原題:Kingdom of the Planet of the Apes
監督 ウェス・ボール
脚本 ジョシュ・フリードマン
キャスト
猿(エイプ)
ノア - オーウェン・ティーグ(松岡禎丞)
プロキシマス・シーザー - ケヴィン・デュランド(竹内力)軍団のボス
ラカ - ピーター・メイコン(楠見尚己)
アナヤ - トラヴィス・ジェフリー(浦和希)
スーナ - リディア・ペッカム(白石晴香)
コロ - ニール・サンディランズ(多田野曜平)ノアの父
ダー - サラ・ワイズマン(佐藤しのぶ)ノアの母
シルヴァ - エカ・ダーヴィル(楠大典)
ライトニング - ラス=サミュエル・ウェルド・アブズギ(岡井カツノリ)
人間
メイ / ノヴァ - フレイヤ・アーラン(小松未可子)
トレヴェイサン - ウィリアム・H・メイシー(千葉繁)
ムービークリップ1
ムービークリップ2
感想
リブートシリーズは以下でレビューしている。
ただ前作でシーザーの最期を見てから7年。
ちょっと内容も忘れかけていたが、300年後の世界だというんで、前の作品を軽くおさらいしてから鑑賞。
ワシを飼い慣らして生活の糧を得ているイーグル族。そのための卵を自らが肌身離さず保温して孵し育てる。
そこに侵入して来たマスク姿の猿の軍団が襲って来る。
一人残されたノアは皆を探すために村を離れる。
ざっくりと言って、若きチンパンジー、ノアの成長物語。
向った先でオランウータンのラカと出会い、かつてのリーダー「シーザー」の事を知り、今その名を騙る支配者の事も知る。
ノアたちの認識では人間(エコー)は知能が低く言葉も話せないが、出会って同行する様になったメイは話せる上に知能も高い。
イーグル族はそれまで他部族から攻撃された様な事がなかったのだろう。軍団が持っていた武器は多分、かつて人類が作ったもの。それを利用して次々に勢力を拡大して行った。
この時点から人間の「女」を探している軍団。
プロキシマス・シーザーの王国が現れてから、彼がメイを探していたのが貯蔵庫を開けるためだったと分かる。
破れ、汚れてはいるがメイはキチンと縫製された服を着ている。
それに対し水飲み場の人間らはただの毛皮をまとっているだけ。
人間の中でも二極分化している事をノアも理解して行く。
この辺りを一回観ただけで詳細に理解するのは難しいだろう。
参考になるサイトの紹介。
自分なりの解釈
人工ウィルスによる退化を免れた人類が、復権を目論んで活動している。その一人がメイ。彼女が属しているシェルターでは外部通信用のシステムに不備があり、他のサイロからモジュールを持って来る必要がある。指令を受けて外に出たメイたち。
そんな時軍団に仲間を殺され、ノア、ラカに出会うメイ。
軍団の王国に拉致されたメイとノア。プロキシマスは、かつての人類の叡智を理解しており「貯蔵庫」の中味を利用して更に勢力拡大を目論んでいた。メイはノアの協力を得て貯蔵庫の中に入りモジュールを手に入れる。
そして堤防を爆破しサイロを水没させたメイ。
モジュールを入手して外部との交信を開始した人類。
ノアの成長物語だと思っていたら、最後のさいごで人類反撃の話にスリ替わったナー、という印象。
ノアが何らかの目的を持って行動しているというのは、中盤辺りから分かっては来るが、この終わり方はあまり共感出来ない。
