原題 Terminator: Dark Fate
監督 ティム・ミラー
脚本 デヴィッド・S・ゴイヤー
製作総指揮 ジェームズ・キャメロン
キャスト
サラ・コナー - リンダ・ハミルトン
T-800 (カール) - アーノルド・シュワルツェネッガー
グレース - マッケンジー・デイヴィス
ダニエル・ラモス(ダニー) - ナタリア・レイエス
Rev-9 - ガブリエル・ルナ
ディエゴ・ラモス - ディエゴ・ボネータ
予告編
感想
ジェームズ・キャメロンが本格的に関わって「T2の正統な続編」と豪語しているので、ある程度期待を持って視聴したが、けっこう失望。
サラはスカイネットの出現を阻止したが、他にいたターミネーターにジョンが殺された、といきなり序盤で知らされる。
一体どうなるのかと思っていたら「リージョン」という、サイバー戦闘用AIの組織が敵だという。
背景もへったくれもなくただ「支配が始まった」といった雑な説明しかないのが不満。
正統な続編と言うからには、もう少しヒネリを利かせて欲しい。
スカイネットとは関係ないと言いながらRev-9は基本的にT-1000、T-Xの機能そのままだし、ターミネーターとして何の新しさもない。
てらてらした金属表現から汚らしい黒に変わったのは、そのままがイヤだったから?
それから時々降って来るターミネーターって何?
ジョンが殺されたのは、その時点で同時代に居たT-800が、宙に浮いた指令を履行したから。
T2でスカイネットの出現を阻止したサラ。スカイネットの未来は消滅した訳だから、スカイネットのタイムマシンでターミネーターが来る事はない筈。
じゃあどこの世界から降って来るんだ???そんな事に疑問も持たずターミネーターを殺し続けたサラ。その程度で殺されるターミネーターも不甲斐ないが。
だからグレースのタトゥーの件には笑った。司令官がどうしてT-800を知ってるのか。
この映画でやりたかったのは、ジョンを殺したT-800に父性が芽生え、別ワールドでリーダーになるべきダニーを助ける感動話なのだろう。
ただそうなるとサラの母性とダブって話が難しくなる。
話そのものも底が浅くて入り込めない。
もう少し何とかならなかったか・・・
この前、シリーズ通しでおさらいしたが、不十分ながらも前作に対するリスペクトがあった。
今回、T2の正統な続編だと言って3~5のストーリーをなかった事としている様だ。でもそう言い切るには内容がお粗末。
スカイネットのない別ワールドとした時点でサラ・コナー、T-800の位置付けは必然的に低くなり、今回の様な添え物的扱いにしかならない。
サラ自身もT2のラストで父性を与えて消えて行ったT-800に思いを残していたのが、別のT-800にジョンを殺された事で、単に過去に捉われるだけの人間になり下がった。
年老いたT-800に対してヒステリックにわめくばかりの姿には全く同感出来ず、28年ぶりの再会が台無し。
オマケ
Rev-9をやっているガブリエル・ルナは、「エージェント・オブ・シールド」のシーズン4でゴーストライダーをやっていたので、懐かしさの方が先に来た。
備忘録である以上、後のためにあらすじだけはしっかり残しておこう。
あらすじ
捕えられた警察施設で必死に訴えるサラ・コナー。自身が見た核戦争の始まり。日付は1997年8月29日。
いずれ考える力を持ったマシンとターミネーターが人類を襲う筈だった。それを閉じたサラ(ここまでがT2)。
だがジョンはターミネーターに殺された。サラの心は死んだ。
アパートの一角に出現する球体。中から裸の男が現れる。
一方、高架の途中で出現した球体から落ちる裸の女。
それを見た男女が助けに行くが、男は服と車を奪われた。
父親にキスをして出掛ける娘ダニーと弟のディエゴ。工場に行くとディエゴの仕事がロボットに奪われており、工場長に交渉に行くダニー。だが相手にされない。
