2045年には、人の平均寿命は100歳になるという未来予測。
番組紹介
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2015/0104/index.html
<寿命革命への挑戦>
NMN:老化防止物質。メスのマウスの寿命を16%延長させる(人で言えば85→100歳に延長)。効果を最初に発見したのはワシントン大の今井眞一郎教授。すい臓の働きが衰えたマウスにNMNを1週間投与→血糖値が低下し、すい臓の機能が回復。
コンピュータの発達でヒトゲノムの解析が大幅に進んだ。
長寿遺伝子に関係するサーチュイン遺伝子が7種類存在する。普段は休眠しているが、これの機能アップでミトコンドリアが活性化する。8年前、この7種全てを活性化するものが発見された。それがNMN。
NMNはあらゆる生物に存在している(ビタミンに似たもの)。加齢と共に減少するが、補充する事で大きな効果が得られる(落ちた機能を補正)。
アルツハイマー病に対しても神経細胞の老化に対しNMNで効果が期待されている(人への臨床を検討中)。
NMNは日本の大手食品会社でも製造準備が進められている(現在0.1gで4万)。大量生産可能。
NMNは若返り効果も期待されている。
ハーバード大 デビッド・シンクレア教授によるマウス実験。生後22ケ月に1週間投与で6ケ月相当の筋肉になった(人の60→20歳の変化に相当)。なぜ若返ったか。視床下部の指令強化による全身細胞の活性回復。若さを保ったままの加齢が可能になる。
<病の壁>
3Dプリンタによる人の組織の構築(人差し指、耳等)。病気で痛んだ組織の製造。腎臓を作る実験も行われている。
超高性能半導体を心臓に直接貼ることで、あらゆる異変に対応してケアが可能になる。あと15年で再生医療は劇的に進化。30年あれば平均寿命100歳は可能。
<ガンとの戦い>
シアトルの最先端手術。高齢腎臓ガン患者への手術ロボット「ダヴィンチ」。30分かかるものが10分で可能になる。人の手より広い可動範囲。
東大 片岡教授。ナノマシン→ナノサイズのバブル(材料:ポリマー)に薬を包み込みカプセル化(ミクロのロケット弾)。一般の抗がん剤の1000倍濃度を患部に投入可能。余命3ケ月の肝臓がんの9割消失。がん細胞のみ狙うセンサ(リガンド)をつけ、がん細胞のみに近づく。がん細胞核に近づくとバブルが破裂して薬を放出。再発、転移を防ぐ点で脳腫瘍、すい臓がんも治せる。がんのコントロールが可能になる。臨床実験は最終段階に来ている。
<予知医療>
テクノロジーの進化は予知医療へと進む。人体のビッグデータ。電子皮膚→5cm四方に144の電子部品を搭載。人体を常時モニタリング。
死の予知。エストニア タルトゥ大。国民の5.2万人分の血液データを保存。採血時健康だった人が死亡したケースで、亡くなる5年前までの間に血液の4つの成分変化に同じ兆候があった(数百人のデータ確認)。今後整備して死との因果関係を調べて行く。
死が予知された人に何を施すか。ナノマシンを人体に送り込む医療。体の異変を知らせるシステムを強化し、その病気の種類に応じて薬の成分を変える→体内病院。
ハーバード大 マシュー・マイヤーソン。スーパーコンピュータによる突然変異の解析。肝臓がん1.5万種の解析が済みつつあり、がん研究は劇的な進歩を遂げている。戦いに勝利する日も近い。
川崎に45億を投じてナノマシン実用化の施設が出来つつある(片岡教授)。
感想
不老長寿というと、旧くは「冬虫夏草」が知られているが、実際の効能は疑わしい。NMNに期待がかかるが、既に食品会社が製造面での囲い込みを行っており、寿命も金次第という事らしい。
3Dプリンタによる人の組織の構築はある程度知っていたが、腎臓組織も作れるとはオドロキ。ネフロンの単位で作れるのか?(それはムリだろう)。組織の作成についてはiPS細胞という手段もあり、こちらの方面も期待出来る(STAP細胞はザンネンだったが・・・・)。
一番のオドロキはナノマシン。伊藤 計劃の「ハーモニー」にこれが出て来るが、読んだ時は「装置」をイメージしていたので、とてもすぐには実現出来ないと思っていた。容器と、がん細胞に引き寄せられるセンサ、近づいた時容器を破壊する時限分解手段が付いていればマシンとして成立してしまう。
ただ、ここに入る薬品が抗がん剤とは限らない。遅効性の毒薬だったら殺人兵器にもなり得る。
医療はバラ色という楽観論もあるが「ハーモニー」ではその様な調和の取れた理想的な社会でヒトは「意識」を失う、と説いている。生きるスパンは伸びても「どう生きるか」が見えていない者にとっては猫に小判か。
たった2冊の本を上梓しただけでこの世を去ってしまった伊藤 計劃がこのシリーズを観たらどう思うだろうか。
関連情報
http://japanese.ruvr.ru/2013_12_22/126258361/
http://www.oyc-bio.jp/products/view/nmn001
http://sudo-halt.com/post/73059134181/2
http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol36/02/jsms36_131_132.pdf
http://www.mishima-kaiun.or.jp/assist/docs/SNo4-hasegawa.pdf