副題:あの日、そして明日へ それぞれの3654日
感想
大震災から10年を経ての、技術面からのアプローチ(3回シリーズ)
30分番組だから、どうしてもあまり深くは掘り下げられないが、重要キーワードを植え付けるという点では成功している。
ナビ役の小島瑠璃子、何でも無難にソツなくこなし、この4月で丸3年を迎える。無難な中にもけっこう鋭さも感じられ、そこそこ番組のカラーにも波長が合って来ている(たまにイラっとするが・・・)
昔ほどのあざとさは感じない(洗脳された?)
第1回 「私たちが挑んだ超巨大地震」 3/7放送
東日本大震災 2011.3.11 震源地 沖130km
M(マグニチュード)9.0(観測史上最大)
予想は8 →9(30倍)
なぜ起きたかの解明
当時この地域の地震は7つの領域で考えていた。
そのうちの1区画で発生と予想(だから8)
それが6つを巻き込んで巨大化→地震波に現れる3分間の揺れ(二つの山に注目)
M8地震の後、プレート境界が動いた(通常は持ちこたえる)
→表層が50m動いたと仮説を立てた。
探査船「ちきゅう」による調査
プレート境界の地層を調べる→粘土質の土
摩擦熱でプレート境界は800℃になる。土中の水酸基からOHが結合して水が流出。実験では水がどんどん出て巨大すべりを起こす。
サーマル・プレパライゼーション
これにより50mに亘って海底面のすべりが起きて津波になった。
予測は出来ないか(南海トラフ)
巨大化するか、しないかの予測は困難。
大規模なものと、そうでないものの初期挙動は同じ。
長いスケールでの予測は可能
スロー地震は2002年に発見された
→従来はプレート境界の歪みを減らす作用として位置付け
概念を変えたのが10年前。
震災の一ケ月前に震源地の沖で起きていた。
スロー地震は巨大地震の予兆?
2016年に観測網が完成(S-net)総延長5600キロ 150台
遅い地震の研究により速い地震を予測
分布をとらえるのに成功している。
スロー地震は
歪みの解消なのか 巨大地震への一押しなのか
見極めが重要
第2回 「命を救うための挑戦 津波防災最前線」 3/14放送
津波高さを見誤ったのが被害拡大の原因
警報6m→実際は15m
津波予想は地震規模(マグニチュード)から算出
Mの過小評価が要因(7.9→実際は9.0)
地震発生してからの正確な値を知るのに50分かかった。
津波は30分で到達した。今は15分で出せる。
2013年から津波予報の出し方を変えた(3段階)
地震観測網S-netには水圧計も付加。
東南海地方は「DONET」を運用。
海洋レーダーによる海面の観測で波の方向が分かる。
千葉から九州にかけて17基設置。
課題は普通の波と津波の見分け。
津波は一直線で速い。1m以上の津波を50キロ先から捕えられる。
30分の時間が稼げるのは大きい。
スーパーコンピューターを使った地殻移動の解析も進む(発生後3分で結果を出す)
システム多重化、確実性の担保等、運用には時間がかかる。
避難の課題
車避難による渋滞。人だけでも混雑。避難所へ人が集中。
潜在的な課題が見える。
全体で33万都市の例。浸水地域のみの住民8万の避難なら渋滞なし。避難告知にも工夫が必要。どこまで逃げたらいいかも。
今後の10年は?
研究は終わりではない。心理学、経済含め更に考えて行く。
第3回 「廃炉10年 現在地と未来への挑戦」 3/21放送
地震発生から一時間後、津波に襲われ電源喪失。
メルトダウン、水素爆発により三つの原子炉が破損。
あれから10年。廃炉の最前線の報告。
廃炉の困難さを思い知る10年。代表的な四つの作業。
①使用済み核燃料 ②デブリ ③汚染水 ④ガレキ
①使用済み核燃料
3号機の取り出し作業の残りは現時点で 24/566本。ほぼ完了。
だが1、2号機作業にはまだ数年かかる。
②デブリ
炉心最上部のシールドプラグ(蓋)の裏に多量のセシウム。全量の3割が集まっており、上部からの取り出しを阻む。
③汚染水
除去で残ったトリチウムを含む水が1日140トン出る。
保管限界は2022年夏。
薄めて海に放出の方針だが、地元との調整つかず。
新たに出る廃棄物→汚染水濾過の吸着剤。
④放射性廃棄物
伐採木、作業服等は通常の焼却は出来ず、新たな焼却施設が必要。煙から4段階で放射性物質を濾過。
廃炉ロードマップ
ロボット最前線
炉心へのアクセスは貫通部の扉を開く必要がある。十種の部品を交換して作業。デブリ取り出しはロボット開発が遅れる分だけ遅れる。
継続するには人材育成が必要。
排気筒回収ロボットは地元の中小企業が開発。
新たな取り組み
廃炉創造ロボコン。福島高専が主導で15校が参加。
現地見学も実施。
研究は可能性を秘めている。宇宙、医療への展開も可能。
初心を忘れるな
先日起きた地震では、3号機の地震計が故障してデータが取れなかった(東電)