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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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フォード vs フェラーリ 2020年

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監督 ジェームズ・マンゴールド
脚本 ジェズ・バターワース

 

キャスト
キャロル・シェルビー   - マット・デイモン
ケン・マイルズ       - クリスチャン・ベール
リー・アイアコッカ      - ジョン・バーンサル
モリー・マイルズ      - カトリーナ・バルフ: マイルズの妻
ヘンリー・フォード2世  - トレイシー・レッツ
レオ・ビーブ                - ジョシュ・ルーカス: フォードの副社長
ピーター・マイルズ       - ノア・ジュープ: マイルズの息子
エンツォ・フェラーリ      - レモ・ジローネ
フィル・レミントン       - レイ・マッキノン: シェルビーの工場責任者
ロイ・ラン                 - JJ・フィールド: フォードのチーフエンジニア

 

 

予告編

Best Scenes

 

 

感想
予告編をチラチラ見ながら、公開日を楽しみにしていた。
カーレースを題材にした映画は「男と女」が有名だが、ル・マンを扱ったものとしてはスティーブ・マックィーン主演の「栄光のル・マン」だろう。チームのために勝ちを譲るといった話だったと思うが、今回作品にも繋がる。

ル・マンでの優勝経験もあるが、心臓病のために車のセールスをやっているシェルビーと、レースに卓越した能力を持つが、商売にはイマイチ向いていないケン。
それを繋げたのがル・マンで勝ちたいという「フォード」。

もちろんフォードGT40は、あの頃のカーキチ少年のあこがれ。
本物が走ってるってだけで感動(笑)。

それに腹に響くエキゾーストノート。
ストーリーを追うというより、レースの現場に立ち会っているという臨場感で、アッという間に時間が過ぎた。

 

話の構造としてはシンプル。

業績不振のフォード復活のため、幹部のアイアコッカがレース参戦を社長に吹き込んだのが発端で、歯車が回り始める。
ネットでいろいろ調べてみると、内容はおおむね史実通り。

ただ副社長のレオはややオーバーか。

 

中でも印象深かったのは、ケンとピーターの親子関係。レースや商売では相手とトラブルばかり起こすが、息子に対しては徹底的に優しい。またピーターも父を尊敬している。

 

渡欧の前日、ピーター手作りのコースを使って、父がていねいに説明をしているところで、何故か涙が出てしまった。
あの年頃の息子に対して、自分はそこまでキチンと向き合っていなかったナー、という後悔。
ピーターも、ケンが事故に遭った後でメカニックのフィルに、耐火スーツを着てても死ぬの?と聞く場面がある。

父を思う気持ちが判るだけに、慎重に言葉を選ぶフィル。

 

こんな場面もあった。ケンとシェルビーが取っ組み合いのケンカをしている時、シェルビーが思わず缶詰を手にするが、慌てて袋物を掴み直してぶつける。こいつら本気じゃないな、と笑った。

 

それから、ディスクブレーキが赤熱している様がとにかく印象深かった。やや演出の部分もあると思っていたが、実車のベンチテストでは実際真っ赤に焼けている。すごい世界やなぁ。

 

一つ、ちょっと惜しいと思うのはレース自体がフェラーリの自滅で、フォードの圧勝により勝負の緊張という点での興奮が少なかった事。

でもこれは事実だからしゃーないか。

 

それから、主役としてはやはりフォードGT40メインなんだから、改良の過程とか耐久性の向上に何をやったか等、少しハード面に踏み込んでも良かった。
何せル・マン(カーレース)はドライバーもさることながら、裏方にこそドラマがあるのだから。

 

最後に音楽。どの場面でも、エンジン音が基本にあって、それに乗せて行く様に少しずつ音楽が入って来る。
実に控えめだが気が付くと「あ、流れてる」といった感じ。


もう一つ思い出した、ダメポイント。
ル・マンのレースで、シェルビーがフェラーリチームに対して、ストップウォッチかっぱらったり、ホイールナット転がしたりの嫌がらせ。
元々ブレーキアッセンブリの交換が問題ない事を、ルールブック読み込んで反論したんだから、基本はフェアプレイでしょう。

こんなつまらない事で笑いを取ってどうする!
これにはマジ幻滅。

 

オマケ
実録の1966年ル・マン。やっぱホンモノは違う。

https://www.youtube.com/watch?v=AdpWTLB0Y4I

 

 

あらすじ
1969年。ル・マン24時間レースを走るキャロル・シェルビー。アメリカ人として初の優勝。
その後心臓病の悪化でレーサーをリタイヤしたシェルビーは、スポーツカーの製造会社「シェルビー・アメリカン」を設立。

ル・マンで優勝した知名度を利用して車を売る。

 

