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Channel: 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)
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レヴェナント: 蘇えりし者 2016年

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例によってネタバレ


監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
音楽 坂本龍一


キャスト
レオナルド・ディカプリオ    - ヒュー・グラス
トム・ハーディ         - ジョン・フィッツジェラルド
ドーナル・グリーソン      - アンドリュー・ヘンリー
ウィル・ポールター       - ジム・ブリッジャー
フォレスト・グッドラック    - ホーク
ポール・アンダーソン      - アンダーソン
ブレンダン・フレッチャー    - フライマン
クリストファー・ジョーナー   - マーフィー
メラウ・ナケコ         - ポワカ
ブラッド・カーター       - ジョニー
ルーカス・ハース        - ジョーンズ


予告編
https://www.youtube.com/watch?v=Pqdq-k5Zg90


あらすじ
西部開拓時代、毛皮を取るための狩猟チーム(総勢30名以上)。リーダーはヘンリー。グラスが大きな鹿を仕留め、息子のホークが運ぶのを手伝ってくれと頼むが、仲間は冷たい。特にフィッツジェラルドはグラスに対して反発している。
そんなところへインディアンの一団が襲撃して来る。ここはアリカラ族の縄張り。命からがら船で脱出するが、逃げられたのは10名だけ。グラスはこの地域の事情に明るく、皆が頼っていた(ガイド役の位置づけ?)。グラスの妻は原住民であり、軍人に殺されていた。
川をそのまま下るのはインディアンに襲われるため、船はおとりとして流し、陸路を行くよう提案するグラス。大多数は従ったが、2名ほどは船で下った。途中で船は襲われ、その2人は殺された。


残りのメンバーで山を歩くが、途中ではぐれたグラスは運悪く熊と出くわし、襲われてしまう。熊が小熊に気を取られて離れた隙に銃を取り、次の襲撃で撃つが、致命傷を与えられず、再度襲われる。咬まれてズタズタになりながらもナイフで反撃。熊はグラスにのしかかったまま息絶えた。
仲間が見つけて助け出すが、グラスは瀕死の重傷。応急的に傷口を縫うが、痛みで気を失う。なおも首元を縫う仲間。
グラスを即席の担架に乗せて皆で運ぶが、急な山道を登るのは無理だった。
このままでは共倒れになってしまうため、グラスが息絶えるまでそばに居て、その後キチンと埋葬する者を募るヘンリー。フィッツジェラルドとブリッジャーが名乗りを上げた。そして息子のホークも。
フィッツジェラルドは、手早く片付けようとしてグラスに、このままではみんなに迷惑を掛けるから、始末して欲しければ瞼を閉じろと言う。グラスが目を閉じるとフィッツジェラルドはいきなりグラスの首を絞め始めた。そこへホークが来て咎めた。だがもう一人居たブリッジャーは水を汲みに行っていた。
フィッツジェラルドは離れたところへホークを連れて行き、ナイフで刺殺してしまった。
戻って来たブリッジャーはその事を知らない。一夜明けてフィッツジェラルドが、川からインディアンが20名近くこちらに向かっているとブリッジャーに言う。グラスが居ると言うブリッジャーに、フィッツジェラルドはグラスを担架から引きずり出して埋めるための穴に放り込み、土を掛け始めた。驚くブリッジャーに、どうせ

死ぬからと無理やり連れ出した。


一方、別の白人の部隊に出向いたインディアンの一行。銃と馬が欲しいと言うが、白人は受け付けない。だが娘のポワカが居ないと訴えると、馬数頭を渡した。
一方ヘンリーたちは何とか砦にたどり着いた。

穴の中で目覚めたグラス。足が折れて歩けず、這ってホークの所までたどり着いた。冷たくなったホークの頬を触って泣くグラス。

死んだ大型動物の骨の髄を食べ、小鳥、川の魚などを食べて何とか生き延びるグラス。傷口の腐敗防止のため、火薬を首に振りかけて焼いた。
インディアンの追っ手から逃れるために川を下った。
何とか川から上がり、野営している傍に火を見つけて近づくと、先住民の男が大型動物の肉を食っていた。最初威嚇したが、肉を分け与える男。

グラスが自分の身の上を話すと、男も、自分はスー族に家族を殺され、ポーニー族の仲間を募って復讐すると言った。男の馬に乗せてもらうグラス。
グラスの背中を見て男は、腐り始めていると言い、グラスを寝かせて小さなテントを小枝で作って、薬草を塗り火を起こしたところへ雪を入れて加湿した。


その晩が明けて、グラスが男を捜しに行くと、男は木に吊るされて息絶えていた。フランス人軍人の集団に襲われたのだ。

その集団から馬を盗もうと計画するグラス。盗み出そうとする時、男が原住民の女を連れ出し、バックから強姦している場面に出くわした。男から銃を奪って、女にナイフを渡し「タマを切ってやれ」と言って自分は馬に乗って逃げだした。ちょうどそこへインディアンの集団がフランス人部隊の襲撃を始めた。