そんな時、ダニーの父が弁当を持って工場に来る。戻って来たダニーを見て銃を向ける父。
その時に父の頭を銃で撃つ先の女。「そいつはお父さんじゃない!」
ダニーとディエゴを連れて逃げる女。
父だった者は元の姿に変身して追い始める。
女はグレースと名乗った。
相手はターミネーター、Rev-9。未来から来た。
グレース自身は強化人間だと言った。
ダニーを守るのが任務だと言う。
ショベルの付いたトラックで先行車を撥ね飛ばしながら追うRev-9。
荷台に回ったグレースがトラックに鉄棒を投げまくる。
体に突き刺さっても意に介さないRev-9。
激しいカーチェイスの末にぶつかって止まる車。ディエゴが腹に重傷を負い死ぬ。二体に分かれて追って来るRev-9。
車を降り、迫る敵に向かって小銃・バズーカを撃つ女サラ。
Rev-9は連続で撃たれて高架から下に落ちた。
「すぐに戻る(I'll be back)」と言って下に降りて行くサラ。
そのスキにサラの車にダニーを乗せて走り出すグレース。
「逃げなきゃ殺される」
戻ったサラは「あのバカ女!」
ダメージで動きがおかしくなるグレース。代謝機能が瞬発力優先だからだと言う。
とうとう運転出来なくなったグレースを置いて警察に行こうとするダニーに、警官が死ぬだけと止めるグレース。
やむなく運転を知らないダニーが車を動かす。
薬局に入り、薬を要求するグレース。店員の対応に構わず自分で薬を集め出し、立ち去ろうとするが倒れる。
そこに現れたサラは、グレースを車に乗せて走り出す。
ケータイを出せと言われてダニーが出すと、それを捨てられる。敵に追跡されるため。
家にグレースを運び込んで自己紹介するサラ。50州から指名手配中。
グレースの持って来た薬の調合を始めた。テキトーだという。
戦時中の回想をするグレース。Rev-9との戦いで司令官を守って瀕死の重傷を負った。「お願い、私を強化型兵士にして!」
サラの調合した薬の注射で目覚めるグレース。
状況をある程度理解するサラ。すごく人間ぽいと言うと「私は人間よ」
トリウム・マイクロ・リアクターでスピードとパワーを強化した。
2042年から来たという。
自分の話をするサラ。抵抗軍のリーダーになる息子が生まれない様に、未来から来たターミネーターに狙われた。
抵抗軍を知らないグレース。スカイネットも知らなかった。
ジョンと私が未来を変えたという説明に「息子さんは?」と聞くダニー。
スカイネットが送り込んだターミネーターは複数いた。その一つに不意を突かれた。実現しなかった未来からの命令が履行されてしまった。
それ以来ターミネーター狩りを続けている。
今後の同行を断るグレースに、今の状況では10時間ともたない、とサラ。
走りながら、マシンの事を聞くサラ。あれはRev-9。実際に起こる未来での敵は「リージョン」。サイバー戦闘用に作られたAI。
ダニーが、なぜサラがすぐ駆け付けられたかを聞くと、メールが来るのだという。
GPS情報と日付、時刻まで付けて末尾はいつも「ジョンのために」
先週二通のメールが一度に来た。いずれもメキシコシティ。
メールは暗号化されていて差出し場所は不明。グレースがサラからスマホを受け取ってそのメールにアクセス。
テキサス州の郊外から送られている。グレースは司令官から座標のタトゥーを入れられていた。その座標と一致する。
困った事があったらここへ行けと司令官に言われていた。
行ってみるしかないが、サラは指名手配の身で国境越えが難しい。
頼める人を知っている、とダニー。
途中で車を捨てて歩く一行。
なぜダニーに構うのか聞くグレースにサラは「かつての私だから」
客が鈴なりの列車に乗るダニー、サラ、グレース。
だがその姿は衛星からRev.9に捕獲されていた。