自動車の整備・修理工場を営むケン・マイルズ。

客が苦情を持ち込んでも、乗り方が悪い、と軽くあしらう。
妻のモリーは、車が好きでケンと結婚した様な女。

そして一人息子のピーター。

 

自分の会社でラインを止めさせる、社長のヘンリー・フォード二世。

社員に大声で、アイデアのある者は提案しろ、それが出来ない者は家に居ろ!と叫ぶ。

 

SCCAが主催する自動車レースに出場するケン。

シェルビーも車を提供する立場で参加している。
ケンが出場する車のトランクルームが小さくて既定のトランクを入れた時に閉まらない。検査官が失格だ、と騒ぐのに文句を言うケン。

シェルビーが聞きつけてとりなしている間に、ケンがトランクリッドの裏をスパナでガンガン叩き、閉まる様にした。

何とか話を収めたシェルビーがからかうと、頭に来たケンがスパナを投げ付ける。それが自分の車の風防に当たって破損。
テープで修理した風防を誰かが聞くと「ニューデザインだ」
そのレースで勝利するケン。
だが親子が意気揚々と帰って来た時、整備工場が国税局に差し押さえられた事を伝えるモリー。
レースから足を洗ってキチンと稼ぐと言い、トロフィーや盾を捨てるケンだが、それを内緒で回収するピーター。

 

社長のフォード二世に、将来を見越してレースで勝つ事が必要だと上申するリー・アイアコッカ。

そのためのフェラーリ買収に向けて交渉に行くアイアコッカだが、レーシング・チームを手放したくない社長のエンツォ・フェラーリが破談にした。そしてフォードの車と社長本人を罵る。
フォード二世はそれを聞いて激怒し、ル・マンでの勝利を命じた。

 

アイアコッカは、シェルビーのところに出向き、協力を頼んだ。目標は90日後に開催されるル・マン。キーマンに心当りがあるシェルビー。

シェルビーからフォードのル・マン参戦を聞いて、200年先の話か?と聞くケンは、きっぱりとオファーを断る。

新車発表のセレモニーだけは来てくれと頼むシェルビー。

 

新車発表の当日にピーターを連れて行くケン。

新車はフォード・マスタング。
ピーターが車に乗り込もうとするのを副社長のレオ・ビーブが止めた。
それを知ったケンが、レオに向かってマスタングの欠点を思い切り並べ立てる。
セレモニーの場で、フォードがル・マンに参戦する事を宣言するシェルビー。

 

参加する気が全くないケンを訪れ、30分だけ欲しい、と引っ張り出すシェルビー。
夜の空港でGT40のプロトタイプを見せると、早速乗り込み走り回るケン。そして次々に改善点を指摘する。

メカニックのフィル・レミントンはそれを全て採用する、と確約。

 

妻モリーの運転で助手席に座っているケン。突然スピードを上げて追い越しをかけるモリー。

https://www.youtube.com/watch?v=gqI8sfEvwEY

仰天して止めるよう懇願するケン。モリーにはル・マンには関わらないと言っていた。
シラを切るケンに、更にスピードを出すモリー。

やらないと言っていたのに、と怒るモリー。
工場の差し押さえを食らっている状況で、金の事が一番心配。「お金をもらって」と訴えるモリーに「週200ドル、経費は別」と言うケン。

モリーの態度が変わった。


GT40の改良が本格的に進む。
ル・マンへの準備が進む中、レオがシェルビーに、ケンをドライバーから外すよう要求。ケンは開発のキーマンだと突っぱねるが、クライアントでもあり無視出来ない。
参加メンバーに渡航チケットを配って回るシェルビー。

当然参加と思っているケンに宣告するシェルビー。
ギヤボックスが弱いから大事に乗れ、と言って去って行くケン。

 

1964年、ル・マンのラジオ中継を工場で作業しながら聞くケン。

フォードのトラブルを聞いて「ガスケットだ・・・」
そこにモリーが食事の差し入れに来た。

ラジオを音楽に変え、ビールの栓を抜いて乾杯。
結果。フォードは全車リタイヤ。

フォード本社に呼び出されるシェルビー。負けた言い訳を言わせようとする社長に、直線では350キロ以上出た事で、はっきりとフェラーリに恐怖を抱かせた、と堂々と返す。

そこから先を話そう、と奥へ促す社長。

 

アイスを買って家に戻る途中のケンに声をかけるシェルビー。

ギヤボックスが弱かったと言う、シェルビーに追い打ちをかけるケンとの間で殴り合いが始まる。

見物を決め込むモリー。

ケンカに疲れたところへ、モリーがコーラを持って来て渡した。

https://www.youtube.com/watch?v=6zxw7bneSA4

 

GT40の開発は更に進む。
テストコースをピーターと歩くケン。コーナー手前の、このクラックが減速ポイント、とドライビングテクニックの説明をするケン。
テストの最中にブレーキが利かなくなり、車が火災を起こす。

