残りの七体が羽根に取り付いて空高く持ち上げる。十字架に磔となった初号機。
第2指令所でマコトが叫ぶ。
「初号機、拘引されて行きます。高度12000!」
初号機を依代とするつもりか、と冬月。
雲の上まで運ばれた初号機。両目の光が消える。
シンジの両手のひらに現れる聖痕。

光を宿す初号機。そして9体の量産機は図形の様な編隊を組む。
次元測定値が反転、マイナス!とシゲル。
アンチA.Tフィールドか、と冬月。
全ての現象が15年前と酷似してる、これってサードインパクト?とマヤ

第3新東京市全体規模の爆発が生じる。
ゼーレの部屋。「まずはジオフロントを、真の姿に」
爆発が収まった巨大なクレーターから「黒い月」が姿を現した。
ジオフロントはこの上にあった。

ターミナルドグマのゲンドウ。自分のシナリオを進めようとしていた。
「レイ、私をユイのところへ連れて行ってくれ」
だが差し入れた右手に違和感を覚える。
私はあなたの人形じゃない。
急いで腕を引き抜くゲンドウ。その先がなかった。
「なぜだ?」「私はあなたじゃ・・・ないもの」
左腕を再生させながら、レイはリリスの胸へ浮かんで行った。
「ただいま」 --おかえりなさい

レイを取り込んだリリスは鼓動を始め、足も再生されて行く。
そして仮面が剥がれ落ちた。
「レイ・・・」
女性の体になって行くリリス。

ターミナルドグマからの高エネルギーを報告するシゲル。
パターン青! 「まさか・・・使徒?」
「いや違う、ヒト、人間です!」
その時、巨大なレイの白い体が第2発令所に現れる。そして床やマヤの体をすり抜けて行った。
「いやあぁーっ!いやぁぁぁーーーっ!!」絶叫するマヤ。

上空で身動きが取れないシンジ。
そこに巨大化したリリスが、雲の様に初号機へ迫った。
「・・・綾波?」目を閉じたリリスが再び開いた時、レイの瞳になっていた。 「うわあぁぁぁーーーっ!!」

ゼーレの部屋。「エヴァンゲリオン初号機パイロットの荒れた自我をもって人々の補完を」

A.T.フィールドの共鳴を報告するシゲル。
「レイと同化を始めたか」と冬月。

量産機の顔がみなレイの顔に変わって行く。
めちゃくちゃに操縦桿を引くシンジだが反応しない。
「これ以上はパイロットの自我が持たんか・・」

「もういやだ・・・もうやだ・・・いやだ・・・いやだ」
「もう、いいのかい?」
その声に顔を上げると、カヲルの微笑みが見えた。
安心するシンジは目を閉じる。
いつの間にか、レイの腹部からカヲルが生えて伸びていた。
初号機にリリスの手が伸びる。

ロンギヌスの槍が初号機のコアに迫った。

冬月が言う。
使徒の持つ生命の実と、ヒトの持つ知恵の実。その両方を手に入れたエヴァ初号機は神に等しい存在となった。
この先はサードインパクトからヒトを救うか、人を滅ぼす悪魔となるか。
未来は碇の息子に委ねられたな。

初号機のコアにロンギヌスの槍が刺さり、同化して行く。
赤い生命の樹となった初号機。

コアのあった場所に無数の目が生まれる。
カヲルの顔がレイに変化する。
幸せそうに、自分の意識の海へと溶け出るシンジ。

夕暮れの公園。子供の頃のシンジが友達と砂の城を作っている。

母親に呼ばれて帰って行く友達。
涙をこらえながら城を完成させた。

だがその城を足で踏みつけて壊して行く。
また城を作り始めた。



「アンタ見てると・・イライラすんのよぉっ!!」とアスカの声。
結局、シンジ君の母親にはなれなかったわね、とミサト。
加持とミサトのベッド会話。
寂しい大人が慰め合っているだけ、とアスカ。
これも私、シンジ君の知らない私、とミサト。
何も分かってないくせに、私のそばに来ないで。
分かる筈ないよ、アスカ何も言わないくせに。
碇くんは分かろうとしたの?とレイ。
分かろうとした・・・
バーカ!知ってんのよ、アンタが私をオカズにしてる事。
僕にやさしくしてよ!
「やさしくしてるわよ」ミサト、レイ、アスカの姿が重なる。
僕の相手をしてよ!僕にかまってよ!
後ろに立つ三人。とっさに振り返るシンジ。

キッチンでアスカと対峙するシンジ。
役に立ちたい、ずっと一緒に居たいんだ。
じゃあ何もしないで。そばに来ないで。
助けてよ、アスカじゃなきゃダメなんだ。
アンタ、誰でもいいんでしょ!ミサトもファーストも・・お母さんも怖いから
私に逃げてるだけ。
自分しかここにないのよ。その自分も好きじゃない・・・
テーブルをひっくり返して暴れるシンジ。
一人にしないで!!
「イ・ヤ」と冷たく見下ろすアスカ。
突然、アスカの首を絞めるシンジ。アスカの足が床から離れた。


幼いレイの首を絞める赤木ナオコ。様々な映像が駆け巡る。

レイとの会話。
誰も分かってくれないんだ・・・
何も分かっていなかったのね。
裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったんだ
だからみんな死んじゃえ! 僕も死んじゃえ!

