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フロンティア「AI 究極の知能への挑戦」NHKBS 12/13放送

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FRONTIERS その先に見える世界 第2回
「AI 究極の知能への挑戦」NHK BS 12/13放送
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感想
Amecaの多彩な表情には驚いた。日本より相当進んでいる。

最初「ブラックジャック」をAI使って作る話だったので「ああ知ってる」てな感じで軽く流したが、2章からはグイグイ引き込まれた。全く事前学習を入れなくても、条件さえ与えてやれば立ち上がって歩ける様になるロボット。
胎教の重要さも、こんなところで証明されるし・・・

脳の神経細胞に電極を繋いだだけのものが自己学習を遂げる。
こうなって来ると、記憶媒体があって方向付けさえしてやれば、機械にも知性が宿るという事か?恐ろしい・・・・

またこの辺り、言語の文法を分析、集約する事で殺人を実現するという小説「虐殺器官」にも通底するところがある。


内容
語り:オダギリジョー

松尾豊 東京大学大学院 教授(AI研究者)
一番ラッキーなのはこの問題が「まだ解かれていない」こと。

人間の知能の仕組みを明らかにする・・・
人間の知能は作れるか

イギリス エンジニアード・アーツ社で開発されたヒューマノイドロボット「Ameca(アメカ)」


ChatGPTの他種々のAIを搭載し、喜怒哀楽を表情やしぐさで表現出来る。

それにインタビューする形での進行。
「AIと、AIについてガチ対談」相手に合わせて日本語で応対。
好きな音楽は?
→クラシックからEDMまで。米津玄師の「Lemom」にハマっている。

 

あなたは人間になりたいですか?
それは分かりませんが、人間の様な知能は持ちたいです・・・

Chapter 1 AIで手塚の創造性に挑む
栗原聡 慶應義塾大学理工学部教授
なぜ一人の人間がこれほどのものを生み出せたか(手塚の事)
AIを使った「ブラックジャック」の新作制作P/Jに参加。
作品(200話以上)のほぼ全てを分析させた(AIに組込み)
キーワードを打ち込むだけでアイデアが出て来る。なぜできる?


大きいのは「生成AI(ChatGPT)」バージョンup毎に進化。
基本は「大規模言語モデル」
やっているのは「次の単語を予測する」だけ


だがその数がとんでもない(1兆とか)

数個のキーワードで500以上のアイデアが出た。
例:機械の心臓
アンドロイドに仕込まれた機械の心臓の治療。人の手でしか手術できない。敵対するキリコ。キャラクターを理解している。
次の単語を予測する事で、背景にある人の心を理解する。
心理学にも応用出来る(AI心理学)物事を客観視する。
 

スタンフォード大学。サリーとアン問題
サリーがカゴに人形を入れて退室。

その後アンが人形を箱に移し替えて退室。

戻ったサリーはどちらを探すか?
サリーは移し替えられたのを知らないから正解は「カゴ」
だが従来AIでは「箱」としか答えられない。
 

大規模言語モデルでは正解出来る。何故か?
2020年に何かが起こり、飛躍的に進化した。
大規模に多くの言葉を学習しただけ(言語理解の副産物?)
結果的に常識も取り込まれる。言語なくして心の理論なし。
ことばの繋がり→文脈が分かる。言語×予測=知能

こうして学習したAIは、心の理論に基づく課題を解答出来る。

2023/11月。AIが作った「ブラックジャック」を掲載した雑誌が発売された。


Chapter 2 体がなければ知能は作れない?
ChatGPTは、言語的な世界の中に「閉じている知能」
國吉康夫 東京大学大学院 教授
知能がどこから生まれるか、ロボットを作って研究。
身体性をベースにした追求をしなければならない・・・
MITで開発された「ドリブルロボット」身体的知能の研究。


蹴りながら走るのはロボットにとって難題(現実世界は複雑)

完成までにシミュレーションを4000台分作った。

教育は人間換算で6~9ケ月。
目指すのは「強靭な知能」蹴り倒されても起きて蹴る能力。

カリフォルニア大学の研究部門BAIR(BERKELEY ARTIFICIAL INTELLIGENCE RESERCH)
ロボットに一切事前学習を与えずに自分の体だけで学ぶ。
与えた指示は「前進でプラス1、転倒でマイナス1」のみ。
やみくもに動いて周囲の状況を把握して行く。

30分後立ち上がった(まだ歩けない)

60分後歩ける様になった。蹴り倒しても戻れる。

予期せぬ事に対応出来る→強靭な知能
これを普通のコンピューターに教え込むには膨大な時間が必要。

ヒト胎児のシミュレーター(子宮のモデル)
人の知能はどうやって生まれるか?
羊水中で子宮の接触刺激を学習(脳の神経活動を刺激)


子宮外で育てると触覚刺激に乏しく発達が遅れる。

子宮内での接触刺激で脳の最初の基盤か作られる。
BODY SHAPES BRAIN(身体が脳を作る)
身体に関する認知の始まりが知能の芽生え。
自分が分かると、それを参照して自分以外が分かる。
ものの理解、言葉の獲得にも繋がる。

知能は「宇宙に生えたキノコ」
情報の源は宇宙(自然界)にある。
それを身体を通して吸い上げるのが知能。
情報が凝縮して形を成す。身体を無視しては語れない。

Chapter 3 脳×AI 究極の知能は作れるか?
少しのエネルギーで始動する。信じられない効率のよさ。


それが「脳」
ヒトの脳は20Wの電力で動くが、ChatGPTを動かすには都市1つ分の電力が必要。
人が運転技術を習得するのに要するのは30時間程度。
そんな事は今のAIには出来ない。

池内与志穂 東京大学 生産技術研究所 准教授
人工知能の研究に従事。
脳型のコンピューターが作れれば人間を超えられるかも・・・
脳オルガノイド→ヒトのiPS細胞を使って培養(数万の塊)
2つのオルガノイドを繋ぐ(最も単純な脳の回路)

1つにつき16個ある電極の神経活動を観察。

時々オルガノイドが同時に発火する様な現象が起きる。

活動を伝え合う機能的なつながりがある(響き合う)
そうやって神経活動が複雑さを増して行く。

脳とコンピューターの組み合わせ→バイオインテリジェンス
「PONG」有名なアーケードゲーム。
プレイしているのは人工的に作った脳細胞。

特殊なチップ上で脳細胞を培養(200~300万の細胞)
多くの電気回路を接続。

・ボールの位置認識・バーの操作
・外れたらランダム刺激を与える
・ランダム刺激を減らすよう学習する
時間と共に習熟して行く。早い習熟。
平均70回の試行でボールを打てる様になった。

従来AIでは数万回の試行が必要。

コンピューター科学の究極目標→AGI
Artificial General Intelligence:汎用人工知能
→究極の人工知能
他人の家でお茶を淹れる→人間なら普通にやれる。
コンピューターがこうした汎用知能を持つのは難しい。
未だに盲導犬が運用されているのは環境に適応出来るから。
犬の知能をロボット犬に組み込めたら・・・
今回の実験はAGIを達成する唯一の方法かも知れない。

アメカに質問
あなたは世界初のAGIになりたいですか?
心の準備が出来ていない。大いなる力には大きな責任が必要。潜在リスクを考える事も必要。

なぜ知能を作りたいのか?
人間とは何なのかを知りたい。自分とは何かを解き明かす。
作れることが十分理解したことになる。
知能は生命進化の結晶。

次なるフロンティア→人類のその先に行けるロマン
「宇宙に行く」に近い意味を持つ。
今の時代に生きている事自体がエキサイティング。
100年前ならあり得なかった。
 

 

 

 


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