シェルターでメイからモジュールを受け取る女性は、完全装備の防護服。要は外界には、例のウィルスが存在しているかも知れないという示唆。それを承知でモジュールを取りに行ったメイはある種の「特攻部隊」という事か。
残った「人類」の連携ばかりが目につき、知恵を持ってしまった猿たちとどう共存して行けばいいのかという、前作での「シーザー」の思いが打ち捨てられている。
この路線で続編が作られるとしたら「人類」の復権以外にないだろう。実際メイも「元は私たちの世界だった」と言っている。
なんかこの辺り「アメリカ・ファースト」的なフンイキがして、アメリカ人もだんだんトランプ的になって来たんかなー、と思う(半分はトランプ派だし)相手を猿ぐらいにしか思ってない。
我々は「猿の惑星」に何を求めているのかな?という点も考える必要があるのかも知れない。
なんか初期作品へのリスペクトも随所にあるみたいだし、改めて観てみるかな・・・
あらすじ
数千年に亘り地球を支配した人間。その驕りが破滅へと導く。
人工ウィルスのせいで高度な知能を持つエイプが生まれ、逆に人間は知能と話す能力を失った。エイプと人間が共存への道を探り苦闘する中、エイプのリーダーが台頭。仲間のために命を捧げた。そのエイプの名はシーザー・・・
年下のアナヤとスーナを連れてワシの巣に辿り着いたノア。
だがそこには卵が3つしかなかった。掟で1つは残さなくてはならない。二人に卵を持たせたノアは一番高い巣に上った。
何とか1個をゲットするが、親ワシに攻撃されて落ちるノア。
滑落するが何とか枝を掴んで助かった。無事を喜び合う3人。
その帰りに人影を見たアヤナ。足元にヒトの匂いの付いた布。
「かなたの谷」に通じるトンネルの手前まで行く3人だが、思い直して引き返す。
部落に戻った3人。猿に飼いならされたワシが多数いる。
卵が取れた報告をするノアだが、ヒトの匂いの付いた布の事を気にして長老に話しに行く父。その後調査に出た者があった。
その晩、干場の棚を直していたノアは気配を感じ燻製場に入る。
突然人間が飛び出し、ノアを突き飛ばして逃げて行った。肌身離さず身に付けていた卵は割れてしまった。翌日の「きずなの日」の儀式には欠かせない。アヤナとスーナが自分のを渡そうとするが、もう一度取りに出掛けたノア。
だがその先で、マスクをした軍団に仲間がやられるのを見て隠れるノア。軍団は人間の女を探し村に向かっていた。
あわてて村に戻ったノアだが、村は襲われている最中だった。
軍団の猿は、先端が青白く光る棒で攻撃する。ショックを受けて倒れ込む仲間たち。
木の上のワシ小屋に向かったノアは、父に指示されてワシを放すのを手伝う。そこに侵入して来た敵。応戦するが父は殺された。
目覚めた時には1人。敵が持っていた棒(ただし壊れている)を持って仲間を探しに馬で村を出るノア。
巨大な地下空間に落ちたノアは、ラカという老オランウータンに助けられた。マスクの奴らに最後の仲間を殺されたという。
かつてのリーダーだったシーザーの学びを守って来たラカ。多くの本を見せて、シーザーの時代にはこの記号の意味が分かっていたと言う。ノアが、マスクの者たちがその言葉を使っていたと言うと、奴らは彼の名を騙っていると嘆くラカ。
ラカも自分の馬を出し、2人で出掛けた。エコー(人間)の女がついて来るのに気付くノア。また頭上にはワシ。父が飼っていた「イーグル・サン」だと言うノア。「僕をバカにしている」
僕の一族は歌ってワシと通じ合うと話すノア。