でも、その心は何のためにあるの?
なぜここにいるの?
・・・・ここにいてもいいの?

第2発令所。パイロットの反応がゼロに近づいているとの報告。
高度22万キロ。
巨大なリリスが体を起こし、大気圏外に姿を現して黒き月を両手の間に置いた。そして羽根を広げる。


「ガフの部屋が開く・・・世界の始まりと終局」
黒き月に赤い光が浮かぶ。
死んだ人々の前に現れるレイ。

触れた者は次々にL.C.L.へ還元された。
それはミサトからマコトへも連鎖。
冬月に近づいたレイ。彼もまた還元された。
「A.T.フィールドが・・みんなのA.T.フィールドが消えていく・・。これが答
えなの?」リツコに抱かれながら還元されるマヤ。

横になっているゲンドウ。そばにユイの姿。
この時を待ち続けた。やっと会えたな、ユイ。
「シンジが怖かったのね」
自分が人から愛されるとは信じられない。
ただ、逃げてるだけなんだ。傷付く前に世界を拒絶している、とカヲル。
人の、目に見えないものが、怖くて心を閉じるしかなかったのね、

とレイ。
その報いがこれか・・・すまなかったな、シンジ。
ゲンドウの体を掴む初号機。そしてその頭に食らいついた。

 

量産機たちは、自らの手で槍を自分のコアに突き刺す。
そして地球全体が無数の十字架で埋め尽くされて行った。
リリスの額に亀裂が入り、生命の樹となった初号機が吸い込まれていく。

「はっ・・・綾波・・・レイ?」
シンジはリリスの中で、無数に泳ぐレイを見た。
流入する他人の声。
嫌い・・・勘違いしないで・・・好きじゃない・・・あっち行って・・・大っ
きらい!・・・意気地なし!
もうやめてもいいのよ、とミサト。
逃げ出してもいいのよ、とレイ。
身も心も一つに重ねたいんでしょ、とミサト。
でも、あなたとだけは、ゼッタイにイヤっ! とアスカ。

流れる実写映像。
空席の映画館 きらめく水面 送電線 電車 猫 ブランコ 車窓からの景色 雑踏・・・

終盤(ただしイタリア語)


現実がよく分からない、とシンジ。幸せがどこにあるかも。
僕の現実はどこ?
「それは、夢の終わりよ」とレイ。

リリスが、月まで届く血しぶきを噴き出し、ゆっくり倒れて行く。


裸で仰向けになったシンジに、裸のレイが跨っている。
ここはL.C.L.の海。A.T.フィールドを失った、自分の形を失った世界。
「僕は死んだの?」「いいえ、全てが一つになっているだけ。

これが、あなたの望んだ世界」レイの両手がシンジの胸にめり込む。


「でも、これは違うと思う・・・」
「他人の存在をもう一度望めば、また他人の恐怖が始まるのよ」
「いいんだ・・・ありがとう」

レイの足を枕にして寝ているシンジ。
あそこではイヤなことばかり。だから逃げても良かったんだ。
でも逃げたところにもいいことはなかった。誰もいないのと同じ。
互いに分かり合えるという希望・・・と言うレイ。
それは見せかけ。いつかは裏切られる。僕を・・・見捨てるんだ。
でも・・・僕はもう一度会いたいと思った。その気持ちは本当。
そして、みんなのイメージが浮かび上がった。

倒れ込んで行くリリスの眼球を破って初号機が現れる。
そして初号機は羽根を広げると雄叫びを上げた。
リリスの体が崩壊して行く。
もげ落ちたリリスの首が地表に落下した。
自らの心で自分自身をイメージ出来れば、誰もがヒトの形に戻れるわ、とレイ。
全ての生命には、復元しようとする力があるの。

幸せになるチャンスはどこにでもあるわ、とユイ。

量産機が地上に降りるのと逆行して、無数の光の十字架が上昇して行く。それに包まれながら宇宙空間を進む初号機。

赤い海の中で、そっとシンジの頬を撫でるユイ。
もういいのね?
幸せがどこにあるのか、まだ分からないけど、これからも考え続ける。自分が自分でいるために。
沈んで行くユイ。上昇するシンジ。
でも母さんは・・・どうするの?

幼いシンジを抱いたユイが冬月と話す。
ヒトはこの星でしか生きられません。

でもエヴァは無限に生きられます。
とても寂しいけど、生きて行けるなら・・・・
「ヒトの生きた証は、永遠に残るか・・・・」

THE END OF

EVANGELION

ONE MORE FINAL

地表に落ちたリリスの巨大な顔。


シンジとアスカは、並んで波打ち際に寝ていた。
シンジは体を起こしてアスカの方に向くと、馬乗りになって彼女の首を絞めた。「うぅぅぅっ・・・・・」
アスカの右手がゆっくり動いてシンジの頬を撫でた。
手を緩めたシンジは激しく嗚咽する。

その涙がアスカの顔にポタポタと落ちた。
泣き続けるシンジを見て、アスカが言った。
「・・・気持ち悪い」

--終劇--
 

 

 

 


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