原作 塩田武士
脚本 向井康介
キャスト
沢村政彦(さわむら まさひこ) - 松田龍平
三反園邦雄(みたぞの くにお) - 松山ケンイチ
相賀正和(あいが まさかず) - 長塚京三
森本敦子(もりもと あつこ) - 小芝風花
野村美沙(のむら みさ) - 山口紗弥加
桐野弘(きりの ひろし) - 筒井道隆
中島有一郎(なかじま ゆういちろう) - 勝村政信
沢村早百合(さわむら さゆり) - 美村里江
沢村一平(さわむら いっぺい) - 角野卓造
垣内智成(かきうち ともなり) - イッセー尾形
山崎宜明(やまざき のぶあき) - ラサール石井
山尾静子(やまおしずこ) - 原日出子
垣内三枝子(かきうちみえこ) - 坂井真紀
桐野の母 - 真野響子
赤西峰子(あかにしみねこ) - キムラ緑子
アイドルグループ - Juice=Juice
劇中曲「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」
感想
地方新聞社の記者が、誤報を出した事をきっかけに過去も含めたフェイクニュースを巡る出来事に巻き込まれて行く。
今回はその前半4話分。
さすがに報道ネタだけあって、新聞記事が多い。
録画にしておいて途中で止めないと話の流れが判りにくい。
ネタ元は心配ないと言われたにせよ、妻が夫をひき殺した疑いなんて事を安易に活字にしてしまう脇の甘さ。
最近の様々なスクープ記事から言うと、いかにもありそうな話。
沢村の誤報に引きずり出される様に出て来た、亡き垣内の誤報。
そして焼死した赤西峰子の背後に隠れた真相は?。
表舞台に現れた「メイクニュース」。
相賀役の長塚京三がイイ。同僚だった沢村一平、垣内と共に現役時代は三羽烏と言われていた。
過去の報道を掘り起こしながら旧友との関係に思いを馳せる。
なかなか面白い展開なので、視聴は今からでも遅くない。
虚報記事といえば、朝日新聞が30年ほど前に出した、沖縄のサンゴを自ら傷付けてスクープした事件。忘れてはならない。
オマケ
中島が通うシアターのアイドルグループは「Juice=Juice」。ハロプロ所属で結成6年目の中堅グループ。
劇中曲はけっこうキャッチーで耳に残る。
オマケ2
第一話で相賀が聴いているのはブラームス交響曲第3番 第3楽章。
第四話に出て来るのは同じくブラームス交響曲第4番 第4楽章。
まあプロデューサーの好みだろうが、私もブラームスは好き。
あらすじ
第一話「虚報」 10/30放送
真実は作られる 歴史が勝者によって造られる
人は信じたいものを信じる
真実のその先を見たい人のための羅針盤
それが メイクニュース data upload の表示
出社する沢村雅彦は地方紙「新神奈川日報」の遊軍記者。
同僚のネットメディア担当、野村美沙。
デスクの中島と先輩記者の桐野は、二人でプロジェクトIJ(調査報道特別チーム)を組んでいる。
早退して父親の十三回忌の準備をする沢村。妻の早百合が「相賀さんはいいけど垣内さんは苦手」。二人は父の同僚だった。
母の居る実家に家族で行くと既に垣内が来ていた。
次いで相賀が来て法要が始まる。
法要も終わり、精進落としの最中に桐野が訪れる。
垣内と微妙な空気。父も含めた垣内らは全国紙の大日新聞の元記者であり、桐野も以前は大日に居た。
「浅瀬に留まるな」と父一平の言葉を桐野にかける垣内。
アイドルグループのライブを楽しむ中島に付き合わされる沢村。
その帰りの車の中で相談を持ちかけられる。以前現場で沢村が目撃証言を取って記事にした轢逃げ事件で、記事を読んだ読者から轢いたという1ボックスカーの写真が送られて来た。桐野がウラを取った。
その車が遺族のものらしいという。
遺族の森本敦子に取材をかける沢村。覚えている事は?と聞かれて、つらい胸の内を話す敦子に車の写真を見せる。
「奥さんも車を運転されるんですか?」
目を見開き、喫茶店を飛び出す敦子。
沢村、中島、桐野三者での検討。
否定もしない。感じとしてはイイ線。ネタ元は心配ない、と桐野。
沢村が記事を書くことに。
同時に進行している市長選を巡るスクープ。経済評論家 山崎宜明の出馬情報。中島と桐野が次長に「絶対出る!」とけしかけている。
記事を載せた新聞が発行された。山崎出馬か?の記事と、轢逃げ犯の車(黒の1ボックス)は被害者宅と同型・・・・