グレースの身に起きた事を聞くサラ。
前触れなしに全てがストップした。電話に電気。街は真っ暗。
街が正常に戻るまで全員避難しろと言われたが、戻ることはなかった。二日目には武力攻撃が始まり、三日目には世界中に拡散。
続く食糧難で数十億が死んだ。父は桃の缶詰一個のために殺された。
更にリージョンが襲い始める。人類の間でも食料の奪い合い。
でも私はついていた。
ある人のおかげで救われて。皆で反撃を始めた。
サラが口を挟む。第二の息子がリーダーになって形勢が逆転した。
ダニーが狙われるのは自分と同じ理由だと言う。
危険なのはアンタの子宮。
着いたのはダニーの伯父の家。アメリカ人の仕事は請けないという伯父を説得し、案内の者を付けてもらって国境越えに出発。
だがRev-9が警備に情報を流す。
地下を潜って壁を越えたところで包囲される一行。グレースが暴れる前にダニーが投降し、皆逮捕される。
ケガがひどく医療施設で手当てを受けるグレース。だが傷の下に金属部品。レントゲン映像を見て驚く職員。
ダニーが職員にターミネーターの事を話すが信用されない。
Rev-9が関係者を装い、ダニーを引き取りに来る。金属探知機の反応に「腰の金属、アフガンに二度行った」とごまかす。
サラを追っていた警官が来て彼女を独房に連れて行く。
復活したグレースは職員を倒してダニーを助けに行くがRev-9が追って来る。
ヘリを見つけて始動させるグレース。そこにサラが。
同時に来たRev-9を銃で撃ち、サラが乗り込みヘリが飛び立つ。
別のヘリで追いかけるRev-9。
座標の場所に家があり「カールおじさん」のバンが止まっている。
扉を開けた老人がサラを見て「サラ・コナー」
殺してやる!と叫んでライフルを撃つサラの銃口を、すんでのところで逸らすグレース。
こいつはジョンを殺した奴。
認めるが、それが全てではない、と老人は自分をサイバーダイン・システム・モデル101(T-800:以後これで表記)と名乗った。
なおも「殺してやる」とわめくサラに「味方なら何だっていい」とダニー。
中に入って彼の家族写真を見て落ち込むサラ。
証拠を残さないためジョンの写真は一枚もなかった。
どうやってこの場所を知ったか聞くT-800にタトゥーを見せるグレース。
写真を見て「素敵な家族ね」とダニー。
息子はマテオ。その子と母親のアリシアに、ジョンを殺した後に出会った。夫のDVで子供も殺されかけていたのを助けた。
俺は目的を与えられた。その言葉にも冷たく反応するサラ。
マテオを育てるうちに、サラから何を奪ったのかを理解した。
「良心が芽生えたの?」と聞くダニー。「それに近い状態だ」
こいつは潜入型、嘘を言ってるだけと信用しないサラ。任務がなくなって20年。どうすれば人間らしくなれるか考えて来た。
メールの件は、タイムスリップ時の衝撃波を知る事が出来る。
方法じゃなくて、とサラがイラつく。
アンタに目的が出来る、彼の死にも意味がもたらされる、と言うT-800にライフルで三発撃ち込むサラ。
何ともないT-800。サラがスカイネットを破壊した結果、俺は自由になれた。今度は助っ人として彼女を守る。
車が来て妻と子供が帰って来た。カール、と呼ばれるT-800。
180キロもあるのに良く今までバレなかった、と言うサラに「肉体関係はない」
「カールなんて、死んでも呼ばない」とサラ。
どうやって奴を打ち負かす?とダニー。
どこでどんな武器で戦うか決めてキルボックスを設け、ダニーを使っておびき出すと言うサラに、ダニーをオトリにするなどあり得ない、とグレース。T-800はサラに賛同。
隠れるつもりはない、とダニーは戦う事を主張。
文明崩壊を予測し、家族を守るために武器を整えていたT-800が一式の武器を見せる。「それにここはテキサスだ」
