カーク・ダグラス氏が先日亡くなったので、作品を紹介してご冥福をお祈りします。
監督 リチャード・フライシャー
脚本 アール・フェルトン
原作 ジュール・ヴェルヌ
製作 ウォルト・ディズニー
キャスト
ネッド・ランド カーク・ダグラス
ネモ艦長 ジェームズ・メイソン
アロナクス教授 ポール・ルーカス
コンセイユ(助手) ピーター・ローレ
ファラガット艦長 テッド・デ・コルシア
予告編
感想
自分が子供の頃は「サブマリン707」の関係からか、プラモデルも潜水艦モノが多かった。ゴム動力で、潜望鏡と昇降舵がセットになったメカで浮上ー潜航を繰り返すもの。
そんなシリーズの中に本作の「ノーチラス号」もあった。
さんざん遊んだくせに、物語そのものは今回初めて知った。ただ巨大イカが絡み付くシーンなんかは挿絵で良く見かけていたが・・・
少年少女向けのSF大作。1954年という時代(戦後9年)を考えると、良く作り込まれているなー、と感心。
船内の、潜水のための出入りの部屋に、ちゃんと与圧を与えているところなど、考証がしっかりしている(スターウォーズなんかとは違う・・)。
またアクアラング式の潜水着は、当時としては先進技術だっただろう。
この映画で想定している新エネルギーは「原子力」のこと。
ネモが動力室でアロナクス教授にエネルギーを見せるところで防護服の様なものを着せているのにその片鱗が見える。
ただ、それ以外の遮蔽が一切ないのがご愛敬だが。
米海軍は、同年に就航した初の原子力潜水艦に「ノーチラス号」と命名したそうだ。
ネッド役のカーク・ダグラス。シブい役どころが多い人だが、こんなにひょうきんな役をやっていたとは驚き。
世界的なエネルギーの発明を行った天才が、その才能のために迫害を受け、海底に逃れて自分の世界とした。
宇宙と並んで、海底は人の知的好奇心をくすぐる貴重な存在。
映画は、海底の魅力も十分伝わる構成となっており、そちらの面でも楽しめる。
ツッコミ
潜水艦にパイプオルガンかよ!(曲はバッハの「トッカータとフーガ」)
とても潜水艦と思えない設計にビックリ。
オマケ
推奨はしませんが・・・(全動画)
英語字幕付きなので、語学の勉強になります。
あらすじ
1968年。航海する船が、謎の怪物に襲われて沈没する事故が多発。生き残った者の話に尾ひれがついて船員が集まらず、運輸会社は頭を抱える。騒いで取り押さえられる銛打ちのネッド・ランド。
調査のためのサイゴン行きが中断されて困っている、海洋学者のアロナクス教授と助手のコンセイユ。
米政府の役人が来て、アロナクスにこちらの船に乗ってもらえないかとの申し出。怪物の噂の真偽を確かめるための航海。
調査が終わればサイゴンに送るという事で、乗り込むアロナクスとコンセイユ。ネッドも船員として入る。
航海一ケ月、南太平洋の海域を回ったが、何も出ない。責任者のファラガット艦長は、元々怪物を信じておらず、人を集めて帰港を宣言。
そんな時に、近くで船が襲われて爆発、沈没するのを目撃。
そして緑に光る目を持つ怪物が猛スピードでこちらに迫る。
ネッドが銛でそれを目がけて打ち込むが、船は衝突されて沈没。
アロナクス、コンセイユとネッドは残骸に掴まって漂流。
流されるうちに鋼鉄製の構造物に辿り着く三人。アロナクスは潜水艦だと気付く。
入り口が開いており、中に入るが誰もいない。
船底にある窓から外を見ると、潜水服を来た者が多数歩き回っている。どうやら葬式をしている模様。
彼らが戻って来る気配に、慌てて隠れる三人。
だが見つかって引き出される。
この艦はノーチラス号。支配しているのはネモ艦長。
訳あって人間界を捨てたという。アロナクス教授の事は知っており、一応彼だけを客として残すと言ったが、アロナクスは拒否。
そのため三人は外に出されて、艦が潜水を始める。
三人の姿が水没した時、ネモ艦長は浮上を宣言。
回収された三人。なぜ助けた?と聞くアロナクスにネモは、仲間のために命を投げ出す心が重要だと言った。あんたは役に立つ、とも。
客の待遇として扱われるが、場の空気を乱すネッド。
出される食事は全て海から集めて来たもの。
地上のものは使わないという。葉巻も海藻から作る。
クレスポ島に立ち寄り、そこの海底で食料を調達する船員たち。
ネッドとコンセイユは使役に出され、アロナクスも興味があってネモと潜水服で出る。
