監督 リチャード・フライシャー
脚本 スタンリー・R・グリーンバーグ
キャスト
チャールトン・ヘストン ロバート・ソーン
エドワード・G・ロビンソン ソル
リー・テイラー=ヤング シャール サイモンソンの家具
チャック・コナーズ タブ・フィールディング
ジョセフ・コットン ウィリアム・R・サイモンソン
ブロック・ピータース ハッチャー ソーンの上司
ポーラ・ケリー マーサ
スティーヴン・ヤング ギルバート サイモンソンを殺した男
予告編
感想
有名なので、大まかな内容は知っていたが、未見の映画だった。
地球温暖化の影響により、自然環境で作られる食料が激減した近未来が舞台。
最近全世界レベルで起きている、異常気象や干ばつなどを考えると、けっこう現実味を帯びた話。
元々ソイレント・グリーンの材料はプランクトンだったのが、肝心の海が汚染で死にかけたため、要するに社会的に不要物となった蛋白質(即ち死体)を同じシステムで運用する様になったというのが話のベース。
ソイレント・イエローの原料は大豆と言っていたが、ソイレント・レッドの材料は何だったのだろう?ハッチャーが食ってた(まあいいけど)。
ソーンの悪徳刑事ぶりが小気味よい。
食料やら酒やら、やりたい放題。
それから部屋付きの彼女を「家具」と言うのにビックリ。確かに家に付いて次の主人に仕えるから「家具」。ハッチャーに「どんな家具だ?」と聞かれてソーンが「グレープヅルーツ級」と言ったのには爆笑。その後の「グレープフルーツも知らないくせに」のセリフも利いている。
ソーンら若い世代は本が読めず、捜査上の必要に応じて、本が読めるソルの様な者がペアとなって業務をこなす。
その状況から行くと教育制度も崩壊している様に見える。
「交換所」と呼ばれる書籍の詰まった場所。知識の砦としての存在だが、その役目がイマイチ掴みにくい。
そもそも最初から、食料としての人間を考えた場合は、蛋白質を得るのに相当なムダがある筈。人間が原料となったのは、循環が維持出来なくなったからであり、最後にソーンが叫んだ様な「人間牧場」みたいな所へも行きつけない。急速にシュリンクして行くディストピアを描いているという事で、もっと悲惨。
この映画の影響からか「ユーグレナ(ミドリムシが原料の健康食品)」のCMを見るとゾワっとする・・・
あらすじ
開拓時代から現在までの映像コマ送り。
2022年のニューヨーク。
夜は外出禁止令のため廊下、階段にも人が溢れる人口過密状態。
14分署に勤めるロバート・ソーン刑事。老人ソルと同居している。血縁はなく「本」と呼ばれるソル。
TVで語られる現在の状況。新製品のソイレント・グリーンについて知事が宣伝。海のプランクトンから作る奇跡の食品。
温室効果で農地は枯れ上り、食料品は配給に頼っている。電力の供給も乏しく、自家発電(自転車漕ぎ)が必要。
街中で声を掛けられる男、ギルバート。相手はドノバン。車の中でバールをギルバートに渡すドノバン。
高級住宅。女性と召使い風の男が、主人風の青い服を着た男に促されて家を出る。向かったのが食料品を売る店。僅かな野菜が279ドル。女が頼んでいたものを見せる店員。そこには牛肉が。
夜中、その高級住宅に侵入するギルバート。
青い服を着た男に「サイモンソンさん」と声をかける。彼らからの伝言「もう信用出来ない」を伝え、相手をバールで殺害する。
事件を受けてソーンが現場に行く。「家具」の同居人シャールと護衛のタブ・フィールディングに質問。
被害者はウィリアム・R・サイモンソン。
酒、食品を平気で徴収するソーン。
執事のチャールズが状況を説明。
警報装置が最近故障した(2年ぶり)。
シャールの服を覗き込み「体罰はないな、運がいい」と言い、就労形態を聞く。次の者が望めばここに留まる。
遺体はどこへ?というシャールの質問に「市外の廃棄物処理場へ」
家に帰って戦利品の酒と自然食品をソルに見せるソーン。
