司会・進行 タモリ、山中伸弥
ゲスト:樹木希林、石原さとみ
タモリ、山中がバーベル上げのパフォーマンス。今日のテーマは?(タモリ) 「ピンピンコロリ」(山中)
石原:両親がタモリさんと同い年なので、セットで気にしている。
樹木:20年以上前のNHK特集の人体シリーズに出演。
当時のCG撮影、待ちが大変だった(内容覚えていない)。
今回注目するのは「ガン」と「心臓疾患」。
日本人の死因の一位と二位。
樹木:10年以上前に乳ガン手術→医者から全身ガンと言われている。
ガンは最大の敵。未来への挑戦。
ガン患者、村串栄一。元新聞記者(69)。今も執筆活動をしている。
54歳の時に胃ガンで一部切除。その後食道、舌、喉と身体ネットワークに沿って転移。手術を繰り返す(14年で13回)。
あんな思いはもうしたくない。
今までガン発生のメカニズムは謎に包まれていたが、実体が明らかになった。
乳房の毛細血管の画像。
ガン細胞が血管を引き寄せる。また免疫細胞も手なずける。
人体ネットワークを利用した、ある働きかけ。
国立がん研究センター 落谷孝広。
特殊なメッセージを、生き延びる手段として分泌。
白く輝く光(メッセージ物質)。突起が付いた丸い玉(1/一万ミリ)→エクソソーム(メッセージカプセル)。メッセージ物質がまとめて入っている。
メッセージカプセルが血管壁に向けて侵入「もっと栄養が欲しい」→血管が伸びてガン細胞に血液を供給。
免疫細胞にメッセージカプセルが作用「攻撃やめて」
人の健康、命を支える大切な役割りを利用、乗っ取り。
目的は何か?ガンは元々私たちの細胞。それがある時、増えるしかないものに変貌。
樹木:今の地球の私たち(人類)みたい。
ガン細胞の様々な悪だくみ→転移。メッセージ物質を巧みに操る。
卵巣ガンの腹膜転移→あちこちに広がる。
腹膜播種。サイレントキラーと言われ、転移の状況は謎だった(腹膜はバリヤーの役目を持つ)。
腹膜表面に細かい突起物があり、ガードしている。
そのすき間を抜けてメッセージカプセルが基部に着地。
表面の細胞と同じ成分のため侵入を許す。
そこでメッセージ物質を放出「あなたの役割りはもう終わり」。
その部分の突起物が死滅→クレーターが出来る。
そこへガン細胞が入り込み増殖。
エクソソームの分身がバリヤ機能を破綻させる。
樹木:乳ガンは切ればいいと思っていた。再発して「えらいこと」。
13年で30ケ所治療した。
石原:母親が以前卵巣ガンの手術をした。今のところ再発はない。
転移の内容を知ってびっくりしている。
エクソソームは全ての細胞が出している(いい働きもしている:傷を治せ、とか)。100兆個ある(究極のメッセージ)
エクソソームは全ての臓器が発している(いくつものメッセージ)。
状況によって命令が変わる。
ここ10年で発見された。時にはいい仕事をし、時には悪い仕事をする。
エクソソームの模型(スタジオいっぱい)
メッセージでガンに対抗する
先の村串さん→2ケ月に一回の通院時に血液を提供。5万6千人のガン患者の血液ストックからメッセージ物質の解明を模索。
村串さん:早く病気から解放されたい。
最先端の研究(デンマーク)
ガン撃退パワー
筋肉が出すメッセージ(2集でレポート)。うつ症状の改善、記憶力アップ。そのメッセージ物質がガン治療にも役立つ。
「敵がいるよ!」というメッセージを出すと免疫細胞が活性化する。この時に運動をするとガンの増殖が1/2に抑制される(マウス実験)。
前立腺ガンでの試験(治療の一環)。
運動を薬として処方する時代が来る。
日本での研究(落谷氏)
エクソソームを叩いて転移を抑え込む。
エクソソームに目印となる抗体をくっつける→免疫細胞が食べる。マウス実験で大きな効果(90%減)。
転移で亡くなる人が多い。
光免疫療法
メッセージ物質を標的にした治療法の最新版。ガン細胞に直接目印を付け、それを光の反応でガン細胞を破壊(消滅)。アメリカで研究中。
もう一つの課題→心臓病、心筋梗塞。心臓病で死ぬ患者は20万/年。
心臓から出るメッセージ物質
疲れると ・おしっこ出して心臓の負担を軽くする ・どんどん細胞を増やす ・炎症を抑える ・強くする
心筋細胞は普通の細胞と違う
普通は半年程度で細胞が入れ替わるが、心筋細胞は50年かけて3割程度しか入れ替わらない→傷付くと元通りになり難い。
どうしたら新しく出来る?
細胞再生のメッセージ→どんどん細胞を増やす
心筋細胞からのメッセージ物質は、放出量が少ない→人工的に増やして投与。
急速な蘇えり。マウス実験で大きな成果(心臓の壁が厚くなる)。
一年以内にヒトでの臨床試験を開始する。強力な薬となる。
すごい事。究極の薬。iPSは外で作って移植。
樹木:細胞が急に増えたらまたガンにならないか?
山中:副作用や増え過ぎ、ガン化などを疑うのは研究者にぴったりの資質。
シリーズ「人体」を振り返って
臓器と病気の関係を明らかにした。
腎臓:メッセージ物質が起こす高血圧→手術で治療
腸:アレルギー発症のカギ(腸内細菌によるコントロール)
臓器のメッセージに耳を傾けるのが治療の切り札
今は全体のネットワークを理解しないと治療に繋がらない。
この半年の間にも研究は進んでいる。
国際宇宙ステーションに骨を送り込んでいる。
メッセージ物質発生のメカニズム解明。
米ベンチャー企業による老化防止の研究。
骨芽細胞を培養し体内に戻す。
どうすればこの命を全う出来るのか
想像をはるかに超えた情報ネットワーク
始まりは一つの受精卵
メッセージ物質に導かれ、誕生した私たち
そして、人生を終える瞬間まで、ミクロの物質が、この体を支え続けている。私たちの命を守る、臓器同士の会話。
かけがえのない営みが、あなたの体にも秘められている。
思想、哲学、幸不幸、生きがい等、人間生きて行く上でいろんな問題がある。しかしまず人間、生まれて生きているだけで、ものすごい事を既に成し遂げている(タモリ)
生まれて来るだけで、すごい事(山中)
いろんな事に対して、もう少しゆとりが出て来る(タモリ)
感謝しなくてはいけない(山中)
感想
「健康長寿」と題して、日本人の死因の一位と二位である、ガンと心臓疾患を取り上げるとは、キャッチーなテーマ。
まあ健康にとっては最大の関心事だからね。
メッセージ物質の親玉「エクソソーム」を、ガン自体がコントロールして自分の肉体を騙すのだからタチが悪い。
今までのゲストの中で一番鋭いのが、今回の樹木希林。人類が、地球にとってのガン細胞なんてNHKでなかなか言えない・・・・
ここ数年で、更に研究は進み、ガンもどんどん「治る」病気になって行くだろう。
この、伸びた寿命をどう活かすのか・・・・まあ、ね。
全体感想
昨年10月から始まって半年。
やはり公共放送はこういうものを作ってこそ存在意義がある。
メッセージ物質による臓器間のネットワーク。
その全てに関与するガン細胞の「エクソソーム」。
今後持病と付き合って行く上でも、一つの指針となるだろう。
よくやった!NHK。