海草、魚、ウミガメなどを捕って帰艦する船員たちだが、ネッドが沈没船を見つけ、コンセイユを引っ張ってその中に入る。
財宝の入った箱があり、それを持ち出そうとするネッド。
だがサメが襲って来る。ネモの水中銃で辛くも助かったネッドたち。
戻って叱責されるネッド。
財宝類はいくらでもあり、単にバラストに過ぎない、と保管庫の財宝を見せるネモ。
ノーチラスの動力室にアロナクスを案内するネモ。
今まで発見されていない、真のエネルギーが動力源。
科学の限界を超越した発明であり、世界のために利用すべきだと言うアナクロス。
ネモは、地上には飢えと恐怖が充満し、争いが絶えない、水に潜れば平和な世界がある、と言う。真の独立は海中にある。
怪物と思われている方がマシと言った。
その説明をするために島に上陸して、ある光景を見せるネモ。
ここはロラパンディー収容所。ここでは硝酸塩とリン酸塩が作られており、白人の墓場と言われている。
これらは爆弾の材料となり、かつてネモや船員たちもここで働かされていた。
ネモたちはこの島から脱走してバルケニア島に逃げ延び、そこでノーチラス号を作った。
島から物資を積んだ船が出航。
ノーチラス号はその船に体当たりして沈没させる。
船乗りが殺された、何とも思わないのか、と憤慨するネッド。
それに答えるネモ。何千もの仲間が殺された。
妻と息子も、エネルギーの秘密を暴くための犠牲にされた。
私には憎悪が動力源。同情するアロナクス。
部屋に戻った三人。いつの間にかアロナクスの事をキャプテンと呼ぶようになったコンセイユ。
ネモは人殺しを楽しんでいる、教授もネモに丸め込まれている。
二人で相談するネッドとコンセイユ。何とか逃げ出そうとする相談。
バルケニアという行き先を確認するためにネモの部屋に忍び込んで、そこの海図から緯度、経度を割り出してメモを取る。
魚の標本を入れた瓶をカラにしてそのメモを入れ、何個も外に放り出すネッド。
ニューギニア海域で座礁したノーチラス号は、舵の修理でしばらく動けない。近くの島を見て、標本を取りに行きたいから上陸させてくれと申し出るコンセイユ。許可されたが、食人種がいると警告するネモ。
ボートで上陸して、一人で逃げ出すネッドだが、食人部族は本当におり、集団になって追いかけて来る。ボートで何とか逃げ戻る二人はノーチラス号に入り込むが、ネモはハッチも閉めずに余裕。
土人が中に入りかけた時、ネモがスイッチを入れると、入り口や甲板に微弱電流が流れて土人たちは逃げて行った。
逃げるつもりだった事がバレて閉じ込められるネッド。
軍艦に見つかり、砲撃を受けて深海に逃れたノーチラス号だが、そこで巨大イカに捕まった。船体に電流を流すが、平気で絡み付くイカ。
浮上して、銛を手にして戦う船員たち。ネモが先頭に立って銛を持つ。一方閉じ込められた部屋から脱出するネッド。
ネモがイカの急所に銛を打ち込んだが、まだ倒せない。
そのうちに海に投げ出されるネモ。
そこにネッドが駆け付け、銛をイカの急所に打ち込む。
そして海に飛び込み、巻き付いたイカの足を外してネモを助ける。
助けてくれた事に初めて感謝するネモ。
素直になりなさい、助けられて感動する気持ちがある、と諭すアロナクス。世界はもっと複雑、そこまで完璧なものはない。
地上はまだ不完全だが、と前置きしながらも、アロナクスに研究の秘密を明かす使者になって欲しいと頼むネモ。
だが迷っている。アロナクスに対し、楽観的すぎると注意。
その末に秘密を全て見せる、とネモ。
だがそのエネルギーは人類を破滅にも導く。
ノーチラス号がバルケニア島に近づいた時、そこに多数の軍艦が居るのを見つける。
待ち伏せされた。軍隊が既に上陸している。
最悪の事態だ、全てを破壊する、とネモは海底の入り口に艦を向けた。
火口湖に浮上した艦からボートで湖畔の研究施設に向かったネモ。
そして再び出て来て、艦に戻ろうとするところで背中を撃たれる。
島から脱出し、潜水降下するノーチラス号。
船員は全て殉死を決心している。
ネッドが操舵室に入って、艦を浮上させ、教授とコンセイユを助けてボートで脱出する。
大爆発する島。そしてノーチラス号も静かに沈んで行った。
アロナクスの呟き。あなたは未来への夢。
未来に希望はある。いつの日か・・・・・