インディアンに追われるうちに、馬もろとも崖に落ちたグラス。
夜の寒さを凌ぐため、馬の腹を裂いて内臓を出し、そこに裸で潜り込んだ。

フィッツジェラルドとブリッジャーも、遅れて何とか砦に着いた。ヘンリーに、グラスを埋葬したと嘘の報告をするフィッツジェラルド。そして約束の報酬300ドルをヘンリーから受け取る。


砦にフランス人の男が連れて来られた。その男がグラスの水筒を持っていた事から、ヘンリーはグラスが生きていると考え、探しに出た。そして見つけられるグラス。
戻るとフィッツジェラルドは逃げ出していた。金庫の金も全て奪われた事に愕然とするヘンリー。手当てを受けているグラス。会いに来たヘンリーに、馬と銃を貸してくれと言う。2人でフィッツジェラルドを追い始めた。

馬の足跡を見つけて、次第に追い詰めて行く。僅かな焚火の匂いを感じて、グラスはヘンリーに二手に分かれて行こうと提案。
馬に乗ったヘンリーに銃を向けて現れるフィッツジェラルド。
銃声を聞いてグラスが駆けつけると、ヘンリーが頭を打たれて死んでいた。しばらく考えて、木の枝を払って持って来るグラス。
馬にヘンリーの遺体を乗せて、もう一頭にグラスが乗り、ゆっくり歩いていた。そこへフィッツジェラルドが銃で撃って来た。馬から落ちて倒れるグラス。
フィッツジェラルドが近くまで来て、その死を確認すると、それはヘンリーだった。死体だと思っていた者が起き上がってフィッツジェラルドを撃った。こちらがグラスだった。
肩を撃たれて逃げ出すフィッツジェラルド。追うグラス。ナイフと斧での斬り合い。
最後はグラスが優位に立つが、川の下流に先住民たちの集団が居た。「復讐は神の手中にある」とフィッツジェラルドを川に流すグラス。フィッツジェラルドは先住民らによって息の根を絶たれた。
グラスの方に近づく先住民。その中に以前グラスが助けた女が居た。この女が娘のポワカだった。結局グラスは見逃された。


感想
ディカプリオがオスカーを取った映画、という事で敬意を表して観に行ったもの。
確か2005年の「アビエイター」が、ノミネートのされ始めだったか。


西部開拓時代の話で、要するに子供を殺した男に復讐するというストーリー。
極寒でのロケ敢行など、力の入れ具合はハンパないが、ちょっとカラ回りの感もある。
グリズリーに襲われるシーンは、CGも交え相当な力の入れ具合だったが、あそこまでデカい熊だったら一発顔を張られたら即死コース。熊は襲うというよりじゃれている感じで、とどめを刺すという発想がない。更にグラスが銃を撃った時も致命傷ではなかったので、それこそ本気になって殺しに来る筈。だからここは出来過ぎでも何でも、頭か心臓をブチ抜くという演出以外あり得ない。


あれだけの重傷を負って、みんな共倒れになるリスクを考えれば、置き去りにされるのはある意味やむを得ない。フィッツジェラルドが息子のホークを刺殺したのは、確かに悪いが、あの場合騒がれたら静かにさせるしかない。
まあ、復讐心だけで生き延びたのだから、拠り所はそこしかない、か。


それから、崖から馬もろとも落ちて、夜の寒さを凌ぐため、死んだ馬の腹を裂いて内臓を出し、そこに潜り込むというシーンがあったが、馬の体なんて死んで1時間も経てば周囲の温度と同化してしまい、とても防寒の役には立たないように思う。
なーんて思っていたら、先日やっていたスターウォーズ・エピソード5で、ハン・ソロが、遭難したルークを助けて極寒の地で一晩持たせるために、死んだラクダの腹を裂いてルークの体をネジ込む場面があり「あー、これか」とナットク。でもやる気にはならんなー。


たまたまグラスがインディアンの娘ポワカを助けた事が伏線となって、最後の場面で殺されずにすんだのも、なんか「ご都合主義」っぽかった。それよりフィッツジェラルドは逃げる時、砦の金を全て持ち逃げした筈だから、グラスが倒して、そのまま川に流してしまうのはアカンだろう。ヘンリーは殺され損。

インディアンの扱いも、グラスの妻(殺された)がインディアンだったから、もう少しその方面を掘り下げるべきだったのが、いわゆる「西部劇」と同じ様な扱いだったのが「物足りない」一番の要因かも(「ソルジャー・ブルー」を観なさいっ!)。


アカデミー賞やるなら「J-エドガー」辺りの方が適切だった様な気もするが(ディカプリオの出来として)、あれは映画の造りとしてイマイチだったから、やむを得ないかも。


音楽は坂本龍一。弦楽を主体とした重厚なテーマが印象的だが、場面によっては太鼓の連打等、クロサワ映画を観ている様な感覚もあり、画像とマッチしていて心地よかった。



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