ファクトジャーナル社(ネットニュース)の編集長 三反園邦雄が、新神奈川日報の記事を読んで追加調査を命じる。
息子の通う学校の特別授業で、記者の職業の講師を頼まれる沢村。
ファクトニュースで山崎の記事(出馬を否定)を読んで三反園に電話する沢村。彼らは大学の同期。三反園は元大日。
市長選のスクープは誤報どころか虚報かも。このネタやったの誰?・・・
社に戻ると大騒ぎ。市長選の記事に対する苦情が殺到。
イラつく中島だが呼び出しを受けて飛んで行く。轢逃げの件も・・・・
相賀を訪れる垣内。他愛ない話の後、何か話しかけた時に来訪者。
沢村が市長選の件で相談に来た。
社員だから信じているが引っかかる。
父 一平の言っていた「浅瀬に留まるな」の意味(見たくないものでも正面から見よ)を伝える相賀。帰りに垣内と歩く沢村。そして別れる。
息子のサッカー試合観戦の後、神奈川中央警察の副署長 井岡宅に行き話を聞こうとする沢村だが門前払い。
だが息子の空腹をダシにして上がり込む。
確認問い合わせが入れば必ずこちらに来ると言う井岡。
桐野はウラを取っていなかった。
被害者の奥さんは妊娠していた。事件当時の取り乱し方。
車は黒じゃない?の問いには沈黙。
帰り際に井岡が懐中時計を裏返して指さした。
中島を問い詰める沢村。「どうしてなんですか!?」
プロジェクトIJで結果を出したかった。
最初の手持ちがなくなって、後が続かない。
轢逃げ車両はシルバーの1ボックス。ウラを取った、と沢村。
被害者の子供がお腹にいる人に「アナタがダンナさん殺したんですか」と聞いてしまった・・・
沢村君なら疑問持たないだろうし扱い易い、とは桐野のことば。
桐野からメイクニュースのサイトを聞いて参考にした・・・
誤報が一段落した後、三反園が沢村に話す。被害者は板前。
独立しようとして借金。記事のおかげで奥さん仕事に就けない。
局次長は補佐に降格、主犯二人は解雇。
片棒担いだお前は停職三日。風評被害に釣り合っているのか?
発信された情報はネットに残り続ける。 沈黙の沢村。
社に戻り、退職のため机の片付けをしている桐野に掴みかかって周囲に止められる沢村。
敦子に会い、詫びて訂正記事を見せる沢村に
「こんなことで・・・」と走り去る敦子。
妻の早百合から電話。「もうすぐ始まっちゃう」
息子のクラスの特別授業で、新聞記者の仕事の説明をする沢村。
間違いのない様、何度も確認して、と言ったところで生徒から思いがけない質問。「それでも間違えたらどうするんですか」 絶句する沢村。
そして言う 「一生背負うしかない」
山崎の市長選出馬が報道される。
そのニュースを別々の場所で見る中島と桐野。
相賀に垣内の死が知らされる。
駆け付けて言われたのは 「自殺らしい」
第二話「職業は記者」 11/10放送
井岡に聞く沢村。警察は垣内の死を自殺と断定。
敦子を訪れる三反園。
拒否されるが、亡くなったご主人は高校の後輩だと言って取材。
垣内の葬儀に出る相賀。娘 三枝子の話では胃がんだった。
手術をしたが転移が見つかっていた。
奥さんは?の問いに、随分前に離婚したと言う。仲間には隠していた。
社でメイクニュースのサイトにアクセスする美沙。一般に見られるネット情報は全体の数%。普通には見つからない。
内容はフェイクニュースの作り方指南。記者経験者が関係している。
これは記者に対する挑発、と沢村に言う美沙。
ファクトジャーナルで轢逃げ誤報の追加記事が出る(被害者談話)
またファクトジャーナルもメイクニュースを追跡。
報奨金を出す、と三反園。
そこへ沢村が来る。敦子へのインタビューの件。
敦子の語るその後。
いつも匿名の掲示板を見てしまう。最初は悲しみ、次いで怒り。
最後に残るのは怖さ。
沢村に、ここへ来るより他にやる事があるだろう、と三反園。
山尾宅を訪れる相賀。垣内の妻 静子の再婚先。迷惑がる静子だったが、垣内が暮らしていたアパートの遺品整理を相賀に頼んだ。
アパートを訪ねる相賀。その後沢村も来た。
父も含む三人の写った写真。後方に桐野。
当時は垣内が面倒を見ていた。
16年前、東都銀行の頭取が行った不正融資ネタが持ち込まれた。
同行の常務が画策。隠蔽を正すと言う垣内に、部長の立場で「物証がないと載せられない」と一平。
そこに頭取が書いたという取引きの念書を持って来た桐野。
東都銀行の不正融資をスクープした大日新聞。
だが桐野が書いたメモを見て、念書の署名と似ている事に気付く相賀。
