ヒューマニエンス 40億年のたくらみ
「“整理整頓” それはヒトの本能なのか」BSP 8/7放送
感想
織田の言うように、いつものテーマとは一風違い、自身の課題でもあるので興味深く視聴した。
人の記憶の引き出し方というものが分かってみると、非常に腑に落ちる部分があって、今後の指針にもできそう。
遺跡の貝塚や集団墓の話は、ちょっと時間繋ぎ的な印象があり、本題との食い付きが悪かった。
整理整頓には多くのエネルギーが必要だと言われて、多少安心。
ただそれは自分が出来ない事への言い訳にしかならないか・・・
思い出も死ぬまで持っていられない→これは刺さった。
内容
【司会】 織田裕二,藤井彩子
【出演】 稲垣えみ子 元朝日新聞記者
朝日新聞退職後フリーになり衣類、家電の極力ない
生活を続けている。月の電気代200円。
【解説】 坂上雅道 玉川大学脳科学研究所 所長
西野雅人 千葉市埋蔵文化財調査センター所長
ヒューマニエンスでやるのは珍しい・・・(織田)
十人十色の整理整頓
研究者への課題 ある本(資料)を5分以内に見つけよ
1.松岡廣繁 京都大(古生物)
「骨格人類学論文集」→14秒で発見
・赤い本で「あの辺り」
2.松木武彦 考古学者
「儀礼と習俗の考古学」→14秒で発見
・配置は脳の反映
3.近藤滋 大阪大学(自然科学)
「ライオネル・G・ハリソンの論文」→ギブアップ
人それぞれの生き様が反映されている。
整理と整頓は違う
整理:乱れた状態を整える。不要物の除去(捨てるのは整理)
整頓:整った状態にする。片付ける
整理整頓は言葉の礎(いしずえ)
脳内情報の整理整頓→ワーキングメモリの負担を減らす
脳は情報を取り込むが、奥で眠っている
→引き出したい時に昇らせるカギになるのがワーキングメモリ
松岡氏の「赤い本」→800冊の中から意識に昇らせる。
ただし制約あり。引き出せる情報は7±2(5~9個)
ヒト独自の言葉を使った整理整頓。
小さな記憶容量の中で言葉を付けて整理。
それが人間の高い思考力を生み出す。
思考する場(ワーキングメモリ)→前頭前野と他場所のやりとり
冷蔵庫とマナ板の関係に似ている(長期記憶→前頭前野)
ワーキングメモリがなければ反射的に生きるだけ(一般の動物)
脳記憶の大半は無意識。人以外はこれに頼る(計画が立たない)
ゴールを決めて合理的に進むための思考。
それは定住と共に始まった
ホモ・サピエンスが整理を始めたのは最近。
1万年前からの農耕定住生活から整理が始まった。
→空間秩序、社会秩序に進化した
日本の縄文遺跡。加曽利貝塚(千葉)→上へ積み上げる
わざと作った(モニュメント)豊かさのシンボル
スケジュール管理、長期的予測にも寄与。
集団墓の出現→生活世界の秩序作りのための整理整頓。
ワーキングメモリを使った、自身の利益の最大化
暴走要因にもなる(戦争)
生命の始まり 整理整頓
胚発生を行う時、細胞は整理整頓を行う。
マウスのES細胞の核 外側は働いていない(壁際の本棚的)
DNA(2重らせん)は畳まれ働いている部分がまん中に集まる。
DNAも整理整頓する(意識は持っていない)
だが働いていないものを捨てていない。
ニューロンもそう。重なる部分で複数のネットワーク構築。
乱雑な方がマルチタスクに繋がる(オーバーラップ)
きれいに片付いているのは柔軟性に欠ける
(ゼロからは作れない)
なぜ片付けは難しいのか
主婦チエさん。中・高の時に着ていたものまで捨てられない。
思い出が結びついている。モノの片付けは心の整理。
「私」に対する執着→手放すプロセスが必要
過集中しないと整理整頓出来ない(脳の活性が必要)
空間状況の把握(頭頂連合野・視覚野)
脳のあらゆる場所を働かせている。
モノが捨てられない→思い出も死ぬまで持っていられない。
面倒なのは過去の思い出。褒められた記憶(無意識の記憶)
外部記憶でいいとなると整理する必要がない。
→整理整頓を放棄する時代になった(情報処理の平均化)
生物は平均化を嫌う(まとめて死ぬリスク)
我々の幸福とは何か、人類の進歩とは何かをマジメに考えないと、何でもコンピューターに決められてしまう・・・
整理整頓は生き方の選択(藤井)
今日の一曲
記憶は「追憶」
Barbra Streisand - The Way We Were 1975