実射訓練。腰が引けているダニーに耳打ちするサラ「ターミネーターが家族を皆殺しにした」 必中で的に当てたダニー。
だがこれらの武器はただの時間稼ぎ。
グレースの話では至近距離からのEMP(電磁パルス)なら一発でショートするとの事。
心当りがある、とサラ。
リンガム空軍基地に向かう。その前に家族と別れるT-800。
軍の少佐からEMP装置を受け取るサラ。「横流しは誰にでもするわけじゃない」と言う少佐。
だがそこで攻撃を受ける。倒れる少佐。Rev-9からの攻撃。
駐機しているC-5輸送機。
「飛ばせるか?」のT-800の問いに「当然でしょ」とグレース。
離陸するC-5。ヘリで追うRev-9を共同で撃退するサラとT-800。
ただEMP装置が銃撃で破損。
今の武器で勝てる確率は12%だという。
どこかで武器を手に入れて作戦通りに行く、無茶は出来ないと言うグレースに反発するダニー。
未来なんてどうでもいい。今をどうするか、大事なのはそっち。
その顔に「何度見たことか」とグレース。
実は未来のダニーその人に救われた。そして育ててもらった。
あなたはハゲタカどもを立派な兵士に変えて軍隊を作った。運命なんてものはない、未来は自分たちで作るんだと言う指導者ダニー。
ダニーは指導者を産む母ではなくて、あなたが未来。だからリージョンが狙う。
もう弱いダニーではない事を知ってそれを打ち明けたグレース。
空中給油の機体を奪ったRev-9がC-5に追い付き激突。
そして乗り移った。機内で応戦するT-800とグレース。
搭載されているハンヴィーにダニーを乗せるサラ。そして貨物扉のスイッチを入れるが開かない。
戦いで肩を脱臼したサラを車に運び込み、それを治すグレース「アンタ医者?」
「シートベルトして」「そうね、ベルトさえすれば安全」
扉が爆破され、外に飛び出すハンヴィーは、パラシュートが作動して降下する。
ダムに落ちるC-5。次いでハンヴィーも落ちる。
水面から上がるダニー、サラ、グレースの三人。
グレースのダメージが大きい。
もう守ってあげられないと言うグラースは一個武器があると言った。それは自分のパワーソース。
「アンタを死なせないでどうやって取り出せるの?」「それは無理」
そこに現れたT-800はドアが開けられないグレースに代わって開けた。
奴が来ると言って逃げようとするグレースに「いいえ、ここで奴を迎え撃つ。ここをキルボックスにする。私はもう逃げない」とダニー。
そこにやって来たRev-9。娘を渡せというのを断るT-800。
「俺たちは同じ目的で作られた。リージョンの未来だ」と言うRev-9に「俺のそういう未来は消え去った」と返すT-800。
その娘は他人だろう、なぜ渡さない、と続けるRev-9。
「こいつはマシンとは違うんだ!怪物メタル野郎」と叫ぶサラ。
T-800とグレースで立ち向かうが歯がたたない。大きなダメージを受けて倒れるグレース。
発電機にRev-9を押し付けてバラバラにしたT-800だが、再び体を集結させて復活を始めるRev-9。
瀕死のグレースは、パワーソースを取ってとダニーに言うが、それは出来ない。
あなたはこのために私を送った、とグレース。今度は私があなたを救う番。お願い、やって。
グレースの腹に手を入れ、パワーソースを録り出すダニーは、それをズボンのポケットにねじ込んでRev-9に立ち向かう。
Rev-9にパワーソースを突っ込もうとするが、とても無理。
T-800は機能停止。
サラが叫ぶ「ダニーを助けて。起きなさい! カール!」
目覚めたT-800は、Rev-9にダニーから受け取ったパワーソースをネジ込んで階下に落ちた。
相手の動きを抑え込みながら「ダニーのために」と呟くT-800。
そして爆発、消滅。
幼いグレースを遠くから見つめるダニーとサラ。
「二度と彼女を死なせない」「じゃ、やるべき事をやらなきゃ・・・」