 

辛くも脱出したケン。ブレーキングシステムの見直しが必要。

心配するモリーとピーター。

 

再び以前の様にケン外しを要求するレオは、レース運営のトップだった。心配するケンに、信じろと言うシェルビー。

ただハイリスク、とだけ言った。

テストの現場に、社長が幹部を伴って視察に来た。

数百万ドルの投資の確認。
レオを会議室に閉じ込め、その隙に社長を助手席に乗せるシェルビー(sat on my nuts)

飛行場内を全速で走るシェルビーに悲鳴を上げる社長は、これほどとは、と愕然とする。


これはケンが開発した、と言うシェルビーに、レースはレオに任せていると言う社長。
だからあなたに話す。ケンがデイトナに勝ったらル・マンに出して欲しい。負けたらシェルビーの会社をフォードに譲る・・・・

https://www.youtube.com/watch?v=kBAQqQZYX1I

 

デイトナのレースが始まる。スタート時の事故で順位を落とすケンは、何とかガマンのレース。エンジン回転を6000rpmに制限するシェルビーにもっと行ける、と進言するが許可されない。
ケンと別チームを率いるレオは、ピットクルーに特別チームを使い、ケン達より短いピットイン。
そんな中でもじわじわ順位を上げるケン。

レオがピットクルーに電話を掛けているのを見つけるシェルビー。

ピットクルーの一人が指示用の看板をコースに出そうとするのを奪う。ケンへのスローダウン指示だった。
シェルビーはとって返して看板に殴り書きをしてコースに向かい、ケンに指示を出す。「7000 UP OK!」
そこから快進撃を始めるケン。最終では9000rpm。

ゴール寸前でレオチームの車をかわして一位になるケン。

 

1966年のル・マン
フランスへの渡航前夜、夜更かししているピーターの部屋に入るケン。ピーターが手描きで作ったル・マンのコースを指で辿って攻略法を話した。その様子を黙って観ているモリー。

フランス入りした後の試合前夜、ホテルから出てコースを見に行くケン。ピットにシェルビーが居た。
軽い話をした後、ケンは第一コーナーまで歩く、と言ってコースに出た。

 

レース当日。他の選手とスタートラインに立つケン。そしてスタート。


だがケンの車のドアが閉じない。

スピードが上げられず順位を落とすケンは、ピットインして訴える。

メカニックのフィルがゴムハンマーでドツいて閉めた。
次第に順位を上げて行くケン。
中盤で二台のフェラーリの一台が事故でリタイヤ。
イタリアチームのストップウォッチをかっぱらうシェルビー。

ブレーキパッドがなくなり事故寸前となってピットインするケン。ブレーキを全体交換する作業を開始。フェラーリがそれを見て抗議し、ジャッジが反則だと警告するが、ルールブックを隅々まで読んでいたシェルビーとケンは問題ないと一蹴。
その後嫌がらせでフェラーリのピットにホイールナット一個を転がして行ったシェルビー。

 

一周遅れを挽回するために一位のフェラーリを抜くケン。

もう一回追い付かなくてはならない。
ゴボウ抜きを繰り返して、再度一位のフェラーリに近づく。
激しいデッドヒートの中で、フェラーリがオーバーレブを起こしてエンジンがダメになる。フェラーリは全滅。

https://www.youtube.com/watch?v=EW8f3_fOXoU

 

フォードチームの三台は健在で1、2、3位確定。
その時レオが三車同時のゴールインを社長に提言。

ケンは今休憩中で、その後ゴールまで彼の運転となる。

この車は一周近くリードしていた。
レオがシェルビーにスローダウンを指示するが、運転するのはケンだ、と突っぱねる。
その事を知るケンに、お前が決めていい、とシェルビー。

 

そしてピットインでケンに交替。

ガンガンに飛ばして周回のコースレコードを立てるケン。
ぶっちぎりのトップになるかと思われたが、最後でスピードを落として他の二車を待つケン。ケンはチームリーダーでもあった。

そして三車同時にチェッカーフラッグを受ける

 

だがお祝いの騒ぎの中で三車同着ではなく、スタート時後方に居たレオのチームの車が一位と認定された。
「この事を知っていたな!」とレオに食ってかかるシェルビー。
その結果を冷静に受け止めるケン。

 

次の改良に向けて車のテストを繰り返すケン。

だがコースの奥で爆発が起き、黒煙が上がった。
目の前で父の死に直面するピーター。

 

ケンの死から半年経っても、仕事に身が入らないシェルビーを心配するフィル。
ケンの家のそばに車を止めるシェルビー。そこにピーターが来る。

ケンが投げて車の風防を壊した時のレンチをピーターに渡したシェルビー。

 

 


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