白状する桐野。書類は捏造、常務もグル。「不正融資は本当にあるんです!」と言う桐野を一蹴する垣内。
桐野はクビだろうという予想に反し一平が、垣内を代表で始末書、桐野は新神奈川日報へ飛ばす方向で話をつけた。
「お前まで裏切るのか!」と言う垣内。
その直後に倒れ、そのまま死んだ一平。
君の母さんにも言ってない。
桐野を狂わせたのは、独りよがりの正義感。
問題が明るみになる前に解雇すると他紙に嗅ぎつけられる。
垣内の言う通り、隠蔽するから組織が狂った。
たった二十年でこんな世界になってしまった・・・
聖王工科大の准教授 吉川にインタビューする美沙。メイクニュースの実態について、今関係者に接触しようとしていると言う吉川。
ファクトジャーナルにもメイクニュースに関わった者からの接触があった。
美沙と話す沢村。彼女は元カノだった。美沙も結婚して子供がいる。
元ライターと連絡がついたという、吉川からの電話。すぐに行くと走り出した美沙だが、倒れる。
病院のベッドにいる美沙を見舞う沢村。ファクトジャーナルに先を越された、と美沙。美沙は子供が出来てから、報道からメディア担当に異動(厄介払いされた)。
失意の美沙の手を取る沢村。彼女の亭主が来てサッと手を離す二人。
帰り道、弁当屋で働く敦子を見掛ける沢村。
アイドルグループのコンサートを観る中島。笑いはない。
そこへ訪ねて来た桐野。「探しましたよ・・・」
第三話「霧の中」 11/17放送
ファクトジャーナル記事。今回誤報で退職した桐野が、過去に大日で起こした捏造についてのスクープ。
新神奈川日報の役員に呼び出される相賀。16年前、桐野が大日から自社へ移った時の事情を聞かれる。
「処遇を決めたのは当時の部長 沢村一平」。それで自社の沢村との関係を知る役員。
今後どんなメディアが来ても過去の事情は話すなと言う役員に、そこに真実があるのなら見過ごすつもりはない、と言って退室する相賀。
沢村と話す相賀。桐野の転職を聞いた時は耳を疑った。特に垣内。
「垣内の名誉は俺が守る」との言葉に「僕は桐野さんを追います」
桐野のマンションに行くが、管理人の話では転居。
静子を訪ね、遺品整理の報告をする相賀。遺品は自分が持っていると言い、数枚の写真を出すが、連れ合いが出て来て「帰ってくれないか」
垣内の娘三枝子が経営する美容室を訪ねる相賀。父と母はずっと前から壊れていたと言う。
遺品にスマホがあったと言う三枝子。そして消費者金融から400万ほどの借金があったとの事。
沢村が弁当屋を覗くと敦子がおらず、注文しながら探りを入れると、辞めてもらったという。風評を嫌った。
三反園に会いに行く沢村。一緒に弁当を食べながら、誤報問題深掘りに抗議すると「野村さんは褒めてくれたけど・・・」メイクニュースの件で聞きに来た美沙。
美沙の退職を聞いて驚く沢村。
敦子が辞めた事を話す沢村。これはそこの弁当。記事に救われて、また記事に襲われた。
書類の整理をしている美沙に話しかける沢村。子供との時間を作りたいと言うが、本心かは判らない。
桐野が書いた記事をスクラップブックにまとめていた。彼、前からやってたかも。かなりグレー。メイクニュースとそっくりの手口。
使っていたと言うより、作った立場? かも知れない。
大日の新聞コピーを見せる美沙。妊婦死亡の記事。
これはあなたに預ける。
中島宅を訪れる沢村だが不在。近くの釣り堀にいた。
辞めて判った。報道の本質を見失っていた、と中島。
桐野の行き先を聞くと、垣根町の居酒屋で一度だけ飲んだとのこと。
店を探して小料理屋の「月草」に入ると桐野がいた。
敦子の退職を伝える。まだ被害が続いている。
何も思わないのか、となじる沢村に、武器作る人間と使うのと、どちらが悪いのか、と訊き返す桐野。
新聞コピーを見せる沢村。1982年の大日スクープ。妊婦死亡で産科医が告発された。医療過誤。
だが後に過失がなかった事が判明。産科医はあなたのお父さん。
虚報は復讐か。お父さんは職を失った。殴り合いになる。
店の女将が「弘、やめなさい!」
言いたいことはそれだけか?と桐野。親父の事を聞きたいと言え。
全部背負うつもりだった。だが抵抗せず受け入れた一平。あんなに弱いとは思わなかった。
十七回忌に行ったのも、お前の親父の弱さを忘れないため。
二度と報道に戻らないで下さい、という声を背に出て行った桐野。
「同僚の方でしたか」と母親。
父親のことになるといつもああなると言う。