サイモンソンの家から持ち出した「ソイレント海洋調査報告(2015~2019)」二巻をソルに渡す。
なぜこんな世界になった?と嘆くソルは「ホーム」に行くかな?とも言う。「まだ必要だ」とソーン。
分署で上司のハッチャーに報告するソーン。ソルの年齢を聞いて「別の本に替えろ」と忠告するハッチャーは、サイモンソンの事を「大物だ」と警戒。
この日は食料の配給日。大豆から作ったソイレント・イエローより人気が高いソイレント・グリーン。
フィールディングを訪ねるソーン。彼は不在。留守番のマーサは4年同居(「家具」ではない)。。
帰宅すると、手に入れて来た牛肉やタマネギで、ソルがシチューを作っていた。酒で乾杯。デザートのリンゴ。
「昔は良かった、世界は美しかった」とソル。
ソーンが持ち込んだ本で調べを行ったソル。フリーズドライ製法の確立。その後ソイレント社が食料の半分を支配。サイモンソンはソイレントの取締役。この事件には大きな意味がある、とソーン。
シャールの家を訪ねるソーン。家ではパーティをしていた。
数多くの女たち。最近のサイモンソンの行動を聞くソーンに、最近教会へ行った事を伝えるシャール。
役得で、シャールだけを寝室に入れ、服を脱ぎ始めるソーン。
シャールも違和感なくベッドで待つ。
家にチャールズが入って来て女たちを折檻。こんなパーティは許可していない。ソーンが寝室から出て来て、事情聴取のために呼んだと口裏を合わせる。
チャールズを帰した後、立ち去ろうとするソーンを誘うシェール。
シャワーに釣られてそこに留まるソーン。
教会を訪ねるソーン。神父に聞くと、最初は記憶がないと言っていたのが「思い出した」。真実を聞いたと言う。明日また来てくれと言う神父。
署に戻るとハッチャーが、事件から手を引くと宣言。上からの命令。
ただの殺人じゃない、と不満のソーン。
知事と懇意にしているドノバン。指令を受けてフィールディングが教会に行く。秘密を守れなくなったサイモンソンの始末。
懺悔をするふりをして、その奥に居る神父をサイレンサー付きの銃で殺すフィールディング。
食料の支給日。群がる住民たちだが、ソイレント・グリーンは品切れで暴動が起きる。
鎮圧のため、ショベル付きのトラックが来て、住民を掻き上げて荷台に放り込む。そんな最中、ソーンがギルバートに狙撃される。巻き添えになって住民が殺された。結局ギルバートはショベルに踏み潰された。
ソーンから入手した本を持ち「交換所」を訪れるソル。本がたくさんある。そこの者の分析によりソイレント社の秘密が暴かれ、その口封じのためにサイモンソンが殺された事が判明。
だが証拠が足りない。失望したソル。
「ホーム」で手続きをするソル。20分ほどで終わるという。案内された部屋で男女のアシスタントによりベッドに寝かされるソル。
大画面に風景や海洋の映像が流れ、「田園交響曲」が響き渡る。
自宅に戻ったソーンはソルの伝言を見てホームに走る。既にソルの手続きは進行しつつあり、係員を使ってソルと同じ景色を見るソーン。
ソルはソーンに「交換所へ行け、全てを暴け」と言って息絶えた。
ソルの遺体がどこへ運ばれるかを突き止めるため、運搬トラックの屋根に乗るソーン。
そこは「第四廃棄物処理場」。袋に入れられた多くの遺体が、コンベアーに乗ってプールに放り込まれ、設備の中に吸い込まれて行った。
そこから延々と続く処理設備。その終端でコンベアーに運ばれているのはソイレント・グリーンのチップ。
係員に見つかり、そこを逃げ出すソーン。
そして何とか交換所まで来たが、待ち伏せされていた。電話でハッチャーに救援を求め、その後シャールに別れを告げる。
追っ手から逃れるうちに教会まで追い詰められるソーン。
厳しい戦いの末、追っ手を倒す事は出来たが重傷を負うソーン。
そこへハッチャーが救援に駆け付けた。担架で運ばれながら「本は正しかった。証拠を掴んだ。海もプランクトンも死にかけている。ソイレント・グリーンの原料は人間なんだ!今に食料生産のために人間を飼うようになる」と叫ぶソーン。