付いて来た女に、自分とノアの名を教えるラカ。すぐ逃げた。
焚火の火に近付いて来た女に果物を投げてやったラカは、毛布も渡してやれとノアに言う。「優しくなれ・・・」渡すノア。
女の行動の賢さを感じるラカは、彼女をノヴァと名付けた。シーザーの時代からだという。
ある晩、開けた場所に草で覆われ台座に乗ったものを見つけるノア。覗き口に目をあてて驚く。
その先に登って先端を見ると光を反射していた。
次いでノヴァがノアと同じ様に覗いて驚く。
その姿を見て、ノヴァに知能があるのでは、とラカに訊くノア。
シマウマを見つけた後、水のある場所を見つける3人。そこに人間たちも集まっていた。仲間を探すために別れると言うノアに、シーザーの時代から託されていたペンダントを渡すラカ。
そして人間らと一緒に行動しろとエヴァに言い、別れるラカ。
だがその後、人間たちが猿の軍団に襲われる。様子から見てエヴァを捕獲しようとしている。
騒ぎを知って戻りかけるノア。そこに追われて来たエヴァ。
「ノアー!」と大声で叫び走るエヴァ。
間一髪のところでエヴァを掬い上げて逃げるノア。
ラカもそれに気付く。
一段落したところでノアが、エヴァが喋ったとラカに言う。
振り返ったエヴァが言う。「私の名はメイ」
奴らの居住区を知っていると言うメイ。元は人間の居住区。
喋れたのに黙っていたメイに不満のノアだが、3人で旅を続けた。
大きな川。橋を見つけて渡ろうとする3人だが、その先に例の軍団の猿。背後も閉ざされた。戦いの中で川に落ちたメイを助け上げるラカだが、ロープを切られて流された。
結局手を縛られて軍団の基地に連行されるノアとメイ。
軍団の基地には、ノアの部落の者が労働力として捕われていた。
母やアナヤ、スーナとの再会。
メイは別棟に通された。そこにいたのは人間のトレヴェイサン。プロキシマスに捕まり、ローマの歴史を教えているという。
自分の事を「エイプに協力しない人間」と告げるメイ。
ドラが鳴り、皆の前に姿を現すプロキシマスは、シーザーの言葉を支配に利用して演説した。「今は私がシーザーだ」
我々に残された宝があの中にある、と崖の大扉を開ける工事を指示するプロキシマス。だが何本ものチェーンで引いても動かず。
もう何ヶ月もやってると話すトレヴェイサンに、ここは政府が地下に潜った時、機能の半分を移した場所だと話すメイ。
あのエイプに中のものは渡せないと言うメイに、彼らの役に立つ方が身のためだと返すトレヴェイサン。
メイに話しかけるプロキシマスは、人間の進化論を持ち出す。
私が求める進化には時間が掛かる。だから私にはあの貯蔵庫の中の知恵が必要。それがあればエイプも進化出来るだろう。
「それは無理、中には入れない」と言うメイに、君には人間の連れがいたと話すプロキシマス。だが手下たちは彼の価値を知らず殺してしまった。君はあの私の貯蔵庫に入るために来たのだろうと話す。「あれはお前のじゃない!」と叫ぶメイ。
ノアを懐柔しようとするプロキシマスは、メイから貯蔵庫への入り方を聞いていないか訊くが、もちろん知らない。
中のものを先に手に入れなければ人間たちが強くなる。
人間を滅ぼさなければ。我々エイプが檻に入れられる・・・
イーグル・サンがノアに近付く。僕を裁きに来たのか・・・
みんなを返すと父さんと約束したのに。出来なかった。今はプロキシマスのもの。それが掟。そんな掟、間違っている!