帰宅する沢村。息子の誕生日に相賀も祝いに来てくれていた。
顔の傷を見て「桐野にやられたのか」
垣内のスマホを見せて「パスワードが判らない」
契約先に聞いても無理だと言われた。
消費者金融からの借金を話し「一番嫌っていたのに・・・」
殺したのは俺かも知れない、と相賀。
あいつの孤独な時に手を差し伸べなかった。
会社は組織。だが俺たちはチームだった。互いに信じてた。
大事なのはチーム。いいチーム作れ。まずは家族。そこからゲームは始まる。
退職の挨拶をする美沙。廊下で声をかける沢村。
メイクニュースは鳴りを潜めた。油断しない方がいい、と美沙。
スーパーの面接を受け、レジ打ちの仕事を始める敦子。
働いている敦子を店の外から見る桐野。
第四話「共犯者」 11/24放送
クラシックを聴く相賀を訪れる、息子宏和の嫁雅美。
孫娘のピアノ発表会への誘い。
大日本社に呼び出される相賀。社に来た匿名の苦情電話。垣内の声だった。8月に鶴見区であった火事で死んだ女性の名が間違っていた事への苦情(赤西峰子を峯子と間違え)。
元刑事の戸崎宅を訪れる相賀。垣内のメモに良く出て来た名。
垣内の死を知って、彼が昔出した誤報の記事を見せる戸崎。これが赤西峰子に繋がると言う。
スーパーで働く敦子。
客に意地悪をされるが、先輩社員に助けられる。
その様子を見る沢村と三反園。
家まで送ってもらった沢村をちょうど訪ねて来た相賀。
挨拶する三反園は、相賀が「ゲルマン」と言われていた話をする。
垣内が何を言おうとしていたかが判った、と相賀。
2003年に垣内が書いた記事。借金のカタに、ペットショップから動物を奪ったのが闇金業者の赤西孝人だと報道。一ケ月後、誤りに気付いた垣内だが、その後犯人は捕まり解決。垣内は訂正記事を求めたがうやむやにされた。後に赤西孝人は自殺。
当時垣内がその妹峰子の周辺に聞き込みをかけ、それと報道との関連で兄妹の関係が知られる。教員をしていた峰子は職を追われた。
8年後、他の事件の公判予定から、峰子を被告とする事件を知った垣内はその公判を傍聴。
闇金からの借金絡みによる有印私文書偽造・詐欺。証言で、あの事件さえなかったらこんな事にもならなかったと語る峰子。
判決後面会を申し入れた垣内だが、全て拒否された。
どうして記事を出したんですか、と問う沢村。
東都銀行の件で謹慎していた垣内に、取材で不在となる置き土産として、自分の取材メモを垣内に渡した。その中にネタがあった。
俺も共犯者。垣内はそう言いたかったんだ・・・
大日の後輩に、今回事件の放火の可能性について聞く相賀。「ゲルマン」と言われた取材力は落ちていないと言う後輩の言葉に、その名付け親を聞くと、垣内だという。ドイツの音楽ばっかり聴いてる・・・
慌てて家に帰り、垣内のスマホに「german」と入れるとロックが解除された。
9ケ月前、医師にガン告知を受けた垣内。残り時間は少ない。
清掃員をして暮らす峰子のところへメールが届く。
垣内からの謝罪の内容。
最初は「何もお話しすることはありません」と拒否した峰子だが、何回かのやりとりの末、ともだち申請が承認された。
それからも会って詫びたいという願いは断られ続けたが、自分の残り時間が少ない事を話し、何とか会う事になった。
それらの事情をスマホ内容から知った娘の美枝子。
借金は全て峰子のためだという事を知り「償いのためにお金を使うことが出来た」と納得する。
だがLINEのやり取りで気になる事がある、と沢村に話す相賀。火事の日、垣内が安否確認のメールを送っているが、それは火事が起きる前。火事の前から峰子に危険が迫っていた?
孫娘のピアノ発表会に出掛けた相賀。だが息子の宏和は冷たい。
孫娘の演奏が始まった時、相賀のスマホに着信の振動。
ホールの外に出る相賀。
沢村からの電話は、火事が放火の疑いがあるというもの。
借金は彼女のものなのか?それとも金の吸い上げ?
騙されているのを知っていて金を出していた疑い。
峰子がなぜ死ななくてはならなかったかを調べて欲しい、と沢村に頼む相賀。
ホールから出て相賀を責める息子。
「何しに来たんだよ、変わらないな、アンタは・・・」
出勤する敦子は、先輩社員が夫の轢逃げ事件の事を仲間に話しているところを見て逃げ出す。
ネットで「メイクニュースPRESS」というサイトが話題になる。
地下に居た筈のメイクニュース。
三反園からの電話に「あいつだ、桐野弘」と言う沢村。