その時、イーグル・サンが来てノアの左腕にとまった。
トレヴェイサンが行う、プロキシマスのための夜の授業。
出席すれば君のためになると言われるが、無視するメイ。
メイに話すノア。君は一人じゃなかった・・・
謝るメイ。プロキシマスの手下に捕まって皆殺された。自分はどうにか逃げた。助けて欲しかった。それに怖かったから。
君はただ自分助けたいだけ。だがそれが役に立つと言うノアは、貯蔵庫の何が欲しいんだとメイに訊く。本の様なものだという。
人間は話す力を失った。その本で戻せるかも・・・
ラカが言っていた、昔人間とエイプが一緒に暮らしていた話。
メイは言う。
当時人間は支配者であり、エイプは喋らなかった。人間が作ったウイルスが広がって、エイプは賢くなり人間は絶滅しかけた。
中への入り方知ってるか?「ええ」もう一つ訊く。
水入ったら、中のもの壊れるか?肯定するメイ。
崖登りには一人では無理だと、スーナとアナヤに声をかけるノア。尻込みするアナヤだが、結局仲間になった。
メイが準備した爆弾を、紐で繋いで各所に配置して行く。
「これにパワーが通る?」「そう」
微妙な態度からノアがスーナを好きな事を知るメイ。
そこへやって来たトレヴェイサン。私がチャンスをやったのに、君は過去を夢みていると話す。
ここはあなたの居場所じゃない。ここで起きたこと、誰もあなたのせいにしない。だから一緒に来て。
あの猿は皮を剥がれるだろう。君も思い知る・・・
背を向けたトレヴェイサンに飛び掛かったメイ。
足で固めて彼を絞め殺したメイ。ドン引きの皆。
アナヤとスーナはめいめいで登り、ノアはメイを背負った。
途中で落ちかかるノアだが、何とか持ちこたえる。
そしてようやく最上階のテラスに到着。割れた窓から中に侵入する4人。メイが電源を入れるとシステムが作動し電気が点いた。
「エコーがこれ作ったの?」と訊くスーナ「ああ・・」とノア。ノアらに「ここに居て」と言い、目的の場所に向かったメイ。
大きなコンソールから、赤いカートリッジを外した。
途中、引き出しから銃を見つけるメイ。
建物を順に降りて行く一行。最下層まで行くと、そこには多数の戦車が並んでいる。他に武器と思われるものも。
メイがボタン操作をすると、鈍い音と共に大扉が開き始めた。
開いた扉の先にはプロキシマスと、彼の軍団が待ち構えていた。
「ノア、本当に役に立つエイプだな」とプロキシマス。
しかしお前は気付いていない。愚か者だ。あんな不誠実な生き物を信頼するとは。メイは何を企んでいたのだ?言え!
沈黙のノアに、どちらを選ぶと言ってスーナを押さえつける。
「やめろ!」叫ぶノア。その時に銃声。スーナを押さえていた軍団の猿が倒れる。パニックになるプロキシマスはメイに、
「分かった、行っていいぞ、自由だ」走り出すメイ。
そして仕掛けてあった起爆装置を作動させる。
大爆発と共に海側の堤防が決壊した。
津波が貯蔵庫の入り口に押し寄せた。
「のぼれー!」仲間に声をかけて上に登って行くノア。体の小さなイーグル族は登れるが、軍団の猿は大部分が溺れ死んだ。
イーグル族の仲間を先導して行くノアたちは、何とか最上階のテラスに辿り着いた。だがそこにいたのはプロキシマス。
イーグル族の者では全く歯が立たない。そしてノアを激しく殴りつけるプロキシマス。
やられる一方だったノアだが「ホーッ、ホッ、ホッ・・・」とリズムを取り始める。それは回りのイーグル族にも伝わり、皆が唱和した。イーグル・サンを始めとするワシが何匹もプロキシマスに襲い掛かる。足を踏み外して崖から落ちるプロキシマス。
「さあ、みんな。家に帰ろう・・・」
元の村で再建を進めるノア。そこを訪れるメイ。
「お別れを言いに来た」後ろ手に銃を握っているメイ。
「プロキシマス正しい。人間たち、諦めはしない、絶対に。地球上の全て自分のものにするまで」と言うノア。
「私たちのだった。あのサイロは人間の居場所。人間の知恵やモノが残されてた。エイプのものじゃない」
「エイプのもの何がある?喋らないエイプに戻れって?僕たち家を作り直す。よりよく、より強く。学んだ知識使って」
「エイプたちと人間たち、共に暮らせる?」と訊くノア。
「分からない・・・」そんなメイに、ラカから受け取ったシーザーのペンダントを渡すノア。「とても大切だ」
去って行くメイ。
シェルターへの入り口に辿り着いたメイ。中から出て来た防護服の女性が、赤いカートリッジを受け取った。扉が閉まる。
そこは人間たちのアジト。そこの大きなコンソールにカートリッジが組み込まれた。ディスプレイの表示が出てシステムが動き始める。「ハロー、誰かいる?お願い。聞こえますか?・・」
応答があった。
「声が聴けて嬉しいよ。そちらの現在位置はどこです?・・」
動き始めたボロボロのパラボラアンテナを見上げるメイ。